特許第5989635号(P5989635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989635HCVの大環状阻害剤、非ヌクレオシドおよびヌクレオシドの組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989635
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】HCVの大環状阻害剤、非ヌクレオシドおよびヌクレオシドの組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/55 20060101AFI20160825BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALN20160825BHJP
【FI】
   A61K31/55
   A61K31/4709
   A61K31/7056
   A61K37/66 G
   A61P31/14
   A61P43/00 121
   !A61K31/7068
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-504263(P2013-504263)
(86)(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公表番号】特表2013-523866(P2013-523866A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011055836
(87)【国際公開番号】WO2011128378
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】10159825.8
(32)【優先日】2010年4月13日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511257377
【氏名又は名称】ジヤンセン・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド
(73)【特許権者】
【識別番号】508030109
【氏名又は名称】メデイビル・エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,ツエ−アイ
(72)【発明者】
【氏名】レンツ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ラボワソン,ピエール・ジヤン−マリー・ベルナール
【審査官】 深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/003658(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/031829(WO,A1)
【文献】 GASTROENTEROLOGY,2010年 3月 1日,V138 N3,P913-921
【文献】 ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,2009年 4月,V53 N4,P1377-1385
【文献】 ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,2010年 2月22日,V54 N5,P1878-1887
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/55
A61K 31/4709
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式Iの化合物:
【化1】
若しくはその製薬学的に許容できる塩、
および(ii)式IIIの化合物:
【化2】
若しくはその製薬学的に許容できる塩
有効成分として含んでなるHCV感染若しくはそれと関連する疾患の予防および/若しくは処置での使用のための組合せ製薬学的製品。
【請求項2】
式Iおよび式IIIの化合物が組合せ製薬学的組成物として処方される、請求項1に記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項3】
式Iおよび式IIIの化合物が別個に処方される、請求項1に記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項4】
リトナビル若しくはその製薬学的に許容できる塩をさらに含んでなる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項5】
リトナビルが該組合せの有効成分の1種若しくはそれ以上と共処方される、請求項4に記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項6】
リトナビルが別個の製剤として使用される、請求項4に記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項7】
リバビリンおよびインターフェロンから選択されるさらなる1剤と組合せられる、請求項1ないし6のいずれかに記載の組合せ製薬学的製品。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載の組合せ製薬学的製品および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVの大環状NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤、HCV NS5Bポリメラーゼを阻害する非ヌクレオシドおよびHCV NS5Bポリメラーゼを阻害するヌクレオシドの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパシウイルス属のウイルスのフラビウイルス科の1メンバー、C型肝炎ウイルス(HCV)は世界中の慢性肝疾患の第一位の原因である。診断薬および血液検査の開発が新たな感染の率をかなり低下させたとは言え、HCVはその慢性の性質および長期の肝損傷のその可能性により世界的な健康上の負担のままである。6種の主要なHCV遺伝子型(1−6)および複数のサブタイプ(文字により表される)が存在する。遺伝子型1bは欧州で優勢である一方、遺伝子型1aは北米で優勢である。遺伝子型は、治療に対する潜在的応答およびこうした治療の必要とされる期間の決定において臨床上重要である。
【0003】
HCVは主に血液接触により伝染される。最初の急性感染後に、感染個体の大多数は慢性肝炎を発症する。HCVが肝細胞中で優先的に複製するがしかし直接細胞壊死性でないためである。数十年にわたり、かなりの数の感染者が、線維症、肝硬変および肝細胞癌を発症し、慢性HCV感染は肝移植の第一位の原因である。これおよび関与する患者の数が、HCVをかなりの医学研究の焦点にした。
【0004】
HCVのゲノムの複製は多数の酵素により媒介され、HCV NS3/4Aセリンプロテアーゼおよびその関連補助因子NS4Aはそれらの1つである。この過程の別の不可欠の酵素はNS5Bポリメラーゼである。NS3/4AセリンプロテアーゼおよびNS5Bポリメラーゼの双方がウイルス複製に不可欠であると考えられており、そしてこれらの酵素の阻害剤はHCV処置の薬物候補と考えられる。
【0005】
現在の標準治療は週1回のペグ化(pegylated)インターフェロン−α(IFN−α)および1日2回のリバビリンの併用療法よりなり、そして遺伝子型2若しくは3により感染した患者の約80%、しかし遺伝子型1の患者のわずか40ないし50%を治癒することが可能である。遺伝子型1の患者における低い成功率は別にして、この処置は流感様症状、貧血およびうつを包含する広範な副作用もまた伴う。これゆえに、副作用、制限される有効性、乏しい認容性、耐性の出現ならびにコンプライアンス失敗のような、現在のHCV治療の欠点をとりわけ克服する、より安全かつより強力な薬物に対する必要性が存在する。
【0006】
HCVポリメラーゼの高いエラー率は、高いウイルスターンオーバーと一緒になって、各患者内のHCVゲノムの不均一な集団をもたらし、そして、これらのバリアントの頻度および適応度に依存して、ウイルス根絶の高い障壁を提供する。従って、今後の治療は、抗ウイルス効果を高めかつまた耐性発生の閾値を上げて究極的には持続性ウイルス陰性化(SVR)率を改善するために、必要な場合はIFN−αおよびリバビリンを含む数種の抗ウイルス薬の組合せよりなることができることがありそうである。
【0007】
HCV NS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害する多様な剤が記述されている。特許文献1は中央の置換プロリン部分もつ、また特許文献2は中央シクロペンチル部分をもつ、直鎖状および大環状NS3セリンプロテアーゼ阻害剤を開示する。これらのなかでも、大環状誘導体はそれらの効力および興味深い薬物動態プロファイルにより魅力的である。特許文献3は一連の大環状NS3セリンプロテアーゼ阻害剤を開示する。これらのうち、
(1R,4R,6S,7Z,15R,17R)−N−[17−[2−(4−イソプロピルチアゾール−2−イル)−7−メトキシ−8−メチル−キノリン−4−イルオキシ]−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザトリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデス−7−エン−4−カルボニル](シクロプロピル)スルホンアミドともまた称され得る、化合物(1R,4R,6S,15R,17R)−シス−N−[17−[2−(4−イソプロピルチアゾール−2−イル)−7−メトキシ−8−メチル−キノリン−4−イルオキシ]−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザトリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデス−7−エン−4−カルボニル](シクロプロピル)スルホンアミド、すなわち下で描かれる化学構造をもつ式Iの化合物が、とりわけ興味深い。この化合物は、HCVに対し顕著な活性を示し、魅力的な薬物動態プロファイルを有しかつ十分に認容される。この化合物は特許文献3の実施例5に記述される合成手順により製造し得る。
【0008】
RNA依存性RNAポリメラーゼNS5BはRNAゲノムの複製に不可欠である。この酵素のヌクレオシドおよび非ヌクレオシド双方の阻害剤が既知である。
【0009】
例えば、特許文献4は多数のヌクレオシド阻害剤を記述し、その1つが4−アミノ−1−((2R,3S,4S,5R)−5−アジド−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン、すなわち下で描かれる化学構造をもつ式IIの化合物である。この化合物は特許文献4の実施例1に記述される合成手順により製造し得る。
【0010】
特許文献5は多数の非ヌクレオシド阻害剤を記述し、その1つが下で描かれる化学構造をもつ式IIIの化合物である。この化合物は特許文献5の実施例1に記述される合成手順により製造し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】第WO 05/073195号明細書
【特許文献2】第WO 05/073216号明細書
【特許文献3】第WO 2007/014926号明細書
【特許文献4】第WO 2008/043704号明細書
【特許文献5】第WO2010/003658号明細書
【発明の概要】
【0012】
[発明の要約]
本発明は、式Iの化合物:
【0013】
【化1】
【0014】
若しくはその製薬学的に許容できる塩、
式IIの化合物:
【0015】
【化2】
【0016】
若しくはその製薬学的に許容できる塩、
および式IIIの化合物:
【0017】
【化3】
【0018】
若しくはその製薬学的に許容できる塩
を含んでなる組合せに関する。
【0019】
これらの有効成分の組合せが抗HCV活性を増大させかつ耐性コロニーの出現を抑制して、それにより各単一阻害剤単独と比較して耐性に対する遺伝的障壁を上げることが見出された。これらの有効成分の組合せが、低用量の式I、IIおよびIIIの3種の直接抗ウイルス薬ででさえ、レプリコンHCV RNAの排除を改良することもまた見出された。
【0020】
[発明の詳細な記述]
式I、式II若しくは式IIIの化合物は、製薬学的に許容できる塩の形態で若しくは遊離の(すなわち塩以外の)形態で使用しうる。塩の形態は遊離の形態を酸若しくは塩基で処理することにより得ることができる。製薬学的に許容できる酸および塩基付加塩が興味深く、これらは、式IおよびIIの化合物が形成することが可能である、治療上有効な非毒性の酸および塩基付加塩の形態を含んでなることを意味している。式IおよびIIの化合物の製薬学的に許容できる酸付加塩は、遊離の形態をこうした適切な酸で処理することにより便宜的に得ることができる。適切な酸は、例えば、臭化水素酸若しくはとりわけ塩酸のようなハロ水素酸;または硫酸、硝酸、リン酸および類似の酸のような無機酸;あるいは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および類似の酸のような有機酸を含んでなる。式Iの化合物はまた、適切な有機若しくは無機塩基での処理により製薬学的に許容できる金属若しくはアミン付加塩の形態にも転化しうる。適切な塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩例えばリチウム、ナトリウム若しくはカリウム塩;またはマグネシウム若しくはカルシウム塩;有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、および例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。付加塩の形態という用語は、式I若しくは式IIの化合物ならびにそれらの塩が形成しうるいかなる溶媒和物もまた含んでなることを意味している。こうした溶媒和物は例えば水和物、アルコール和物例えばエタノラートなどである。遊離の(すなわち塩以外の)形態の式IIの化合物、若しくは製薬学的に許容できる塩の形態の式Iの化合物が興味深い。
【0021】
本発明の組合せ中の式I、IIおよびIIIの有効成分の間のEC50比は変動しうる。本明細書で使用されるところの「EC50比」という用語は、式IIの化合物のEC50値および式IIIの化合物のEC50値に対する式Iの化合物のEC50値の比を指し、前記EC50値はHCVレプリコン試験で得られる。後者は具体的に下述される試験方法である。本試験において、式Iの平均EC50値が8nMであり、および式IIの平均EC50値が5μMであり、ならびに第WO2010/003658号明細書中の化合物IIIの報告されるEC50値は0.07μMであることが見出された。
【0022】
上のEC50値に基づき、有効血漿濃度は、該EC50値を、血漿タンパク質結合を表す係数および安全域を表す係数で乗算することにより決定し得る。後者の係数は約10に設定し得る。タンパク質結合は、ヒト血清アルブミン、リポタンパク質、糖タンパク質、α、βおよびγグロブリンのような血液タンパク質に結合される量を測定することにより決定し得る。ウイルス学的有効用量ともまた称され得る有効血漿濃度は、有効な抗ウイルス活性を提供するのに必要とされる用量、すなわちウイルス量を効果的に低下させる用量を表す。ウイルス量は、それが約2桁若しくはそれ以上、好ましくはウイルスの検出限界より下に低下される場合に効果的に低下される。ウイルス学的有効用量から、投与されるべき用量(すなわち薬物の量)は、見かけの分布容積としてもまた知られる分布容積(V)を用いて計算し得る。これは、経口若しくは非経口投与後の血漿と身体の残部の間の医薬品の分布を定量するのに使用される薬理学用語である。それは、観察される血液濃度を生じるように均一に分布されるために該量の薬物が必要とするであろう容積と定義され
る。Vは、予め決められた量の有効成分を投与しかつ血漿濃度を測定する動物モデルで決定し得る。
【0023】
毎日投与される本発明の組合せ中の式Iの化合物の量は、約1mgから約2500mgまで、約5mgないし約1000mg、若しくは約10mgから約500mgまで、若しくは約25mgから約250mgまで、若しくは約25mgから約200mgまで変動しうる。式Iの化合物の1日量の例は、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、200mgおよび400mgである。毎日投与される式IIの化合物の量は、約250mgから約20,000mgまで、若しくは約500mgから約16,000mgまで、若しくは約1000mgから約12,000mgまで、若しくは約3000mgから約12,000mgまで、若しくは約3000mgから約6000mgまで変動しうる。式IIの化合物の1日量の例は、3000mg、4500mg、6000mg、12,000mgである。毎日投与される式IIIの化合物の量は、約10mgから約2500mgまで、若しくは約20mgから約1000mgまで、若しくは約50mgから約750mgまで、若しくは約100mgから約500mgまで、若しくは約125mgから約250mgまで変動しうる。式IIIの化合物の1日量の例は、100mg、150mg、200mg、500mgおよび1000mgである。これおよび以下の段落で挙げられる全部の量は遊離の形態(すなわち塩以外の形態)を指す。上の値は遊離の形態の同等物、すなわち遊離の形態が投与されるであろうかのような量を表す。塩が投与される場合、該量は、塩と遊離の形態の間の分子量比の関数で計算される必要がある。
【0024】
上で挙げられた1日用量は、約70kgの平均体重について計算されており、そして、小児科の応用の場合、若しくは実質的にそれる(diverting)体重を伴う患者で使用される場合に再計算されるべきである。
【0025】
投薬量は、該日を通じて適切な間隔で投与される1、2、3若しくは4またはそれ以上の下位用量として提示されうる。使用される投薬量は、好ましくは、上で挙げられた式Iの化合物若しくは式IIの化合物の1日量、またはその1/2、1/3若しくは1/4のようなその下位用量に対応する。剤形は、前の段落で挙げられた範囲若しくは量に等しい量の化合物I、化合物II若しくは化合物IIIまたは全3種を一緒に含有することができ、例えば、ある剤形は、25mg、50mg、100mg、200mgの化合物I、250mg、500mg、1000mg、1500mg若しくは2000mgの化合物II、100mg、150mg、200mg、500mg若しくは1000mgの化合物IIIを別個の製剤若しくは組合せ製剤に含有しうる。一態様において、式Iの化合物は1日1回(q.d.)、具体的には1日あたり1用量として投与され、および式IIの化合物は1日1回若しくは2回(q.d.若しくはb.i.d.)、具体的には1日あたり1若しくは2用量として投与され、ならびに式IIIの化合物は1日1回若しくは2回(q.d.若しくはb.i.d.)、具体的には1日あたり1若しくは2用量として投与される。式Iおよび式IIおよび式IIIの全3種の化合物を1日1回投与すべきである場合、これは、化合物Iを含む1つ、化合物IIを含む他者、および化合物IIIを含む第三者の3種の別個の用量を投与することにより、若しくは化合物Iおよび化合物IIおよび化合物IIIを含有する組合せた1用量を投与することにより達成し得る。
【0026】
本発明の組合せは、毎日1回、2回、3、4若しくは所望の場合は複数回投与しうる。一態様において、該組合せは1日1回投与される。別の態様において、該組合せは1日2回若しくは1日あたり3回投与される。投薬量の投与は別個の剤形、すなわち化合物Iのみ若しくは化合物IIのみ若しくは化合物IIIのみを含有する剤形によっても;または有効成分I、IIおよびIIIを含有する組合せ剤形によってもよい。また、組合せ剤形および別個の剤形を使用することの混合を使用し得る。投与し得る剤形は下述され、経口剤形、具体的には錠剤若しくはカプセル剤が好ましい。
【0027】
有効成分は、別個に若しくは組合せ製薬学的組成物としてのいずれかで製薬学的組成物に処方しうる。後者の場合は、治療上有効な量の式Iの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩、および式IIの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩、および式IIIの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩(前述は本明細書に明記されるとおりである)ならびに製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物が提供される。この文脈における治療上有効な量は、感染被験体若しくは感染する危険にさらされている被験体に対し予防的方法で作用する、またはそれらにおいてHCV感染を安定化若しくは低下させるのに十分な量である。治療上有効な量は、具体的には、毎日の投与について上で挙げられた量、若しくは複数の毎日の投与の場合はその下位用量の量に対応しうる。
【0028】
さらなる一局面において、本発明は、製薬学的に許容できる担体を、治療上有効な量の式Iの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩、および治療上有効な量の式IIの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩、および治療上有効な量の式IIIの化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩と緊密に混合することを含んでなる、本明細書に明記されるところの製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0029】
本明細書で提供される組合せは、HCV治療での同時、別個若しくは連続使用のための組合せ製剤としてもまた処方しうる。こうした場合には、式Iの化合物を他の製薬学的に許容できる賦形剤を含有する製薬学的組成物に処方し、および式IIの化合物を他の製薬学的に許容できる賦形剤を含有する製薬学的組成物に別個に処方し、ならびに式IIIの化合物を他の製薬学的に許容できる賦形剤を含有する製薬学的組成物に別個に処方する。
【0030】
便宜的には、これらの別個の製薬学的組成物は、同時、別個若しくは連続使用のためのキットの一部であり得る。
【0031】
本発明の組合せの個々の成分は、同時に、若しくは治療の経過の間の異なる時点で別個に、または分割された若しくは単一の組合せの形態で付随して投与し得る。
【0032】
従って、個別の若しくは組合せの式I、IIおよびIIIの化合物は、投与の目的上適する多様な製薬学的組成物に処方しうる。これらにおいて、治療上有効な量の特定の化合物若しくは全3種の化合物を製薬学的に許容できる担体と組合せ、この担体は投与に望ましい製剤の形態に依存して多様な形態を取りうる。製薬学的組成物は、経口で、非経口で(皮下、筋肉内および静脈内を包含する)、直腸で、経皮で、舌下で若しくは鼻で投与されるべき医薬品として製造しうる。経口投与のための適する組成物は、散剤、顆粒剤、凝集物、錠剤、圧縮若しくはコーティング丸剤、糖衣錠、香剤(sachet)、硬若しくはゼラチンカプセル剤、シロップ剤および懸濁剤を包含する。非経口投与のための適する組成物は水性若しくは非水性溶液若しくは乳剤を包含する一方、直腸投与のためには、投与のための適する組成物は親水性若しくは疎水性ベヒクルを含む坐剤を包含する。局所投与のためには適する経皮送達系を使用し得、また、鼻送達のためには適するエアゾル送達系を使用し得る。
【0033】
例えば、経口投与のための組成物の製造において、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液のような経口液体組成物の場合は例えば水、グリコール、油、アルコールなど;または固体の組成物の場合はデンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体のような、通常の製薬学的媒体のいずれも使用しうる。非経口組成物については、担体は通常少なくとも大部分で滅菌水を含むことができるとは言え、可溶化剤、乳化剤若しくはさらなる補助物質のような他の成分をそれに添加しうる。担体が食塩溶液、ブドウ糖溶液若しくは双方の混合物を含んでなる注入可能な溶液を製造しうる。注入可能な懸濁液もまた製造することができ、この場合は適切な液体担体、懸濁化剤な
どを使用しうる。再構成のための粉末のような、使用直前に液体形態の製剤に転化されることを意図している固体形態の製剤もまた包含される。経皮投与に適する組成物で、担体は、少ない比率の適する皮膚適合性の添加物と場合によっては組合せられる皮膚浸透増強剤および/若しくは湿潤剤を場合によっては含んでなる。式I若しくはIIの化合物またはそれらの組合せは、溶液、懸濁剤若しくは乾燥散剤のようなこの投与の型に適する製剤により経口吸入若しくはガス注入を介してもまた投与しうる。エアゾル剤若しくはスプレー剤の形態での投与のための適する製薬学的組成物は、例えば、エタノール若しくは水またはそれらの混合物のような製薬学的に許容できる液体担体中の式I若しくはIIの化合物または双方の懸濁剤である。必要とされる場合、該製剤は、界面活性剤、乳化剤および安定化剤ならびに噴射剤のような他の製薬学的補助物質もまた付加的に含有し得る。こうした製剤は、通例におよそ0.1から50%まで、具体的にはおよそ0.3から3重量%までの濃度の有効成分を含有する。
【0034】
該製薬学的組成物は、式I若しくは式II若しくは式III、または組合せた全3種の有効成分を、約0.1%ないし約50%、若しくは約1%ないし約30%、若しくは約3%ないし約20%、若しくは約5%ないし約20%の濃度で含有することができ、全部のパーセンテージは重量である。化合物式Iおよび式IIおよび式IIIの全3種を含有する組成物中で、式Iの化合物は約0.1%ないし約50%、若しくは約1%ないし約30%、若しくは約3%ないし約20%、若しくは約5%ないし約20%の濃度で存在し;また、式IIの化合物は約3%ないし約50%、若しくは約5%ないし約50%、若しくは約10%ないし約50%、若しくは約10%ないし約50%、若しくは約10%ないし約30%の濃度で存在し;式IIIの化合物は、約0.1%ないし約50%、若しくは約1%ないし約30%、若しくは約3%ないし約20%、若しくは約5%ないし約20%の濃度で存在する。
【0035】
該製薬学的組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のため単位剤形で便宜的に提示されうる。例は、錠剤(割線付き若しくはコーティング錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、坐剤、散剤包、カシェ剤、注入可能な溶液若しくは懸濁剤など、およびそれらの分離された倍数を包含する。錠剤若しくはカプセル剤のような経口投与のための固体剤形が興味深い。
【0036】
単位投与形態の固体剤形はいずれの既知の包装に包装されてもよく、とりわけ錠剤およびカプセル剤にはブリスターパックが好ましい。式I、式IIおよび式IIIの化合物が別個に処方される場合、それらは別個のブリスターに包装され得るが、しかし1個のブリスターは、化合物IIの化合物IIIのと同様に化合物Iの単位投与形態、例えば化合物Iの単位を含む1列および化合物IIを含む別のものならびに化合物IIIを含む別のものを含みうる。他の可能性が同様に可能でありうる。
【0037】
本発明の組合せはHCV感染ならびにHCVに関連する疾患を処置するのに使用しうる。HCVに関連する疾患は、進行性肝線維症、肝硬変に至る炎症および壊死、末期肝疾患ならびにHCC(肝細胞癌)を包含する。
【0038】
式I若しくは式II若しくは式IIIの化合物のHCVに対するin vitro抗ウイルス活性は、Kriegerら(2001)Journal of Virology
75:4614−4624(引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるさらなる改変を含むLohmannら(1999)Science 285:110−113に基づく細胞HCVレプリコン系で試験し得、これは実施例の節でさらに例示される。このモデルは、HCVの完全な感染モデルでない一方、現在利用可能な自律HCV RNA複製の最も確実かつ効率的なモデルとして広く受け入れられている。HCVに対するin vitro抗ウイルス活性は酵素試験によってもまた試験し得る。
【0039】
本明細書に明記されるところの式I、式IIの化合物および式IIIの化合物の組合せは、HCVに感染した温血動物、具体的にはヒトの処置で、およびHCV感染の予防に有用である。
【0040】
本発明は、従って、HCVにより感染したか若しくはHCVによる感染の危険にさらされている温血動物、具体的にはヒトの処置方法にさらに関し、前記方法は、本明細書に明記されるところの抗HCV有効量の式I、式IIの化合物および式IIIの化合物の組合せの投与を含んでなる。本発明は、同様に、抗ウイルス的有効量の本明細書に明記されるところの式I、式IIの化合物、および式II、式IIIの化合物の組合せを投与することを含んでなる、哺乳動物におけるHCV関連の状態の処置若しくはHCV関連の状態の予防方法を提供する。
【0041】
本発明の組合せは医薬品として使用しうる。本発明はまた、HCV感染若しくはHCV関連の状態の処置若しくは予防のための医薬品の製造のための本明細書に記述されるところの組合せの使用にも関する。
【0042】
さらなる一局面において、本発明は、HCV感染の処置での同時、別個若しくは連続使用のための組合せ製剤としての、式I、式IIの化合物および式IIIの化合物ならびに場合によっては別の抗HCV化合物を含有する生成物に関する。
【0043】
本発明の組合せは順に1種若しくはそれ以上のさらなる抗HCV化合物と組合せうる。IFN−α(ペグ化若しくはそれ以外)および/またはリバビリンとの組合せが興味深い。
【0044】
本発明の組合せと共投与しうる他の剤は、別個の製剤として投与しうるか、または、式I、式II若しくは式IIIの有効成分の1種若しくはそれ以上と共処方しうる。
【0045】
他の抗HCV剤を含むものを包含する本発明の組合せは、生物学的利用率を改良する薬物代謝および/若しくは薬物動態に対する正の影響を有する剤、例えばリトナビル若しくはその製薬学的に許容できる塩ともまた組合せうる。該リトナビルは別個の製剤として使用しても、または本発明の組合せの有効成分の1種若しくはそれ以上と共処方してもよい。式Iの化合物若しくは式IIの化合物若しくは式IIの化合物の重量/リトナビルに対する重量比は、約10:1から約1:10まで、若しくは約6:1から約1:6まで、若しくは約1:1から約10:1まで、若しくは約1:1から約6:1まで、若しくは約1:1から約4:1まで、若しくは約1:1から約3:1まで、若しくは約1:1から約2:1までの範囲にありうる。
【0046】
本発明のなおさらなる一局面において、式(I)の化合物、式IIIの化合物、および式IIの化合物のエステルプロドラッグの組合せが提供される。これらは、式IIa:
【0047】
【化4】
【0048】
若しくはその製薬学的に許容できる塩[ここで、Rは水素でありかつRはC1−18アルキル−CO−であるか;若しくはRは水素でありかつRはC1−18アルキル−CO−であるか;またはRおよびRの双方がC1−18アルキル−CO−であり;各C1−18アルキルは独立に、1から18個までの炭素原子を有する非分枝状若しくは分枝状飽和炭化水素基であり;ならびに、各C1−18は具体的にはC1−6アルキルでありかつより具体的にはC3−4アルキルである]
により表され得る、第WO 2008/043704号明細書に記述される式IIの化合物、具体的には4’および5’ヒドロキシエステルを含んでなる。こうしたエステルプロドラッグの例は、Rが水素でありかつRがイソプロピルであるか;若しくはRが水素でありかつRがイソプロピル−CO−であるか;またはRおよびRの双方がイソプロピル−CO−である式IIaの化合物である。イソプロピル−CO−という用語はイソブチリルともまた称され得るイソ酪酸のエステルを指す。式IIaのプロドラッグの製薬学的に許容できる塩は式IIの化合物の塩について上述されたとおりである。
【0049】
本局面において、式(II)の化合物は、上述された組合せ、製剤、用途若しくは方法で同等量のエステルプロドラッグにより置換される。
【0050】
本明細書で使用されるところの「約」という用語はその慣習的な意味するところを有する。特定の態様において、数値に関する場合、それは、数値±10%、若しくは±5%、若しくは±2%、若しくは±1%、若しくは±0.5%、若しくは±0.1%を意味すると解釈されうる。他の態様において、正確な値をすなわち「約」という語を除外することにより意味している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】抗ウイルス活性に対する(A)化合物Iおよび化合物II、(B)化合物Iおよび化合物III、ならびに(C)化合物IIおよび化合物IIIを組合せることの効果。それぞれの実験のMacSynergyTM IIソフトウェアにより生じられるところの95%信頼区間(CI)での三次元相乗作用プロットを示す。
図2】化合物I、IIおよびIII単独(A)若しくは組合せ(BおよびC)の存在下の細胞コロニー形成。生存細胞コロニーの数を各細胞培養皿について右下角に示す。EC50は50%有効濃度を意味している。
図3】化合物I、IIおよびIII単独ならびに組合せの存在下のレプリコン含有細胞からのHCV RNAの排除。再結合期は灰色で陰を付けられ、またRT−PCRカットオフを赤線として示す。生存レプリコン細胞コロニーの数を示す。HCV、C型肝炎ウイルス;RNA、リボ核酸;RT−PCR、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は本発明を具体的に説明することを意図しており、そしてそれをそれに制限することを意図していない。
【実施例1】
【0053】
式I、IIおよびIIIの化合物の活性
レプリコンアッセイ
式I、IIおよびIIIの化合物を細胞アッセイにてHCV RNA複製の阻害における活性について検査した。該細胞アッセイは、多標的スクリーニング戦略においてKriegerら(2001)Journal of Virology 75:4614−4624により記述された改変を伴うLohmannら(1999)Science vo
l.285 pp.110−113により記述されるところの2シストロン性発現構築物に基づいた。本質的に、該方法は後に続くとおりであった。
【0054】
該アッセイは、安定にトランスフェクトされた細胞株Huh−7 luc/neo(下でHuh−Lucと称される)に基づいた。この細胞株は、レポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)により先行される、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの配列内リボソーム進入部位(IRES)から翻訳された1b型HCVの野生型NS3−NS5B領域、および選択可能なマーカー部分(neo、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)を含んでなる2シストロン性発現構築物をコードするRNAを持つ。該構築物は、1b型HCVからの5’および3’NTR(非翻訳領域)により境を接せられている。G418(neo)の存在下でのレプリコン細胞の連続培養はHCV RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律的にかつ高レベルまで複製する、HCV RNAを発現する安定にトランスフェクトされたレプリコン細胞を、抗ウイルス化合物をスクリーニングするのに使用する。
【0055】
該レプリコン細胞を、多様な濃度で添加された試験および対照化合物の存在下で384ウェルプレートにプレーティングした。3日のインキュベーション後に、HCV複製を(標準的ルシフェラーゼアッセイ基質および試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTm ultraHTSマイクロプレートイーメジャーを使用して)ルシフェラーゼ活性をアッセイすることにより測定した。対照培養物中のレプリコン細胞はいかなる阻害剤の非存在下でも高いルシフェラーゼ発現を有する。化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞で監視して各試験化合物の用量反応曲線を可能にした。EC50値をその後計算し、この値は、検出されたルシフェラーゼ活性、若しくは、より具体的には、遺伝子的に結合されたHCVレプリコンRNAの複製する能力のレベルを50%低下させるのに必要とされる化合物の量を表す。
【0056】
抗HCV活性に対する化合物I、IIおよびIIIを組合せることの効果を図1および表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
MacSynergyTM IIソフトウェアにより生じられるところの95%信頼区間(CI)での相乗作用および拮抗作用量。<25、25−50、50−100および>100という相乗作用量は、それぞれ取るに足りない相乗作用、わずかな相乗作用、中程度の相乗作用および強い相乗作用を示す。示される結果は2回若しくはそれ以上の実験からの平均である。
【0059】
化合物III若しくは化合物IIと組合せの化合物Iでの細胞の処理はそれぞれ相加的若しくは相乗的抗HCV活性をもたらした。化合物IIと組合せの化合物IIIでの処理は相加的抗HCV活性をもたらした。
【0060】
試験された組合せのいずれでも細胞傷害性は観察されなかった。
【実施例2】
【0061】
コロニー形成。
コロニー形成を、式I、IIおよびIIIの化合物の存在下でHCV遺伝子型1bレプリコン含有細胞を使用して測定した。Huh7−Lucレプリコン細胞(20,000個)をDMEMおよび10%FCSを含有する10cm皿に播種し、そして1,000μg/mL G418の存在下で異なる濃度の単一阻害剤若しくは組合せた2種の阻害剤で処理した。細胞をインキュベートし、そして阻害剤および培地を週2回交換した。有意の細胞死が発生した(およそ2〜3週)場合に、残存するコロニーをニュートラルレッドで染色しかつ計数した。
【0062】
化合物I、IIおよびIII単独ならびに組合せの存在下の細胞コロニー形成を図2に示す。
【0063】
増大する濃度の各阻害剤単独はコロニー形成の用量依存性の減少をもたらしたが、しかし耐性レプリコンコロニー形成を完全には予防しなかった。化合物III若しくは化合物IIと組合せの化合物Iでの処理は耐性レプリコンコロニーの形成を予防した。化合物IIと組合せの化合物IIIでの処理は、試験された最低濃度で耐性レプリコンコロニーの形成を予防した。
【実施例3】
【0064】
レプリコン排除−再結合アッセイ
排除−再結合の間のHCVレプリコンリボ核酸(RNA)レベルを、HCV遺伝子型1bレプリコン含有細胞を使用して評価した。Huh7−Lucレプリコン細胞(300,000個)をDMEMおよび10%FCSを含有する10cm皿に播種し、そしてG418の非存在下(排除期)に1種若しくはそれ以上の阻害剤の存在下で培養した。細胞を必要とされるとおり(典型的には週2回)継代しそしてHCV RNAを抽出した。14日後に阻害剤を除去し、そして細胞を250μg/mL G418の存在下(再結合期)で21日間インキュベートした。HCVレプリコンRNAおよび細胞RPL13A転写物レベルを、リアルタイム定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)を使用して定量し、そしてHCVレプリコンRNAレベルをRPL13A転写物レベルに対し正規化した。実験の終了時に観察された細胞コロニーの数を計数した。
【0065】
化合物I、II若しくはIII単独および組合せの存在(排除期)および非存在(再結合期)下のレプリコン含有細胞からのHCV RNAの排除を図3に示す。
【0066】
全3種の阻害剤は2週の排除期の間にレプリコンHCV RNAレベルを低下させたが、しかし細胞からのレプリコンHCV RNAの全排除に至らなかった。化合物III若しくは化合物IIと組合せの化合物Iでの処理は初期のHCV RNA低下を増大させたとは言え、数個のレプリコンコロニーが再結合期に観察され、数種の組合せについて不完全なレプリコンHCV RNA排除を示唆した。試験された最低濃度の全3種の阻害剤の組合せでの処理は、レプリコンHCV RNAの顕著な減少および最も効率的なレプリコン排除をもたらした。
図1
図2
図3