特許第5989641号(P5989641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989641
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】リポタンパク質製剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/00 20060101AFI20160825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 31/685 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A61K37/02
   A61P43/00 121
   A61K37/22
   A61K31/575
   A61K31/685
   A61P9/00
   A61P3/06
   A61P9/10 103
   A61P9/10 101
【請求項の数】10
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-516907(P2013-516907)
(86)(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公表番号】特表2013-529648(P2013-529648A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】AU2011000819
(87)【国際公開番号】WO2012000048
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】61/359,925
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500021413
【氏名又は名称】シーエスエル、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ライト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・インボーデン
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト・ボリ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ヴェルクリ
【審査官】 天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−242699(JP,A)
【文献】 特表2006−507223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 31/575
A61K 31/685
A61P 3/06
A61P 9/00
A61P 9/10
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポリポタンパク質又はそのフラグメント;脂質;並びに、約0.5〜1.5g/L及び約0.010〜0.030g/gアポリポタンパク質からなる群から選択されるレベルの界面活性剤;を含んでなる再構成高密度リポタンパク質(rHDL)製剤であって、アポリポタンパク質がApo−A1であり、脂質がホスファチジルコリンであり、界面活性剤がコール酸ナトリウムである、rHDL製剤。
【請求項2】
界面活性剤のレベルが、約0.5〜1.5g/Lである、請求項1に記載のrHDL製剤。
【請求項3】
界面活性剤のレベルが、約0.015〜0.030g/gアポリポタンパク質である、請求項1に記載のrHDL製剤。
【請求項4】
製剤が安定剤をさらに含む、請求項1に記載のrHDL製剤。
【請求項5】
アポリポタンパク質;脂質;及び界面活性剤;を含んでなるrHDL製剤の製造方法であって、約0.5〜1.5g/L及び約0.010〜0.030g/gアポリポタンパク質からなる群から選択されるレベルで上記界面活性剤を提供する工程;を含み、アポリポタンパク質がApo−A1であり、脂質がホスファチジルコリンであり、界面活性剤がコール酸ナトリウムである、上記方法。
【請求項6】
界面活性剤のレベルが、約0.5〜1.5g/Lである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤のレベルが、約0.015〜0.030g/gアポリポタンパク質である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(A)有機溶媒なしのホスファチジルコリン及びコール酸ナトリウムをApo−A1溶液に加える工程;
(B)工程(I)で調製された溶液中のコール酸ナトリウムのレベルを約0.03g/
g Apo−A1に低下させる工程;
(C)工程(B)の溶液に安定剤を加える工程;
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ヒトにおける心血管疾患、高コレステロール血症又は低コレステロール血症の1以上からなる群から選択される疾患、障害又は状態の治療に使用するための、アポリポタンパク質又はそのフラグメント;脂質;並びに、約0.5〜1.5g/L及び約0.010〜0.030g/gアポリポタンパク質からなる群から選択されるレベルの界面活性剤;を含んでなるrHDL製剤であって、アポリポタンパク質がApo−A1であり、脂質がホスファチジルコリンであり、界面活性剤がコール酸ナトリウムである、rHDL製剤
【請求項10】
疾患、障害又は状態には、急性冠状動脈症候群(ACS)、アテローム性動脈硬化症及び心筋梗塞が含まれる、請求項記載のrHDL製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再構成高密度リポタンパク質製剤に関する。より詳しくは、本発明は、低下された毒性を有する再構成高密度リポタンパク質製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度リポタンパク質(HDL)は、高密度(>1.063g/mL)と小さなサイズ(ストークス径=5〜17nm)を特徴とする脂質及びタンパク質を含有する異質リポタンパク質の一種である。さまざまなHDLサブクラスは、脂質、アポリポタンパク質、酵素及び脂質輸送タンパク質(lipid transfer proteins)の量的及び質的内容において異なり、形状、密度、サイズ、電荷及び抗原性に違いが生じる。アポリポタンパク質A−I(Apo−AI)は、主要なHDLタンパク質であるが、Apo−AII及びApo−Vのような他のアポリポタンパク質も存在しうる。
【0003】
疫学的及び臨床的研究は、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルと心血管疾患のリスクの間に逆相関を確立した(非特許文献1に概説)。より詳しくは、再構成HDL製剤の臨床投与は、発症間もない急性冠動脈症候群(ACS)を患っている高コレステロール血症患者に有益な効果をもたらすことが示されている。
【0004】
典型的に、このような再構成HDL製剤は、Apo−AIのようなタンパク質、ホスファチジルコリンのような脂質及びコラート又はデオキシコラートのような界面活性剤を含む。さらに、コレステロールを含むことがある。特許文献1に議論されたように、場合によっては、再構成HDL製剤を製造するときに、脂質成分(例えばホスファチジルコリン)を溶解するために用いられる有機溶媒を用いることなく、再構成HDL製剤を製造することは好都合でありうる。CSL−111と称する、このタイプの再構成HDL製剤は、臨床治験されたが、より高い用量の治療は、肝機能検査異常の後すぐに中断された。CSL111で治療された患者は、プラークバーデン(plaque burden)指数における有益な傾向を示した。しかし、プラセボと比較したときに、アテローム体積率の変化又はプラーク体積の公称変化(nominal change)における統計的有意性は得られなかった(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,652,339号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Assmann et al., 2004, Circulation 109 III-8
【非特許文献2】Tardif et al., 2007, JAMA-Exp. 297 E1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の再構成HDL製剤の1つ又はそれ以上の欠点を緩和又は回避する再構成HDL製剤を提供することである。
【0008】
本発明の好ましい目的は、低下された又は最小限の毒性を有する再構成HDL製剤を提供することである。
【0009】
本発明の別の好ましい目的は、冠動脈アテローム性動脈硬化症を含むが、これに限定されない疾患又は状態の予防的及び/又は治療的処置に有効である再構成HDL製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
大まかには、本発明は、毒性でないか、又は少なくとも比較的低い毒性を示すレベルでアポリポタンパク質、リン脂質及び界面活性剤を含むリポタンパク質製剤に関する。特定の実施態様において、界面活性剤及び脂質のレベルは、肝毒性を生じる、もたらす又は伴うそれより低いレベルである。
【0011】
一態様において、本発明は、アポリポタンパク質又はそのフラグメント;脂質;及びヒトに投与すると肝毒性を示すrHDL製剤中に存在するレベルの約5〜50%であるレベルで界面活性剤を含む、再構成高密度リポタンパク質(rHDL)製剤を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、アポリポタンパク質;脂質;及び界面活性剤を含むrHDL製剤の製造方法であって、ヒトに投与すると肝毒性を示すrHDL製剤中に存在するレベルの約5〜50%であるレベルで前記界面活性剤を準備する工程を含む前記方法を提供する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、第1の態様による又は第2の態様の方法に従って製造されたrHDLをヒトに投与し、それによってヒトにおける疾患、障害又は状態を治療する工程を含む、ヒトにおける前記疾患、障害又は状態を治療する方法を提供する。
【0014】
なおさらに別の態様において、本発明は、ヒトにおける疾患、障害又は状態の治療に使用するための第1の態様による又は第2の態様の方法に従って製造されたrHDL製剤を提供する。
【0015】
好ましくは、界面活性剤のレベルは、肝毒性を示すそれの約5〜10%である。特定の実施態様において、これは約0.03g/gのアポリポタンパク質に相当する。
【0016】
好ましくは、界面活性剤は、胆汁酸塩又は胆汁酸である。より好ましくは、界面活性剤はコール酸ナトリウムである。
【0017】
アポリポタンパク質は、高密度リポタンパク質(HDL)の標準的及び/又は機能的成分である任意のアポリポタンパク質であってもよい。アポリポタンパク質は、好ましくは約20〜50g/Lの濃度である。好ましくは、アポリポタンパク質は、Apo−A1又はそのフラグメントである。
【0018】
適切には、脂質レベルは、肝毒性を生じる、又は伴うそれの約20〜70%である。好ましくは、脂質は約30〜60g/Lの濃度である。特に好都合な脂質濃度は、約30〜50g/L、又は特定の実施態様において、約34又は47g/Lである。
【0019】
好ましくは、脂質はリン脂質である。より好ましくは、リン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)であるか、又はそれを含む。
【0020】
1つの好ましい実施態様において、アポリポタンパク質:脂質のモル比は、1:20〜1:100の範囲にある。より好ましくは、アポリポタンパク質:脂質のモル比は、1:40〜1:75の範囲にある。特に好都合なアポリポタンパク質:脂質の比率は、約1:40又は1:55である。
【0021】
適切には、rHDL製剤は、安定剤をさらに含む。好ましくは、安定剤は、ショ糖のような糖質である。好ましい濃度は、約65〜85g/L rHDL製剤である。
【0022】
本明細書を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、記載された完全体(integer)又は完全体の群を包含するが、他のいかなる完全体又は完全体の群を排除しない意味であることが理解される。
【0023】
以下、詳細に記載された本発明の非限定的な実施態様を理解する助けになる以下の図面を参照のこと。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コラート及びホスファチジルコリンの両方を同時に減らすと肝毒性が低下することを示す急性ラット研究の結果を示す。
図2】コラートを選択的に減らすと肝毒性の低下を示す急性ラット研究の結果を示す。
図3】異なる濃度のコラート存在下におけるCSL111の濁度分析の結果を示す。
図4】凍結乾燥及び再構成後の異なる濃度のコラート存在下におけるCSL111の濁度の結果を示す。
図5】室温(RT)での再構成HDL 1:50 PCの濁度分析の結果を示す。
図6】37℃での再構成HDL 1:50 PCの濁度分析の結果を示す。
図7】室温での再構成HDL 1:75 PCの濁度分析の結果を示す。
図8】37℃での再構成HDL 1:75 PCの濁度分析の結果を示す。
図9】rHDL製剤の製造方法の実施態様の概要を提供する。
【0025】
発明の詳述
本発明は、少なくとも部分的に、先行技術に記載されたCSL111再構成HDL(rHDL)製剤によって示された肝毒性が、特に製剤中のApo−A1に対する界面活性剤の比率に関して考えたときに、過剰な界面活性剤のためであったという予想外の発見からもたらされた。これに関して、コール酸ナトリウムのレベルは、約0.3g/gApo−A1であった。しかし、また、発明者等は、界面活性剤を完全に排除することはできず、そしてそれによって、rHDL製剤が、十分な安定性及び治療活性を示すレベルに保持しなければならないことを発見した。
【0026】
さらにまた、CSL111中に存在するそれと比較して、脂質濃度の低下は、rHDL製剤の治療活性を実質的に損なうことなく、肝毒性を低下させることが予想外に見出された。
【0027】
なおさらなる発見において、rHDL製剤に最適なアポリポタンパク質:脂質のモル比が、特定された。
【0028】
従って、一態様において、本発明は、アポリポタンパク質又はそのフラグメント;脂質及びヒトに投与すると肝毒性を示すrHDL製剤中に存在するレベルの約5〜50%であるレベルの界面活性剤を含むrHDL製剤を提供する。
【0029】
本明細書に用いられるように、「再構成HDL(rHDL)」製剤は、血漿中に典型的に存在する高密度リポタンパク質(HDL)と機能的に同等である、類似した、相当する、又は模倣した、人工的に製造された任意のリポタンパク質製剤又は組成物であってもよい。rHDL製剤は、その範囲内に「HDL模倣剤」及び「合成HDL粒子」を含む。
【0030】
これに関して、「ヒトにrHDL製剤を投与すると肝毒性を示す」とは、ヒトに投与した後に、その後、有害事象を生じる、もたらす、又は少なくとも伴う、rHDL製剤中の界面活性剤のレベルを意味する。典型的に、有害事象は、異常な又は損なわれた肝機能によって表されるような肝毒性である。肝機能が異常であるか又は損なわれた可能性のある非限定的な例としては、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性(ALT)の上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)活性の上昇及び/又はビリルビンレベルの上昇が含まれる。本発明によれば、界面活性剤の適したレベルは、先に記載されたように、有害事象を生じない、もたらさない又は伴わないそれである。典型的に、これは、注入終了後に測定される。
【0031】
好ましくは、界面活性剤のレベルは、肝毒性を示すそれの約5〜35%である。この範囲は、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%及び35%を含む。より好ましくは、界面活性剤のレベルは、肝毒性を示すそれの約5〜20%である。都合よくは、レベルは、肝毒性を示すそれの約5〜10%である。好ましくは、これらのレベルは、肝毒性を示す界面活性剤の最小又は閾値レベルの観点から表した。
【0032】
例として、本発明に至る研究で示された、肝毒性を生じる、もたらす又は少なくとも伴う界面活性剤のレベルは、0.3g/g Apo−AI又は6g/L rHDL製剤(20g/L Apo−AIで)である。従って、5〜10%のこの界面活性剤レベルは、0.015〜0.03g/g Apo−AI又は0.5〜0.9g/L rHDL製剤(30g/L Apo−AIで)である。
【0033】
界面活性剤の「レベル」は、界面活性剤の絶対量、界面活性剤の濃度(例えば、rHDL製剤の単位体積当たりの質量)及び/又はrHDL製剤の別成分の量又は濃度に対する界面活性剤の量の比率又は濃度であってもよい。ほんの一例として、界面活性剤のレベルは、rHDL製剤中に存在するアポリポタンパク質(例えばApo−AI)の全質量に関して表してもよもよい。
【0034】
安全性及び肝毒性の回避は、本発明の1つの目的であるが、本発明では、rHDL製剤の安定性を維持するために十分な界面活性剤のレベルも必要である。実施例中により詳細に記載されたように、30g/Lアポリポタンパク質を含むrHDL製剤の約0.45g/Lより少なくない界面活性剤濃度は、安定性及び非毒性の両方に関して最適である。安定性は、当分野で知られた任意の手段で都合よく測定されうるが、rHDL製剤の濁度が好ましい基準ある。
【0035】
界面活性剤は、rHDL製剤における使用に適した、胆汁酸及びその塩を含む、任意のイオン性(例えば、陽イオン性、陰イオン性、双極性)界面活性剤又は非イオン性界面活性剤であってもよい。イオン性界面活性剤には、胆汁酸及びその塩、ポリソルベート(例えばPS80)、CHAPS、CHAPSO、セチルトリメチル−アンモニウムブロミド、ラウロイルサルコシン、tert−オクチルフェニルプロパンスルホン酸及び4'−アミノ−7−ベンズアミド−タウロコール酸が含まれうる。
【0036】
典型的に、胆汁酸は、コール酸、デオキシコール酸ケノデオキシコール酸又はウルソデオキシコール酸を含む、24炭素を有するジヒドロキシル化又はトリヒドロキシル化ステロイドである。好ましくは、界面活性剤は、コラート、デオキシコラート、ケノデオキシラート又はウルソデオキシラート塩のような胆汁酸塩である。特に好ましい界面活性剤は、コール酸ナトリウムである。
【0037】
アポリポタンパク質は、天然由来HDLの又は再構成高密度リポタンパク質(rHDL)の機能性の生物活性成分である任意のアポリポタンパク質であってもよい。典型的に、アポリポタンパク質は、血漿由来又は組換え型アポリポタンパク質のいずれか、例えばApo−AI、Apo−AII若しくはApo−AV、pro−apo−A1、若しくはApo−AI Milanoのような変異体である。好ましくは、アポリポタンパク質は、Apo−AIである。また、アポリポタンパク質の生物活性フラグメントも考えられる。フラグメントは、天然由来、化学合成又は組換え型であってもよい。ほんの一例として、Apo−AIの生物活性フラグメントは、好ましくはApo−AIのレシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)刺激活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は95〜100%を有するか、又はさらに100%を超える。
【0038】
適切には、アポリポタンパク質は、約20〜50g/Lの濃度である。これは、20、25、30、35、40、45及び50g/L、そしてこれらの量の間の任意の範囲を含む。アポリポタンパク質は、好ましくは約30g/Lの濃度である。
【0039】
rHDL製剤は、肝毒性が生じないレベルで脂質を含む。適切には、脂質のレベルは、肝毒性を生じるか、又は伴うそれの約20〜70%である。特定の実施態様において、脂質のレベルは、好ましくは肝毒性を生じるか、又は伴うそれの約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%又は65%、そしてこれらの量の間の任意の範囲である。好ましくは、これらのレベルは、肝毒性を示す脂質の最小又は閾値レベルの観点から表される。
【0040】
例として、本発明に至る研究で示された、肝毒性を生じる、もたらす又は少なくとも伴う脂質レベルは、84g/Lである。従って、脂質は、好ましくは約30〜60g/Lの濃度である。これは、30、35、40、45、50、55及び60g/L、そしてこれらの量の間の任意の範囲を含む。特に好都合な脂質濃度は、約30〜50g/L、又は特定の実施態様において、約34又は47g/Lである。
【0041】
脂質の「レベル」は、脂質の絶対量、脂質の濃度(例えばrHDL製剤の単位体積当たりの質量)及び/又はrHDL製剤の別成分の量又は濃度に対する脂質の量の比率又は濃度であってもよい。ほんの一例として、脂質のレベルは、rHDL製剤中に存在するアポリポタンパク質(例えばApo−AI)のモル比の観点から表してもよい。
【0042】
1つの好ましい実施態様において、アポリポタンパク質:脂質のモル比は、1:20〜1:100の範囲にある。この範囲は、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80及び1:90のようなモル比を含む。より好ましくは、アポリポタンパク質:脂質のモル比は、1:40〜1:75の範囲にある。特に好都合なアポリポタンパク質:脂質の比率は、約1:40又は1:55である。
【0043】
脂質は、天然由来HDLの又は再構成高密度リポタンパク質(rHDL)の機能性の生物活性成分である、任意の脂質であってもよい。このような脂質には、リン脂質、コレステロール、コレステロールエステル、脂肪酸及び/又はトリグリセリドが含まれる。好ましくは、脂質はリン脂質である。リン脂質の非限定的な例としては、ホスファチジルコリン(PC)(レシチン)、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン(PE)(ケファリン)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)及びスフィンゴミエリン(SM)又はその天然若しくは合成誘導体が含まれる。天然誘導体には、卵PC、卵PG、大豆PC、水素化大豆PC、大豆PG、脳PS、スフィンゴリピド、脳SM、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ケファリン、カルジオリピン、及びジセチルホスフェートが含まれる。合成誘導体には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジデカノイルホスファチジルコリン(DDPC)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジラウリルホスファチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(DLPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセリン(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジオレイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSM)及びジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSM)が含まれる。また、リン脂質は、上のリン脂質のいずれかの誘導体又は類似体であることもできる。
【0044】
好ましくは、リン脂質は、単独の又は1つ若しくはそれ以上の他のリン脂質と組み合わせたホスファチジルコリンであるか、又はそれを含む。別のリン脂質の例は、スフィンゴミエリンである。
【0045】
適切には、rHDL製剤は、安定剤をさらに含む。特に、安定剤は、凍結乾燥中にrHDL製剤の安定性を維持する。適切には、安定剤は、糖質又は糖アルコールのような炭水化物である。適した糖アルコールの例は、マンニトール及びソルビトールである。好ましくは、安定剤は、ショ糖のような二糖の糖質である。ショ糖の好ましい濃度は、rHDL製剤の約65〜85g/L(約6.5〜8.5%w/vに相当する)である。好ましくは、ショ糖の濃度は、約75g/L(約7.5%w/wに相当する)である。これは、CSL111と比較して、絶対項において、そしてリポタンパク質濃度に対しての両方で、低下されたショ糖濃度である。この比較的低下されたショ糖は、本発明のrHDL製剤のより速い注入速度を可能にできることが提案される。別の安定剤は、アミノ酸(例えばグリシン、プロリン)、抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、キレート剤、ゼラチン、合成油、ポリオール、アルギナート又は任意の薬学的に許容しうる担体及び/又は賦形剤でありうるか又はそれらを含むが、それらに限定されるわけではない。これに関して、例として、“Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins”, Frokjaer et al., Taylor &; Francis (2000), “Handbook of Pharmaceutical Excipients”, 3rd edition, Kibbe et al., Pharmaceutical Press (2000)及び国際公開第WO2009/025754号を参照のこと。
【0046】
特に好ましい実施態様において、rHDL製剤は、
(i)約30g/L Apo−AI;
(ii)Apo−AIグラム当たり約0.03gのナトリウムコラート;
(iii)約34又は47g/Lホスファチジルコリン;及び
(iv)約75g/Lショ糖;
を含み、
ここにおいて、Apo−AI:ホスファチジルコリンのモル比は、約1:40又は1:55である。
【0047】
別の態様において、本発明は、アポリポタンパク質;脂質;及び界面活性剤を含むrHDL製剤の製造方法であって、ヒトに投与すると肝毒性を示すrHDL製剤中に存在するそれの約5〜50%であるレベルで前記界面活性剤を供給する工程を含む前記方法を提供する。
【0048】
好ましくは、前記方法は、ヒトに投与すると肝毒性を示すレベルの約5〜10%であるレベルで前記界面活性剤を供給する工程を含む。
【0049】
方法の好ましい実施態様において、界面活性剤の初期又は出発レベルは、ヒトにrHDL製剤を投与して肝毒性を示さないレベルに低下されるか又は除去される。
【0050】
界面活性剤の低下又は除去は、例えば濾過、疎水性吸着又は疎水的相互作用クロマトグラフィー、透折、イオン交換吸着及びイオン交換クロマトグラフィーを含む当分野で知られたなんらかの手段で実施されうる。
【0051】
いくつかの実施態様において、非極性ポリスチレン樹脂は、界面活性剤レベルを低下させるのに適していることがある。このような樹脂は、好ましくは架橋コポリマー(例えば架橋スチレン及びジビニルベンゼンコポリマー)の形態にある。非限定的な例としては、アンバーラートXAD−2(Amberlite XAD-2)及びバイオビーズSM(Bio Beads SM)が含まれる。
【0052】
濾過には、ゲル濾過、ゲル透過、ダイアフィルトレーション及び限外濾過が含まれるが、当分野で十分に理解されているように、それらに限定されるわけではない。ゲル透過の非限定的な例では、セファデックス(Sephadex)樹脂のような多孔性の架橋デキストランが用いられることがある。
【0053】
特に大規模製造に適した特に好ましい実施態様において、界面活性剤レベルは、ダイアフィルトレーションによって低下される。
【0054】
適切には、有機溶媒がない場合、方法は、脂質及びアポリポタンパク質を合わせる工程を含む。
【0055】
従って、1つの好ましい実施態様において、本発明は、
(I)有機溶媒なしのホスファチジルコリン及びコラート界面活性剤をApo−A1溶液に加える工程;
(II)工程(I)で調製された溶液中のコラート界面活性剤のレベルを、約0.03g/g Apo−A1に低下させる工程;
(III)安定剤、好ましくはショ糖を工程(II)の溶液に加える工程;
を含む、rHDL製剤の製造方法を提供する。
【0056】
好ましくは、工程(I)で、Apo−AI:ホスファチジルコリンの比率が約1:40又は1:55になるように、ホスファチジルコリンを加える。
【0057】
好ましくは、工程(III)のショ糖の最終濃度は、約75g/Lである。
【0058】
適切には、方法は、工程(III)で製造されたrHDL製剤を凍結乾燥する工程(IV)をさらに含む。
【0059】
特定の実施態様において、rHDL製剤の製造方法は、ヒトへの投与に適した品質及び安全性のrHDL製剤の大規模な商業的製造に適していることは、いうまでもない。大規模な商業的製造方法の非限定的な例を図9にまとめる。
【0060】
さらに別の態様において、本発明は、先に記載されたような、又は先に記載されたような方法に従って製造されたrHDLをヒトに投与し、それによってヒトにおける疾患、障害又は状態を治療する工程を含む、ヒトにおける前記疾患、障害又は状態の治療方法を提供する。
【0061】
また、本発明は、ヒトにおける疾患、障害又は状態の治療に使用するための、先に記載されたような、又は先に記載されたような方法に従って製造されたrHDL製剤を提供する。
【0062】
適切には、疾患、障害又は状態は、前記rHDL製剤の予防的又は治療的投与に対して反応性である。このような疾患、障害又は状態の非限定的な例には、心血管疾患(例えば急性冠動脈症候群(ACS、アテローム性動脈硬化症及び心筋梗塞)又はACSにかかりやすい糖尿病、脳卒中若しくは心筋梗塞のような疾患、障害若しくは状態、高コレステロール血症(例えば血清コレステロールの上昇又はLDLコレステロールの上昇)及びタンジアー病の症状であるような高密度リポタンパク質(HDL)レベルの降下により生じる低コレステロール血症が含まれる。
【0063】
rHDL製剤は、当分野で知られた任意の投与経路によって投与されうる。典型的に、rHDL製剤は、非経口的に、例えば静脈注入又は注射によって投与される。
【0064】
rHDL製剤の投薬用量は、1〜120mg/kg体重の範囲でありうる。好ましくは、用量は、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg及び70mg/kgの用量を含む、5〜80mg/kgの範囲である。本発明の好ましい実施態様が十分に理解され、そして実際的な効果をもたらすように、以下の非限定的な実施例を参照のこと。
【0065】
実施例
以下に提供された実施例は、rHDL製剤(例えばCSL111)のどの要因が肝毒性に寄与するかを決定する初期の研究(実施例1及び2)並びに本発明のrHDL製剤の開発及び毒性試験の実施態様(実施例3〜8)を記載している。
【0066】
実施例1
Apo−A1:PCの異なる比率及びコラートレベルの調節効果を比較する肝毒性研究
異なるApo AI:PC比(1:150、1:100及び1:50)を含むHDL製剤について、ALT活性により測定する肝毒性のレベルを、ラットモデルにおいて測定した(下の実施例2のモデルの詳細を参照のこと)。各HDL製剤は、1:150製剤では6g/Lから、1:50製剤では1.1g/Lまでの範囲のレベルを有する異なるコラート濃度を含んだ。
【0067】
結果は、1:150のHDL製剤では、300mg/kgからの用量についてALTレベルの上昇が観察されたことを示した。1:100のHDL製剤では、400mg/kgからの用量でALTレベルの上昇が生じ、レベルは600mg/kgでかなり上昇した。これに対して、1:50のHDL製剤では、600mg/kgの用量までALT活性の上昇が観察されなかった(図1)。これらの結果は、HDL製剤中のPCレベル及び/又はコラートレベルのいずれかによって肝毒性が低下することを示唆している。コラートレベルがALT活性に直接影響があるかどうかを調べるために、CSL111からコラートを減らしたさらなる研究を行った。結果は、CSL111製剤中でコラートを減らすと、300mg/kgでラットに注入したときに、ALTレベルの低下が起こったことを示している(図2)。次いで、さらに減損(depleted)HDL製剤にコラートをまた加えた場合、再補充(resupplemented)HDL製剤では、300mg/kgでラットに注入したときにALTレベルの上昇を生じた(図2)。本研究は、約1g/Lまでコラートを減らすと実質的にrHDL毒性が低下するが、また、さらなる寄与因子は、約1:50のapoA1:PCの比率までPCを減らすことであることを示している。
【0068】
実施例2
段階的なコラートレベル及びApo−A1:PCの比率を比較する肝毒性研究
序論
本研究の目的は、以下、rHDL PC 1:150(3g/Lコラート)、rHDL PC 1:100(1g/Lコラート)、rHDL PC 1:50(3g/Lコラート)、rHDL PC 1:50(0.2g/Lコラート)のような段階的なコラート濃度及びA−I Apo対PCの比率を有する再構成HDL製剤(rHDL)の肝毒性を測定することである。覚醒ラットモデルを用いて肝機能における上記製剤の効果を測定した。肝毒性は、血清中の肝酵素活性(ALT及びAST)の測定により評価した。
【0069】
Apo−A1は、製剤の活性成分であると考えられ、そしてApo−A1の血漿レベルは、暴露の鍵となる指標である。
【0070】
物質及び方法
rHDL試験製剤の投与
rHDL試験製剤1
物質/INN: rHDL PC 1:150(3g/Lコラート)
製造者: CSL Behring AG、ベルン、スイス
ロット番号: Q.3
用量: 600mg/kg b.w.
経路: 尾静脈からの静脈注入
頻度: 注入t=0−60分
適用体積: 31.25mL/kg/h

rHDL試験製剤2
物質/INN: rHDL PC 1:100(1g/Lコラート)
製造者: CSL Behring AG、ベルン、スイス
ロット番号: O.3−2
用量: 600mg/kg b.w.
経路: 尾静脈からの静脈注入
頻度: 注入t=0−60分
適用体積: 30.30ml/kg/h

rHDL試験製剤3
物質/INN: rHDL PC 1:50(3g/Lコラート)
製造者: CSL Behring AG、ベルン、スイス
ロット番号: P.3
用量: 600mg/kg b.w.
経路: 尾静脈からの静脈注入
頻度: 注入t=0−60分
適用体積: 31.58ml/kg/h
有効期限: n.a.

rHDL試験製剤4
物質/INN: rHDL PC 1:50(0.2g/Lコラート)
製造者: CSL Behring AG、ベルン、スイス
ロット番号: P.2
用量: 900mg/kg b.w.
経路: 尾静脈からの静脈注入
頻度: 注入t=0−120分
適用体積: 23.08ml/kg/h b.w.
【0071】
研究デザイン
本研究は、全14匹のラットにおける4群オープントライアルとして設計された。投与計画を表1にまとめた。
【0072】
処置群
【表1】
【0073】
実験動物
種: ラット
菌株: CD
性別: 雄
動物の数: 14匹
供給: Charles River Laboratories(Sulzfeld、ドイツ)
体重: 286〜328g
到着時の週齢: 7〜9週
ハウジング: マクロロンケージ(macrolon cages)
床敷: 木の削りくず(Braun, Battenberg, Germany)
水: 水道水、自由に、
食物: 標準ラット食(Ssniff-Versuchsdiaten, Soest, ドイツ)
明/暗: 12時間/12時間
温度: 21〜22℃
相対湿度: 40〜50%
【0074】
動物を拘束機器(ラットホルダー)中に置き、そして側方尾静脈(lateral tail vein)に静脈カテーテルを貫通させた。試験物質を60/120分間注入した。
【0075】
血液サンプルを眼窩後静脈束(retro-orbital venous complex)から取出し、そしてベースライン、静脈注入後1時間/2時間及び7時間/8時間で血清チューブに集めた。血液サンプルを血清に処理し、−20℃で貯蔵した。
【0076】
肝酵素の測定
商業的に入手可能な酵素測光試験キット(Greiner Biochemica)を用いて、サンプルをAST及びALT活性について分析した。
【0077】
Apo A−I血漿レベルの測定
ヒトApo A−Iレベルの測定は、比濁分析アッセイによって実施した。
【0078】
結果
研究下には、1:50、1:100及び1:150のA−I Apo対PCの比率並びに1若しくは3g/Lの所定のコラート濃度又は減損コラート(0.2g/L)を有するrHDL製剤があった。生理食塩水をビヒクル(vehicle)としてそしてCSL 111を陽性対照として供給した。採血は、ベースライン(時点0)時、注入終了時(600及び900mg/kg、それぞれ1時間又は2時間)、そして7時間又は8時間で行った。肝酵素活性(ALT及びAST)及びヒトApo A−Iレベルを上記の時点で評価した。
【0079】
ベースラインのAST濃度は、63〜87U/Lの範囲であった。AST濃度は、Apo AI:PC 1:50(コラート0.2g/L)を除くすべての製剤について、注入終了後、そして7時間/8時間の時点で上昇した。
【0080】
ベースラインのALT濃度は、39〜45U/Lの範囲であった。AST濃度は、Apo AI:PC 1:50(コラート0.2g/L)を除くすべての製剤について、注入終了時、そして7時間/8時間の時点で上昇した。
【0081】
ベースラインのヒトApo A−I濃度は、最も低い検出限界より下にあった。注入終了時、600mg/kgの用量のすべての製剤について、濃度は約13g/Lに上昇した。900mg/kgの1:50の製剤は、15g/LのApo A−I濃度となった。
【0082】
すべての群、用量及び時点について平均及び標準偏差を表2〜4に示した。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
結論
結論として、900mg/kgでApo AI:PCの比率1:50(0.2g/Lコラート)のrHDL製剤だけ、肝機能検査異常が誘発されなかった。これに対して、600mg/kgでより高いコラートレベル(3g/L)を有する同じ1:50のrHDL製剤は、AST及びALTの両方でレベル上昇を示した。rHDL製剤の脂質及び残りの界面活性剤含量を調節することによって肝毒性が良好に最小化されたことを示唆している。
【0087】
実施例3
rHDL製剤中のコラートレベルを比較する安定性試験
本発明のrHDL製剤の実施態様は、先行技術のrHDL製剤CSL111と比較して、CSL111と少なくとも同等の生物活性を維持しながら、肝毒性の有意な低下を示す。このrHDL製剤は、PCに対するより低いタンパク質の比率、より低レベルのコラート、より高いタンパク質含量及び低下されたショ糖濃度によってCSL111とは区別される。
【0088】
再構成HDLの製剤
出発物質Apo−AI
出発物質として、精製及び殺菌されたApo−AI溶液を用いた。バッチサイズは、30g又は35gのタンパク質のいずれかであった。
【0089】
脂質溶液
脂質溶液を調製するための式を下に示す。最初に、10mM Tris、10mM NaCl及び1mM EDTAを含むバッファー溶液を調製した。必要な量は、式1に従って算出した:
【数1】
【0090】
次に、コール酸ナトリウム(1.3mol/mol脂質)をこの溶液に加え、そして溶解した。
【0091】
次いで、算出された量の脂質を入れ(式2)、混合物を6〜18時間穏やかに撹拌し(脂質は溶解した)、それから予め殺菌された0.2μmのMillipak 40 Gamma Gold(Millipore Art. MPGL04GH2)を用いて濾過した。
【数2】
M(脂質):PCについては775g/mol;SMについては731g/mol
M(Apo−AI):28’078g/mol
【0092】
脂質インキュベーション及びUF/DF
Apo−AI溶液(タンパク質30g−35g)を、5L二重ジャケット付き容器中に入れ、そして1〜4℃に冷却した。次いで、脂質溶液を加え、そして1〜4℃で2〜16時間撹拌した。実験によっては、タンパク質−脂質溶液を30℃で30分間加熱し、冷却し、それから1〜4℃で2〜16時間インキュベートした。
【0093】
コラートを除去するため、1%ショ糖溶液7〜9体積に対して10kDaのカセットを用いてUF/DFを実施した。
【0094】
次いで、溶液を22〜28g/L(FP中のタンパク質濃度20g/L)又は32〜38g/L(FP中のタンパク質濃度30g/L)に濃縮し、そして、その後、ショ糖及びWFIを加えることによってショ糖7.5%、そしてタンパク質20g/L又は30g/Lにした。rHDLバルクを滅菌濾過(Sartopore 2、150cm2、PES、カットオフ(cut off)0.1μm、Sartorius Art. 5441358K4--00)し、そして層流で充填した。
【0095】
アンバーライト(Amberlite)によるコラートの低減
アンバーライトの調製
すべての濾過工程は、Nalgene 0.2μm PESフィルター(Art. 595-4520)で実施した。
【0096】
アンバーライトXAD−2(400g)を20%(v/v)メタノール500mLに加えた。懸濁液を1〜2時間撹拌し、それからアンバーライトを濾過した。次に、1M NaOH 300mlを1000mLビーカー中に入れ、アンバーライトを加え、そして撹拌下で15分間55〜60℃に加熱した。アンバーライトを濾過し;その後、この手順をさらに2回繰り返した。次いで、アンバーライトを、pH中性まで水(SWA)(約10〜15L)で洗浄し、濾過し、メタノール300mLに加え、1時間撹拌し、それから混合物を2〜8℃で少なくとも一夜放置した。メタノールを除去し、アンバーライトを濾過し、水(SWA)約10Lで洗浄し、そして再び濾過した。次いで、アンバーライトをショ糖溶液約4L中に注ぎ、7.5%又は10%はいずれも、減損される再構成HDLのショ糖濃度に相当する。混合物を数分間撹拌し、そして使用直前に濾過した。
【0097】
アンバーライトによるコラートの低減
再構成HDLを2〜8℃に冷却し、アンバーライトXAD−2を加え、そして混合物を3.5時間撹拌した。アンバーライトを濾過し、そして排出した。この工程を2回行った。
【0098】
実験に応じて、タンパク質5gに対して、それぞれの減損工程のためにアンバーライト100〜160gを用いた。
【0099】
減損後、コラートをまた加えて異なるコラート濃度を達成した。
【0100】
再構成HDL 1:75PCを0.7g/Lのコラート濃度に低下させるため、再構成HDLに、アンバーライトを異なる比率で加えることによって、加えるべきアンバーライトの量を実験的に決定した(予備実験)。これらの実験から、1回の処置でタンパク質5g当たりアンバーライト50gが必要であることがわかった。次いで、主要バッチの減損には、このアンバーライト対タンパク質の比率を用いた。
【0101】
安定性評価
CSL111
肝毒性に影響を及ぼしうると本発明者らが仮定した1つの化合物は、コラートである。従って、最終製剤中のコラート低減が、主要目的であった。最初の実験をCSL111で実施した。安定な生成物がなお保証される最低コラート濃度を見出すため、再構成CSL111をアンバーライトで処理し、そして、その後、コラートをまた加えて異なる濃度を得た。
【0102】
これらの物質において安定性評価を実施した。また、異なるコラート濃度を有するCSL111の安定性における凍結乾燥の影響を調べた。
【0103】
再構成HDL 1:50 PC/1:75 PC
2つの製剤(1.50 PC及び1:75PC)をアンバーライトでコラート減損し、そしてコラートで補充して異なるコラート濃度を得た。これらの溶液を凍結乾燥し、再構成し、そして安定性を調べてこれらの製剤の安定性を保証するのに必要である必要な最低コラート濃度を決定した。
【0104】
結果
CSL111についての結果
CSL111をアンバーライトで処理してコラートを除去した。
【0105】
次いで、コラートを加えて、本研究に必要な異なる濃度を得た。2.8g/Lコラートより下の範囲では、コラート濃度がさらに低下するにつれて濁度は増大した。2.8g/Lコラートより上の濃度では、濁度値の変化は、ほとんど検出されなかった(図3)。
【0106】
次いで、これらのサンプルを凍結乾燥し、そして再構成した。貯蔵0時間、24時間及び7日後に濁度を測定した。凍結乾燥及び再構成後の濁度値は、非凍結乾燥サンプルよりも高かった(図3及び図4を比較する)。
【0107】
再構成CSL111粒子は、安定なままである最低コラート濃度が必要であると考えられる。コラート濃度があまりに低い場合、凝集物及び混濁が発生した。また、低いコラート濃度では分子サイズ分布の変化が、より速かった。
【0108】
再構成HDL 1:50 PC
濁度についてのデータを図5及び6に示した。濁度データは、コラート濃度≧0.3g/Lについて、室温での変化が小さいことを示した。
【0109】
室温で24時間後のSE−HPLCクロマトグラム(図示せず)は、濁度値と同じ傾向を示した。コラート濃度≧0.3g/Lでは、変化が小さかった。0.8〜1.0g/Lの間で、クロマトグラムは、ほとんど違いを示さなかった。そのため、コラート濃度が1.0g/Lより上に上昇しても、安定性が高まることは期待されない。従って、20g/Lタンパク質を有する1:50製剤について、0.3〜1.0g/Lの間のコラート濃度が最適であると考えられる。30g/Lタンパク質を含む生成物について算出すると、最適コラート濃度は、0.5〜1.5g/Lの範囲である。
【0110】
再構成HDL 1:75 PC
1:75製剤の濁度測定(図7及び8)は、0.6g/Lコラートより下の濃度について明確な上昇を示している。他の濃度(0.6〜2.0g/Lコラート)についての貯蔵1日後の違いは、あまりなかった。
【0111】
室温で24時間後の分子サイズ分布のSE−HPLCクロマトグラム(図示せず)は、減損サンプルと他のサンプルの間の明確な違いを示した。
【0112】
クロマトグラムは、1.0〜1.3g/Lコラートの間でほとんど違いを示さなかった。そのため、1.3g/Lより上のコラート濃度で安定性が大いに高まることは期待されない。従って、20g/Lタンパク質を有する1:75の製剤について、0.6〜1.3g/Lの間のコラート濃度が、最適であるためと考えられる。30g/Lタンパク質を有する製剤について、これは、0.9〜2.0g/Lの最終コラート濃度と同等である。
【0113】
結論
本発明のrHDL製剤について、0.5〜1.5g/Lの最適コラート濃度が選ばれた。この範囲より下では、安定性が低下した。1.5g/Lより上のコラート濃度では、安定性が僅かに高められた。しかし、より高いコラート濃度では、肝毒性におけるかなりの増加を予想することができる。
【0114】
実施例4
CSL111を用いた肝毒性試験の比較
序論
本研究の目的は、ウサギに静脈注入した後の本発明のrHDL製剤の実施態様についての良好な肝毒性プロファイルを確定することである。肝毒性は、血清中の肝酵素(ALT)活性の増強として定義される。Apo−A1は、両製剤の活性成分であると考えられ、そしてApo−A1の血漿レベルは、暴露の鍵となる指標である。
【0115】
物質及び方法
rHDL試験製剤の投与
rHDL試験製剤1
物質/INN: rHDL CSL111
製造者: CSL Behring AG、ベルン
ロット番号: E502−03750−00005
用量: 75mg/kg b.w.
経路: i.v.
頻度: 注入t=0−40分
適用体積: 4.95mL/kg/h
rHDL試験製剤2
物質/INN: rHDL(PC 1:55)
製造者: CSL Behring AG、ベルン
ロット番号: 1003.E009.01
用量: 75mg/kg b.w.
経路: i.v.
頻度: 注入t=0−40分
適用体積: 3.87mL/kg/h
【0116】
研究デザイン
本研究は、全6匹の雌のウサギにおける2群オープントライアルとして設計された。投与計画を表5にまとめた。
【0117】
処置群
【表5】
【0118】
実験動物
種: ウサギ
菌株: CHB
動物の数、性別: 6匹(雌)
供給: Fa. Bauer (Neuenstein-Lohe、ドイツ)
体重: 3.1〜3.3kg
到着時の月齢: 約3〜4ヵ月
ハウジング: ワイヤースチールケージ;1動物/ケージ
床敷: なし
水: 水道水、自由に、
食物: Deukanin Pellets(Deuka)、自由に、
明/暗: 12時間/12時間
温度: 21〜23℃
相対湿度: 50%
【0119】
動物モデル
動物を拘束機器(ウサギホルダー)中に固定した。静脈カテーテルを耳静脈に留置した。試験物質を40分の静脈注入として与えた。血液サンプルを耳動脈から採取し、そして血清及びストレプトキナーゼ−血漿(5%)バイアル中に集めた。血液サンプルを血清に処理し、−20℃で貯蔵し、そして血漿に処理し、そして− 80℃で貯蔵した。
【0120】
肝酵素の測定
商業的に入手可能な酵素測光試験キット(Greiner Biochemica)を用いて、ALT活性についてサンプルを分析した。
【0121】
Apo A−I血漿レベルの測定
ヒトA−I Apoの測定は、比濁分析アッセイによって実施した。
【0122】
結果
in vivoデータの平均及び標準偏差を表6〜7に示した。
【0123】
本明細書において試験されたrHDL製剤の実施態様では、ALT血清レベルが上昇しなかった。CSL111では、8時間で25U/Lから94U/LまでALTが上昇した。
【0124】
rHDL製剤(1.5mg/dL)及びCSL111(1.6mg/dL)については、40分の時点でヒトApo−AIのピークレベルが見られた。
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
実施例5
より低いリン脂質レベルを含んでいる粒子について、本発明の合成HDL粒子を製造する能力を測定した。A−I Apo対リン脂質の比率は1:2から1:55までの範囲であった。
合成HDL粒子を製造するため、コール酸ナトリウム(New Zealand Pharmaceuticals)をバッファー(10mM NaCl、1mM EDTA、10mM TRIS、pH8.0)中に溶解し、そして透明になるまで撹拌した。大豆ホスファチジルコリン(Phospholipid GmbH)を適当な体積のコラートに加え、室温で16時間撹拌した。apoA−I溶液を、10mM NaClで9.0g/L(OD280によって測定)のタンパク質濃度に希釈し、そして適当な体積の脂質溶液と混合してタンパク質対脂質の適当な比率を得た。混合物を2〜8℃で16時間撹拌した。ランニングバッファー(running buffer)として1%ショ糖を用いてHiPrep 26/10脱塩カラム上でコラートを除去することによってHDL模倣剤を製造した。溶出液を限外濾過によってそれぞれ20g/Lのタンパク質濃度及び7.5%ショ糖に濃縮した。
【0128】
再構成HDL製剤を2〜8℃でインキュベート(貯蔵)し、そして以下のパラメーター:
・透過率(405nm)、粒径分布(SE−HPLC)、エンドトキシン、SDS−PAGE(還元及び非還元)、Native PAGE、LCAT活性化、apoA−I濃度及びin vitro毒性を0、5及び14日後に測定した。
【0129】
日0で、以下のさらなる試験を実施した:i)サンプルを含んでいる脂質に適合させた改質ビウレット(デオキシコレートをビウレット溶液に加えた)によるタンパク質濃度;ii)ホスファチジルコリン濃度(ProDiagnostica mti-diagnostics GmbH);及びiii)コラート濃度を比色法Gallsauren試験キット及びGallsauren-Stoppreagens(Trinity
Biotech)によって測定した。
【0130】
粒径分布は、ランニングバッファーとしてPBS+0.1%ナトリウムアジドを用いて、Superose 6 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を使用したSE−HPLCによって測定した。流速は0.5mL/分であり、サンプル5μLを注射し、検出は280nmの波長で行った。NuPAGE Novex Bis-Tris Gels 4−12%及びMOPS又はMES電気泳動バッファー(Invitrogen)によるXCell SureLock Mini-Cellを用いてSDS−PAGE(還元/非還元)によって合成HDL粒子を分析した。タンパク質バンドを、Bio-Safe Coomassie Stain(Bio-Rad)により視覚化した。Native PAGEは、Native Page Novex Bis-Tris Gels 4-16%及びNativePAGE Running Buffer Kit(Invitrogen)でXCell SureLock Mini-Cellを用いて実施した。タンパク質バンドを、GelCode Blue Stain Reagent(Thermo Scientific)により視覚化した。apoA−I濃度は、3D CE機器(Agilent technologies)及びExtended Light Path CEキャピラリー(50μm、56cm、いずれもAgilent Technologies)を用いて、キャピラリー電気泳動によって測定した。電気泳動バッファーは、53mM Na-Borat pH9.1、0.21%SDS、5%メタノールであった。電気泳動は、25kVで行った。
【0131】
LCAT活性を四つ組で(quadruplicate)測定した。簡潔には、サンプル10μLを冷却されたチューブ中にピペットで移した。ヒト血漿150μL、PBS 150μL及び14Cコレステロール(Perkin Elmer)20μLを25mg/mLヒトアルブミン溶液中に溶解し、混合し、そして2〜8℃で90分間インキュベートした。二つ組のサンプルを37℃で、その他の2つのサンプル(ブランク)を2〜8℃で30分間インキュベートした。エタノール2mLを加えて反応を停止し、その後、ヘキサン(1×5mL、1×3mL)で2回抽出した。ヘキサンを蒸発乾固し、そして残留物をヘキサン0.5mL中に再溶解した。抽出物を固相Amino SPEカラムを通過させ、ヘキサン2×1mLで溶離することによって、コレステロールエステルを他の物質から分離した。溶出液中の放射能をシンチレーションベータカウンターで測定した。
【0132】
HEP−G2細胞の製造に関与するin vitro毒性(日1):1つのT75フラスコからのHEP−G2細胞の対数期培養物を取り、培地を除去し、そして細胞をPBSで洗浄した。培地(90%DMEM、10%不活化FCS、1%非必須アミノ酸、1%Pen/Strep)10mL中でトリプシン処理及び再懸濁した後、ノイバウエル(Neubauer)/トリパンブルー(Trypan blue)によって濃度を決定した。100μl細胞(10×104 C/mL)/ウェルを96ウェルF底プレートに接種した。プレートを37℃/5%CO2、95%H2Oで一夜インキュベートした。インキュベーション(日2):最も高い化合物濃度のサンプル700μLを培地中に調製した。ウェルの第1列からの培地を取出し、そして溶液200μlを細胞に加えた。連続1:2希釈系列を行い、そしてプレートを37℃/5%CO2、95%H2Oで72時間の間インキュベートした。生存率(日3):ニュートラルレッド溶液(Neutral Red Solution)(PBS 100mL中のNeutral Red 70mg)3×50μLを各ウェルに加えた。プレートを37℃/5%CO2、95%H2Oで2時間インキュベートし、そしてウェルをPBS 200μL/ウェルで1回洗浄し、エタノール100μLを各ウェルに加え、そしてプレートを振盪機上に20分間置いた。各ウェルの吸収を540nmで読取った。
【0133】
リン脂質対タンパク質の異なる比率を含む合成HDL粒子の特徴の概要を表8に示した。%透過率は、粒子が安定であったことを示す。合成粒子中に存在するリン脂質のレベルが下がるにつれてLCAT値は低下した。これは、LCATに対して基質として作用するリン脂質と一致していた。
【0134】
HPLC−SECの結果は、1:20及び1:30の比率を有する粒子が、単一の対称ピークとして溶離されたことを示した。A−I Apoに対する脂質レベルがより低い合成HDL粒子は、1:5及び1:2の比率の粒子においてより顕著であった肩(shoulder)を含んでいた。さらに、主要ピークの溶離時間は、タンパク質に対するリン脂質の比率が低下するにつれて次第に遅くなった。これは、粒子が次第に小さくなっていることを示している。このサイズ変化は、Native PAGE結果にも反映されており、ここで低分子量バンドは、比率が1:55から1:2に下がるにつれて強度の増加が観察された。SDS−PAGEは、すべてのサンプルについて類似していた。
【0135】
in vitroアッセイ結果は、各製剤に対する細胞生存率が、14日間にわたって安定なままであることを示した。細胞を最も高い濃度(2mg/ml)の再構成HDLと共にインキュベートしたときに、脂質レベルの上昇に伴って細胞生存率の僅かな低下が観察された(下の表9を参照のこと)。
【0136】
【表8】
【0137】
【表9】
【0138】
実施例6
異なる界面活性剤を用いて再構成された合成HDL粒子の毒性における効果を試験した。
粒子を製造するため、アンバーライトXAD−2ビーズを20%メタノール中のインキュベーションによって一夜洗浄し、その後、1M水酸化ナトリウムで4回、そして超純水で2回洗浄することによって浄化した。使用前にビーズを7.5%ショ糖で洗浄し、そしてフィルター上で乾燥させた。
【0139】
合成HDL粒子を、以下の方法によって製造した。残留コラートを含んでいる凍結乾燥HDL粒子をWFIにより30g/Lのタンパク質濃度に再構成した。アンバーライトXAD−2ビーズ(タンパク質g当たり10g)を、再構成HDL製剤に加え、そして振盪しながら2〜8℃で3.5時間インキュベートした。濾過によりビーズを除去した後、さらなる分のアンバーライトXAD−2ビーズ(タンパク質g当たりビーズ10g)を用いてこの手順をもう1回繰り返した。次いで、濾過によりビーズを除去し、そして界面活性剤(コラート、デオキシコレート、オクチルグルコシド、ポリソルベート80(Polysorbate 80))加えて1g/L又は6g/Lの最終的な界面活性剤濃度を得た。
【0140】
次いで、上の実施例で測定されたように、安定性についてサンプルを試験した。
【0141】
ポリソルベート80製剤について、測光アッセイによって界面活性剤レベルを測定した:サンプル1000mL中のタンパク質を0.1M酢酸アンモニウム5mLで沈殿させ、そして遠心分離によって沈降させた。上澄みを蒸発乾固し、そして四ホウ酸ナトリウムバッファー(四ホウ酸ナトリウム0.953g、H2Oで100mLまで、HCl 10mL添加)1ml pH9.1中に再溶解し、TBPE−K溶液(塩化カリウム1.76g、四ホウ酸ナトリウム0.48g、0.1M KOH4800mL、エタノール5mL中のTBPE−K0.015g、H2Oで100mLまで)4mlを加え、そして転倒型ミキサー上でジクロロメタン2.5mlにより30分間抽出した。相分離した後、ジクロロメタン相の吸収を611nm(参照波長700nm)で測定した。
【0142】
タンパク質に対するリン脂質の異なる比率を含む合成HDL粒子の特徴の概要を表10に示した。%透過率及びLCAT値は、粒子が安定であり、そして機能性であったことを示している。
【0143】
HPLC−SECの結果は、異なる界面活性剤を有する粒子が、単一の対称ピークとして溶離されたことを示した。また、これは、Native PAGEで観察されるバンドパターンにおいても反映された。SDS−PAGEは、すべてのサンプルについて類似していた。in
vitroアッセイ結果は、存在する界面活性剤のレベルに応じて細胞生存率が変化することを示した。特に、高い界面活性剤レベルでは、細胞生存率の低下が起こる。しかしながら、14日間にわたって、値は安定なままであった(表11参照)。
【0144】
【表10】
【0145】
【表11】
【0146】
【表12】
【0147】
実施例7
POPC(NOF Corporation)を用いてHDL粒子を再構成したことを除いて、上の実施例5に記載されたように合成HDL粒子を製造した。次いで、実施例5に記載された方法に従って粒子を試験した。
【0148】
結果は、ダイズホスファチジルコリンで再構成された合成HDL粒子と類似の毒性を示す安定な/機能性の生成物を示している(表12及び13)。
【0149】
【表13】
【0150】
【表14】
【0151】
実施例8
安全性及び忍容性並びに本発明の再構成HDL製剤の用量漸増の薬物動態は、健常ボランティアにおける単回又は多回静脈注入によって評価することができる。研究は2群で行い、一方は、漸増用量の合成HDL粒子の使用を含み、そしてもう一方は通常の生理食塩水(0.9%)プラセボコンパレーターの使用を含んだ。注入は、無作為化及び二重盲検化された(被験者、研究者及び結果評価者)。
【0152】
健常ボランティアは、年齢18歳から55歳まで、そして少なくとも体重45kgの男性又は女性のいずれかであることができる他の参加基準には、18〜42.0kg/m2のボディマス指数(BMI)が含まれうる。除外基準には、i)臨床的に有意な医学的状態、障害又は疾患の証拠;ii)肝胆汁性疾患の証拠;iii)臨床関連の臨床検査結果異常の証拠;及びiv)アルコール又は物質乱用の病歴の証拠が含まれうる。
【0153】
安全性及び忍容性は、i)注入後14日までの薬物関連の臨床的な有害事象の頻度;及びii)注入後14日までの肝機能検査測定(例えばアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇)によって測定される。薬物動態学的情報は、合成HDL粒子の注入後10日まで測定することができる。特定の測定には、リポタンパク質の血漿レベルを測定が含まれる。
【0154】
結論
本発明のrHDL製剤が、改善された毒性プロファイルを有しており、かつ生物活性が保持されているかどうかを試験することで、本発明のrHDL製剤及びCSL111製剤の実施態様を評価した。本発明のrHDL製剤は、1:40又は1:55の低下されたApo−AI対PCの比率を有するのに対して、CSL111は、1:150の比率を有する。また、さらなる精製に取り組むことで製剤中のコラートが実質的に低減された。結果として、本発明のrHDL製剤は、CSL111と比較して低下された肝毒性を示す。重要なことに、Apo−AIの血清レベルは、両方の製剤について類似しており、活性成分への類似の暴露を示した(表7を参照のこと)。
【0155】
明細書を通して、本発明をいずれか1つの実施態様又は特定の特徴を集めたものに限定することなく、本発明の好ましい実施態様を説明することを目的としてきた。説明及び図示された実施態様に、本発明を逸脱することなくさまざまな変更及び改良を加えることができる。
【0156】
この明細書に参照された各特許の開示及び科学文献、コンピュータープログラム及びアルゴリズムは、全体として参照により組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9