特許第5989591号(P5989591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989591ガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989591
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/02 20060101AFI20160825BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A62C31/02
   B05B1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-86448(P2013-86448)
(22)【出願日】2013年4月17日
(62)【分割の表示】特願2012-35095(P2012-35095)の分割
【原出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-169472(P2013-169472A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000168676
【氏名又は名称】株式会社コーアツ
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】藪下 真大
(72)【発明者】
【氏名】井上 康史
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−125673(JP,A)
【文献】 特開2011−255152(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01151800(EP,A1)
【文献】 米国特許第03718208(US,A)
【文献】 米国特許第03339668(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 − 99/00
B05B 1/00 − 3/18
B05B 7/00 − 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ス系消火設備消火対象区画に消火剤ガスを放出するため噴射ヘッドであって、
消火剤ガスが供給される配管に接続されるとともに出口に連なるオリフィスを有する噴射ヘッド本体と、
噴射ヘッド本体における出口のある面に接するように配設された消音手段と、
消音手段からみて噴射ヘッド本体がある側とは反対側に配置され、噴射ヘッド本体との間に消音手段を介在させた状態で、消音手段を貫通するボルトにより噴射ヘッド本体に固定される固定部材とを備え、
消音手段は、消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材を、出口から消火剤ガスが流出する方向に向かって積層してなるものであって、
消音部材は、中心部材、中心部材の外周側をカバーする周面部材及び中心部材と周面部材の端面をカバーする端面部材からなり、ボルトは周面部材及び端面部材を貫通するようにしてなり、
消音手段における噴射ヘッド本体と固定部材との間の側面及び固定部材側の端面は、固定材に接する部分を除いて気開放されている
ことを特徴とするガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
【請求項2】
前記ボルトが貫通する周面部材及び端面部材の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成してなることを特徴とする請求項1記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
【請求項3】
前記射ヘッド本体に、オリフィスを形成したオリフィス板を着脱可能に配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
【請求項4】
前記オリフィスの小径部側を消音手段に面するようにしてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
【請求項5】
前記消音部材を構成する多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
【請求項6】
消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとが、式1及び式2の関係を満たすことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
F(kgf)=A(kgf・min/m)・Q(m/min) ・・・(式1)
A(kgf・min/m)≦0.2 ・・・(式2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素、二酸化炭素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において、消火対象区画に消火剤ガスを放出するために天井や壁面等に設置される噴射ヘッドに関し、特に、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音を低減できるようにしたガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
窒素、二酸化炭素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において、消火の際にガス系消火設備が作動すると、約1分間以内(フッ素化合物の消火剤ガスの場合は10秒)で消火対象区画の消火剤ガス濃度が消火濃度に達するように、消火剤ガスが放出される。
【0003】
このとき、消火剤ガスは、消火対象区画に消火剤ガスを放出するために天井や壁面等に設置される噴射ヘッドから放出されるが、ガス系消火設備用噴射ヘッドは、図13(a)に示すような、消火剤ガスが供給される配管40に接続された噴射ヘッド10Aの出口部にオリフィス20を備え、オリフィス20から消火剤ガスを直接消火対象区画に放出するようにしたものや、図13(b)に示すような、消火剤ガスが供給される配管40に接続された噴射ヘッド10Bの出口部にオリフィス20及び円錐形状のデフレクタ(偏向部材)50を備え、オリフィス20から放出された消火剤ガスをデフレクタ(偏向部材)50により偏向させて消火対象区画に放出するようにしたもの、さらには、図13(c)に示すような、噴射ヘッド10Cの出口部にオリフィス(図示省略)及び円錐筒形状のホーン(拡散部材)60を備え、オリフィスから放出された消火剤ガスをホーン(拡散部材)60により拡散させて消火対象区画に放出するようにしたもの等が従来から汎用されてきた。
【0004】
このように、上記従来のガス系消火設備用噴射ヘッド10A、10B、10Cは、消火対象区画に通常複数個設置される各々の噴射ヘッドから同じ量の消火剤ガスが放出されるようにするために、噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量をオリフィス20によって制限するようにしているが、このため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に、高レベルの騒音(具体的には、120db以上の騒音)が発生することが知られていた。
【0005】
ところで、ガス系消火設備の作動時には、消火対象区画内に人が存在しないことが前提となっているため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音(振動)に対しては、従来全く問題視されず、何の対策も取られていなかった。
【0006】
しかしながら、最近になって、ガス系消火設備の作動時に消火対象区画内に逃げ遅れた人がいた場合の対処、また、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音が周囲にいる人に悪影響を及ぼすおそれがあること、さらには、騒音(振動)が情報通信機器等の精密機器の故障の要因になるなどの知見に基づき、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音を低減するための技術が提案されてきた(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−115255号公報
【特許文献2】特開2011−125673号公報
【特許文献3】特開2011−255152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音(「振動」を含み、以下、単に、「騒音」という。)に起因する問題に対処するための上記技術のうち、特許文献1に記載の技術は、消火設備を起動すべき場合に、消火設備の起動タイミングと、消火設備起動に伴うICT装置の動作不良発生防止のための回避措置タイミングとを連動させるもので、騒音の低減を目的とするものではなかった。
一方、特許文献2及び3に記載の技術は、また、騒音の低減を目的とするものではあるが、騒音の低減率を高めるためには、噴射ヘッドを大型化する必要があり、設置場所の制約やコスト上昇の問題があった。
【0009】
さらに、この種の噴射ヘッドにおいては、消火剤ガスが放出される際に、噴射ヘッドに消火剤ガスの大きな噴射反力がかかるため、噴射ヘッドを含む配管系を設置する建造物に十分な支持力を持たせる必要があり、この点でも、設置場所の制約やコスト上昇の問題につながっていた。
【0010】
本発明は、上記従来のガス系消火設備用噴射ヘッドの問題点に鑑み、小型の噴射ヘッドによって、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力を小さくすることができるようにしたガス系消火設備用噴射ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドは、ス系消火設備消火対象区画に消火剤ガスを放出するため噴射ヘッドであって、消火剤ガスが供給される配管に接続されるとともに出口に連なるオリフィスを有する噴射ヘッド本体と、噴射ヘッド本体における出口のある面に接するように配設された消音手段と、消音手段からみて噴射ヘッド本体がある側とは反対側に配置され、噴射ヘッド本体との間に消音手段を介在させた状態で、消音手段を貫通するボルトにより噴射ヘッド本体に固定される固定部材とを備え、消音手段は、消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材を、出口から消火剤ガスが流出する方向に向かって積層してなるものであって、消音部材は、中心部材、中心部材の外周側をカバーする周面部材及び中心部材と周面部材の端面をカバーする端面部材からなり、ボルトは周面部材及び端面部材を貫通するようにしてなり、消音手段における噴射ヘッド本体と固定部材との間の側面及び固定部材側の端面は、固定材に接する部分を除いて気開放されていることを特徴とする。
【0012】
この場合において、前記ボルトが貫通する周面部材及び端面部材の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成することができる。
【0013】
また、前記射ヘッド本体に、オリフィスを形成したオリフィス板を着脱可能に配設することができる。
【0014】
また、前記オリフィスの小径部側を消音手段に面するようにすることができる。
【0015】
また、前記消音部材を構成する消音部材多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることができる。
【0016】
また、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとが、式1及び式2の関係を満たすようにすることができる。
F(kgf)=A(kgf・min/m)・Q(m/min) ・・・(式1)
A(kgf・min/m)≦0.2 ・・・(式2)
【発明の効果】
【0017】
本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドによれば、消音部材の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力を、消音部材の周面から放出される消火剤ガスの分が噴射ヘッド単位で相殺されることと相俟って、小さくすることができる。これにより、噴射ヘッドを小型化することが可能になるとともに、噴射ヘッドを含む配管系を設置する建造物に要求される支持力を小さくして、設置場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができる。
【0018】
そして、前記ボルトを、消音部材の内部を貫通して噴射ヘッド本体に螺着することにより、消音部材の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、放出される消火剤ガスがボルトに干渉することによる騒音の発生を防止することができる。
【0019】
また、前記ボルトが貫通する周面部材及び端面部材の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成することにより、消音部材の大気に開放される消火剤ガスの放出面積をより一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができる。
【0020】
また、前記射ヘッド本体に、オリフィスを形成したオリフィス板を着脱可能に配設することにより、複数種類のオリフィスを形成したオリフィス板を条件に応じて選択することができる。
【0021】
また、前記オリフィスの小径部側を消音手段に面するようにすることにより、消音部材の中心部から周辺部に向けて消火剤ガスを均一に流通させることによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0022】
また、多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることにより、消音部材の各部位から消火剤ガスを均一に放出することによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0023】
また、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとが、式1及び式2の関係を満たすようにすることにより、噴射ヘッドを含む配管系を設置する建造物に要求される支持力を小さくして、設置場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第1実施例を示す斜め下から見た斜視図である。
図2】同正面図である。
図3】同左側面図である。
図4】同平面図である。
図5】同底面図である。
図6図4のX−X断面図である。
図7】消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとの関係を示すグラフ図である。
図8】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第2実施例を示す正面図である。
図9】同左側面図である。
図10】同平面図である。
図11】同底面図である。
図12図10のX−X断面図である。
図13】従来のガス系消火設備用噴射ヘッドを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
図1図6に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第1実施例を示す。
【0027】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドであり、消火剤ガスが供給される配管(図示省略)に接続される噴射ヘッド本体2と、この噴射ヘッド本体2の内部空間に形成した段部21に着脱可能に配設した複数のオリフィス31を形成したオリフィス板3と、オリフィス31の出口部に配設した気体が流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4と、ボルト5を介して噴射ヘッド本体2に消音部材4を固定するリング部材6とで構成されている。
【0028】
この場合において、複数のオリフィス31を形成したオリフィス板3を、噴射ヘッド本体2の内部空間に形成した段部21に、例えば、段部21及びオリフィス板3の周面に形成したねじを介して、着脱可能に配設するようにしているので、複数種類のオリフィス31を形成したオリフィス板3を設置場所等の条件に応じて選択することができる。
なお、オリフィス板3を省略し、後述の第2実施例のように、噴射ヘッド本体2にオリフィス31を直接形成することもできる。
【0029】
また、オリフィス31は、オリフィス31の小径部31a側を消音部材4に面するようにすることが好ましい。
これにより、消音部材4の中心部から周辺部に向けて消火剤ガスを均一に流通させることによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0030】
多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4は、一体構造のもので構成するほか、本実施例に示すように、中心部材41、周面部材42及び中心部材41と周面部材42の端面をカバーする端面部材43からなる分割構造のもので構成することができる。
【0031】
消音部材4を構成する多孔性材料は、形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物等)からなる焼結体を好適に用いることができる。
【0032】
消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径は、全体を均質な材料で構成するほか、気体が流通する方向に変化させた材料、より具体的には、気体が流通する方向に小さくした材料で構成することができ、例えば、本実施例においては、中心部材41の空隙の孔径よりも、周面部材42及び端面部材43の空隙の孔径が小さくなるような材料で構成することができる。
このように、消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることにより、消音部材4の各部位から消火剤ガスを均一に放出することによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0033】
そして、消音部材4は、一体構造、分割構造のいずれの場合も、消音部材4の一方側の端面が噴射ヘッド本体2(本実施例においては、オリフィス板3を含む場合がある。)に接して配設されるとともに、消音部材4の周面及び他方側の端面が、ボルト5を介して噴射ヘッド本体2に消音部材4を固定するリング部材6に接する部分を除いて、大気に開放されてなるようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッド1にかかる消火剤ガスの噴射反力を、消音部材4の周面から放出される消火剤ガスの分が噴射ヘッド1の単位で相殺されることと相俟って、小さくすることができる。
【0034】
この場合において、ボルト5を、消音部材4、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の内部を貫通して噴射ヘッド本体2に螺着することにより、消音部材4を、オリフィス板3に面するようにして、噴射ヘッド本体2に固定、一体化するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、放出される消火剤ガスがボルト5に干渉することによる騒音の発生を防止することができる。
【0035】
また、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の部位42a、43aを、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積をより一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができる。
また、消音部材4を構成する多孔性材料を、板状の焼結体から切り出して作成する場合は、本実施例の形状(四角形に近似した形状)にすることによって、材料の無駄をなくすことができる利点もある。
【0036】
ところで、本実施例の噴射ヘッド1において、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとは、式1及び式2の関係を満たすものとなる。
F(kgf)=A(kgf・min/m)・Q(m/min) ・・・(式1)
A(kgf・min/m)≦0.2 ・・・(式2)
ここで、Aは、噴射ヘッド及び消火剤ガスの種類によって決まる定数である。
なお、上記Aの値は、好ましくは、0.15以下、より好ましくは、0.1以下となるようにする。
【0037】
図7に、3種類の噴射ヘッド(本実施例の噴射ヘッド1並びに図13(a)及び(b)の噴射ヘッド10A、10B)について、消火剤ガスとして窒素を用いて測定した、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fと噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量Qとの関係を示す。
図7に示す測定結果からも明らかなように、本実施例の噴射ヘッド1は、従来の噴射ヘッドと比較して、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力Fの大きさを、1/5〜1/10程度まで軽減することができることを確認した。
なお、消火剤ガスとして二酸化炭素やフッ素化合物を用いた場合、Aの値は、窒素>フッ素化合物>二酸化炭素の関係ではあるが、図7と同じ傾向を示す。
これにより、噴射ヘッド1を含む配管系を設置する建造物に要求される支持力を小さくして、設置場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができる。
【0038】
ところで、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしたが、図8図12に示す、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第2実施例のように、均一な周面形状(円筒形状)とすることもできる。
なお、第2実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0039】
以上、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドは、小型の噴射ヘッドによって、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッドにかかる消火剤ガスの噴射反力を小さくすることができることから、窒素、二酸化炭素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備の用途に広く用いることができ、適用対象も、新設のガス系消火設備に限定されず、噴射ヘッドを交換するだけで、既設のガス系消火設備にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 噴射ヘッド
2 噴射ヘッド本体
21 段部
3 オリフィス板
31 オリフィス
4 消音部材
41 中心部材
42 周面部材
43 端面部材
5 ボルト
6 リング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13