(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1電圧と前記第2電圧とが異なる場合に、前記一方の故障検出スイッチと前記他方の故障検出スイッチとが共通に接続されたノードと、当該ノードに対応する電池セルとの間が断線していると判定することを特徴とする請求項1に記載の組電池モジュール。
前記制御部は、前記第1電圧と前記第2電圧とが同じである場合に、前記一方の故障検出スイッチと前記他方の故障検出スイッチとが共通に接続されたノードと、当該ノードに対応する電池セルとの間が断線していないと判定することを特徴とする請求項2に記載の組電池モジュール。
直列接続された複数の電池セルと、対応する電池セルの正極または負極に接続された一端と、対応するノードに接続された他端と、をそれぞれ有する複数の抵抗と、前記ノードの中から、何れかの電池セルの正極及び負極に対応する2つのノードを選択するマルチプレクサと、前記マルチプレクサで選択された2つのノード間の電圧を測定する電圧測定部と、対応する電池セルの正極及び負極に対応する2つのノード間にそれぞれ接続され、当該2つのノード間のオン又はオフを切り替え可能な複数の故障検出スイッチと、を備える組電池モジュールにおける断線検出方法であって、
何れかのノードに共通に接続された2つの故障検出スイッチのうち、一方の故障検出スイッチをオフに保ち、他方の故障検出スイッチをオンからオフに切り替えた時の前記一方又は他方の故障検出スイッチに接続された2つのノード間の第1電圧と、前記他方の故障検出スイッチをオフに保ち、前記一方の故障検出スイッチをオンからオフに切り替えた時の前記第1電圧が測定された2つのノード間の第2電圧と、に基づいて、断線を検出することを特徴とする断線検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る組電池モジュールの概略構成を示す図である。組電池モジュールは、n(nは2以上の整数)個の電池セルBT1〜BTnと、n+1個のセルバランス抵抗R1〜R(n+1)と、n+1個の抵抗RA1〜RA(n+1)と、n個のコンデンサC1〜Cnと、電池監視回路10と、制御部21と、を備える。
【0011】
電池セルBT1〜BTnは、直列接続され、組電池(多直列電池セル)22を構成している。電池セルBT1〜BTnは、例えばリチウムイオン電池などの二次電池である。最下位の電池セルBT1の負極と、最上位の電池セルBTnの正極は、図示しない負荷等に接続されている。
【0012】
抵抗RA1〜RA(n+1)は、対応する電池セルの正極または負極に接続された一端と、対応する電圧監視回路10の第1入力端子TA1〜TA(n+1)に接続された他端と、をそれぞれ有する。例えば、抵抗RA1は、電池セルBT1の負極に接続された一端と、対応する第1入力端子TA1に接続された他端とを有する。抵抗RA2は、電池セルBT2の負極に接続された一端と、第1入力端子TA2に接続された他端とを有する。抵抗RAnは、電池セルBTnの負極に接続された一端と、第1入力端子TAnに接続された他端とを有する。抵抗RA(n+1)は、電池セルBTnの正極に接続された一端と、第1入力端子TA(n+1)に接続された他端とを有する。抵抗RA1〜RA(n+1)の抵抗値は、任意である。
【0013】
コンデンサC1は、抵抗RA1の他端と抵抗RA2の他端との間に接続され、コンデンサCnは、抵抗RAnの他端と抵抗RA(n+1)の他端との間に接続されている。
【0014】
これらの抵抗RA1〜RA(n+1)とコンデンサC1〜CnはRCフィルタを構成し、電圧測定に不要なノイズ成分を除去する。
【0015】
セルバランス抵抗R1〜R(n+1)は、対応する電池セルの正極または負極に接続された一端と、対応する電圧監視回路10の第2入力端子T1〜T(n+1)に接続された他端と、をそれぞれ有する。セルバランス抵抗R1は、対応する電池セルBT1の負極に接続された一端と、第2入力端子T1に接続された他端とを有する。セルバランス抵抗R(n+1)は、対応する電池セルBTnの正極に接続された一端と、第2入力端子T(n+1)に接続された他端とを有する。セルバランス抵抗R1〜R(n+1)の抵抗値は、任意である。
【0016】
電圧監視回路10は、n個のセルバランススイッチSW1〜SWnと、n+2個の故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)と、マルチプレクサ11と、電圧測定部12と、シーケンサ13と、インターフェース14と、を備える。電圧監視回路10は、例えば半導体集積回路である。なお、電圧監視回路10は、制御部21を含んでも良い。この場合、電圧監視回路10は、インターフェース14を含まなくても良い。
【0017】
故障検出スイッチSWA1〜SWAnは、対応する電池セルの正極及び負極に対応する2つの第1入力端子間にそれぞれ接続されている。故障検出スイッチSWA0は、一端が接地電位および電池セルBT1の負極の電圧に接続され、他端が入力端子TA1に接続されている。また、故障検出スイッチSWA(n+1)は、一端が入力端子TA(n+1)に接続され、他端が電池セルBTnの正極の電圧に接続されている。故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)は、制御部21に制御され、オン・オフを切り替え可能である。
【0018】
セルバランススイッチSW1〜SWnは、対応する電池セルの正極及び負極に対応する2つの第2入力端子間にそれぞれ接続されている。セルバランススイッチSW1〜SWnは、制御部21に制御され、オン・オフを切り替え可能である。
【0019】
セルバランス抵抗R1〜R(n+1)とセルバランススイッチSW1〜SWnは、セルバランス部として機能する。セルバランス部は、任意のセルバランススイッチがオンすることで、任意の電池セルから対応する2つのセルバランス抵抗に電流を流し、これにより各電池セルのエネルギーを均等化するセルバランスを行う。
【0020】
マルチプレクサ11は、故障検出スイッチSWA1〜SWAnの両端(ノードNA1〜NA(n+1))が接続されている。マルチプレクサ11は、シーケンサ13の制御に応じて、ノードNA1〜NA(n+1)の中から、2つのノードを選択する。
【0021】
電圧測定部12は、マルチプレクサ11で選択された2つのノード間の電圧を測定し、測定結果をインターフェース14に出力する。
【0022】
シーケンサ13は、予め定められた順番で2つのノードが選択されるよう、マルチプレクサ11を制御する。
【0023】
制御部21は、セルバランススイッチSW1〜SWnと、故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)と、マルチプレクサ11を制御する。また、制御部21は、電圧測定部12における測定結果を受け取り、この測定結果に基づいて外部の充電回路等(図示せず)を制御、および、断線検出を行う。
【0024】
本実施形態では、セルバランスを行う電流経路と電圧測定の経路とが分離されている事により、セルバランススイッチSW1〜SWnのオン・オフを切り替えても電圧測定には影響を与えない。すなわち、セルバランススイッチSW1〜SWnのオン又はオフに拘らず電圧測定を行う事ができる。
【0025】
(断線検出方法)
次に、
図2〜
図5を参照して、組電池モジュールにおける断線検出方法について説明する。断線とは、電池セル間の接続ノードと入力端子TAとを結ぶ配線が断線していることを表す。
図2は、第1の実施形態に係る組電池モジュールの断線検出方法を説明するための図である。具体的には、配線Wk(kは2からnの間の任意の整数)の断線検出方法について説明する。
図2は、隣り合う2つの電池セルBT(k−1),BTkと、これら2つの電池セルに関連する構成とを示している。
【0026】
制御部21は、何れかの入力端子TAkに共通に接続された2つの故障検出スイッチSWA(k−1),SWAkのうち、他方の故障検出スイッチSWAkをオフに維持し、一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオン及びオフに切り替えた時のノードNA(k−1)、NAk間及びノードNAk、NA(k+1)間の電圧を測定する。また、一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオフに維持し、他方の故障検出スイッチSWAkをオン及びオフに切り替えた時のノードNA(k−1)、NAk間及びノードNAk、NA(k+1)間の電圧を測定する。以下の説明では、ノードNA(k−1),NAk間及びノードNAk,NA(k+1)間における、故障検出スイッチSWA(k−1)をオンからオフに切り替えた時の電圧を第1電圧とし、故障検出スイッチSWAkをオンからオフに切り替えた時の電圧を第2電圧とする。
【0027】
また、制御部21は、一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオンからオフに切り替える前後において他方の故障検出スイッチSWAkをオフに保ち、他方の故障検出スイッチSWAkをオンからオフに切り替える前後において一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオフに保つ。
【0028】
また、制御部21は、故障検出時には、セルバランススイッチSW1〜SWnをオフにすると共に、故障検出スイッチSWA(k−2)及びSWA(k+1)(図示せず)をオフにする。
【0029】
図3は、正常な場合に測定される電圧を示す図である。
図4は、断線している場合に測定される電圧を示す図である。
図5は、電池セルBT(k−1)が0Vの場合に測定される電圧を示す図である。
【0030】
(手順1)
一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオンにして、他方の故障検出スイッチSWAkをオフにする。このとき、断線が発生していない正常状態では、電池セルBT(k−1)、抵抗RAk、入力端子TAk、故障検出スイッチSWA(k−1)、入力端子TA(k−1)、抵抗RA(k−1)の経路1で電流が流れる。
【0031】
故障検出スイッチSWA(k−1)のオン抵抗を無視すると、ノードNA(k−1),NAkの電圧は等しく、電池セルBT(k−1)の負極側の電位を基準とすると、
図3に示すように、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は0Vとなり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は電池セルBTkの電圧と電池セルBT(k−1)の半分の電圧との和となる。
【0032】
これに対し、配線Wkに断線が発生している状態では、電流が流れない。従って、断線が発生していた場合、
図4に示すように、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は0Vとなり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は電池セルBT(k−1)の電圧と電池セルBTkの電圧との和となる。
【0033】
(手順2)
次に、故障検出スイッチSWA(k−1),SWAkをともにオフにする。
【0034】
断線が発生していない正常状態では、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は電池セルBT(k−1)の電圧となり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は電池セルBTkの電圧となる。
【0035】
これに対し、断線が発生していた場合、ノードNAkはハイインピーダンス状態となり、周辺に接続された部品、配線等の寄生容量により、直前状態の電圧が維持される。つまり、電池セルBT(k−1)の負極側の電位を基準として、ノードNAkにおける電圧は0Vを維持し、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は0Vとなる。一方、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は、電池セルBT(k−1)と電池セルBTkとの電圧の和となる。従って、ノードNA(k−1),NAk間の電圧が0Vのとき、異常があると判断することができる。
【0036】
但し、この状態では、断線しておらず電池セル自体に異常があるのか、あるいは断線しているかを判別できない。これは、
図5に示すように、断線しておらず電池セルBT(k−1)自体の電圧が0Vである場合にも、ノードNA(k−1),NAk間の第1電圧として0Vが測定されるためである。そのため、これを判別するために、更に次の操作を続けて行う。
【0037】
(手順3)
次に、一方の故障検出スイッチSWA(k−1)をオフにして、他方の故障検出スイッチSWAkをオンにする。このとき、断線が発生していない正常状態では、電池セルBTk、抵抗RA(k+1)、入力端子TA(k+1)、故障検出スイッチSWAk、入力端子TAk、抵抗RAkの経路2で電流が流れる。
【0038】
故障検出スイッチSWAkのオン抵抗を無視すると、2つのノードNAk,NA(k+1)の電圧は等しく、電池セルBT(k−1)の負極側の電位を基準とすると、
図3に示すように、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は電池セルBT(k−1)の電圧と電池セルBTkの電圧の半分の電圧との和となり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は0Vとなる。
【0039】
これに対し、配線Wkに断線が発生している状態では、電流が流れない。従って、断線が発生していた場合、
図4に示すように、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は0Vとなり、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は、電池セルBT(k−1)の電圧と、電池セルBTkの電圧との和となる。
【0040】
(手順4)
最後に、故障検出スイッチSWA(k−1),SWAkをオフにする。
【0041】
断線が発生していない正常状態では、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は電池セルBT(k−1)の電圧となり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は電池セルBTkの電圧となる。即ち、これらの電圧は、手順2で得られる電圧と等しい。
【0042】
これに対し、断線が発生していた場合、ノードNAkはハイインピーダンス状態となり、周辺に接続された部品、配線等の寄生容量により、直前状態の電圧が維持される。つまり、電池セルBT(k−1)の負極側の電位を基準として、ノードNAkにおける電圧は、電池セルBT(k−1)と電池セルBTkとの電圧の和を維持する。従って、この状態で電圧測定が行われた場合、ノードNA(k−1),NAk間の電圧は電池セルBT(k−1)の電圧と電池セルBTkの電圧との和となり、ノードNAk,NA(k+1)間の電圧は0Vとなる。
【0043】
このように、断線が発生していた場合には、手順2と異なる測定結果を手順4で得る事ができる。一方、断線が発生していない場合、即ち正常である場合と電池セル自体の異常である場合には、手順2と手順4とにおいて得られる測定結果は同じである。そのため、本実施形態では、電池セル自体の異常であるか、あるいは断線故障であるかを判別することが出来る。
【0044】
即ち、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが異なる場合に、故障検出スイッチSWA(k−1),SWAkに接続されたノードNAkと、電池セルBT(k−1),BTkとの間に接続された配線Wkが断線していると判定する。
【0045】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが同じである場合に、ノードNAkと、電池セルBT(k−1),BTkとの間に接続された配線Wkは断線していないと判定する。
【0046】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とがゼロである場合に、電池セルが故障していると判定する。
【0047】
ここで、配線W1,W(n+1)の断線検出方法について説明する。
【0048】
配線W1の断線検出を行う場合、制御部21は、入力端子TA1に共通に接続された2つの故障検出スイッチSWA0,SWA1のうち、他方の故障検出スイッチSWA1をオフに維持し、一方の故障検出スイッチSWA0をオン及びオフに切り替えた時のノードNA1,NA2間の電圧を測定する。また、一方の故障検出スイッチSWA0をオフに維持し、他方の故障検出スイッチSWA1をオン及びオフに切り替えた時のノードNA1,NA2間の電圧を測定する。以下の説明では、ノードNA1,NA2間における、故障検出スイッチSWA0をオンからオフに切り替えた時の電圧を第1電圧とし、故障検出スイッチSWA1をオンからオフに切り替えた時の電圧を第2電圧とする。
【0049】
(手順1)
故障検出スイッチSWA0をオンにして、故障検出スイッチSWA1をオフにする。このとき、断線が発生していない正常状態及び断線が発生していた場合において、ノードNA1の電圧は電池セルBT1の負極の電圧(接地電圧)となるため、ノードNA1,NA2間の電圧は、電池セルBT1の電圧となる。
【0050】
(手順2)
次に、故障検出スイッチSWA0,SWA1をともにオフにする。
【0051】
断線が発生していない正常状態では、ノードNA1,NA2間の第1電圧は、電池セルBT1の電圧となる。
【0052】
これに対し、断線が発生していた場合、手順1以降、ハイインピーダンスのノードNA1の電圧は電池セルBT1の負極の電圧と等しくなっているため、ノードNA1,NA2間の第1電圧は、電池セルBT1の電圧となる。
【0053】
(手順3)
次に、故障検出スイッチSWA0をオフにして、故障検出スイッチSWA1をオンにする。このとき、断線が発生していない正常状態及び断線が発生していた場合において、オンしているノードNA1,NA2間の電圧は0Vとなる。
【0054】
(手順4)
最後に、故障検出スイッチSWA0,SWA1をオフにする。
【0055】
断線が発生していない正常状態では、ノードNA1,NA2間の第2電圧は、電池セルBT1の電圧となる。即ち、第2電圧は、手順2で得られた第1電圧と等しい。
【0056】
これに対し、断線が発生していた場合、手順3以降、ハイインピーダンスのノードNA1の電圧はノードNA2の電圧と等しくなっているため、ノードNA1,NA2間の第2電圧は0Vとなる。即ち、第2電圧は、手順2で得られた第1電圧と異なる。
【0057】
従って、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが異なる場合に、ノードNA1と電池セルBT1の負極との間に接続された配線W1が断線していると判定する。
【0058】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが同じである場合に、ノードNA1と電池セルBT1の負極との間に接続された配線W1は断線していないと判定する。
【0059】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とがゼロである場合に、電池セルBT1が故障していると判定する。
【0060】
一方、配線W(n+1)の断線検出を行う場合、制御部21は、入力端子TA(n+1)に共通に接続された故障検出スイッチSWAn,SWA(n+1)のうち、他方の故障検出スイッチSWAnをオフに維持し、一方の故障検出スイッチSWA(n+1)をオン及びオフに切り替えた時のノードNAn,NA(n+1)間の電圧を測定する。また、一方の故障検出スイッチSWA(n+1)をオフに維持し、他方の故障検出スイッチSWAnをオン及びオフに切り替えた時のノードNAn,NA(n+1)間の電圧を測定する。以下の説明では、ノードNAn,NA(n+1)間における、故障検出スイッチSWA(n+1)をオンからオフに切り替えた時の電圧を第1電圧とし、故障検出スイッチSWAnをオンからオフに切り替えた時の電圧を第2電圧とする。
【0061】
(手順1)
故障検出スイッチSWA(n+1)をオンにして、故障検出スイッチSWAnをオフにする。このとき、断線が発生していない正常状態及び断線が発生していた場合において、ノードNA(n+1)の電圧は電池セルBTnの正極の電圧(電源電圧)となるため、ノードNAn,NA(n+1)間の電圧は、電池セルBTnの電圧となる。
【0062】
(手順2)
次に、故障検出スイッチSWAn,SWA(n+1)をともにオフにする。
【0063】
断線が発生していない正常状態では、ノードNAn,NA(n+1)間の第1電圧は、電池セルBTnの電圧となる。
【0064】
これに対し、断線が発生していた場合、手順1以降、ハイインピーダンスのノードNA(n+1)の電圧は電池セルBTnの正極の電圧と等しくなっているため、ノードNAn,NA(n+1)間の第1電圧は電池セルBTnの電圧となる。
【0065】
(手順3)
次に、故障検出スイッチSWA(n+1)をオフにして、故障検出スイッチSWAnをオンにする。このとき、断線が発生していない正常状態及び断線が発生していた場合において、オンしているノードNAn,NA(n+1)間の電圧は0Vとなる。
【0066】
(手順4)
最後に、故障検出スイッチSWAn,SWA(n+1)をオフにする。
【0067】
断線が発生していない正常状態では、ノードNAn,NA(n+1)間の第2電圧は、電池セルBTnの電圧となる。即ち、第2電圧は、手順2で得られた第1電圧と等しい。
【0068】
これに対し、断線が発生していた場合、手順3以降、ハイインピーダンスのノードNA(n+1)の電圧はノードNAnの電圧と等しくなっているため、ノードNAn,NA(n+1)間の第2電圧は0Vとなる。即ち、第2電圧は、手順2で得られた第1電圧と異なる。
【0069】
従って、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが異なる場合に、ノードNA(n+1)と電池セルBTnの正極との間に接続された配線W(n+1)が断線していると判定する。
【0070】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とが同じである場合に、ノードNAnと電池セルBTnの正極との間に接続された配線W(n+1)は断線していないと判定する。
【0071】
また、制御部21は、第1電圧と第2電圧とがゼロである場合に、電池セルBTnが故障していると判定する。
【0072】
なお、配線Wに接続された2つの故障検出スイッチSWAに対して手順1〜手順4を実行することで、配線Wに対して断線検出を行うことができる。なお、手順を入れ替えてもよく、即ち手順3,4,1,2の順で実行しても同様に断線検出を行うことができる。
【0073】
また、断線検出は、電源オン時に実行してもよく、定期的に実行してもよい。また、ある電池セルの電圧が0Vと測定された場合に断線検出を実行し、断線しているか、あるいは、その電池セルの電圧が0Vであるかを特定するために実行してもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)を設け、ノードNAkに共通に接続された故障検出スイッチSWA(k−1),SWAkのオン・オフを制御して測定した、第1電圧と、第2電圧と、に基づいて、断線を検出するようにしている。
【0075】
従って、第1電圧と第2電圧とが異なる場合に断線していると判定することにより、電池セルBT(k−1),BTkが正常であるか否かに拘らず、断線を精度良く検出できる。
【0076】
なお、制御部21は、断線を検出した場合には以降の電池セルBT1〜BTnの充電を停止するよう、図示しない充電回路等を制御してもよい。これにより、断線のために電圧を測定できない電池セルが過充電されることを防止できる。
【0077】
(第1の実施形態の変形例)
1つのノードに共通に接続された2つの故障検出スイッチの複数の組に対して、各組に並行して手順1から手順4を実行してもよい。この場合、あるノードに共通に接続された隣り合う2つの故障検出スイッチと、他のノードに共通に接続された隣り合う2つの故障検出スイッチとの間には、手順1から手順4においてオフを保つ少なくとも1つの故障検出スイッチが介在されていてもよい。
【0078】
また、手順1及び手順3のそれぞれにおいて故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)が交互にオンになるように、1つのノードに共通に接続された2つの故障検出スイッチの複数の組に対して、各組に並行して手順1から手順4を実行してもよい。つまり、手順1及び手順3において、故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)のうち同一のノードに接続された2つが同時にオンにならない。例えば、nを偶数として、手順1において故障検出スイッチSWA0及び偶数番目の故障検出スイッチSWA2,SWA4,・・・,SWA(n−2),SWAnをオンにして、他の奇数番目の故障検出スイッチSWA1,SWA3,・・・,SWA(n−1),SWA(n+1)をオフにして、隣り合うノード間の各電圧を測定する。次に、手順2において全ての故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)をオフにして隣り合うノード間の各電圧を測定する。次に、手順3において故障検出スイッチSWA0及び偶数番目の故障検出スイッチSWA2,SWA4,・・・,SWA(n−2),SWAnをオフにして、他の奇数番目の故障検出スイッチSWA1,SWA3,・・・,SWA(n−1),SWA(n+1)をオンにして、隣り合うノード間の各電圧を測定する。最後に、手順4において全ての故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)をオフにして隣り合うノード間の各電圧を測定する。
【0079】
この変形例によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、故障検出スイッチSWA0〜SWA(n+1)を備えることにより、断線を精度良く検出できる。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。