(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インプリントショットを上面から見た場合に前記インプリントショットの外周部が、パターン配置可能な領域と、パターン配置不可能な領域と、を組み合わせた凹凸を有し、かつ前記インプリントショットを並べた場合に隣接することとなるインプリントショット間で、前記凹凸の凸状領域と凹状領域とが嵌め合わされてスクライブラインを構成するよう、前記インプリントショットの形状を設定することを特徴とする請求項1に記載のマスクセット設計方法。
前記凸状領域の外周部のうち、前記チップ領域と接しない領域には、前記インプリントアライメントマークおよび前記他パターンを配置しない禁止領域を設定する禁止領域設定ステップをさらに含み、
前記凸状領域のうち前記禁止領域以外の領域に前記インプリントアライメントマークおよび前記他パターンを配置することを特徴とする請求項1に記載のマスクセット設計方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るマスクセット設計方法、マスクセット設計プログラムおよびテンプレートを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るマスクセット設計装置の構成を示すブロック図である。マスクセット設計装置10Aは、インプリントを含むマスクセットを設計するコンピュータなどである。マスクセット設計装置10Aは、スクライブラインへのインプリントマーク(後述するインプリントマーク20)の配置処理、インプリントショット形状の設定処理、インプリントマーク20以外のパターン(後述する他パターン30)などの配置処理などを行う。
【0011】
マスクセット設計装置10Aが設計するマスクセットは、半導体装置を製造する際のパターン転写工程で用いられるパターンである。マスクセット設計装置10Aは、スクライブパターン(マスクセットパターン)をインプリントショット内のスクライブライン(ダイシングライン)上に配置することによって、マスクセットを設計する。スクライブラインは、半導体チップが形成される領域(回路パターン領域)間に配置される。
【0012】
マスクセット設計装置10Aに入力されるスクライブパターンは、例えば、インプリント用の位置合わせマーク(アライメントマーク)、露光用の位置合わせマーク、OL(overlay)検査マーク、TEG(Test Element Group)などである。
【0013】
インプリント時および露光時には、下層側で形成された位置合わせマークを用いて上層側のパターンの位置合わせが行われる。例えば、インプリント時には、インプリントまたは露光によって生成された下層側の位置合わせマークを用いて上層側のパターンの位置合わせが行われる。また、露光時には、インプリントまたは露光によって生成された下層側の位置合わせマークを用いて上層側のパターンの位置合わせが行われる。
【0014】
OL検査マークは、上層側パターンと下層側パターンとの間の重ね合わせずれ量を計測する際に用いられるマークである。下層側で形成されたOL検査マークと、上層側で形成されたOL検査マークと、の間の重ね合わせずれ量が測定されることによって、上下層間の重ね合わせずれ量が測定される。OL検査マークには、インプリント工程後の重ね合わせずれ検査で用いられるインプリント工程用のOL検査マークと、露光工程後の重ね合わせずれ検査で用いられる露光工程用のOL検査マークと、がある。TEGは、半導体装置の電気特性に関係のあるパラメータを測定するためのテストパターンである。
【0015】
なお、以下の説明では、スクライブパターンを、インプリントマーク20と、インプリントマーク20以外の他パターン30とに分けて説明する。インプリントマーク20は、インプリント用の位置合わせマーク(ウエハアライメントマーク)である。他パターン30は、露光用の位置合わせマーク、露光工程用のOL検査マーク、インプリント工程用のOL検査マーク、TEGなどである。他パターン30は、インプリントにミックスアンドマッチされるフォトマスクのスクライブライン上パターンである。
【0016】
マスクセット設計装置10Aは、各パターン転写工程で形成されるスクライブパターンが、他のパターン転写工程で形成されるスクライブパターンに影響を与えないよう(例えば、重なり合わないよう)、スクライブパターン(マスクセット)の各パターンを配置する。
【0017】
また、本実施形態のマスクセット設計装置10Aは、インプリント用のショット形状(インプリントショット形状)を、ジグソーパズルのピース状(ジグソー形状)に設定する。換言すると、マスクセット設計装置10Aは、スクライブラインに対してスクライブパターンを配置する領域(凸状領域)と、配置しない領域(凹状領域)とを設定する。ここでの凸状領域は、インプリントショットを上面から見た場合に、中央部の矩形領域からはみ出す部分である。また、凹状領域は、インプリントショットを上面から見た場合に、外周部のうち凸状領域の配置されていない部分である。マスクセット設計装置10Aは、隣接するインプリントショット間で凸状領域と凹状領域とが重なり、かつ凸状領域同士が重なり合わないよう、凸状領域および凹状領域を配置する。
【0018】
具体的には、マスクセット設計装置10Aは、凸状領域と凹状領域とがチップ領域を挟んで対向するよう、凸状領域および凹状領域を配置する。換言すると、マスクセット設計装置10Aは、インプリントショットの外周部が、パターン配置可能な領域と、パターン配置不可能な領域と、を組み合わせた凹凸を有するようインプリントショットの形状を設定する。さらに、マスクセット設計装置10Aは、インプリントショットを並べた場合に隣接することとなるインプリントショット間で、凹凸の凸状領域と凹状領域とが嵌め合わされてスクライブラインを構成するよう、インプリントショットの形状を設定する。
【0019】
マスクセット設計装置10Aは、スクライブパターン入力部11、チップ領域入力部12、配置条件入力部13、パターン配置部14A、インプリントマーク設定部15、出力部17を備えている。
【0020】
スクライブパターン入力部11は、スクライブパターンを入力してインプリントマーク設定部15に送る。スクライブパターン入力部11へ入力されるスクライブパターンのデータは、何れのレイヤで形成されるものであるかを示す情報、スクライブパターンの各パターンがインプリントおよびフォトリソグラフィの何れを用いて転写されるかを示す情報、パターン形状、パターン寸法などを含んでいる。
【0021】
チップ領域入力部12は、半導体チップのチップ領域を入力してパターン配置部14Aに送る。チップ領域は、半導体チップを構成する回路パターンが形成される領域(チップ寸法および1ショット内のチップ数)である。
【0022】
配置条件入力部13は、配置条件を入力してインプリントマーク設定部15に送る。配置条件は、スクライブパターンを配置する際の制約条件などである。配置条件には、例えば、以下の(配置条件1)〜(配置条件4)などが含まれる。
(配置条件1)各レイヤに設定されるインプリントマーク20の配置箇所数
(配置条件2)インプリントマーク20の配置位置に関する制約
(配置条件3)スクライブライン形状の制約
(配置条件4)他パターン30の配置位置に関する制約
【0023】
インプリントマーク設定部15は、スクライブパターンに基づいて、インプリントを行うレイヤを特定する。また、インプリントマーク設定部15は、配置条件に基づいて、インプリントを行うレイヤ毎に、インプリントマーク20の配置数などを設定する。インプリントマーク設定部15は、スクライブパターン、配置条件および設定したインプリントマーク20の配置数(N個)などを、パターン配置部14Aに送る。
【0024】
パターン配置部14Aは、配置条件およびチップ領域に基づいて、インプリントショット内における半導体チップ間のスクライブラインと、インプリントショットの外周部に配置されるスクライブラインとを設定する。
【0025】
パターン配置部14Aは、配置条件に基づいて、半導体チップ領域間のスクライブライン上、またはインプリントショットの外周部に設定されたスクライブライン上にN個のインプリントマーク20を仮配置する。なお、この後の処理においてインプリントマーク20は、必要に応じて移動させられる。したがって、この後の処理においてインプリントマーク20が移動させられない場合は、ここでのインプリントマーク20の配置が仮配置でなく本配置となる。
【0026】
パターン配置部14Aは、仮配置したインプリントマーク20がスクライブライン上に配置されるよう、インプリントショット形状(凸状領域および凹状領域)を設定する。換言すると、パターン配置部14Aは、仮配置したインプリントマーク20が凸状領域内に収まるよう、インプリントショット形状を設定する。
【0027】
パターン配置部14Aは、インプリントショット形状を設定した後、スクライブライン上で余っている領域にスクライブパターンの他パターン30を配置する。パターン配置部14Aは、設定したインプリントショットに全ての他パターン30を配置することができるか否かを確認し、配置できない場合にはインプリントマーク20または他パターン30の配置調整を行う。パターン配置部14Aは、インプリントショットに全てのスクライブパターンを配置すると、配置したデータをマスクセットとして出力部17に送る。出力部17は、マスクセットを外部装置などに出力する。
【0028】
つぎに、第1の実施形態に係るマスクセットの設計処理手順について説明する。
図2は、第1の実施形態に係るマスクセット設計処理の処理手順を示すフローチャートである。
図2の(a)は、マスクセット設計処理のうち、インプリントマーク20および他パターン30の配置処理を示し、
図2の(b)は、マスクセット設計処理のうち、インプリントマーク20または他パターン30の配置調整処理を示している。
【0029】
スクライブパターン入力部11は、スクライブパターンを入力してインプリントマーク設定部15に送る。また、配置条件入力部13は、配置条件を入力してインプリントマーク設定部15に送る。また、チップ領域入力部12は、半導体チップのチップ領域を入力してパターン配置部14Aに送る。
【0030】
インプリントマーク設定部15は、スクライブパターンに基づいて、インプリントを行うレイヤを特定する。具体的には、インプリントマーク設定部15は、スクライブパターンの中から、インプリントで形成されるインプリントマーク20を抽出し、抽出したインプリントマーク20に対応するレイヤをインプリント適用層に決定する(ステップS10)。
【0031】
インプリントマーク設定部15は、配置条件1に基づいて、インプリントマーク20の配置数(N個)などを設定する(ステップS20)。配置条件1には、インプリントマーク20の配置箇所数として、例えば8箇所または4箇所などが規定されている。インプリントマーク設定部15は、スクライブラインパターン、配置条件および設定したインプリントマーク20を、パターン配置部14Aに送る。
【0032】
図3は、インプリントマークの構成例を示す図である。インプリントマークには、1次元マークや2次元マークがある。
図3の(a)および(b)では、1次元マークの上面図を示し、
図3の(c)では、2次元マークの上面図を示している。
図3の(a)では、X方向に配列されたインプリントマーク21Xを示し、
図3の(b)では、Y方向に配列されたインプリントマーク21Yを示している。また、
図3の(c)では、X方向とY方向に配列されたインプリントマーク21XYを示している。
【0033】
インプリントマーク20の一例であるインプリントマーク21Xは、Y方向に延びるラインパターン25がY方向に平行に並ぶよう配置されている。また、インプリントマーク20の一例であるインプリントマーク21Yは、X方向に延びるラインパターン26がX方向に平行に並ぶよう配置されている。また、インプリントマーク20の一例であるインプリントマーク21XYは、Y方向に延びるラインパターン28がY方向に平行に並ぶよう配置され、X方向に延びるラインパターン27がX方向に平行に並ぶよう配置されている。
【0034】
パターン配置部14Aは、配置条件およびチップ領域に基づいて、インプリントショット内における半導体チップ間のスクライブラインと、インプリントショットの外周部に配置されるスクライブラインとを設定する。
【0035】
図4−1〜
図4−4は、インプリントショットの設定処理を説明するための図である。
図4−1〜
図4−4では、インプリントショットの上面図を示している。ここでは、4つのチップ領域31がインプリントショット1〜4内に配置される場合について説明する。
【0036】
図4−1は、インプリントショットの初期状態を示す図である。パターン配置部14Aによって、インプリントショット1内におけるチップ領域31間のスクライブライン33と、インプリントショット1の外周部に配置されるスクライブライン32とが設定される。このチップ領域31およびスクライブライン32,33が設定されている状態がインプリントショットの初期状態(インプリントショット1)である。
【0037】
この後、パターン配置部14Aは、配置条件に基づいて、スクライブライン32,33上にインプリントマーク20を仮配置する(ステップS30)。上述したステップS10〜S30がインプリントマーク20の仮配置工程である。
【0038】
図4−2は、インプリントショットに対してインプリントマークが仮配置された状態を示す図である。インプリントショット2は、インプリントマーク仮配置工程後のインプリントショットである。パターン配置部14Aは、インプリントマーク20の配置される領域(インプリントマーク配置領域33A〜33H)を、インプリントショット1に仮配置することによって、インプリントマーク20を仮配置する。
【0039】
なお、ここでは、インプリントマーク配置領域33A〜33Hがスクライブライン32からはみ出しているが、実際のインプリントマーク配置領域33A〜33Hはスクライブライン32内の領域である。
【0040】
ここでは、インプリント工程が2層のレイヤで行われる場合のインプリントマーク20の配置処理について説明する。インプリント工程が2層のレイヤで行われる場合、各インプリントマーク配置領域33A〜33Hには、2つずつのインプリントマーク20が配置される。各インプリントマーク配置領域33A〜33H内のインプリントマーク20のうち、一方が第1のレイヤのインプリントマーク20であり、他方が、第2のレイヤのインプリントマーク20である。
【0041】
パターン配置部14Aは、配置条件2に基づいて、インプリントマーク配置領域33A〜33Hを、例えばスクライブライン32上に配置する。配置条件2には、例えば、インプリントマーク20(インプリントマーク配置領域)を、インプリントショット1の4隅近傍に配置することなどが規定されている。具体的には、インプリントショット2には、インプリントマーク20を、インプリントショット1の4つの頂点から所定の距離内となる位置に配置することなどが規定されている。また、配置条件2には、インプリントマーク20間の距離(離すべき距離)などが規定されている。
【0042】
また、配置条件2には、各インプリントマーク20が、チップ領域31を介してX方向に対向する位置に配置しないこと、チップ領域31を介してY方向に対向する位置に配置しないこと、などが規定されている。換言すると、隣接するインプリントショット間でインプリントマーク20が重なり合わないよう、インプリントマーク20を配置することなどが規定されている。
【0043】
具体的には、チップ領域31およびスクライブライン33を介してX方向に対向する位置に1対のインプリントマーク20を配置した後、一方のインプリントマーク20のY座標が少し移動させられる。また、チップ領域31およびスクライブライン33を介してY方向に対向する位置に1対のインプリントマーク20を配置した後、一方のインプリントマーク20のX座標が少し移動させられる。
【0044】
例えば、パターン配置部14Aは、インプリントマーク配置領域33A,33Fを配置する場合、インプリントマーク配置領域33Aを配置した後、チップ領域31およびスクライブライン33を介してY方向に対向する位置に、インプリントマーク配置領域33Fを配置する。この場合、パターン配置部14Aは、インプリントマーク配置領域33A,33FをX座標が同じでY座標が異なるスクライブライン32上の位置に配置する。そして、パターン配置部14Aは、インプリントマーク配置領域33AのX座標とインプリントマーク配置領域33FのX座標とが少しも重ならないよう、インプリントマーク配置領域33FのX座標をずらす。これにより、
図4−2に示すような位置にインプリントマーク配置領域33A,33Fが配置される。
【0045】
パターン配置部14Aは、仮配置したインプリントマーク20がスクライブライン32上に残されるよう、インプリントショット形状(凸状領域および凹状領域)を設定する。換言すると、パターン配置部14Aは、仮配置したインプリントマーク20が凸状領域内に収まるよう、インプリントショット形状の一部に切り欠き部(凹状領域)を設ける。このとき、パターン配置部14Aは、配置条件3に基づいて、インプリントショット形状を設定する。
【0046】
配置条件3では、例えば、スクライブライン32のうち、インプリントマーク配置領域33A〜33Hの配置されている領域が凸状領域に含まれるようインプリントショット形状を設定することが規定されている。また、配置条件3では、例えば、スクライブライン32のうち、インプリントマーク配置領域33A〜33Hの配置されていない領域が凹状領域に含まれるようインプリントショット形状を設定することが規定されている。
【0047】
したがって、パターン配置部14Aは、スクライブライン32のうち、インプリントマーク配置領域33A〜33Hの配置されている領域が凸状領域に含まれ、かつインプリントマーク配置領域33A〜33Hの配置されていない領域が凹状領域に含まれるよう、インプリントショット形状を設定する(ステップS40)。このステップS40がショット形状設定工程である。
【0048】
図4−3は、インプリントショットに対してインプリントショット形状が設定された状態を示す図である。インプリントショット3は、インプリントショット形状設定工程後のインプリントショットである。
【0049】
パターン配置部14Aは、例えば、インプリントマーク配置領域33A,33Hを含む凸状領域35Aを設定し、インプリントマーク配置領域33Bを含む凸状領域35Bを設定する。また、パターン配置部14Aは、例えば、インプリントマーク配置領域33Cを含む凸状領域35Cを設定し、インプリントマーク配置領域33Dを含む凸状領域35Dを設定する。また、パターン配置部14Aは、例えば、インプリントマーク配置領域33E,33Fを含む凸状領域35Eを設定し、インプリントマーク配置領域33Gを含む凸状領域35Fを設定する。また、パターン配置部14Aは、例えば、スクライブライン32上のうち、インプリントマーク配置領域33A〜33Hが配置されていない位置に凸状領域35Gを設定する。これにより、凸状領域のうちの少なくとも1つの凸状領域には、インプリントマーク20が含まれることとなる。
【0050】
さらに、パターン配置部14Aは、スクライブライン32上のうち、凸状領域35A〜35Gの設定されなかった領域を凹状領域に設定する。これにより、
図4−3に示すような位置に凸状領域35A〜35Gが配置される。
【0051】
なお、パターン配置部14Aは、凹状領域に設定した後に凸状領域を設定してもよい。この場合、パターン配置部14Aは、スクライブライン32上のうち、インプリントマーク配置領域33A〜33Gが配置されていない位置に凹状領域を設定し、凹状領域以外の位置に凸状領域35A〜35Gを設定する。
【0052】
パターン配置部14Aは、インプリントショット形状を設定した後、スクライブパターンを用いて、スクライブライン32,33上で余っている領域に他パターン30を配置する(ステップS50)。このとき、パターン配置部14Aは、配置条件4に基づいて、他パターン30を配置する。配置条件4には、例えば、他パターン30の配置箇所数や他パターン30の配置位置に関する制約などが規定されている。
【0053】
図4−4は、インプリントショットに対して他パターンが配置された状態を示す図である。インプリントショット4は、他パターン配置工程後のインプリントショットである。パターン配置部14Aは、例えば、スクライブライン32の凸状領域上でインプリントマーク配置領域33A〜33Hの配置されていない位置、またはスクライブライン33に、他パターン30を配置する。スクライブライン32の凸状領域に他パターン30が配置された場合、凸状領域のうちの少なくとも1つの凸状領域には、インプリントマーク20と、他パターン30とが配置されることとなる。
【0054】
パターン配置部14Aは、インプリントショット3に全ての他パターン30を配置することができるか否かを確認しておく。具体的には、パターン配置部14Aは、配置の必要なスクライブパターン(インプリントマーク20および他パターン30)を全て配置したか否かを確認する(ステップS60)。
【0055】
全てのスクライブパターンを配置することができなかった場合(ステップS60、No)、パターン配置部14Aは、インプリントマーク20または他パターン30の配置調整処理(Sub1の処理)を行う。具体的には、
図2の(b)に示す処理が行われる。
【0056】
パターン配置部14Aは、現在のインプリントショット形状に対して、全てのスクライブパターンを配置できるか否かを判定する(ステップS61)。パターン配置部14Aは、現在のインプリントショット形状に対して配置できないスクライブパターンがあると判定した場合(ステップS61、No)、インプリントショット形状を修正する(ステップS62)。
【0057】
その後、パターン配置部14Aは、現在の(修正後の)インプリントショット形状に対して、全てのスクライブパターンを配置できるか否かを判定する(ステップS61)。パターン配置部14Aは、現在のインプリントショット形状に対して、全てのスクライブパターンを配置できると判定するまで、ステップS62とステップS61の処理を繰り返す。
【0058】
パターン配置部14Aは、現在のインプリントショット形状に対して、全てのスクライブパターンを配置できると判定した場合(ステップS61、Yes)、現在のインプリントショット形状に対して、インプリントマーク20の配置を調整する(ステップS63)。さらに、パターン配置部14Aは、現在のインプリントショット形状に対して、他パターン30の配置を調整する(ステップS64)。
【0059】
この後、パターン配置部14Aは、配置の必要なスクライブパターンを全て配置したか否かを確認する(ステップS60)。パターン配置部14Aは、配置の必要なスクライブパターンを全て配置できるまで、Sub1の処理(ステップS61〜S64)と、ステップS60の処理とを繰り返す。
【0060】
パターン配置部14Aは、配置の必要なスクライブパターンを全てインプリントショット3に配置することによって(ステップS60、Yes)、インプリントショット4を完成させると、マスクセットの設計を終了する。上述したステップS60およびSub1が他パターン配置工程である。
【0061】
パターン配置部14Aは、スクライブパターンを配置したデータ(インプリントショット4のデータ)をマスクセットとして出力部17に送る。出力部17は、マスクセットを外部装置などに出力する。
【0062】
レイヤ毎に半導体装置のマスクパターンを作成する際には、レイヤ毎の回路パターンがインプリントショット5(図示せず)内に配置されるとともに、レイヤ毎のスクライブパターン(インプリントマーク20および他パターン30)がインプリントショット5内のスクライブライン上に配置される。このとき、レイヤ毎のスクライブパターンは、マスクセット設計装置10Aが設計したマスクセットに基づいて配置される。具体的には、マスクセットに設定されているスクライブパターンの配置位置に基づいて、レイヤ毎のスクライブパターンが配置される。
【0063】
この後、インプリントショット5を用いて、テンプレート(原版)が作製され、テンプレートを用いて、ウエハ(基板)へのインプリントが行われる。ウエハへのインプリントは、インプリントショット毎に行われる。
【0064】
このように第1の実施形態によれば、インプリント20を仮配置した後にインプリント形状を設定し、その後、他パターン30を配置しているので、インプリントを含むマスクセットを容易に設計することが可能となる。
【0065】
また、現在のインプリントショット形状に対して配置できないスクライブパターンがある場合、パターン配置部14Aが、インプリントショット形状を修正するので、インプリントショット形状に対してスクライブパターンを容易に配置することが可能となる。
【0066】
また、配置条件1〜4に基づいてインプリントマーク20および他パターン30を配置するので、インプリントが用いられる層(インプリント層)および露光処理が用いられる層(フォトマスク層)での配置制約を考慮しつつ、インプリント層とフォトマスク層との間のミックスアンドマッチが可能なマスクセットを得ることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
つぎに、
図5および
図6を用いて第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、設計したインプリントショット4のインプリントショット形状を用いてインプリントを実行した場合に、隣接するショット間で基板上のインプリントショット同士が重ならないかを検証したうえで、マスクセットを設計する。
【0068】
なお、以下では、設計が完了したインプリントショットを、インプリントショット4として説明し、ウエハ上に配置(押印)されるインプリントショットを、インプリントショット6Xとして説明する。
【0069】
図5は、第2の実施形態に係るマスクセット設計装置の構成を示すブロック図である。
図5の各構成要素のうち
図1に示す第1の実施形態のマスクセット設計装置10Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0070】
マスクセット設計装置10Bは、マスクセット設計装置10Aと比較して、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重ならないかを検証する機能(後述のショット形状検証部18B)を有している。
【0071】
具体的には、マスクセット設計装置10Bは、スクライブパターン入力部11、チップ領域入力部12、配置条件入力部13、パターン配置部14B、インプリントマーク設定部15、出力部17、ショット形状検証部18Bを備えている。
【0072】
パターン配置部14Bは、パターン配置部14Aと同様の機能を有している。本実施形態のパターン配置部14Bは、設定したインプリントショット形状をショット形状検証部18Bに送る。また、パターン配置部14Bは、ショット形状検証部18Bから不合格の検証結果を受けると、新たなインプリントショット形状を設定する。
【0073】
ショット形状検証部18Bは、パターン配置部14Bに接続されている。インプリントショット形状に設定された凸状領域および凹状領域の形状が不適切な場合、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重なる。このため、ショット形状検証部18Bは、パターン配置部14Bが設定したインプリントショット形状を用いてウエハ上にインプリントを実行した場合に、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重なるか否かを検証する。ショット形状検証部18Bは、検証結果をパターン配置部14Bに送る。
【0074】
つぎに、第2の実施形態に係るマスクセットの設計処理手順について説明する。
図6は、第2の実施形態に係るマスクセット設計処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6の(a)は、マスクセット設計処理のうち、インプリントマーク20および他パターン30の配置処理を示し、
図6の(b)は、マスクセット設計処理のうち、インプリントショット形状の検証処理を示している。なお、
図6の(a)に示す処理手順のうち、
図2の(a)と同様の処理については、その説明を省略する。
【0075】
マスクセット設計装置10Bは、マスクセット設計装置10Aと同様の処理によって、インプリント適用層を決定し(ステップS10)、インプリントマーク20の配置数を設定する(ステップS20)。また、マスクセット設計装置10Bは、マスクセット設計装置10Aと同様の処理によって、インプリントマーク20を仮配置し(ステップS30)、インプリントショット形状を決定する(ステップS40)。
【0076】
この後、パターン配置部14Bは、設定したインプリントショット形状をショット形状検証部18Bに送る。これにより、ショット形状検証部18Bは、インプリントショット形状の検証処理(Sub2の処理)を行う。具体的には、
図6の(b)に示す処理が行われる。
【0077】
ショット形状検証部18Bは、インプリントショット形状を用いてウエハ上にインプリントを実行した場合に、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重ならないかを検証する(ステップS71)。ショット形状検証部18Bは、検証結果をパターン配置部14Bに送る。
【0078】
なお、ショット形状検証部18Bは、検証結果が不合格である場合、何れの位置が不合格となったかを示す情報(インプリントショット4のうち重なりを発生させる位置)を検証結果に含めてパターン配置部14Bに送ってもよい。
【0079】
隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重なる場合(ステップS71、No)、パターン配置部14Bは、インプリントショット形状を修正する(ステップS72)。このとき、パターン配置部14Bは、ショット形状検証部18Bから何れの位置で不合格となったかを示す情報を受け取っていれば、この情報に基づいてインプリントショット形状を修正する。
【0080】
パターン配置部14Bおよびショット形状検証部18Bは、検証結果が合格となるまでステップS72およびステップS71の処理を繰り返す。隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重ならない場合(ステップS71、Yes)、検証結果は合格となり、Sub2(ショット形状修正工程)の処理が終了する。
【0081】
この後、パターン配置部14Bは、パターン配置部14Aと同様の処理によって、スクライブライン32,33上で余っている領域に他パターン30を配置する(ステップS50)。さらに、パターン配置部14Bは、パターン配置部14Aと同様の処理によって、スクライブパターンを全て配置したか否かを確認する(ステップS60)。
【0082】
全てのスクライブパターンを配置することができなかった場合(ステップS60、No)、パターン配置部14Bは、パターン配置部14Aと同様の処理によって、インプリントマーク20または他パターン30の配置調整処理(Sub1の処理)を行う。
【0083】
本実施形態では、パターン配置部14BがSub1の処理を完了した後(ステップS64の後)、Sub2の処理が行われる。具体的には、パターン配置部14Bおよびショット形状検証部18Bによって、ステップS71,S72の処理が行われる。そして、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重ならない場合(ステップS71、Yes)、検証結果は合格となり、Sub2の処理が終了する。
【0084】
そして、パターン配置部14Bは、パターン配置部14Aと同様の処理によって、スクライブパターンを用いて、スクライブライン32,33上で余っている領域に他パターン30を配置する(ステップS50)。
【0085】
この後、パターン配置部14Aは、配置の必要なスクライブパターンを全て配置したか否かを確認する(ステップS60)。マスクセット設計装置10Bでは、配置の必要なスクライブパターンを全て配置できるまで、Sub1の処理(ステップS61〜S64)と、Sub2の処理(ステップS71,S72)と、ステップS50,S60の処理とが繰り返される。パターン配置部14Bは、配置の必要なスクライブパターンを全てインプリントショット3に配置することによって(ステップS60、Yes)、インプリントショット4を完成させると、マスクセットの設計を終了する。
【0086】
このように第2の実施形態によれば、隣接するインプリントショット6X同士が重ならないかを検証し、重なる場合には、パターン配置部14Aがインプリントショット形状を修正するので、インプリントショット形状に対してスクライブパターンを容易に配置することが可能となる。
【0087】
(第3の実施形態)
つぎに、
図7〜
図12を用いて第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、ウエハの周辺部でインプリントマーク20がウエハからはみ出すか否かを検証し、はみ出す場合には、インプリントマーク20の位置を変更する。
【0088】
図7は、第3の実施形態に係るマスクセット設計装置の構成を示すブロック図である。
図7の各構成要素のうち
図1に示す第1の実施形態のマスクセット設計装置10Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0089】
マスクセット設計装置10Cは、マスクセット設計装置10Aと比較して、ウエハの周辺部でインプリントマーク20がウエハからはみ出すか否かを検証する機能(後述する欠けショット検証部19C)を有している。
【0090】
具体的には、マスクセット設計装置10Cは、スクライブパターン入力部11、チップ領域入力部12、配置条件入力部13、パターン配置部14C、インプリントマーク設定部15、出力部17、配置情報入力部16C、欠けショット検証部19Cを備えている。
【0091】
配置情報入力部16Cは、インプリントショット6Xのウエハ上での配置(ショット配置情報)と、予めインプリントショット1内に配置しておいたインプリントマーク20の初期設定位置(マーク配置情報)とを、入力して欠けショット検証部19Cに送る。
【0092】
マーク配置情報は、初期状態のインプリントショット1にインプリントマーク20を配置した情報である。したがって、マーク配置情報には、インプリントショット1内におけるチップ領域31間のスクライブライン33と、インプリントショット1の外周部に配置されるスクライブライン32とに関する情報も含まれている。
【0093】
欠けショット検証部19Cは、ウエハの周辺部に押印されるインプリントショット6Xにおいて、ウエハからはみ出すインプリントマーク20が存在するか否かを検証する。インプリントが行われるウエハは円形状なので、ウエハの周辺部には転写パターン領域が不完全にしか含まれないインプリントショット6Xが存在する。このような、ウエハからはみ出る領域を含んだインプリントショット6Xが欠けショットである。
【0094】
欠けショット検証部19Cは、ショット配置情報とマーク配置情報とに基づいて、欠けショットの有無を検証する。さらに、欠けショット検証部19Cは、欠けショットが存在する場合には、欠けショット内のインプリントマーク20のうち、ウエハに転写されないインプリントマーク20を抽出する。欠けショット検証部19Cは、検証結果をパターン配置部14Cに送る。
【0095】
パターン配置部14Cは、パターン配置部14Aと同様の機能を有している。また、パターン配置部14Cは、欠けショット検証部19Cから検証結果(ウエハからはみ出すインプリントマーク20の位置)を受けると、ウエハからはみ出すインプリントマーク20の位置を欠けショット内の転写可能領域に移動させる。
【0096】
つぎに、第3の実施形態に係るマスクセットの設計処理手順について説明する。ここで、
図8−1および
図8−2を用いて、第3の実施形態に係るマスクセット設計処理の処理手順を説明する。
図8−1は、マスクセット設計処理のうち、パターン配置処理の処理手順を示すフローチャートである。また、
図8−2は、マスクセット設計処理のうち、欠けショットにおけるパターン配置調整処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図8−1に示す処理手順のうち、
図2の(a)または
図6の(a)と同様の処理に関しては、その説明を省略する。
【0097】
マスクセット設計装置10Cのインプリントマーク設定部15は、マスクセット設計装置10Aと同様の処理によって、インプリント適用層を決定する(ステップS10)。この後、欠けショット検証部19Cは、欠けショットの検証処理(Sub3の処理)を行う。具体的には、
図8−2に示す処理が行われる。
【0098】
配置情報入力部16Cは、ショット配置情報とマーク配置情報とを、入力して欠けショット検証部19Cに送る。欠けショット検証部19Cは、ショット配置情報とマーク配置情報とに基づいて、欠けショットの有無を検証する。なお、ショット配置情報は、マスクセット設計装置10C以外の他の装置によって生成してもよいし、欠けショット検証部19Cが生成してもよい。
【0099】
欠けショット検証部19Cがショット配置情報を生成する場合、欠けショット検証部19Cは、インプリントショット4の形状および寸法と、ウエハ上の転写可能領域の寸法とに基づいて、ショット配置情報を生成する。この場合、欠けショット検証部19Cは、インプリントショット4の形状および寸法を、パターン配置部14Cから取得する。また、ウエハ上の転写可能領域の寸法は、外部装置などから配置情報入力部16Cを介して欠けショット検証部19Cに入力してもよいし、ユーザが配置情報入力部16Cを介して欠けショット検証部19Cに入力してもよい。
【0100】
欠けショット検証部19Cは、欠けショットが存在する場合には、欠けショット内のインプリントマーク20のうち、ウエハに転写されないインプリントマーク20の数と位置を確認する(ステップS11)。
【0101】
欠けショット検証部19Cは、ウエハに転写されないインプリントマーク20の数と位置を抽出して、パターン配置部14Cに送る。パターン配置部14Cは、欠けショット内の転写可能領域にインプリントマーク20が規定数(例えば4個)以上あるか否かを判定する(ステップS12)。
【0102】
なお、インプリントマーク20の規定数は、いくつであってもよい。例えば、X方向の1次元マークおよびY方向の1次元マークを4個ずつと、2次元マークを4個と、の合計8個を規定数としてもよい。また、2次元マーク3個を規定数としてもよい。
【0103】
欠けショット内の転写可能領域にインプリントマーク20が規定数以上ない場合(ステップS12、No)、パターン配置部14Cは、欠けショット内の転写可能領域にインプリントマーク20が規定数(ここでは4個)以上になるように、インプリントショット1内でインプリントマーク20を移動させる(ステップS13)。
【0104】
具体的には、パターン配置部14Cは、ウエハ上の転写可能領域からはみ出しているインプリントマーク20が、ウエハ上の転写可能領域内に収まるようインプリントショット1内でインプリントマーク20を移動させる。なお、パターン配置部14Cは、新たなインプリントマーク20を転写可能領域内に追加することによって、インプリントショット1の転写可能領域内に規定数以上のインプリントマーク20を配置してもよい。
【0105】
図9は、ウエハからはみ出しているインプリントマークの配置調整処理を説明するための図である。ここでは、インプリントマーク20の一例であるインプリントマーク50A,50Bを、移動させることによってインプリントマーク51A,51Bを配置する場合について説明する。
【0106】
例えば、インプリントショット6Xの一例であるインプリントショット6aが欠けショットであるとする。インプリントショット6a内のインプリントマークのうち、ウエハエッジライン(転写境界)55よりも内側のインプリントマーク20は、ウエハWA上に転写され、ウエハエッジライン55よりも外側のインプリントマーク50A,50Bは、ウエハWA上に転写されない。
【0107】
この場合、パターン配置部14Cは、ウエハWAからはみ出しているインプリントマーク50A,50Bが、ウエハWA内の位置(インプリントショット6a内の転写可能領域)に収まるよう、インプリントショット1内でインプリントマーク50A,50Bを移動させる。
【0108】
ここでのパターン配置部14Cは、スクライブライン32上のインプリントマーク50Aをスクライブライン33上に移動させることによって、新たなインプリントマーク51Aを配置する。また、パターン配置部14Cは、スクライブライン32上のインプリントマーク50Bをスクライブライン32上に移動させることによって、新たなインプリントマーク51Bを配置する。
【0109】
パターン配置部14Cは、全ての欠けショットに対し、ウエハWAからはみ出しているインプリントマーク50A,50Bを移動させることによって、新たなインプリントマーク51A,51Bを配置する。換言すると、パターン配置部14Cは、全ての欠けショットに対してインプリントマークの移動処理を行う。
【0110】
パターン配置部14Cは、インプリントマーク20を移動または追加した後、欠けショットの転写可能領域内にインプリントマーク20が規定数以上あるか否かを判定する(ステップS12)。欠けショットの転写可能領域内にインプリントマーク20が規定数以上ある場合(ステップS12、Yes)、パターン配置部14Cは、ウエハ上の全インプリントショット6Xで使用されないインプリントマーク20(不要マーク)があるか否かを判定する(ステップS14)。
【0111】
ウエハ上の全インプリントショット6Xで使用されないインプリントマーク20がある場合(ステップS14、Yes)、パターン配置部14Cは、不要マークをインプリントショット4から削除する(ステップS15)。
【0112】
そして、パターン配置部14Cは、ウエハ上の全インプリントショット6Xで使用されないインプリントマーク20(不要マーク)があるか否かを判定する(ステップS14)。不要マークが無い場合(ステップS14、No)、パターン配置部14Cは、Sub3(欠けショット検証工程)の処理を終了する。そして、これにより、移動されなかったインプリントマーク20と、移動によって配置されたインプリントマーク50A,50Bとが、インプリントショット1上に配置されることとなる。これらのインプリントマーク20,50A,50Bの配置位置を初期配置として、インプリントショット4の設計が行われる。
【0113】
具体的には、第2の実施形態(
図6の(a))で説明した処理と同様の処理によって、インプリントショット4の設計が行われる。この場合、ステップS20〜S40の処理と、Sub2の処理と、ステップS50,S60の処理と、Sub1の処理とが行われる。
【0114】
なお、マスクセット設計装置10Cは、第1の実施形態(
図2の(a))で説明した処理と同様の処理によって、インプリントショット4の設計を行ってもよい。この場合、ステップS20〜S60の処理と、Sub1の処理とが行われる。
【0115】
また、欠けショット検証部19Cおよびパターン配置部14Cは、インプリントマークを仮配置した後(ステップS30の後)に、Sub3の処理を行ってもよい。この場合、
欠けショット検証部19Cは、インプリントショット2に仮配置されたインプリントマーク20の位置を初期設定位置(マーク配置情報)として、Sub3の処理を行う。
【0116】
また、ショット配置情報がマスクセット設計装置10C以外の他の装置によって生成される場合、パターン配置部14Cは、インプリントショット1内におけるチップ領域31間のスクライブライン33と、インプリントショット1の外周部に配置されるスクライブライン32とを設定する必要はない。パターン配置部14Cは、ショット配置情報から、チップ領域31およびスクライブライン32,33が設定されているインプリントショット1の情報を取得する。
【0117】
ところで、スクライブライン32に対して設定される凸状領域のうち、外周部は、テンプレート形成時の加工精度が原因で所望のテンプレートパターンが形成されない場合がある。例えば、テンプレートに加工誤差があると、インプリントした際に、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重なる場合がある。すなわち、テンプレートが所望寸法よりも大きくなってしまった場合などには、隣接するショット間でインプリントショット6X同士が重なる。
【0118】
このため、本実施形態のパターン配置部14Cは、インプリントショット6Xの外周領域に対応するインプリントショット4上での外周領域(第1のパターン配置禁止領域)には、インプリントマーク20や他パターン30を配置しない。具体的には、パターン配置部14Cは、凸状領域に第1のパターン配置禁止領域を設けたうえで、第1のパターン配置禁止領域以外の領域にインプリントマーク20や他パターン30を配置する。
【0119】
また、インプリントショット6Xのうち、上面側から見て角(凸状領域の頂点)となる領域は、テンプレートパターンをエッチングする際のエッチング加工精度が原因で、断面形状が丸みを帯びた形状やメサ形状となる場合(コーナーラウンディング)がある。
【0120】
このため、本実施形態のパターン配置部14Cは、インプリントショット6Xの角領域に対応するインプリントショット4上での角領域(第2のパターン配置禁止領域)には、インプリントマーク20や他パターン30を配置しない。具体的には、パターン配置部14Cは、凸状領域に第2のパターン配置禁止領域を設けたうえで、第2のパターン配置禁止領域以外の領域にインプリントマーク20や他パターン30を配置する。
【0121】
図10は、第1のパターン配置禁止領域が設けられた凸状領域を示す図である。
図10の(a)に示す凸状領域36Aは、
図4−3に示した凸状領域35Aに第1のパターン配置禁止領域(禁止領域41A)を設けたものである。なお、禁止領域41Aを設けることによって、インプリントマーク20や他パターン30を配置できる領域が狭くなるので、凸状領域36Aを凸状領域35Aよりも広くしてもよい。
【0122】
図10の(b)に示す凸状領域36Gは、
図4−3に示した凸状領域35Gに第1のパターン配置禁止領域(禁止領域41G)を設けたものである。なお、禁止領域41Gを設けることによって、インプリントマーク20や他パターン30を配置できる領域が狭くなるので、凸状領域36Gを凸状領域35Gよりも広くしてもよい。
【0123】
図11は、第2のパターン配置禁止領域が設けられた凸状領域を示す図である。
図11の(a)に示す凸状領域37Aは、
図4−3に示した凸状領域35Aに第1のパターン配置禁止領域(禁止領域41A)および第2のパターン配置禁止領域(禁止領域42A)を設けたものである。なお、禁止領域41A,42Aを設けることによって、インプリントマーク20や他パターン30を配置できる領域が狭くなるので、凸状領域37Aを凸状領域35Aよりも広くしてもよい。また、凸状領域37Aへは、禁止領域41Aを設けることなく禁止領域42Aだけを設けてもよい。
【0124】
図11の(b)に示す凸状領域37Gは、
図4−3に示した凸状領域35Gに禁止領域41Gおよび禁止領域42Gを設けたものである。なお、禁止領域41G,42Gを設けることによって、インプリントマーク20や他パターン30を配置できる領域が狭くなるので、凸状領域37Gを凸状領域35Gよりも広くしてもよい。また、凸状領域37Gへは、禁止領域41Gを設けることなく禁止領域42Gだけを設けてもよい。
【0125】
マスクセットが設計された後、このマスクセットを用いて半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、マスクセットを用いてレイヤ毎にフォトマスクまたはテンプレートが作製される。このとき、インプリント適用層に対しては、テンプレートが作製され、インプリント適用層以外の層(フォトリソグラフィ適用層)には、フォトマスクが作製される。
【0126】
この後、フォトリソグラフィ適用層では、レジストの塗布されたウエハにフォトマスクを用いて露光が行なわれ、その後ウエハが現像されてウエハ上にレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてエッチングが行われることにより、レジストパターンに対応する実パターンがウエハ上に形成される。
【0127】
また、インプリント適用層では、レジストの塗布されたウエハにテンプレートを用いてインプリントが行われ、これにより、ウエハ上にレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてエッチングが行われることにより、レジストパターンに対応する実パターンがウエハ上に形成される。
【0128】
半導体装置を製造する際には、上述したマスクセットが設計された後、レイヤ毎に、フォトマスクまたはテンプレートを用いたレジストパターンの形成処理、エッチング処理などが繰り返される。
【0129】
つぎに、マスクセット設計装置10A〜10Cのハードウェア構成について説明する。なお、マスクセット設計装置10A〜10Cは、それぞれ同様のハードウェア構成を有しているので、ここではマスクセット設計装置10Aのハードウェア構成について説明する。
【0130】
図12は、マスクセット設計装置のハードウェア構成を示す図である。マスクセット設計装置10Aは、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、表示部94、入力部95を有している。マスクセット設計装置10Aでは、これらのCPU91、ROM92、RAM93、表示部94、入力部95がバスラインを介して接続されている。
【0131】
CPU91は、コンピュータプログラムであるマスクセット設計プログラム97を用いてマスクセットの設計を行う。マスクセット設計プログラム97は、コンピュータで実行可能な、マスクセットを設計するための複数の命令を含むコンピュータ読取り可能かつ非遷移的な記録媒体を有するコンピュータプログラムプロダクトである。マスクセット設計プログラム97では、前記複数の命令がマスクセットを設計することをコンピュータに実行させる。
【0132】
表示部94は、液晶モニタなどの表示装置であり、CPU91からの指示に基づいて、スクライブパターン、インプリントショット1〜4などを表示する。入力部95は、マウスやキーボードを備えて構成され、使用者から外部入力される指示情報(マスクセットの設計に必要なパラメータ等)を入力する。入力部95へ入力された指示情報は、CPU91へ送られる。
【0133】
マスクセット設計プログラム97は、ROM92内に格納されており、バスラインを介してRAM93へロードされる。
図12では、マスクセット設計プログラム97がRAM93へロードされた状態を示している。
【0134】
CPU91はRAM93内にロードされたマスクセット設計プログラム97を実行する。具体的には、マスクセット設計装置10Aでは、使用者による入力部95からの指示入力に従って、CPU91がROM92内からマスクセット設計プログラム97を読み出してRAM93内のプログラム格納領域に展開して各種処理を実行する。CPU91は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM93内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。
【0135】
マスクセット設計装置10Aで実行されるマスクセット設計プログラム97は、インプリントマーク設定部15、パターン配置部14Aを含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
【0136】
なお、第2の実施形態で説明したマスクセット設計装置10Bで実行されるマスクセット設計プログラム97は、インプリントマーク設定部15、パターン配置部14B、ショット形状検証部18Bを含むモジュール構成となっている。
【0137】
また、第3の実施形態で説明したマスクセット設計装置10Cで実行されるマスクセット設計プログラム97は、インプリントマーク設定部15、パターン配置部14C、欠けショット検証部19Cを含むモジュール構成となっている。
【0138】
このように第3の実施形態によれば、ウエハからはみ出すインプリントマーク20が欠けショット内に存在するか否かを検証し、存在する場合には、パターン配置部14Cがインプリントマーク20の位置を変更するので、インプリントショット形状に対してスクライブパターンを容易に配置することが可能となる。
【0139】
また、欠けショットにおけるインプリントマーク20の位置に基づいて、インプリントマーク20を移動または追加するので、欠けショットに対してアライメント精度を向上させることが可能となる。また、インプリントマーク20を、インプリントショット1の4隅近傍に配置するので、インプリントのフルショットに対して高いアライメント精度を得ることができる。
【0140】
また、第1および第2のマーク配置禁止領域にはインプリントマーク20および他パターン30を配置しないので、テンプレート上のスクライブパターンが不完全になることを防止できる。
【0141】
従来、インプリントは、隣接ショット同士で共有部を持てず、重ね合わせが無理であった。このため、隣接ショット同士でスクライブラインを共有するショット配列のマスクセット(フォトリソグラフィ用のマスクセット)にインプリントを適用する場合、ショット形状またはショットサイズをフォトマスクとインプリントとで異なるサイズにする必要があった。また、ショット形状やショットサイズが異なればスクライブライン上のパターン配置も異なるものとなるので、単純に適用対象レイヤのみインプリントに差替えることはできなかった。
【0142】
第1〜第3の実施形態では、インプリントマーク20を仮配置した後にインプリントショット形状を設定し、その後、他パターン30を配置している。したがって、第1〜第3の実施形態によれば、フォトマスクとインプリントとを含むマスクセットを容易に設計することが可能となる。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。