(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989593
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】半導体製造装置用部材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
H01L21/68 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-88545(P2013-88545)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-232642(P2013-232642A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】61/639215
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高崎 秀明
(72)【発明者】
【氏名】片居木 俊
【審査官】
内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−017849(JP,A)
【文献】
特開2003−077996(JP,A)
【文献】
特開2004−171834(JP,A)
【文献】
特表2014−521213(JP,A)
【文献】
特開2006−237348(JP,A)
【文献】
特開2006−344955(JP,A)
【文献】
特開2011−222931(JP,A)
【文献】
特開2007−329008(JP,A)
【文献】
特開2001−237166(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/006407(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックと冷却装置との間にギャップを確保するためのスペーサを配置し、前記静電チャックの外周上面に載置されたクランプリングを前記冷却装置にネジで締結することにより前記静電チャックと前記冷却装置とを固定した半導体製造装置用部材であって、
前記ネジは、締結の緩みが発生するのを防止するバネ部材に挿通されて締結され、
前記バネ部材は、前記クランプリング側ではなく前記冷却装置側に装着され、
前記ギャップのうち前記静電チャックの外周に沿ったギャップ外周部には、前記静電チャックの中心から前記ネジに向かう半径方向と交差する位置にドット状の外周スペーサが配置されている、
半導体製造装置用部材。
【請求項2】
前記バネ部材は、コイルスプリングである、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項3】
前記ネジは、前記クランプリング側からネジ足が前記クランプリング及び前記冷却装置を通過し、前記冷却装置を通過した前記ネジ足に前記バネ部材を介してナットがねじ込まれている、
請求項1又は2に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項4】
前記ギャップには、熱伝導用ガスが供給される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項5】
前記外周スペーサは、前記ギャップから外側へはみ出す位置にリング状に形成されたスペーサ支持体と一体化されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項6】
前記外周スペーサは、ポリイミド樹脂製である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウエハ載置面を有する静電チャックが冷却装置上に設けられた半導体製造装置用部材が知られている。こうした半導体製造装置用部材としては、静電チャックに載置したウエハから熱を奪う目的で、ウェハの裏面にヘリウム(He)等のバックサイドガスを流すものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−315680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした半導体製造装置用部材において、静電チャックと冷却装置との間にギャップを確保するためのスペーサを配置し、静電チャックの外周上面に載置されたクランプリングを冷却装置にネジで締結することにより静電チャックと前記冷却装置とを固定したものが考えられる(ダブルギャップタイプ)。ネジで締結する際、作業者はスプリングワッシャにネジ足を通したあと、ネジ足をクランプリング側から差し入れてクランプリングを通過させ、冷却装置に設けられたネジ穴にねじ込んで締結する。スプリングワッシャは、ネジの締結の緩みが発生するのを防止する役割を果たす。
【0005】
しかし、この半導体製造装置用部材では、繰り返し使用するにしたがって均熱性がシフトすることがあった。均熱性とは、半導体製造装置用部材の評価指標の一つであり、ウエハの複数箇所の温度を測定したときの最高温度と最低温度との差である。この均熱性がシフトすると、ウエハを均一に処理することが困難になるため好ましくない。
【0006】
本発明は、こうした問題を解決することを課題とするものであり、半導体製造装置用部材において、繰り返し使用したとしても均熱性がほとんどシフトしないものを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体製造装置用部材は、
静電チャックと冷却装置との間にギャップを確保するためのスペーサを配置し、前記静電チャックの外周上面に載置されたクランプリングを前記冷却装置にネジで締結することにより前記静電チャックと前記冷却装置とを固定した半導体製造装置用部材であって、
前記ネジは、締結の緩みが発生するのを防止するバネ部材に挿通されて締結され、
前記バネ部材は、前記クランプリング側ではなく前記冷却装置側に装着されている
ものである。
【0008】
本発明の半導体製造装置用部材では、バネ部材が冷却装置側に配置されているため、バネ部材がクランプリング側に配置されている場合に比べて熱によるへたりが起きにくい。バネ部材が熱によってへたると、締め付けトルクが初期と比べて低下してしまい、静電チャックと冷却装置とを押圧する圧力が変化し、それに伴ってスペーサを介して伝わる熱量も変化し、均熱性が影響を受ける。本発明では、そのようなバネ部材の熱によるへたりが起きにくいため、繰り返し使用したとしても均熱性がほとんどシフトしない。
【0009】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記バネ部材は、コイルスプリングであることが好ましい。こうずれば、バネ部材がスプリングワッシャの場合に比べて、初期の均熱性が良好となる。スプリングワッシャの場合には、所定の締め付けトルクで締め付けたとしても、静電チャックと冷却装置とを押圧する圧力が一定になりにくい。これに対して、コイルスプリングの場合には、こうした圧力が一定になりやすく、初期の均熱性が良好となる。
【0010】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ネジは、前記クランプリング側からネジ足が前記クランプリング及び前記冷却装置を通過し、前記冷却装置を通過した前記ネジ足に前記バネ部材を介してナットがねじ込まれていてもよい。こうすれば、バネ部材を冷却装置側に配置した構造を容易に構築できる。
【0011】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ギャップには、熱伝導用ガスが供給されていてもよい。こうすれば、静電チャックと冷却装置との熱交換が熱伝導用ガスを介して行われるため、均熱性が一層向上する。
【0012】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ギャップのうち前記静電チャックの外周に沿ったギャップ外周部には、前記静電チャックの中心から前記ネジに向かう半径方向と交差する位置にドット状の外周スペーサが配置されていてもよい。こうすれば、クランプリングをネジで締結した際に、片持ち梁状に静電チャックが押されることがないため、静電チャックが破損するのを防止することができる。この場合、ドット状の外周スペーサは、ギャップから外側へはみ出す位置にリング状に形成されたスペーサ支持体と一体化されていることが好ましい。外周スペーサがドット状の場合には、外周スペーサが位置ずれを起こすことがあるが、ここではドット状の外周スペーサがリング状のスペーサ支持体と一体化されているため、そのような位置ずれを起こすことはない。また、スペーサ支持体がギャップから外側へはみ出しているため、スペーサ支持体が静電チャックと冷却装置との熱伝導を促進することはほとんどない。このため、外周スペーサが均熱性に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0013】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ギャップのうち前記静電チャックの外周に沿ったギャップ外周部には、リング状の外周スペーサが配置されていてもよい。この場合も、クランプリングをネジで締結した際に、片持ち梁状に静電チャックが押されることがないため、静電チャックが破損するのを防止することができる。また、外周スペーサがドット状の場合には、外周スペーサが位置ずれを起こすことがあるが、ここでは外周スペーサがリング状であるため、そのような位置ずれを起こすことはない。
【0014】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記外周スペーサを備えている場合、その外周スペーサは、ポリイミド樹脂製であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂製であってもよいが、ポリイミド樹脂製の方が硬いため、外周スペーサの変形が少なく、ネジが緩みにくい。その結果、均熱性がシフトしにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の好適な一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は半導体製造装置用部材10の縦断面図、
図2はクランプリング周辺の拡大図である。
【0017】
半導体製造装置用部材10は、静電チャック20の外周上面に載置されたクランプリング50を冷却装置40にネジ60で締結することにより、静電チャック20と冷却装置40とを固定したものである。
【0018】
静電チャック20は、アルミナなどのセラミックス製の円盤状の部材であり、ウエハ載置面22を有している。このウエハ載置面22には、図示しない複数のエンボス(小突起)が設けられ、このエンボスにプラズマ処理が施されるウエハWが載置される。また、静電チャック20は、内部に静電電極24、RF電極26及び抵抗発熱体(ヒーター)28を有している。
【0019】
冷却装置40は、アルミニウムなどの金属製の円盤状の部材であり、内部に冷媒を循環可能な冷媒通路42を有している。冷却装置40と静電チャック20との間には、静電チャック20の外周に沿った形状のOリング44と、Oリング44の内側に複数配置されたドット部材46とが配置され、それによってギャップ48が形成されている。Oリング44の材質は、例えばフッ素ゴムやシリコーンゴム、ドット部材の材質はポリテトラフルオロエチレンやポリイミドである。
【0020】
クランプリング50は、冷却装置40の外周部分の上面に位置している。
図2に示すように、クランプリング50の内周面には段差52が設けられ、この段差52が静電チャック20の外壁に設けられた段差23を絶縁性のリングシート56を介して上から押さえるように配置されている。また、クランプリング50は、ネジ60を挿通可能な縦穴53を有している。冷却装置40も、ネジ60を挿通可能な縦穴43を有しており、この縦穴43は冷却装置40の下面側に設けられた凹部49に連通している。ネジ60は、クランプリング側からネジ足62がクランプリング50の縦穴53及び冷却装置40の縦穴43を通過し、冷却装置40の凹部49に達したネジ足62にコイルスプリング66を介してナット68にねじ込まれている。このねじ込み作業は、所定の締め付けトルクとなるまで行われる。こうしたネジ60は、クランプリング50の周方向に沿って複数箇所(例えば3箇所とか4箇所)設けられている。静電チャック20と冷却装置40との間のうち、Oリング44の外側には、外周スペーサ58が配置されている。外周スペーサ58はリング形状やドット形状である。リングシート56や外周スペーサ58の材質は、例えばポリテトラフルオロエチレンや非付着性ポリイミド貼り合せ材料などである。
【0021】
なお、半導体製造装置用部材10は、
図1に示すように、冷却装置40の下面側から静電チャック20内の静電電極24へ電力を供給する給電端子74、冷却装置40の下面側から静電チャック20内のRF電極26へRF電圧を供給する給電端子76、冷却装置40の下面側から静電チャック20抵抗発熱体28へ電力を供給する給電端子78、冷却装置40の下面側からヘリウムガス(熱伝導用ガス)をギャップ48やウエハWの裏面側の空間へ供給するガス供給孔80,82などを備えている。
【0022】
こうした半導体製造装置用部材10は、図示しないチャンバ内に設置される。そして、ウエハ載置面22にウエハWを載置し、静電電極24にウエハWを吸着するための電圧を印加する。また、ウエハWを加熱するために抵抗発熱体28に電圧を印加する。更に、チャンバー内に原料ガスを導入すると共にRF電極26にプラズマを立てるためのRF電圧を印加することにより、プラズマを発生させてウエハWの処理を行う。このとき、ガス供給孔80,82には、ガスボンベ(図示せず)からヘリウム等のバックサイドガスが導入される。
【0023】
本実施形態の半導体製造装置用部材10によれば、繰り返し使用したとしても均熱性がほとんどシフトしない。その理由は、コイルスプリング66が冷却装置側に配置されているため、コイルスプリング66がクランプリング側に配置されている場合に比べて熱によるへたりが起きにくいからである。コイルスプリング66が熱によってへたると、締め付けトルクが初期と比べて低下してしまい、静電チャック20と冷却装置40とを押圧する圧力が変化してしまう。押圧する圧力が変化すると、それに伴って、Oリング44やドット部材46を介して伝わる熱量も変化し、均熱性が影響を受ける。
【0024】
また、コイルスプリング66を用いているため、スプリングワッシャを用いた場合に比べて、初期の均熱性が良好となる。スプリングワッシャを用いた場合には、所定の締め付けトルクで締め付けたとしても、静電チャック20と冷却装置40とを押圧する圧力が一定になりにくい。これに対して、コイルスプリングを用いた場合には、こうした圧力が一定になりやすい。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0026】
[実施例1、比較例1]
上述した半導体製造装置用部材10を作製し、これを実施例1とした。また、半導体製造装置用部材10のクランプリング周辺の構造を
図3に示すように変更したものを作製し、これを比較例1とした。
図3では、冷却装置40に凹部49を設ける変わりにネジ穴149を設けた。
図3の半導体製造装置用部材において、静電チャック20と冷却装置40とを以下の手順で固定した。すなわち、まず、ネジ60のネジ足62にスプリングワッシャ166を挿通した。続いて、ネジ足62をクランプリング50の縦穴53に挿通し、ネジ足62をネジ穴149に所定の締め付けトルクとなるまでねじ込んだ。このとき、スプリングワッシャ166は、ネジ頭64とクランプリング50とによって押しつぶされた状態となっていた。なお、実施例1も比較例1も、クランプリング50をネジ60で締結したときに静電チャック20が段差23で破損することはなかった。
【0027】
実施例1及び比較例1につき、初期状態の均熱性及び投入パワーバラツキを測定した。初期状態の均熱性は、半導体製造装置用部材10を組み立てた直後にウエハ載置面22が250℃となるように電力を供給し、電力供給開始から30分後のウエハ載置面22の最高温度と最低温度との差とした。実施例1については同じサンプルを3つ作製し(n=3)、比較例1については同じサンプルを4つ作製し(n=4)、それぞれについて測定を行った。投入パワーバラツキは、実施例1の3つ、及び比較例1の4つについて電力供給開始から30分後の電力量を計測し、それぞれの標準偏差とした。その結果を表1に示す。均熱性測定は各サンプルを赤外線カメラで撮影することにより行われた。
【0028】
【表1】
【0029】
また、実施例1の1つのサンプル及び比較例1の1つのサンプルの各々に、100℃から250℃の熱サイクルをかけ、再度均熱性を測定し、そのときの均熱性と初期の均熱性との差を均熱性シフト量とした。サイクル数は、実施例1は15サイクル、比較例1では14サイクルとした。その結果を表1に示す。
【0030】
表1から明らかなように、初期の均熱性は、比較例1に比べて実施例1の方が良好な結果が得られた。その理由は、締結の緩みが発生するのを防止するバネ部材として、比較例1ではスプリングワッシャ、実施例1ではコイルスプリングを用いたからである。スプリングワッシャを用いた場合には、所定の締め付けトルクで締め付けたとしても、静電チャックと冷却装置とを押圧する圧力が一定になりにくい。これに対して、コイルスプリングを用いた場合には、こうした圧力が一定になりやすい。押圧する圧力が変化すると、それに伴って、スペーサ(Oリングやドット部材)を介して伝わる熱量も変化し、均熱性が影響を受ける。その結果、比較例1では、実施例1よりも均熱性が悪化したと考えられる。
【0031】
また、均熱性シフト量も、比較例1に比べて実施例1の方が良好な結果が得られた。その理由は、実施例1では、バネ部材(コイルスプリング)が冷却装置側に配置されているため、バネ部材(スプリングワッシャ)がクランプリング側に配置されている比較例1に比べて熱によるへたりが起きにくかったからである。バネ部材が熱によってへたると、締め付けトルクが初期と比べて低下してしまい、静電チャックと冷却装置とを押圧する圧力が変化してしまう。押圧する圧力が変化すると、それに伴って、スペーサ(Oリングやドット部材)を介して伝わる熱量も変化し、均熱性が影響を受ける。その結果、比較例1では、実施例1よりも均熱性シフト量が大きくなったと考えられる。
【0032】
[実施例2]
図4は、実施例2の説明図であり、(a)はクランプリング周辺の縦断面の拡大図、(b)は(a)のA−A断面図である。なお、
図4(b)では、静電チャック20の外周縁を太線で示した。実施例2では、実施例1の外周スペーサ58の代わりに、ポリテトラフルオロエチレンで作製したドット状の外周スペーサ158を採用した。この外周スペーサ158は、ギャップ48のうち静電チャック20の外周に沿ったギャップ外周部48aに配置されている。具体的には、外周スペーサ158は、ギャップ外周部48aのうち静電チャック20の中心からネジ60に向かう半径方向Pと交差する位置に配置されている。この実施例2では、クランプリング50をネジ60とコイルスプリング66とナット68を用いて締結したときに静電チャック20が段差23で破損することはなかった。また、外周スペーサ158は、ドット状ではあるが、材質がやや柔らかく、ネジ締結時にわずかに変形したため、位置ずれを起こすことはなかった。また、外周スペーサ158は、ドット状のため、静電チャック20の外周部にクールスポットが発生したりすることはなかった。しかし、外周スペーサ158は、材質がやや柔らかいため、経時的に変形してネジ60がわずかに緩み、均熱性がわずかにシフトする傾向がみられた。
【0033】
[実施例3]
外周スペーサ158の材質をポリイミドに変更した以外は、実施例2(
図4)と同じものを作製した。実施例3では、クランプリング50をネジ60とコイルスプリング66とナット68を用いて締結したときに静電チャック20が段差23で破損することはなかった。また、外周スペーサ158は、ドット状のため、静電チャック20の外周部にクールスポットが発生することはなかった。また、外周スペーサ158は、材質が硬いため、経時的に変形することもなく、ネジ60の緩みにより均熱性がシフトすることもなかった。しかし、外周スペーサ158は、材質が硬くネジ締結時に変形しにくいため、位置ずれを起こすことがあった。
【0034】
[実施例4]
図5は、実施例4の説明図であり、(a)はクランプリング周辺の縦断面の拡大図、(b)は(a)のB−B断面図である。なお、
図5(b)では、静電チャック20の外周縁を太線で示した。実施例4では、実施例1の外周スペーサ58の代わりに、ポリイミドで作製したリング状の外周スペーサ258を採用した。この外周スペーサ258は、ギャップ48のうち静電チャック20の外周に沿ったギャップ外周部48aに配置されている。この実施例4では、クランプリング50をネジ60とコイルスプリング66とナット68を用いて締結したときに静電チャック20が段差23で破損することはなかった。また、外周スペーサ258は、材質が硬いため、経時的に変形することもなく、ネジ60の緩みにより均熱性がシフトすることもなかった。また、外周スペーサ258は、リング状のため、位置ずれを起こすもなかった。しかし、外周スペーサ258と静電チャック20の外周部との接触面積が増加したため、わずかにクールスポットが発生する傾向が見られた。
【0035】
[実施例5]
図6は、実施例5の説明図であり、(a)はクランプリング周辺の縦断面の拡大図、(b)は(a)のC−C断面図である。なお、
図5(b)では、静電チャック20の外周縁を太線で示した。実施例5では、実施例3のポリイミド製でドット状の外周スペーサ158を、ギャップ48から外側へはみ出す位置にリング状に形成されたスペーサ支持体159と一体化し、内歯形状のリング160とした。実施例5では、クランプリング50をネジ60とコイルスプリング66とナット68を用いて締結したときに静電チャック20が段差23で破損することはなかった。また、外周スペーサ158は、材質が硬いため、経時的に変形することもなく、ネジ60の緩みにより均熱性がシフトすることもなかった。また、ドット状の外周スペーサ158はリング状のスペーサ支持体159と一体化されているため、外周スペーサ158が位置ずれを起こすもなかった。更に、外周スペーサ158と静電チャック20の外周部との接触面積は実施例2,3と同等のため、クールスポットが発生することもなかった。実施例1〜5の中では、この実施例5がベストモードである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、半導体製造装置に利用可能であり、例えば、ウエハを支持するサセプタや静電チャック、セラミックヒータなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 半導体製造装置用部材、20 静電チャック、22 ウエハ載置面、23 段差、24 静電電極、26 RF電極、28 抵抗発熱体、40 冷却装置、42 冷媒通路、43 縦穴、44 Oリング、46 ドット部材、48 ギャップ、48a ギャップ外周部、49 凹部、50 クランプリング、52 段差、53 縦穴、56 リングシート、58 外周スペーサ、60 ネジ、62 ネジ足、64 ネジ頭、66 コイルスプリング、68 ナット、74 給電端子、76 給電端子、78 給電端子、80 ガス供給孔、149 ネジ穴、158 外周スペーサ、159 スペーサ支持体、160 内歯形状のリング、166 スプリングワッシャ、258 外周スペーサ。