【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、廃水などの流体の浄化のための浄化装置により解決され、前記浄化装置は:
− 流体のための反応容器を含み、前記反応容器は反応チャンバと底部を持ち、
− 上端部と底端部を持つダウナーを含み、前記ダウナーの上端部は前記反応容器から流体を収集するための流体収集装置へ接続され、かつ前記ダウナーが前記流体を前記反応容器の前記底部に向かって移動させるように構成され、
− 流体から固体を分離するように構成される固体分離装置を含み、前記固体分離装置は流体を前記固体分離装置に導入するように構成される流体入口及び前記固体分離装置から分離された流体を除去するように構成される流体放出装置を含み;
前記固体分離装置の前記流体入口が前記ダウナーの底端部に接続され、及び前記固体分離装置が前記反応容器内、前記反応容器の前記底部上又は近くに配置されている。前記固体分離装置は前記反応容器内に配置され得る。前記装置は前記容器の底部に配置され、操作中に前記スラッジ床が前記固体分離装置を包み込む。
【0011】
従って、一つの実施態様では前記浄化装置は反応容器、ダウナー及び固体分離装置を含む。前記反応容器は流体を含むように構成される。前記反応容器は反応チャンバの底部を含む。一つの実施態様では、前記ダウナーは、前記反応容器から流体を集めて前記流体を前記反応容器底部へ移送するように構成される。一つの実施態様では、前記固体分離装置は、流体を前記固体分離装置の固体収集チャンバ内に供給するための流体入口を含む筺体を含む。前記固体分離装置はさらに、粒子状物分離構成を含み、これは前記流体中の固体と液体物をそれぞれに分離するように構成される。一つの実施態様では、前記固体分離装置はさらに、流体、特に分離される流体を固体分離装置から除去するための流体放出装置を含み、前記流体放出装置は、前記粒子状物分離構成から下流に配置される。一つの実施態様では、前記固体分離装置は、前記反応容器の底部に配置される。さらなる実施態様では、前記固体分離装置は、前記反応容器の底部近く、例えば支持脚部で支持されるか、又は容器壁からつるされた前記反応容器のより低い部分に配置される。このことは有利に、前記ダウナーが、前記反応容器の上部部分内の前記ダウナーの上端部と前記反応容器の下部部分内の前記ダウナーの底部分とが本質的に垂直に延びることを可能とする。前記固体分離装置が前記反応容器の底部に配置される場合には、このことは有利に、前記ダウナーの上端部(流体が収集される)及び前記固体分離装置(流体が分離される)との間の高低差が最大となり得る。さらに、前記反応チャンバ又は反応容器の底部又は床上又はその近くに前記固体分離装置を配置することは、建設する上で有利とり、この理由は、表面上に前記装置を配置することは、従来技術例では必要とされるように前記装置をある高さに配置するよりも容易であるからである。固体分離装置を前記浄化装置の底部上、特に前記反応容器の底部又は床上に配置することのさらなる利点は、前記スラッジ床が沈降する領域が減少し、これにより前記反応容器の底部近くで流体とスラッジとの混合が改善される、ということである。固体分離装置を前記浄化装置のより低い部分に配置する他の利点は、前記分離される粒子状物が前記より低い部分で前記反応容器内に再導入され得る、ということである。この利点により、前記スラッジ床が前記物質を濾過することを可能にし、かつ前記物質が前記流体レベルへ即時に上昇することを防止する傾向となる。前記固体分離装置を前記容器の外部よりもむしろ内側に配置する利点は、前記固体分離装置の内部圧力と前記容器を取り囲む部分との圧力が等しいということであり、これにより圧力差を処理するために固体分離装置を強化する必要性がない、ということである。他の利点は、垂直パイプのみが必要であるということであり、また前記容器内の内側と外側を行き来する水平パイプが必要ない、ということである。垂直パイプのみ必要であるという利点は、固体が沈降することでパイプが詰まるリスクを最小化できる、ということである。
【0012】
一つの実施態様では、前記固体分離装置の流体入口が前記ダウナーに接続される。前記ダウナーは、流体をより高いレベルから下方に移送することを可能とし、この実施態様により、この流体が前記固体分離装置へ供給される流体である。前記反応装置の上部近くからの流体物は、前記反応の底部近くの流体物よりも気体状の溶解(可能な)物質の比率がより低い。
【0013】
発明者は次のことを洞察した、即ち、従来技術の固体分離装置が配置される前記反応装置の上部近くの流体は、前記反応装置内の平均水圧と比較してより低い水圧であり、このことは、溶解気体成分を「緩和」させて前記固体分離装置内で泡を形成させる(これは前記固体分離装置に悪い影響を与える)ということである。
【0014】
より高い圧力では、液体又は流体は、より低い圧力の液体と比較して、より多くの溶解気体成分を含み得るという事実は、本発明では有利に作用する。ある高さ(前記ダウナーの上部と底部の間の高低差)から前記固体分離装置内に流体を導入することで、より低い(比率の)気体物質を含む流体が前記固体分離装置内に導入されることとなる。有利なことに、前記浮揚効果は大きく低減され、前記固体分離装置の効率を改善する。有利には、本発明は、浄化装置のモジュラー設定が可能となり、前記固体分離装置は、前記反応装置とは別に建設され販売され得る。
【0015】
一つの実施態様では、前記固体分離装置は、前記分離装置から流体を除去するための流出物ラインを含む。前記流出物ラインはポンプに接続され、操作の際に前記ポンプが前記流出物ラインを通じて本質的に定常流を生成し、その結果前記固体分離装置に吸引効果を与えることとなる。前記吸引効果により、物質が前記ダウナーから前記分離装置内に一定した速度で抽出され、このことは前記固体分離装置の有利な機能である。
【0016】
本発明による一つの実施態様では、前記固体分離装置は、分離される固体を受け取るように固体収集チャンバを含む。前記固体分離装置による、特に前記装置の粒子状物分離構成による前記流体から分離される固体は、前記反応装置内に再導入される前に前記固体収集チャンバ内に有利に集められ得る。
【0017】
本発明による一つの実施態様では、前記ダウナーの上部と前記ダウナーの底部との間の流体圧差は、少なくとも0.5バール、好ましくは少なくとも1バールである。一つの実施態様では、前記圧力差は、少なくとも1.5バール、2バール又は2.5バールである。
【0018】
本発明による一つの実施態様では、前記浄化装置は気体分離装置を含み、前記気体分離装置は前記流体収集装置に接続される流体出口を含む。有利には、前記気体分離装置(一つの実施態様では操作の際に前記浄化装置の前記流体レベル近くに配置される)は、気体物質を前記流体から除去し、さらに、前記ダウナーにより実質的に集められ前記固体分離装置へ導入される流体の気体含有量を低減する。前記気体分離装置は、運用浄化装置の前記流体表面のレベルの下に配置され得る。前記気体分離装置は、前記浄化装置のオーバーフロー装置の下に配置され得る。特に、前記流体表面の下の気体分離装置へ前記ダウナーを接続することが有利であり、というのはダウナーをオーバーフロー装置へ直接接続することは前記ダウナーへの望ましくない気体の泡を導入し得るからである。
【0019】
本発明の一つの実施態様では、前記固体収集チャンバは、前記固体収集チャンバから、収集され又は受け入れられた物を除去するための手段が設けられている。積極的に収集された物質を除去することで、固体収集チャンバ、例えば固体分離装置の下部部分内のホッパー内部の固体収集チャンバは、前記固体収集チャンバ
から前記粒子状物分離構成への流れに干渉する粒子状物質で満たされ
ない。前記固体収集チャンバは、前記反応チャンバ内に又はその方向に戻すための粒子状物を含む流体の1又はそれ以上の出口を含む。分離された、特に粒子状固体物質は前記反応容器内に再循環される。出口は、前記固体収集チャンバの壁に、前記固体収集チャンバから前記浄化装置の反応容器へ流体及びスラッジを除去するために開口することで形成される。
【0020】
本発明の一つの実施態様では、分離された物質を除去する前記手段は、流体入口システムと流体接続される分岐区画を含む。前記分岐区画は、パイプとして形成され得るものであり、前記固体収集チャンバの内部に開口端部を持ち、ここで前記チャンバから収集された物質を取り込むことができる。
【0021】
一つの実施態様では、粒子状物質は、前記固体分離装置の固体収集チャンバから、前記反応容器内へのさらなる流入物の流れ又は再利用流入物と流入物との混合物のさらなる流れにより形成される吸引効果により除去される。本発明の一つの実施態様では、前記流体入口システムは、前記分岐区画を通じて吸引効果を生じるように構成されるジェットポンプ又はノズルなどの注入部を含む。前記ジェットポンプは、パイプ区画の出口開口部として形成され得るものであり、前記パイプ区画は前記開口部の直前にくびれ部を有する。前記パイプ区画及び前記出口開口部を通じて流体が流れる場合、前記くびれ部の圧力は低下される。前記くびれ部近くの前記パイプ区画に前記分岐区画を接続することで、操作条件下での減少した圧力は吸引効果を生じ、これにより、収集された粒子状物質などの物質を前記分岐区画へ吸引する。前記物質はまた、前記注入部から前記反応チャンバ内へ放出される。
【0022】
前記入口システムは、従って少なくとも2つの目的を持つ。前記入口システムは、流入物又は流入物と再利用物の混合物を前記反応チャンバへ導入し、それにより、前記出口開口部からの前記物質の移送が吸引効果を生じ、これにより、前記粒子状物分離構成により分離された粒子状物を前記固体収集チャンバから吸引する。前記固体分離装置が反応容器又は反応チャンバの内に配置される一つの実施態様では、前記粒子状物質はそれにより前記チャンバ内に導入されることとなる。有利には、前記粒子状物質の前記スラッジとの混合を最適化するために、前記粒子状物質は直接反応チャンバ内のスラッジ床内に導入され得る。かかる固体分離装置のさらなる利点は、前記吸引が十分強いものであり、反応容器の前記スラッジ床内で効果的に囲まれていても又はスラッジ面の下に埋め込まれていても、機能し得る、ということである。
【0023】
前記流入物は、流体又はウオータージェットのように効果的に挙動し、前記固体分離装置の下部側近くに収集された前記粒子状物に吸引力を与えることができ、これにより前記物質を前記固体収集チャンバから除去することを助ける。収集された粒子状物を効果的に除去することにより、前記固体分離装置が前記スラッジ床に埋め込まれていても機能することとなり、前記固体分離装置を前記スラッジ床よりも高い位置に配置する必要がなくなる。一つの利点は、固体分離装置などを利用する浄化装置の建設が単純化される、ということであり、これは前記浄化装置の反応チャンバ又は反応容器が、前記スラッジ床の上の高さに固体分離装置を支持する必要がないからである。
【0024】
一つの実施態様では、前記液体放出装置からの流出物の一部分は、前記反応容器内に、前記ジェ
ットポンプの供給物として流入物と共に再導入、好ましくは再注入される。
【0025】
本発明の一つの実施態様では、前記固体分離装置は、角度付き壁部を含み、これは前記反応容器の上部から底部に向かい、外側から内側に傾斜付けられている。有利には、これらの角度付き壁部は、前記反応チャンバ又は反応容器内でテント状の構造を形成し得る。前記反応チャンバの高い部分から下降するスラッジは、前記角度付き壁部を前記流入ノズルの方向に滑落し、これにより前記反応装置の底部上で混合されない領域が形成されるリスクを最小化し得る。
【0026】
本発明の一つの実施態様では、前記浄化装置は複数の分離装置を含む。有利には、特に大型の反応容器のために、複数の小型の分離装置が、一つだけの大型の分離装置よりもより効果的に作用し得る。
【0027】
本発明の一つの実施態様では、前記粒子状物質分離構成は、チャンネルを形成する一列の傾斜した平行板を含む。前記傾斜した平行板は、粒子状物分離構成として作用する。これらの板で形成されるチャンネルは、それらを通る流体を分離する。粒子状物質は前記平行チャンネルを下降する傾向があり、一方液体物質は前記平行チャンネルを上昇する傾向がある。本発明の一つの実施態様では、前記粒子状物質分離構成の傾斜した平行板は、前記固体収集チャンバのから前記固体分離装置の液体放出の方向に上昇する流れを生じるように構成され建設される。前記粒子状又はスラッジ状物質は前記固体収集チャンバの内に収集され、一方再利用され、浄化された液体物質は前記固体収集チャンバから、かつ最終的には前記浄化装置から前記液体放出装置を介して放出され得る。一つの実施態様では、前記固体収集チャンバは前記粒子状物質分離装置の下に配置される。この方法で、前記固体収集チャンバ内への入口流れを、前記液体放出装置の方向の出口流れの方向と対向するように方向付けされる。この結果、前記入口及び出口流れは、前記固体収集チャンバ内で循環流れとなる。
【0028】
本発明の一つの実施態様では、ポンプが備えられ、流入物又は流入物と前記固体分離装置の液体放出からの流出物との混合物を前記入口システムを介して前記反応チャンバ内にポンプ輸送する。有利には、前記ポンプは、負圧を形成し、分離された粒子状物質を前記固体収集チャンバから前記反応チャンバ内に除去するために必要なウオータージェットを生じる。
【0029】
前記ポンプを、平行板を含む粒子状物質分離構成と組み合わせて使用することが有利であり、というのは前記ポンプが、前記流れを、前記板上で本質的に定常速度で流すからであり、このことは前記平行板の機能上好ましい。
【0030】
他の実施態様では、前記ダウナーは流体を前記容器から収集することができ、かつ部分的に前記容器の外に延びる。前記固体分離装置は、前記ダウナーの外部通路内に配置され得る。
【0031】
本発明は、固体分離装置を提供し、これはこれまで説明された本発明の浄化装置で使用されるように構成される。
【0032】
本発明はさらに、浄化装置を用いる廃水の流体の好気的又は嫌気的浄化のための方法を提供するものであり、前記方法は次にステップ:
− 前記浄化装置の反応チャンバからのある量の流体中の水圧を、第1の圧力値から第2の圧力値へ上昇させるステップを含み、前記第2の圧力値が前記第1の圧力値よりも高く;
− 前記流体の量から粒子状物質を分離するステップ;及び
− 前記分離された粒子状物質を前記反応チャンバへ再導入するステップ、を含む。
【0033】
前記浄化装置は上で説明された浄化装置であり得る。
上で説明された固体分離装置は、液体から固体を分離するために使用され得る。固体分離装置内で生じる浮遊効果のため、粒子状液体物質に(少なくとも部分的に)分離されるべき前記流体の圧力を、分離ステップに先立って上昇させることが有利である。これにより前記固体分離装置の効率を改善する。
【0034】
本発明のさらなる実施態様では、前記水圧を上昇させることは、ある量の流体を前記反応チャンバ内の第1の位置から、前記反応チャンバ内の第2のより低い位置(例えば上で説明されたダウナーを用いて)へ移送するステップを含む。一つの実施態様では、前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値よりも、少なくとも0.5バール、好ましくは少なくとも1バール高い。
【0035】
本発明の一つの実施態様では、ある量の流体内の水圧を上昇させるステップは、前記ある量の流体からある量の気体を分離するステップに先行される。前記流体から気体を少なくとも部分的に除去することで、続く粒子状物質分離ステップでの浮遊効果をさらに低減することができる。
【0036】
本発明の一つの実施態様では、粒子状物質を前記反応チャンバ内に再導入するステップは、前記粒子状物質を、固体分離装置の固体収集チャンバから、前記反応チャンバ内への、さらなる流入物又は流入物と再利用物との混合物の流れにより形成される吸引効果により除去される。有利には、この手段は、新たな浄化されるべき流体物質を前記浄化装置内に導入し、かつ同時に、既に収集された粒子状物質又は前記固体分離装置から前記浄化装置の反応チャンバ内に受け入れられるべき粒子状物質を洗い流し、それによりスラッジ床を撹拌し、混合を改善する。本発明のさらなる実施態様では、粒子状物質は、前記固体分離装置の固体収集チャンバから流体ジェットにより除去される。
【0037】
以下、本発明の側面は、添付の図面を参照して説明される。