(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピンを該ピンの径方向に沿って抜き取り可能に収容するピン収容凹部を備えたピン保持部と、前記ピンに嵌合する留め具を、前記ピンの抜き取り方向と同方向に沿い、且つ前記留め具の径方向に沿って抜き取り可能に収容する留め具収容凹部を備えた留め具保持部とを、相互に前記留め具が前記ピンに嵌合する方向に接近可能に連結したピアス用穿孔器であって、
前記ピン保持部と前記留め具保持部とにわたり、前記ピンの前記留め具への嵌合時に、相互に連結することで、前記ピン保持部と前記留め具保持部との離間を阻止するように設けられた連結部を、少なくとも具備し、
前記ピン収容凹部は、前記ピンの軸方向、且つ前記留め具側に向かって開口されたピン軸側開口部と、前記ピン軸側開口部と連続するように、前記ピンの抜き取り方向に開口されると共に、前記ピンが前記ピン軸側開口部から突出する長さに開口されたピン径側開口部とを備え、
前記留め具収容凹部は、前記ピン軸側開口部と対向するように開口されると共に、前記留め具の抜き取り方向、及び留め具の軸方向と交差する方向の幅を、前記留め具の径未満として開口された留め具軸側開口部と、前記留め具軸側開口部と連続するように、前記留め具の抜き取り方向と同方向に開口されると共に、前記留め具軸側開口部の前記幅よりも幅広に開口された留め具径側開口部とを備え、
前記連結部は、前記ピン保持部又は前記留め具保持部の一方に設けられた連結体と、前記ピン保持部又は前記留め具保持部の他方に設けられ、前記連結体が連結される被連結体を備えていることを特徴とするピアス用穿孔器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術によるピアス用穿孔器は、ピアス孔の穿孔精度が良く、安全性が高いものである。
【0005】
特許文献1に記載の従来技術は、二つのカバー体が付勢力によって互いに離間する方向に付勢されており、穿孔後には、二つのカバー体が付勢力によって元の位置に復帰するものであるため、ピンと留め具の装着後には、新たなピンと留め具をカバー体に取り付けることで、使用後のピアス用穿孔器を再度使用することが可能なものである。
【0006】
しかしながら、使用後のピアス用穿孔器を再度使用することは、衛生上、好ましくない。すなわち、ピアス用穿孔器においては、滅菌された状態でユーザーに提供されるものであり、使用後のピアス用穿孔器を衛生上問題が生じないように滅菌して再使用するには、EOGガス滅菌設備等の高価な設備が必要となる。
【0007】
しかしながら、このような高価な設備を個人ユーザーが用意するのは不可能であり、個人ユーザーによるアルコールの清拭や煮沸消毒程度で再使用した場合には、重大な身体危害が懸念される。
【0008】
その上、ピアス用穿孔器は、本来であれば、使い捨てとなるものであるので、何度も繰り返し使用できるような強度や構造を有するものではなく、再使用によって、穿孔中に思わぬ事故が発生するおそれがある。
【0009】
そのため、製造者側や販売側では、取り扱い説明書等で、再使用による衛生面や破損等の危険性を記載し、再使用が不可であることを十分に知らしめているが、個人ユーザーによるピアス用穿孔器の再使用が行われている可能性があるため、ピアス用穿孔器の個人ユーザーによる再使用できない構造が望まれている。
【0010】
また、特許文献1に記載の従来技術では、カバー体にピンを保持する構造が、ピンを挟持する挟持具をカバー体に設けられた収容室に収容保持する構造であり、カバー体の互いに近づく方向のスライドでピンが留め具に嵌合され、カバー体の付勢力による互いに離間する方向のスライドで、挟持具が収容室から抜き取られるようにされている。
【0011】
抜き取られた挟持具は、半割りされてピンから脱落し、互いに嵌合されたピンと留め具のみが身体組織に残るようにされている。
【0012】
挟持具は、ピンと留め具の嵌合後に、カバー体の互いに離間する方向のスライドで、収容室からスムースに抜き取りできることが要求され、且つ挟持具が収容室に収容保持されている状態で、挟持具が収容室から抜け落ちないように保持できることが要求される。
【0013】
前述の挟持具のスムースな抜き取りを達成するには、挟持具と収容室との隙間を大きくすれば、挟持具と収容室との接触抵抗が小さくなってスムースに抜き取ることができるが、収容室による挟持具の収容保持の確実性が低下してしまうという問題が生じる。
【0014】
逆に、挟持具と収容室との隙間を小さくして接触抵抗を大きくすることで、収容室による挟持具の収容保持の確実性を高めることができるが、大きい接触抵抗によって挟持具がスムースに抜き取ることができなくなるという問題が生じる。
【0015】
そのため、挟持具のスムースな抜き取りと確実な挟持具の収容保持とを両立させることができるような隙間が生じるように、挟持具と収容室とを設計している。
【0016】
一般にピアス用穿孔器は、熱硬化性樹脂材が用いられ、この熱硬化性樹脂材を成形型によって成型されており、この成型時において成形型を加熱して成形し、硬化後に脱型する。
【0017】
この脱型直後の成型品は高温であり、脱型後に徐々に冷やされることで成型品が収縮するため、使用する熱硬化性樹脂材の収縮率を考慮して設計された成形型を用いて、同一の熱硬化性樹脂材を使用し、且つ成型温度や成形時間を同一として成型するようにしている。
【0018】
しかしながら、設計上、挟持具のスムースな抜き取りと確実な挟持具の収容保持とを両立させることができるものであっても、挟持具、及び収容室を有するカバー体の脱型後において、収縮誤差や冷却時の気温等で成型品の収縮量が異なることがあり、これによって、挟持具と収容室とに成型誤差が生じ、挟持具のスムースな抜き取りができない、或いは確実な挟持具の収容保持ができないという問題が生じる。
【0019】
すなわち、挟持具のスムースな抜き取りができない、或いは確実な挟持具の収容保持ができないということによって、穿孔動作が不安定になってしまうという問題が生じていた。
【0020】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ピアス孔の穿孔後の再使用をできなくすることができると共に、ユーザーに対する衛生面を含む安全性を確保できること、安定した穿孔動作ができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このような目的を達成するために、本発明によるピアス用穿孔器は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0022】
ピンを該ピンの径方向に沿って抜き取り可能に収容するピン収容凹部を備えたピン保持部と、前記ピンに嵌合する留め具を、前記ピンの抜き取り方向と同方向に沿い、且つ前記留め具の径方向に沿って抜き取り可能に収容する留め具収容凹部を備えた留め具保持部とを、相互に前記留め具が前記ピンに嵌合する方向に接近可能に連結したピアス用穿孔器であって、前記ピン保持部と前記留め具保持部とにわたり、前記ピンの前記留め具への嵌合時に、相互に連結することで、前記ピン保持部と前記留め具保持部との離間を阻止するように設けられた連結部を、少なくとも具備し、前記ピン収容凹部は、前記ピンの軸方向、且つ前記留め具側に向かって開口されたピン軸側開口部と、前記ピン軸側開口部と連続するように、前記ピンの抜き取り方向に開口されると共に、前記ピンが前記ピン軸側開口部から突出する長さに開口されたピン径側開口部とを備え、前記留め具収容凹部は、前記ピン軸側開口部と対向するように開口されると共に、前記留め具の抜き取り方向、及び留め具の軸方向と交差する方向の幅を、前記留め具の径未満として開口された留め具軸側開口部と、前記留め具軸側開口部と連続するように、前記留め具の抜き取り方向と同方向に開口されると共に、前記留め具軸側開口部の前記幅よりも幅広に開口された留め具径側開口部とを備え、前記連結部は、前記ピン保持部又は前記留め具保持部の一方に設けられた連結体と、前記ピン保持部又は前記留め具保持部の他方に設けられ、前記連結体が連結される被連結体を備えていることを特徴とするピアス用穿孔器である。
【発明の効果】
【0023】
このような特徴を有することで本発明のピアス用穿孔器は、以下の効果を奏する。すなわち、ピアス孔の穿孔後の再使用をできなくすることができると共に、ユーザーに対する衛生面を含む安全性を確保でき、且つ安定した穿孔動作ができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のピアス用穿孔器は、前記ピン保持部と前記留め具保持部とを相互に離間する方向に付勢するように配置された付勢部を、更に備えていることが好ましい。
【0026】
また、前記ピン径側開口部を開放可能に閉鎖する蓋体を更に備え、前記蓋体は、蓋体支持部を介して前記ピン径側開口部を開放する方向に離脱するように支持され、前記蓋体支持部は、前記蓋体に形成された掛合部と、前記ピン保持部に形成され、前記掛合部を掛合解除可能に掛止した掛止部とを備え、前記掛止部に対する前記掛合部の掛止を解除することによって、前記蓋体が前記ピン径側開口部を開放する方向に離脱するようにされていることが好ましい。
【0027】
また、前記留め具保持部に、前記掛止部に対する前記掛合部の掛止を解除する掛止解除部を更に備えると共に、前記掛合部を前記掛止部に対して接近、及び離間するように移動可能とすると共に、接近状態において前記掛止部に掛止され、前記掛止解除部によって離間して、前記掛止部に対する掛止が解除されるように設け、前記掛止解除部は、前記ピン保持部と前記留め具保持部との接近動作に伴って、前記掛合部に接触すると共に、前記掛合部を、該掛合部の前記掛止部に対する掛止状態を解除する方向に動かす接触部を備えていることが好ましい。
【0028】
また、前記蓋体を前記ピン保持部に一体となるように接続する接続部を備え、前記接続部は、前記蓋体を、前記ピン径側開口部を開放する方向に回転可能に接続するようにされていることが好ましい。
【0029】
また、少なくとも、前記ピン保持部、及び前記留め具保持部、並びに前記付勢部が、一体成型された成型品から構成されていることが好ましい。
【0030】
本発明でいうピンは、ピアスの一部材を構成するものであり、身体組織に貫通する針状を呈し、尖った先端側と軸方向で反対側となる後端側に装飾体が配されたものである。
【0031】
また、本発明でいう留め具は、ピアスの他部材を構成するものであり、身体組織を貫通したピンの先端側が嵌合して、前述の装飾体と身体組織を挟むようにしてピンを身体組織に保持する環状のものである。
【0032】
以下、本発明に係る第一実施形態のピアス用穿孔器Aを
図1〜
図8に基づいて説明する。尚、以下で説明する各実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0033】
ピアス用穿孔器Aは、ピアスの一部材であるピンB1を抜き取り可能に収容するピン収容凹部10を備えたピン保持部1と、ピン収容凹部10側の端面と同一方向の端面に、ピアスの他部材である留め具B2を抜き取り可能に収容する留め具収容凹部20を備えた留め具保持部2と、ピン保持部1と留め具保持部2とをピンB1の軸方向に沿って相互に離間させるように付勢するように配置された付勢部3とを備えている。
【0034】
ピン保持部1と留め具保持部2とは、レール部Cを介して、ピンB1の軸方向に沿って相互に接近可能に連結されており、付勢部3の付勢力に抗して接近させることによって、ピンB1が留め具B2に嵌合できるようにされている。
【0035】
また、ピン保持部1と留め具保持部2とは、付勢部3の付勢力によって、離間した状態が保持されており、離間した状態において、ピンB1の先端と留め具B2との間隔が、身体組織の厚みを超える間隔となる位置で保持されている。
【0036】
また、ピン保持部1と留め具保持部2とは、ピンB1と留め具B2とが同軸となるように向かい合っており、接近させることで、ピンB1が留め具B2に嵌合するようにされている。
【0037】
尚、以下の説明では、ピン収容凹部10側、及び留め具収容凹部20側を上側、付勢部3側を下側、ピン保持部1と留め具保持部2とが接近・離間する方向(ピンB1の軸方向)、及び上下方向に対して直交する方向(水平方向)を幅方向とする。また、接近・離間する方向で対向するピン保持部1と留め具保持部2の面を対向面として、夫々に符号11、21を付す。
【0038】
ピン保持部1は、対向面11から接近・離間する方向に沿って凹設された移動用凹部1Aが設けられており、この移動用凹部1Aによって、ピン保持部1の上下に、夫々上側突出部1Bと下側突出部1Cが形成されている。
【0039】
ピン収容凹部10は、ピン保持部1における上側突出部1Bの上面13に設けられており、上側突出部1Bの先端側の対向面11に、ピンB1の軸方向に沿って開口されたピン軸側開口部10Aと、上側突出部1Bの上面13に、ピン軸側開口部10Aと連続すると共に、上方(ピン保持部1の外側)に向かい、且つピンB1がピン軸側開口部10Aから前方に突出する長さに開口されたピン径側開口部10Bとを備えており、これにより、ピン径側開口部10BからピンB1を上方に抜き取ることができるようにされている。
【0040】
ピン収容凹部10は、形態の異なるピンB1、B1’を収容できるように形成されており、ピン径側開口部10Bの中途部に、ピンB1の後端に固着された装飾体B3が収容される収容部100Aが形成され、ピン軸側開口部10Aと反対側のピン径側開口部10Bの端部にピンB1’の後端に固着され、装飾体B3と形態の異なる装飾体B3’が収容される収容部100A’が形成されている。
【0041】
尚、ピンB1は、主に耳たぶに使用するものであり、ピンB1’は、主に眉付近やへそ付近等の比較的平坦な部位に使用するものである。
【0042】
また、ピン径側開口部10Bの中途部は、ピンB1’の折り曲げ形状に対応するように下方に向かって深く形成されており、これによって、中途部を折り曲げ形成したピンB1’を収容することができるようになっている。
【0043】
すなわち、ピアス用穿孔器Aは、前述の特許文献1の従来技術のような挟持具を必要とせずに、ピン保持部1に直接設けられたピン収容凹部10によって、ピンB1、B1’を保持することができ、しかも、形態の異なる装飾体B3、B3’を有すると共に、形態の異なるピンB1、B1’の双方を保持することができるものである。
【0044】
付勢部3は、
図2〜
図6に示すように、長手側が湾曲変形する長方形、且つピン保持部1、及び留め具保持部2と幅方向で同幅とした薄板状を呈するものであり、ピン保持部1の対向面11とは反対側の面とピン保持部1の下面12との角部14と、留め具保持部2の対向面21とは反対側の面と留め具保持部2の下面22との角部24とを接離方向で繋ぐように設けられている。
【0045】
付勢部3は、接離方向の両端部の一方が角部14に、他方が角部24に、夫々一体成型により繋がれており、この両端部を除く部位が、ピン保持部1の下面12、及び留め具保持部2の下面22に対して接離するようにされている。
【0046】
この付勢部3は、ピン保持部1と留め具保持部2との離間状態では、
図2に示すように、真っ直ぐな薄板形状を呈し、ピン保持部1と留め具保持部2の間で突っ張るようにされており、これによって、離間状態を保持することができ、一方、
図5、
図6に示すように、ピン保持部1と留め具保持部2との接近動作に伴って湾曲変形することで、接近動作に対して離間する方向への付勢力をピン保持部1と留め具保持部2とに作用させることができるようになっている。
【0047】
また、付勢部3は、ピン保持部1と留め具保持部2との接近動作によって、ピン保持部1と留め具保持部2とを離間させる付勢力が生じるので、ピン保持部1と留め具保持部2との接近動作を途中で中止したときに、ピン保持部1と留め具保持部2とを離間せることができると共に、離間状態を保持することができる。
【0048】
ピン保持部1には、ピン保持部1と留め具保持部2とが離間している状態では、ピン径側開口部10Bを閉鎖し、ピン保持部1と留め具保持部2とが接近し、ピンB1、B1’が留め具B2に嵌合したときに、ピン径側開口部10Bを開放するように設けた蓋体4が備えられている。
【0049】
蓋体4は、ピン保持部1に対して、幅方向に沿う軸を中心として、ピン径側開口部10Bを開放する方向に回転可能に接続する接続部5を介して、一体となるように接続されている。
【0050】
また、蓋体4は、ピン保持部1に対して、蓋体4のピン径側開口部10Bを閉鎖する状態を保持、及び保持解除する蓋体支持部6を介して支持されている。
【0051】
また、蓋体4は、ピン径側開口部10Bを閉鎖した状態において、ピンB1、B1’をピン径側開口部10Bの開口方向から押え付けるようにされており、これによって、ピン収容凹部10に収容されたピンB1、B1’をガタツキなく保持することができ、これによって、穿孔動作の確実性を高めることができる。
【0052】
また、蓋体4は、透明材で成型されており、ピン径側開口部10Bを閉鎖した状態において、ピン径側開口部10Bから露出するピンB1、B1’、及び装飾体B3、B3’の形状や色、更にはデザイン等を、外側から視認でき、これによって、目的のピアスBを確実に選択することができると共に、ピアスBの付け間違いを防止することができる。
【0053】
尚、透明とする部位は、蓋体4のみならず、ピン保持部1、及び留め具保持部2、及び付勢部3を透明にしてもよい。
【0054】
レール部Cは、留め具保持部2の対向面21の下端側に、下側突出部1Cに向かって、ピンB1の軸と平行に突出するように一体成型された凸側レール部C1と、ピン保持部1における下側突出部1C含む下面12に一体成型によって凹設され、凸側レール部C1がスライド可能に嵌合する凹側レール部C2とを備えており、このようなレール部Cで、ピン保持部1と留め具保持部2との接近・離間動作を案内するようになっている。
【0055】
凸側レール部C1は、ピン保持部1側に突出するように形成されており、凹側レール部C2は、凸側レール部C1がスライド可能に嵌合する幅、及び長さ、且つ下側突出部1Cの先端側の対向面11から凸側レール部C1が出し入れされるように形成されている。
【0056】
留め具保持部2の上面23には、抜き取り方向の開口を上方とする留め具収容凹部20が凹設されており、留め具保持部2の対向面21に、ピンB1が貫通可能に設けられ、上方が開放された留め具軸側開口部20Aと、留め具保持部2の上面23に、留め具軸側開口部20Aと連続すると共に、上方に向かって留め具B2を上方から抜き取り可能に開口された留め具径側開口部20Bとを備えており、留め具径側開口部20Bから留め具B2を上方に抜き取ることができるようにされている。
【0057】
留め具収容凹部20は、留め具B2の軸がピンB1の軸と同軸となるように留め具B2を保持し、且つ保持状態において、留め具収容凹部20が下方を向いたときに抜け落ちず、抜き取るときには、簡単に抜き取ることができる程度の接触摩擦が生じるように、留め具B2に接触して保持するように形成されている。
【0058】
接続部5は、蓋体4の端部に一体成型された湾曲変形可能な帯状のものであり、この接続部5の先端部をピン保持部1の上面13と対向面11とは反対側の面との角部15に凹設された接続凹部16に圧入すると共に、接着等によって固定されている。
【0059】
この接続部5は、蓋体4がピン径側開口部10Bを閉鎖している状態において湾曲変形し、この湾曲変形によって蓋体を開放方向に回転させる付勢力が生じるようにされており、蓋体4が蓋体支持部6による閉鎖状態の保持が解除されたときに、付勢力によって蓋体4が開放方向に回転してピン径側開口部10Bを全開状態にするようにされている。
【0060】
ピアス用穿孔器Aは、蓋体4も、ピン保持部1、及び留め具保持部2、並びに付勢部3と共に、一つの成形型によって一体成型された一つの成型品とすることも可能である。
【0061】
蓋体支持部6は、蓋体4の幅方向の両側下端の後方側に、夫々幅方向の内側に突設された掛合部60と、上側突出部1Bの幅方向の両側下端に確保され、掛合部60が幅方向の外側から掛脱可能に掛止される掛止部61とから構成されている。
【0062】
蓋体支持部6は、掛止部61に対して掛合部60が掛合することで、蓋体4がピン収容凹部10を閉鎖する状態を保持し、掛止部61に対する掛合部60の掛止を解除することで、蓋体4がピン径側開口部10Bを開放可能な状態とするようにされている。
【0063】
掛合部60は、蓋体4の幅方向の両側下端から下方に向かって突設された変形部60Aの下端に設けられており、変形部60Aの変形前の状態において掛止部61に対する掛合が保持され、変形部60Aを外側に拡げるように変形させることで、掛止部61に対する掛合を解除されるようになっている。
【0064】
掛止部61に対する掛合部60の掛合解除は、ピン保持部1と留め具保持部2との接近に伴って移動する掛止解除部7によって行われる。
【0065】
掛止解除部7は、
図4(a)(b)に示すように、凸側レール部C1の上面C11に上方に向かって突設された支持体70の上端の幅方向両側に接触部71が設定されており、この掛止解除部7が、ピン保持部1と留め具保持部2との接近に伴って、移動用凹部1A内を移動することで、接触部71を掛合部60に接触させると共に、ピンB1が留め具B2に嵌合するまでの移動道中において、掛合部60を幅方向外側に押し拡げることによって、掛合部60を掛止部61から外すことができるようにされている。
【0066】
掛合部60は、
図4(b)に示すように、留め具保持部2側の端部が、幅方向の内側から外側へ留め具保持部2側が拡がる傾斜面60Aとして形成されており、この傾斜面60Aに接触部71が接触すると共に、接近方向に移動することで、掛合部60が幅方向外側に押し拡げられて、掛止部61から外れるようにされている。
【0067】
すなわち、蓋体4は、ピン保持部1と留め具保持部2との離間状態(穿孔動作前)では、蓋体支持部6によって、ピン径側開口部10Bの閉鎖状態が保持されており、ピン保持部1と留め具保持部2を近づける方向にスライドさせて、ピンB1、B1’が留め具B2に嵌合したとき(穿孔動作)に、蓋体支持部6による閉鎖状態の保持が解除されるようになっている。
【0068】
したがって、穿孔動作前においては、蓋体4の閉鎖状態が蓋体支持部6によって保持されているので、ピン収容凹部10に収容されたピンB1、B1’の収容状態を確実に保持することができ、これによって、穿孔動作前のピンB1、B1’のピン収容凹部10の脱落を防止することができる。
【0069】
また、穿孔動作によって、蓋体支持部6による蓋体4の閉鎖状態の保持が解除されて、ピン径側開口部10Bを開放することができると共に、留め具B2に嵌合した状態のピンB1、B1’をピン収容凹部10から抜き取ることができる。
【0070】
支持体70のピン保持部1側の面である対向面21と、上側突出部1Bの下面12とにわたって、ピン保持部1と留め具保持部2とが接近方向にスライドし、ピンB1、B1’が留め具B2に嵌合したときに、ピン保持部1と留め具保持部2の離間方向のスライドを阻止するように連結する連結部8が備えられている。
【0071】
連結部8は、
図2、
図5、
図6に示すように、上側突出部1Bの下面12に下向きに突設された連結保持体80と、支持体70の対向面21にピン保持部1側に突設された連結体81とからなり、ピンB1、B1’が留め具B2に嵌合したときに、連結保持体80と連結体81とが連結することで、ピン保持部1と留め具保持部2の離間方向のスライドを阻止するようにされている。
【0072】
連結保持体80は、上方から下方に向かって平行な掛合保持面80Aと、掛合面80の下端から上方、且つ留め具保持部2側へ向かって傾斜する傾斜面80Bとを備えている。
【0073】
連結体81は、支持体70のピン保持部1側の面に、ピン保持部1側に突設された変形体81Aと、変形体81Aの先端から上方、且つ留め具保持部2側へ向かって傾斜する傾斜面81Bと、傾斜面81Bの上端から下方、且つ変形体81Aの上面に向かって平行な掛合面81Cとを備えている。
【0074】
連結保持体80の傾斜面80Bと連結体81の傾斜面81Bとは、接離方向で正対しており、ピン保持部1と留め具保持部2の接近方向のスライドによって、連結保持体80の傾斜面80Bに連結体81の傾斜面81Bが接触すると共に、傾斜に沿って変形体81Aが下方に曲り変形し、且つ掛合面81Cが傾斜面80Bを乗り越えて、変形体81Aの曲り変形からの戻り反力で、
図6に示すように、掛合保持面80Aに対面して掛合するようにされている。
【0075】
すなわち、この連結部8は、連結体81の掛合面81Cが、連結保持体80の掛合保持面80Aに接離方向で対面するように掛合することによって、ピン保持部1と留め具保持部2との接近状態を、付勢部3の離間方向への付勢力に抗して保持することができる。
【0076】
連結部8の連結形態は、例示した掛合によるものに限らず、付勢部3の離間方向への付勢力に抗してピン保持部1と留め具保持部2との接近状態を保持できる形態であればよく、例えば、圧入による凹凸嵌合での連結形態としてもよい(図示せず)。
【0077】
移動用凹部1Aの幅方向の両側は、壁面1D、1Eによって塞がれており、連結保持体80と連結体81との連結状態を、外側から解除できないようにされている。
【0078】
壁面1D、1Eの上端と上側突出部1Bの下面との間には、掛合部60が掛止部61に対して掛脱するための空間が確保されている。
【0079】
このピアス用穿孔器Aは、
図7、
図8に示すように、プラスチック材のような熱硬化性樹脂材を用いて、ピン保持部1、及び留め具保持部2、並びに付勢部3が成形型(図示せず)によって一体成型された成型品Dであり、この成型品Dにおけるピン保持部1の凹側レール部C2に留め具保持部2の凸側レール部C1を嵌合させることによって、ピアス用穿孔器Aが構成できるようにされている。
【0080】
成型品Dは、ピン保持部1、及び留め具保持部2が、互いの対向面11、21側を上方に向けた状態であり、且つ上方を向いた状態において下端に位置する角部14、24同士が付勢部3で繋がれるように一体成型されている。
【0081】
壁面1Dは、対向面11の幅方向端部に折り曲げ可能に一体成型されており、角部14、24を折り曲げて、凸側レール部C1を凹側レール部C2に嵌合させると共に、蓋体4を閉鎖状態にした後に、壁面1Dを折り曲げて移動用凹部1Aを塞ぐようにすることで、凸側レール部C1を凹側レール部C2に嵌合させる作業、及び蓋体4を閉鎖状態にする作業(掛合部60を掛止部61に掛止する作業)を容易に行うことができる。
【0082】
壁面1Dは、ロック部10Dによって移動用凹部1Aを塞いだ状態がロックされ、壁面1Dを外側から開放できないようにされており、これによって、連結部8の連結状態を外側から外すことができないようにすることができる。
【0083】
この成型品Dにおいては、成型品Dの脱型後に、蓋体4が接続部5を介してピン保持部1に対して取り付けられるが、蓋体4、及び接続部5をピン保持部1と一体成型してもよく、このようにすることで、一つの成形型で、ピアス用穿孔器Aを構成できる成型品Dとすることができる(図示せず)。
【0084】
一般的に、熱硬化性樹脂材を用いた成型品は、成型時において成形型を加熱して行うことから、脱型直後の成型品は高温であり、脱型後に徐々に冷やされることで成型品が収縮するため、使用する熱硬化性樹脂材の収縮率を考慮して製造された成形型を用いて、同一の熱硬化性樹脂材を使用し、且つ成型温度や成形時間を同一として成型するようにしている。
【0085】
しかしながら、同一の熱硬化性樹脂材を使用しても、収縮誤差や冷却時の気温等で成型品の収縮量が異なることがあるため、複数の成型品を組み立てることで構成される特許文献1の従来技術のピアス用穿孔器では、複数のカバー体(成形品)、及び複数の成形型の管理が面倒である上に、複数の成形型を用意するための費用が嵩んでしまうということがあった。
【0086】
また、同一の熱硬化性樹脂材を使用し、且つ成型温度や成形時間を同一として成型するが、脱型後の冷却時に収縮の誤差が生じ、これによって、二つのカバー体に寸法の誤差が生じるため、組み立て後の二つのカバー体のスライドに不具合が生じ、穿孔操作が正常、且つスムースに行えなくなるということがあった。
【0087】
このような従来技術のピアス用穿孔器に対して、本実施形態のピアス用穿孔器Aは、ピン保持部1、及び留め具保持部2、並びに付勢部3が一つの成形型によって一体成型された一つの成型品Dで、ピアス用穿孔器Aの要部をなし、スムースなスライドを要求されるピン保持部1、及び留め具保持部2、並びにこれらを繋ぐと共に、離間状態を保持する付勢部3の成型誤差を極めて低く抑えることができる。
【0088】
更に、ピアス用穿孔器Aは、一つの成形型で、凹側レール部C2が一体成型されたピン保持部1と、凸側レール部C1が一体成型された留め具保持部2と、ピン保持部1と留め具保持部2との相互のスライドで湾曲変形する付勢部3とを一体成型したものであるため、ピン保持部1と留め具保持部2のスライドを案内する、凸側レール部C1と凹側レール部C2との寸法誤差が極めて少なくなる。
【0089】
すなわち、凸側レール部C1と凹側レール部C2との嵌合状態時に、ガタツキや接触摩擦が大きい部位がない、スライドがスムースに行えるように適合した状態とすることができ、これによって、嵌合によるレール部Cのスライド、及びこのスライドに伴う付勢部3の湾曲変形をスムースに行うことができる。
【0090】
このようなピアス用穿孔器Aは、ピン保持部1と留め具保持部2の間に身体組織を位置させた状態で、ピン保持部1と留め具保持部2とを相互に接近する方向にスライドさせることで、ピンB1、B1’が身体組織を貫通すると共に、留め具B2に嵌合する。
【0091】
ピンB1、B1’が身体組織を貫通して留め具B2に嵌合したときには、掛止解除部7によって、蓋体支持部6による蓋体4の掛止が解除され、この蓋体4がピン径側開口部10Bを開放する方向に回転し、ピン径側開口部10Bが全開状態となる。
【0092】
また、接近状態のピン保持部1と留め具保持部2とには、付勢部3の付勢力が相互に離間する方向に作用するが、ピンB1、B1’が身体組織を貫通して留め具B2に嵌合したときには、連結部8がピン保持部1と留め具保持部2の接近状態を保持しているので、ピン保持部1と留め具保持部2との離間方向のスライドが阻止されている。
【0093】
このピン保持部1と留め具保持部2の接近状態を保持した状態で、ピアス用穿孔器Aを下方に引き下ろすことによって、ピンB1、B1’と留め具B2とを身体組織に残した状態で、このピンB1、B1’と留め具B2をピアス用穿孔器Aから抜き取ることができる。
【0094】
そして、連結部8によって、ピン保持部1と留め具保持部2の接近状態が保持され、しかも壁面1D、1Eによって外側から連結部8の連結を外せないようにしているので、ピアス孔の穿孔後のピアス用穿孔器Aの再使用を防止することができ、これによって、ユーザーに対する衛生面を含む安全性を確保できる。
【0095】
更に、このピアス用穿孔器Aは、ピン保持部1、及び留め具保持部2、並びに付勢部3が一体成型によって成型された成型品Dと、蓋体4との2部材で構成されているので、部品管理や組み立てを容易に行うことができる。
【0096】
また、成型品Dに対する蓋体4の取付けが、接続部5の先端部をピン保持部1に設けられた接続凹部16に圧入して接着等で固定するものであるので、成型品Dと蓋体4との間で成型誤差が生じても、確実に固定することができる。
【0097】
しかも、万が一、ピン保持部1から接続部5が外れたとしても、閉鎖状態の蓋体4が蓋体支持部6によってピン保持部1に対する掛止が保持されているため、閉鎖状態の蓋体4の脱落を防止することができ、蓋体4の開放後においても、ピアス用穿孔器Aは、再利用ができないものであり、すべて廃棄されるものであるため、何ら問題はない。
【0098】
このため、ピアス用穿孔器Aは、接続部5を不要とすることも可能である。ただし、閉鎖状態の蓋体4の脱落を確実に防止するということについて、接続部5の存在は極めて効果的である。
【0099】
蓋体4は、手によってピン保持部1から取り外すようにしてもよく、この場合、蓋体4を取り外した状態で、ピン保持部1と留め具保持部2とを接近方向にスライドさせて、ピンB1、B1’を留め具B2に嵌合させるとよい。
【0100】
次に、本発明に係る第二実施形態のピアス用穿孔器A’を
図9、
図10に基づいて説明する。尚、第一実施形態と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略する。
【0101】
このピアス用穿孔器A’は、蓋体4を備えていないものであり、一体成型されたピン保持部1、及び留め具保持部2、並びに付勢部3とからなるものである。
【0102】
本実施形態におけるピン収容凹部10は、ピンB1”、及び装飾体B3”に対して、ピンB1”の軸が留め具B2の軸と同軸となるようにピンB1”を保持し、且つ保持状態において、ピン収容凹部10が下方を向いたときに抜け落ちず、抜き取るときには、簡単に抜き取ることができる程度の接触摩擦が生じるように、ピンB1”、及び装飾体B3”に接触して保持するように形成されている。
【0103】
このようなピアス用穿孔器A’によっても、第一実施形態と同じ効果を奏し、しかも、蓋体4を備えないことにより、蓋体4、及び蓋体支持部6、並びに掛止解除部7を不要とすることができるので、ピアス用穿孔器A’を安価に提供することができる。
【0104】
尚、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。