特許第5989662号(P5989662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989662(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アミン複合体のフッ素化コポリマーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989662
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸アミン複合体のフッ素化コポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/12 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   C08F220/12
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-544868(P2013-544868)
(86)(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公表番号】特表2013-545882(P2013-545882A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011065735
(87)【国際公開番号】WO2012083295
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/424,233
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/301,077
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シッダールタ シェノイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル エム.ポリーノ
(72)【発明者】
【氏名】アニルクマル ラガバンピライ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド エム.ローゼン
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト バイロン ワイソン
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−252462(JP,A)
【文献】 特表2002−517530(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/097850(WO,A1)
【文献】 特開2005−129194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/00− 35/08
C08F 20/00− 22/40
C08F 120/00−122/40
C08F 220/00−222/40
C08K 3/00− 13/08
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン(1−q)モルの比で、開始剤と共に、式(I);
【化1】
の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を、(メタ)アクリル酸および式(II);
【化2】
の第1アミン30〜60モル%と接触させて、コポリマーが形成される工程を含む、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーの製造方法であって、
前記コポリマーは、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸アミン塩の繰り返し単位を含み
式中、qが0を超える場合に、前記コポリマーを式(II)の第2アミンqモルと接触させることを条件として、qは0〜0.9であり;
Zは、f(CH2n−であり
fは、1つまたは複数の−O−、−CH2−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C2〜C10フルオロアルキルであり;
nは、1〜10の整数であり;
1およびR2はそれぞれ独立して、HまたはCH3であり;
3は、H、CH3、またはCH2CH3であり;
4は、H、CH3、またはCH2CH3であり;
5は、H、CH2CH3、C3〜C18アルキルまたはYであり;
但し、前記第1アミンまたは第2アミンの少なくとも一つは、CH2CH3、C3〜C18アルキルまたはYと定義されるR5を有し、
Yは、
【化3】
であり、
9は、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;
前記第1および第2アミンは同じでも異なっていてもよく;かつ
mは、1〜10である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質基材に対する向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石材、石積み、コンクリート、無釉タイル、れんが、多孔質粘土および種々の他の基材などの硬質表面は、屋内および屋外環境で装飾的および機能的に使用される。未処理の場合には、これらの材料は、水、油、およびケチャップ、マスタード、コーヒー、油、ワイン、および飲料などの食品から着色を受けやすい。これらの基材を処理するためのいくつかの製品が市場に存在する。石材およびタイル処理製品は通常、撥水性を付与する非フッ素化モノマーと共に、しみ落ち性および撥油性を付与するフッ素化モノマーを含有するコポリマーである。
【0003】
Linertらは国際公開第199700230号パンフレットに、油性および水性汚れに対する撥性を多孔質基材に付与する、フルオロ脂肪族基、カルボキシル含有基、オキシアルケン基および任意選択でシリル基を含む組成物を記述している。
【0004】
Uedaらは米国特許出願公開第20070197717号明細書に、フルオロモノマー、少なくとも1つの酸基を有するモノマー、および疎水基を有する非フッ素化モノマーを含む石工用処理剤を記述している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされているのは、硬質基材に汚れ抵抗性、撥油性および撥水性の優れた性能を付与する自己分散コーティングコポリマーである。これらのコーティングコポリマーは、複数のすすぎサイクルに耐え、さらに汚れに対する優れた性能および撥油性および撥水性を維持することができる基材に対する優れた付着性を有するべきである。これらのコーティングコポリマーは、プロセス工程または費用を著しく増やすことなく、簡略化された方法によって容易に製造されるべきである。本発明はこれらの要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(a)(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン1モルの比で、式(I);
【0007】
【化1】
の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を、(メタ)アクリル酸および式(II);
【0008】
【化2】
の第1アミン30〜60モル%と接触させて、第1混合物が形成される工程;
(b)第1混合物を開始剤と接触させて、コポリマーが形成される工程;
を含む、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーを製造する本発明の方法であって、
式中、Zは、Rは、(CH−またはR−であり;
は、1つまたは複数の−O−、−CH−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C〜C10フルオロアルキルであり;
nは、1〜10の整数であり;
は、C〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して、HまたはCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CHCH、C〜C18アルキルまたはYであり;
Yは、
【0009】
【化3】
であり、
は、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;
mは、1〜10である、本発明の方法。
【0010】
本発明はさらに、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーの製造方法であって、(a)(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン(1−q)モルの比で、式(I)の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を(メタ)アクリル酸および式(II)の第1アミン30〜60モル%と接触させて、第1混合物が形成される工程;(b)第1混合物を開始剤と接触させて、コポリマーが形成される工程;(c)そのコポリマーを式(II)の第2アミンqモルと接触させる工程;を含む方法を含み;0<q≦0.9;Z、R、n、R、R、R、R、R、R、Y、R、およびmは上記で定義されるとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、商標は大文字で示される。
【0012】
「(メタ)アクリル」という用語は、メタクリル化合物とアクリル化合物の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート化合物とアクリレート化合物の両方を意味する。
【0013】
(a)(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン1モルの比で、式(I);
【0014】
【化4】
の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を、(メタ)アクリル酸および式(II);
【0015】
【化5】
の第1アミン30〜60モル%と接触させて、第1混合物が形成される工程;(b)第1混合物を開始剤と接触させて、コポリマーが形成される工程;を含む、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーを製造する本発明の方法であって、
式中、Zは、R(CH−またはR−であり;
は、1つまたは複数の−O−、−CH−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C〜C10フルオロアルキルであり;
nは、1〜10の整数であり;
は、C〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して、HまたはCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CHCH、C〜C18アルキルまたはYであり;
Yは、
【0016】
【化6】
であり、
は、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;
mは、1〜10である、本発明の方法。
【0017】
本発明はさらに、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーの製造方法であって、(a)(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン(1−q)モルの比で、式(I)の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を(メタ)アクリル酸および式(II)の第1アミン30〜60モル%と接触させて、第1混合物が形成される工程;(b)第1混合物を開始剤と接触させて、コポリマーが形成される工程;(c)そのコポリマーを式(II)の第2アミンqモルと接触させる工程;を含む方法を含み;0<q≦0.9;Z、R、n、R、R、R、R、R、R、Y、R、およびmは上記で定義されるとおりである。
【0018】
本発明において、(メタ)アクリレートモノマーのモル濃度および(メタ)アクリル酸のモル濃度は、それらが上記で指定されるモル範囲内にあり、かつ合わせた成分の合計が100%に等しいように選択される。当業者であれば、その合計が100%に等しくなるように、記載の範囲内で各モノマーのモル%を容易に選択することができる。例えば、(メタ)アクリレートモノマーのモル%濃度は、40、41、42、43等、70までのいずれかであることができ;(メタ)アクリレート酸のモル%濃度は、30、31、32、33、34等、60までのいずれかであることができる。(メタ)アクリレートモノマーのモル%濃度の個々の値はいずれも40〜70であり、(メタ)アクリレート酸のモル%濃度の個々の値はいずれも30〜60であり、合計100となるその組み合わせは、本発明に包含される。
【0019】
第1実施形態において、本発明のコポリマーは、ラジカル開始剤の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、および1種または複数種のアミンを同時に接触させて、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸のアミン塩を含有するコポリマーが生成されることによって製造され、アミンのモル量は(メタ)アクリル酸のモル濃度に対して1:1のモル比である。第2実施形態において、本発明のコポリマーは、ラジカル開始剤の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマーと接触させる前に、(メタ)アクリル酸および1種または複数種のアミンと最初に接触させ、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸のアミン塩を含有するコポリマーが生成されることによって製造され、アミンのモル量は(メタ)アクリル酸のモル濃度に対して1:1のモル比である。0<q≦0.9である第3実施形態において、本発明のコポリマーは、ラジカル開始剤の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、および1種または複数種のアミンを同時に接触させて、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸のアミン塩を含有するコポリマーが生成されることによって製造され、アミンのモル量は(メタ)アクリル酸のモル量よりも少ない((メタ)アクリル1モルにつきアミン1−qモル)。この第3実施形態において、次いで、相当するコポリマーを1種または複数種のアミンで中和し((メタ)アクリル酸1モルにつきアミン1−qモル)、相当する第2(メタ)アクリル酸塩が生成される。0<q≦0.9である第4実施形態において、本発明のコポリマーは、ラジカル開始剤の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマーと接触させる前に(メタ)アクリル酸および1種または複数種のアミンを最初に接触させて、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸のアミン塩を含有するコポリマーが生成されることによって製造され、アミンのモル量は(メタ)アクリル酸のモル量よりも少ない((メタ)アクリル1モルにつきアミン1−qモル)。この第4実施形態において、次いで、相当するコポリマーを1種または複数種のアミンで中和し((メタ)アクリル酸1モルにつきアミン1−qモル)、相当する第2(メタ)アクリル酸塩が生成される。
【0020】
本発明の方法は、1種または複数種の開始剤の存在下で行われる。開始剤は、用いられるモノマーの重量に対して0.1〜6.0重量%で存在する。使用してもよい開始剤は、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化スクシニルおよびt−ブチルパーピバレートなどの過酸化物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)およびアゾジカルボンアミドなどのアゾ化合物である。かかるアゾ開始剤は、「VAZO」67、52および64の商品名でE.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されており、「V−501」の商品名でWako Pure Industries,Ltd.,Osaka,Japanから市販されている。紫外線およびベンゾフェノン、2−メチルアントラキノンまたは2−クロロチオキサントンなどの光開始剤の存在下にてプロセスを行ってもよい。
【0021】
本発明の温度は、広い範囲内で異なり、つまり室温から反応混合物の沸点までの温度である。プロセスは、好ましくは約50〜約90℃;さらに好ましくは、約60〜約75℃で行われる。
【0022】
本発明において有用な(メタ)アクリレートモノマーは、式(I)
【0023】
【化7】
(式中、Zは、R(CH−またはR−である)の(メタ)アクリレートモノマーである。Rは、1つまたは複数の−O−、−CH−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C〜C10フルオロアルキルであり;nは、1〜10の整数であり;Rは、C〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルであり;RおよびRはそれぞれ独立して、HまたはCHである。
【0024】
の例としては、限定されないが、CF(CF−、CF(CF(CHCF−、CF(CFO(CF−、およびCF(CFOCFH(CF−(xはそれぞれ独立して、1〜9であり、yはそれぞれ独立して、1〜3であり、zはそれぞれ独立して、1〜4である)が挙げられる。好ましくは、Rは、C〜Cフルオロアルキル、さらに好ましくは、RはCフルオロアルキルである。好ましくは、nは2〜6であり、さらに好ましくはnは2である。
【0025】
の例としては、限定されないが、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、およびステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは、RはC〜C18アルキルである。これらの(メタ)アクリレートは、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOなどの様々な販売元から市販されている。
【0026】
式(I)(ZはRである)のフッ素化(メタ)アクリレートは、相当するアルコールから合成される。これらのフッ素化メタクリレート化合物は、相当するアルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化するか、またはメチルアクリレートまたはメチルメタクリレートでエステル交換反応することによって製造される。これらの製造はよく知られており、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,282,905号明細書に記載されている。
【0027】
本発明において有用なフッ素化(メタ)アクリレートは、式CF(CF(CHOH(xはそれぞれ独立して、1〜9であり、nは1〜10である)を有するアルコールから製造され、E.I.Du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている。これらのアルコールは、相当するパーフルオロアルキルヨージドをオレウムと反応させることによって製造し、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第95/11877号パンフレットに記載の手順に従って加水分解することもできる。これらのアルコールは、同族体分布混合物として入手可能であり、あるいは個々の鎖長へと分留される。
【0028】
本発明において有用なフッ素化(メタ)アクリレートは、式CF(CF(CHCF(CHOH(yはそれぞれ独立して、1〜9であり、pはそれぞれ独立して、1〜2であり、nは1〜10である)を有するアルコールから製造される。これらのアルコールは、パーフルオロアルキルヨージドをフッ化ビニリデンでテロマー化し、続いてエチレン挿入することによって製造される。フッ化ビニリデンの詳細な説明は、Balague,et al.,“Synthesis of Fluorinated telomers,Part 1,Telomerization of vinylidene with perfluoroalkyl fluoride iodides”,J.Fluor.Chem.(1995),70(2),215−23に記述されている。エチレン挿入反応の詳細は、米国特許第3,979,469号明細書に記述されている。アルコールは、上述のようにオレウムと加水分解を用いて製造される。
【0029】
本発明において有用なフッ素化(メタ)アクリレートは、式CF(CFO(CF−(CHOH(yはそれぞれ独立して、1〜3であり、nは1〜10である)を有するアルコールから製造される。これらのアルコールは、式CF(CFO(CFI(yはそれぞれ独立して、1〜3である)の相当するパーフルオロアルキルエーテルヨージドから製造される。これらのヨウ化物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,481,028号明細書に記載の手順に従って、パーフルオロビニルエーテルをICl/HFおよびBFと反応させることによって製造される。エチレン挿入およびアルコール転化は上述のとおりである。
【0030】
本発明において有用なアミンは、(メタ)アクリル酸で塩を容易に形成することができるアミンである。第1アミンおよび第2アミンは同じでも異なっていてもよい。本発明において有用なアミンは、一般式NR(Rはそれぞれ独立して、上記で定義されるR、R、Rである)を有する。本発明において有用なアミンとしては、限定されないが、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミン、アルコキシアミン、アミノアルキルスルフェート、アミノアルキルスルホネート、アミノアルキルホスホネート、およびアミノアルキルシランが挙げられる。本発明において有用な直鎖状アミンの具体的な例としては、限定されないが、水酸化アンモニウム、モノ、ジ、およびトリメチルアミン、モノ、ジ、トリエチルアミン、モノ、ジ、およびトリエタノールアミン、2−アミノエタンスルホン酸、硫酸水素2−アミノエチル、ドデシルアミンおよびN−N−ジメチルドデシルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、トリペンチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリドデシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N−メチルジブチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミンが挙げられる。分岐状アミンの具体的な例としては、限定されないが、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミンが挙げられる。環状アミンの具体的な例としては、限定されないが、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロデシルアミン、1−アダマンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが挙げられる。アリールアミンの具体的な例としては、限定されないが、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、4−N,N−トリメチルアニリン、3−フェニル−1−プロピルアミンが挙げられる。シリコーン含有アミンの具体的な例としては、限定されないが、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル官能基化シリカナノ粒子、(トリメチルシリル)メチルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、(3−アミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0031】
本発明から製造されるコポリマーは好ましくは、水性分散液状である。
【0032】
本発明は、(a)(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン(1−q)モルの比で、式(I);
【0033】
【化8】
の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を、(メタ)アクリル酸および式(II);
【0034】
【化9】
の第1アミン30〜60モル%と接触させて、第1混合物が形成される工程;(b)約50〜約90℃の温度でラジカル開始剤の半減期に少なくとも等しい時間、第1混合物を開始剤と接触させて、コポリマーが形成される工程;(c)式(II);
の第2アミンqモルとそのコポリマーを接触させる工程;を含む方法であって、
式中、qは0〜0.9であり;
Zは、R(CH−またはR−であり;
は、1つまたは複数の−O−、−CH−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C〜C10フルオロアルキルであり;
nは、1〜10の整数であり;
は、C〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルであり;
およびRはそれぞれ独立して、HまたはCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CH、またはCHCHであり;
は、H、CHCH、C〜C18アルキルまたはYであり;
Yは、
【0035】
【化10】
であり、
は、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;
mは、1〜10である、方法によって製造される、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーを含む。
【0036】
意外なことに、(メタ)アクリレートモノマーと接触させる前に、式(II)のアミンと(メタ)アクリル酸を最初に複合体形成することによって、汚れ抵抗性、撥油性および撥水性が向上することが判明した。(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、および式(II)のアミンを同時に接触した場合にも、汚れ抵抗性、撥油性および撥水性の、この向上は見られた。理論によって束縛されることないが、重合前に、または重合中に同時にアミンを(メタ)アクリル酸と予め複合体形成することによって、(メタ)アクリレートモノマーは、コポリマー鎖の始めに移動する傾向があることが判明した。モノマーなどのこの移動は、汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を向上させる。この現象は、フッ素化および非フッ素化(メタ)アクリレートモノマーの両方で見られる。
【0037】
本発明の方法およびコポリマーは、向上した汚れ抵抗性および撥水性および撥油性を様々な基材に付与するのに有用である。このコポリマーは、様々な用途に容易に適応することができる。
【実施例】
【0038】
材料および試験方法
石材タイル表面へのポリマーの塗布および試験
石灰岩およびサルティヨ石タイル上に、本発明から製造されるコポリマーを分散液として塗布し、試験した。湿らせたSONTARAワイプ(E.I.Du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている)で石タイルを拭く。石を室温で一晩乾燥させ、接着テープで9個の等しいセグメントに分けた。本発明のポリマーコポリマー2重量%溶液を分散液として各セクションに剛毛ブラシを使用して塗布した。塗布前および塗布後のポリマーストック溶液の重量差を測ることによって、塗布されたポリマーの量を決定した。各セクションにブラシで分散液を塗り、1つの均一なコーティングを形成した。一般に、主なブラシ工程を4回用いて、表面を覆った。15分後、表面をワイプで磨くことによって、表面の余分なポリマーをすべて除去した。コーティングを一晩乾燥させ、次いで以下の試験法によって性能を評価した。
【0039】
試験法1.水および油のビーディング(Beading)試験
ガラスピペットを使用して、被覆面上に水および植物油(直径約4〜5mmまたは体積0.04〜0.05mL)の個々の液滴を置いた。液滴を表面上に5分間置き、ビーディングの程度(つまり、接触角)を目視で決定した。ビーディングの程度は、以下の表1に示すように0〜5で評価される。評点が高いほど、撥性性能が優れていることを表す。
【0040】
【表1】
【0041】
試験法2.24時間汚れ試験:
一般的な家庭の汚れ(マスタード、ケチャップ、植物油、サラダドレッシング、コーヒー)それぞれ1滴を個々に、処理されたタイル表面上に置き、24時間静置しておいた。水およびナイロン製剛毛ブラシで洗浄することによって、その汚れを除去した。石が完全に乾燥するまで(約12〜24時間)、処理された石を室温(72〜78°F)で乾燥させた。石表面に残っている汚れの残りを、以下のように目視で0〜4で評価した。評点が低いほど、性能が良いことを意味する。目に見える表面の汚れを残さないが、基材に深く浸透する液体の汚れは評点4で示す。汚れの手順を4回繰り返し、平均した。
【0042】
【表2】
【0043】
試験試料のすべての汚れスコアの合計を加えることによって、汚れスコア総計を計算し、その性能を推定最高総スコアと比較した(つまり、5つの汚れの場合には、最高評点は20である)。
【0044】
試験法3−撥水性試験
AATCC(米国繊維化学技術・染色技術協会(American Association of Textile Chemists and Colorists))標準試験法番号193−2004に従って、サルティヨ基材の撥水性を測定した。その試験では、試験水溶液による湿潤に対する処理基材の抵抗性を決定した(試験溶液コポリマーに関する表3参照)。様々な表面張力の水−アルコール混合物の試験溶液の液滴(直径約5mmまたは体積0.05mL)を処理基材上に置き、表面湿潤の程度を目視で決定した。試験溶液番号1の3滴を基材上に置いた。10秒後、真空吸引を用いて、液滴を除去した。液滴の浸透または部分的な吸収(基材上の黒っぽい湿った染みの外観)が確認されなかった場合には、試験液2で試験を繰り返し、液体の浸透(基材上の黒っぽい湿った染みの外観)が確認されるまで、段階的に大きい番号の試験液で試験した。評点は、基材に浸透しなかった最も大きな試験液番号であった。スコアが高いほど撥水性が高く、性能が優れていることを意味する。
【0045】
撥水性試験液の組成を以下の表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
試験法4.撥油性試験
AATCC標準試験法No.118の修正形態を用いて、処理基材の撥油性を試験し、以下のように変更した。表4で以下に示される一連の有機液体を基材に一滴ずつ塗布した。最も小さい番号の試験液(撥性評点No.1)から始めて、3箇所それぞれに、少なくとも5mm離して、1滴(直径約5mmまたは体積0.05mL)を置いた。液滴を30秒間観察した。この期間の最後に、液滴周囲の吸い上げなく、3滴のうち2滴がまだ球形であった場合には、次に最も大きな番号の液体3滴を隣接部位に置き、同様に30秒間観察した。試験液のうちの1つが、3滴のうち2滴が球形ないし半球形を維持できない、または湿潤または吸い上げを生じるまで、手順を続けた。
【0048】
撥油性評点は、3滴のうち2滴が、吸い上げなく、球形ないし半球形を30秒間維持した、最も大きな番号の試験液であった。スコアが高いほど、撥油性が高い。
【0049】
【表4】
【0050】
実施例1
式Iのコポリマーを有機溶媒中で製造した。電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(10g,23.1mmol,E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている)、メチルアクリル酸(3.30g,38.4mmol)、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(6.88g,38.4mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF,62g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応容器を60℃に加熱し、シリンジを使用して、開始剤(イソプロパノール2g中に0.27g,VAZO67,E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている)を反応フラスコに添加した。反応容器の温度を68℃に上げ、68℃で1時間維持した。反応混合物はゲルを形成した。次いで、反応混合物を冷却し、25℃で18時間維持した。次いで、混合物を水(100mL)に添加し、粉砕した。次いで、反応混合物を真空内で濃縮した。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0051】
実施例2
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、上記実施例3で製造されたフッ素化メタクリレート/メタクリル酸コポリマー(THF中で23.2g,35.3mmol)、3−アミノプロピル官能基化シリカナノ粒子(エタノール中で1g,3重量%)、およびTHF(25g)を添加した。反応混合物を68℃に加熱し、窒素ブランケット下にて1時間攪拌した。さらに3−アミノプロピル官能基化シリカナノ粒子(エタノール中で1g,3重量%)を反応混合物に添加し、続いてトリエチルアミン(0.9g,8.9mmol)を添加した。次いで、水(50mL)を添加し、混合物を68℃でさらに30分間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、その結果、水中で固形分12.4重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0052】
実施例3
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CH(10g,23.1mmol)を有するパーフルオロアルキルメタクリレート、メチルアクリル酸(3.30g,38.4mmol)、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(6.88g,38.4mmol)、トリエチルアミン(3.80g,37.6mmol)およびテトラヒドロフラン(THF,62g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応容器を60℃に加熱し、シリンジを使用して、開始剤(イソプロパノール2g中に0.27g,VAZO67,E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている)を反応フラスコに添加した。反応容器の温度を68℃に上げ、68℃で20分間維持した。次いで、温度を65℃に下げ、18時間攪拌した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、固形分がフラスコの底に沈殿した。液体の上清をデカントした。固形分を粉砕し、水(90mL)に溶解し、液体上清と合わせた。この混合物を真空内で濃縮し、水中で固形分14.5重量%となった。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0053】
実施例4
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CH(10g,23.1mmol)を有するパーフルオロアルキルメタクリレート、メタクリル酸(16.5g,192mmol)、トリエチルアミン(1.92g,18.9mmol)、およびテトラヒドロフラン(28.7g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF1g中に0.27g,VAZO67)を反応フラスコに添加した。反応容器の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、THF中固形分30重量%のフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/トリエチルアミン塩コポリマーであると分析した。
【0054】
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、フッ素化メタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸塩コポリマー(THF中23.2g,35.3mmol)、2アミノエタンスルホン酸(水23.2g中で1.01g,8.08mmol)、およびTHF(25g)を添加した。反応混合物を45℃に加熱し、窒素ブランケット下にて1時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、その結果、水中で固形分24.0重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0055】
実施例5
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、実施例5で製造されたフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸塩コポリマー(THF中に23.2g,35.3mmol)、および硫酸水素2−アミノエチル(水23.2g中に1.14g,8.08mmol)を添加した。反応混合物を68℃に加熱し、窒素ブランケット下にて1時間攪拌した。3−アミノプロピル官能基化シリカナノ粒子(エタノール中に1g,3重量%)を反応混合物にさらに添加し、続いてトリエチルアミン(0.9g,8.9mmol)を添加した。次いで、水(50mL)を添加し、混合物をさらに30分間68℃で攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、その結果、水中で固形分22.0重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0056】
実施例6
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(10g,23.1mmol)、メタクリル酸(2.31g,26.9mmol)、2−アミノエタンスルホン酸(1.01g,8.1mmol)、およびテトラヒドロフラン(28.7g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF1g中に0.27g,VAZO67)を反応フラスコに添加した。反応混合物の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、THF中で固形分30重量%のフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/2−アミノエタンスルホン酸塩コポリマーであると分析した。
【0057】
次いで、水酸化アンモニウム(14.6M,3.92g,水中で23.1mmol)を反応混合物に添加し、反応混合物を45℃に加熱し、窒素ブランケット下にて1時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、その結果、水中で固形分23.9重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0058】
実施例7
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(10g,23.1mmol)、メタクリル酸(2.31g,26.9mmol)、N,N−ジメチルデシルアミン(0.86,4.65mmol)、およびテトラヒドロフラン(30.7g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF1g中に0.27g,VAZO67)を反応フラスコに添加した。反応混合物の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、THF中で固形分17.4重量%のフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/N,N−ジメチルデシルアミン塩コポリマーであると分析した。
【0059】
フッ素化メタクリレート/メタクリル酸/N,N−ジメチルデシルアミン塩コポリマー(THF中6.6g)を45℃に加熱し、水酸化アンモニウム(14.6M,水24.8g中に0.81g)を添加した。反応混合物を窒素ブランケット下にて45℃で1時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、その結果、水中で固形分17.4重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0060】
実施例8
電磁撹拌子および凝縮器を備えた反応容器内で、実施例8で製造されたフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/N,N−ジメチルデシルアミン塩コポリマー(6.6g)を45℃に加熱した。エチルアミン(1.13g,11.1mmol)を反応混合物に一滴ずつ添加した。混合物を45℃で1時間攪拌した。水(24.8g)を反応混合物に添加した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、水中で固形分19.7重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0061】
実施例9
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(10g,23.1mmol)、メタクリル酸(2.31g,26.9mmol)、ドデシルアミン(0.86g,4.65mmol)、およびテトラヒドロフラン(30.7g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF1g中に0.27g,VAZO67)を反応フラスコに添加した。反応混合物の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、THF中で固形分30重量%のフッ素化メタクリレート/メタクリル酸/ドデシルアミンコポリマーであると分析した。
【0062】
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、フッ素化メタクリレート/メタクリル酸/ドデシルアミンコポリマー(THF中6.6g)および水酸化アンモニウム(14.6M,水24.8g中に0.81g,13.4mmol)を添加した。反応混合物を45℃に加熱し、窒素ブランケット下で1時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、水中で固形分20.1重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0063】
実施例10
電磁撹拌子および凝縮器を備えた反応容器内で、実施例10で製造されたフッ素化フッ素化メタクリレート/メタクリル酸/ドデシルアミンコポリマー(6.6g)を45℃に加熱した。エチルアミン(1.13g,11.1mmol)を反応混合物に一滴ずつ添加した。混合物を45℃で1時間攪拌した。水(24.8g)を反応混合物に添加した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、水中で固形分22.3重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0064】
実施例11
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(2.5g,5.75mmol)、メタクリル酸(0.82g,9.6mmol)、ジエチルアミノメチルホスホネート(0.8g,4.8mmol)、およびテトラヒドロフラン(11.2g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF0.5g中にVAZO67 0.35g)を反応フラスコに添加した。反応混合物の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、フッ素化メタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸:ジエチルアミノメチルホスホネートコポリマー(THF中で固形分28重量%)であると分析した。コポリマー(THF中で14.8g)を45℃に加熱し、水酸化アンモニウム(水24g中に0.290g(NH28重量%),4.8mmol))を添加した。反応混合物を窒素ブランケット下にて55℃で1時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、水中で固形分19.4重量%の分散液が得られた。それをさらに水で希釈し、上述の試験法に従って試験した。
【0065】
比較例A
コポリマーを有機溶媒中で生成し、アミンは重合後に添加される。電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、式CF(CFCHCHOC(O)C(CH)=CHを有するパーフルオロアルキルメタクリレート(50g,115mmol)、メタクリル酸(16.5g,192mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF,155g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応を60℃に加熱し、5分間攪拌した。シリンジを使用して、開始剤(THF10g中に1.35g,VAZO67)を反応フラスコに添加した。反応混合物の温度を68℃に上げ、68℃で16時間維持した。次いで、反応混合物を室温(23℃)に冷却し、THF中で固形分30重量%のフッ素化メタクリレート/メタクリル酸コポリマーであると分析された。
【0066】
電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、フッ素化メタクリレート/メタクリル酸コポリマー(THF中に23.2g,35.3mmol)、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(0.1g,0.44mmol)、トリエチルアミン(2.18g,21.6mmol)、およびTHF(25g)を添加した。反応混合物を68℃に加熱し、窒素ブランケット下で2時間攪拌した。次いで、水(50mL)を添加し、混合物を68℃でさらに30分間攪拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した。混合物を真空内で濃縮し、残りのTHFを除去し、水中で固形分16.5重量%の分散液が得られ、上述の試験法に従って試験した。
【0067】
実施例13
アルキルメタクリレートを使用して、本発明の方法から生成されるコポリマーを製造した。熱電対ウェル、スパージ管、磁気撹拌子および還流冷却器軸受部を備えたオーブン乾燥100mL三つ口丸底フラスコに、ブチルメタクリレート(5.46g,38.4mmol)、メタクリル酸(1.99g,23.1mmol)、1,3,5−トリメチルベンゼン(0.07g,0.58mmol)、トリエチルアミン(2.33g,23.1mmol)、およびTHF(29.8g)を添加した。攪拌溶液をN2で60分間スパージした。次いで、反応混合物を68℃に加熱した。加熱された溶液に、シリンジによって溶液としてVAZO67(THF2g中に0.27g)を添加した。この時点で、反応混合物を加熱して、安定な内部溶液温度68℃が得られた。混合物をこの温度で16時間加熱した。18時間後、溶液をHO(30mL)で処理し、真空内で濃縮して残りの有機溶媒を除去し、水中の安定なミルキーホワイトの分散液としてポリマーが得られた(固形分20.8重量%,pH=9)。
【0068】
比較例C
アルキルメタクリレートを使用して、コポリマーを製造し、重合段階後にアミンを添加した。電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、ブチルメタクリレート(5.46g,38.4mmol)、メタクリル酸(1.99g,23.1mmol)、1,3,5−トリメチルベンゼン(0.07g,0.58mmol)、およびテトラヒドロフラン(29.8g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応混合物を68℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF2g中にVAZO67 0.27g)を反応フラスコに添加した。反応混合物を温度68℃に加熱し、18時間維持した。18時間後、溶液をトリエチルアミン(2.33g,23.1mmol)、次いでHO(30mL)で処理し、真空内で濃縮して、残りの有機溶媒を除去し、水中の安定なミルキーホワイトの分散液としてポリマーが得られ(固形分19.2重量%,pH=9)、上述の試験法に従って試験した。
【0069】
比較例D
アルキルメタクリレートを使用して、コポリマーを製造し、重合段階後にアミンを添加した。電磁撹拌子および凝縮器を備えた窒素パージ反応容器に、ブチルメタクリレート(5.46g,38.4mmol)、メタクリル酸(1.99g,23.1mmol)、1,3,5−トリメチルベンゼン(0.07g,0.58mmol)、およびテトラヒドロフラン(29.8g)を添加した。次いで、反応容器を室温(約23℃)にて窒素で1時間スパージした。次いで、反応混合物を68℃に加熱した。シリンジを使用して、開始剤(THF2g中にVAZO67 0.27g)を反応フラスコに添加した。反応混合物を温度68℃に加熱し、18時間維持した。18時間後、溶液を水中のNHOH(1.69g,23.1mmol)で処理し、真空内で濃縮して、残りの有機溶媒を除去し、水中の安定なミルキーホワイトの分散液としてポリマーが得られ(固形分16.3重量%,pH=8〜9)、上述の試験法に従って試験した。
【0070】
実施例1から10をサルティヨ表面に塗布し、上述の方法に従って、試験法1の油および水のビーディング、試験法2の24時間汚れ試験、試験法3の撥水性、および試験法4の撥油性に従って試験した。未処理サルティヨおよび比較例A(複合体化後のコポリマー)も比較として試験した。以下の表5に水および油のビーディングの結果、表6に汚れ試験の結果、表7に試験法3および4の撥油性および撥水性の結果を示す。
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
アルキル(メタ)アクリレートが組み込まれた、本発明の方法から製造されるコポリマーをサルティヨ、石灰岩および花崗岩表面表面に処理し、試験法2、24時間汚れ試験に従って、上述の方法に従って試験した。未処理サルティヨ、未処理石灰岩、および未処理花崗岩および比較例BおよびC(複合体化後のポリマー)も比較として試験した。以下の表5に水および油のビーディングの結果、表6に汚れ試験の結果、表7に試験法3および4の撥油性および撥水性の結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表1】
なお、本発明は、特許請求の範囲を含め、以下の発明を包含する。
1.(メタ)アクリル酸1モルにつきアミン(1−q)モルの比で、開始剤と共に、式(I);
【化1】
の(メタ)アクリレートモノマー40〜70モル%を、(メタ)アクリル酸および式(II);
【化2】
の第1アミン30〜60モル%と接触させて、コポリマーが形成される工程を含む、向上した汚れ抵抗性、撥油性および撥水性を有するコポリマーの製造方法であって、
式中、qが0を超える場合に、前記コポリマーを式(II)の第2アミンqモルと接触させることを条件として、qは0〜0.9であり;
Zは、Rf(CH2n−またはRh−であり;
fは、1つまたは複数の−O−、−CH2−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C2〜C10フルオロアルキルであり;
nは、1〜10の整数であり;
hは、C2〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルであり;
1およびR2はそれぞれ独立して、HまたはCH3であり;
3は、H、CH3、またはCH2CH3であり;
4は、H、CH3、またはCH2CH3であり;
5は、H、CH2CH3、C3〜C18アルキルまたはYであり;
Yは、
【化3】
であり、
9は、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;
前記第1および第2アミンは同じでも異なっていてもよく;かつ
mは、1〜10である、方法。
2.1)ラジカル開始剤の存在下での(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、および第1アミンの前記接触が同時であり;またはラジカル開始剤の存在下にて、(メタ)アクリレートモノマーと接触させる前に、前記(メタ)アクリル酸と第1アミンを接触させる、1に記載の方法。
3.前記重合が、前記ラジカル開始剤の半減期に少なくとも等しい時間、約50〜約90℃の温度で行われる、1に記載の方法。
4.前記開始剤が、前記(メタ)アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸の全重量に対して0.1〜6.0重量%の濃度で存在し、かつ前記開始剤が、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化スクシニル、t−ブチルパーピバレート、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)またはアゾジカルボンアミドからなる群から選択される1種または複数種の過酸化物である、1に記載の方法。
5.ZがRf(CH2n−であり、Rfが、1つまたは複数の−O−、−CH2−、−CFH−、またはその組み合わせが任意選択で介在している、C2〜C10フルオロアルキルであり、nが1〜10の整数である、請求項1に記載の方法。
6.RfがC4〜C6フルオロアルキルであり、nが2〜6である、5に記載の方法。
7.ZがRh−であり、Rh−がC2〜C22直鎖状、分岐状、環状、またはアリールアルキルである、請求項1に記載の方法。
8.R5がH、CH2CH3、またはC3〜C18アルキルである、1に記載の方法。
9.R5がYであり;かつ
Yが、
【化5】
であり、
9が、アルキル、アルキルアルコール、または水素であり;かつ
mは1〜10である、1に記載の方法。