(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入射光及び前記帰還する光に互いに垂直な偏光を与えるステップは、照明光および前記構造体から帰還する光を、照明チャネルと検出チャネルの共通部分に空間的に離れた関係で収容される共通の偏光子および共通の移相子を通して通過させるステップを備え、前記偏光子は、前記照明チャネルに沿った前記照明光の前記構造体への伝播の方向に対して前記移相子の上流に配置される、請求項1に記載の方法。
前記処理は、ベストフィットが見つかるまで測定中の前記構造体と同様の構造体からの検出光を示すデータに対応する理論データまたは参照データ間の反復比較を使用して当てはめ手順を実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
光とビアとの相互作用が変化し、且つ反射信号が変化させられるように、ビア上の異なる位置に測定点を集束するステップをさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TSV作製プロセス中に生成されるパターン特徴部のパラメータ、すなわち作製されるビアの深さおよび形状を監視するための新規の技術が本技術分野で求められる。
【0006】
TSVは、深いシリコンエッチングにより作製され、高アスペクト比を有する、シリコン内の垂直ホールをもたらす。TSVは、特定の目的のアプリケーションおよび統合方式に応じて、異なる断面を有することができ、円形、正方形、八角形、または環形状を有することができる。ビアの通常の断面サイズ(ビア直径)は1〜50μmの範囲であり、深さは最大200μmであり、最大20:1のアスペクト比をもたらす。
【0007】
信頼性が高く反復可能な統合プロセスを確実にするために、いくつかの重要なビア形状パラメータは、ビア深さ、上部直径、側壁角度、側壁波形(side wall ripple)(すなわち、TSV作製プロセスの結果としてビア壁上に現れる振動性の窪みパターン)、底部直径、および上部受口として、そのようなパラメータを監視することが必要であり、そのようなパラメータを制御する。これに関連して、ビア形状10を概略的に示す
図1が参照される。図示するように、ビアは、通常、その上部直径、底部直径、深さ、および側壁波形によって画定される(以上参照)。ビア深さは、チップ積層体内の層の最終計画厚さを超えるべきであり、その結果、ウエハを薄くした後、ビアは、チップの2つの面間の接続を形成する。側壁波形は、実質的に滑らかな側壁形状をもたらすために、できる限り低減されるべきである。「滑らかな」ビアの側壁は、ビアの最適な充填を確実にするのに必要とされる。上部および底部の直径は、通常、側壁角度を規定する。次の作製ステップにおけるTSVの被覆および充填プロセスは、十分制御された角度の側壁を必要とする。それに加えて、相互接続の良好な電導特性を確実にするために、重要な底部直径が維持されなければならない。言い換えれば、側壁傾斜は、垂直に極めて近い状態に維持されることが必要とされる。エッチングプロセスの可能な結果は、ビアの上端部の受口(上部受口)の作製である。そのような受口は、次の充填プロセスを害する可能性がある。
【0008】
対象の追加のパラメータは、ビア壁上に薄い層を形成するビア形成の後に行われる被覆プロセスまたは他のプロセスに関する。すべての場合に、これらの層の厚さを制御し、したがって、それらを測定することが業界に求められる。
【0009】
一般に、ビアの上部直径は、たとえば明視野光学結像を含むいくつかの既知の技術を使用して決定することができ、光はビア領域に垂直に入射し、鏡面反射光は検出および分析される。しかしながら、そのような垂直入射明視野結像は、TSVに通常の高アスペクト比を有するビアのビア深さに関する情報のためには使用することができない。ビア深さの決定のために提案されてきた他の一般の手法は、干渉計測法に基づいている。側壁から反射された信号は、入射光に対して鋭角であるために、上部表面およびビア底部から反射された信号よりもはるかに弱いので、ビア形状の他のパラメータの特性評価は、著しく大きい課題である。
【0010】
本発明は、暗視野光学測定の一般的な原理に基づいてビア形状の様々なパラメータを測定するための光学技術を提供する。この手法は、上部表面および平坦なビア底部から生じる寄与量を除去するか、またはその寄与量を少なくとも著しく低減する。得られる信号は、主として、好ましくは単独で側壁特性によって決定され、対象のビアパラメータを抽出するために、測定信号と適切なモデルとの比較を使用することができる。
【0011】
TSVの作製プロセスでは、ビアが、エッチングによって形成され、次いで、薄い絶縁層(「ライナ」と呼ばれる)が、ビア内部に配置される。このステップには、Cu原子の拡散を制限する別の層(「バリア」)の成長、次いで、銅の堆積プロセスを改善することを目的とする、「シード」と呼ばれる、薄い金属層の成長が続き、接触部を形成する。小さい欠陥、不均一性、およびギャップは、TSV機能を害する可能性があるので、これらすべての薄い層の特性評価は、業界の大きい関心事である。
【0012】
本発明の技術は、暗視野手法の使用に基づいており、これらの層から反射された光と、ウエハ表面から反射された光との「分離」を可能にする。測定信号と、(既知のテスト構造体で測定された)模擬信号または参照信号との比較は、ビア壁上に作製される薄い層の特性評価を可能にすることができる。
【0013】
本発明の測定技術は、孤立した構造体または同様の素子の格子のいずれかにおいて実施され得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明の1つの広範な態様によれば、ビアを有するパターン化構造体を測定する際に使用するための光学システムが提供され、本システムは、ビア形状パラメータの測定を可能にするように構成され機能し、本システムは、測定される構造体上に照明光を伝播させるための照明チャネルと、照明された構造体から帰還する光を検出ユニットに集めるための検出チャネルと、次のもの、すなわち照明チャネルと検出チャネルの両方に沿って伝播する光の少なくとも1つのパラメータへの作用、および少なくとも検出チャネルに沿った光の伝播への作用のうちの少なくとも1つを実行することによって暗視野検出モードを実施するように構成され機能する変調組立体とを備える。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、変調組立体は、照明チャネルおよび検出チャネルに沿って通過する光の少なくとも偏光に作用するように構成され機能する。変調組立体は、照明チャネルおよび検出チャネルに収容され、実質的に垂直な偏光面を有する、第1および第2の偏光子を含むことができる。別の例では、変調組立体は、照明チャネルおよび検出チャネルにそれぞれ収容され、実質的に平行な偏光面を有する、第1および第2の偏光子と、照明チャネルおよび検出チャネルに収容される共通の移相子とを含む。移相子は、検出チャネルに沿って構造体から帰還する光の伝播の方向に対して第2の偏光子の上流に配置される。さらに別の例では、変調組立体は、照明チャネルと検出チャネルの共通部分に空間的に離れた関係で収容される、共通の偏光子および共通の移相子を含む。偏光子は、照明チャネルに沿った照明光の構造体への伝播の方向に対して移相子の上流に配置される。
【0016】
加えて、または代替として、変調組立体は、照明チャネルと検出チャネルの両方を部分的にマスキングするように構成され機能することができる。そのような変調組立体は、本システムに使用される光に対して異なる光伝送の領域によって形成される単一のパターンを含むことができ、前記パターンは、システム背面焦点面またはそれに共役な面の近傍、すなわちシステム背面焦点面もしくはそれに共役な面の近く、またはシステム背面焦点面もしくはそれに共役な面における照明チャネルおよび検出チャネルと交差する平面内に配置される。本パターンは、半平面の形態であり、入射照明光の方向を制限し、これらの入射方向から鏡面反射された放射を遮断することができる。別の例では、変調組立体は、第1および第2の相補的パターンを含み、各パターンは、本システムに使用される光に対して異なる光伝送の領域によって形成され、第1および第2のパターンは、それぞれ照明チャネルおよび検出チャネルの背面焦点面における、またはそこの近くの共役面内に配置される。たとえば、照明チャネル内の第1のパターンは、2つの同心リングの形態であり、中央リングは光伝送領域を画定し、周辺リングは光遮断領域を画定し、検出チャネル内の第2のパターンは、2つの同心リングの形態であり、中央リングは光遮断領域を画定し、周辺リングは光伝送領域を画定する。
【0017】
さらに、本システムは、検出光を示すデータを受信し、ビアの少なくとも1つのパラメータを決定するために前記データを処理するように構成され機能する制御ユニットを含むことができる。
【0018】
測定は、当てはめ手順を使用して行うことができる。この手順によれば、測定中の構造体について説明する理論モデルは、理論データまたは参照データを生成するために使用され、参照データは、「ベストフィット」が見つかるまでモデルパラメータを変化させながら、測定データと反復的に比較される。「ベストフィット」モデルのパラメータは、測定パラメータに対応するものと見なされる。さらに、参照データは、既知のパラメータを含むテストサンプルを使用して生成されることもある。
【0019】
本システムは、構造体から鏡面反射された光を集めるための、追加の検出チャネルを含むことができる。
【0020】
本発明のさらに別の広範な態様によれば、1つまたは複数のビア形状パラメータを決定するために、ビアを有するパターン化構造体の光学測定に使用するための方法が提供され、本方法は、次のもの、すなわち照明チャネルおよび検出チャネルに沿って伝播する光の少なくとも1つのパラメータへの作用、ならびに少なくとも検出チャネルに沿った光の伝播への作用のうちの少なくとも1つを実行することによって、測定中のパターン化構造体に暗視野検出モードを適用するステップを含む。
【0021】
次に、本発明を理解し、実際に本発明をどのように実施することができるかを知るために、添付の図面を参照して、非限定的な例のみにより実施形態が説明され、これらの図面では、同じ参照番号が、同じもしくは同様の機能を有する素子または動作を特定するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図に例示される実施形態は、縮尺通りには意図されておらず、理解および説明を容易にするための図形態であることが留意される。
【0024】
図1は、上部直径、底部直径、深さ、および側壁波形としてそのようなパラメータを画定する、通常のビアの形状を概略的に示す。
【0025】
以上に示したように、本発明は、照明チャネルおよび検出チャネルの調節ならびに/または照明光および検出光のパラメータにおいて照明光および検出光伝播方式が異なる暗視野手法を使用して以上のパラメータを監視することによるビア形状監視技術を提供する。
【0026】
以下は、ビア形状パラメータを測定する際に使用するための本発明のシステムのいくつかの例である。理解しやすくするために、すべての例において共通である構成要素を特定するのに同じ参照番号が使用される。これらの例において示す測定システムの各々は、照明チャネルおよび検出チャネルC
1およびC
2を画定し、照明チャネルおよび/もしくは検出チャネルに沿って伝播する光の少なくとも1つのパラメータに作用し、ならびに/または少なくとも検出チャネルに沿って伝播する光の伝播に作用し、ならびに/または照明チャネルと検出チャネルとを適切に相対調節することによって、暗視野モードを実施するように構成される。これらの構成は、暗視野検出ユニットによって鏡面反射光の検出を除去するか、または鏡面反射光の検出を少なくとも著しく低減させる。
【0027】
図2、
図3、および
図4の例では、システム構成は、上部ウエハ表面に垂直に入射し、それから鏡面反射される光が、その元の偏光を維持するという点の理解に基づいている。したがって、上部表面から反射される光と、入射方向に対して傾斜角度を有する表面から反射される光とを区別することができる。
【0028】
図2は、ビア10を有するサンプルS内で測定するための暗視野反射率計として構成される暗視野光学測定システム100を示す。システム100は、照明チャネルおよび検出チャネルC
1およびC
2を画定し、照明チャネルおよび/または検出チャネルに沿って伝播する光の少なくとも1つのパラメータに作用することによって暗視野モードを実施するように構成される。システム100は、(発光装置、または外部発光体と結合する導光ユニットによって構成され得る)光源ユニット12、検出ユニット22、光方向付け装置15、および光変調組立体19を含む。この例では、システム100は、入射光チャネルおよび反射光チャネルC
1およびC
2に互いに垂直な偏光を与えるように構成される。これは、いわゆる交差偏光反射率計である。光変調組立体19は、好ましい偏光面を有する、実質的に垂直な固定平面または制御可能平面を有する偏光子14および20を含む。光方向付け装置15は、ビームスプリッタ16および焦点光学素子(対物レンズ)18を含み、照明チャネルおよび検出チャネルC
1およびC
2の共通部分において調節される。
【0029】
さらに、(有線またはワイヤレスの信号伝送を介して)検出光を示すデータを受信および分析するための検出器22の出力部に接続可能な制御ユニット24が、システム100内に提供される。制御ユニット24は、典型的には、データ入出力装置26、メモリ28、プロセッサ30、およびさらに場合によってはディスプレイ32などの機能装置を含むコンピュータシステムである。さらに、制御ユニット24は、偏光子の少なくとも1つが、その偏光面の方向を選択的に変化させるための調整可能なデバイスである場合、偏光コントローラ34を含むことができる。
【0030】
光源12から来る光L
1は、照明チャネルC
1に沿って伝播し、入射経路偏光子14によって偏光され、得られた偏光L’
1は、ビームスプリッタ16によってサンプルS上に方向付けられ、ビームスプリッタ16はこれを対物レンズ18に向けて反射させ、対物レンズ18は、サンプルS上の照明領域上に光を集束する。照明領域から反射された(帰還する)光L
2は、検出チャネルC
2に沿って伝播し、光学素子18によってビームスプリッタ16上に集束され、それによって偏光子20に伝送される。そのように偏光された光L’
2は、検出ユニット22に伝播する。
【0031】
偏光子20から現れる光L’
2において、入射光方向に垂直な表面からの反射寄与量は、完全に抑制されるのが理想である。しかしながら、ビア10の側壁から帰還する光成分などの、入射光伝播方向に対して傾斜角度を有する表面から反射された光成分は、著しい偏光変化を受ける可能性があり、その少なくとも一部は検出器22によって集束される。
【0032】
図3は、測定システム200が移相子素子(phase retarder element)を使用する点で、
図2の上述の交差偏光子暗視野設定と区別される測定システム200を示す。ここで、光変調組立体19は、実質的に平行な好ましい偏光面を有する偏光子14および20と、移相子17(phase retarder)とを含む。
【0033】
光源12からの光L
1は、偏光子14を通り、偏光L’
1は、ビームスプリッタ16によって移相子17上に反射され、移相子17はθ=45°だけ光偏光を回転させ、そのように生成された光L’’
1は、対物レンズ18によってサンプル上に集束される。帰還(反射)光L
2は、レンズユニット18によって移相子17上に集束され、その位相は、再び45°だけ回転させられ、次いで、検出経路C
2内の偏光子20を通る光L’
2をもたらし、光L’
2は、入射経路偏光子14の偏光面に平行に向く、好ましい偏光面を有する。したがって、表面から鏡面反射された光は、垂直な偏光で第2の偏光子20に到達し、完全に遮断される。ビア壁からの傾斜した反射によって回転させられた偏光を有する帰還する光の光成分は、第2の偏光子を通ることができ、得られた信号は、ビア形状に関する情報を抽出するために(既知のテスト構造体で測定された)模擬信号または参照信号と比較され得る。
【0034】
図4は、
図3のシステムと概ね同様に構成され、すなわち偏光特性を使用してウエハ表面から鏡面反射された光を除去するシステム300を示すが、ここでは、光変調組立体19は、単一の偏光子14および移相子17を含み、偏光子14は、ビームスプリッタ16と移相子17との間に配置される。そのような構成は、より低いコストおよび(たとえば、偏光子とビームスプリッタとの間の)低減されたアライメント条件で、同じ光学性能をもたらす。
【0035】
図2〜
図4の上述の例では、暗視野手法は、サンプルから帰還し、鏡面反射の方位角および仰角を有する検出経路に沿って伝播するが、照明光の光パラメータと異なる光パラメータ(すなわち、異なる偏光)を有する光の検出を使用し、したがって、ビアの側壁から帰還する光を特定する(検出する)ことを可能にする。
【0036】
他のいくつかの実施形態では、暗視野測定は、照明経路および検出経路を通る光伝播に作用することに基づいており、その結果、鏡面反射の方位角および仰角と異なる方位角および仰角を有する検出経路の一部のみが、検出ユニットに接続される。これは、いわゆるマスキングされた光経路を使用することによって達成され得る。この手法では、暗視野測定は、背面焦点面において、またはその近くで検出光経路を部分的にマスキングすること、およびサンプルの上部表面から鏡面反射されたいずれの光成分を集めることを効果的に防ぐことにより達成される。
【0037】
以上のことは、共通の光学経路(照明および検出経路)におけるマスクを使用して実施され得る。この技術によれば、マスキング素子は、入射光伝播方向に関して焦点光学素子の上流に配置され、対物レンズ上の照明領域を制限し、したがってサンプルに入射する角度範囲を制限する。同様に、そのようなマスクは、帰還する光を部分的に遮断し、検出器において受容可能な反射光線を制限する。この方法は、マスク上のすべての透明点において、(光線が反射された先の位置に対応する)共役点が不透明であることを確かめることに基づいている。
【0038】
そのような技術の例は、
図5Aおよび
図5Bに示される。
図5Aに示すように、対物レンズ18の半分が不透明にされる場合、入射光線Iは、平坦な表面Sから開口部の不透明な半分における点R内に鏡面反射され、したがって遮断される。サンプルにより変化させられた、その伝播方向を有する(すなわち、鏡面反射の伝播方向から離れた角度で伝播する)光線のみが集束され、暗視野測定を実施することができる。言い換えれば、共通の照明および検出経路内に配置されるマスクは、0次回折を遮断し、したがって暗視野検出モードを実施するように適切に設計され得る。
【0039】
図5Bは、上述のマスキング光経路方式を実施するように構成された測定システム400を示す。光源12からの光L
1は、照明経路C
1に沿ってサンプル上に方向付けられ、ビームスプリッタ16によって部分遮断マスク14上に反射され、次いで、対物レンズ18によってサンプルS上に集束される。照明されたサンプルから帰還する光は、対物レンズ18によって集められ、マスク14上に集束され、次いで、ビームスプリッタ16によって検出ユニット22に伝送される。
【0040】
暗視野測定を実施するために
図5Bのシステムに使用するのに適した光経路マスクの設計の特定の例であるが限定的でない例を示す、
図6Aおよび
図6Bが参照される。
【0041】
図6Aの例では、マスク14は、システムに使用される光に対して一方が透明で他方が不透明である2つの半部分を有し、(
図5Aに示すように)開口数の半分を遮断するように、対物レンズに対して配置されるべきである。マスクは、光線が視野の中央領域でマスクを通して漏れないことを確実にするために、対物レンズ領域の半分よりもわずかに大きい領域をカバーするように設計されるのが好ましい。
図6Aのマスクは、実施するのが容易であるが、左右の対称性を強く破壊し、望ましくない効果につながる可能性がある。たとえば、そのような対称性の破壊は、水平または垂直な方向に向く物体に対して異なる感度をもたらす可能性がある。そのような効果は、領域が3つ以上の部分、たとえば
図6Bに例示されるような6つの部分に分割されるマスクを使用することによって、ある程度まで低減され得る。ここでまた、入射経路内のどんな透明の領域もマスキング領域により帰還経路において共役されるので、表面からの鏡面反射光は、完全に除去される。マスクの中央領域は、領域中央からの明視野の寄与を防ぐために不透明にされる。
【0042】
領域が2n個(nは奇数)の楔部に分割される(その結果、透明部分と遮断部分との対向する対を有することができる)、
図6Bと同じ手法に基づく、より精密な設計を考えることができる。そのような設計は、回転対称性の点では有利であるが、作製するのがより難しい可能性があり、回折効果を避けるために、各透明部分を波長よりもはるかに広くしなければならない条件に制限される。
【0043】
概して、任意の適切な設計のマスクは、そこに入射する光に対して異なる伝送領域のパターンを示すことを理解されたい。そのようなパターンは、物理的なパターン化構造体または電子パターン(たとえばLCパネルなどの空間光変調器など)により構成され得る。
【0044】
図5Bの上記の例では、マスクは、共通の光学経路内に配置される。以上に示したように、測定システムは、許容された光経路を制御するために単一のマスクを使用するとき、回転対称性を破壊し、望ましくないアーティファクトにつながる可能性がある。あるいは、照明経路および集束経路内に相補的マスクを配置することによって、入射光学経路および反射光学経路における許容された光経路の別個のマスキングが使用され得る。これは、上述のシステム100(
図2)と概ね同様に構成された測定システム500を示す
図7に例示されるが、ここでは、照明経路および集束経路C
1およびC
2内の異なる偏光子は、背面焦点面14および20において、またはその近くで異なる照明パターンおよび集束パターン(マスク)に置き換えられる。
【0045】
図7に示すように、光源12からの光L
1は、照明マスク14を通り、マスク14の中央領域を通して伝送された光部分L’
1は、ビームスプリッタ16および対物レンズ18によってサンプルS上に方向付けられる。反射光L
2は、対物レンズ18によって集められ、ビームスプリッタ16によって集束マスク20上に伝送される。マスク20の透明な周辺領域を通る光部分L’
2は、検出器22によって検出される。この実施形態では、入射光経路は、マスク14によって部分的に遮断され、領域の中央の円形の透明な領域を出る。中央の円形領域を遮断する共役マスク20が反射光経路C
2に使用され、その結果、サンプルの平坦な水平表面から鏡面反射された光は遮断され、ビアの側壁によって回折された光のみが集束される。また、明視野の寄与を避けるために、マスクは、重複部分を有するように設計される。上述の単一のマスクに基づく方法と対照的に、この手法では、円筒対称性が維持される。しかしながら、この利点は、2つの異なる素子の使用、および正確なアライメントを必要とすることによりもたらされる、実施形態のさらなる複雑性と対照をなす。
【0046】
ビアの側壁からの応答の検出によってビア形状パラメータの測定を容易にするさらに別の技術は、別個の照明経路および集束経路に基づく暗視野測定を使用する。この手法では、暗視野測定は、ある方向のサンプルを照明し、表面から鏡面反射された光を集めない方向に検出器を配置することによって実施される。この手法の可能な改善点は、照明検出方向を走査することによって、ビア形状に関するより多くの情報を取得することである。
【0047】
本実施形態の1つの可能な例によれば、1つの傾斜チャネルおよび1つの垂直チャネルが使用され得る。ここで、照明は、ビアに垂直方向に入射し、別の検出器が傾斜角度で配置されるか、またはその逆も同様である。入射光の配向と集束光の配向とが別である、暗視野設定の3つの例をそれぞれ示す
図8A〜
図8Cが参照される。
【0048】
図8Aに示すように、光源12から来る光L
1は、ウエハ表面Sに垂直に入射し、検出ユニット22によって検出される光L
2は、傾斜角度で集束される。この構成は、逆にすることができ、その結果、光は、傾斜角度で入射し、表面に垂直に集束される。このように、ビアによって回折された光のみが、検出器によって集束され得る。この設計は、他の多くの用途に共通する垂直チャネルが明視野測定に使用され得るという利点を有する。
【0049】
別の例によれば、2つの傾斜チャネルが使用される。高アスペクト比のビアでは、表面に対して角度αで入射する光は、すべての方位角に散乱されるが、大部分は同じ角度αに散乱される。この挙動は、光が入射し、表面に対して同じ角度αであるが異なる方位角で集束され、その結果、表面から鏡面反射された光が集束されない、暗視野測定を使用するのに都合が良い。
図8Bは、そのような手法を示す。
図8Bの構成は、
図8Aの例と比較するとき、はるかに強い信号をもたらす。
【0050】
さらに別の例によれば、単一の傾斜照明集束経路が使用され得る。
図8Cに示すように、光は、ビアに傾斜角度で入射し、同じ方向で集束される。この場合、照明および集束に同じ傾斜経路が使用され、実施形態を簡略化する可能性がある。
【0051】
本発明の測定技術は、標準的な明視野反射率測定法と併せて使用され得る。これは、
図8Aに例示され、明視野チャネルC
3は、ビームスプリッタ16、場合によっては集束光学素子(図示せず)、および検出ユニット40を含む点線によって示される。サンプルから鏡面反射され、垂直入射の場合に照明経路と実質的に一致する経路に沿って伝播する光は、ビームスプリッタ16によって検出器40へ反射される。制御ユニット24は、暗視野モードと明視野モードとの間で選択的に切り替わるように構成され得る。
【0052】
本発明の「暗視野」および明視野複合システムは、
図8Aのこの特定の例に限定されないことが理解されるべきであり、上述の暗視野システムのいずれも、明視野チャネルも含むように簡単に変更されうることが当業者には明らかであろう。
【0053】
明視野チャネルと暗視野チャネルの両方を使用するそのような複合システムでは、明視野チャネルを使用して、(ビアホールを含まない)上部表面のみから反射率測定法信号(スペクトル)を取得するために、標準的な反射率測定法が使用され得る。この測定された反射率測定法信号は、調べられる構造体内のいくつかの構成要素の特有の寸法、たとえばパターン化プロセスに使用されるマスキング層の厚さを取得するために分析され得る。次いで、暗視野反射率測定法測定が(上述の技術のいずれかを使用して)行われる。暗視野データの分析は、標準的な明視野測定から取得されたパラメータ値の注入から利益を得る可能性があり、より正確な形状測定をもたらす。あるいは、明視野測定と暗視野測定との両方からのデータは、これらの測定のいずれかによって別個に取得することができない被測定構造体の幾何学的特性を推定するために同時に分析され得る。
【0054】
さらに、上述のように、偏光およびマスキングならびに/または他の技術を使用する、ウエハ表面から鏡面反射された光を除去することに基づく複合システムが使用され得ることを理解されたい。
【0055】
さらに、本発明の技術によって取得された測定値は、本システムの開口数に依存することに留意されたい。高アスペクト比の構造体では、入射の方向と反射する放射の方向との間の強い感度が予測される。調べられる構造体の幾何形状に関する追加の情報は、システムの開口数(NA)を変更し、いくつかのNA構成で検出信号に対する効果を測定することによって取得することができ、たとえば、NA、入射角度などの全体にわたる走査により得ることができる。
【0056】
同じ測定手法を使用するときでも、単一のビアからのいくつかの異なる暗視野信号を取得することができる。たとえば、(たとえば、ビアの中央上ではなく)ビア上の異なる位置に測定点を集束することによって、光とビアとの相互作用は変化し、反射信号は変化させられる。次いで、この追加情報は、形状特性評価の精度を改善するために使用され得る。円筒対称でないビアでは、さらに、測定システムに対するビアの回転は、反射信号を変化させ、それにより、ビア形状に関する追加情報をもたらす。この場合、暗視野測定は、ビアのいくつかの回転および並進運動に関して行われ、ビア形状に依存する複数のデータセットをもたらすことができる。
【0057】
上述の方法のほとんどは、(たとえば、偏光、NAに適用されるマスク、または入射/集束光の方向によって規定される方向による)回転中に変化する測定点を自体で作り出す設定を実施する。これらすべての場合に、ビア中央以外の位置において測定し、回転対称性を破壊する構成要素を回転させることによって、ビアからの複数の暗視野測定値を取得することができる。たとえば、交差偏光子の設定を使用するとき、ビア中央からシフトさせた位置に光学システムを集中させ、(常に第1の偏光子に垂直な第2の偏光子の方向を保持しながら)入射偏光の異なる方向に関する暗視野信号を測定することができる。あるいは、マスキングされた光経路を使用するとき、マスクを回転させることができる。円筒対称でないビアを測定するとき、ビア中央で測定するときでも、このように異なる暗視野信号を取得することができる。
【0058】
さらに、本発明のシステムは、上述の例の任意の組合せを同時に使用するように構成され得ることに留意されたい。以上の方法の2つが併せて使用される測定方式を使用することができる。たとえば、マスキングされた光経路と共に交差偏光を使用することができる。この手法は、上部表面からの反射光の除去の大幅な改善、およびビアの側壁から反射された信号のより良い分離を可能にする。
【0059】
あるいは、上述の技術の2つ以上は、たとえば、いくつかの組の独立した情報を取得するために、順番に使用され得る。さらに、この手法は、異なる形状のビアを特性評価するのに最も適切な測定技術の選択の柔軟性を改善することができる。
【0060】
以上に示したように、本発明の暗視野測定技術は、様々なビア形状パラメータを監視するために使用され得る。上述の暗視野技術は、ビアの反射率測定法測定の基礎として使用され得る。これらの測定では、広範なスペクトル光がビアに入射し、波長依存の反射光が測定される。各波長における反射振幅は、露出したウエハの異なる部分から反射された光の干渉特性によって決定される。
【0061】
ビア形状パラメータを推定するために、測定反射光スペクトルと、異なる形状パラメータを有するビアからの計算スペクトルの組と間で比較することができる。次いで、測定にベストフィットする計算スペクトルを生成するビア形状が特定され得る。基本的にすべての測定光がビア壁からの反射光から生じるので、暗視野測定は、形状パラメータに対する測定スペクトルの高い感度をもたらす。
【0062】
反射スペクトルの計算は、複数の分析的手法および数値的手法を使用して達成され得る。簡単なビア構造体では、マックスウェル方程式を分析的に解くことができ、その結果、反射される領域は、入射領域が与えられれば、直接推定され得る。より複雑なビア構造体を考えるとき、様々な数値的方法が使用され得る。比較的簡単な手法は、モデル化された構造体が測定システムに使用される光の波長と比較して大きい限り正確である、光線追跡(幾何学的)近似法である。この仮定が有効でないとき、より正確な数値的方法が必要とされる。一般に使用される方法は、有限差分時間領域(FDTD)計算などの有限要素手法、T行列または多重極展開などの、形状のいくつかの基底セットの総和としての散乱オブジェクトの展開、固有値分解、およびさらに多くのものである。
【0063】
(
図2の設定と同様の)交差偏光子設定において、半径5μm、深さ60μm、底部曲率6μm、および底部半径の変化する値を有する円形ビアから反射されたスペクトルに関する光線追跡計算を例示する
図9が参照される。光線追跡モデルを使用して計算が行われた。ここで、4.4μm、4.5μm、4.6μm、4.7μm、および4.8μmの異なる底部半径に関する計算反射スペクトルにそれぞれ対応する5つのグラフG
1〜G
5が示される。底部半径の100nmの変化が、予測スペクトルの大幅な変化につながり、この形状パラメータに対する測定スペクトルの良好な感度をもたらすことを発明者は見出した。
【0064】
半分マスキングされた光経路(
図5Aのマスク設計による
図5B)に関する同様の計算は、半径5μm、深さ60μm、底部曲率6μm、および変化する底部半径を有する円形ビアに関して
図10に示される。同様に、測定スペクトルが底部ビア半径に依存することに対して、著しい感度が予測され、このパラメータを推定する際、この方法が同様に有効であることを示す。
【0065】
したがって、本発明は、パターン化構造体内のビア形状パラメータを測定するための効果的で簡単な技術をもたらす。本発明は、必要な場合、追加の明視野検出モードと組み合わせて使用され得る暗視野検出モードを使用する。暗視野モードは、照明光もしくは検出光の両方の1つまたは複数のパラメータ/条件に作用し、および/または少なくとも検出チャネルに沿って伝播する光の伝播経路に作用し、および/または照明チャネルと検出チャネルとを適切に相対調節することによって実施され、すべては、暗視野検出ユニットによって鏡面反射光の検出を除去するか、または鏡面反射光の検出を少なくとも著しく低減させることを目的とする。
【0066】
添付の特許請求の範囲において、および添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を上述の発明の実施形態に付与することができることを当業者は容易に理解するであろう。