(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989629
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20160825BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
H02J7/10 P
H02M3/155 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-219086(P2013-219086)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-82882(P2015-82882A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊秀
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/145240(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/043138(WO,A1)
【文献】
特開2013−042639(JP,A)
【文献】
特開2006−094690(JP,A)
【文献】
特開2010−124557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、
前記直流電圧を降圧して並列接続された負荷およびバッテリに与える降圧チョッパと、
前記コンバータおよび前記降圧チョッパを制御する制御回路とを備え、
前記降圧チョッパは、前記コンバータと前記負荷および前記バッテリとの間に直列接続されたスイッチング素子およびリアクトルと、還流ダイオードとを含み、
前記制御回路は、前記直流電圧が予め定められたフロート電圧になるように前記コンバータを常時制御し、前記降圧チョッパの出力電圧が前記フロート電圧よりも低い場合は、前記スイッチング素子をオン/オフさせて前記バッテリに一定の充電電流を流し、前記降圧チョッパの出力電圧が前記フロート電圧に到達した後は前記スイッチング素子を常時オンさせる、電力変換装置。
【請求項2】
さらに、前記直流電圧を検出する第1の電圧検出器と、
前記降圧チョッパの出力電圧を検出する第2の電圧検出器と、
前記バッテリの充電電流を検出する電流検出器とを備え、
前記制御回路は、前記第1および第2の電圧検出器と前記電流検出器の検出結果に基づいて前記コンバータおよび前記降圧チョッパを制御する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、
前記直流電圧を降圧して並列接続された負荷およびバッテリに与える降圧チョッパと、
前記コンバータおよび前記降圧チョッパを制御する制御回路とを備え、
前記降圧チョッパは、前記コンバータと前記負荷および前記バッテリとの間に直列接続されたスイッチング素子およびリアクトルと、還流ダイオードとを含み、
前記制御回路は、
前記降圧チョッパの出力電圧が前記交流電圧の最大値よりも低い場合は、前記直流電圧が前記交流電圧の最大値になるように前記コンバータを制御するとともに、前記スイッチング素子をオン/オフさせて前記バッテリに一定の充電電流を流し、
前記降圧チョッパの出力電圧が前記交流電圧の最大値に到達した後は、前記スイッチング素子を常時オンさせるとともに、前記コンバータを制御して前記バッテリに一定の充電電流を流しながら前記降圧チョッパの出力電圧を予め定められたフロート電圧まで上昇させる、電力変換装置。
【請求項4】
さらに、前記交流電圧の瞬時値を検出する第1の電圧検出器と、
前記直流電圧を検出する第2の電圧検出器と、
前記降圧チョッパの出力電圧を検出する第3の電圧検出器と、
前記バッテリの充電電流を検出する電流検出器とを備え、
前記制御回路は、前記第1〜第3の電圧検出器と前記電流検出器の検出結果に基づいて前記コンバータおよび前記降圧チョッパを制御する、請求項3に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電力変換装置に関し、特に、交流電圧を直流電圧に変換して並列接続された負荷およびバッテリに供給する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無停電電源装置は、商用交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、商用交流電力が正常に供給されている通常時はコンバータで生成された直流電力をバッテリに供給し、商用交流電力の供給が停止された停電時はバッテリの直流電力をインバータに与える双方向チョッパとを備えている。コンバータは、常時、一定の直流電圧を出力する。双方向チョッパは、バッテリを充電する場合は、バッテリに一定の充電電流を流し、バッテリの充電が終了した後はバッテリの端子間電圧が一定になるように電流を供給する。
【0003】
また、商用交流電圧を直流電圧に変換して、並列接続された負荷およびバッテリに供給するAC/DC(交流/直流)変換器もある。このAC/DC変換器は、バッテリを充電する場合は定電流を供給し、充電終了後は定電圧を供給する(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−83053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の無停電電源装置では、双方向チョッパのスイッチング素子を常時オン/オフさせていたので、スイッチング素子のスイッチング損失とリアクトルの鉄損が常時発生し、効率が低いという問題があった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、高効率の電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電力変換装置は、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、直流電圧を降圧して並列接続された負荷およびバッテリに与える降圧チョッパと、コンバータおよび降圧チョッパを制御する制御回路とを備えたものである。降圧チョッパは、コンバータと負荷およびバッテリとの間に直列接続されたスイッチング素子およびリアクトルと、還流ダイオードとを含む。制御回路は、直流電圧が予め定められたフロート電圧になるようにコンバータを常時制御し、降圧チョッパの出力電圧がフロート電圧よりも低い場合は、スイッチング素子をオン/オフさせてバッテリに一定の充電電流を流しながら降圧チョッパの出力電圧を上昇させ、降圧チョッパの出力電圧がフロート電圧に到達した後はスイッチング素子を常時オンさせる。
【0008】
また、この発明に係る他の電力変換装置は、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、直流電圧を降圧して並列接続された負荷およびバッテリに与える降圧チョッパと、コンバータおよび降圧チョッパを制御する制御回路とを備えたものである。降圧チョッパは、コンバータと負荷およびバッテリとの間に直列接続されたスイッチング素子およびリアクトルと、還流ダイオードとを含む。制御回路は、降圧チョッパの出力電圧が交流電圧の最大値よりも低い場合は、直流電圧が交流電圧の最大値になるようにコンバータを制御するとともに、スイッチング素子をオン/オフさせてバッテリに一定の充電電流を流しながら降圧チョッパの出力電圧を上昇させる。また、制御回路は、降圧チョッパの出力電圧が交流電圧の最大値よりも高い場合は、スイッチング素子を常時オンさせるとともに、コンバータを制御してバッテリに一定の充電電流を流しながら降圧チョッパの出力電圧を予め定められたフロート電圧まで上昇させる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電力変換装置では、コンバータの出力電圧を所定のフロート電圧に設定し、降圧チョッパのスイッチング素子をオン/オフさせてバッテリに一定の充電電流を流し、降圧チョッパの出力電圧がフロート電圧に到達した後はスイッチング素子を常時オンさせる。したがって、降圧チョッパの電力損失を低減することができ、効率を高くすることができる。
【0010】
また、この発明に係る他の電力変換装置では、降圧チョッパの出力電圧が交流電圧の最大値よりも低い場合は、コンバータの出力電圧を交流電圧の最大値に設定するとともに、スイッチング素子をオン/オフさせてバッテリに一定の充電電流を流す。また、降圧チョッパの出力電圧が交流電圧の最大値に到達した後は、スイッチング素子を常時オンさせるとともに、コンバータを制御してバッテリに一定の充電電流を流しながら降圧チョッパの出力電圧をフロート電圧まで上昇させる。したがって、降圧チョッパの電力損失を低減することができ、効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態1によるAC/DC変換器の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示したAC/DC変換器の要部を示す回路図である。
【
図3】
図2に示した降圧チョッパの制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】この発明の実施の形態2によるAC/DC変換器に含まれるコンバータの制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図4で説明したAC/DC変換器に含まれる降圧チョッパの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1によるAC/DC変換器の構成を示す回路ブロック図である。
図1において、このAC/DC変換器は、入力端子T1、出力端子T2、バッテリ端子T3、コンバータ1、降圧チョッパ2、コンデンサ3、電圧検出器4〜6、電流検出器7、および制御回路8を備える。
【0013】
入力端子T1は、商用交流電源10から商用周波数の交流電力を受ける。出力端子T2には、直流電力によって駆動される負荷11が接続される。バッテリ端子T3には、直流電力を蓄えるバッテリ12が接続される。このAC/DC変換器は、商用交流電源10からの交流電力を直流電力に変換して並列接続された負荷11およびバッテリ12に供給するものである。商用交流電源10からの交流電力の供給が停止されると、すなわち停電が発生すると、バッテリ12の直流電力が負荷11に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ12に直流電力が蓄えられている限りは、負荷11の運転を継続することができる。
【0014】
詳しく説明すると、コンバータ1は、制御回路8によって制御され、商用交流電源10からの交流電力を直流電力に変換する。コンバータ1は常時、商用交流電源10からの交流電圧VACをバッテリ12のフロート電圧Vfに変換する。フロート電圧Vfは、バッテリ12の寿命などを考慮して予め定められた直流電圧である。コンデンサ3は、コンバータ3の出力電圧V1を平滑化させる。
【0015】
降圧チョッパ2は、制御回路8によって制御され、コンバータ1の出力電圧V1を降圧して出力端子T2およびバッテリ端子T3に与える。降圧チョッパ2の出力電圧V2は、コンバータ1の出力電圧V1以下となる。降圧チョッパ2は、V2<Vfである場合は、バッテリ12に一定の充電電流Icを流しながらV2を上昇させ、V2がVfに到達した後はスルー状態になる。
【0016】
電圧検出器4は、入力端子T1に与えられた交流電圧VACの瞬時値を検出し、検出値を示す信号を制御回路8に与える。電圧検出器5は、コンバータ1から出力される直流電圧V1を検出し、検出値を示す信号を制御回路8に与える。電圧検出器6は、降圧チョッパ2から出力される直流電圧V2を検出し、検出値を示す信号を制御回路8に与える。電流検出器7は、降圧チョッパ2からバッテリ12に流れる直流電流Icを検出し、検出値を示す信号を制御回路8に与える。
【0017】
制御回路8は、電圧検出器4,5の出力信号に基づいて、コンバータ1の出力電圧V1がフロート電圧Vfになるようにコンバータ1を常時、制御する。また、制御回路8は、電圧検出器4の出力信号に基づいて停電が発生したか否かを検出し、停電が発生した場合はコンバータ1および降圧チョッパ2の運転を停止させる。
【0018】
また、制御回路8は、電圧検出器5,6および電流検出器7の出力信号に基づいて、降圧チョッパ2を制御する。制御回路8は、降圧チョッパ2の出力電圧V2がフロート電圧Vfよりも低い場合は、バッテリ12に一定の充電電流Icが流れるように降圧チョッパ2を制御し、降圧チョッパ2の出力電圧V2がフロート電圧Vfに到達した後は降圧チョッパ2をスルー状態にする。
【0019】
図2は、AC/DC変換器の要部を示す回路図である。
図2において、商用交流電源10は、三相三線式の交流電源である。AC/DC変換器は、三相交流電圧を受ける3つの入力端子T1a〜T1cと、入力端子T1a〜T1cとコンバータ1の間に設けられた入力フィルタF1とを備える。なお、
図1では、3つの入力端子T1a〜T1cのうちの1つの入力端子が代表的にT1として記載され、入力フィルタF1の図示は省略されている。
【0020】
入力フィルタF1は、コンデンサC1〜C3およびリアクトルL1〜L3を含む。コンデンサC1〜C3の一方電極はそれぞれ入力端子T1a〜T1cに接続され、それらの他方電極は互いに接続されている。リアクトルL1〜L3の一方端子はそれぞれ入力端子T1a〜T1cに接続され、それらの他方端子はコンバータ1に接続される。
【0021】
入力フィルタF1は、ローパスフィルタであり、商用交流電源10からの三相交流電力をコンバータ1に通過させ、コンバータ1で発生したスイッチング周波数の信号が商用交流電源10に通過するのを防止する。
【0022】
コンバータ1は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)Q1〜Q6、ダイオードD1〜D6、直流正母線PL、および直流負母線NLを含む。IGBTQ1〜Q3のコレクタはともに直流正母線PLに接続され、IGBTQ1〜Q3のエミッタはそれぞれリアクトルL1〜L3の他方端子に接続される。IGBTQ4〜Q6のコレクタはそれぞれIGBTQ1〜Q3のエミッタに接続され、IGBTQ4〜Q6のエミッタはともに直流負母線NLに接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれIGBTQ1〜Q6に逆並列に接続されている。コンデンサ3は、母線PL,NL間に接続される。
【0023】
商用交流電源10からの三相交流電圧は、ダイオードD1〜D6により全波整流されてコンデンサ3の電極間に与えられる。このため、コンデンサ3の電極間電圧の最小値(すなわちコンバータ1の出力電圧V1の最小値)は、三相交流電圧の瞬時値の最大値Emとなる。
【0024】
また、IGBTQ1〜Q6の各々は、制御回路8によりオン/オフ制御される。IGBTQ1〜Q6の各々を所定のタイミングでオン/オフさせることにより、商用交流電源10から供給される三相交流電力を直流電力に変換することが可能となっている。三相交流電圧の位相とIGBTQ1〜Q6をオン/オフさせる位相との差を調整することにより、コンバータ1の出力電圧V1をEmから2Emの間の所望の電圧に調整することが可能となっている。本実施の形態1では常時、コンバータ1の出力電圧V1がバッテリ12のフロート電圧Vfに一致するようにIGBTQ1〜Q6がオン/オフ制御される。
【0025】
降圧チョッパ2は、IGBTQ7、ダイオードD7、還流ダイオードD8、リアクトルL4、およびコンデンサC4を含む。IBGTQ7のコレクタは直流正母線PLに接続され、そのエミッタはリアクトルL4を介して降圧チョッパ2の出力ノード2aに接続される。ダイオードD7は、IGBTQ7に逆並列に接続される。コンデンサC4は、出力ノード2aと直流負母線NLの間に接続れる。還流ダイオードD8のアノードは直流負母線NLに接続され、そのカソードはIGBTQ7のエミッタに接続される。
【0026】
IGBTQ7は、制御回路8によって所定の周期でオン/オフされる。IGBTQ7がオンすると、直流正母線PLからIGBTQ7、リアクトルL4、およびコンデンサC4を介して直流負母線NLに電流が流れ、コンデンサC4が充電されるとともに、リアクトルL4に電磁エネルギーが蓄えられる。IGBTQ7がオフすると、リアクトルL4の一方端子からコンデンサC4および還流ダイオードD8を介してリアクトルL4の他方端子に至る経路で電流が流れ、コンデンサC4が充電されるとともに、リアクトルL4の電磁エネルギーが放出される。
【0027】
一周期当たりのIGBTQ7のオン時間(デューティ比)を調整することにより、コンデンサC4の端子間電圧V2を調整することが可能となっている。一周期当たりのIGBTQ7のオン時間を大きくすることにより、降圧チョッパ2の出力電圧V2を大きくすることができる。バッテリ12を充電する場合(V2<Vfの場合)は、バッテリ12に一定の充電電流Icを流しながら、出力電圧V2をフロート電圧Vfまで上昇させる。バッテリ12の充電が終了した後(V2=Vfとなった後)は、IGBTQ7はオン状態に固定される。
【0028】
次に、このAC/DC変換器の動作について説明する。初期状態では、バッテリ12の端子間電圧はフロート電圧Vfよりも低下しているものとする。商用交流電源10から交流電力が正常に供給されている場合、制御回路8はコンバータ1と降圧チョッパ2の運転を開始する。制御回路8は、コンバータ1の出力電圧V1が所定のフロート電圧Vfになるようにコンバータ1を常時、制御する。また、制御回路8は、バッテリ12に一定の充電電流Icが流れるように降圧チョッパ2を制御する。
【0029】
図3は、降圧チョッパ2の制御方法を示すフローチャートである。ステップS1において制御回路8は、電圧検出器6の出力信号に基づいて降圧チョッパ2の出力電圧V2を検出する。ステップS2において制御回路8は、V2<Vfか否かを判別し、V2<Vfである場合はステップS3に進み、V2<Vfでない場合はステップS4に進む。
【0030】
ステップS3では、バッテリ12の充電がまだ終了していないので、バッテリ12に一定の充電電流Icが流れるように降圧チョッパ2を制御し、ステップS1に戻る。またステップS4では、バッテリ12の充電が終了したので、降圧チョッパ2のIGBTQ7を常時オン状態にしてステップS1に戻る。
【0031】
IGBTQ7を常時オンさせた場合は、コンバータ1の出力電圧V1=VfがIGBTQ7およびリアクトルL4を介して負荷11およびバッテリ12に供給され、負荷11が安定に運転される。停電が発生した場合は、コンバータ1および降圧チョッパ2の運転が停止されてIGBTQ1〜Q7がオフされ、バッテリ12から負荷11に直流電力が供給されて負荷11の運転が継続される。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリ12に直流電力が蓄えられている限りは負荷11の運転が継続される。商用交流電源10からの交流電力の供給が再開された場合は、再びコンバータ1および降圧チョッパ2の運転が開始される。
【0032】
この実施の形態1では、コンバータ1の出力電圧V1を所定のフロート電圧Vfに設定し、降圧チョッパ2のIGBTQ7をオン/オフさせてバッテリ12に一定の充電電流Icを流し、降圧チョッパ12の出力電圧V2がフロート電圧Vfに到達した後はIGBT7を常時オンさせる。したがって、IGBTQ7のスイッチング損失とリアクトルL4の鉄損を低減することができ、AC/DC変換器の効率を高くすることができる。
【0033】
[実施の形態2]
この発明の実施の形態2によるAC/DC変換器の構成は、実施の形態1と同じである。ただし、実施の形態2では、制御回路8によるコンバータ1および降圧チョッパ2の制御方法が実施の形態1と異なる。
【0034】
以下に、このAC/DC変換器の動作について説明する。初期状態では、バッテリ12の端子間電圧はフロート電圧Vfよりも低下しているものとする。商用交流電源10から交流電力が正常に供給されている場合、制御回路8はコンバータ1と降圧チョッパ2の運転を開始する。
【0035】
図4はコンバータ1の制御方法を示すフローチャートであり、
図5は降圧チョッパ2の制御方法を示すフローチャートである。
図4のステップS11において制御回路8は、電圧検出器6の出力信号に基づいて降圧チョッパ2の出力電圧V2を検出するとともに、電圧検出器4の出力信号に基づいて交流電圧VACの瞬時値の最大値Emを検出する。
【0036】
ステップS12において制御回路8は、V2<Emか否かを判別し、V2<Emである場合はステップS13に進み、V2<Emでない場合はステップS14に進む。ステップS13では、バッテリ12の充電レベルがまだ低いので、コンバータ1の出力電圧V1が最低値Em一定になるようにコンバータ1の定電圧制御を行なう。
【0037】
ステップS14において制御回路8は、V2<Vfか否かを判別し、V2<Vfである場合はステップS15に進み、V2<Vfでない場合はステップS16に進む。ステップS15では、降圧チョッパ2のIGBTQ7が常時オンにされているので(
図5のステップS22)、コンバータ1を制御し、バッテリ12に一定の充電電流Icを流して降圧チョッパ2の出力電圧V2を上昇させる。ステップS16では、バッテリ12の充電が終了しているので、コンバータ1の出力電圧V1がフロート電圧Vfになるようにコンバータ1の定電圧制御を行なう。
【0038】
また、
図5のステップS11において制御回路8はV2とEmを検出し、ステップS12においてV2<Emか否かを判別し、V2<Emである場合はステップS21に進み、V2<Emでない場合はステップS22に進む。ステップS21では、バッテリ12の充電レベルがまだ低いので、降圧チョッパ2のIGBTQ7をオン/オフ制御し、バッテリ12に一定の充電電流Icを流して出力電圧V2を上昇させる。また、ステップS22では、バッテリ12の充電レベルが高くなっているので、IGBTQ7を常時オンさせ、それ以降におけるバッテリ12の充電はコンバータ1に委ねる(
図4のステップS14〜S16)。停電が発生した場合などの動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0039】
この実施の形態2では、V2<Emである場合は、コンバータ1の出力電圧V1をEmに設定するとともに、IGBTQ7をオン/オフさせてバッテリ12に一定の充電電流Icを流し、V2を上昇させる。また、V2>Emである場合は、IGBTQ7を常時オンさせるとともに、コンバータ1を制御してバッテリ12に一定の充電電流Icを流しながらV2をフロート電圧Vfまで上昇させる。したがって、IGBTQ7のスイッチング損失とリアクトルL4の鉄損を低減することができ、AC/DC変換器の効率を高くすることができる。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
T1 入力端子、T2 出力端子、T3 バッテリ端子、1 コンバータ、2 降圧チョッパ、3,C1〜C4 コンデンサ、4〜6 電圧検出器、7 電流検出器、8 制御回路、10 商用交流電源、11 負荷、12 バッテリ、F1 入力フィルタ、L1〜L4 リアクトル、Q1〜Q7 IGBT、D1〜D7 ダイオード、PL 直流正母線、NL 直流負母線、D8 還流ダイオード。