【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1〜12
実施例1〜12で用いた組成物は〔表1〕に示してある。
【0025】
【表1】
【0026】
例えば実施例1の配合物でqs (quantum sufficit: 十分な量)と表されたジエチレングリコールモノエチルエーテルの量は約75cm
3である。
下記成分を攪拌しながら混合する:
活性成分 1-[4-CF
3-2,6-Cl
2フェニル]-
3-シアノ-4-[CF
3-SO-]-5-NH
2ピラゾール 10g
エタノール 全量
ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたは
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒) 60cm
3
ポリビニルピロリドン
(登録商標 Kollidon 17PF BASF Germany社製) 全量
ポリソルベート80(登録商標 Tween ICI 社製) 全量
ブチル化ヒドロキシアニソール(存在する場合) 全量
ブチル化ヒドロキシトルエン(存在する場合) 全量
【0027】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて混合物を100cm
3にする(実施例1ではこれは残量である約15cm
3に相当する)。
各混合物は濃縮溶液Sを構成する。
体重7、14および28kgの3頭のイヌにそれぞれ100 匹のノミを寄生させた。2日後、両肩の間のきこう(肩甲骨間の隆起)付近の皮膚の面積約5cm
2の領域に体重1kgあたり 0.1 ml の溶液Sを局所的に投与した。完全に乾燥するのに要する24時間が経過した後に皮膚に溶液を付着させた領域とその他の領域とを比較したが、元の状態に比べてイヌの毛皮の外観に変化は見られなかった。特に、動物の毛皮に触った時にべとつきや粘着感がなく、毛皮にゴワゴワした毛束が見られなかった。
【0028】
治療から24時間後にイヌの毛を櫛ですき、存在するノミを回収してカウントした。さらに、治療後一週間おきに上記と同様な方法で動物に再度ダニを寄生させた。この処置を行う度に、その24時間後に動物の毛を櫛ですいてその時点で存在しているノミをカウントした。
本発明による治療を行わなかった対照群と比べた場合の本発明によるノミ固体数の減少率は13週間以上に渡って約95%以上の値が維持された。
【0029】
実施例12〜24
実施例12〜24は〔表1〕の実施例1〜12を実施例12〜24に代え、活性成分の量を12.5gにするだけでよく、他の成分量は変わらない。ただし、全量を100cm
3にするための溶媒量は相違する。すなわち、下記成分を攪拌しながら混合した:
実施例1の化合物 12.5 g
エタノール 全量
ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたは
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 60cm
3
ポリビニルピロリドン 全量
ポリソルベート80 全量
ブチル化ヒドロキシアニソール(存在する場合) 全量
ブチル化ヒドロキシトルエン(存在する場合) 全量
ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて混合物の全量を100cm
3にした。
各混合物を実施例1と同じ条件下で使用したところ、同等な結果が得られた。対照群と比べた場合のノミ固体数の減少率は24時間以内で約95%以上の値が得られた。
【0030】
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 下記a)〜d)を溶液状態で含有するペット寄生虫の治療または予防用組成物:
a) 〔化3〕で表される殺虫活性物質:
【化3】
(ここで、
R
1はハロゲン原子、CNまたはメチル基を表し、
R
2はS(O)R
3、4,5-ジシアノイミダゾール-2-イルまたはハロアルキル基を表し、ここで、R
3はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
R
4は水素またはハロゲン原子を表すか、NR
5R
6、S(O)
mR
7、C(O)R
7またはC(O)OR
7、アルキル、ハロアルキル、OR
8または−N=C(R
9)(R
10)を表し、ここで、R
5およびR
6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ハロアルキル、C(O)アルキル、S(O)
rCF
3、アシルまたはアルコキシカルボニル基を表すか、R
5とR
6とが一緒になって2価のアルキレン基を作り、このアルキレン基は酸素、硫黄のような2価のヘテロ原子を1つまたは2つを含むことができ、R
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、R
8はアルキル、ハロアルキル基または水素原子を表し、R
9はアルキル基または水素原子を表し、R
10は単数または複数のハロゲン原子またはOH、−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキル等の基で置換されていてもよいフェニルまたはヘテロアリール基を表し、
yはハロゲン原子、ハロアルキルまたはハロアルコキシ基、例えば低級ハロアルコキシ基またはSF
5基を表し、ここで、
(1) yはフェニル環の2および6の位置でCNまたはNO
2になることができ、
(2) フェニル環の2の位置の炭素は3価の窒素原子で置換でき、
(3) yはフェニル環の4に位置でS(O)
qCF
3になることができ、好ましくはハロアルキル、ハロアルコキシまたはSF
5であり、
m、n、qおよびrは互いに独立に0、1または2の整数を表し、
pは1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、特に3の整数であり、
ただし、
R
1がメチルの場合は、R
3がハロアルキルで、R
4がNH
2で、pが2で、6位にあるyがClで、4位にあるyがCF
3で、フェニル基の2位置にある炭素がNで置換されているか、R
2が 4,5-ジシアノイミダゾール-2-イルで、R
4がClで、pが3で、6位にあるyがClで、4位にあるyがCF
3で、フェニル基の2位にある炭素が=C−Clで置換されている)、
b) 結晶化阻害剤:
この結晶化阻害剤は、下記 c) で定義される溶媒中に式(I) の化合物を10%(W/V) 、この結晶化阻害剤を10%添加した溶液Aの 0.3 ml をガラススライドに付け、20℃で24時間放置した後にガラススライド上を肉眼で観察した時に、観察可能な結晶の数が10個以下、好ましくはゼロであり、
c) 誘電率が10〜35、好ましくは20〜30である有機溶媒、
d) 沸点が100 ℃以下、好ましくは80℃以下で、誘電率が10〜40、好ましくは20 〜30の乾燥促進剤となる有機共溶媒。
2. 組成物中に式(I) で表される化合物が1〜20%(w/v) 、好ましくは5〜15%の割合で存在する上記1に記載の組成物。
3. 組成物中に結晶化阻害剤が1〜20%(w/v) 、好ましくは5〜15%の割合で存在する上記1または2に記載の組成物。
4. 有機溶媒を加えて組成物全体を100 %にする上記1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
5. 共溶媒d)/溶媒c)の重量比が1/15〜1/2である上記1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
6. 組成物中の水が0〜30%(v/v) 、好ましくは0〜5%である上記1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
7. 抗酸化剤をさらに含む上記1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
8. 抗酸化剤を 0.005〜1%(W/V)、好ましくは0.01〜0.05%の割合で含む上記7に記載の組成物。
9. 有機溶媒c)が、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセタミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2-ピロリドン、特にN-メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレートおよびこれらの溶媒の少なくとも二つの混合物で構成される群から選択される上記1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
10. 結晶化阻害剤 b) が下記(1)〜(5)構成される群の中から選択され、好ましくは少なくともその2種類の混合物である上記1〜9のいずれか一項に記載の組成物:
(1) ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化されたソルビタンエステル、レシチン、カルボキシメチルセルロースNa、アクリル誘導体、例えばメタクリレート、
(2) アルカリステアレートのようなアニオン界面活性剤、特にステアリン酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニム、ステアリン酸カルシウム、トリエタノールアミンステアレート、ソジウムアビエテート、アルキルサルフェート、特にソジウムラウリルサルフェートおよびソジウムセチルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソジウムジオクチルスルホスクシネート、脂肪酸、特にやし油に由来する脂肪酸、
(3) カチオン界面活性剤、例えばN
+R’R”R’’’R’’’’Y
-で表される水溶性の第4級アンモニウム塩(ここで、Rは水酸化されていてもよい炭化水素基、Y
-は強酸のアニオン、例えばハロゲン化物のアニオン、硫酸イオンおよびスルホン酸イオンである)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、
(4) 非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン化されていてもよいソルビタンエステル、特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化されたアルキルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化された脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化された脂肪酸、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、
(5) 両性界面活性剤、例えばラウリル置換されたベタイン化合物。
11. 結晶化阻害剤が重合性膜形成剤と、界面活性剤とを含む結晶化阻害剤系で構成される上記1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
12. 重合性膜形成剤が下記(1)〜(3)で構成される群の中から選択される上記11に記載の組成物:
(1) ポリビニルピロリドン、
(2) ポリビニルアルコール、
(3) 酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体
13. 界面活性剤が非イオン性界面活性剤である上記11または12に記載の組成物。
14. 界面活性剤がポリオキシエチレン化されたソルビタンエステル、例えばポリソルベートである上記13に記載の組成物。
15. 結晶化阻害剤がポリビニルピロリドンとポリソルベート、好ましくはポリソルベート80との混合物である上記14に記載の組成物。
16. 溶媒c)がグリコールエーテルである上記1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
17. 溶媒c)がジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルで構成される群の中から選択される上記16に記載の組成物。
18. 共溶媒d)が無水エタノール、イソプロパノール、メタノールで構成される群から選択される上記1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
19. ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、ソジウムメタビサルフアイト、プロピルガレート、ソジウムチオサルフェートおよびこれらの2つ以下の混合物で構成される群の中から選択される抗酸化剤をさらに含む上記1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
20. 殺虫活性物質が〔化4〕に対応する上記1〜19のいずれか一項に記載の組成物:
【化4】
(ここで、
R
1はハロゲン原子、CNまたはメチル基を表し、
R
2はS(O)
nR
3、4,5-ジシアノイミダゾール-2- イルまたはハロアルキルを表し、 R
3はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
R
4は水素、ハロゲン原子を表すか、NR
5R
6、S(O)
mR
7、C(O)R
7またはC(O)OR
7、アルキル、ハロアルキル、OR
8または−N=C(R
9)(R
10)を表し、ここで、
R
5およびR
6は独立に水素原子、アルキル、ハロアルキル、C(O)アルキル、S(O)
rCF
3またはアルコキシカルボニル基を表すか、R
5とR
6とが一緒になって2価のアルキレン基を形成し、このアルキレン基は酸素または硫黄のような2価のヘテロ原子を1つまたは2つ含むことができ、
R
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
R
8はアルキル、ハロアルキル基または水素原子を表し、
R
9はアルキル基または水素原子を表し、
R
10は単数または複数のハロゲン原子またはOH、−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキル等の基によって置換されていてもよいフェニルまたはヘテロアリール基を表し、
R
11とR
12は互いに独立に水素またはハロゲン原子を表し、場合によってはCNまたはNO
2を表すこともできるが、Hまたはハロゲンが好ましく、
R
13はハロゲン原子またはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)
qCF
3またはSF
5基を示し、
m、n、qおよびrは互いに独立に0、1または2の整数表し、
Xは3価の窒素原子またはラジカルC−R
12を表し、この場合、炭素原子の残りの3つの原子価は芳香族環の一部を成し、
ただし、R
1がメチルの場合には、R
3がハロアルキルで、R
4がNH
2で、R
11がClで、R
13がCF
3で、XがNであるか、R
2が4,5-ジシアノイミダゾール-2- イルで、R
4がClで、R
11がClで、R
13がCF
3で、Xが=C−Clである)。
21. 式(I) または(II)で表される化合物が 1-[4-CF
3-2,6-Cl
2フェニル]-3-シアノ-4-[CF
3-SO]
5-NH
2ピラゾールである請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。