(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相スプライシング決定手段(19)及び前記相スプライシング制御手段(21)から受信した前記信号に応じて、前記各相の前記デューティサイクルを決定する手段(28、31、34、37、40、43、46)から受信したデューティサイクル信号の中からの信号の生成を制御するよう設計されたスイッチを備えている、請求項1又は2に記載の制御システム。
前記各相の前記デューティサイクルを決定する手段(28、31、34、37、40、43、46)は、前記ゼロ電位に保持する手段及び前記DC電位に保持する手段を、前記多相電気モータの前記相の数と同数備える、請求項6に記載の制御システム。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の巻き上げ機は、DC電圧から単相交流電圧を生成するよう設計されたトランジスタシステムによって電力供給される。この電力エレクトロニクスシステムは、電圧インバータと呼ばれる。電圧インバータが含むスイッチの制御は、パルス幅で変調された(PWM、pulse-width modulationの略)信号によって実施される。パルス幅変調は、固定周波数において可変幅を有する一連のパルスを生成することからなり、可変幅の平均値は、適用される設定値に対応する。
【0003】
このような変調を得るために一般的に使用される、様々な方法が存在する。
【0004】
正弦波法によって、ゼロ又は極めて低い電圧のPWMを供給することができる。
【0005】
3次高調波の注入によって、1次高調波の振幅を増大させることができる。この方法は主として、リニア電圧範囲を増大させるために開発された。しかしながらこの方法は、電流のrms値を上昇させ、これによって電力エレクトロニクス及びモータの両方における損失を増大させるという欠点を有する。
【0006】
空間ベクトル変調は、リニア電圧範囲を増大させながら、同時に高調波注入によって引き起こされる電流の増大を回避するために開発された。
【0007】
不連続な方法によって、トランジスタにおけるスイッチング損失を最小化しながら、同時に利用可能な電圧の良好な使用及び電流の制限を維持することができる。この方法の主要な欠点は、実装が困難であることと、現実のデューティサイクル限界に適合させるのが容易ではないことである。その理由は、トランジスタのスイッチング時間の分散により、電圧インバータは、デューティサイクル値を制限するために不動作時間を含まなければならないことである。
【0008】
特許文献1には、自動車の電気モータに電力を供給する電圧インバータを制御するための方法が記載されている。記載されている方法は、可変であり得るチョッピング周波数の場合の、デューティサイクルの禁止範囲への制限を考慮に入れている。この方法は、空間ベクトル変調型である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの主題は、電圧インバータのトランジスタにおけるスイッチング損失を最小化しながら、同時に利用可能な電圧の良好な使用及び電流の制限を維持し、電圧インバータに不動作時間を強制することのないよう設計された制御システムである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施形態では、制御システムは、特に自動車の多相電気モータに電力を供給するための電圧インバータのために提供される。制御システムは、電気モータの各相のための電力供給電圧値を、電力供給電圧の振幅値と共に生成する手段を備える。
【0012】
更に制御システムは、デューティサイクルを決定する手段によって生成されたデューティサイクルの、電圧インバータへの送信を、電気モータの各相のための電力供給電圧値及び電力供給電圧の振幅値に応じて恊働して制御するための、相スプライシング決定手段及び相スプライシング制御手段を備える。
【0013】
ここで、「相スプライシング」とは、インバータの1つのアームにおいて、チョッピング期間に等しい期間だけスイッチングが存在しないことを意味していると理解され、従って、この期間中、アームのトップスイッチが閉状態かつアームのボトムスイッチが開状態のままである場合は、1での保持が実装され;相の電位はDCバスの高電位ポイントに固定される。これと対称的に、アームのボトムスイッチが閉状態かつアームのトップスイッチが開状態のままである場合は、0での保持が実装され;相の電位はDCバスの低電位ポイントに固定される。
【0014】
制御システムは、スイッチング損失を2/3の比率まで低減するという利点を有する。
【0015】
相スプライシング決定手段は、各々が相電圧信号を生成するよう設計された相スプライシング決定手段を備えることができ、相スプライシング決定手段は更に、ゼロではない相電圧信号の出力と等しい出力で相識別信号を生成するように設計される。
【0016】
このように、モジュール型設計により、制御システムは実装がより容易である。
【0017】
相スプライシング制御手段は、電力供給電圧の振幅値と、スプライシング許可閾値及びスプライシング不許可閾値との比較に応じて、相スプライシングを可能とするための信号を生成するよう設計してよい。
【0018】
こうして、制御システムの動作を、許可及び不許可閾値の選択によって最適化する。これら閾値は、例えばアナログ/デジタル又はデジタル/アナログコンバータの精度及び定量化等、エレクトロニクスの特性に応じて決定される。
【0019】
制御システムは、相スプライシング決定手段から及び相スプライシング制御手段から受信した信号に応じて、各相のデューティサイクルを決定する手段から受信したデューティサイクル信号の中からの信号の送信を制御するよう設計された、スイッチを備えることができる。
【0020】
各相のデューティサイクルを決定する手段は、ゼロ電位に保持する手段を少なくとも1つ備えることができ、この手段は、ある相のデューティサイクルに定数のシフトを加えることによりその相のデューティサイクルをキャンセルし、他の相のデューティサイクルを同じ定数だけシフトするよう設計される。
【0021】
各相のデューティサイクルを決定する手段は、DC電位に保持する手段を少なくとも1つ備えることができ、この手段は、ある相のデューティサイクルに定数のシフトを加えることによりその相のデューティサイクルを値1に固定し、他の相のデューティサイクルを同じ定数だけシフトするよう設計される。
【0022】
各相のデューティサイクルを決定する手段は、スカラー制御手段を少なくとも1つ備えることができ、この手段は、同じ定数を加えることにより全てのデューティサイクルをシフトするよう設計される。
【0023】
これらのシフトは、デューティサイクルそれぞれにある定数を単に加える、又はデューティサイクルそれぞれからある定数を単に減じることにより適用され、これは、3つのデューティサイクルの1つを値0に固定するか、3つのデューティサイクルの1つを値1に固定する効果を有する。デューティサイクルの値がどれも0又は1に固定されない場合、0〜1のデューティサイクルを得るために定数シフトを選択する。
【0024】
各相のデューティサイクルを決定する手段は、ゼロ電位に保持する手段及びDC電位に保持する手段を、多相電気モータの相の数と同数備えることができる。
【0025】
本発明はまた、特に自動車の多相電気モータに電力を供給するための電圧インバータを制御するための方法にも関し、この方法は、電気モータの各相の電力供給電圧値を、電力供給電圧の振幅値と共に生成するステップを含む。制御方法は、電気モータの各相のための電力供給電圧値及び電力供給電圧の振幅値に応じて生成されるデューティサイクルを決定し、相スプライシングを決定し、相スプライシングコマンドを生成して、電圧インバータへのデューティサイクルの送信を制御するステップを含む。
【0026】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、単に非限定的な例として挙げる以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、制御手段1によって制御される電圧インバータ12を示す。制御手段1は、接続2を介してセンサに接続された測定手段3を備える。測定手段3は、モータの相の電力供給電流及び相間の角度等の、モータの物理的動作パラメータを決定するよう設計される。
【0029】
測定手段3は、接続4を介して、電流を制御する手段5へとこれらの値を通信する。電流を制御する手段5は、受信した測定結果に応じて新しい電圧セットポイントを決定する。
【0030】
本文書ではこれ以降、これら電圧セットポイントを(Van、Vbn、Vcn)で示す。これらの新しいセットポイントは、モータの各相のための電力供給電圧を(Va、Vb、Vc)で示す換算値として、Mod_Vdqで示すこれらの電圧の振幅と共に含む。デューティサイクルを計算する手段8は、各相のための電力供給電圧を接続7を介して、及びこの電圧の振幅Mod_Vdqを接続6を介して、受信する。デューティサイクルを計算する手段8は、モータの各相のデューティサイクルRCa、RCb及びRCcを、接続9を介して、パルス幅変調信号を生成する手段10へ送信する。生成手段10は、受信したデューティサイクルに応じて、パルス幅変調信号をインバータへ送信する。
【0031】
インバータの出力における電圧(Vao、Vbo、Vco)は、各アーム(a、b、c)に適用されるデューティサイクル(RCa、RCb、RCc)及びインバータに供給されるDCバスの電圧Vdcへ、以下の等式:
Vao=RCa*Vdc
Vbo=RCb*Vdc
Vco=RCc*Vdc
によって関連付けられる。従って、換算値:
Va=Van/Vdc
Vb=Vbn/Vdc
Vc=Vcn/Vdc
が使用される。
【0032】
3つの信号{Va、Vb、Vc}を含む3次元ベクトルをVabcで示す。3つの信号{ RCa、RCb、RCc}を含む3次元ベクトルをRCabcで示す。
【0033】
3つの信号{Va、Vb、Vc}のベクトル和のノルムをMod_Vdqで表す。
【0034】
信号Vabc及びMod_Vdqは、電源内蔵型電気光学システム内の電流の閉ループ制御のための手段5によって送信される。電源内蔵型システムは通常、電気モータ又は静止形コンバータであってよい。信号RCabcは、デューティサイクルをパワーブリッジの6つのスイッチのそれぞれを対称とする論理信号に変換することにより、電圧インバータのパワーブリッジを駆動する役割を果たす、電子モジュール10に送信される。
【0035】
図2は、制御システム13及びフィルタリングモジュール15等のデューティサイクルを計算する手段8の主要素を示す。制御システム13は、その入力において接続7及び6に接続され、その出力において、接続14を介してフィルタリングモジュール15に接続される。フィルタリングモジュール15は、その出力において接続9に接続される。
【0036】
フィルタリングモジュール15により、不動作時間及びスイッチング時間による歪みを考慮することができる。フィルタリングモジュール15は、デューティサイクルの値がゼロ及び1に近づくのを妨げる。この目的のためにパラメータα
minが定義され、これは最小デューティサイクルを定義し、また対称的に最大デューティサイクル(1−α
min)を定義する。パラメータα
minは、除去されたデューティサイクル(0〜α
min)に対応する期間が、電圧インバータのトランジスタのスイッチング時間に等しくなるように固定される。例えば、20kHzのチョッピング周波数に関して、MOSトランジスタは3μsのスイッチング時間を示す。そして、パラメータα
min=0.1はトランジスタのON信号の最小幅3.5μsに対応する。0〜0.1の範囲のデューティサイクルを排除することにより、スイッチング時間による歪みは除去される。
【0037】
図3は、電圧インバータのための制御システムの主要素を示す。これら主要素のうち、デジタルフィルタリング手段17により、入力において受信される信号Vabcに存在し得るノイズを抑制することができる。これは特に、500Hzの通過帯域を有する2次ローパスフィルタとすることができる。
【0038】
相スプライシング決定手段19は、接続18を介してデジタルフィルタリング手段17に接続される。相スプライシング決定手段19により、デジタルフィルタリング手段17から受信した、フィルタリングされた信号に応じて、相信号を生成することができる。相信号は、1〜6で変動する不連続な整数値に限定される。相スプライシング決定手段19については、
図4及び5の説明においてより十分に説明する。
【0039】
相スプライシング制御手段21は、相のスプライシングの許可又は不許可を実装する。相スプライシング制御手段21については、
図6の説明においてより詳細に説明する。
【0040】
第1のスイッチ25は、その第1の入力により、接続20を介して相スプライシング決定手段19に接続されており、その第2の入力により、接続24を介して値ゼロを含むメモリ23に接続されている。第1のスイッチ25は、相スプライシング制御手段21から受信した信号が1に等しい場合、その出力において、相スプライシング決定手段19から受信した値を生み出す。そうでない場合、第1のスイッチはその出力において、メモリ23が含む値ゼロを生み出す。従って、第1のスイッチ25の出力における信号は、ゼロ〜6の範囲の整数値を取る。
【0041】
制御システムは、デューティサイクルを決定する手段(28、31、34、37、40、43、46)を備え、これにより、様々な場合においてデューティサイクルを計算することができる。ある場合は、ゼロスカラーコマンドに対応する。他の場合は、相信号が取る様々な値に関する相スプライシングに対応する。これらの様々な手段については、これ以降で、
図8、9及び10の説明において説明する。
【0042】
デューティサイクルを決定する手段(28、31、34、37、40、43、46)はそれぞれ、接続(29、32、35、38、41、44、47)を介して第2のスイッチ48に接続される。第2のスイッチはまたその制御入力より、接続26を介して、第1のスイッチ45に接続される。第2のスイッチ48はその出力において、接続14を介して、第1のスイッチ25から受信した信号から取った値に応じて、デューティサイクルを決定する手段(28、31、34、37、40、43、46)から受信した値の1つ又はその他を生み出す。第1のスイッチ25によって生み出された信号は、ゼロ〜6の範囲の値を取ることができる。
【0043】
図4に示す相スプライシング決定手段19により、デジタルフィルタリング手段17から受信した、フィルタリングされた値{Va、Vb、Vc}に応じて、別個の相信号を生成することができる。フィルタリングされた値{Va、Vb、Vc}を、ベクトル形式又は多重化形式で受信してよい。続いて、値Va、Vb及びVcを得るために、多重分離手段49によってスカラー値の抽出又は多重分離を実行する必要があり得る。
【0044】
値Va、Vb及びVcを相検知手段(62、70、78、86、94、102)に送信する。乗算器(54、57、60)は、分岐線(53、56、59)を介して、値Va、Vb及びVcを伝達する接続(50、51、52)にそれぞれ接続され、これにより、対向値-Va、-Vb及び-Vcを生成する。対向値-Va、-Vb及び-Vcは、接続(55、58、61)を介して相検知手段(62、70、78、86、94、102)に送信される。各相検知手段(62、70、78、86、94、102)は、その出力において、1〜6の範囲の整数又は値ゼロに対応する値を生み出す。
【0045】
各相検知手段(62、70、78、86、94、102)は、その出力において、スイッチ(116、114、112、110、108、106)に接続される。スイッチは第1の入力、第2の入力、及び、これら2つの入力のうちいずれを出力に接続するかを選択することができる制御入力を備える。
【0046】
相検知手段(62、70、78、86、94、102)は、その出力により、対応するスイッチ(106、108、110、112、114、116)の第1の入力及び制御入力に接続される。スイッチの第2の入力は、先行するスイッチの出力に接続される。スイッチの出力は、後続のスイッチの第2の入力に接続される。
【0047】
n番目のスイッチは、その第2の入力によって(n-1)番目のスイッチに接続され、その出力によって(n+1)番目のスイッチに接続される。第3のスイッチ106の第2の入力は、接続105を介して、値ゼロを含むメモリ104に接続される。第8のスイッチ116の出力は、相スプライシング決定手段19の出力20に接続される。
【0048】
よって、第3のスイッチ106はその出力において、相検知手段102から受信した値がゼロでない場合は受信した値を生み出し、それ以外の場合はメモリ104が含む値ゼロを生み出す。
【0049】
第4のスイッチ108はその出力において、相検知手段94から受信した値がゼロでない場合は受信した値を生み出し、それ以外の場合は第3のスイッチ106から受信した値ゼロを生み出す。第5のスイッチ110、第6のスイッチ112、第7のスイッチ114及び第8のスイッチ116は、第4のスイッチ108と同様の挙動を示す。
【0050】
図5は、各相検知手段(62、70、78、86、94、102)に共通する構造を示す。相検知手段はその入力において値Va、Vb及びVc並びに対向値-Va、-Vb及び-Vcを受信し、その出力において相値を生み出す。
【0051】
相検知手段は第1の比較器117を備え、この第1の比較器117は、その入力において、入力で受信した値のうち5つを受信し、その出力において、入力で受信した値のうち最大値を生み出す。第1の比較器117の出力は、接続118を介して、第2の比較器119の入力に接続され、この第2の比較器119は、相検知手段の入力において受信された第6の値を更に受信する。第2の比較器119はその出力において、第6の値が第1の比較器117から来る値より大きい場合は1に等しい値を生み出し、それ以外の場合はゼロ値を生み出す。第2の比較器119から来る値は、接続120を介して乗算器121が受信する。乗算器121の出力は相検知手段の出力63に対応する。
【0052】
第1の相検知手段62は、第6の値として値Vaを受信し、乗算器121による信号の処理の間に1に等しい利得を印加する。
【0053】
第2の相検知手段70は、第6の値として値Vbを受信し、乗算器121による信号の処理の間に2に等しい利得を印加する。
【0054】
第3の相検知手段78は、第6の値として値Vcを受信し、乗算器121による信号の処理の間に3に等しい利得を印加する。
【0055】
第4の相検知手段86は、第6の値として値-Vaを受信し、乗算器121による信号の処理の間に4に等しい利得を印加する。
【0056】
第5の相検知手段94は、第6の値として値-Vbを受信し、乗算器121による信号の処理の間に5に等しい利得を印加する。
【0057】
第6の相検知手段102は、第6の値として値-Vcを受信し、乗算器121による信号の処理の間に6に等しい利得を印加する。
【0058】
このように、各相検知手段(62、70、78、86、94、102)が生み出す値は、1〜6の範囲の整数に対応することがわかる。これらの値は、
図4を参照して上述した一連のスイッチによって処理される。各比較器内において、第1の入力の値がゼロでない場合、第1の入力は出力に接続され、それ以外の場合は第2の入力が出力に接続される。一連のスイッチの出力に対応する相スプライシング決定手段19の出力において生み出される相値は、導入部で説明したように、ゼロ〜6の範囲の整数値を取ることができる。
【0059】
図6に示す相スプライシング制御手段21はその入力において、3つの信号{Va、Vb、Vc}の振幅に対応する信号Mod_Vdqを受信する。相スプライシング制御手段21はその出力において、値ゼロ又は1に等しい値を取ることができる論理値Act_Colを生み出す。
【0060】
相スプライシング制御手段21に含まれる第3の比較器122は、入力において接続6を介して受信した値Mod_Vdqが、第1のメモリ123に含まれ、かつ接続124を介して受信されるスプライシング許可閾値の値より大きいか、又はこれに等しいかを決定する。
【0061】
相スプライシング制御手段21が含む第4の比較器127は、その入力において接続6の分岐線126を介して受信した値Mod_Vdqが、第2のメモリ128が含みかつ接続129を介して受信されるスプライシング不許可閾値の値より厳密に小さいかどうかを決定する。
【0062】
スプライシング許可及びスプライシング不許可のための値は、振幅Mod_Vdqに応じて選択される。例えば、スプライシング許可のための値として値0.25を選択することができ、スプライシング不許可のための値として値0.15を選択することができる。
【0063】
S−Rフリップフロップ131はその入力S(Setの略)において、接続125を介して、第3の比較器122の出力において生み出された値を受信する。S-Rフリップフロップ131はその入力R(Resetの略)において、接続130を介して、第4の比較器127の出力において生み出された値を受信する。
【0064】
S-Rフリップフロップ131は出力Q及び出力!Qを備える。出力Qは、相スプライシング制御手段21の出力22に接続される。出力!Qは、接続132を介して終端器133に接続される。出力Qによって生み出される信号は、入力S及びRで受信した値に応じて、値ゼロ又は1に等しい値を取ることができる。出力Qは、上述の値Act_Colに対応する。
【0065】
図7は、
図3を参照して上で言及したスカラー制御手段28を示す。スカラー制御手段28はその入力において、接続27を介して値Vabcを受信し、その出力において、接続29を介して値RCabcを生み出す。値Vabcは、分解手段134によって、ベクトル−スカラー変換又は多重分離により3つの値Va、Vb及びVcへと変換される。
【0066】
分解手段とは、入力において受信したベクトルを、入力において受信したベクトルより低い次元の1つ以上のベクトルに変換し、これを出力において生み出すよう設計された手段を意味するものと理解される。出力ベクトルは、出力ベクトルのサイズが1に等しい場合、スカラーとすることができる。
【0067】
第1の加算器136は、入力において接続135を介して受信した値Vaを、入力において接続138を介して受信した第3のメモリ137からの値に加算する。メモリは0.5に等しい値を含む。第1の加算器136の出力は、接続139を介して第1の飽和手段140に接続される。
【0068】
第2の加算器143は、入力において接続142を介して受信した値Vbを、入力において接続145を介して受信した第4のメモリ144からの値に加算する。メモリは0.5に等しい値を含む。第2の加算器143の出力は、接続147を介して第2の飽和手段148に接続される。
【0069】
第3の加算器151は、入力において接続150を介して受信した値Vcを、入力において接続153を介して受信した第5のメモリ152からの値に加算する。メモリは0.5に等しい値を含む。第3の加算器151の出力は、接続155を介して第3の飽和手段156に接続される。
【0070】
デューティサイクルRCaを有する第1の飽和手段140の出力、デューティサイクルRCbを有する第2の飽和手段148の出力、及びデューティサイクルRCcを有する第3の飽和手段156の出力は、接続(141、149、157)を介して再構成手段158に接続されており、この再構成手段158は、値RCa、RCb及びRCcから開始して値RCabcを生成するよう設計されている。再構成手段158は出力29に接続される。
【0071】
再構成手段とは、入力において受信した1つ以上のベクトルを、入力において受信したベクトルのサイズより大きなサイズのベクトルに変換し、これを出力において生み出すよう設計された手段を意味するものと理解される。入力ベクトルは、入力ベクトルのサイズが1に等しい場合、スカラーとすることができる。
【0072】
ここで、値RCabcは、再構成手段158によって、ベクトル−スカラー変換又は多重分離により3つの値RCa、RCb及びRCcから開始して生成される。
【0073】
図8は、
図3を参照して上述された、DC電位に保持する手段31を示す。
【0074】
DC電位に保持する手段31はその入力において、接続30を介して、値Vabcを受信し、その出力において、接続32を介して、値RCabcを生み出す。値Vabcは、分解手段160によって、ベクトル−スカラー変換又は多重分離により3つの値Va、Vb及びVcへと変換される。
【0075】
DC電位に保持する手段31が含む第4の加算器163は、その入力において接続162を介して受信した値Vbを、その入力において接続165を介して受信した、第6のメモリ164が記憶している1に等しい値に加算する。
【0076】
第5の加算器174は、その入力において接続171を介して受信した値Vcを、その入力において接続173を介して受信した、第7のメモリ172が記憶している1に等しい値に加算する。
【0077】
第1の減算器167は、その入力において接続161を介して受信した値Vaを、接続166を介して受信した、第4の加算器163から来る値から差し引く。第1の減算器167の出力は、接続168を介して第4の飽和手段169に接続される。第4の飽和手段169は、その出力において、接続170を介して、値RCbを生み出す。
【0078】
第2の減算器177はその入力において、接続161の分岐線161aを介して受信した値Vaを、接続176を介して受信した、第5の加算器174から来る値から差し引く。第2の減算器177の出力は、接続178を介して第5の飽和手段179に接続される。第5の飽和手段179はその出力において、接続180を介して、値RCcを生み出す。
【0079】
1に等しい値を含む第8のメモリ181は、接続182を介して、第6の飽和手段183に接続される。第6の飽和手段183はその出力において、接続184を介して、値RCaを生み出す。
【0080】
第4の飽和手段169、第5の飽和手段179及び第6の飽和手段183は、接続(170、180、184)を介して再構成手段185にそれぞれ接続され、この再構成手段185は、値RCa、RCb及びRCcから開始して信号RCabcを形成するよう設計されている。
【0081】
第2のDC電位に保持する手段34及び第3のDC電位に保持する手段37は、第1のDC電位に保持する手段31と同様の手段、同様の接続を備える。しかしながら、第2のDC電位に保持する手段34及び第3のDC電位に保持する手段37は、第1のDC電位に保持する手段31において接続(161、162、171)により伝達される信号Va、Vb及びVcが、第2のDC電位に保持する手段34においては信号Vb、Vc及びVaを、第3のDC電位に保持する手段37においては信号Vc、Va及びVbを伝達するという点において、第1のDC電位に保持する手段31と異なる。
【0082】
同様に、第2及び第3のDC電位に保持する手段は、第1のDC電位に保持する手段31において接続184、170、180により伝達される信号RCa、RCb及びRCcが、第2のDC電位に保持する手段34においては信号RCb、RCc及びRCaを、第3のDC電位に保持する手段37においては信号RCc、RCa及びRCbを伝達するという点において、第1のDC電位に保持する手段31と異なる。
【0083】
図9はゼロ電位に保持する手段を示す。第1のゼロ電位に保持する手段40はその入力において、接続39を介して、値Vabcを受信し、その出力において、接続41を介して、値RCabcを生み出す。値Vabcは、分解手段186によって、ベクトル−スカラー変換又は多重分離により3つの値Va、Vb及びVcへと変換される。
【0084】
第3の減算器189は、接続187から受信した値Vcを、接続188から受信した値Vaから差し引く。第3の減算器189はその出力において、接続190を介して、第7の飽和手段191に接続される。第7の飽和手段191はその出力において、接続191aを介して、値RCaを生み出す。第4の減算器194は、接続187の分岐線192から受信した値Vcを、接続193から受信した値Vbから差し引く。第4の減算器194はその出力において、接続195を介して、第8の飽和手段196に接続される。第8の飽和手段196はその出力において、接続197を介して、値RCbを生み出す。ゼロ値を含む第9のメモリ198は、接続199を介して、第9の飽和手段200に接続される。第9の飽和手段200はその出力において、接続201を介して、値RCcを生み出す。
【0085】
様々な飽和手段は、入力において受信する信号の振幅をゼロ〜1の範囲の値に制限する。これらの値が範囲を超える場合は、切り捨てる。
【0086】
第2のゼロ電位に保持する手段43及び第3のゼロ電位に保持する手段46は、第1のゼロ電位に保持する手段40と同様の手段、同様の接続を備える。しかしながら、第2のゼロ電位に保持する手段43及び第3のゼロ電位に保持する手段46は、第1のゼロ電位に保持する手段40において接続188、193、187により伝達される信号Va、Vb及びVcが、第2のゼロ電位に保持する手段43においては信号Vb、Vc及びVaを、第3のゼロ電位に保持する手段46においては信号Vc、Va及びVbを伝達するという点において、第1のゼロ電位に保持する手段40と異なる。同様に、第2のゼロ電位に保持する手段43及び第3のゼロ電位に保持する手段46は、第1のゼロ電位に保持する手段40において接続191a、197、201により伝達される信号RCa、RCb及びRCcが、第2のゼロ電位に保持する手段43においては信号RCb、RCc及びRCaを、第3のゼロ電位に保持する手段46においては信号RCc、RCa及びRCbを伝達するという点において、第1のゼロ電位に保持する手段40と異なる。
【0087】
この制御システムによって、スイッチング損失を大幅に減らすことができる。この制御システムはまた、2つの閾値を用いるだけの簡単な制御によって、相スプライシングを可能にする。最後に、この制御システムは、電圧インバータのトランジスタのスイッチング時間及び不動作時間を考慮に入れることで、電気モータに供給する、生成された電圧の歪みを制限する。
【0088】
電圧インバータを制御するための方法、即ち自動車の多層電気モータに電力を供給するための方法は、電気モータの各相のための電力供給電圧値を、電力供給電圧の振幅値と共に生成する手段を備える。
【0089】
電気モータの各相のための電力供給電圧値及び電力供給電圧の振幅値に応じて生成されるデューティサイクルが決定される。次に相スプライシングが決定され、相スプライシングを制御するステップが続く。最後に、生成されたデューティサイクルは電圧インバータに送信される。