(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記において、通例のシステムでは実行が困難な介入施術をやり易くする操縦可能アクセスデバイスが記載される。通常、ガイド用カテーテルシャフトは、プレ整形遠位端にトルクを伝達しなければならないので、埋設金属ブレードを備えるポリマーである。通常、経皮アクセスシースは、屈曲可能、捩れ耐性で、追跡可能でなければならないので、コイル強化される。本発明の一実施態様によれば、これらの機転それぞれの有用性を兼ね備え、且つ0.5 mm(0.020インチ)以下の壁厚を維持するカテーテルシャフトが本明細書において開示される。本発明のいくつかの実施態様によれば、いくつかの特異的介入施術用のプレ整形形状を持つ操縦可能導入器が記載される。
【0013】
図1は、操縦可能内腔システム10を示す。操縦可能システム10は、下記にさらに詳述するように操縦可能導入シースである。一般に、操縦可能システム10は、遠位端12a及び近位端12bを有する、操縦可能管状導入シース12を含む。ハンドル14は、近位端12bに対して遠位のカテーテル又は導入シース12の近位部分19(例えば、
図4G参照)に登載される。操縦可能導入シース12は、括りマーク"a"によって示される長さを延びる遠位変位可能部分又はセグメント、及び、括りマーク"b"によって示される長さを延びる本体部分又はセグメント18を有する。導入シース12の本体部分18は、カテーテル12の近位部分19まで延び、前記近位部分19は、ハンドル14を貫いて延び、カテーテル又は導入シース近位端12b(例えば、
図4G参照)において終止する。
【0014】
遠位変位可能部分16は、遠位端12aに一致する一端、及び、本体部分18と融合して一体化するか、又は、それからさらに本体部分18が延びる近位の第2端を有する。前記遠位端12aは、Pebax(登録商標)ポリマー(ポリエーテル系ポリアミド)製の軟性先端部から成る。遠位変位可能部分16は、ハンドル14に登載される操縦レバー22によって牽引ワイヤー20(
図3)を介して操作される。
図2に示すように、矢印23によって示されるように操縦レバー22を回すと、遠位変位可能部分16は曲げられる。図示の例では、遠位変位可能部分16は、
図1に示す直線形態と比べ、
図2において下方に曲げられるところが示される。
【0015】
図3を参照すると、遠位変位可能部分16、及び、カテーテルの本体部分18とその他の成分から成る種々の構築物を描く、操縦可能導入シース12の長軸部分断面図が示される。
図3に示す実施態様では、操縦可能導入シース18は、内方チューブ24、牽引ワイヤー20を受容するための内腔を形成する牽引ワイヤーチューブ25、螺旋状リボンコイル26、ブレード32、及び、管状外方ジャケット又はカバー34を含む。
【0016】
内方チューブ24は、適切なものであればいずれの材料から製造されてもよく、例えば、PTFE、又は、その他の耐熱性滑沢材料、例えば、Zeus社から市販される材料から製造されてもよい。図示の例では、内方チューブ24は、導入シース12の長軸に沿って走る。牽引ワイヤーチューブ25は、内方チューブ24に対して事実上平行に走り、内方チューブ24の近位端--これは、導入シース12の近位端12bに一致する--から、本体部分又はセグメント16を丁度通り過ぎた地点まで延び、遠位変位可能部分又はセグメントに移行する。
【0017】
牽引ワイヤーチューブ25は、内方チューブ24に対し、適切なものであればいずれの手段によって、例えば、糊付けによって固定されてもよい。
【0018】
コイル、例えば、螺旋状リボンコイル26は、内方チューブ24及び牽引ワイヤーチューブ25の周囲に、その遠位部分--そこには、牽引ワイヤーリング28及びマーカーバンド30が配置される--を除いて、本体部分18の全長に沿って螺旋状に巻かれる。上述したように、導入シース12の本体部分18は延びて近位端部分に移行し、その近位端部分はハンドル中に延びる。ブレード及びコイルを備えるシャフト部分は、保持ブロック96(
図7A参照)を介してハンドル内部に取り付けられる。即ち、螺旋状リボンコイル26は、ハンドル14内部から遠位方向に、変位可能部分遠位端の、牽引ワイヤーリング28の直近・近位位置まで延びる。通常、牽引ワイヤーリング28は、環状リング--これは閉鎖リングであってもよい--であり、X線不透過なマーカーバンド30も、環状即ちリング状であってもよいが、閉鎖リングを含んでもよい。螺旋状リボンコイル--これは0.003" x 0.010" 304ステンレススチールリボンから形成されてもよい--は、内方チューブ24及び牽引ワイヤーチューブ25の上に螺旋状に巻き付けられる。その末端は、コイルが解けることがないよう、例えば、組み立ての際、加熱短縮性チューブによって強制的に抑えつけてもよい。次に、ブレード32--これは0.001" x 0.003"ブレードであってもよい--を、下記に詳述するように、このサブアッセンブリ全体を覆って編み込み、その編み物が、ハンドル14から、遠位変位可能部分又はセグメント16の近位端まで延びるようにする。というのは、この実施態様では、編み物は、遠位変位可能部分又はセグメントには提供されないからである。このブレードとコイルの組み合わせによって捩れ耐性及び所望のトルク伝達性が得られるので、操縦可能システム10は、ジグザグの解剖学的形態の周囲を探りながら進む導入シース又はガイドシステムとして使用することが可能とされる。このブレード・コイルアッセンブリはさらに、≦0.5 mmの壁厚を有する薄壁カテーテルの構築を可能とする。極端に折り曲げられても、コイルの放射方向強度は、もしそれがなければ潰れるか、及び/又は、捩れるかするブレードを支える。
【0019】
上述のコイル・ブレード結合の一変種では、単一操作でブレード/コイルの交雑性能を発揮するよう、若干の細線ワイヤーと若干の太線ワイヤーを組み込んだ非対称ブレードを使用してもよい。そうしようと思えば、例えば、0.003" x 0.010"コイルリボンなどの太線ワイヤーを一方向に巻き、一方、例えば、0.001" x 0.003"のブレードワイヤーなどの細線ワイヤーを他方向に巻き、上記コイルワイヤーの下及び上に交互に編み込むことも可能である。この変種では、工程は、若干の細線及び若干の太線要素によって、典型的には、16、24、又は32ヘッド、若しくは、5又は7などの奇数個のヘッドを含む正規態様よりも、数少ない編み物ヘッドしか利用しないと考えられる。このようにすると、太線ワイヤーは、コイルリボンとして働き、捩れ耐性を増し、細線ワイヤーは、押し込み強度及びトルク伝達性をより高めると考えられる。
【0020】
図3に戻ると、管状外方ジャケット又はカバー34は、内方チューブ24、螺旋状コイル26、及びブレード32に、又はその上に適用されて、滑らかなカテーテル又は導入シース外面、及び、下記に詳述するように、所望の機械的特徴を備えたカテーテル又は導入シースを提供する。例えば、外方ジャケットは、内方チューブ24、螺旋状コイル26、及びブレード32に融合させてもよい。
【0021】
外方ジャケット又はカバー34は、例えば、近位端におけるより優れた押し込み強度、及び、遠位端における追跡能の向上を実現するために、一つ以上の材料、変異硬度を持つ一ポリマー、又は、種々の硬度を持つ複数ポリマーから製造されてもよい。これらの特徴を実現するために、外方シャフトは、1本以上のチューブから製造されてもよい。そうしようと思えば、近位チューブは、遠位チューブよりも硬い材料、又はより高硬度の材料であってもよい。さらに滑らかな曲げ移行を実現するために、近位チューブの硬度と遠位チューブの硬度の間の硬度を持つチューブを、これら二つのチューブの間に使用してもよい。
【0022】
カテーテルのシャフトは、曲げの状態では複合ビームと想定することが可能である。ジャケット材料は、封入基質として働き、ブレードは、基質複合体内部の強化線維として働く。線維の方向は、不均一強度特徴を産み出す。基質材料が硬ければ硬いほど、曲げの際のビームの剛性はより高くなる。ビームの長さに沿って、種々の材料を用いて融合させて複合体とし、長さに沿って種々の硬度を実現するようにすることも可能である。血管内製品では、デバイスの遠位端は、操縦可能で非外傷性となるよう、屈曲性に富み、軟質であり、近位端は、「押し込み・トルク」を強調する調節度を増すように硬質であることを望むのが普通である。遠位及び近位端の中間では、その移行ゾーンにおける捩れ傾向を抑えるため、滑らかな移行部が望ましい。
【0023】
図3に示す実施態様では、外方ジャケット又はカバー34は、遠位変位可能部分又はセグメント16に沿って長軸方向に短距離(例えば、0.25インチ)延びて本体部分又はセグメント18に移行する、長軸延長性の、比較的高硬度の部分、又はスパイン36を含む。この剛性ポリマースパインは、ジャケットの中を延びて材料同士の橋渡しをする。架橋されたこれらの材料は、折り曲げ時の負荷及び緊張を分散して、その点における(くり返しの変位に起因する)材料同士の分離を阻止する。このスパインは、遠位方向において遠位軟質先端部には移行しないが、一方、PTFEライナーは前記先端部に移行する。スパインは、近位方向において、変位可能部分と本体の間の移行部の近傍で終止し、本体の中に際立って入り込むことは無い。スパインの主要機能は、変位ゾーンが内部の硬質デバイスによって変位させられても、座屈することがないようにすることである。硬質部分又はスパイン36は、外方ジャケット又はカバー34の他部分よりも硬い。一実施態様では、硬質部分又はスパイン36は、スパイン36の全体を通じて、72Dジュロメータ(ショアDスケール)のPEBAX材料であり、遠位変位可能部分又はセグメント16における、ジャケット又はカバー34の残り部分は、35DジュロメータのPEBAX材料であり、本体部分又はセグメント18におけるジャケット又はカバー34の残り部分は55DジュロメータのPEBAX材料である。即ち、硬質部分又はスパイン36は、ジャケット又はカバー34の残り部分よりも硬い。さらに、本体部分又はセグメント18の領域にあるジャケット又はカバー34の部分は、硬質部分又はスパイン36の外側にある遠位変位可能部分16の領域にあるジャケット又はカバー34の部分よりも硬い。さらに、これらの領域の硬度計測値は、ある範囲の値の中に納まってもよいことを理解しなければならない。例えば、外方ジャケット又はカバー34は、硬質部分又はスパイン36が、50Dから90D(90Dを含む)までの硬度計測値を有するPEBAX材料を含んでもよく、その際、遠位変位可能部分又はセグメント18におけるジャケット又はカバー34の残り部分は、25Dから55D(55Dを含む)までの硬度計測値を有してもよく、本体部分又はセグメント16におけるジャケット又はカバー34の残り部分は、55Dから90D(90Dを含む)までの硬度計測値を有していてもよい。
【0024】
このポリマー製硬質部分又はスパイン36は、その長軸に沿って比較的高い曲げ剛性を有し、その短軸に沿って比較的低い曲げ剛性を有し、このため、牽引ワイヤー付着部に対して方向づけられる、反復可能な好ましい変位が設定される。牽引ワイヤーの長軸位置は、変位の一次方向を定める。通常、硬質部分又はスパイン36は、操縦可能な導入シース12の長軸X-X(又は、内方チューブの中心線)に対して平行に延びる長軸を有し、牽引ワイヤーチューブ25又は牽引ワイヤー20の長軸から、円周方向に、約120度から約240度、より一般的には約180度(例えば、180度)隔てられる(例えば、
図3A参照)。この構成のために、上述のように、スパインは、比較的高い剛性を持つことが可能となり、遠位変位可能部分又はセグメント16は、硬質部分又はスパイン24及び牽引ワイヤー20の長軸平面においてくり返し変位させることが可能となり、その一方で、牽引ワイヤー20が引っ張られる際、部分16の捩れを抑制又は排除することが可能となる。遠位変位可能部分のこのような平面運動は、デバイスの変位調節及びガイドを向上させる。
【0025】
上述のように、比較的高度の剛性(より高い硬度)を有するポリマースパインを、比較的低剛性のポリマー(より低い硬度)の外方ジャケットの中に納めることによって、スパインが、別材料を含めることなく、曲げ方向を定めることが可能とされる。これは、他のポリマー材料とも融合可能な単純なポリマー部分を提供し、著明な材料コストを要しないという点で有利である。このように二つの部分ポリマーから成る外方ジャケットはさらに、二つの材料を同時に押出成形し、組み立てに合わせた長さに裁断することによって安価に形成することも可能である。従来の変位可能カテーテル(例えば、BioCardiaカテーテル)は、適正な変位軸を実現するのに、加工ニチノールチューブを用いてきた。共有押出し成形ポリマーを用いることによってスパインは単純化され、デバイスのコストを著明に下げる。
【0026】
管状外方ジャケット又はカバー34は、内方チューブ24、螺旋状コイル26、及びブレード32の上に同時に押出し成形される複数のポリマーを含んでもよい。この構成は、従来の変位カテーテルの構成に比べ多くの利点を有する。例えば、ポリマースパイン36は、所望の変位軸を実現するよう、ジャケット34と共に共有押出し成形することが可能である。共有押出し成形されるジャケットは、所望の複合特徴を有する横断面を有する単一部品として製造される。上記パラグラフは、所望の性能を創出するための複数成分の組み立てを論じる。これによって、新たに別の硬化成分を用意する必要がなくなる。なぜなら、スパイン36は、管状外方ジャケット又はカバー34の他部分と適合するポリマーから製造することが可能となるので、加熱溶融によって簡単に、且つ、高信頼度で加工することが可能となるからである。この場合、適合材料とは、一緒に押出し成形することが可能で、一緒に接着されると、使用時活性化されてもバラバラに分離することが無い材料同士を指す。このため、多くの場合、共有押出し成形されるポリマー同士は、同じ溶融温度を有することが望ましい。金属ワイヤーなどの、融解しない材料は、押出し成形基質の中で維持を可能とするような組織又は機械的ロックを有する必要がある。種々のポリマーの使用が可能であるが、それらを全てPebax(登録商標)で整えることが好ましい。なぜなら、その場合、強力な接着が得られる可能性がもっとも高いからである。一方、公知の変位可能カテーテルは、所望の変位軸を実現するのに、機械加工ステンレススチールチューブ又はニチノールチューブを含む、別仕立ての硬化部材を使用している。従来の変位可能カテーテル(例えば、本出願の出願人であるBioCardia社によって製造される変位可能カテーテル)は、適正な変位軸を実現するのに機械加工ニチノールチューブを使用している。
【0027】
硬質部分又はスパイン36は、適切なものであれば、上述のPEBAX材料など、いずれの材料を含んでもよい。使用が可能なその他の材料としては、ナイロン、ウレタン、及びPEEKが挙げられる。硬質部分又はスパイン36は、より軟らかい材料と共に機能するように処方された熱硬化ポリマーから製造されてもよい(例えば、硬質部分又はスパイン36が、熱硬化性ポリイミド材料から成る長尺セクションとして形成される場合、ポリイミド材料は、熱硬化、穴開け、その後35D PEBAX中に封入されて外方ジャケット34の遠位セクションを形成する、即ち、PEBAXは穴を貫通してスパインを取り囲む)。
【0028】
スパイン36の外側で変位可能部分16において使用することが可能な他の材料としては、スパインよりも軟らかい他のエラストマー材料、例えば、ウレタンが挙げられる。
【0029】
図3Aを参照すると、硬質部分又はスパイン36は、内方チューブ24又は外方ジャケット又はカバー34の外周周囲に延びる横断面を有し、ここで、前記横断面は、約5から約120度、より一般的には約10度から約90度、好ましくは34度の角度αを見込む円弧を定める。
図3Aには、単一の硬質部分又はスパイン34が示されるが、複数の硬質部分又はスパインを使用してもよい。
図3Bに示す一変種では、二つの硬質部分又はスパイン38a及び38bが使用される。硬質部分又はスパイン38a及び38bは、それぞれ、硬質部分又はスパイン36と同じ構成を持ち、硬質部分又はスパイン36と同じ角度を見込んでもよい。通常、それらは、牽引ワイヤー20の長軸の周囲に対称的に配置され、外周に沿って互いにある角度だけ--即ち、
図3Bに示すように、硬質部分又はスパイン38a及び38bがそれぞれ見込む角度と同じ角度だけ互いに隔てられる。このようにすると、遠位変位可能部分又はセグメントは、牽引ワイヤー20を近位方向に引っ張った場合の折れ曲げの際、硬質部分又はスパイン20の長軸及び内方チューブ24の中心線"C"の平面において変位し、その一方で、前記遠位変位可能部分又はセグメントの捩れを抑制又は排除することが可能となる。
【0030】
硬質部分36は、差別的折れ曲げ剛性を実現するために、ポリマー製管状外方ジャケット又はカバー34の中に形成されるスロット中に埋設されるチューブ形状で存在してもよい金属(例えば、ニチノール)挿入体を含んでもよい。別に、好ましい折れ曲げ剛性とも呼ばれる差別的折れ曲げ剛性とは、部材を曲げるのに要する力が、一方向で、他方向よりも小さくなることを意味する。チューブ断面の一四分円に、他の四分円よりも高い折れ曲げ剛性を提供することによって、デバイス先端が変位する平面を調節することが可能となる。例えば、牽引ワイヤーに向き合う四分円中に硬質部材を含めることによって、チューブは、好ましくも、牽引ワイヤー四分円中で短縮し、折れ曲がるので、牽引ワイヤーは、その曲線の内部に納まることになる。さらに別の変種では、差別的折れ曲げ剛性を可能とするために、スパイン内に平坦ワイヤーを含むポリマー製変位チューブが使用されるが、それは、共有押出成形によって、又は、スパイン内に平坦ワイヤーを挿入成形することによって、又はそれとは別に、一般に使用される熱短縮技術によって平坦ワイヤーを所定の場所に重層することによって実現される。ポリマー複合体の中に硬質部分又はスパインを形成する別法としては、溶接スパイン要素を備えるコイル、又は、頂上を断続的に溶接させたジグザグ要素、又は、射出成形プラスチック製ステント様要素が挙げられる。溶接スパインを備えるコイルを使用する例では、変位遠位部分は、管状外方ジャケット又はカバー34の中に埋設される螺旋状コイルを含む。このコイルは複数の巻輪、及び隣接巻輪を接続するコネクタを含む。この実施態様では、コネクタ(単数又は複数)は、前記硬質部分の一部を形成する。例えば、コイルが三つの巻輪を含む場合、第1及び第2巻輪の間の溶接部は第1コネクタを形成し、第2及び第3巻輪の間の溶接部は第2コネクタを形成し、その際、第1及び第2コネクタは、その間のコイル部分と一緒になってスパインを形成する。
【0031】
ガイドシースは、ブレード無しで、ただし
図3に示すコイル26を伴って構築されてもよい。この変種は、より優れた追跡性を要する操作手順(例えば、神経学的アクセス)には好適である。
図3のガイドシースの別変種は、コイル26は備えないが、ブレードを伴って構築される。この変種は、より強い押し込み強度及び/又は柱強度を要する操作手順(例えば、経皮的バルブ交換)には好適である。
【0032】
このことは、各種の遠位変位セグメント、例えば、ポリマースパイン、ポリマー変位チューブ、ニチノール変位チューブ、又は、デバイスにおいて差別的折れ曲げ剛性を産み出す平坦牽引ワイヤーに対しても利用することが可能である。薄壁の変位可能ガイドカテーテルと、交雑コイルシャフト設計を持つ変位可能ガイドシースとの組み合わせは、極めて追跡性及び捩れ抵抗性の高い、直進シースのシャフト構築と、ガイド機転に要求されるトルク調節--必要に応じて、カテーテルの遠位端を所望の形状を取るように変位させることによって実現される--とを併せ持つ。
【0033】
次に、
図3の操縦可能導入シースの構築法を記載する。
図4A-Mを参照すると、ブレードによって覆われる圧縮コイルを備えた操縦可能デバイスの製造工程が記載される。内方チューブ、牽引ワイヤーチューブ、リボンコイル、及びブレードは裁断されて、
図3に描く対応要素を形成する。
【0034】
図4Aは、PTFE、又はその他の耐熱性滑沢材料から製造される二重内腔チューブであって、内方チューブ前駆体24'及び牽引ワイヤーチューブ前駆体25'--これらは一緒に糊付けしてもよいし、或いはそれとは別に、二重内腔押出し成形体として形成されてもよい--を含むチューブを示す。マンドリルが、牽引ワイヤーチューブ前駆体25'の中に挿入される、通常、0.007"直径の剛性マンドリルが、0.001"の壁厚を持つ、0.008"内径の牽引ワイヤーチューブの中に挿入される。硬いポリマー性ビーズ状材料又はステンレススチールマンドリルが、内方チューブ前駆体24'の中に挿入される。PTFE押出し成形ロッド又はマンドリルであってもよい、このビーズ状材料は、内方チューブ前駆体24'の所望の内径と同じ外径を有する。内方チューブ前駆体24'の、従って内方チューブ24の内径は、通常、0.010インチから0.394インチ(0.25mmから10mm)である。
【0035】
図4Bを参照すると、シャフトコイル又はリボンは、螺旋状リボンコイル又はシャフトコイルを形成するために、内方チューブ前駆体24'及び牽引ワイヤーチューブ前駆体25'の上に螺旋状に巻かれる。この例では、リボンは、0.003"厚×0.10"幅の304ステンレススチール平坦リボンである。この螺旋状コイルは、当前記技術分野で公知のコイルワインダーによって巻き付けられ、次に、その螺旋状に巻き付けられたリボンコイル又はシャフトコイルの末端は、前記コイルが解けることがないよう、例えば、ポリオレフィン材料から製造される熱緊縮性チューブ70によって強制的に緊縛するか、又はそれとは別にテープを用いて両端を固定する。
【0036】
図4Cを参照すると、次に、ブレード、例えば、0.001×0.003"ブレードを、内方チューブ、牽引ワイヤーチューブ、リボンコイルサブアッセンブリの上に編み込む。これは、当前記技術分野で公知のように、連続工程として製造してもよいし、或いは、不連続長として製造してもよい。
【0037】
図4D及び4Eを参照すると、熱緊縮性PETマスク72は、きわめて薄い壁厚を持つ、別変種の緊縮性チューブである。このPETマスク72は、その遠位端72においてブレードを固定するよう、Pebax(登録商標)の融合「ブレスレット」と組み合わせて使用される。このPETマスクは、編み物被覆コイルサブアッセンブリの近位端(
図4D)及び遠位端(
図4E)に対し、前記編み物被覆コイルサブアッセンブリの近位及び遠位端を安定化するように適用される。その後、ブレードの近位部分は、裁断又は除去され(
図4D)、次に、遠位変位可能部分16におけるブレード部分が裁断又は除去され、且つ、コイルの遠位部分が裁断又は除去されて
図3に示す構造体を形成し(
図4E)、それらの部分を後述する次段階操作のために整備する。さらに、牽引ワイヤーチューブ前駆体25'の遠位部分も、変位ゾーンの直ぐ遠位において裁断又は除去される。この近位端は、ブレード/コイルの末端を過ぎて延び、内部から「外へ出る」。ハンドル変位機構(「クランク」)に加わるためである。外方ジャケットは、外へ出た牽引ワイヤー腔の周囲に溶融されて、その位置に圧及び吸引シールを形成する。
【0038】
図4D1は、牽引ワイヤーチューブ28のセクションが、本体部分又はセグメント18内の位置において内方チューブ24の周囲に手動で捩られる実施態様を示す。
【0039】
図4Fは、管状外方ジャケット又はカバー34の部分を形成するための材料の適用例を示す。一実施態様では、ジャケット34はその全体が一つの材料から製造される。これは、ジャケット34から長軸方向スロットを切り出し、それをより硬い材料と交換し、それを加熱して所定の場所に融合させることによって実現される。スパインは、このジャケットの下に配置させてもよく、その場合、スパインは、ジャケットが内方アッセンブリに重層される際、外方ジャケットチューブに結合/含浸される。全体が一材料から成る場合、これは、単純に標準的押出し成形法である。我々の場合のように一つを超える材料が使用される場合、別材料の「線条」(この場合は、より高硬度の)を、外周の特定部分において、押出し成形機のクロスヘッド中に注入するよう、特別な計量工程が必要である。
【0040】
それとは別に、例えば、近位端においてより優れた押し込み強度を達成し、遠位端では追跡性の向上を実現するために、様々の硬度のポリマーを利用してもよい。ジャケットは、内方チューブ前駆体24'、牽引ワイヤーチューブ前駆体25'、リボンコイル26、及び、ブレード32に対し、重層などの任意の適切な手段によって融合されて、遠位変位可能部分16に対して近位のジャケット部分(本体部分18を含む)用として55D PEBAXセクションと、72D PEBAXスパイン36と、スパイン36の外側の、35D遠位変位可能部分とを有する外方ジャケット部分24を形成する。製造時、原料チューブは、やや過大なチューブとして押出し成形され、次に、カテーテル成分は(前記過大チューブをビーズ紐又はマンドリル、ライナー、及びブレード/コイルの上に滑らせて)集結され、これら集結成分は、熱風及び緊縮チューブによって「層化」され、このため、押し出し成形によって、各成分は、潰され、融解、流動され、且つ、基質アッセンブリ中に結合又は封入される。
【0041】
図4Gは、リボンコイルの近位部分の裁断/整形を示し、この裁断/整形は、コイルがハンドル14の中に延びることがないように、近位ジャケット材料が内方アッセンブリに重層するように、牽引ワイヤーマンドリルが持ち上げられてその下部で重層し、牽引ワイヤーマンドリルを、ただ、この近位重層体の断端においてのみ露出させる接合部を形成するように行われる。好ましい実施態様では、これらの材料は全て55D PEBAXである。この層化の後、牽引ワイヤーマンドリルは排除される。
【0042】
図4Hを参照すると、従来型のルアー58は、
図4Fに示すサブアッセンブリの近位端--この末端は、カテーテル12の近位端12aを形成する--に、アクリル化ウレタンなどの接着剤によって接着され、UV光によって硬化される。
【0043】
図4Iを参照すると、牽引ワイヤーマンドリルが引き抜かれ、牽引ワイヤーアッセンブリが組み立てられる。牽引ワイヤーアッセンブリは、内方チューブ前駆体24'に登載されて、金属製牽引ワイヤー20--これは、牽引ワイヤーチューブ前駆体25'を貫通する--の遠位端部分にレーザー溶接される円筒形金属製牽引ワイヤーリング28から成る。好ましい実施態様では、金属性牽引ワイヤーリング28及び牽引ワイヤー20は、304シリーズのステンレススチールから製造される。(変位部分に対する牽引ワイヤーの接着は、米国特許第6,511,471 Rosenman等において詳述される、なお、この特許文書の全体を参照により本明細書に含める)。
【0044】
図4Jを参照すると、内方チューブ前駆体24'の上にはマーカーバンドが設けられる。このマーカーバンドは、白金イリジウムなどのX線不透過材料から製造される。次に、例えば、55D PEBAXのバンドが、マーカーバンド30及び牽引ワイヤーの上に重ね合わされ、それを内方チューブ前駆体24'の上に封入する。
【0045】
図4Kを参照すると、内方チューブ前駆体24'の遠位端部分は整形又は除去されて、
図3に示す内方チューブ24を形成し、薄い55D PEBAXの軟質テーパー型先端部が、マーカーバンド30及び牽引ワイヤーリング28の上に重ね合わされ、
図4Gに示すPEBAXの遠位端に融合されて、遠位変位可能部分16の、牽引ワイヤーリング28の末端までの部分16'を形成する。次に、軟質先端部は先細り型に整形及び裁断されて、カテーテル12の遠位端12aを形成する(
図4L)。
【0046】
図4Mを参照すると、ハンドル14は、カテーテル又は導入シースに取り付けられ、牽引ワイヤーは、変位機構の中に直進を維持するように固定される。そのため、ハンドルレバー14が操作されると、牽引ワイヤーは、力を、その長さにそってカテーテル12の遠位端に適用し、それによって、比較的軟らかい35Dの変位ゾーンを、前記ゾーンの長さ、及び、ポリマーの形状及びサイズによって定められる方向及び立体図形に応じて曲げる。
【0047】
このようなカテーテル又は導入シース12は、0.60 mm未満の壁厚を持つように製造することが可能である。好ましい実施態様では、壁厚は約0.55 mmである。さらに別の好ましい実施態様では、壁厚は約0.50 mm未満である。別の実施態様では、壁厚は約0.30 mmである。さらに、この構築は、所望の捩れ抵抗及びトルク伝達を実現するので、そのカテーテルを、ジグザグの解剖学的形態の導入シース12として使用することが可能であるばかりか、ガイドシステムとして使用することも可能である。このため、変位可能ガイドが必要とする、比較的大型の外部アクセスシースが不要とされるので、血管壁の中に比較的小さな基点を設けながら、標準的介在治療デバイスの導入を可能とするという目覚ましい利点が得られる。
【0048】
上述のように製造されるカテーテル又は導入シースの管状部材の内径は、約4.5Fから約9Fの範囲内にある。
【0049】
カテーテル又は導入シースの管状部材は、約90 cmから約130 cmの長さを有する。
【0050】
図5Aを参照すると、
図1の操縦可能システムは、拡張器と組み合わされて導入シース-拡張器システム50を形成するところが示される。
図5Bは、液体造影剤などの流体放出のために拡張器52を延長させた
図5Aの実施態様を示す。
【0051】
図6A及び6Bを参照すると、拡張器52は、テーパー型遠位端55及び複数の流体放出開口部56を有する管状部材54を含む。導入シース-拡張器システム50を標的部位に搬送する際、拡張器は、
図7Aに示すように後退位置にあり、そのため、開口部56はシース内に隠されていて、血管内腔との摩擦を回避するようになっている。
図5B及び6Bに示すように、拡張器52を導入シース12から引き延ばした後、解剖学的画像撮影のために、造影剤溶液を、側面開口部56を通じて、拡張器管状部材54の内部から外部に放出させることが可能である。このようにすると、さらに別の診断カテーテルの必要が排除される。
【0052】
図5Aを参照すると、浮遊ルアーハブ58は、管状部材54の短縮直径近位部分に滑走可能に登載される。環状ステップは、直径移行部、及び、ルアーハブ58の、遠位方向へのさらなる移動を停止するストップ62を形成する。雄のルアーハブ60は、拡張器52の近位端部分にしっかりと固定される。ルアーハブ60を、
図6Bの矢印によって示されるように遠位方向に動かすと、拡張チューブ54は、遠位方向に移動し拡張器開口部56を露出させる。ルアーハブ60を雌のルアーハブ58の中にロックさせると(
図5B)、導入シース又は拡張器を用いて、標的領域に造影剤を分散させることが可能である。造影媒体は、止血バルブの側面ポートを通じて、又は、止血バルブの近位端のルアーを介して注入される。
【0053】
拡張器52は、遠位方向に延長可能な長さを持つように製造することが可能である。この延長可能な長さは、一旦経皮アクセスを実現したならば、手動的に露出される側面孔を有する。拡張器は、その長さに沿って種々の硬度を有していてもよい。遠位先端部は、皮膚刺入のために硬質であってもよく、軟質セグメントは、遠位変位可能部分16の残り部分に与えられる。
【0054】
テーパー形状における直線的硬度変動(材料の性質に従って、直線的テーパーは、非直線的硬度変化をもたらす)
【0055】
図7Aは、本発明の一実施態様による、ハンドル14における変位活性器を模式的に示し、
図7Bは、例えば、
図2に示すように、牽引ワイヤー25を引っ張って、操縦可能システムの遠位変位可能部分16を変位させるよう活性器を操作させた、
図7Aの変位活性器を模式的に示す。
【0056】
図7Aを参照すると、変位活性器80は、一般に、ハンドル14に軸回転的に登載されるレバー22、及び、牽引ワイヤー25とレバー22に適用される力を制限する機構を含む。この力制限機構は、
図7B--この図は、
図7Aの活性器が、遠位変位可能部分16を変位するよう(
図2)、後退又は活性化状態にあるところを示す--の矢印によって示されるように、牽引ワイヤー後退に対し調節可能な制限力を提供するトーションバネ82を含む。しかしながら、牽引ワイヤー25に対しこのような制限力を加えるために、他の機構を使用することも可能であることを理解しなければならない。
【0057】
図8を参照すると、レバー22は、ピン84を介して、ハンドル14に軸回転的に結合される。ピンは、一端がレバー22にしっかりと固定され、もう一端が、円筒形ピン支持体86に回転可能に登載される。支持体は、ハンドル14の筐体14aから延びるが、ハンドル筐体と一体的に形成されてもよいし、若しくは、ハンドル筐体に固定される別成分であってもよい。このようにして、ピンは、レバー22が、
図7Bの矢印によって示されるように、軸回転されるか、又は動かされると、ピン支持体86の中を回転する。牽引ワイヤー25は、クランクプレート部材90の中に形成されるスロット88の中にしっかりと固定される。クランクプレート90は貫通孔92を有し、ピン84は、その中を貫いて延び、ピン84が回転するとクランクプレート92が軸回転するように、クランクプレートにしっかりと固定される。螺旋状要素を含むトーションバネ82はピン84に登載されるが、その内方端82aは、ピン84中のスロット中にしっかりと固定され、その外方端82bは、クランクプレートピン94を介してクランクプレート90に固定され(
図7A及び7Bに示される)、クランクプレートピンは、クランクプレート90の基盤プレート90aから延び、且つ、それと一体的に形成される。
【0058】
図7Aに示すように、牽引ワイヤーは、クランクレバー22に直接取り付けられる。
【0059】
牽引ワイヤーは、変位機転を活性化するクランクアッセンブリに直接結合される。
【0060】
この構成には多くの利点があるが、その中でも特筆すべきものは、この構成は、牽引ワイヤー25に適用される力の量を制限すること、即ち--ただしこれらに限定されないが--過度の力によるワイヤーの破断を最少に抑えること、遠位変位可能部分及びその遠位先端部
の変位を、患者の体内における位置及び/又は方向性制限によって制限すること、及び、患者の解剖的構造に対する一般的安全性が挙げられる。言い換えれば、この構成は、正常な力の下ではクランク90(従って、牽引ワイヤー)の活性化を可能とするが、過度の力がレバー22に加えられると、ワイヤーに加えられる力を制限する。これは、指活性化による力の、牽引ワイヤー対する直接的適用を実現する、牽引ワイヤーとクランクレバーの間に固定結合を用いるシステムとは好対照を為す。後者は即ち、指ノブはクランクに機械的に固定され、クランクは牽引ワイヤーに機械的に固定されることである。図示の実施態様では、力制限器によって確実に、カテーテルの遠位変位可能部分に対する最大ストレスは調節されて、強度制限変位機構の活性化による破断が抑えられる。
【0061】
トーションバネの仕様に基づき、受容可能な適用力は、ある一定の力がノブに加えられるまではっきり嵌合することが無いバネによって定められる。
【0062】
この設計のもう一つの利点は安全機転としての使用である。例えば、先ず、変位ゾーンを真っ直ぐにすること無く、患者のジグザグ解剖学形態から変位デバイスを引き出す場合がそれである。バネ解除器は、カテーテルを壊すことなく、さらに重要なことは患者の解剖学的形態を損なうことなく最大ストレスにある変位位置から「脱離する」ことによって、変位ゾーンを弛めることが可能である。
【0063】
別の変種では、力制限機構は、牽引ワイヤーに加えられる力を制限するという所望の目標に機能的に合致するよう、他のバネタイプを使用することも可能である。さらに、図示はしていないが、力制限機構は、牽引ワイヤー活性化・変位可能先端部を有する、他の操縦可能カテーテルと共に使用することも可能であることを理解しなければならない。
【0064】
この操縦可能システムは、末梢アクセスに関連する手順を簡素化し、医師のコントロールを強化し、そうすることによって、末梢動脈疾患又はPADの治療における臨床成績の向上を助けることが可能である。八百万から千二百万人のアメリカ人がPADに罹患するが、この病気は、脚又は足の動脈におけるプラークの蓄積によって引き起こされ、血流を下げる。症状としては、歩行時又は安静時における脚痛が挙げられる。PADは、組織の壊死を招き、最終的には脚切断に至る。通例のPAD手術処置における使用に十分なほど小さなプロフィールと、PADの治療に使用される装置、例えば、ステント、アテローム切除デバイス、レーザーシステム、及びバルーンの搬送に十分なほど大きな内腔を持つ、動脈アクセス操縦可能導管は、これらの手術処置において進歩をもたらしている。反対側アクセス--これは、大腿動脈アクセスを用いて腸骨動脈分岐を横切り、反対側脚の末梢動脈疾患(PAD)に治療を施すものである--の重要手順は、上述の操縦可能導入体によって実行することが可能であり、通常使用される三つのデバイスを不要とするので、時間がかかり、且つ、患者のリスクとコストを増すデバイス交換の度数が節約される。
【0065】
本発明のデバイスは、患者を治療するのに介在施術を行う術者にとっては切望される代替法を提供する。なぜなら、本発明の操縦可能な無シースガイドは、小さな外径を、拡張器の使用を要することなくジグザグの解剖形態中を効果的に目的地に向かって進めて行くのに十分な構造的剛性と結合させた新規機転を有するからである。本発明の好ましい実施態様は、7Fの外径を持つ5Fの操縦可能な無シースガイドを含む。そうしようと思えば、このデバイスは、その全長に沿って滑沢性被覆を備えることも考えられる。そうしようと思えば、このデバイスには、0.018インチのガイドワイヤーと適合する二つの拡張器、0.035インチのガイドワイヤーと適合するもう一つの拡張器を設けることも考えられる。そうしようと思えば、これらの拡張器は、必要に応じて、標的部位において診断画像造影剤の注入を可能とするよう、遠位先端部にそって螺旋状に孔を有することも考えられる。通常、拡張器の孔は、ガイドワイヤーよりも小さいか、又は、直径がほぼ0.0008インチから0.012インチであると考えられ、操縦可能な内腔デバイスの遠位端--これは、シース、ガイド、又は無シースガイドのいずれであってもよい--から突出する拡張器部分において約6個から約8個の孔であると考えられる。
【0066】
導入シース-拡張器システム50がどのようにして工程を減らすのかを示す一例を下記に述べる。
【0067】
針による穿刺、動脈へのガイドワイヤーの設置の後、操縦可能導入シース無しで、下記の工程によって腸骨動脈分岐部を横切る:(1)導入シースの設置、(2)導入拡張器の除去、(3)診断カテーテルを動脈の中に進め反対側アクセスを実現する。これは、時に、複数の診断カテーテルを選択すること、且つ、脚アクセスが実現されるまでそれらを進めることを要する。(4)次に、ワイヤーを患者の体から引き抜く。(5)次に、造影剤を診断カテーテルを通じて注入する。(6)多くの手術では、次に、硬質ワイヤーを、診断カテーテルを通じて進め、下方反対側脚に下ろす。これは、最終的介在施術を支える、シース支持体として使用することが意図される。(7)次に、診断カテーテルを引き抜く。(8)次に、導入シースが除去される。(9)介在施術シース(例えば、Terumo Pinnacle Destinationシース、又は、Cook Anselシースを、硬質ワイヤーの上に進める)を、腸骨動脈分岐部を横切り、デバイスが安定する解剖学的地点まで進める。(10)次に、硬質ワイヤーを引き抜く。(11)次に、軟性ワイヤーを、シースを通じて進める。通常--ただしいつもとは限らない--アクセスのための施術を始めた同じワイヤーである。(12)次に、このワイヤー付きシースを、多くの場合ワイヤーを突出させた状態で、次の介在施術のための位置に進める。(13)次に、拡張器がシースから除去される。(14)治療デバイス、例えば、CTOデバイス、バルーンカテーテル、ステントシステム、及び、アテローム切除デバイスなどの剥離除去デバイスを進める。多くの場合、これらは、同一ワイヤーの上に進めることが可能である。
【0068】
この操縦可能導入-拡張システム50では、現今の処置よりもはるかに少ない工程数で同じ結果を達成することが可能である。要すれば、予備拡張を行って、次いで下記の工程を実行する。(1)操縦可能導入シースを、血管内導入をやり易くするために、先に使用した拡張器と共に配置する。(2)拡張器を、シースの変位ゾーンから抜去する。(3)操縦可能な導入器を変位させて、下方反対側脚に向かわせる。(4)次に、造影剤を、操縦可能な導入器を通じて注入する。(5)ワイヤーを反対側下方に進め、続けて拡張器を進め、操縦可能な導入シースを弛める。(6)次に、ワイヤー付き操縦可能シース(現在は真っ直ぐ)を、多くの場合、ワイヤーを突出させた状態で次の介在施術用の位置に進める。(7)次に、拡張器がシースから除去される。(8)CTOデバイス、バルーンカテーテル、ステントシステムなどの治療デバイス、及び、アテローム切除デバイスなどの剥離除去デバイスを進める。これらは多くの場合、同じ軟性ワイヤーの上に進めていくことが可能である。この手順は、工程を減らし、導入器、診断カテーテル、又はシースを必要としない--これらは全て、拡張器50を備えた単一の操縦可能導入シースによって代替される。
【0069】
操縦可能シース-拡張システム50によって曲線を横切る方法はさらに、冠状動脈を含む他の応用にも使用することが可能であり、腸骨動脈分岐部の横断に関して前述したところと近似する。導入シース-拡張器システム50も同様に他の応用、例えば、心室アクセスに適用される。今日、心室に進入するにはいくつかの方法がある。心拍調節、剥離除去、及びバイオプシー処置のための右心室進入は、鎖骨下静脈又は橈側皮静脈の静脈アクセスを通じて、若しくは、鼠頚部の大腿静脈から行われる。心臓左側に対する現今の大多数の処置は、もっとも複雑で、他のデバイスの使用を含む。経中隔接近による左側大動脈アクセスは、鼠頚部を介して行われる。なぜなら、これらのデバイスは全て厚い壁を持ち、橈骨接近を通じては心臓に入れることができないからである。
【0070】
一般に、左室心臓アクセスは、鼠頚部の大腿動脈中の動脈スティックを用い、大動脈を逆方向に横切ってカテーテルを進めることによって実行される。左側心臓に進入し、次に上方に翻転して左心房にアクセスすることが可能な特別カテーテルは存在するが、今日行われる多くの処置は、中隔穿孔を通じて行われ、その場合、カテーテルは、鼠頚部から静脈系を通じて進められ、右側心臓の心房穿刺に使用されて、左側心臓へのアクセスを可能とする。通常、この処置を実行するには、操縦可能ガイド又は導入器が使用される。下記の実施例は、各種処置を実行するに際し、上述のデバイスの使用を具体的に述べる。
【0071】
下記は、操縦可能シース又は導入シースを使用する例示の方法をさらに詳細に述べる。
【実施例1】
【0072】
冠状動脈、神経学、及び末梢循環系処置のための橈骨側及び上腕側アクセス
腕から進入口を取得することは、包帯だけで閉鎖デバイスを要することなく、患者を退院させ、可動とするという点で有利である。一方、大腿アクセスは、患者の管理に関連してより高いコストを生ずる。なぜなら、多くの場合閉鎖デバイスが必要とされ、患者の可動性が制限されるので、処置後搬送担架が求められ、患者の退院時間は著明に遅れ、治療患者の頻度及び数を低下させるからである。
【0073】
心臓の経心内膜輸送又は左心室処置のための橈骨側アクセス
Seldinger技術を用いてワイヤーを橈骨動脈中に挿入する。4Fから5.5Fの内径及び6Fから7.5Fの外径を持つ拡張器を有し、且つ、その遠位長の少なくとも一部に滑沢コーティングを有する操縦可能内腔デバイスを挿入し、ガイドワイヤーの上に進める。時々、造影剤を、拡張器を通じて注入してもよいし、若しくは、拡張器を除去して、造影剤を、解剖学的進路を評価するために、デバイスを通じて注入してもよい。デバイスを大動脈中に進め、拡張器を除去する。シースの操縦可能機転を用い、ガイドワイヤーを、大動脈弁を横切るのに使用してもよく、その後、ガイドシースは左心室の中に入る。ワイヤーは引き抜かれ、遠位セグメントのトルク伝達能によって可能とされる回転及び変位によって、左心室内の任意の壁領域に向けられる導管--最大5.5F(1.8 mm)の内径(腔サイズ)を持つ--は、経心内膜輸送カテーテルを、例えば、5.2フレンチBiorCardia Helix Model #953 (BioCardia, Inc., San Carlos, CA.)、又はその他のカテーテルを、心臓内マッピング、剥離除去その他のために、輸送することが可能とされる。
【実施例2】
【0074】
経心房中隔アクセス
この応用のためには、長尺拡張器装備操縦可能シースが用いられる。この応用に適切な本発明の好ましい実施態様は、f6.5 F、又は7.5F、又は8Fの内径、及び、0.40 mm未満の平均壁厚を有する操縦可能内腔デバイスを含む。この操縦可能シース及び拡張器は、大腿静脈又は上腕静脈から右心房に進められる。シースの遠位端は、心房中隔の地点において変位され、拡張器が中隔に当接され、それによって中隔が受容的凹型を形成するまで進められる。拡張器の変位、進行、及び中隔に対する当接は、心エコー検査法などの画像技術の助けを借りて観察、確認される。拡張器が、中隔に対し受容可能位置にあることが確かめられたならば、末端に短い鋭い針を備える、あらかじめ整形された軟質屈曲性ガイドワイヤーを、拡張器を通じて進め、左心房に挿入する。それとは別に、ガイドワイヤーは、この鋭利な針の内部を通じて液体を搬送するために中空である。上述の処置とは僅かに異なる変法として本発明の第2実施態様がある。ここでは、操縦可能デバイスは、7.5F又は8.5F内径を持つ7F又は8Fシースであるが、そのシースを、一旦中隔横断したならば、剥離除去カテーテルをガイドするため、若しくは、他の大直径技法のための、より大きな導入器と交換するために、使用することも可能と考えられる。
【実施例3】
【0075】
腎臓及び腸間膜アクセス整形シース
腎動脈疾患の経カテーテル治療は、本発明のデバイスのもう一つの応用である。特に、本発明の、6Fの、操縦可能シース実施態様は、あらかじめ整形された長い優しい曲線を含むので、遠位要素の変位は、デバイスが、遠位大動脈から後方支援を受けることを可能とする。一般に、腎動脈疾患の治療のために使用されるデバイスは、腎臓二重曲線カテーテルである。Thom W RookeによるVascular Medicine and Endovascular Interventions(「血管治療及び血管内介入施術」)(Google Books)を参照されたい。このような使用にもっとも適切な本発明の実施態様は、腎臓二重曲線カテーテルの第1曲線(RDC1)、及び、約3 cmから約5 cmの長さを持つ変位可能部分によって形成される遠位第2曲線に事実上近似する形状のプレ整形曲線領域を含むと予想され、この場合、変位可能部分は、RDC1曲線に続く管状部材の近位端に向かって約1 cmの狭隘な曲率の周囲で、且つ、RDC1曲線の内第1曲線を定めるプレ整形形状によって定められる平面内に変位される。
【実施例4】
【0076】
操縦可能プレ整形シースによる頸動脈アクセス
経頸動脈進入の際には、非標的血管の中に迷い込んだ血栓による脳卒中の誘発を回避するよう、慎重な操作が不可欠である。頸動脈アクセスは、大腿動脈又は上腕動脈のいずれかから行われるが、この場合、頸動脈に向かって上行するには180度の転回が必要とされる。一般に、近位に配置されるプレ固定曲線部を有する二つの形状が使用される(例えば、Vitek整形カテーテル)。本発明の一実施態様では、プレ整形形態を持つ操縦可能シースが提供される。このプレ整形形態は、Vitekカテーテルのそれと事実上近似し、遠位変位部分は、約3 cmから約5 cmの長さを持ち、変位されると、カテーテルの近位端から離れて、約1 cmの曲率の周囲に、プレ整形形態によって定められる平面内に変位する(
図9A及び9Bを参照)。本発明のシースの変位と結合させたプレ整形形態の独特の組み合わせはこのような使用に理想的である。なぜなら、それらは、標的血管に到達するのに比較的操作を要せず、且つ、動脈壁を擦らないからである。使用時、デバイスのプレ整形形態の曲線領域は、引き摺られるが、ワイヤー上を真っ直ぐ進むにつれて血管内で翻転され、従って、より大きなコントロールが得られるので、患者の安全性は高められる。
【0077】
頸動脈アクセスに好適な第2実施態様では、シースは、H1カテーテルのものと事実上同じ形状のプレ整形曲線を有し、デバイスの変位遠位部分は、約3 cmから約5 cmの長さを有し、且つ、H1曲線方向に続くカテーテルの近位端に向かって約1 cmの狭隘な曲率の周囲に変位する(
図10A及び10Bを参照)。
【0078】
心臓の右側では、操縦可能ガイド又は導入システムは、心臓のこれらの心室において実行される最重要処置、即ち、心臓ペースメーカーリードをコントロールするための手段を提供し、冠状洞に到達し、且つ、心臓移植の拒絶反応評価のために右心室バイオプシーを実行する。この場合、操縦可能ガイドシステムは、心臓の生検鉗子の位置を最適化するのに有効であり、且つ、その位置は、両面平坦スクリーン重層体に記録されるか、又は、細胞療法のために開発されたものと同様のMRI融合システムによって記録されるので、各バイオプシー部位は記録され、反復されることがないようにすることが可能である。これによって、バイオプシー(処置当たり4回実行され、心臓移植後第1年では最大20処置行われる)が、同じスポットに2度当たることが無いようにすること、バイオプシーの価値を台無しにする瘢痕組織を回避することが可能となる。位置を記録する手段を備えた、このような操縦可能バイオプシーシステムはさらに、その後の心臓修復及び再生戦略用の体外培養のための組織を取得するため、組織獲得のために使用されるバイオプシーにとっても有効である。
【0079】
本明細書に記載されるいずれかの実施態様に記載される特性は、いずれのものであれ、好ましいと否とに拘わらず、他の実施態様の、他のいずれかの単独特性、又は複数特性と組み合わせることが可能である。
【0080】
デバイス及び方法について、それらが開発された環境を参照しながら、それらの好ましい実施態様を記載してきたわけであるが、それらは、単に、本発明の原理を例示するものであるにすぎない。各種実施態様の要素は、他の態様種のそれぞれの中に組み込んで、そのような他の態様種との組み合わせにおいて、それらの要素の利点を獲得してもよく、且つ、様々な有利な特性は、実施態様において、単独で又は互いに組み合わせて用いてもよい。本発明の精神及び添付の特許請求項の範囲から逸脱することなく、その他の実施態様及び構成も案出することが可能である。