特許第5989623号(P5989623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989623
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20160825BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20160825BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H02M7/48 N
   H02M7/12 X
   H02J9/06 120
   H02J9/06 160
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-210137(P2013-210137)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-76917(P2015-76917A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 勝
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072068(JP,A)
【文献】 特開2010−068677(JP,A)
【文献】 特開2000−152521(JP,A)
【文献】 特開2009−247186(JP,A)
【文献】 特開2006−320103(JP,A)
【文献】 米国特許第6134124(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
H02M 7/12
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源から供給される交流電力を受ける1次巻線と、互いに絶縁された複数の2次巻線とを含む変圧器と、
それぞれ前記複数の2次巻線に対応して設けられ、各々が、対応の2次巻線の端子間電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記コンバータで生成された直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを含む複数の無停電電源装置とを備え、
複数の前記インバータは直列接続され、各段の前記インバータは前段の出力電圧に自己の出力電圧を加算して次段に出力し、最終段の前記インバータは複数の前記インバータの出力電圧の総和の交流電圧を出力し、
さらに、一方端子がバイパス交流電源から供給される交流電力を受け、複数の前記インバータから負荷に交流電力を供給するインバータ給電モード時は非導通になり、前記バイパス交流電源から前記負荷に交流電力を供給するバイパス給電モード時は導通する第1のスイッチと、
一方端子が最終段の前記インバータの出力電圧を受け、他方端子が前記第1のスイッチの他方端子に接続され、前記インバータ給電モード時は導通し、前記バイパス給電モード時は非導通になる第2のスイッチと、
一方端子が前記第1および第2のスイッチの他方端子に接続され、他方端子が前記負荷に接続され、通常は導通し、メンテナンス時に非導通にされる第3のスイッチと、
前記第1および第2のスイッチの他方端子に接続され、複数の前記インバータまたは前記バイパス交流電源から交流電力が正常に供給されている場合は、複数の前記インバータまたは前記バイパス交流電源から供給される交流電力をフライホイール装置の回転エネルギーに変換し、複数の前記インバータおよび前記バイパス交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は、前記フライホイール装置に蓄えられた回転エネルギーを交流電力に変換し、前記第3のスイッチを介して前記負荷に与えるエネルギー蓄積装置とを備える、無停電電源システム。
【請求項2】
前記コンバータは、前記商用交流電源から交流電力が供給されている場合は、対応の2次巻線から受けた交流電力を直流電力に変換し、前記商用交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は停止し、
前記インバータは、前記商用交流電源から交流電力が供給されている場合は、前記コンバータで生成された直流電力を交流電力に変換し、前記商用交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は停止する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
各無停電電源装置は、さらに、前記インバータの出力電圧の波形を正弦波に変換するフィルタ回路を含み、
前記複数の無停電電源装置に含まれる複数の前記フィルタ回路の出力電圧が加算されて前記第2のスイッチの一方端子に与えられる、請求項1または請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
さらに、加算された複数の前記インバータの出力電圧の波形を正弦波に変換して前記第2のスイッチの一方端子に与えるフィルタ回路を備える、請求項1または請求項2に記載の無停電電源システム。
【請求項5】
複数の前記インバータの出力電圧の位相は順次ずれている、請求項4に記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源システムに関し、特に、高電圧を出力する無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無停電電源装置の出力電圧を変圧器で昇圧して負荷に供給する無停電電源システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、主交流電源が故障した場合に、フライホイール装置を含むエネルギー蓄積装置によって発電機を起動させる無停電電源システムも知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−38055号公報
【特許文献2】特表2001−502519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の無停電電源装置では、変圧器における電力損失が大きく、効率が低いという問題があった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、高電圧を出力することが可能で効率が高い無停電電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る無停電電源システムは、商用交流電源から供給される交流電力を受ける1次巻線と、互いに絶縁された複数の2次巻線とを含む変圧器と、それぞれ複数の2次巻線に対応して設けられ、各々が、対応の2次巻線の端子間電圧を直流電圧に変換するコンバータと、コンバータで生成された直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを含む複数の無停電電源装置とを備えたものである。複数のインバータは直列接続され、各段のインバータは前段の出力電圧に自己の出力電圧を加算して次段に出力し、最終段のインバータは複数のインバータの出力電圧の総和の交流電圧を出力する。この無停電電源システムは、さらに、一方端子がバイパス交流電源から供給される交流電力を受け、複数のインバータから負荷に交流電力を供給するインバータ給電モード時は非導通になり、バイパス交流電源から負荷に交流電力を供給するバイパス給電モード時は導通する第1のスイッチと、一方端子が最終段のインバータの出力電圧を受け、他方端子が第1のスイッチの他方端子に接続され、インバータ給電モード時は導通し、バイパス給電モード時は非導通になる第2のスイッチと、一方端子が第1および第2のスイッチの他方端子に接続され、他方端子が負荷に接続され、通常は導通し、メンテナンス時に非導通にされる第3のスイッチと、第1および第2のスイッチの他方端子に接続され、複数のインバータまたはバイパス交流電源から交流電力が正常に供給されている場合は、複数のインバータまたはバイパス交流電源から供給される交流電力をフライホイール装置の回転エネルギーに変換し、複数のインバータおよびバイパス交流電源からの交流電力の供給が停止された場合は、フライホイール装置に蓄えられた回転エネルギーを交流電力に変換し、第3のスイッチを介して負荷に与えるエネルギー蓄積装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る無停電電源システムでは、複数のインバータを負荷に対して直列接続することにより、負荷に高電圧を供給する。したがって、出力変圧器を使用しないので、高い効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示した入力変圧器の構成を示す回路図である。
図3図1に示した高圧無停電電源装置の構成を示す回路図である。
図4図3に示した無停電電源装置の構成を示す回路図である。
図5図1に示した電力変換器の構成を示す回路図である。
図6】この発明の実施の形態2による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
図7図6に示した高圧無停電電源装置の構成を示す回路図である。
図8図7に示した無停電電源装置の構成を示す回路図である。
図9図7に示した高圧無停電電源装置のうちのU相に関連する部分の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1による無停電電源システムは、図1に示すように、入力端子T1、バイパス端子T2、出力端子T3、スイッチS1〜S8、入力変圧器1、高圧無停電電源装置2、およびエネルギー蓄積装置4を備える。この無停電電源システムは、商用交流電源10およびバイパス交流電源11から三相三線式の商用交流電力を受けて、三相三線式の商用周波数の交流電力を負荷12に出力する。たとえば、商用交流電力の線間電圧は3300Vであり、相電圧は1905Vである。ただし、図面および説明の簡単化のため、図1では一相一線分の回路が示されている。
【0011】
入力端子T1は、商用交流電源10からの商用交流電力を受ける。バイパス端子T2は、バイパス交流電源11からの商用交流電力を受ける。出力端子T3は、負荷12に接続される。スイッチS1は、たとえばブレーカであり、入力端子T1と入力変圧器1の1次巻線との間に接続され、通常時はオンされ、無停電電源システムのメンテナンス時にオフされる。
【0012】
図2は、入力変圧器1の構成を示す回路図である。図2において、入力変圧器1は、3個の1次巻線CR,CS,CTと、互いに絶縁された9個の2次巻線CU1〜CU3,CV1〜CV3,CW1〜CW3とを含む。1次巻線CR,CS,CTの一方端子はそれぞれR相、S相、およびT相の交流電圧VR,VS,VTを受け、それらの他方端子は互いに接続されている。交流電圧VR,VS,VTは、ともに1905Vであり、それらの位相は120度ずつずれている。
【0013】
2次巻線CU1〜CU3は、1次巻線CRと電磁結合されている。2次巻線CV1〜CV3は、1次巻線CSと電磁結合されている。2次巻線CW1〜CW3は、1次巻線CTと電磁結合されている。2次巻線CU1〜CU3の端子間には、それぞれU相の交流電圧VU1〜VU3が出力される。2次巻線CV1〜CV3の端子間には、それぞれV相の交流電圧VV1〜VV3が出力される。2次巻線CW1〜CW3の端子間には、それぞれW相の交流電圧VW1〜VW3が出力される。交流電圧VU1〜VU3,VV1〜VV3,VW1〜VW3は、ともに635Vである。U相の交流電圧VU1〜VU3とV相の交流電圧VV1〜VV3とW相の交流電圧VW1〜VW3の位相は120度ずつずれている。
【0014】
図3は、高圧無停電電源装置2の構成を示す回路ブロック図である。図3において、高圧無停電電源装置2は、制御回路15と、9個の無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3と、3個の出力端子TU,TV,TWを含む。制御回路15は、高圧無停電電源装置2全体を制御する。たとえば制御回路15は、高圧無停電電源装置2の出力電圧VU,VV,VWが目標電圧になるように無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3を制御する。
【0015】
無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3の入力端子Ta,Tbは、それぞれ2次巻線CU1〜CU3,CV1〜CV3,CW1〜CW3の一方端子および他方端子に接続される。無停電電源装置UU1〜UU3は、それぞれ2次巻線CU1〜CU3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を商用周波数の交流電力に再変換する。
【0016】
無停電電源装置UU1〜UU3の出力端子Tc,Td間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VU11〜VU13が出力される。無停電電源装置UU1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UU1,UU2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UU2,UU3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UU3の出力端子Tcは出力端子TUに接続される。
【0017】
すなわち、無停電電源装置UU1〜UU3は出力端子TUおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UU2は、前段の無停電電源装置UU1の出力電圧VU11に自己の出力電圧VU12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UU3は、前段の無停電電源装置UU2の出力電圧VU11+VU12に自己の出力電圧VU13を加算して出力端子TUに出力する。結局、出力端子TUには、無停電電源装置UU1〜UU3の出力電圧VU11〜VU13の総和の交流電圧VU=VU11+VU12+VU13が出力される。交流電圧VUすなわちU相電圧VUは、635×3=1905Vである。
【0018】
同様に、無停電電源装置UV1〜UV3は、それぞれ2次巻線CV1〜CV3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を商用周波数の交流電力に再変換する。無停電電源装置UV1〜UV3の出力端子Tc,Td間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VV11〜VV13が出力される。無停電電源装置UV1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UV1,UV2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UV2,UV3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UV3の出力端子Tcは出力端子TVに接続される。
【0019】
すなわち、無停電電源装置UV1〜UV3は出力端子TVおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UV2は、前段の無停電電源装置UV1の出力電圧VV11に自己の出力電圧VV12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UV3は、前段の無停電電源装置UV2の出力電圧VV11+VV12に自己の出力電圧VV13を加算して出力端子TVに出力する。結局、出力端子TVには、無停電電源装置UV1〜UV3の出力電圧VV11〜VV13の総和の交流電圧VV=VV11+VV12+VV13が出力される。交流電圧VVすなわちV相電圧VVは、635×3=1905Vである。
【0020】
同様に、無停電電源装置UW1〜UW3は、それぞれ2次巻線CW1〜CW3から受けた交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を商用周波数の交流電力に再変換する。無停電電源装置UW1〜UW3の出力端子Tc,Td間には、それぞれ商用周波数で定電圧(635V)の交流電圧VW11〜VW13が出力される。無停電電源装置UW1の出力端子Tdは中性点NPに接続され、無停電電源装置UW1,UW2の出力端子Tcはそれぞれ無停電電源装置UW2,UW3の出力端子Tdに接続され、無停電電源装置UW3の出力端子Tcは出力端子TWに接続される。
【0021】
すなわち、無停電電源装置UW1〜UW3は出力端子TWおよび中性点NP間に直列接続される。無停電電源装置UW2は、前段の無停電電源装置UW1の出力電圧VW11に自己の出力電圧VW12を加算して次段に出力する。無停電電源装置UW3は、前段の無停電電源装置UW2の出力電圧VW11+VW12に自己の出力電圧VW13を加算して出力端子TWに出力する。結局、出力端子TWには、無停電電源装置UW1〜UW3の出力電圧VW11〜VW13の総和の交流電圧VW=VW11+VW12+VW13が出力される。交流電圧VWすなわちW相電圧VWは、635×3=1905Vである。
【0022】
端子TU,TV間の電圧VU−VV、すなわち線間電圧VUVは1905×√3≒3300Vとなる。端子TV,TW間の電圧VV−VW、すなわち線間電圧VVWは1905×√3≒3300Vとなる。端子TW,TU間の電圧VW−VU、すなわち線間電圧VWUは1905×√3≒3300Vとなる。線間電圧VUV,VVW,VWUの位相は120度ずつずれている。
【0023】
図4は、無停電電源装置UU1の構成を示す回路図である。図4において、無停電電源装置UU1は、入力端子Ta,Tb、コンデンサC1〜C4、リアクトルL1,L2、トランジスタQ1〜Q8,Q11〜Q18、ダイオードD1〜D8,D11〜D18,D21〜D24,D31〜D34、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、直流負母線NL、および出力端子Tc,Tdを含む。
【0024】
トランジスタQ1,Q5,Q7,Q3は母線PL,NL間に直列接続され、トランジスタQ2,Q6,Q8,Q4は母線PL,NL間に直列接続される。ダイオードD1〜D8は、それぞれトランジスタQ1〜Q8に逆並列に接続される。ダイオードD21,D22のアノードはともに直流中性点母線NPLに接続され、それらのカソードはそれぞれトランジスタQ5,Q6のコレクタに接続される。ダイオードD23,D24のアノードはそれぞれトランジスタQ7,Q8のエミッタに接続され、それらのカソードはともに直流中性点母線NPLに接続される。
【0025】
トランジスタQ1〜Q8およびダイオードD1〜D8,D21〜D24は、3レベルのコンバータ21を構成する。コンデンサC3は直流正母線PLと直流中性点母線NPLの間に接続され、コンデンサC4は直流中性点母線NPLと直流負母線NLの間に接続される。コンデンサC3,C4は、コンバータ21によって生成された直流電圧を平滑化および安定化させる。
【0026】
リアクトルL1は、入力端子TaとトランジスタQ5のエミッタとの間に接続される。コンデンサC1の一方電極は入力端子Taに接続され、その他方電極は入力端子TbおよびトランジスタQ6のエミッタに接続される。リアクトルL1およびコンデンサC1は、入力フィルタ20を構成する。
【0027】
入力フィルタ20は、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧VU1をコンバータ21に通過させ、コンバータ21で発生するスイッチング周波数の信号が入力端子Ta,Tb側に通過するのを禁止する。
【0028】
コンバータ21は、対応の2次巻線から入力フィルタ20を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ21は、対応の2次巻線から入力フィルタ20を介して供給される交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。
【0029】
たとえば、入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも高い場合は、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ5,Q1,Q6をオンさせる。これにより、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ5,Q1、コンデンサC3、ダイオードD22、およびトランジスタQ6を介して入力端子Tbに電流が流れ、コンデンサC3が充電される。また、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ7,Q4,Q8をオンさせる。これにより、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ7、ダイオードD23、コンデンサC4、およびトランジスタQ4,Q8を介して入力端子Tbに電流が流れ、コンデンサC4が充電される。
【0030】
入力端子Taの電圧が入力端子Tbの電圧よりも低い場合は、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ6,Q2,Q5をオンさせる。これにより、入力端子TbからトランジスタQ6,Q2、コンデンサC3、ダイオードD21、トランジスタQ5、およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れ、コンデンサC3が充電される。また、トランジスタQ1〜Q8のうちのトランジスタQ8,Q3,Q7をオンさせる。これにより、入力端子TbからトランジスタQ8、ダイオードD24、コンデンサC4、トランジスタQ3,Q7、およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れ、コンデンサC4が充電される。
【0031】
また、入力端子Ta,Tbの電圧が略等しい場合は、トランジスタQ5,Q8またはトランジスタQ6,Q7のみをオンさせる。トランジスタQ5,Q8のみをオンさせた場合は、入力端子TbからトランジスタQ8、ダイオードD24,D21、トランジスタQ5,およびリアクトルL1を介して入力端子Taに電流が流れる。また、トランジスタQ6,Q7のみをオンさせた場合は、入力端子TaからリアクトルL1、トランジスタQ7、ダイオードD23,D22、トランジスタQ6を介して入力端子Tbに電流が流れる。このようにして、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLがそれぞれ正電圧、中性点電圧、および負電圧にされる。
【0032】
トランジスタQ11,Q15,Q17,Q13は母線PL,NL間に直列接続され、トランジスタQ12,Q16,Q18,Q14は母線PL,NL間に直列接続される。ダイオードD11〜D18は、それぞれトランジスタQ11〜Q18に逆並列に接続される。ダイオードD31,D32のアノードはともに直流中性点母線NPLに接続され、それらのカソードはそれぞれトランジスタQ15,Q16のコレクタに接続される。ダイオードD33,D34のアノードはそれぞれトランジスタQ17,Q18のエミッタに接続され、それらのカソードはともに直流中性点母線NPLに接続される。
【0033】
トランジスタQ11〜Q18およびダイオードD11〜D18,D31〜D34は、3レベルのインバータ22を構成する。リアクトルL2は、トランジスタQ15のエミッタと出力端子Tcとの間に接続される。コンデンサC2の一方電極は出力端子Tcに接続され、その他方電極はトランジスタQ16のエミッタと出力端子Tdに接続される。リアクトルL2およびコンデンサC2は、出力フィルタ23を構成する。
【0034】
インバータ22は、コンバータ21で生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、インバータ22は、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。
【0035】
たとえば、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ11,Q15,Q18をオンさせる。これにより、直流正母線PLがトランジスタQ11,Q15およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18およびダイオードD34を介して直流中性点母線NPLに接続され、正電圧および中性点電圧の差電圧(すなわち正電圧)が出力フィルタ23に与えられる。
【0036】
また、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ15,Q18,Q14をオンさせる。これにより、直流中性点母線NPLがダイオードD31、トランジスタQ15、およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18,Q14を介して直流負母線NLに接続され、中性点電圧および負電圧の差電圧(すなわち正電圧)が出力フィルタ23に与えられる。
【0037】
また、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ12,Q16,Q17をオンさせる。これにより、直流正母線PLがトランジスタQ12,Q16を介して出力端子Tdに接続されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2、トランジスタQ17、およびダイオードD17を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および正電圧の差の電圧(すなわち負電圧)が出力フィルタ23に与えられる。
【0038】
また、トランジスタQ11〜Q18のうちのトランジスタQ16,Q17,Q13をオンさせる。これにより、直流中性点母線NPLがダイオードD32およびトランジスタQ16を介して出力端子Tdに供給されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2およびトランジスタQ17,Q13を介して直流負母線NLに接続され、負電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち負電圧)が出力フィルタ23に与えられる。
【0039】
また、トランジスタQ15,Q18またはトランジスタQ16,Q17のみをオンさせる。トランジスタQ15,Q18のみをオンさせた場合は、直流中性点母線NPLがダイオードD31、トランジスタQ15、およびリアクトルL2を介して出力端子Tcに接続されるとともに、出力端子TdがトランジスタQ18およびダイオードD34を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち0V)が出力フィルタ23に与えられる。
【0040】
また、トランジスタQ16,Q17のみをオンさせた場合は、直流中性点母線NPLがダイオードD32およびトランジスタQ16を介して出力端子Tdに接続されるとともに、出力端子TcがリアクトルL2、トランジスタQ17およびダイオードD33を介して直流中性点母線NPLに接続され、中性点電圧および中性点電圧の差の電圧(すなわち0V)が出力フィルタ23に与えられる。
【0041】
したがって、トランジスタQ11〜Q18を制御することにより、出力端子Tc,Td間に正電圧、0V、および負電圧のうちの所望の電圧を供給することができ、正電圧、0V、および負電圧の3レベルで変化する交流電圧を生成することができる。
【0042】
出力フィルタ23は、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子Tc,Tdに通過させ、インバータ22で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子Tc,Tdに通過するのを禁止する。換言すると、出力フィルタ23は、インバータ22で生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を出力端子Tc,Td間に出力する。
【0043】
他の無停電電源装置UU2,UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3の各々は、無停電電源装置UU1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0044】
図1に戻って、スイッチS2,S3は、高圧無停電電源装置2の出力端子(たとえばTU)と出力端子T3との間に直列接続される。スイッチS2(第2のスイッチ)は、たとえばコンタクタであり、インバータ22から負荷12に交流電力を供給するインバータ給電モード時にオンされ、バイパス交流電源11からバイパス端子T2を介して負荷12に交流電力を供給するバイパス給電モード時にオフされる。
【0045】
スイッチS3(第3のスイッチ)は、たとえばブレーカであり、通常はオンされ、無停電電源システムのメンテナンス時にオフされる。スイッチS4は、たとえばブレーカであり、入力端子T1とバイパス端子T2の間に接続され、通常はオフされ、端子T1,T2間を短絡したいとき、たとえば、商用交流電源10が故障したためにバイパス交流電源11から入力変圧器1に交流電力を供給するときにオンされる。
【0046】
スイッチS5の一方端子はバイパス端子T2に接続され、その他方端子はスイッチS6を介してスイッチS2,S3間のノードN1に接続される。スイッチS5は、たとえばブレーカであり、通常はオンされ、メンテナンス時にオフされる。スイッチS6(第1のスイッチ)は、たとえばコンタクタであり、バイパス給電モード時にオンされ、インバータ給電モード時にオフされる。スイッチS7は、たとえばブレーカであり、バイパス端子T2と出力端子T3との間に接続され、通常はオフされ、メンテナンス時にオンされる。
【0047】
なお、一般には、無瞬断スイッチがスイッチS6に並列接続されている。無瞬断スイッチは、高圧無停電電源装置2が正常である場合はオフし、高圧無停電電源装置2が故障したときに瞬時にオンするものである。また、無瞬断スイッチは、商用交流電源10から交流電力が正常に供給されている通常時はオフし、商用交流電源10からの交流電力の供給が停止した場合は瞬時にオンする。しかし、この実施の形態1では、エネルギー蓄積装置4を設けたので、無瞬断スイッチは不要となっている。
【0048】
エネルギー蓄積装置4は、変圧器5、電力変換器6、モータ7、およびフライホイール装置8を含む。エネルギー蓄積装置4は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から交流電力が正常に供給されている場合は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から供給される交流電力をフライホイール装置8の回転エネルギーに変換し、高圧無停電電源装置2およびバイパス交流電源11からの交流電力の供給が停止された場合は、フライホイール装置8に蓄えられた回転エネルギーを交流電力に変換し、その交流電力をスイッチS8,S3を介して負荷12に与える。
【0049】
すなわち、スイッチS8は、たとえばブレーカであり、出力端子T3と変圧器5の1次巻線との間に接続され、通常はオンされ、メンテナンス時にオフされる。変圧器5の2次巻線は、電力変換器6に接続される。変圧器5は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から交流電力が正常に供給されている場合は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11からの交流電力を電力変換器6に供給し、高圧無停電電源装置2およびバイパス交流電源11からの交流電力の供給が停止された停電時は、電力変換器6から供給される交流電力を出力端子T3を介して負荷12に供給する。
【0050】
図5は、電力変換器6の構成を示す回路図であって、図4と対比される図である。図5から分かるように、電力変換器6は無停電電源装置UU1と同じ構成である。リアクトルL1およびコンデンサC1はフィルタ30を構成する。トランジスタQ1〜Q8およびダイオードD1〜D8,D21〜D24は、コンバータ31を構成する。トランジスタQ11〜Q18およびダイオードD11〜D18,D31〜D34は、コンバータ32を構成する。リアクトルL2およびコンデンサC2はフィルタ33を構成する。
【0051】
高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から交流電力が正常に供給されている場合には、コンバータ31は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から変圧器5およびフィルタ30を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ31は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から変圧器5およびフィルタ30を介して供給される交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。このとき、フィルタ30は、コンバータ31で発生するスイッチング周波数のノイズが変圧器5側に漏れるのを防止する。
【0052】
また、コンバータ32は、インバータとして動作し、コンバータ31で生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ32は、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ33は、コンバータ32で生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を出力端子Tc,Td間に出力する。
【0053】
また、高圧無停電電源装置2およびバイパス交流電源11から交流電力が正常に供給されていない場合には、コンバータ32は、モータ7から供給される交流電力を直流電力に変換する。換言すると、コンバータ32は、モータ7から供給される交流電圧を正電圧、中性点電圧、および負電圧に変換してそれぞれ直流正母線PL、直流中性点母線NLP、および直流負母線NLに与える。このとき、フィルタ33は、コンバータ32で発生するスイッチング周波数のノイズがモータ7側に漏れるのを防止する。
【0054】
また、コンバータ31は、インバータとして動作し、コンバータ32で生成された直流電力を交流電力に変換する。換言すると、コンバータ31は、直流正母線PL、直流中性点母線NPL、および直流負母線NLから受けた正電圧、中性点電圧、および負電圧に基づいて、正電圧、0V、および負電圧を含む3レベルの交流電圧を生成する。このとき、フィルタ30は、コンバータ31で生成された3レベルの交流電圧の波形を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧を入力端子Ta,Tb間に出力する。
【0055】
モータ7は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から交流電力が正常に供給されている場合には、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11から変圧器5および電力変換器6を介して供給される交流電力によって駆動され、フライホイール装置8を回転駆動させてフライホイール装置8に回転エネルギーを蓄えさせる。
【0056】
また、モータ7は、高圧無停電電源装置2またはバイパス交流電源11からの交流電力の供給が正常でない場合には、回転エネルギーによって回転し続けるフライホイール装置8によって回転駆動され、交流電力を生成して電力変換器6に供給する。
【0057】
フライホイール装置8は、モータ7によって回転駆動されることによって回転エネルギーを蓄積し、モータ7を回転駆動させることによって回転エネルギーを放出する。
【0058】
次に、この無停電電源システムの動作について説明する。ただし、説明の簡単化のため、R相およびU相に関連する部分の動作のみについて説明する。通常は、スイッチS1〜S3,S5,S8がオンされ、スイッチS4,S6,S7はオフされる。商用交流電源10から入力端子T1およびスイッチS1を介して入力変圧器1の1次巻線CRに交流電圧VRが供給される。これにより、入力変圧器1の2次巻線CU1〜CU3にそれぞれ交流電圧VU1〜VU3が出力される。
【0059】
無停電電源装置UU1〜UU3は、それぞれ交流電圧VU1〜VU3によって駆動され、それぞれ正弦波形の交流電圧VU11〜VU13を出力する。交流電圧VU11〜VU13は、加算されて高圧の交流電圧VUとなる。高圧の交流電圧VUは、スイッチS2,S3および出力端子T3を介して負荷12に供給される。この状態は、無停電電源装置UU1〜UU3のインバータ22から負荷12に交流電力が供給されるので、インバータ給電モードと呼ばれる。
【0060】
また、このとき、無停電電源装置UU1〜UU3からスイッチS2,S8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
【0061】
インバータ給電モード時において商用交流電源10の出力電圧が瞬間的に低下した場合、いわゆる瞬低が発生した場合は、コンデンサC3,C4によって正電圧、中性点電圧、および負電圧が維持され、安定した交流電圧が負荷12に供給され、負荷12が安定に運転される。
【0062】
インバータ給電モード時において、商用交流電源10からの交流電力の供給が停止された場合(すなわち停電が発生した場合)、または高圧無停電電源装置2が故障した場合は、フライホイール装置8の回転エネルギーがモータ7によって交流電力に変換される。モータ7によって生成された交流電力は、電力変換器6および変圧器5によって商用交流電力と同じ電圧および周波数の交流電力に変換され、スイッチS8,S3および出力端子T3を介して負荷12に供給され、負荷12の運転が継続される。したがって、従来のように無瞬断スイッチをオンしてバイパス給電をする必要はないので、無瞬断スイッチは設けられていない。
【0063】
また、スイッチS6がオンするとともにスイッチS1,S2がオフするとともに、コンバータ21およびインバータ22の運転が停止される。これにより、バイパス交流電源11からバイパス端子T2、スイッチS5,S6,S3、および出力端子T3を介して負荷12に交流電力が供給され、負荷12の運転が継続される。この状態は、バイパス交流電源11から負荷12に交流電力が供給されるので、バイパス給電モードと呼ばれる。
【0064】
また、このとき、バイパス交流電源11からバイパス端子T2およびスイッチS5,S6,S8を介してエネルギー蓄積装置4に交流電力が供給され、モータ7によってフライホイール装置8が回転駆動されて回転エネルギーが蓄えられる。
【0065】
バイパス給電モード時において、バイパス交流電源11からの交流電力の供給が停止されたり、バイパス交流電源11の出力電圧が瞬間的に低下すると、フライホイール装置8の回転エネルギーがモータ7によって交流電力に変換される。モータ7によって生成された交流電力は、電力変換器6および変圧器5によって商用交流電力と同じ電圧および周波数の交流電力に変換され、スイッチS8,S3および出力端子T3を介して負荷12に供給され、負荷12の運転が継続される。
【0066】
メンテナンス時は、スイッチS7のみがオンされ、他のスイッチS1〜S6,S8がオフされ、バイパス交流電源11からバイパス端子T2、スイッチS7および出力端子T3を介して負荷12に交流電力が供給され、負荷12が運転される。交流電源10,11のうちの一方の交流電源が故障した場合は、スイッチS4がオンされ、他方の交流電源が故障した交流電源の役割も果たす。
【0067】
この実施の形態1では、複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)を負荷12に対して直列接続することにより、負荷12に高電圧を供給する。したがって、出力変圧器を使用しないので、高い効率が得られる。
【0068】
また、低電圧の無停電電源装置によって出力変圧器を駆動する場合は定格電流の大きな無停電電源装置が必要となるが、本実施の形態1では、大容量の無停電電源システムを定格電流が小さな無停電電源装置で構成することができる。
【0069】
また、入力変圧器1の複数の2次巻線(たとえばCU1〜CU3)をそれぞれ複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)に接続することによって複数の無停電電源装置(たとえばUU1〜UU3)同士を絶縁したので、低耐圧のトランジスタQ、ダイオードDなどを使用することができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0070】
また、エネルギー蓄積装置4を設けたので、停電時間が長い場合でも負荷12の運転を継続することができる。また、無瞬断スイッチが不要となるので、装置の低コスト化を図ることができる。
【0071】
なお、この実施の形態1では、商用交流電源10からの3.3KVの交流電圧を635Vの交流電圧に降圧し、3段の無停電電源装置で1905Vの相電圧を生成し、3.3KVの線間電圧を再生したが、無停電電源装置の段数を増やすことにより、さらに高圧の無停電電源システムを構成することができる。たとえば、商用交流電源からの6.6KVの交流電圧を635Vの交流電圧に降圧し、6段の無停電電源装置で3810Vの相電圧を生成し、6.6KVの線間電圧を再生してもよい。
【0072】
[実施の形態2]
図6は、この発明の実施の形態2による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図であって、図1と対比される図である。図6を参照して、この無停電電源システムが図1の無停電電源システムと異なる点は、高圧無停電電源装置2が高圧無停電電源装置40で置換されている点である。
【0073】
図7は、高圧無停電電源装置40の構成を示す回路ブロック図であって、図3と対比される図である。図7を参照して、この高圧無停電電源装置40が高圧無停電電源装置2と異なる点は、無停電電源装置UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3が無停電電源装置UU1A〜UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3Aで置換され、リアクトルLU,LV,LWおよびコンデンサCU,CV,CWが追加されている点である。
【0074】
図8は、無停電電源装置UU1Aの構成を示す回路図であって、図4と対比される図である。図8を参照して、無停電電源装置UU1Aは、無停電電源装置UU1からリアクトルL1,L2およびコンデンサC1,C2、すなわち入力フィルタ20および出力フィルタ23を除去したものである。トランジスタQ5のエミッタは入力端子Taに直接接続され、トランジスタQ15のエミッタは出力端子Tcに直接接続されている。このため、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aは、正弦波にはならず、パルス信号列となる。他の無停電電源装置UU2A,UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3Aの各々も、無停電電源装置UU1Aと同じ構成である。
【0075】
図7に戻って、無停電電源装置UU3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UU1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路15は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UU1A〜UU3Aのインバータ22を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLUは無停電電源装置UU3Aの出力端子Tcと出力端子TUとの間に接続され、コンデンサCUは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLUおよびコンデンサCUは、出力フィルタを構成する。
【0076】
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TUおよび中性点NP間に通過させ、インバータ22で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TUおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLUおよびコンデンサCUからなる出力フィルタは、加算された無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VUを出力端子TUおよび中性点NP間に出力する。
【0077】
同様に、無停電電源装置UV3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UV1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UV1A〜UV3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路15は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UV1A〜UV3Aのインバータ22を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLVは無停電電源装置UV3Aの出力端子Tcと出力端子TVとの間に接続され、コンデンサCVは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLVおよびコンデンサCVは、出力フィルタを構成する。
【0078】
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TVおよび中性点NP間に通過させ、インバータ22で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TVおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLVおよびコンデンサCVからなる出力フィルタは、加算された無停電電源装置UV1A〜UV3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VVを出力端子TVおよび中性点NP間に出力する。
【0079】
同様に、無停電電源装置UW3Aの出力端子Tcと無停電電源装置UW1Aの出力端子Tdの間には、無停電電源装置UW1A〜UW3Aの出力パルス信号列を加算したパルス信号列が出力される。制御回路15は、加算したパルス信号列の波形を正弦波に近付けるために、無停電電源装置UW1A〜UW3Aのインバータ22を所定角度ずつ位相をずらせて制御する。リアクトルLWは無停電電源装置UW3Aの出力端子Tcと出力端子TWとの間に接続され、コンデンサCWは出力端子Tcと中性点NPとの間に接続される。リアクトルLWおよびコンデンサCWは、出力フィルタを構成する。
【0080】
この出力フィルタは、ローパスフィルタであり、商用周波数の交流電圧を出力端子TWおよび中性点NP間に通過させ、インバータ22で発生したスイッチング周波数の信号が出力端子TWおよび中性点NP間に通過するのを禁止する。換言すると、リアクトルLWおよびコンデンサCWからなる出力フィルタは、加算された無停電電源装置UW1A〜UW3Aの出力パルス信号列を正弦波に変換し、正弦波の交流電圧VWを出力端子TWおよび中性点NP間に出力する。
【0081】
図9(a)〜(d)は、図7および図8に示した高圧無停電電源装置40のうちのU相に関連する部分の動作を示すタイムチャートである。図9(a)は無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aの波形を示し、図9(b)は無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力電圧VU11A〜VU13Aを加算したU相電圧VUの波形を示し、図9(c)はU相とV相の線間電圧VUVの波形を示し、図9(d)はU相電流IUの波形を示している。
【0082】
図9(a)に示すように、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aは、0〜180度では正のパルス信号列となり、180〜360度では負のパルス信号列となる。正弦波のピークとなる90度および270度付近ではパルス幅は最大になり、正弦波の0点となる0度および180度付近ではパルス幅は最小となる。
【0083】
また図9(b)に示すように、位相のずれた無停電電源装置UU1A〜UU3Aの出力電圧VU11A〜VU13Aを加算したU相電圧VUの波形は、無停電電源装置UU1Aの出力電圧VU11Aの波形よりも正弦波に近くなる。また図9(c)に示すように、線間電圧VUVの波形はさらに正弦波に近くなる。また図9(d)に示すように、負荷12に流れるU相電流IUの波形はほぼ正弦波になる。V相、W相に関連する部分の動作も、U相に関連する部分の動作と同じであるので、その説明は繰り返さない。また、他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0084】
この実施の形態2では、各相において出力フィルタを3つの無停電電源装置に共通に設け、かつ入力フィルタを除去したので、回路面積を小さくすることができる。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
T1,Ta,Tb 入力端子、T2 バイパス端子、T3,Tc,Td,TU,TV,TW 出力端子、S1〜S8 スイッチ、1 入力変圧器、2,40 高圧無停電電源装置、4 エネルギー蓄積装置、5 変圧器、6 電力変換器、7 モータ、8 フライホイール装置、10 商用交流電源、11 バイパス交流電源、12 負荷、CR,CS,CT 1次巻線、CU1〜CU3,CV1〜CV3,CW1〜CW3 2次巻線、UU1〜UU3,UV1〜UV3,UW1〜UW3,UU1A〜UU3A,UV1A〜UV3A,UW1A〜UW3A 無停電電源装置、15 制御回路、L1,L2,LU,LV,LW リアクトル、C1〜C4,CU,CV,CW コンデンサ、Q1〜Q8,Q11〜Q18 トランジスタ、D1〜D8,D11〜D18,D21〜D24,D31〜D34 ダイオード、20 入力フィルタ、21,31,32 コンバータ、22 インバータ、23 出力フィルタ、30,33 フィルタ、PL 直流正母線、NPL 直流中性点母線、NL 直流負母線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9