【実施例1】
【0016】
以下、本発明の送電線リレー盤リカバリー装置の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の送電線リレー盤リカバリー装置は、以下に示す点を特徴とする。
(1)送電線リレー盤の各CPU1
1〜1
nから各メモリ2
1〜2
nにエラーコードが新たに格納されたか否かを常時監視して、本来のエラーコード以外の無意味なエラーコードがメモリ2
1〜2
nに新たに格納されると、送電線リレー盤を一度だけ再起動させる。なお、この再起動は、通常は電気設備の技術基準を満たすために1秒以内に行うが、送電線に他の送電線リレー盤により二重に保護が掛けられている場合には2秒後に行う。
(2)送電線リレー盤を再起動することにより本来のエラーコードおよび無意味なエラーコードのいずれもが各メモリ2
1〜2
nに新たに格納されない場合には、「送電線リレー盤は正常に復帰した」と判定して、リカバリー復帰情報を遠隔監視制御盤に送信してリカバリー復帰を表示させる。
一方、送電線リレー盤を再起動させても無意味なエラーコードがメモリ2
1〜2
nに新たに格納されると、「突発的装置故障が発生している」と判定して、送電線リレー盤を不使用にするとともに突発的装置故障発生情報を遠隔監視制御盤に送信して突発的装置故障発生を表示させる。
(3)電源装置4を送電線リレー盤リカバリー装置にも給電することにより、電源装置4の故障によって送電線リレー盤が停止した場合には動作しないようにする。
なお、この場合には、電源装置4の故障が発生したことを示す電源装置故障発生情報が従来の送電線リレー盤と同様にして遠隔監視制御盤に送信されるため、送電線リレー盤の再起動を行わせることなく作業員を即座に変電所に出動させることができる。
【0017】
以下、本発明の一実施例による送電線リレー盤リカバリー装置10(以下、「リカバリー装置10」と称する。)について、
図1(a),(b)を参照して説明する。
本実施例によるリカバリー装置10は、デジタルリレーユニットに内蔵され、
図1(a)に示すように、システムバス3を介してマルチCPUに接続されており、制御線を介して電源装置4の電源スイッチ5に接続されているとともに、電源線を介して電源装置4に接続されている。
【0018】
ここで、電源装置4には、DC100Vが外部から電源スイッチ5を介して供給されている。
電源スイッチ5は、後述する電源装置制御部14から入力される電源スイッチ制御信号S
SWによってオン/オフ制御される。
【0019】
リカバリー装置10は、
図1(b)に示すように、不揮発性メモリを内蔵するエラーコード監視部11と、エラーコード比較部12と、本来のエラーコードが格納されたエラーコードメモリ13と、電源装置制御部14と、タイマ15とを具備する。
【0020】
エラーコード監視部11は、各CPU1
1〜1
nから各メモリ2
1〜2
nにエラーコードが新たに格納されたか否かを常時監視し、エラーコードが各メモリ2
1〜2
nのいずれかに新たに格納されると、このエラーコードをそのメモリ2
1〜2
nから読み出してエラーコード比較部12に出力する。
【0021】
エラーコード比較部12は、ヒューマン・インターフェースなどを介して外部から入力されるモード設定信号S
S(通常モード動作(送電線に他の送電線リレー盤により二重に保護が掛けられていないときの動作)および二重保護モード動作(送電線に他の送電線リレー盤により二重に保護が掛けられているときの動作)のいずれかを設定する信号)に応じて、通常モード動作および二重保護モード動作のいずれかを行う。
エラーコード比較部12は、エラーコード監視部11からエラーコードが入力されると、入力されたエラーコードとエラーコードメモリ13に格納された本来のエラーコードとを比較する。
その結果、入力されたエラーコードが本来のエラーコードのいずれにも一致しないと、エラーコード比較部12は、通常モード動作に設定されている場合には、1秒以内の再起動を指示する1秒以内再起動指示信号をエラーコード監視部11および電源装置制御部14に出力し、一方、二重保護モード動作に設定されている場合には、2秒後の再起動を指示する2秒後再起動指示信号をエラーコード監視部11および電源装置制御部14に出力する。
【0022】
電源装置制御部14は、1秒以内再起動指示信号がエラーコード比較部12から入力されると、1秒以内に電源スイッチ5を切ったのちに入れるように制御するスイッチ制御信号S
SWを電源スイッチ5に出力する。
これにより、送電線に他の送電線リレー盤により二重に保護が掛けられていない場合には、送電線リレー盤が1秒以内に再起動される。
【0023】
一方、電源装置制御部14は、2秒後再起動指示信号がエラーコード比較部12から入力されると、タイマ起動信号をタイマ15に出力する。
タイマ15は、タイマ起動信号が電源装置制御部14から入力されると、動作を開始したのち、2秒経過後に2秒経過信号を電源装置制御部14に出力する。
電源装置制御部14は、2秒経過信号がタイマ15から入力されると、電源スイッチ5を切ったのちに入れるように制御するスイッチ制御信号S
SWを電源スイッチ5に出力する。
これにより、送電線に他の送電線リレー盤により二重に保護が掛けられている場合には、送電線リレー盤が2秒後に再起動される。
【0024】
エラーコード監視部11は、1秒以内再起動指示信号または2秒後再起動指示信号がエラーコード比較部12から入力されると、再起動実施データを内蔵の不揮発性メモリに格納するとともに、送電線リレー盤を不使用にさせたり装置故障情報を遠隔監視制御盤に送信したりしないように指示するCPU指示信号S
CPUを各CPU1
1〜1
nに出力する。
これにより、従来の送電線リレー盤のように自己診断結果が装置故障発生となった場合に送電線リレー盤を不使用にするとともに装置故障情報を遠隔監視制御盤に送信して装置故障発生を表示させることを一旦止めさせることができる。
【0025】
その後、送電線リレー盤が再起動されると、エラーコード監視部11は、内蔵の不揮発性メモリに再起動実施データが格納されているか否かを調べ、再起動実施データが格納されていると、再起動してもエラーコードが各メモリ2
1〜2
nのいずれかに新たに格納されるか否かを監視する。
【0026】
その結果、エラーコードが新たに格納されないと、エラーコード監視部11は、「送電線リレー盤は正常に復帰した」と判定して、リカバリー復帰情報を伝送部6および通信装置を介して遠隔監視制御盤に送信して装置リカバリー復帰を表示させる。
【0027】
一方、再起動してもエラーコードが各メモリ2
1〜2
nのいずれかに新たに格納されると、エラーコード監視部11は、新たに格納されたエラーコード(以下、「新たなエラーコード」と称する。)をそのメモリ2
1〜2
nから読み出してエラーコード比較部12に出力する。
【0028】
エラーコード比較部12は、エラーコード監視部11から新たなエラーコードが入力されると、新たなエラーコードとエラーコードメモリ13に格納された本来のエラーコードとを比較する。
【0029】
その結果、新たなエラーコードが本来のエラーコードのいずれにも一致しないと、無意味なエラーコードの再発生を示すエラーコード比較結果信号をエラーコード監視部11に出力し、一方、入力されたエラーコードが本来のエラーコードのいずれかに一致すると、本来のエラーコードの発生を示すエラーコード比較結果信号をエラーコード監視部11に出力する。
【0030】
エラーコード監視部11は、無意味なエラーコードの再発生を示すエラーコード比較結果信号がエラーコード比較部12から入力されると、「突発的装置故障が発生している」と判定して、送電線リレー盤を不使用にさせるように指示するCPU指示信号S
CPUを各CPU1
1〜1
nに出力するとともに、突発的装置故障発生を示す突発的装置故障発生信号S
INFOを伝送部6および通信装置を介して遠隔監視制御盤に送信して突発的装置故障発生を表示させる。
【0031】
一方、本来のエラーコードの発生を示すエラーコード比較結果信号がエラーコード比較部12から入力されると、エラーコード監視部11は、送電線リレー盤を不使用にさせるとともに装置故障情報を遠隔監視制御盤に送信するように指示するCPU指示信号S
CPUを各CPU1
1〜1
nに出力する。
【0032】
以上の説明では、デジタルリレーユニットはマルチCPUを備えたが、デジタルリレーユニットがCPUおよびメモリを1個ずつ備えた送電線リレー盤についてもリカバリー装置10を内蔵させることにより同様の効果を得ることができる。