特許第5989640号(P5989640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989640
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ポリ乳酸製手袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20160825BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20160825BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20160825BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A41D19/00 P
   A41D19/04 B
   C08L67/04ZBP
   C08L101/16
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-516738(P2013-516738)
(86)(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公表番号】特表2013-531746(P2013-531746A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】US2011041467
(87)【国際公開番号】WO2011163377
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】12/820,580
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】307031068
【氏名又は名称】スマートヘルス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ピー.ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン エス.プラムソッタム
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0207282(US,A1)
【文献】 特開2006−089687(JP,A)
【文献】 特開2004−107413(JP,A)
【文献】 実開平03−055812(JP,U)
【文献】 特開2009−138085(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/078802(WO,A1)
【文献】 特表2001−505965(JP,A)
【文献】 特開2005−036088(JP,A)
【文献】 特開2006−027113(JP,A)
【文献】 特表2005−520901(JP,A)
【文献】 特表2008−525655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0203032(US,A1)
【文献】 特表2013−522479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエラストマ層を含む手袋であって、
前記少なくとも1つのエラストマ層は、
ポリ乳酸ポリマー成分と;
オクチルフェノールエトキシレートを含む生分解性可塑剤成分とを含み;
前記手袋は、0.01mmから2mmの間の厚さと、少なくとも10MPaの引張強度と、200%を超える伸びとを有する、
手袋。
【請求項2】
前記手袋は、0.05mmから0.2mmの間の厚さと、10MPaから25MPaの間の引張強度と、250%から450%の間の伸びと、1MPaから4MPaの間の100%引張弾性率とを有する、
請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記ポリ乳酸ポリマー成分は、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせを含む、
請求項1または請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記ポリ乳酸ポリマー成分は、50重量%から80重量%の間で含み、
前記生分解性可塑剤成分は、20重量%から40重量%の間で含む、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項5】
さらに、非イオン界面活性剤を含む;
請求項に記載の手袋。
【請求項6】
前記生分解性可塑剤は、イソソルビドジエステルを含む
請求項に記載の手袋。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエラストマ層はさらに、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンエステル、ポリエステルアミド、ポリビニルエステル、炭酸ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、多糖類の、ホモポリマー、ブロック、グラフト、ランダム、共重合体、およびポリブレンド、および、それらの組み合わせから成る群から選択される生分解性ポリマー樹脂を含む、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項8】
さらに、前記少なくとも1つのエラストマ層の1つ以上に混合される、着香料成分、抗菌剤、粘着分離剤、植物性抽出物、ドニング促進剤、着色成分、および治療用成分のうちの少なくとも1つを含む;
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項9】
前記手袋は、ポリ乳酸ポリマープラスチゾルまたはポリ乳酸ポリマーオルガノゾルの前記分散液から形成される、
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の手袋。
【請求項10】
PLA分散液を形成するために、ポリ乳酸ポリマー粉末を、オクチルフェノールエトキシレートを含む生分解性可塑剤に分散させるステップと;
前記分散液を用いて薄型製品を形成するステップとを含み;
前記薄型製品は、0.01mmから2mmの間の厚さと、少なくとも10MPaの引張強度と、200%を超える伸びとを有する、
薄型製品を製造する方法。
【請求項11】
さらに、100μm未満の平均粒径を有する前記ポリ乳酸ポリマー粉末を調製するステップを含む;
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分散させるステップは、
前記ポリ乳酸ポリマーと相溶性がある前記可塑剤を選択するステップと;
前記可塑剤と前記ポリ乳酸ポリマー粉末とを混合してPLAプラスチゾルを形成するステップと;
浸漬形成工程のために前記PLAプラスチゾルの粘度を制御するステップとを含む;
請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記PLAプラスチゾルは、50重量%から80重量%の間の前記ポリ乳酸ポリマー粉末を混合することによって形成され、
前記可塑剤成分は、20重量%から40重量%の間で含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記PLAプラスチゾルはさらに、非イオン界面活性剤を含む、
請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
浸漬形成工程のために前記粘度を制御するステップは、希釈剤を添加し、それによってPLAオルガノゾルを形成するステップを含む;
請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記粘度を制御するステップは、さらに分散剤を添加するステップを含む;
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薄型製品を形成するステップは、前記PLA分散液から手袋を浸漬形成するステップを含み;
手袋成形機が、前記PLA分散液に浸漬され、前記ポリ乳酸ポリマーを融解して少なくとも1つのポリ乳酸ポリマーエラストマ層を含む手袋を形成するよう加熱される、
請求項10乃至請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に使い捨て手袋に関する。より詳細には、ポリ乳酸から構成された生分解性の使い捨て手袋およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て手袋は医療、科学、および産業の分野に携わる人々に広く使用されおり、着用者を、化学物質への曝露、機械的な負傷、環境有害物質、および生物学的有害物質汚染から保護し、病気や汚染物質の伝染を防ぐ。医療提供者は、手術や、患者の診察等の他の医療処置または歯科処置を行う間、頻繁に使い捨て手袋を着用することから、こうした手袋は、使い捨て診察用手袋または使い捨て手術用手袋と呼ばれることが多い。使い捨て手袋は、生物の体が造りだす体液、組織および固体、または他の汚染物質(人または動物)に対して不浸透性であり、着用者を、病原体および病気の媒介(病原生物を宿す物体による伝染)伝染から有利に保護する。
【0003】
また、使い捨て手袋は、ユーザの皮膚を刺激したり、損傷させたり、乾燥させたり、真皮バリアへの接触または浸透を許した場合に有害または潜在的に有害であるかもしれない、種々の薬品、物質、および物体から自分の手を保護したいと望む個人にも着用される。これらの手袋は、特別な保護を必要とする科学者、清掃員、食品取扱者、法執行作業者、美容師、またはその他の作業者が、仕事の中で着用してもよい。したがって、使い捨て手袋は、保護手袋、食品取扱用手袋または産業用手袋と呼ばれることもある。
【0004】
当該技術において周知であれるように、使い捨て手袋は、薄く柔軟であり、通常は、本明細書全体で「エラストマ」または「エラストマ材料」または「エラストマブレンド」と呼ばれる様々なポリマー材料/樹脂から製造される。
【0005】
使い捨て手袋の製造に通常使用されるエラストマの種類には、合成ゴムまたはプラスチック等の材料がある。かかる材料の例には、合成ポリイソプレン、クロロプレン(共役ジエンクロロプレンのネオプレン−ホモポリマーを含む)、ポリウレタン(“PU”)、ポリ塩化ビニル(“PVC”)、スチレンブタジエンスチレン(“SBS”)、スチレンイソプレンスチレン(“SIS”)、シリコン、ブタジエンメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンエチレンブチレンスチレン(“SEBS”)、および/またはアクリレートベースヒドロゲルが含まれるが、これらに限定されない。最終使用用途および/または使用される特定の熱可塑性材料の種類にかかわらず、エラストマ手袋は一般的に1回の使用で捨てられるので、相当量の廃棄物が生まれる。
【0006】
重要なことには、使い捨て手袋の製造に利用されるポリマーの多くは、石油がベースであり、環境分解しにくい。実際、生分解しないプラスチック廃棄物の環境上の影響は懸念が高まっており、かかるプラスチックの代替処分方法は限られている。例えば、合成プラスチックの焼却により有毒物が排出され、十分なごみ埋立地を得ていくには限界がある。
【0007】
さらに、石油資源には限りがある。実際、石油埋蔵量が大きく減少すると、かかる非生分解性の熱可塑性手袋の製造に係る原料および生産コストは、それに応じて増加する。加えて、政府規制は、かかる材料の使用から生じる埋立ておよび/または環境上の影響に適応するように、非生分解性プラスチックに対する処分およびリサイクルコストを増加させる可能性がある。
【0008】
完全な生分解性ポリマーは、長年にわたって市販されてきた。これらのポリマーの中で、ポリ乳酸(PLA)はその生分解性のために医療用インプラント、縫合糸および薬物送達システムにおいて広範に研究され、種々の医療機器での使用を認可されてきた。当業者にとって周知のように、ポリ乳酸ポリマーは、石油ベースの合成ポリマーと比べて、他の生分解性ポリマーを上回る有用性を示す物理的性質を有している。
【0009】
ポリ乳酸は、乳酸(乳酸塩)から生成される。乳酸は、保存料および調味料として食物に広く用いられている天然分子である。ポリ乳酸は、ポリマーのうちのポリラクチド族の化学合成における主要構成要素である。ポリ乳酸は化学的に合成されるが、乳酸は、グルコースまたはヘキソース等の糖類の微生物発酵によって主に得られる。これらの糖供給原料は、ジャガイモの皮、トウモロコシ、小麦、および酪農廃棄物から得られる。発酵により生成された乳酸モノマーは、その後ポリ乳酸ポリマーを精製するために使用される。
【0010】
乳酸は、幾つかの形態学的に全く異なるポリマー、すなわち、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸、およびそれらのいずれかの組み合わせを生じる実質的に2つの立体異性体で存在する。D‐ポリ乳酸およびL‐ポリ乳酸は、立体規則性ポリマーである。DL‐ポリ乳酸は、D‐乳酸およびL‐乳酸の混合物から得られるラセミポリマーであり、メソ‐ポリ乳酸は、DL‐ラクチドから得ることができる。光学活性のDおよびLモノマーから得られるポリマーは半結晶材料であるが、光学不活性DL‐ポリ乳酸は、実質的にアモルファスである。
【0011】
PLAは2段階で分解する。先ず、エステル基が水により徐々に加水分解されて乳酸と他の小分子を形成し、次にこれらの生成物が環境内の微生物によって分解される。また、ポリ乳酸は低エネルギー収量できれいに焼却され、これにより高い焼却施設処理量が可能になるので、PLA製品の廃棄はこれまでのポリマーよりも容易である。さらに、PLAは塩素基または芳香族基を含まないので、燃焼副産物をほとんど生成しない紙、セルロースおよび/または炭水化物のように燃焼する。
【0012】
さらに、最終的に生成される乳酸塩が、コーンスターチや、トウモロコシ、砂糖、小麦等の他のデンプン豊富な物質等の農業副産物の発酵から得ることができるため、ポリ乳酸ポリマーは、従来の合成石油系ポリマーとは異なり、再生可能な資源から製造できる。
【0013】
生分解性使い捨て手袋は、当該技術分野においてごく一般的に知られているが、従来公知の手袋はいずれもポリ乳酸ポリマーから構成されてはいなかった。特に、PLAは多くの石油由来の汎用プラスチックと比べて高価であり、したがって、使い捨ての医療用および/または産業用手袋に対するPLAの使用は、特に一例を挙げると、病院および診療所で使用される非常に多くの使い捨て手袋には、法外なコストがかかる。さらに、特定の可塑剤の使用に関する発癌性および毒性の懸念は、使い捨て医療用手袋の生産におけるPLAポリマーの使用に対して、かねてより教示されている。
【0014】
Eichelbaumへの米国特許第6,393,614号は、患者からのタンポンまたは生理用ナプキン等の用品を持ち運ぶためのポケットを持つ使い捨てのゆったりとした手袋を開示している。その手袋は理論上では生分解性であると説明しているが、構成材料そして生分解性の仕様について何ら開示も示唆もしていない。実際、614特許は、発明の範囲で検討されている生分解性材料または構成/製造方法の記載を、可能にすることも提供もしていない。
【0015】
したがって、従来の非生分解性手袋材料に代わるものとしての生分解性エラストマ材料から構成される使い捨て手袋にとって、使い捨て手袋の使用に関連する廃棄量を低減する必要があり、および/または石油ベースの手袋への依存を低減する必要がある。特に、それらの意図する最終使用用途に関連する耐久性要件、業界ガイドライン、および/または連邦食品医薬品安全要件を満たす生分解性手袋に対するニーズがある。本発明のさらなる目的は、従来の非生分解性熱可塑性手袋の感触、伸長性、および感度を有する生分解性手袋を提供することである。
【0016】
したがって、本発明の第一の目的は、ポリ乳酸ポリマーから製造される生分解性の使い捨て手袋を提供することにある。本発明の関連する目的は、医療、食品取扱、美容、生物医学、電気、および/またはクリーンルームの用途を含むが、これらに限定されない幅広い種々の用途に用いられる使い捨て手袋を提供することにあり、ここで使い捨て手袋は、ポリ乳酸のみ、または他の生分解性エラストマ材料との組み合わせから構成される。結果として得られる手袋は、少なくとも部分的に生分解性であり、および/または、特定の業界、政府当局、および/または環境局が制定した生分解性要件を満たす。
【0017】
さらに、使い捨て手袋は少なくとも部分的に生分解性であるかもしれない天然ラテックスゴムからも製造される一方で、ラテックスアレルギーとの問題があるユーザにとっては重要な問題であり、当該技術において不可欠な非ラテックスの生分解性使い捨て手袋の必要をもたらしている。
【0018】
したがって、本発明のさらなる目的は、ポリ乳酸および/またはポリ乳酸成分を含むポリマーブレンドから製造される使い捨て手袋を提供することであり、手袋のエラストマ基質(マトリクス)内のポリ乳酸成分の量は、特定の化学薬品透過性および/または用途によって必要とされる感度特性、必要な環境安定性および/または分解速度(例えば、酸化安定性、オゾン、UV、温度および湿度)および/または必要な物理的特性(引裂きおよび/または穿刺強度)等の要因を含む、所望の性能特性または最終使用用途によって変わる。特に、本発明のポリ乳酸製手袋は、生分解性および/またはコンポスト化に対する関連するASTM規格を満たすよう構成できる。
【0019】
本発明に従って構成される好ましいポリ乳酸製使い捨て手袋は、かかる製品の既存の製造方法に対する実質的な変更を必要とすることなく製造できる。また、本発明のポリ乳酸製使い捨て手袋は、従来の非生分解性エラストマ材料から構成される使い捨て手袋の望ましい機能特性のすべてを当然に保持している。
【発明の概要】
【0020】
上で検討した背景技術の不利な点と限界は、本明細書によって克服される。本発明では、ポリラクチドから構成される生分解性使い捨て手袋とその製造方法が開示される。本発明は、幅広い多数の医療および/または産業用途で用いる手袋を含むが、いずれか1つの特定用途に制限されない。
【0021】
本発明の目的に対し、用語「生分解性の」および/または「生分解性」とは、分解が、バクテリア、菌類、および/または藻類等の自然界に存在する微生物の活動の結果として生じる分解性プラスチックについて言及する。「分解」とは、通常、特性の損失(例えば、保全性、分子量、構造または機械的強度)および/または断片化を特徴とする、材料の構造の著しい変化を招く不可逆プロセスについて言及する。分解は、オゾン、紫外線、極端な温度、および/または湿度への曝露等の環境条件によって影響を受ける恐れがあり、一定期間に進行する。
【0022】
したがって、本発明の生分解性手袋は、例えば、関連するASTMまたはISO規格等の、特定の政府機関および/または産業によって確立されたいずれかの生分解性および/またはコンポスト化の規格/要件に準拠するよう設計されてもよい。そのように、本発明は、いずれか1つの特定の生分解性規格および/または生分解性の分解速度に限定されるものではなく、それらは設計選択事項である。実際、本発明は、所定の規格または規則によって要求される特定の分解速度で分解するよう設計される手袋、および/または、単に従来の非生分解性手袋よりも速い速度で分解する手袋を含むことができる。
【0023】
したがって、部分的に、本発明の生分解性手袋は、ポリ乳酸ポリマー成分を含むエラストマ材料の1つ以上の層から構成されてもよい。ポリ乳酸ポリマー成分は、約1%から約100%のL‐ラクチドモノマーを備えることが好ましく、残りのモノマーは、D‐ラクチド、メソ‐DLラクチド、DLラクチドモノマー、およびそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0024】
しかし、本発明の広範な態様と一致して、ポリ乳酸ポリマー成分は、乳酸の何れかのホモポリマー、および/または、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸を含む乳酸のブロック、グラフト、ランダム、および/または共重合体、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせであってもよく、手袋の所定の最終使用用途、および/または、生分解性の、特定の/要求される速度によって決まる。
【0025】
本発明の使い捨て手袋はさらに、1つ以上の生分解性可塑剤を含んでいる。生分解性可塑剤は、生分解性手袋の1つ以上の層を構成するのに用いられるポリ乳酸エラストマ基質内に備えられる。かかる可塑剤成分は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、および/またはクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルを含むのが好ましいが、これらに限定されない。必要であれば、本発明の使い捨て手袋は、PLAに可塑性を与えることのできる追加の可塑剤を含んでいてもよい(例えば、非毒性、非生分解性、および/または、実質的に生分解性のみの可塑剤を用いてもよい)。
【0026】
当業者にとって周知であるように、可塑剤は、重合中または重合後に本発明の使い捨て材料に混合される化合物である。ポリ乳酸ポリマーへの可塑剤の導入は、ポリマーの溶融粘度を低減でき、ポリマーを形成するのに必要な温度、圧力およびせん断速度を低下できる。可塑剤は、ポリマーまたは共重合体のみを含む材料には通常見出せない程度の、柔軟性、可撓性および靱性をポリマーに導入し、したがって、可塑剤は手袋の分解速度にも影響をおよぼすことができる。
【0027】
したがって、ポリ乳酸ポリマー、それに用いる乳酸モノマーの比率および/または種類、ならびに生分解性可塑剤は、製造される特定の種類の手袋に対するASTMおよびISO規格の物理的要件(すべての物理的要件表、ASTM D3577−01a*2−表3、ASTM D5250−00*4−表3、ASTM D6319−00a*3−表3、ISO 11193:1994(E)−表3、ISO 10282:1994(E)−表3、ASTM D3578−01a*2−表1、およびASTM D4679−02−表3等であるが、これらに限定されない)を維持するか、またはそれから外れないよう十分な量で提供される。
【0028】
特定の他の好ましい実施の形態において、本発明の生分解性手袋は、手袋の各層が所定の最終使用用途に対する特定の要件に準拠するよう設計されつつ、ポリ乳酸ポリマーおよび生分解性可塑剤を含むエラストマ材料の2つ以上の層から構成されてもよく、ここで各層は、実質的に類似の、または実質的に異なる物理的特性(透過性、引裂き強度、および/または穿刺強度)、分解速度、および/または環境感度特性(すなわち、酸化安定性、オゾン、UV、温度、および湿度)を有するよう設計される。
【0029】
さらに、本発明のポリ乳酸製手袋の1つ以上の層は、手袋が製造されるエラストマ材料に混合される追加成分/添加物を含んでもよく、および/または、手袋の1つ以上の表面にコーティングされる追加成分を有していてもよい。例えば、着香料成分、治療用成分、および/または植物性成分は、手袋が製造されるエラストマ材料に含まれていてもよい。
【0030】
さらに、特定の他の実施の形態において、本発明は、デンプンまたは脂肪族ポリエステルを含むが、これらに限定されない1つ以上の他の生分解性材料/樹脂との組み合わせで、ポリ乳酸樹脂を実質的に備える生分解性ポリマー成分から構成される生分解性の使い捨て手袋を含む。
【0031】
したがって、本発明は、完全におよび/または実質的に生分解性使い捨て手袋を提供して、使い捨て手袋の使用に伴う廃棄物の量を低減し、および/または、石油系手袋への依存を低減させると見なされてもよい。特に、本発明は、従来の非生分解性熱可塑性手袋の感触、伸長性、および感度を有しながら、特定の最終使用用途に関する耐久性要件および/または業界ガイドラインを満たす生分解性手袋を提供する。
【0032】
このように、本発明はまた、医療、食品取扱、美容、生物医学、電気、および/またはクリーンルームの用途を含むが、これらに限定されない幅広い様々な用途に用いられる生分解性ポリ乳酸系の使い捨て手袋を提供すると見なされてもよく、ここで使い捨て手袋とは、ポリ乳酸のみ、または他の生分解性エラストマ材料との組み合わせから構成されるものである。
【0033】
このように、本発明はまた、ポリ乳酸系エラストマ基質を提供することと、ポリ乳酸系エラストマ材料から使い捨て手袋を形成することとを含む、生分解性ポリ乳酸系使い捨て手袋を製造する方法を提供すると見なされてもよい。
【0034】
一実施の形態において、ポリ乳酸ポリマー成分と生分解性可塑剤成分とを備える少なくとも1つのエラストマ層を含む手袋が提供される。手袋は、約0.01mmから2mmの間の厚さと、少なくとも10MPaの引張強度と、約200%を超える伸びとを有する。別の実施の形態において、手袋は、約0.05mmから約0.2mmの間の厚さと、約10MPaから25MPaの間の引張強度と、約250%から450%の間の伸びと、約1MPaから4MPaの間の100%引張弾性率とを有する。手袋は、ポリ乳酸ポリマープラスチゾルまたはポリ乳酸ポリマーオルガノゾルから形成されるのが好ましい。
【0035】
手袋のエラストマ層のポリ乳酸ポリマー成分は、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせを含む。生分解性可塑剤成分は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、グルコースモノエステル、クエン酸エステル、エポキシ化油、ラクチドモノマー、オクチルフェノールエトキシレートから成る群から選択される。生分解性可塑剤は、イソソルビドジエステルであるのが好ましい。
【0036】
いくつかの実施の形態において、手袋のポリ乳酸ポリマー成分は、約50重量%から80重量%の間で含み、生分解性可塑剤成分は、約20重量%から40重量%の間で含む。任意として、手袋の少なくとも1つのエラストマ層は、非イオン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0037】
一実施の形態において、手袋の少なくとも1つのエラストマ層はさらに、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンエステル、ポリエステルアミド、ポリビニルエステル、炭酸ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、多糖類のホモポリマー、ブロック、グラフト、ランダム、共重合体、およびポリブレンド、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される生分解性ポリマー樹脂を含む。さらに、手袋はまた、少なくとも1つのエラストマ層の1つ以上に混合される着香料成分、抗菌剤、粘着分離剤、植物性抽出物、ドニング促進剤、着色成分、および治療用成分のうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
別の実施の形態において、薄型製品を形成する方法が提供される。この方法は、PLAの分散液(ディスパーション、dispersion)を形成するために、ポリ乳酸ポリマー粉末を可塑剤に分散させるステップと、分散液を用いて薄型製品を形成するステップとを含む。この方法はさらに、約100ミクロン未満の平均粒径を有するポリ乳酸ポリマー粉末を調製するステップを含む。
【0039】
かかる実施の形態において、分散させるステップは、ポリ乳酸ポリマーと相溶性がある可塑剤を選択すること、可塑剤とポリ乳酸ポリマー粉末とを混合してPLAプラスチゾルを形成すること、浸漬形成の工程(プロセス)のためにPLAプラスチゾルの粘度を制御することを含む。一実施の形態において、PLAプラスチゾルは、約50重量%から80重量%の間のポリ乳酸ポリマー粉末を混合することによって形成され、可塑剤成分は、約20重量%から40重量%の間で含んでいる。PLAプラスチゾルはまた、いくつかの実施の形態において、非イオン界面活性剤を含んでいてもよい。粘度を制御して浸漬形成工程に適した粘度を得る1つの方法は、希釈剤を添加し、それによってPLAオルガノゾルを形成することによるものがある。PLAオルガノゾルの粘度はさらに、分散剤を添加することによって制御されてもよい。
【0040】
いくつかの実施の形態において、形成するステップは、PLA分散液から手袋を浸漬形成することを含み、手袋成形機は、前記PLA分散液に浸漬され、ポリ乳酸ポリマーを融解して少なくとも1つのポリ乳酸ポリマーエラストマ層を含む手袋を形成するよう加熱される。
【0041】
別の実施の形態において、薄型製品を形成するためのポリ乳酸ポリマー分散液が提供される。薄型製品はエラストマ手袋であるのが好ましい。分散液は、ポリ乳酸ポリマーと相溶性がある可塑剤で分散させたポリ乳酸ポリマー粉末を備える。一実施の形態において、分散液は、浸漬形成工程に適した粘度を有するプラスチゾルである。プラスチゾルは、約50重量%から80重量%の間のポリ乳酸ポリマー粉末と約20重量%から40重量%の間の可塑剤とを含む。任意として、非イオン界面活性剤をプラスチゾルに添加してもよい。さらに、分散剤が、浸漬形成工程に適した粘度を得て、それによってオルガノゾルを形成するよう添加されてもよい。
【0042】
可塑剤は生分解性可塑剤であるのが好ましい。前記生分解性可塑剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、グルコースモノエステル、クエン酸エステル、エポキシ化油、ラクチドモノマー、オクチルフェノールエトキシレートから成る群から選択される。
【0043】
発明の他の利点および特徴は、その操作の構成と方法とともに、以下の詳細な説明から、添付図面とともに用いた場合に明らかとなるであろう。図面は図示および説明のみを目的とし、発明の限定を定義するものではないことは、特に言うまでもない。
【0044】
本発明の生分解性手袋は、耐久性と長寿命の両方があり、その動作寿命を通してユーザが提供すべき保守を少ししか、もしくは全く必要としない構造のものである。本発明の生分解性手袋はまた、それらの市場へのアピールを高め、それによって広範囲に利用可能な市場を与える安価な構造のものである。最終的に、前記利点と目的のすべてが、相当な関連する不利点を被ることなく達成される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明のこれらおよび他の利点は、以下の図面を参照して最良に理解される。
【0046】
図1】手袋の斜視図であり、その外面と内面または着用者との接触面を示す。
【0047】
図2】ポリ乳酸ポリマーから構成される単層手袋の一部の断面図である。
【0048】
図3】ポリ乳酸ポリマーから構成される2つの層を有する二層手袋の一部の断面図である。
【0049】
図4】少なくとも部分的にポリ乳酸ポリマー成分を含む生分解性ポリマーから構成される単層手袋の一部の断面図である。
【0050】
図5】本発明の手袋を製造するための浸漬工程を示すフロー略図である。
【0051】
図6】本発明の手袋を製造する方法を示すフロー略図である。
【0052】
図7】本発明の実施の形態に係るPLAプラスチゾルを用いるPLA手袋を浸漬成形する方法のフロー図である。
【0053】
図8】本発明の実施の形態に係るPLAオルガノゾルを用いるPLA手袋を浸漬成形する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、少なくとも部分的にポリ乳酸ポリマー材料から構成される生分解性使い捨て手袋とその製造方法に関する。当業者によって容易に理解されるように、コンドーム等の他の浸漬エラストマ製品は、本発明の広範な態様に含まれてもよい。
【0055】
本発明による典型的なエラストマ製品、手袋100を図1に示す。手袋100は、外面(遠位表面または外側遠位表面または最も外側の表面)(“OS”)102と内側または着用者との接触面(“WCS”)104を含む。以下の検討を進めるために、手袋100は、単層手袋、二層手袋(2層)、および/または多層手袋であってもよく、ここで手袋100の外観は、外面102と着用者接触面104を有する図1に示すものと実質的に同様であることは、当業者には理解されよう。
【0056】
次に図2を参照すると、エラストマ材料の単層108から構成される手袋106の断面を示している(単層手袋106が、手袋100に類似した外観を有し、外面102と着用者接触面104を有していることが理解されよう)。
【0057】
手袋106の層108を構成するよう使用されるエラストマ材料は、ポリ乳酸ポリマー成分110および可塑剤成分112を備えている。特に、手袋106に使用されるエラストマ材料の層108は、約1%から約100%のポリ乳酸ポリマー成分110と約1%から約100%の可塑剤成分112を含んでいる。一実施の形態において、手袋106に使用されるエラストマ材料の層108は、約1%から約80%のポリ乳酸ポリマー成分110と約1%から約20%の可塑剤成分112を含んでいる。
【0058】
ポリ乳酸ポリマー成分110は、約1%から約100%のL‐ラクチドモノマーを備えることが好ましく、残りのモノマーは、D‐ラクチド、メソDL‐ラクチド、DL‐ラクチドモノマー、およびそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。本発明の広範な態様と一致して、ポリ乳酸ポリマー成分110は、乳酸のいずれかのホモポリマー、および/または、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸を含む乳酸のブロック、グラフト、ランダム、共重合体、および/またはポリブレンド/エラストマブレンド、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせであってもよい。好適なポリ乳酸ポリマーは、Cargill Dow社の登録商標Nature Worksまたはそのライセンシの下で販売されているものを含むことができるが、これらに限定されない。
【0059】
特に、本発明の手袋106において利用されるL‐ラクチド、D‐ラクチド、メソDL‐ラクチド、および/またはDL‐ラクチドモノマーの特定の重量%は、手袋の所定の最終使用用途、例えば、手袋の物理的および/または浸透性要件、用いられる可塑剤の量および/または種類、および/または廃棄後の手袋に要求される特定の分解速度、によって決めることができる。
【0060】
実際、当業者には理解されるように、ポリ乳酸ポリマー成分110内に含まれる高濃度のD‐ラクチドモノマーは、ポリマーの高い結晶化度、高い引張強度の放棄、最終的な手袋の引張弾性率の低下を招く可能性がある。したがって、特定のラクチドモノマーの濃度は、設計選択事項として、手袋用途に要求される所望の物理的、化学的および/または分解特性によって変化させてもよい。
【0061】
制限なしに、本発明の生分解性手袋は、類似用途または機能の石油ベースの手袋に要求されるそれらを満たすか、それらを超える性能特性を有するよう設計されてもよい。例えば、本発明の手袋は、約0.05mmの最低膜厚、約10MPaの引張強度、および約300%の破断伸びを有することが好ましい(ASTM規格D5250−00*4を引用した)。
【0062】
ポリ乳酸ポリマー成分110、およびそれに用いる乳酸モノマーの比率および/または種類は、製造される特定の種類の手袋に対するASTMおよびISO規格の物理的要件(すべての物理的要件表、ASTM D3577−01a*2−表3、ASTM D5250−00*4−表3、ASTM D6319−00a*3−表3、ISO 11193:1994(E)−表3、ISO 10282:1994(E)−表3、ASTM D3578−01a*2−表1、およびASTM D4679−02−表3等であるが、これらに限定されない)を維持するか、またはそれから外れないよう十分な量で提供される。
【0063】
手袋106の層108を構成するよう使用されるエラストマ材料内に提供される可塑剤成分112は、ポリ乳酸ポリマー成分110を可塑化できる、当業者に公知のいずれの生分解性可塑剤であってもよい。かかる可塑剤成分112は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、および/またはクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルを含むのが好ましいが、これらに限定されない。
【0064】
他の生分解性可塑剤を、良好な効果とともに用いてもよい。かかる可塑剤は、エラストマ材料の特定の成分によって、実質的に疎水性および/または実質的に親水性の可塑剤のいずれかを含んでいてもよく、デンプン(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ等)、植物油(大豆、アマニ等)、ソルビトール、グリセロール、グリセリン、グルコースまたはスクロースエーテルおよびエステル、ポリエチレングリコールエーテルおよびエステル、低毒性フタレート、アルキルホスフェートエステル、ジアルキルエーテルジエステル、トリカルボン酸エステル、エポキシ化油、エポキシ化エステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アルキル、アリルエーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル、ジカルボン酸エステル、および/またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0065】
さらに、特定の用途において、可塑剤は、必要な産業規格、規制基準、および/または行政規格、例えば、当業者にとって周知のような医療用および/または検査用手袋での使用に対する食品医薬品局によって承認される規格に従うよう選択できる。
【0066】
可塑剤成分112は、ポリマー成分の重合中または重合後に、手袋106の層108に混合されてもよい。可塑剤成分112は、所望の物理的要件をポリ乳酸ポリマー成分110に与え、および/または、ポリマー分解速度を増加または低下させるのに十分な量で提供される。したがって、ポリ乳酸ポリマー成分110への可塑剤成分112の添加はまた、本発明の使い捨て手袋の有効な分解速度を制御するためにも用いられてもよい。
【0067】
前述を踏まえると、手袋106に用いられる生分解性ポリ乳酸ポリマー成分110および可塑剤成分112を含むエラストマ材料は、配合エラストマとして調製でき、エマルジョン中へ懸濁されるエラストマ、または溶媒または可塑剤中で可溶性または混和性であるエラストマ、およびそれらの組み合わせであってもよいことが、当業者によって容易に理解されよう。
【0068】
さらに、本発明の広範な態様と一致させると、層108は、以下の追加成分を含んでいてもよい:1)手袋が製造されるエラストマ材料(ポリ乳酸ポリマー成分110を含む)に混合される成分;および/または、2)手袋106の1つ以上の表面にコーティングされる成分。例えば、着香料成分、粘着分離剤、ドニング促進剤、および/または植物性成分は、手袋が製造されるエラストマ材料に含まれていてもよい。例えば、米国特許出願第11/138,193号、発明の名称「Flavored Elastomeric Articles and Methods of Manufacturing Same(着香料入りエラストマ製品およびその製造方法)」に詳細に記載されているようなキシリトール、米国特許出願第10/373,970号および第10/373,985号、発明の名称「Flexible Elastomer Articles and Methods of Manufacturing(可撓性エラストマ製品および製造方法)」、および米国特許出願第10/640,192号、発明の名称「Gloves containing dry powdered aloe and method of manufacturing(乾燥粉末アロエを含む手袋と製造方法)」に詳細に記載されているようなアロエ抽出物および/またはノパルサボテン抽出物(それぞれは、本特許出願の譲受人に譲渡され、それぞれを、本明細書中に引用して組み込む)は、手袋のエラストマ基質内に含まれていてもよい。
【0069】
さらに、手袋106の層108は、当業者によってもまた理解されるような、創傷治癒、抗炎症特性、抗菌特性、鎮痛特性、およびアンチエージング特性のうちの1つ以上の特性を有する1つ以上の治療用成分を含んでいてもよい。加えて、手袋106の層108は、着色されてもよく、および/または、それが形成されるエラストマ基質内に着色料を含んでいてもよい。かかる成分は、ポリ乳酸ポリマー成分110および/または可塑剤成分112と相溶性があるよう選択され、手袋106が、当業者によってもまた周知のような、製造される特定の種類の手袋に要求されるASTMおよび/またはISO規格を維持するか、またはそれから外れないような十分な量で提供される。
【0070】
次に図3を参照すると、第1の層122と第2の層124を有する二層手袋120の断面を示す。第1の層122は、手袋120の外側層を形成し、外面102を有している。第2の層124は、手袋120の内側層を形成し、着用者接触面104を有している。手袋120は、手袋100(図1に示す)に類似した外観を有していることが理解されよう。
【0071】
二層手袋120の第1の層122および第2の層124のそれぞれに用いられるエラストマ材料は、ポリ乳酸ポリマー成分110および可塑剤成分112を備えている。特に、手袋120に用いられるエラストマ材料の各層122および124は、約1%から約100%のポリ乳酸ポリマー成分110と約1%から約100%の可塑剤成分112を含んでいる。
【0072】
ポリ乳酸ポリマー成分110は、乳酸のいずれかのホモポリマー、および/または、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸を含む乳酸のブロック、グラフト、ランダム、共重合体、および/またはポリブレンド、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせであってもよい。
【0073】
手袋106に関して記載したように、各層122および124におけるD‐ラクチド、L‐ラクチド、メソDL‐ラクチド、および/またはラセミ体DL‐ラクチドモノマーの特定の重量%は、手袋の所定の最終使用用途、例えば、手袋および/または各層122および124の物理的および/または浸透性要件、各層122および124内で用いられる可塑剤の量および/または種類、および/または廃棄後の手袋に要求される特定の分解速度、によって決めることができる。
【0074】
手袋120の第1の層122および第2の層124は、各層122および124におけるポリ乳酸ポリマー成分110内にD‐ラクチド、L‐ラクチド、メソDL‐ラクチド、および/またはラセミ体DL‐ラクチドモノマーの、異なる組み合わせおよび/または異なる重量%を備える各層を含む類似または異種ポリ乳酸系エラストマ材料から製造されてもよい。
【0075】
手袋120の各層122および124内で用いられる可塑剤成分112は、生分解性可塑剤であるのが好ましく、手袋106に関して本明細書中に記載したいずれのものも含む。したがって、可塑剤成分112は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、および/またはクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルであるのが好ましい。
【0076】
可塑剤成分112は、ポリマー成分の重合中または重合後に、手袋120の各層122および124に混合されてもよい。手袋106に関して述べたように、可塑剤成分112は、所望の物理的要件をポリ乳酸ポリマー成分110に与え、および/または、ポリマー分解速度を増加または低下させるのに十分な量で提供される。したがって、ポリ乳酸ポリマー成分110への可塑剤成分112の添加はまた、かかる特性を各層122および124で実質的に類似するよう設計しつつ、または、手袋120の各層122および124が異なる特性を有するよう設計しつつ、本発明の使い捨て手袋の有効な分解速度を制御するためにも用いられてもよい。したがって、各層122または124で用いられる特定種類の可塑剤成分112は、手袋120の要求される特性によって、類似するか、異なっていてもよい。
【0077】
当業者によって容易に認識されるように、本発明の手袋は、1つ以上のポリ乳酸ポリマー成分および1つ以上の生分解性可塑剤成分を備えるいずれの数の層から構成されてもよい。特に、本発明は、約1%から約100%のポリ乳酸ポリマー成分と約1%から約100%の生分解性可塑剤成分を含むエラストマ材料の2層以上から構成される手袋を包含している。
【0078】
したがって、本発明の1層以上の手袋の各層で用いられるポリ乳酸ポリマー成分110は、D‐ラクチド、L‐ラクチド、メソDL‐ラクチド、および/またはDL‐ラクチドモノマーの異なる組み合わせおよび/または異なる重量%を有する各層を含む類似または異種エラストマ材料から製造されてもよい。さらに、生分解性可塑剤成分112は、手袋106および120に関して本明細書中に記載したいずれのものを含んでいてもよい。したがって、各層122または124で用いられる可塑剤成分112は、手袋120の要求される特性によって、類似するか、異なっていてもよい。
【0079】
次に図4を参照し、本発明の広範な態様と一致させると、エラストマ材料の単層132から構成される手袋130の断面を示している(単層手袋130が、手袋100に類似した外観を有し、外面102と着用者接触面104を有していることが理解されよう)。
【0080】
手袋130内のエラストマ材料の層132は、生分解性ポリマー成分134と生分解性可塑剤成分112を備えるのが好ましい。特に、手袋130に使用されるエラストマ材料の層132は、約1%から約100%の生分解性ポリマー成分134と約1%から約100%の可塑剤成分112を含んでいる。
【0081】
生分解性ポリマー成分134は、約1%から約100%の乳酸のホモポリマー、および/または、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸を含む乳酸の約1%から約100%のブロック、グラフト、ランダム、共重合体、および/またはポリブレンド、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、およびメソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせを備えるポリ乳酸系ポリマーであるのが好ましい。
【0082】
生分解性ポリマー成分134はさらに、当業者にとって周知のような、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンエステル、ポリエステルアミド、ポリビニルエステル、炭酸ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、デンプン等の多糖類のホモポリマー、ブロック、グラフト、ランダム、共重合体、および/またはポリブレンド、およびこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、いずれの実質的に生分解性および/またはコンポスト化可能なポリマー成分も備えていてもよい。
【0083】
特に、本発明の手袋106において用いられる生分解性ポリマー成分134中のポリ乳酸系ポリマーの特定の重量%は、手袋の所定の最終使用用途、例えば、手袋の物理的および/または浸透性要件、用いられる可塑剤の量および/または種類、および/または、廃棄後の手袋に要求される特定の分解速度、によって決めることができる。
【0084】
ポリ乳酸系ポリマーの重量%は、生分解性ポリマー成分134の約75%超であるのが好ましく、製造される特定の種類の手袋に対するASTMおよびISO規格の物理的要件(すべての物理的要件表、ASTM D3577−01a*2−表3、ASTM D5250−00*4−表3、ASTM D6319−00a*3−表3、ISO 11193:1994(E)−表3、ISO 10282:1994(E)−表3、ASTM D3578−01a*2−表1、およびASTM D4679−02−表3等であるが、これらに限定されない)を維持し、それから外れないよう十分な量で提供されるのが好ましい。
【0085】
手袋130に用いられる可塑剤成分112は、生分解性であるのが好ましく、生分解性ポリマー成分134を可塑化できる、本明細書中で説明されているか、当業者に公知のいずれか1つ以上のそれらの生分解性可塑剤を含んでいる。かかる可塑剤成分は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、および/またはクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルを含むのが好ましいが、これらに限定されない。
【0086】
本発明の広範な態様と一致し、手袋の所定の最終使用用途からの要求、または手袋に要求される特定の物理的特性からの要求に対して、手袋130におけるエラストマ材料の層132は、生分解性ポリマー成分134および可塑剤成分112と組み合わせて、ポリ塩化ビニル等の非生分解性および/または実質的に非生分解性ポリマー成分を備えていてもよい。実際に、ポリ乳酸ポリマー成分および生分解性可塑剤成分は、石油系ポリマーの分解特性を改良するか、そうでなければ変質させるために用いることができ、結果として生じた手袋は、石油系ポリマー単体から製造された手袋と比較して、実質的に生分解性である。
【0087】
図5に最良に示すように、本発明は、ポリ乳酸(PLA)ポリマー成分および生分解性可塑剤成分から構成される1つ以上の層を有する生分解性の使い捨て手袋を製造する方法も包含している。理解されるように、図5および図6を参照して説明される方法に用いられるポリ乳酸(PLA)ポリマー成分および生分解性可塑剤成分は、手袋106、120、および130に関して説明されたいずれか1つ以上のものであってもよい。
【0088】
次に図5を参照して、本発明の生分解性使い捨て手袋を製造する一般的方法を説明する。ステップ5.1において、本発明の手袋製造工程は、成形機を、ポリ乳酸ポリマー成分110および可塑剤成分112を含むエラストマ材料に浸漬する前に、慣習となっている手袋製造手順を用いている。ステップ5.2において、成形機は、ポリ乳酸ポリマー成分110および可塑剤成分112を含むエラストマ材料に浸漬される。エラストマ材料の組成は、本明細書中で説明したもののいずれかであってもよい。
【0089】
ステップ5.3において、成形機は、通常の手袋製造技術、例えば、重合化、配合、硬化、融解、溶媒蒸発等に従って加工されて、生分解性ポリ乳酸製手袋を形成する。図5の一般的工程は、単層手袋、二層手袋、および多層手袋を製造するために用いられてもよい。
【0090】
当業者にとって周知のように、本発明の手袋を製造する方法は、ポリ乳酸ポリマーを備えるエラストマ材料を用いる、当業者に公知のいずれの一般的な先行技術の手袋製造方法をも用いることができる(米国特許出願第10/373,970号および第10/373,985号、発明の名称「Flexible elastomer articles and methods of manufacturing(可撓性エラストマ製品および製造方法)」、および米国特許出願第10/640,192号、発明の名称「Gloves Containing Dry Powdered Aloe and Method of Manufacturing(乾燥粉末アロエを含む手袋と製造方法)」を再度参照)。したがって、本発明の生分解性ポリ乳酸製手袋は、当業者に公知のいずれの方法によっても、既存の工程に少し変更を加えるだけで製造できる。
【0091】
例えば、図6は、本発明の生分解性ポリ乳酸製手袋を製造するための浸漬作業を開示しており、ここで手袋のエラストマ材料は、本明細書中で説明した手袋106、120および/または130に関して開示した種類の1つ以上のポリ乳酸ポリマー成分および1つ以上の生分解性可塑剤成分を含んでいる。
【0092】
ステップ6.1において、オーブンが手袋成形機を予熱するために準備される。ステップ6.2において、ポリ乳酸ポリマー成分および生分解性可塑剤成分が(必要な場合には、適切な溶媒、例えば、塩化メチレンまたはテトラヒドロフラン(THF)の存在下で)混合され、浸漬タンク内に注入される。ステップ6.2はまた、当業者にとって周知のような着色料等の任意の成分の添加を含んでいてもよい。ステップ6.3において、浸漬タンクは手袋成形機を受け入れ、手袋成形機はポリ乳酸ポリマーおよび生分解性可塑剤成分を含むエラストマ材料でコーティングされる。ステップ6.4において、エラストマ材料のコーティングを有する手袋成形機は、融解オーブンに入る。ステップ6.5において、ビードロールカフが融解したエラストマ材料に適用される。
【0093】
ステップ6.6において、任意のシリコン、ポリウレタン、着香料、植物性成分、および/または治療用成分が提供されてもよい。ステップ6.7において、手袋成形機は、かかる任意成分を含む浸漬タンクに浸漬される。ステップ6.8において、必要な場合には、シリコンまたはポリウレタンが、エラストマ材料の融解中に、ポリ乳酸ポリマーおよび生分解性可塑剤成分を含むエラストマ材料の表面で重合化される。融解後、ステップ6.9において、生分解性ポリ乳酸製手袋が手袋成形機から剥がされる。代替として、ステップ6.10において、手袋は次いで、前述した手袋をコーティングする方法に従って、着香料等の1つ以上の任意成分で任意にコーティングされる。
【0094】
したがって、図5および図6に示す方法はまた、ポリ乳酸ポリマー成分を含むエラストマ基質への1つ以上の着色料、着香料、植物性成分、治療用成分、品質管理/加工成分の混合も含んでいることは、当業者にとって容易に明らかである。本発明の生分解性使い捨てポリ乳酸製手袋はまた、1つ以上の着香料、植物性成分、治療用成分、品質管理/加工成分でコーティングされてもよいことも、容易に明らかである。かかるコーティング材料は、キシリトール、アロエ、ノパルサボテン、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB3、ビタミンB5、ホホバ、ローズヒップ、ティーツリー油、アマニ油、パーム油、および/またはアセチルサリチル酸を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0095】
一実施の形態において、手袋は、プラスチゾルまたはオルガノゾル等のポリ乳酸ポリマー(PLA)の分散液から形成される。PLAプラスチゾルまたはオルガノゾルは、浸漬形成または回転注型タイプの工程で使用されて、PLA手袋またはコンドーム、カテーテル等の他の薄膜製品を形成できる。PLAプラスチゾルは、融解後のPLAと相溶性がある可塑剤にPLA粉末を分散させることによって調製される。可塑剤は生分解性であるのが好ましい。PLAプラスチゾルはまた、分散液の粘度およびレオロジーを制御するようサーファクタント、または界面活性剤を含んでいてもよい。
【0096】
PLAプラスチゾル調合物が、約35重量%未満の可塑剤を含み、高い粘度を有している場合、適切な希釈剤および任意に分散剤が、PLAオルガノゾルを形成するよう添加される。希釈剤はPLA粉末に対して弱溶剤または非溶剤であり、分散剤はPLA粉末に対して強溶剤である。PLAオルガノゾルに対する適切な希釈剤は、イソプロピルアルコールおよびエポキシ化アルコールを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施の形態において、特定の長鎖エステル、エーテル、アルコール等の希釈特性と分散特性の両方を兼ね備える単一溶媒は、PLAオルガノゾルを形成するのに用いられる。かかる実施の形態において、より長いアルキル鎖は、PLAに対して弱い溶媒特性を提供する。
【0097】
PLAプラスチゾルにおいて、PLA粉末は、可塑剤に溶解しないが、懸濁される。同様に、PLAオルガノゾルにおいて、PLA粉末は、可塑剤、希釈剤、および任意の分散剤を含む液相に溶解しないが、懸濁される。かかるPLAプラスチゾルおよびPLAオルガノゾルは、PLA粉末を溶解させるための強溶剤を含むPLA溶液と比較した場合により環境に優しく、より経済的である。さらに、PLAに対する環境に優しい溶媒を見つけることは難しく、おそらく市販されていないか、非常に高価である。したがって、PLA溶液を用いるソルベント・キャスティング(溶液流延)のような工程は、PLA手袋および他のPLA薄膜製品を形成するのには適していない。さらに、PLA溶液は、PLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルの乾燥時間よりも長時間の乾燥時間を要する。PLA粉末は希釈剤に溶解されないため、PLAプラスチゾルに対する乾燥ステップは事実上全く無く、PLAオルガノゾルに対しては短時間の乾燥時間がある。さらに、一般には、プラスチゾルまたはオルガノゾルを用いる形成工程は、ソルベント・キャスティング工程と比較した場合、気泡形成を低減でき、それによって、薄膜製品における不良を低減できる。
【0098】
さらに、本発明の実施の形態によるPLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルから手袋または他の薄膜製品を浸漬形成する方法は、押出し成形、ブロー成形、射出成形、および紡糸工程等の従来の溶融形成工程より優れた多くの利点を提供する。かかる従来の溶融形成工程は、複雑な形状と寸法を有する薄膜エラストマ手袋および他の薄膜製品を経済的に形成することができない。さらに、浸漬形成工程等のPLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルを用いる形成工程において、PLAは、PLAの融解温度よりも非常に低い温度で融解できる。これは、PLAが、融解中に完全に溶解する必要が無く、むしろ流動のみして連続被膜を形成する必要があるからである。したがって、PLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルを用いる浸漬形成工程は、押出し成形および種々の成形工程等の、高温および/または高せん断条件においてPLAの完全な溶解を必要とする従来の溶融形成工程と比較した場合、実質的にPLAの熱への暴露を低減できる。PLAは、高温多湿下で急速分解する傾向があるので、PLAの分解は、PLAの高熱およびせん断への暴露を低減または無くすことにより実質的に低減できる。
【0099】
これらの利点にもかかわらず、PLAプラスチゾルおよびPLAオルガノゾルは、業界において知られていなかった。これは、PLAプラスチゾルおよびPLAオルガノゾルを形成することにおいて課題があるからである。他の非生分解性ポリマープラスチゾルは公知であった。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)プラスチゾルは、種々の薄膜製品を形成するのに用いられてきた。PVCプラスチゾルを形成するためのPVCは、実質的に球形で、0.2ミクロンから数ミクロン未満の粒径を有する粒子を形成するエマルジョン重合法において作成される。しかし、PLAはエマルジョンでは作成されず、したがって、PLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルのためのPLA粉末の調製は、結果として広範な粒径と形状を生じる機械的粉砕を伴う。粒径および形状のかかるバラツキは、安定したプラスチゾルまたはオルガノゾルの形成を難しくさせる。さらに、かかるPLA粉末により安定したPLAプラスチゾルおよびPLAオルガノゾルを形成できる可塑剤は、従来技術において知られていなかった。
【0100】
図7は、本発明の実施の形態に係るプラスチゾルからPLA手袋を浸漬成形する方法を示すフロー図である。方法200は一般に、PLA粉末を調製するステップ202と、可塑剤を選択するステップ204と、PLA粉末を可塑剤中に分散させてプラスチゾルを形成するステップ206と、手袋成形機を予熱するステップ212と、予熱した成形機をプラスチゾルに浸漬するステップ214と、PLAポリマーを融解するステップ222と、成形機からPLA手袋を剥がすステップ224とを含んでいる。いくつかの実施の形態において、方法200は、プラスチゾルを固化するステップ216と、浸漬ステップを繰り返すステップ218とを含んで多層手袋を形成してもよい。
【0101】
PLA粉末を調製するステップ202は、種々の粉砕または微粉化技術を介して行うことができる。一実施の形態において、PLAポリマーは、ペレットの形で得られ、低温ミル加工により粉末へと粉砕される。他の実施の形態では、周囲ミル加工、ジェットミル加工等の他の適切なサイズ縮小技術、および/またはマイクロ粉砕技術が、PLA粉末の調製に使用できる。PLA粉末は、実質的にPLAポリマーのガラス転移温度よりも低い温度で粉砕されるのが好ましい。粉砕技術は、PLAポリマーの特性および所望の粒径範囲に基づいて選択できる。例えば、低いガラス転移温度を有するPLAポリマーは、極低温ミル加工を必要とするであろう。一実施の形態において、PLA粉末は、1000ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、より好ましくは25ミクロン未満の平均粒径を有する。PLAポリマーは、乳酸またはラクチドのポリマーを備えていてもよく、反復単位は、L‐ラクチド、D‐ラクチド、またはメソ‐ラクチド、またはRまたはS乳酸および/またはDL共重合体、またはメソ‐ラクチドモノマー、またはRまたはS乳酸モノマーであってもよい。PLAポリマーは、その重合体構造によって、アモルファス、結晶質、または両方の混合であってもよい。PLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルのためのかかる適切なPLAポリマーの例は、Nature Works社製のIngeoグレードPLAポリマーペレットおよびICO Polymers社製のEcorenePLA粉末を含むが、これらに限定されない。PLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルのための他の好ましいPLAポリマーは、他の生分解性ポリマーとのPLAの共重合体またはブレンドを含む。
【0102】
PLAポリマーと相溶性がある可塑剤は、ステップ204において選択される。適切な可塑剤は、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、オクチルフェノールエトキシレート等のアルキルフェノールエトキシレート、グルコースモノエステル等のグルコース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコールエステル等のポリグリコール誘導体、脂肪酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル、ラクチドモノマー、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化油、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、アセチル化ココナッツ油等を含むが、これらに限定されない。
【0103】
選択された可塑剤は、生分解性であって、PLA手袋の生分解性を最大にするよう非生分解性成分を最小にするか、除去することが好ましい。かかる生分解性可塑剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、グルコースモノエステル、クエン酸エステル、エポキシ化油、ラクチドモノマー、オクチルフェノールエトキシレート等を含むが、これらに限定されない。一実施の形態において、選択された可塑剤は、融解中にPLAと相溶性があり、PLA手袋の可撓性を向上させる。さらに、選択された可塑剤は、プラスチゾルまたはオルガノゾル状態においてPLA粉末の膨潤またはゲル化を最小にするか、除去する。エステルまたはエーテル配列および比較的非極性の炭化水素配列等のPLA相溶性極性セグメントを有する可塑剤は、特に適している。可撓性を与える可塑剤は、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、クエン酸エステル、アルキルフェノールエトキシレート等を含むが、これらに限定されない。PLAプラスチゾル調合物またはPLAオルガノゾル調合物は、約10重量%から約70重量%の可塑剤を含んでいてもよい。さらに、PLAオルガノゾル調合物は、約5重量%から約50重量%の希釈剤および/または分散剤を含んでいてもよい。
【0104】
プラスチゾルを形成するステップ206は、PLA粉末を選択した可塑剤中に分散させるステップも伴う。分散液は、従来のミキサーアセンブリで形成することができる。驚くことに、このような可塑剤中のPLA粉末の分散液は、融解後に丈夫で安定した薄膜手袋または薄膜を形成する。一実施の形態において、プラスチゾル中のPLA粉末の分散液は、高せん断混合機またはロータ/ステータアセンブリまたはIKA Works社から市販されているIKA Ultra Turrax T−25等のホモジナイザを用いて微細分散またはプラスチゾルを形成して作られる。PLA粉末と可塑剤のかかる混合は、安定したプラスチゾルを形成する。いくつかの実施の形態において、非イオン界面活性剤がPLAプラスチゾルに添加される。非イオン界面活性剤は、浸漬成形工程中、および/または、PLA手袋が使用される様々な条件において、PLAのいずれの急速分解も防ぐようカチオンまたはアニオン界面活性剤よりも好ましい。PLAに対する消泡剤、架橋剤、鎖延長剤、エージングおよび加水分解安定剤等の他の添加剤も、加工性、物理的特性、および生分解性を向上させるよう、およびエージングを制御するよう添加できる。
【0105】
一実施の形態において、安定したプラスチゾルは、20gのPLA粉末を11.5gの生分解性可塑剤中に13.5gの非イオン界面活性剤とともに分散させることによって調製される。この実施の形態において、PLA粉末は、ICO Polymers社から市販されているEcorene NW−31 PLA粉末であり、生分解性可塑剤は、植物由来の脂肪酸から生成されるイソソルビドジエステルと、グルコース、ソルビトールの誘導体の単純な修飾(脱水)から得られるイソソルビドとの配合物であるフランスのRoquette社のPolysorb ID−37であり、非イオン界面活性剤は、ダウ・ケミカル社のオクチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)xであるTriton X−100であった。
【0106】
浸漬形成の実施の形態において、PLAプラスチゾルは、浸漬形成工程に適した粘度を有するよう調合される。浸漬形成工程に適したPLAプラスチゾルの粘度は、可塑剤の量、可塑剤粘度、PLA粉末の粒径を変更することによって、および/または、PLAに表面活性剤および/または表面活性コーティングを添加することによって得ることができる。
【0107】
図7に戻って参照すると、所望の寸法のセラミック製またはアルミ製手袋成形機は、適切な粘度を有するPLAプラスチゾルを用いる浸漬形成の準備におけるステップ212で約60℃から75℃に加熱される。予熱された手袋成形機は次いで、PLAプラスチゾルに静かに浸漬されて(ステップ214)分散液の連続的で均一な堆積層を成形機に生じる。成形機は、回転運動および波状運動を受けて分散液を成形機上で均一に分配できる。
【0108】
かかる浸漬ステップによって形成されるPLA層の厚さは、約0.03mmから2mmである。エラストマ層の厚さは、PLAプラスチゾルの粘度、PLAプラスチゾルに浸漬する成形機の期間、成形機の回転速度等の種々の工程パラメータを調節することによって制御できる。PLA層は固化されてもよく(ステップ216)、浸漬ステップは、多層PLA手袋を形成するよう繰り返されてもよい(ステップ218)。いくつかの実施の形態において、各浸漬ステップは、異なる特性を有するPLA層を含む多層手袋を形成するよう異なるPLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾル調合物を用いて行われてもよい。いくつかの実施の形態において、1つ以上の層は、非PLA調合物を用いて形成できる。
【0109】
手袋成形機に形成されるPLA層は、数分間、約125℃から約200℃の間の温度に加熱されてPLAを融解する(ステップ222)。融解ステップ222の温度と期間は、PLAプラスチゾルの配合によって決まる。例えば、高レベルの可塑剤を含み、および/またはアモルファスPLAを含有するPLAプラスチゾル調合物は、比較的少ない量の可塑剤および結晶質のPLAを含む調合物よりも低い温度で融解する。融解温度は通常、PLAのガラス転移温度を超える。PLAポリマーが融解した後、手袋は手袋成形機から剥がすことができる(ステップ224)。
【0110】
図8は、本発明の実施の形態に係るPLAオルガノゾルからPLA手袋を浸漬成形する方法を示すフロー図である。方法300は、PLAプラスチゾルからPLA手袋を浸漬成形する方法200と以下の点で類似しており、その方法は、PLA粉末を調製するステップ302と、可塑剤を選択するステップ304と、PLA粉末を可塑剤中に分散させるステップ306と、手袋成形機を予熱するステップ312と、予熱した成形機をオルガノゾルに浸漬するステップ314と、PLAポリマーを融解するステップ322と、成形機からPLA手袋を剥がすステップ324とを含んでいる。しかし、方法はさらに、ステップ306においてPLAプラスチゾルの代わりにPLAオルガノゾルを形成するよう、希釈剤を添加するステップ308を含んでいる。任意に、分散剤を添加して(ステップ309)、所望の厚さを有する手袋を浸漬形成するのに適したPLAオルガノゾルの粘度を得ることができる。
【0111】
さらに、方法300は、融解ステップ322の前のステップ316において、PLA浸漬手袋成形機を適温まで加熱して希釈剤および/または分散剤を蒸発させるステップを含んでいる。この乾燥ステップは、約60℃から約90℃の間の温度で、例えば、強制空気循環オーブン内で行ってもよい。この乾燥ステップ316は、数秒または数分以内で行ってもよい。方法200で行ったように、浸漬ステップと乾燥ステップは、多層手袋を形成するよう繰り返されてもよい(ステップ318、320)。
【0112】
いくつかの実施の形態において、着香料、粘着分離剤、ドニング促進剤、および/または植物性成分等の他の添加物は、ステップ210、310においてPLAプラスチゾルまたはPLAオルガノゾルに添加されてもよい。さらに、創傷治癒、抗炎症特性、および抗菌特性のうちの1つ以上の特性を有する1つ以上の治療用成分を有する1つ以上の治療用添加物、および/または着色料等の他の添加物が添加されてもよい。
【0113】
一実施の形態において、方法200または300を介して形成されるPLA手袋は、30重量%から90重量%の間、好ましくは50重量%から80重量%の間、より好ましくは60重量%から75重量%の間のPLAと、10重量%から70重量%の間、好ましくは20重量%から40重量%の間、より好ましくは25重量%から35重量%の間の生分解性可塑剤とを含み、約0.01mmから約2mmの間、好ましくは約0.03mmから約1mmの間、より好ましくは約0.05mmから約0.2mmの間の厚さと、少なくとも5MPa、好ましくは10MPaを超え、より好ましくは15MPaを超え、特に約10MPaから25MPaの間の(ASTM D412に従って測定される)引張強度と、少なくとも約100%、好ましくは200%を超え、より好ましくは400%を超え、特に250%から450%の間の破断伸び(極限伸び)とを有する。手袋は、手袋を使用する場合の良好な快適性と低い疲労のために低い伸びの時にそれ程高い弾性率を示さない。例えば、100%引張弾性率は、約10MPa未満、好ましくは約6MPa未満、より好ましくは約4MPa未満、特に1MPaから4MPaの間であろう。
【0114】
以下の実施例は、本発明の実施の形態に従う用途と実施を示す。これらの実施例は、例示のために提示するものであり、限定するものではない。
【0115】
実施例1
【0116】
オルガノゾル調合物は、実験室において、Ecorene NW−31 PLA粉末(ICO Polymers社)60gと、Citroflex A4クエン酸エステル可塑剤(Vertellus社)30gと、Triton X−100非イオン界面活性剤3gと、イソプロピルアルコール希釈剤75gとを混合することによって調製される。オルガノゾルの薄膜がアルミニウム板に堆積され、約85℃で乾燥され、60秒間約200℃で融解されて、平滑で、非常に強度のある軟質コヒーレント膜を形成した。
【0117】
実施例2
【0118】
オルガノゾルは、実験室において、ICO Polymers社のEcorene NW−61 PLA粉末11.6gを、イソソルビドジエステル可塑剤(Roquette Industries社のPolysorb ID−37)5g、Triton X−100非イオン界面活性剤0.2g、およびイソプロピルアルコール希釈剤15g中で分散させることによって調製された。被覆した分散液の薄膜は、約85℃で乾燥され、10分間約130℃で融解されて、約11.3MPaの引張強度を有する伸張性の、平滑で、強度があり、透明なコヒーレント膜を形成した。
【0119】
実施例3
【0120】
オルガノゾルは、実験室において、PLA粉末Ecorene NW−31 12.7g、イソソルビドジエステル(Polysorb ID−37)12.3gを、IPA希釈剤15g中で分散させることによって調製された。コーティング後の分散液は、約85℃で乾燥され、60秒間約200℃で融解されて、約11.4MPaの引張強度を有する強度のある、軟質コヒーレント膜を形成した。
【0121】
実施例4
【0122】
プラスチゾルは、実験室において、Ecorene NW−31粉末20gを、Polysorb ID−37 11.5gと、Triton X−100 13.5gとともに分散させることによって調製された。プラスチゾルの薄膜がコーティングされ、60秒間約200℃で融解されて、透明なコヒーレント膜を形成した。
【0123】
本発明の上記説明を、特定の実施の形態とその用途を参照して図示し、説明してきたが、図示および説明の目的のために提示したものであり、本発明を網羅したり、または開示した特定の実施の形態および用途に本発明を制限することを目的としていない。本明細書中で説明したような発明に対する多くの変更、修正、変形、または代替は、本発明の精神と適用範囲から逸脱することなく行われてもよいことは、当業者にとって明らかである。特定の実施の形態および適用は、発明の原理とその実用化の最良の例示を提供し、それによって当業者が、考察された特定用途に適するように様々な実施の形態において、様々な修正とともに発明を利用できるよう選択され、説明される。したがって、かかるすべての変更、修正、変形、および代替は、それらが公正、合法的、公平に権利を与えられる範囲に従って解釈される場合、添付の特許請求の範囲によって決定されるような本発明の適用範囲内にあると見なされるべきである。
[第1の局面]
少なくとも1つのエラストマ層を含む手袋であって、
前記少なくとも1つのエラストマ層は、
ポリ乳酸ポリマー成分と;
生分解性可塑剤成分とを含み;
前記手袋は、約0.01mmから2mmの間の厚さと、少なくとも10MPaの引張強度と、約200%を超える伸びとを有する、
手袋。
[第2の局面]
前記手袋は、約0.05mmから約0.2mmの間の厚さと、約10MPaから25MPaの間の引張強度と、約250%から450%の間の伸びと、約1MPaから4MPaの間の100%引張弾性率とを有する、
第1の局面に記載の手袋。
[第3の局面]
前記ポリ乳酸ポリマー成分は、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸、および、D‐ポリ乳酸、L‐ポリ乳酸、DL‐ポリ乳酸、メソ‐ポリ乳酸のいずれかの組み合わせを含む、
第1の局面に記載の手袋。
[第4の局面]
前記生分解性可塑剤成分は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、グルコースモノエステル、クエン酸エステル、エポキシ化油、ラクチドモノマー、オクチルフェノールエトキシレートから成る群から選択される、
第1の局面に記載の手袋。
[第5の局面]
前記ポリ乳酸ポリマー成分は、約50重量%から80重量%の間で含み、
前記生分解性可塑剤成分は、約20重量%から40重量%の間で含む、
第1の局面に記載の手袋。
[第6の局面]
さらに、非イオン界面活性剤を含む;
第5の局面に記載の手袋。
[第7の局面]
前記生分解性可塑剤は、イソソルビドジエステルである、
第6の局面に記載の手袋。
[第8の局面]
前記少なくとも1つのエラストマ層はさらに、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンエステル、ポリエステルアミド、ポリビニルエステル、炭酸ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酸無水物、多糖類の、ホモポリマー、ブロック、グラフト、ランダム、共重合体、およびポリブレンド、および、それらの組み合わせから成る群から選択される生分解性ポリマー樹脂を含む、
第1の局面に記載の手袋。
[第9の局面]
さらに、前記少なくとも1つのエラストマ層の1つ以上に混合される、着香料成分、抗菌剤、粘着分離剤、植物性抽出物、ドニング促進剤、着色成分、および治療用成分のうちの少なくとも1つを含む;
第1の局面に記載の手袋。
[第10の局面]
前記手袋は、ポリ乳酸ポリマープラスチゾルまたはポリ乳酸ポリマーオルガノゾルから形成される、
第1の局面に記載の手袋。
[第11の局面]
PLA分散液を形成するために、ポリ乳酸ポリマー粉末を可塑剤に分散させるステップと;
前記分散液を用いて薄型製品を形成するステップとを含む;
薄型製品を形成する方法。
[第12の局面]
さらに、約100ミクロン未満の平均粒径を有する前記ポリ乳酸ポリマー粉末を調製するステップを含む;
第11の局面に記載の方法。
[第13の局面]
前記分散させるステップは、
前記ポリ乳酸ポリマーと相溶性がある前記可塑剤を選択するステップと;
前記可塑剤と前記ポリ乳酸ポリマー粉末とを混合してPLAプラスチゾルを形成するステップと;
浸漬形成工程のために前記PLAプラスチゾルの粘度を制御するステップとを含む;
第11の局面に記載の方法。
[第14の局面]
前記PLAプラスチゾルは、約50重量%から80重量%の間の前記ポリ乳酸ポリマー粉末を混合することによって形成され、
前記可塑剤成分は、約20重量%から40重量%の間で含む、
第13の局面に記載の方法。
[第15の局面]
前記PLAプラスチゾルはさらに、非イオン界面活性剤を含む、
第13の局面に記載の方法。
[第16の局面]
浸漬形成工程のために前記粘度を制御するステップは、希釈剤を添加し、それによってPLAオルガノゾルを形成するステップを含む;
第13の局面に記載の方法。
[第17の局面]
前記粘度を制御するステップは、さらに分散剤を添加するステップを含む;
第16の局面に記載の方法。
[第18の局面]
前記形成するステップは、前記PLA分散液から手袋を浸漬形成するステップを含み;
手袋成形機が、前記PLA分散液に浸漬され、前記ポリ乳酸ポリマーを融解して少なくとも1つのポリ乳酸ポリマーエラストマ層を含む手袋を形成するよう加熱される、
第8の局面に記載の方法。
[第19の局面]
薄型製品を形成するためのポリ乳酸ポリマー分散液であって、
可塑剤に分散されるポリ乳酸ポリマー粉末を含み;
前記可塑剤は、前記ポリ乳酸ポリマーと相溶性がある、
ポリ乳酸ポリマー分散液。
[第20の局面]
前記分散液は、浸漬形成工程に適した粘度を有するプラスチゾルであり、
前記プラスチゾルは、約50重量%から80重量%の間の前記ポリ乳酸ポリマー粉末と約20重量%から40重量%の間の前記可塑剤とを含む、
第19の局面に記載の分散液。
[第21の局面]
さらに、非イオン界面活性剤を含む;
第20の局面に記載の分散液。
[第22の局面]
前記可塑剤は、生分解性可塑剤であり、
前記生分解性可塑剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソソルビドジエステル等のソルビトール誘導体、グルコースモノエステル、クエン酸エステル、エポキシ化油、ラクチドモノマー、オクチルフェノールエトキシレートから成る群から選択される、
第19の局面に記載の分散液。
[第23の局面]
さらに分散剤を含み;
前記分散液は、浸漬形成工程に適した粘度を有するオルガノゾルである、
第19の局面に記載の分散液。
[第24の局面]
前記薄型製品は、エラストマ手袋である、
第19の局面に記載の分散液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8