(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989605
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】LNG冷熱利用発電装置
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20160825BHJP
F02G 5/04 20060101ALI20160825BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20160825BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
H02N11/00 A
F02G5/04 L
F02G5/04 B
F02B43/00 A
F02M21/02 L
F02M21/02 U
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-132342(P2013-132342)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-8569(P2015-8569A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 将吏
【審査官】
安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−247474(JP,A)
【文献】
特開2009−216222(JP,A)
【文献】
特開2006−263783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
F02B 43/00
F02G 5/04
F02M 21/02
F17C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGと大気との間で熱交換してLNGをガス化する空温式気化器と、
コージェネレーションシステムの発電部が収容された箱状パッケージ内の温められた空気を送り出す送風装置と、
を有するLNG冷熱利用発電装置であって、
前記空温式気化器は、
LNGの流路となるLNGヘッダと、
気化ガスの流路となる気化ガスヘッダと、
前記LNGヘッダと前記気化ガスヘッダとを接続し、前記LNGヘッダ側から前記気化ガスヘッダ側へ向かうLNGと大気との間で熱交換してLNGをガス化する蒸発管と、を有し、
前記蒸発管は、前記LNGヘッダ側から前記気化ガスヘッダ側へ向かって延びる板状のフィンが外表面に形成され、前記フィンの表裏両面に熱電変換素子が取り付けられ、
前記送風装置は、
前記箱状パッケージ内の空気を前記箱状パッケージの外部に送り出すファンと、
前記ファンによって送り出された前記箱状パッケージ内の温められた空気を前記熱電変換素子に向けて放出するダクトと、
を有することを特徴とするLNG冷熱利用発電装置。
【請求項2】
前記フィンの表裏両面に取り付けられた前記熱電変換素子の一方は、p型半導体であり、
前記フィンの表裏両面に取り付けられた前記熱電変換素子の他方は、n型半導体である、
ことを特徴とする請求項1に記載のLNG冷熱利用発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LNG(液化天然ガス)をガス化する空温式気化器にコージェネレーションシステムで生じた熱エネルギーを供給して発電するLNG冷熱利用発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LNGタンクから送り出されたLNGは、LNG蒸発器を通過する際に、大気又は海水等と熱交換されてガス化され、都市ガス(気化ガス)として供給先に供給されるようになっている。このLNGは、マイナス160℃の極低温であり、その発熱量の1〜2%程度の冷熱エネルギーを有している。
【0003】
そこで、
図4に示すように、LNG蒸発器100のLNG流路(エバポレータ)101内に熱電変換素子102,102を設置し、LNG流路101内を流れるLNGとLNG流路外を流れる海水の温度差を利用して熱電変換素子102,102で発電する技術が開発された(特許文献1)。
【0004】
また、
図5に示すように、LNG蒸発器110を構成するLNGヘッダ111の内壁面に熱電変換素子112を設置し、LNGヘッダ111内を流れるLNGとLNGヘッダ111外を流れる海水の温度差を利用して熱電変換素子112で発電する技術が開発された(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3571390号公報
【特許文献2】特開平10−271861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図4及び
図5に示した従来の技術は、LNGと海水との間で熱交換するようになっているため、海水が利用できない内陸地のサテライトLNG基地で利用することができない。
また、
図4及び
図5に示した従来の技術は、熱電変換素子102がLNG流路101内に設置されるか、又は熱電変換素子112がLNGヘッダ111内に設置されているため、熱電変換素子102,112のメンテナンスが容易でないという問題を有している。
【0007】
そこで、本発明は、海水が利用できない内陸地のサテライト基地で利用することができ、また、熱電変換素子のメンテナンスを容易に行うことができるLNG冷熱利用発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
図1乃至
図3に示すように、LNGと大気との間で熱交換してLNGをガス化する空温式気化器4と、コージェネレーションシステム2の発電部13が収容された箱状パッケージ14内の温められた空気を送り出す送風装置15と、を有するLNG冷熱利用発電装置1に関するものである。
【0009】
この発明において、前記空温式気化器は、(1)LNGの流路となるLNGヘッダ16と、(2)気化ガスの流路となる気化ガスヘッダ17と、(3)前記LNGヘッダ16と前記気化ガスヘッダ17とを接続し、前記LNGヘッダ16側から前記気化ガスヘッダ17側へ向かうLNGと大気との間で熱交換してLNGをガス化する蒸発管18と、を有している。また、前記蒸発管18は、前記LNGヘッダ16側から前記気化ガスヘッダ17側へ向かって延びる板状のフィン20が外表面に形成され、前記フィン20の表裏両面に熱電変換素子21が取り付けられている。また、前記送風装置15は、(1)前記箱状パッケージ14内の空気を前記箱状パッケージ14の外部に送り出すファン22と、(2)前記ファン22によって送り出された前記箱状パッケージ14内の温められた空気を前記熱電変換素子21に向けて放出するダクト23と、を有している。
【0010】
このため、前記熱電変換素子21は、高温側である大気側が前記ダクト23から放出される空気で温められ、低温側である前記フィン20側の温度と前記ダクト23から放出される空気で温められた大気側の温度との温度差で発電する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LNG蒸発器として空温式気化器が使用され、熱電変換素子が空温式気化器の蒸発管の外周に形成したフィンの表裏両面に取り付けられるようになっているため、海水が利用できない内陸地のサテライト基地で利用することができ、熱電変換素子のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
また、コージェネレーションシステムの発電部で温められた空気が、送風装置によりダクトを介して熱電変換素子に向けて放出されるので、熱電変換素子による発電量を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るLNG冷熱利用発電装置とコージェネレーションシステムとの関係を示す図である。
【
図2】本発明に係るLNG冷熱利用発電装置の空温式気化器の構造図である。
【
図3】
図2のA−A線に沿って切断した蒸発管の拡大断面図である。
【
図4】第1の従来例に係るLNG冷熱利用発電構造を示す図である。
【
図5】第2の従来例に係るLNG冷熱利用発電構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るLNG冷熱利用発電装置1とコージェネレーションシステム2との関係図である。この
図1に示すように、LNGタンク3から送り出されたLNGは、空温式気化器4を通過する際にガス化(都市ガス化)され、気化ガス(都市ガス)として供給先に供給されと共に、その気化ガスの一部がコージェネレーションシステム2を構成するガスエンジン5に供給される。
【0016】
ガスエンジン5は、気化ガスを燃焼させて作動し、発電機6を駆動することによって発電するようになっている。発電機6で発電された電気は、気化ガスの供給先に供給される。気化ガスがガスエンジン5によって燃焼させられることによって生じる排ガスは、排ガス管7を介して排熱回収装置8に送られ、熱エネルギーが回収された後、排ガス管10を介して煙突11から大気中に排出される。
【0017】
そして、外部からガスエンジン5内に送り込まれる冷却水(例えば、20℃の水)は、ガスエンジン5内で熱を吸収して温められ(例えば、40℃程度に温められ)、排水管12を介して排熱回収装置8に送られる。排熱回収装置8は、ガスエンジン5から排出された冷却水をガスエンジン5から排出された高温(例えば、400〜600℃)の排ガスで温め、ガスエンジン5から排出された冷却水を温水(例えば、60℃)として送り出す。排熱回収装置8から送り出された温水は、図示しない温水使用設備,給湯,温水吸収冷凍機等で使用される。
【0018】
ここで、コージェネレーションシステム2は、ガスエンジン5、このガスエンジン5によって駆動される発電機6、及び排熱回収装置8を有している。
そして、ガスエンジン5と発電機6は、コージェネレーションシステム2の発電部13を構成し、作動音が外部に漏れることがないように箱状パッケージ14内に収容され、その箱状パッケージ14によって外部の埃や小動物等から保護されている。この箱状パッケージ14内の空気は、ガスエンジン5と発電機6で構成される発電部13の作動時に生じる熱で温められる。そして、この箱状パッケージ14内の温められた空気は、LNG冷熱利用発電装置1の発電に利用される。
【0019】
LNG冷熱利用発電装置1は、空温式気化器4と、箱状パッケージ14内の温められた空気を空温式気化器4に向けて送り出す送風装置15と、を有している。
【0020】
図1及び
図2に示すように、空温式気化器4は、LNGの流路となるLNGヘッダ16と、気化ガスの流路となる気化ガスヘッダ17と、これらLNGヘッダ16と気化ガスヘッダ17とを接続する蒸発管18と、を有している。
【0021】
蒸発管18は、複数のフィン20が外表面に形成されている。このフィン20は、蒸発管18の外表面をLNGヘッダ16側(LNGヘッダ16の近傍)から気化ガスヘッダ17側(気化ガスヘッダ17の近傍)へ母線方向(
図2の上下方向)に沿って延びる板状体である。そして、
図3に示すように、このフィン20,20の表裏両面には、大気側の面とフィン側の面の温度差によって発電する板状の熱電変換素子21が取り付けられている。
【0022】
例えば、フィン20の表面側にp型半導体で構成される熱電変換素子21が取り付けられ、フィン20の裏面側にn型半導体で構成される熱電変換素子21が取り付けられる。又は、フィン20の表面側にn型半導体で構成される熱電変換素子21が取り付けられ、フィン20の裏面側にp型半導体で構成される熱電変換素子21が取り付けられるようにしてもよい。そして、p型半導体で構成される熱電変換素子21とn型半導体で構成される熱電変換素子21は、熱的に並列に配置され、電気的に直列に配置されている。
【0023】
また、熱電変換素子21は、フィン20の長手方向(蒸発管18の外周面の母線方向と一致する方向)の全域に取り付けるか、又はフィン20の長手方向の一部(LNGヘッダ16寄りの部分)に取り付けるようにしてもよい。なお、
図3において、フィン20は、蒸発管18の外周に一対だけ取り付けるようになっているが、これに限られず、蒸発管18の外周に放射状に3枚以上取り付けるようにしてもよく、また、蒸発管18の外周に1枚だけ取り付けるようにしてもよい。また、蒸発管18及びフィン20は、熱伝導率の良い金属で形成されている。
【0024】
図1に示すように、送風装置15は、箱状パッケージ14内の空気を箱状パッケージ18の外部に送り出すファン22と、ファン22によって送り出された箱状パッケージ14内の温められた空気を蒸発管18の熱電変換素子21に向けて放出するダクト23と、を有している。また、ダクト23内には、適宜ファン24を設置してもよい。なお、箱状パッケージ14内の空気をダクト23に送り出すファン22は、箱状パッケージ14の換気用ファンとして従来から設置されていたものを使用することができる。
【0025】
以上のような構成の本実施形態に係るLNG冷熱利用発電装置1は、LNG蒸発器として空温式気化器4が使用され、熱電変換素子21が空温式気化器4の蒸発管18の外周に形成したフィン20の表裏両面に取り付けられるようになっているため、海水が利用できない内陸地のサテライト基地で利用することができ、熱電変換素子21のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態に係るLNG冷熱利用発電装置1は、コージェネレーションシステム2の箱状パッケージ14内で温められた空気を送風装置15によって熱電変換素子21の表面に強制的に吹き付け、熱電変換素子21の大気側の表面温度を大気温度よりも高温にすることができ、熱電変換素子21の低温側(フィン20の表面側)と熱電変換素子21の高温側(大気側)との温度差を大きくすることができるため、フィン20の表面に熱電変換素子21を取り付けただけのものと比較し、発電能力を高めることができる。
【0027】
また、本実施の形態に係るLNG冷熱利用発電装置1は、従来であれば大気中に廃棄されていたであろうコージェネレーションシステム2の箱状パッケージ14内の熱を熱電変換素子21の高温側の昇温に利用することができるため、コージェネレーションシステム2のエネルギー利用効率を高めることができる。なお、従来のコージェネレーションシステムは、箱状パッケージ内の空気を換気用ファンで外部に放出し、箱状パッケージ内の空気に蓄えられた熱エネルギーを大気中に廃棄していた。
【0028】
また、本実施の形態に係るLNG冷熱利用発電装置1は、送風装置15から送り出される温風が空温式気化器4に吹き付けられるため、従来の空温式気化器で問題となっていた白霧の発生や霜の付着を抑えることができる。なお、従来の空温式気化器は、LNGと大気との熱交換により、大気中の水蒸気が冷却されることで白霧が発生したり、大気中の水分が蒸発管の外周に霜や氷として付着して機能低下が生じるという問題を有していた。
【0029】
コージェネレーションシステム2は、
図1に示したものに限定されず、例えば、ガスエンジン5と発電機6に変えて、燃料電池を発電部13として採用し、その燃料電池を箱状パッケージ14内に収容し、燃料電池の熱で温められた箱状パッケージ14内の空気を送風装置15で熱電変換素子21に吹き付けるようにしてもよい。また、コージェネレーションシステム2は、箱状パッケージ14内の温められた空気を送風装置15によって熱電変換素子21に吹き付けることができる限り、上述したガスエンジンシステム(ガスエンジンと発電機の組み合わせで発電するシステム)に代えて、ガスタービンエンジンシステムを使用したものであってもよい。そして、このガスタービンエンジンシステムの発電部が箱状パッケージ内に収容される。
【符号の説明】
【0030】
1……LNG冷熱利用発電装置
2……コージェネレーションシステム
4……空温式気化器
13……発電部
14……箱状パッケージ
15……送風装置
16……LNGヘッダ
17……気化ガスヘッダ
18……蒸発管
20……フィン
21……熱電変換素子
22……ファン
23……ダクト