(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0013】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態に係るストレーナ付バルブについて
図1〜
図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るストレーナ付バルブの斜視図である。
図2は、ケーシング内に配置される部品の斜視図である。
図3は、ケーシングの縦断面図である。
図4(a)、(b)は、第一の実施形態に係るストレーナ付バルブ内の流体の流れを説明するための模式図である。
【0014】
本実施形態に係るストレーナ付バルブは、原水を濾過する2つのストレーナを供え、バルブ内への原水の流入及び流出を止めることなく、一方のストレーナによって濾過された水を用いて他方のストレーナを逆洗する点に特徴がある。
なお、以下の説明においては、
図3に示す弁棒61を基準として軸方向(又は上下方向)、径方向、周方向等の表現を用いる。
ストレーナ付バルブ1は、流入口11及び流出口13を備えたケーシング10と、ケーシング10内に配置されて第一ストレーナ41及び第二ストレーナ43を有する弁体40と、弁体40を駆動させる駆動部材60とを備える。ストレーナ付バルブ1は、流入口11からケーシング10内に流入した原水を第一ストレーナ41又は第二ストレーナ43によって濾過し、濾過された濾過水を流出口13から流出させる。
【0015】
<ケーシング>
ケーシング10は概略円筒状であり、流入口11から流入した原水を流出口13から流出させる際に原水が通過する第一流路15と第二流路17とを有している。第一流路15の水流方向中間部に位置するケーシング10の側面適所には第一排出口19が設けられ、第二流路17の水流方向中間部に位置するケーシング10の側面適所には第二排出口21が設けられている。第一排出口19と第二排出口21は、夫々第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の逆洗により発生した汚水を外部に排出する部位である。
流入口11には流入管23が接続され、流出口13には流出管25が接続される。第一排出口19には第一排出管27が接続され、第二排出口21には第二排出管29が接続される。各管には、必要に応じてバルブを配置してもよい(例えば
図7に示す第一排出弁101や第二排出弁103)。
図1に示すように、流入口11と流出口13に対して第一排出口19と第二排出口21は、高さ方向(軸方向)における位置を異ならせてケーシング10に配置されている。
【0016】
<弁体>
図2に示すように弁体40は、駆動部材60を構成する弁棒61を支持し、且つ接続するヨーク45と、流入口11からケーシング10内に流入した原水を第一流路15又は第二流路17(
図4参照)に案内する切替弁47(切替手段)と、第一流路15内に配置されて原水を濾過する第一ストレーナ41と、第二流路17内に配置されて原水を濾過する第二ストレーナ43と、を備える。
ヨーク45は軸方向両端が開口した概略円筒状であり、弁棒61が挿入される挿入孔45aを有している。挿入孔45a内には雌ネジ部45bが形成されており、弁棒61の外周面に形成された雄ネジ部61aと螺合する。ヨーク45の上端部は、ケーシング10の上面に形成された開口部(不図示)から外部に露出する部位であり、ヨーク45の上端面には弁体40を弁棒61の軸周りに回動操作するための操作穴45cが形成されている。
切替弁47、第一ストレーナ41、及び第二ストレーナ43は、概略板状であり、ヨーク45に対して径方向に放射状に配置されている。
【0017】
ヨーク45の軸方向中間部と下端部には、夫々外径方向に突出する円板状の上板49と下板51が配置されている。切替弁47、第一ストレーナ41、及び第二ストレーナ43は上板49と下板51の間に配置されており、軸方向各端部が上板49と下板51に接続されている。即ち、切替弁47と第一ストレーナ41と第二ストレーナ43は、上板49と下板51間を周方向に3つの空間に分割する。また、上板49と下板51は、切替弁47と第一ストレーナ41と第二ストレーナ43が区画した空間からの流体の相互の流出入を防ぐ機能を果たす。
【0018】
弁体40は、上板49の外周縁部に沿って上板49から下方に垂下する半円筒状の仕切弁53を有する。仕切弁53の周方向各端部は夫々第一ストレーナ41と第二ストレーナ43に接続されている。仕切弁53は、流出口13から流出する流体の量を調整する流量調整手段として機能する。また、仕切弁53は、第一排出口19を開閉する第一開閉手段として機能し、第二排出口21を開閉する第二開閉手段としても機能する。
仕切弁53の周方向長は、第一排出口19と第二排出口21の何れかを全閉可能な長さに設定される。即ち、第一ストレーナ41の径方向端部が第一排出口19に対して順流方向上流側(又は順流方向下流側)に位置するとき、第二ストレーナ43の径方向端部が第二排出口21の順流方向下流側(又は順流方向上流側)に位置するように、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43との間の角度が設定されている。
また、仕切弁53の軸方向長は、第一排出口19と第二排出口21の何れかと、流出口13を同時に全閉可能な長さに設定される。
【0019】
図示するように、弁体40を構成する各部(ヨーク45、切替弁47、第一ストレーナ41、第二ストレーナ43、上板49、下板51、及び仕切弁53)は、一体的に構成されている。弁体40の径方向長(弁体40を軸方向と直交する方向に切断した場合に、各外径側端縁によって結ばれる円の直径)は、ケーシング10の内径と略同一の大きさに設定される。
【0020】
<駆動部材>
駆動部材60は、弁体40の挿入孔45a内に挿入される弁棒61と、弁棒61の軸方向一端部に配置され、弁棒61をその軸周りに回転駆動させる駆動用ハンドル63とを備える。
弁棒61の外周面適所には、ヨーク45の雌ネジ部45bと螺合する雄ネジ部61aが形成されている。
また、弁棒61の軸方向他端部には、弁棒61から外径方向に突出したフランジ部65を備える。フランジ部65は、ケーシング10の内部底面に形成された係止部33(
図3)によって軸周り回転が許容され、軸方向移動(上下動)が禁止された状態にて係止される。
【0021】
<ケーシングと弁体の関係>
弁体40は、弁棒61の軸方向に進退可能、且つ弁棒61の軸周りに回動可能にケーシング10内に収容される。弁体40の外径(弁体40を軸方向と直交する方向に切断した場合に、外側端縁を結ぶことによって形成される円の直径)は、ケーシング10の内径と略同一の大きさに設定される。
弁体40は、流入口11と流出口13と第一排出口19と第二排出口21とが、上板49と下板51の間に位置する範囲内でケーシング10内を軸方向に進退する。
ケーシング10内には、弁体40の軸方向移動を制限する移動制限手段が設けられている。本実施形態に示す移動制限手段は、ケーシング10の内部上面から突出形成された上部ストッパ31と、ケーシング10の内部底面から突出形成された下部ストッパとしての係止部33とから構成される。上板49が上部ストッパ31に当接したとき、流出口13は全開状態となる。下板51が係止部33に当接したとき、流出口13は全閉状態となる。
即ち、弁体40の軸方向移動は、移動制限手段によって、仕切弁53が流出口13を全開にする位置と、仕切弁53が流出口13を全閉にする位置との間に制限される。
【0022】
ケーシング10内には、弁体40の回動角度を制限する回動制限突起35(第一回動制限突起35aと第二回動制限突起35b)が設けられている。弁体40の回動範囲は回動制限突起35によって、仕切弁53が第一排出口19を閉止して第二排出口21を開放し、且つ切替弁47が原水を第二流路17に案内する位置と、仕切弁53が第一排出口19を開放して第二排出口21を閉止し、且つ切替弁47が原水を第一流路15に案内する位置との間に制限される。
本実施形態に示す回動制限突起35は、第一排出口19の直上流に突出形成された第一回動制限突起35aと、第二排出口21の直上流に突出形成された第二回動制限突起35bとから構成される。第一ストレーナ41の上流側側面が第一回動制限突起35aに当接したとき、第一排出口19が仕切弁53によって閉止され、第二排出口21は開放される。このとき、切替弁47は原水を第二流路17に案内する。第二ストレーナ43の上流側側面が第二回動制限突起35bに当接したとき、第二排出口21が仕切弁53によって閉止され、第一排出口19は開放される。このとき、切替弁47は原水を第一流路15に案内する。
【0023】
第一回動制限突起35aは第一ストレーナ41の上流側側面と当接することにより、第二回動制限突起35bは第二ストレーナ43の上流側側面と当接することにより、弁体40の回動角度を制限する。
第一回動制限突起35aと第二回動制限突起35bは、弁体40の軸方向移動を制限しない位置及び大きさにて配置される。具体的には、両制限突起は、仕切弁53が流出口13を全閉にしたときの上板49の下面の位置と、仕切弁53が流出口13を全開にしたときの下板51の上面の位置との間に配置される。
なお、弁体40の回動角度を制限する手段は、切替弁47と当接することにより弁体40の回動角度を制限するものであってもよい。
【0024】
ケーシング10には、第一排出口19と第二排出口21が、流入口11と流出口13に対して高さ方向(軸方向)における位置を異ならせて配置されている。弁体40の仕切弁53は上下方向に移動して流出口13を開閉する。これに対して仕切弁53は、周方向に回動して第一排出口19と第二排出口21を開閉する。仕切弁53が流出口13の開度にかかわらず、第一排出口19と第二排出口21とを自在に開閉するように、流入口11と流出口13の高さ位置と、第一排出口19と第二排出口21の高さ位置を異ならせている。
【0025】
<弁体の動作:流量調整>
流出口13から流出する流体の流量調整方法について
図3に基づいて説明する。
図3(a)は仕切弁53が流出口13を全開にする全開位置にある状態を示し、(b)は仕切弁53が流出口13の一部を閉止している状態を示している。
弁体40は、弁棒61の軸方向に進退可能に構成されている。即ち、弁体40の雌ネジ部45bが弁棒61の雄ネジ部61aに螺合していることによって、駆動用ハンドル63を正方向又は逆方向に回転させたときに、弁体40は弁棒61の軸方向に進退移動する。なお、弁体40は、回動制限突起35(第一回動制限突起35a、第二回動制限突起35b)によって回動角度を制限されているため、ケーシング10内で必要以上に回動することなく、軸方向に進退移動する。
仕切弁53は弁体の軸方向移動に伴って、流体の流出方向に対して交差(より詳しくは直交)する方向に進退して、流出口13の開度を調整する。
【0026】
<弁体の動作:流路変更、排出口選択>
続いて、ケーシング内における流路変更及びストレーナによる濾過について
図4に基づいて説明する。
図4(a)は切替弁が原水を第二流路に案内している状態を示し、(b)は切替弁が原水を第一流路に案内している状態を示している。
弁体40の回動操作は、先端に操作突起71を備えた概略Y字形状の弁体操作ハンドル70(
図1)により行う。弁体操作ハンドル70の各操作突起71を夫々操作穴45c内に挿入し、弁体操作ハンドル70を弁棒61の軸周りに回転させることで、弁棒61に対して弁体40を相対回転させることができる。なお、駆動部材60の回転操作に伴って弁体40が回転する場合は、予め弁体操作ハンドル70の操作突起71を操作穴45c内に嵌合させておき、弁体操作ハンドル70によって弁体40の回転を禁止した状態にて、駆動部材60を操作すればよい。
【0027】
図4(a)のように、切替弁47が原水を第二流路17に案内する場合は、第二流路17内に配置された第二ストレーナ43が原水を濾過し、濾過された濾過水が流出口13から流出する。このとき、第二排出口21は、仕切弁53(第二開閉手段)によって閉止される。また、第一ストレーナ41は第一排出口19よりも水の順流方向下流側に位置する。従って、第二ストレーナ43によって濾過された水の少なくとも一部が第一流路15内を逆流して第一ストレーナ41を逆洗する。第一ストレーナ41を逆洗した水は第一排出口19からケーシング10の外部に排出される。
図4(b)のように、切替弁47が原水を第一流路15に案内する場合は、第一流路15内に配置された第一ストレーナ41が原水を濾過し、濾過された濾過水が流出口13から流出する。このとき、第一排出口19は、仕切弁53(第一開閉手段)によって閉止される。また、第二ストレーナ43は第二排出口21よりも水の順流方向下流側に位置する。従って、第一ストレーナ41によって濾過された水の少なくとも一部が第二流路17内を逆流して第二ストレーナ43を逆洗する。第二ストレーナ43を逆洗した水は第二排出口21からケーシング10の外部に排出される。
【0028】
本実施形態においては切替弁47が原水を第二流路17に案内する場合、第一排出口19は仕切弁53によって常に開放された状態となる。本実施形態の構成では、第一ストレーナ41の逆洗が終了した後も第二ストレーナ43による濾過水の一部が第一排出口19から排出されることになる。しかし、第一排出管27に別途排水バルブ(不図示)を設け、逆洗時には排水バルブを開放し、逆洗をせずに濾過のみを行う場合に排水バルブを閉止することで、逆洗時にのみ汚水を排出することができる。このことは、第二排出管29についても同様である。
【0029】
<効果>
以上のように本実施形態に係るストレーナ付バルブ1において、ケーシング10は流入口11から流出口13に向かって水を流す第一流路15と第二流路17とを備え、切替弁47は原水を何れかの流路に案内する。第一流路15内には第一ストレーナ41が配置され、第二流路17内には第二ストレーナ43が配置されているので、切替弁47が流路を切り替えることによって、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の何れかを、原水を濾過するストレーナとして選択できる。
【0030】
また、第一流路15の水流方向中間部には第一排出口19を備え、第二流路17の水流方向中間部には第二排出口21を備えている。
切替弁47が原水を第二流路17に案内する場合、第一ストレーナ41は第一排出口19よりも水の順流方向下流側に位置し、第二ストレーナ43によって濾過された水の一部が第一流路15内に逆流して、第一ストレーナ41を逆洗して第一排出口19から排出される。従って、第二ストレーナ43による原水の濾過と、第二ストレーナ43によって濾過された水を用いた第一ストレーナ41の逆洗とを同時に行える。また、第一ストレーナ41を逆洗することで、第一ストレーナ41を長期に渡って使用できる。
なお、切替弁47が原水を第一流路15に案内する場合は、第一ストレーナ41による原水の濾過と、第一ストレーナ41によって濾過された水を用いた第二ストレーナ43の逆洗とを同時に行える。第二ストレーナ43を逆洗することで、第二ストレーナ43を長期に渡って使用できる。
なお、仕切弁53が、流出口13を全閉した場合には、逆洗のみを行うことができる。
【0031】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係るストレーナ付バルブについて
図5に基づいて説明する。
図5(a)〜(c)は、第二の実施形態に係るストレーナ付バルブ内の流体の流れを説明するための模式図である。第一の実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係るストレーナ付バルブ2は、切替弁47が原水を第一流路15と第二流路17の双方に案内する場合に、第一開閉手段としての仕切弁53が第一排出口19を閉止し、且つ第二閉止手段としての仕切弁53が第二排出口21を閉止するように構成した点に特徴がある。
即ち、仕切弁53の周方向長は、第一排出口19と第二排出口21の双方を全閉可能な長さに設定されている。
図5に示す仕切弁53の周方向各端部には、夫々第一ストレーナ41と第二ストレーナ43が接続されている。仕切弁53に対する第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の位置は適宜設定することができる。例えば、
図4に示す仕切弁の周方向各端部を夫々外周方向に延在させた形状としてもよい。この場合、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43は、仕切弁53の周方向中間部に接続された形状となる。
【0032】
本実施形態においては原水の濾過のみを行う場合、
図5(a)に示すように、切替弁47が原水を第一流路15と第二流路17の双方に案内する。原水は、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の双方によって濾過される。このとき仕切弁53は第一排出口19及び第二排出口21を閉止する。
また、第一ストレーナ41の逆洗を行う場合、
図5(b)に示すように切替弁47は原水を第二流路17にのみ案内する。このとき、仕切弁53は第二排出口21を閉止し、第一排出口19を開放する。第二ストレーナ43の逆洗を行う場合、
図5(c)に示すように切替弁47は原水を第一流路15にのみ案内する。このとき、仕切弁53は第一排出口19を閉止し、第二排出口21を開放する。
【0033】
第一の実施形態において切替弁47は、基本的には原水を第一流路15又は第二流路17の何れか一方に選択的に案内する手段として機能していた。このため、逆洗をせずに濾過のみを行いたい場合には、第一排出管27と第二排出管29に別途排水バルブを設け、これを開閉操作する必要があった。
本実施形態においては、仕切弁53の周方向長を変更することで、第一排出口19と第二排出口21の双方を閉止した状態にて原水を濾過することができるので、排出管に排出バルブを取り付ける必要がない。
【0034】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態に係るストレーナ付バルブについて
図6、及び
図7に基づいて説明する。
図6は第三の実施形態に係るストレーナ付バルブを示す図であり、(a)弁体の斜視図であり、(b)は弁体の分解斜視図である。
図7(a)、(b)は、第三の実施形態に係るストレーナ付バルブ内の流体の流れを説明するための模式図である。本実施形態に係るストレーナ付バルブは、切替弁を回動自在に構成し、ストレーナ及び仕切弁を回動不能に構成した点に特徴がある。第一及び第二の実施形態と同様の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
ストレーナ付バルブ3の弁体80は、切替弁47を含む第一弁部材81と、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43と仕切弁53を含む第二弁部材85と、から構成される。本実施形態におけるヨークは、軸方向に複数に分割された構成であり、第一弁部材81側に第一ヨーク83を、第二弁部材85側に第二ヨーク87を備える。
第一弁部材81は、弁棒61が挿通される第一挿通孔83aを有した第一ヨーク83と、切替弁47と、上板49とを備えている。第一ヨーク83の上端面には操作穴45cが形成されている。第一挿通孔83aは弁棒61の外径よりも大きく、第一弁部材81は弁棒61の軸周りに自在に回動する。
【0036】
第二弁部材85は、弁棒61が挿入される第二挿入孔87aを有した第二ヨーク87と、第二ヨーク87に対して放射方向に形成された第一ストレーナ41及び第二ストレーナ43と、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の上部を接続するように設けられた半円筒状の仕切弁53と、第一ストレーナ41と第二ストレーナ43の下端に接続された下板51とを備える。なお、円板状の下板51の中央部には弁棒61が挿通される第二挿通孔51aが形成されている。第二挿入孔87aには、弁棒61の外面に形成された雄ネジ部61aと螺合する雌ネジ部が形成されている。
第一弁部材81の第一挿通孔83aと第二弁部材85の第二挿入孔87a及び第二挿通孔51aとを連通させた状態にて、第一挿通孔83a内に弁棒61を挿通し、第二挿入孔87aの雌ネジ部87bに弁棒61の雄ネジ部61aを螺合させることで、駆動部材60と第一弁部材81と第二弁部材85とが一体化される。
【0037】
切替弁47(第一弁部材81)は、原水を第一流路15に案内する位置と、原水を第二流路17に案内する位置との間で回動する。切替弁47は、第一排出口19と第二排出口21よりも上流側において回動するように、ケーシング10内に突出形成された回動制限突起35によって、その回動範囲を制限されている。回動制限突起35は、弁体80の軸方向移動を制限しない位置及び大きさにて形成される。具体的には、回動制限突起35は、仕切弁53が流出口13を全閉にしたときの上板49の下面の位置と、仕切弁53が流出口13を全開にしたときの下板51の上面の位置との間に配置される。
【0038】
第二弁部材85の各ストレーナは、第二弁部材85がケーシング10内に収容されたとき、第一ストレーナ41が第一排出口19と流出口13との間に配置され、第二ストレーナ43が第二排出口21と流出口13との間に配置されるように設定されている。
第一ストレーナ41と第二ストレーナ43とは(第二弁部材85は)、第一排出口19と第二排出口21の下流側のケーシング10内に突出形成された回動禁止突起37によって、回動を禁止されている。
回動禁止突起37は、弁体80の軸方向移動を制限しない位置及び大きさにて形成される。
弁体80は、駆動部材60を回転させることによって、弁棒61の軸方向に進退移動する。第一弁部材81は、第二弁部材85に対してその軸方向への移動を阻止されており、第二弁部材85と共にケーシング10内にて進退移動する。
第二弁部材85は、回動禁止突起37によりケーシング10内における回動を阻止されているので、軸方向にのみ進退し、弁棒61周りには回転しない。これに対して第一弁部材81は、弁棒61とは螺合しておらず、弁棒61に対して自在に回動するように構成されている。その上、ケーシング10内においては原水を第一流路15と第二流路17に案内可能に、所定の角度範囲で回動可能である。
【0039】
原水を第二ストレーナ43によって濾過する場合は、第二排出管29の中間部に設けられた第二排出弁103を閉止した状態にて、切替弁47を
図7(a)の位置に移動させる。原水は、第二ストレーナ43によって濾過され、流出口13から流出する。このとき、第一排出管27の中間部に設けられた第一排出弁101を開放させれば、第二ストレーナ43による濾過水は第一流路15を逆流し、第一ストレーナ41を逆洗して第一排出弁101から排出される。また、第一排出弁101を閉止しておけば、逆洗は行われずに、濾過のみが行われる。
原水を第一ストレーナ41によって濾過する場合は第一排出弁101を閉止した状態にて、切替弁47を
図7(b)の位置に移動させる。原水は第一ストレーナ41によって濾過され流出口13から流出する。このとき、第二排出弁103を開放させれば、第一ストレーナ41による濾過水は第二流路17を逆流し、第二ストレーナ43を逆洗して第二排水口21から排出される。また、第二排出弁103を閉止しておけば、逆洗は行われずに、濾過のみが行われる。
【0040】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態に係るストレーナ付バルブについて
図8、及び
図9に基づいて説明する。
図8は第四の実施形態に係るストレーナ付バルブを示す図であり、(a)は弁体の斜視図であり、(b)は弁体の分解斜視図である。
図9(a)、(b)は、第四の実施形態に係るストレーナ付バルブ内の流体の流れを説明するための模式図である。本実施形態に係るストレーナ付バルブは、切替弁及び仕切弁を回動自在に構成し、ストレーナを回動不能に構成した点に特徴がある。以下、第三の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
ストレーナ付バルブ4の弁体90は、第一弁部材91と第二弁部材93とから構成される。第一弁部材91と第二弁部材93は、第三の実施形態と同様に組み合わせて弁体90として一体化される。
弁体90が第三の実施形態に示した弁体80と異なる点は、仕切弁53が第一弁部材91に一体化されている点である。即ち、仕切弁53は、上板49の外周縁部に沿って上板49から下方に垂下している。仕切弁53の軸方向長は、第一排出口19と第二排出口21の少なくとも一方と、流出口13を同時に全閉可能な長さに設定される。
仕切弁53の周方向長は第一の実施形態と同様に、第一排出口19と第二排出口21の何れかを全閉可能な長さに設定することができる。この場合、仕切弁53は
図9に示すように、第一排出口19と第二排出口21を選択的に開放又は閉止することができ、第一の実施形態(
図4)と同様の効果を奏する。
或いは、仕切弁53の周方向長は第二の実施形態(
図5)と同様に、第一排出口19と第二排出口21の双方を全閉可能な長さに設定してもよい。この場合、仕切弁53は、第一排出口19と第二排出口21の一方を開放し他方を閉止した状態と、第一排出口19と第二排出口21の双方を閉止した状態とすることができ、第二の実施形態と同様の効果を奏する。
【0042】
〔実施態様例とその効果〕
本発明に係るストレーナ付バルブは、以下の実施態様にて実施することができる。
<第一の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ1〜4は、流入口11及び流出口13を備えたケーシング10と、流入口からケーシング内に流入した原水を第一流路15又は第二流路17に案内する切替手段(切替弁47)と、第一流路内に配置されて原水を濾過する第一ストレーナ41と、第二流路内に配置されて原水を濾過する第二ストレーナ43と、を備えている。
ケーシングは、切替手段が原水を第二流路に案内する場合に、第二ストレーナによって濾過された水の少なくとも一部を第一流路内に逆流させると共に、第一ストレーナを逆洗した水を外部に排出する第一排出口19と、切替手段が原水を第一流路に案内する場合に、第一ストレーナによって濾過された水の少なくとも一部を第二流路内に逆流させると共に、第二ストレーナを逆洗した水を外部に排出する第二排出口21と、を備えたことを特徴とする。
本実施態様においては、第二ストレーナを逆洗する場合には、第一ストレーナによって濾過された水を第二流路に逆流させる。また、第一ストレーナを逆洗する場合には、第二ストレーナによって濾過された水を第一流路に逆流させる。従って本実施態様によれば、ケーシングからストレーナを取り出すことなく濾過後の水を用いてストレーナを効果的に洗浄することができる。また、ストレーナによって濾過された水を流出口から流出させることで、一方のストレーナによる濾過と、濾過水を用いた他方のストレーナの逆洗とを同時に行うことができる。
【0043】
<第二の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ1、2、4は、第一排出口19を開閉する第一開閉手段(仕切弁53)と、第二排出口21を開閉する第二開閉手段(仕切弁53)とを備え、第一開閉手段は、切替手段(切替弁47)が原水を第一流路に案内する場合に第一排出口を閉止し、第二開閉手段は、切替手段が原水を第二流路に案内する場合に第二排出口を閉止するように構成されていることを特徴とする。
本実施態様によれば、第一流路に案内された原水の一部が第一排出口から排出されること、又は、第二流路に案内された原水の一部が第二排出口から排出されることを防止できる。
【0044】
<第三の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ2は、切替手段(切替弁47)が原水を第一流路15と第二流路17の双方に案内する場合に、第一開閉手段(仕切弁53)が第一排出口19を閉止し、且つ第二閉止手段(仕切弁53)が第二排出口21を閉止するように構成されていることを特徴とする。
切替手段が原水を第一流路と第二流路の双方に案内するとき、原水は第一ストレーナと第二ストレーナの双方によって濾過される。この場合に、原水がバルブ外に排出されることは望ましくない。本実施態様では、第一排出口と第二排出口の双方を閉止するので、ケーシング10に流入した全ての原水が濾過される。
【0045】
<第四の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ1、2、4において、切替手段(切替弁47)、第一開閉手段(仕切弁53)、及び第二開閉手段(仕切弁53)は一体的に動作することを特徴とする。
本実施態様によれば、切替手段により原水が案内される流路を変更するだけで、第一排出口と第二排出口を開閉することができる。
【0046】
<第五の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ1〜4は、水流に対して交差する方向に進退して流出口13の開度を調整する仕切弁53と、仕切弁の進退方向に伸びて仕切弁を進退させる弁棒61とを備えたことを特徴とする。
本実施態様によれば、流出口から流出する濾過水の流出量を調整できる。
【0047】
<第六の実施態様>
本態様に係るストレーナ付バルブ1、2、4は、第一排出口19を開閉する第一開閉手段(仕切弁53)と、第二排出口21を開閉する第二開閉手段(仕切弁53)とを備え、仕切弁53、切替手段(切替弁47)、第一開閉手段、及び第二開閉手段は、弁棒61の軸方向に進退可能、且つ弁棒の軸周りに回動可能に一体的に構成されていることを特徴とする。
本実施態様によれば、仕切弁、切替手段、第一開閉手段、及び第二開閉手段が弁体40、90として一体化されているので、ストレーナ付バルブの部品を減少させることができる。また、弁体40、90を操作するだけで、切替手段による流路の切替と第一、第二排出口の開閉ができるほか、濾過水の流出量の調整もできる。