【実施例1】
【0026】
図1〜
図6に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第1実施例を示す。
【0027】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドであり、消火剤ガスが供給される配管(図示省略)に接続される噴射ヘッド本体2と、この噴射ヘッド本体2の内部空間に形成した段部21に着脱可能に配設した複数のオリフィス31を形成したオリフィス板3と、オリフィス31の出口部に配設した気体が流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4と、ボルト5を介して噴射ヘッド本体2に消音部材4を固定するリング部材6とで構成されている。
【0028】
この場合において、複数のオリフィス31を形成したオリフィス板3を、噴射ヘッド本体2の内部空間に形成した段部21に、例えば、段部21及びオリフィス板3の周面に形成したねじを介して、着脱可能に配設するようにしているので、複数種類のオリフィス31を形成したオリフィス板3を設置場所等の条件に応じて選択することができる。
なお、オリフィス板3を省略し、後述の第2実施例のように、噴射ヘッド本体2にオリフィス31を直接形成することもできる。
【0029】
また、オリフィス31は、オリフィス31の小径部31a側を消音部材4に面するようにすることが好ましい。
これにより、消音部材4の中心部から周辺部に向けて消火剤ガスを均一に流通させることによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0030】
多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4は、一体構造のもので構成するほか、本実施例に示すように、中心部材41、周面部材42及び中心部材41と周面部材42の端面をカバーする端面部材43からなる分割構造のもので構成することができる。
【0031】
消音部材4を構成する多孔性材料は、形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物等)からなる焼結体を好適に用いることができる。
【0032】
消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径は、全体を均質な材料で構成するほか、気体が流通する方向に変化させた材料、より具体的には、気体が流通する方向に小さくした材料で構成することができ、例えば、本実施例においては、中心部材41の空隙の孔径よりも、周面部材42及び端面部材43の空隙の孔径が小さくなるような材料で構成することができる。
このように、消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることにより、消音部材4の各部位から消火剤ガスを均一に放出することによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0033】
そして、消音部材4は、一体構造、分割構造のいずれの場合も、消音部材4の一方側の端面が噴射ヘッド本体2(本実施例においては、オリフィス板3を含む場合がある。)に接して配設されるとともに、消音部材4の周面及び他方側の端面が、ボルト5を介して噴射ヘッド本体2に消音部材4を固定するリング部材6に接する部分を除いて、大気に開放されてなるようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッド1にかかる消火剤ガスの噴射反力を、消音部材4の周面から放出される消火剤ガスの分が噴射ヘッド1の単位で相殺されることと相俟って、小さくすることができる。
【0034】
この場合において、ボルト5を、消音部材4、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の内部を貫通して噴射ヘッド本体2に螺着することにより、消音部材4を、オリフィス板3に面するようにして、噴射ヘッド本体2に固定、一体化するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、放出される消火剤ガスがボルト5に干渉することによる騒音の発生を防止することができる。
【0035】
また、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の部位42a、43aを、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積をより一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができる。
また、消音部材4を構成する多孔性材料を、板状の焼結体から切り出して作成する場合は、本実施例の形状(四角形に近似した形状)にすることによって、材料の無駄をなくすことができる利点もある。
【0036】
ところで、本実施例の噴射ヘッド1において、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとは、式1及び式2の関係を満たすものとなる。
F(kgf)=A(kgf・min/m
3)・Q(m
3/min) ・・・(式1)
A(kgf・min/m
3)≦0.2 ・・・(式2)
ここで、Aは、噴射ヘッド及び消火剤ガスの種類によって決まる定数である。
なお、上記Aの値は、好ましくは、0.15以下、より好ましくは、0.1以下となるようにする。
【0037】
図7に、3種類の噴射ヘッド(本実施例の噴射ヘッド1並びに
図13(a)及び(b)の噴射ヘッド10A、10B)について、消火剤ガスとして窒素を用いて測定した、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとの関係を示す。
図7に示す測定結果からも明らかなように、本実施例の噴射ヘッド1は、従来の噴射ヘッドと比較して、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fの大きさを、1/5〜1/10程度まで軽減することができることを確認した。
なお、消火剤ガスとして二酸化炭素やフッ素化合物を用いた場合、Aの値は、窒素>フッ素化合物>二酸化炭素の関係ではあるが、
図7と同じ傾向を示す。
これにより、噴射ヘッド1を含む配管系を設置する建造物に要求される支持力を小さくして、設置場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができる。
【0038】
ところで、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしたが、
図8〜
図12に示す、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第2実施例のように、均一な周面形状(円筒形状)とすることもできる。
なお、第2実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0039】
以上、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。