特許第5989577号(P5989577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989577バージョンアップシステム及びバージョンアップ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989577
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】バージョンアップシステム及びバージョンアップ方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/00 20060101AFI20160825BHJP
   G06F 9/445 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G06F9/06 630A
   G06F9/06 640A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-50358(P2013-50358)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-178722(P2014-178722A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】溝口 文寿
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 雅史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智昭
【審査官】 長谷川 篤男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−187456(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/120363(WO,A1)
【文献】 特開2007−066082(JP,A)
【文献】 特開2002−354142(JP,A)
【文献】 特開2003−143091(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0072423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/00
G06F 9/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なり少なくとも情報処理に係る機能を実行するためのソフトウェアが設定された複数のユニットと、これら複数のユニットに対し内部バスを介して接続され前記複数のユニットによる処理を統括的に制御する制御部とを備える複数の筐体と、
前記複数の筐体に対し通信ネットワークを介して接続され、前記複数の筐体それぞれのユニットに設定されたソフトウェアをバージョンアップするように遠隔制御する端末とを具備し、
前記端末は、
バージョンアップ指示が入力されるとき、バージョンアップ対象となるユニットの種類を特定するユニットIDをパケットのヘッダ部に挿入し、ペイロード部にバージョンアップデータを挿入したバージョンアップ要求を生成するバージョンアップ要求生成手段と、
前記バージョンアップ要求を前記通信ネットワーク上の前記複数の筐体に配信する要求配信手段とを備え、
前記複数の筐体の各々の制御部は、
前記ユニットIDと、前記筐体に対するユニットの実装位置を特定するスロットIDとを対応付けた構成情報テーブルを記憶する筐体側記憶手段と、
前記端末からのバージョンアップ要求を受信した場合、前記バージョンアップ要求に含まれるユニットIDに基づいて前記構成情報テーブルを参照し、この参照結果に基づいて該当するユニットに設定されたソフトウェアを前記バージョンアップ要求に含まれるバージョンアップデータに書き換えるバージョンアップ制御手段とを備えることを特徴とするバージョンアップシステム。
【請求項2】
前記端末は、前記筐体を特定する装置IDと、前記ユニットIDとを対応付けたテーブルを記憶する端末側記憶手段をさらに備え、
前記要求配信手段は、前記端末側記憶手段に記憶されるテーブルに基づいて、該当する筐体に前記バージョンアップ要求を配信することを特徴とする請求項1記載のバージョンアップシステム。
【請求項3】
前記複数の筐体の各々の制御部は、前記ユニットのバージョンアップの成功/失敗を示す情報に該当するユニットのスロットIDを付加して前記端末に送信する情報送信手段をさらに備え、
前記端末は、各筐体から送信された前記バージョンアップの成功/失敗を示す情報を、前記装置IDと、前記ユニットIDと、前記スロットIDとに対応付けて前記テーブルに記録する記録手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載のバージョンアップシステム。
【請求項4】
前記端末は、前記複数の筐体を分割して構成した複数のグループと、これらのグループに属する筐体との対応関係を表すデータを記憶するグループデータ記憶手段をさらに備え、
前記要求配信手段は、所定の条件に基づいて、前記グループデータ記憶手段を参照して、該当するグループに属する筐体へ前記バージョンアップ要求を配信することを特徴とする請求項1記載のバージョンアップシステム。
【請求項5】
互いに異なり少なくとも情報処理に係る機能を実行するためのソフトウェアが設定された複数のユニットと、これら複数のユニットに対し内部バスを介して接続され前記複数のユニットによる処理を統括的に制御する制御部とを備える複数の筐体と、前記複数の筐体に対し通信ネットワークを介して接続され、前記複数の筐体それぞれのユニットに設定されたソフトウェアをバージョンアップするように遠隔制御する端末とを備えるシステムで用いられるバージョンアップ方法であって、
前記端末において、バージョンアップ指示が入力されるとき、バージョンアップ対象となるユニットの種類を特定するユニットIDをパケットのヘッダ部に挿入し、ペイロード部にバージョンアップデータを挿入したバージョンアップ要求を生成し、
前記端末において、前記バージョンアップ要求を前記通信ネットワーク上の前記複数の筐体に配信し、
前記複数の筐体の各々の制御部において、前記ユニットIDと、前記筐体に対するユニットの実装位置を特定するスロットIDとを対応付けた構成情報テーブルを記憶し、
前記制御部において、前記端末からのバージョンアップ要求を受信した場合、前記バージョンアップ要求に含まれるユニットIDに基づいて前記構成情報テーブルを参照し、この参照結果に基づいて該当するユニットに設定されたソフトウェアを前記バージョンアップ要求に含まれるバージョンアップデータに書き換えることを特徴とするバージョンアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば放送局内で使用される複数の筐体内のユニットのバージョンアップを行うバージョンアップシステム及びバージョンアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、放送番組送出システムにあっては、分配器、信号切替器、各種TV方式変換器、効果器等の多数の機器で構成されている。これらの機器は、装置の小型化によりユニット単位で実現可能となり、各機器を同一筐体にユニット単位で実装することが可能となった。同一筐体にシステムで必要とする機能を持つユニットを実装することで、スペースの削減や構成追加が容易に行われるようになった。システム規模に合わせて、筐体の数を増やすことで、システムが必要とする機能実装及び系統毎の分割等、筐体数を増やすことで実施することができるが、同一筐体であっても実装されているユニット構成が違うことになる。
【0003】
また、放送番組送出システムでは、障害発生時に速やかに対応できるように、各機器の状態を監視する必要がある。このような複数の同一筐体で、筐体毎に違う機能を持つユニットで構成される装置では、これらの筐体間をイーサネット(登録商標)等の高速バスで接続して、監視を行う。
【0004】
ところで、各ユニットは、映像品質がハイビジョンからフルハイビジョン(2K×1K)、超ハイビジョン(4K×2K)、スーパーハイビジョン(8K×4K)に向け飛躍的に向上し、これに合わせて既に実装されているユニットも性能や機能向上が求められることが必須となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−354142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような装置において、業務内容の変化等に応じてユニットの機能を追加する必要が生じることがある。このような場合、ユニットのバージョンアップが必要となる。
【0007】
ところで、ユニットのバージョンアップ作業を行なう場合、該当ユニットがどの筐体に実装されているかを管理し、尚且つ実装されている筐体毎に作業を行う必要があり作業効率が悪いものとなる。
【0008】
目的は、筐体内のユニットのバージョンアップを人手を要することなく遠隔操作により迅速かつ適切に行えるようにし、これにより各ユニットのバージョンアップの作業効率を向上し得るバージョンアップシステム及びバージョンアップ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、バージョンアップシステムは、複数の筐体と、端末とを備える。複数の筐体は、互いに異なり少なくとも情報処理に係る機能を実行するためのソフトウェアが設定された複数のユニットと、これら複数のユニットに対し内部バスを介して接続され前記複数のユニットによる処理を統括的に制御する制御部とを備える。端末は、複数の筐体に対し通信ネットワークを介して接続され、複数の筐体それぞれのユニットに設定されたソフトウェアをバージョンアップするように遠隔制御する。端末は、バージョンアップ要求生成手段と、要求配信手段とを備える。バージョンアップ要求生成手段は、バージョンアップ指示が入力されるとき、バージョンアップ対象となるユニットの種類を特定するユニットIDをパケットのヘッダ部に挿入し、ペイロード部にバージョンアップデータを挿入したバージョンアップ要求を生成する。要求配信手段は、バージョンアップ要求を通信ネットワーク上の複数の筐体に配信する。複数の筐体の各々の制御部は、筐体側記憶手段と、バージョンアップ制御手段とを備える。筐体側記憶手段は、ユニットIDと、筐体に対するユニットの実装位置を特定するスロットIDとを対応付けた構成情報テーブルを記憶する。バージョンアップ制御手段は、端末からのバージョンアップ要求を受信した場合、バージョンアップ要求に含まれるユニットIDに基づいて構成情報テーブルを参照し、この参照結果に基づいて該当するユニットに設定されたソフトウェアをバージョンアップ要求に含まれるバージョンアップデータに書き換える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態におけるバージョンアップシステムの概略構成図。
図2】本第1の実施形態で扱うソフトウェアの構成を示す図。
図3】本第1の実施形態におけるバージョンアップ用端末の記憶部に記憶される管理テーブルの記憶内容の一例を示す図。
図4】本第1の実施形態におけるバージョンアップ用端末と筐体との間で送受信されるパケット構造を示す図。
図5】本第1の実施形態におけるバージョンアップ用端末と筐体との間の制御処理手順を示すシーケンス図。
図6】第2の実施形態におけるバージョンアップシステムの概略構成図。
図7】本第2の実施形態で扱うグループテーブルの記憶内容の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、例えば放送局内で使用されるバージョンアップシステムの第1の実施形態を示す概略構成図であり、AP1〜APiは例えば放送局内のスタジオや編集室等に配置される筐体、BTは例えば制御室に配置されるバージョンアップ用端末をそれぞれ示している。筐体AP1〜APiには、IPアドレスが予め割り当てられる。
【0013】
筐体AP1には、例えばファイル入出力インタフェース部、映像データ入出力部、映像データ記憶部、映像符号化部、映像復号部といった複数のユニットUN1〜UNn(nは自然数)が実装され、これらユニットUN1〜UNnに対し内部バス介して接続され、ユニットUN1〜UNnによる処理を統括的に制御する制御部CUが実装される。また、ユニットUN1〜UNnには、図2(a)に示すようなソフトウェアがセットされており、このセットされたソフトウェアに基づき、例えば映像の符号化処理、映像の復号処理といった信号処理に係る機能を実行する。
また、筐体AP2〜APiにも、複数のユニット及び制御部が実装される。
【0014】
一方、バージョンアップ用端末BTは、筐体AP1〜APiに対しイーサネット(登録商標)等の通信ネットワークNWを介して接続される。また、バージョンアップ用端末BTは、パーソナル・コンピュータにより構成され、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、CRTを用いた表示部14と、キーボード及びマウスからなる入力部15とを備えている。このうち、入力部15は、バージョンアップ用端末BTに対し種々の動作指示を入力するために使用するもので、希望するユニットのバージョンアップの実行指示の入力にも使用される。
【0015】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して筐体AP1〜APiとの間で通信を行うもので、入力部15からのバージョンアップ実行指示に応じて筐体AP1〜APiに対しバージョンアップ要求を送信すると共に、このバージョンアップ要求に応じて筐体AP1〜APiが送信するバージョンアップの成功/失敗を示す情報(ACK/NACK)を受信する。
【0016】
記憶部12には、図3に示すように、筐体AP1〜APiを特定する装置IDと、ユニットUN1〜UNnの種類を特定するユニットIDと、筐体AP1〜APiに対するユニットの実装位置を特定するスロットIDと、ユニットのバージョンアップの成功/失敗を示す情報との対応関係を表す管理テーブル121が記憶されている。この管理テーブル121は、表示部14に表示される。
【0017】
制御部13は、バージョンアップ用端末BTとしての動作を実行するものであり、バージョンアップ要求生成部131と、バージョンアップ要求配信部132と、バージョンアップ結果記録部133とを備えている。
【0018】
バージョンアップ要求生成部131は、入力部15により保守担当者からバージョンアップ指示が入力されるとき、図4(a)に示すように、バージョンアップ対象となるユニットの種類を特定するユニットID(02)をIPパケットのヘッダ部に挿入し、ペイロード部にバージョンアップデータを挿入したバージョンアップ要求を生成する。
【0019】
バージョンアップ要求配信部132は、上記管理テーブル121を参照して、該当するユニットが実装される例えば筐体AP1,AP3,AP5〜APiにバージョンアップ要求を配信する。
【0020】
バージョンアップ結果記録部133は、図4(b)に示すように、バージョンアップ要求に応じて筐体AP1〜APiが送信するバージョンアップの成功/失敗を示すIPパケット(ACK/NACK)を受信した場合に、IPパケットのヘッダ部に挿入される装置ID、ユニットID、スロットIDに対応付けて、ACK/NACKを管理テーブル121に記録する。
【0021】
一方、筐体AP1の制御部CUには、記憶部21が接続されており、さらにバージョンアップ制御部22と、バージョンアップ結果送信部23とを備えている。記憶部21には、ユニットUN1〜UNnの種類を特定するユニットIDと、筐体AP1に対するユニットの実装位置を特定するスロットIDとの対応関係を表す構成情報テーブル221が記憶されている。
【0022】
バージョンアップ制御部22は、バージョンアップ用端末BTからバージョンアップ要求を受信した場合、上記バージョンアップ要求に含まれるユニットIDに基づいて構成情報テーブル211を参照し、この参照結果に基づいて内部バスを通じて該当するユニットUNnに設定されたソフトウェアをバージョンアップ要求に含まれるバージョンアップデータに書き換える。すなわち、図2(a)の旧バージョンのソフトウェアが設定されていたユニットUNnには、図2(b)の新バージョンのソフトウェアが書き込まれる。すると、ユニットUNnでは、「機能c」(例えばSDTV(standard Definition TV)処理機能)に代わって、新たに「機能f」(例えばHDTV(High Definition TV)処理機能)、「機能x」が使用できるようになる。1回目のバージョンアップでは、「機能f」及び「機能x」は「OFF」に設定されているが、2回目のバージョンアップでは「機能f」及び「機能x」は「ON」に設定される。
【0023】
バージョンアップ結果送信部23は、バージョンアップが終了した場合に、ユニットのバージョンアップの成功/失敗を示す情報に該当するユニットのスロットID、自筐体AP1の装置IDを付加してバージョンアップ用端末BTに送信する。
【0024】
次に、上記構成における動作について説明する。
図5は、上記バージョンアップ用端末BTと筐体AP1との間の制御処理手順を示すシーケンスである。
【0025】
ユニットのバージョンアップを行う際に、保守担当者はバージョンアップ用端末BTにおいて入力部15を操作することでバージョンアップモードを設定する。バージョンアップ用端末BTの制御部13は、ステップST51aでバージョンアップモードの設定を検出すると、保守担当者によるバージョンアップデータの入力を受け付ける(ステップST51b)。
【0026】
このとき保守担当者は、例えばバージョンアップを希望するユニットID、追加希望の機能名等の必要事項を入力する。制御部13は、入力されたユニットIDと、入力された機能名を含むバージョンアップデータを表示部14に表示する。この状態で保守担当者が入力部15において確定操作を行うと、制御部13はステップST51cからステップST51dに移行し、管理テーブル121を参照して該当するユニットを実装した例えば筐体AP1,AP3,AP5〜APiにユニットID及びバージョンアップデータを含めたバージョンアップ要求を通信ネットワークNWを介して送信する。
【0027】
一方、筐体AP1の制御部CUは、バージョンアップ用端末BTから送られてくるバージョンアップ要求を受信し(ステップST52a)、バージョンアップ要求のヘッダ部に挿入されるユニットIDに基づいて構成情報テーブル211を参照して該当するユニットをチェックする(ステップST52b)。
【0028】
そして、該当するユニットUNnがバージョンアップ対象であることを判定すると、制御部CUはユニットUNnに設定済みのソフトウェアをバージョンアップ要求のペイロード部に挿入されたバージョンアップデータに書き換える処理を実行する(ステップST52c)。なお、制御部CUは、非該当ユニットUN1〜UN(n−1)に対してはバージョンアップデータの書き込みを行なわない。
【0029】
該当ユニットUNnはバージョンアップデータによりバージョンアップを行ない、バージョンアップを終了すると制御部CUにACKを返す。失敗した場合はNACKを返す。
【0030】
筐体AP1の制御部CUは、バージョンアップが成功するか否かを監視しており(ステップST52d)、バージョンアップが成功した場合に(Yes)、ACK及びユニットUNnのスロットID及び装置ID(装置1)を含めたバージョンアップ結果(IPパケット)をバージョンアップ用端末BTに送信する(ステップST52e)。一方、バージョンアップが失敗した場合に(Yes)、制御部CUはNACK及びユニットUNnのスロットID及び装置ID(装置1)を含めたバージョンアップ結果(IPパケット)をバージョンアップ用端末BTに送信する(ステップST52f)。
【0031】
バージョンアップ用端末BTは、筐体AP1からバージョンアップ結果を受信し(ステップST51e)、このバージョンアップ結果に含まれる装置ID、スロットID、バージョンアップの成功/失敗を示す情報を管理テーブル121に記録するとともに表示部14に表示させる(ステップST51f)。
【0032】
これにより、バージョンアップを失敗した場合は、バージョンアップ用端末BTに失敗した筐体とスロットとバージョンアップデータの情報を設定することができ、失敗した該当ユニットだけにバージョンアップをすることができる。
【0033】
なお、筐体AP2の制御部は、バージョンアップ要求を受信した場合に、筐体AP1と同様に内部バスにより実装ユニットをチェックするが、該当ユニットが無い為、NACKをバージョンアップ用端末BTに送信する。バージョンアップ用端末BTは、筐体AP2が非該当であることを表示する。
【0034】
以上のシステムを組むことで、実装管理とユニットのバージョンアップ作業が自動化出来る。
【0035】
以上のように上記第1の実施形態では、バージョンアップの要求から各筐体AP1〜APiにおけるユニットのバージョンアップまでの工程が、人手を要することなく全て通信ネットワークNWを介して行われることになる。このため、保守担当者によるユニットの実装管理及び手作業によるユニットのバージョンアップ作業が一切不要となる。従って、各筐体AP1〜APi内の対象となるユニットのバージョンアップを短時間の内に行うことが可能となり、バージョンアップに必要な労力を大幅に低減することが可能となる。また、バージョンアップ用端末BTから各筐体AP1〜APiに送信するバージョンアップ要求に、ヘッダ部にバージョンアップ対象となるユニットIDを挿入し、ペイロード部にバージョンアップデータを挿入した既存のIPパケットを利用して、該当するユニットのバージョンアップを行うことができるので、バージョンアップ要求を伝送するための専用信号ラインを設ける必要がなくなる。さらにバージョンアップ用端末BTの保守担当者にとってはバージョンアップを希望するユニットの種類を指定するだけでよく、これにより保守担当者のバージョンアップ要求操作を簡略化できる。
【0036】
また、上記第1の実施形態によれば、バージョンアップ用端末BTにおいて管理テーブル121に蓄積管理された装置IDとユニットIDとの対応関係を用いて、バージョンアップ用端末BTと各筐体AP1〜APiとの間の通信やバージョンアップの可否判定等が行われるので、簡単な手順で適切なバージョンアップ処理を行い得る。
【0037】
さらに上記第1の実施形態によれば、バージョンアップ用端末BTの保守担当者は少なくとも自身が要求したバージョンアップが受け付けられたか否かを確認することができる。また、その際にバージョンアップの成功/失敗を示す情報に加えて、装置ID及びスロットIDをバージョンアップ用端末BTの保守担当者に通知するようにすれば、バージョンアップが失敗した場合に保守担当者は該当する筐体AP1のどの実装位置のユニットUNnが失敗したのかを把握して適切なやり直し操作等を行うことが可能となる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、複数の筐体AP1〜APiをグループ分けし、グループごとにバージョンアップを行うようにしたものである。
【0039】
図6は、バージョンアップシステムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
【0040】
バージョンアップ用端末BTの記憶部12には、図7に示すように、通信ネットワークNW上の筐体AP1〜APiを分割して構成した複数のグループG1,G2と、これらのグループG1,G2に属する複数の筐体と、バージョンアップの実行時間帯を指定する情報との対応関係を表すグループテーブル122が記憶される。
【0041】
バージョンアップ用端末BTは、時間帯によってバージョンアップを行うグループG1,G2を切り替える。
【0042】
この状態で、バージョンアップ用端末BTは、例えば時刻が17:00になるとグループテーブル122を参照してグループG2に属する筐体AP4〜APiに対しバージョンアップ要求を送信して該当するユニットのバージョンアップを行い、9:00になるとグループテーブル122を参照してグループG1に属する筐体AP1〜AP3に対しバージョンアップ要求を送信して該当するユニットのバージョンアップを行う。このようにすることで、時間帯によってバージョンアップを行うグループを自動的に変更することが可能となる。なお、上記切替条件としては、日時情報以外に例えば通信トラフィック、障害発生等を用いることが可能である。
【0043】
また、グループG1に属する筐体AP1〜AP3を現用系とし、グループG2に属する筐体AP4〜APiを予備系として、筐体AP1〜AP3の障害発生時もしくはメンテナンス時に、予備系となる筐体AP4〜APiに切り替えるようにしてもよい。
【0044】
以上のように上記第2の実施形態によれば、複数の筐体AP1〜APiをグループ化してこのグループG1,G2と筐体AP1〜APiとを対応付けて、例えば日時や通信トラフィック等に応じて最適なグループを選択設定してバージョンアップ処理を効率良く行うことが可能となる。
【0045】
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
11…通信部、12…記憶部、13…制御部、14…表示部、121…管理テーブル、122…グループテーブル、131…バージョンアップ要求生成部、132…バージョンアップ要求配信部、133…バージョンアップ結果記録部、21…記憶部、22…バージョンアップ制御部と、23…バージョンアップ結果送信部、211…構成情報テーブル、BT…バージョンアップ用端末、AP1〜APi…筐体、UN1〜UNn…ユニット、NW…通信ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7