(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記出庫誘導経路にしたがう誘導の途中で、ハンドルの操作入力を受け付けた場合、前記自車両の誘導要求が終了したと見なして誘導を完了する請求項1に記載の出庫支援装置。
前記制御部は、前記出庫誘導経路にしたがう誘導の途中で、アクセルの操作入力を受け付けた場合、前記自車両の誘導要求が終了したと見なして誘導を完了する請求項1または請求項2に記載の出庫支援装置。
前記制御部は、算出された前記出庫誘導経路が、前記駐停車領域から前記自車両の前記路側側の車両前端部の進出が完了する前に前記操舵角が中立状態になる経路である場合、前記出庫誘導経路に基づく誘導により前記操舵角が中立状態になったら前記自車両の誘導が完了したと見なす請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の出庫支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
本実施形態の出庫支援装置を搭載する車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0012】
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0013】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0014】
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。
図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8a(
図3)の大きさよりも小さい。この表示装置12には、車両1の例えば出庫支援に関する情報を示す画像が表示されうる。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。なお、本実施形態で説明する出庫支援装置は、車両1を駐停車領域、例えば駐車区画に誘導して駐車させる駐車支援装置と機能的に共通する部分がある。したがって、本実施形態の出庫支援装置は、駐車支援装置として機能させることが可能である。逆に駐車支援装置を本実施形態の出庫支援装置として機能させることも可能である。本実施形態では、このような支援システムを駐車出庫支援システムと称する場合もある。なお、以下の説明では、主として出庫支援機能について説明する。
【0015】
また、
図1、
図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0016】
また、
図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が出庫する際に確認すべき車体2の周辺の外部環境、または車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0017】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
【0018】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周囲に存在する車両や歩行者、走行路を走行する他車両の存在や位置を検出する。
【0019】
また、
図1、
図2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0020】
また、
図4に例示されるように、駐車出庫支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0021】
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動目標位置(出庫目標位置、駐車目標位置)の決定、車両1の移動経路(誘導経路)の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0022】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0023】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0024】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0025】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0026】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得する。
【0027】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0028】
また、
図5に示されるように、ECU14は、CPU14aと当該CPU14aでの演算で用いられる、あるいはCPU14aでの演算で算出されたデータを記憶する記憶部30を備える。また、CPU14aは、ROM14b等の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現される各種モジュールを備える。例えばCPU14aは、検出部32、操作受付部34、目標位置決定部36、経路算出部38、誘導制御部40、出力情報決定部42、ブレーキセンサ受付部44、アクセルセンサ受付部46、シフトセンサ受付部48、舵角センサ受付部50、車輪速センサ受付部52等を備える。
【0029】
検出部32は、撮像部15、測距部16,17から提供される情報に基づいて、車両1の周囲に障害物や路面の枠線、区画線等を検出する。また、検出部32は、検出した障害物や枠線、区画線等に基づき、車両1の出庫可能な領域、つまり駐停車領域から脱出する際のスペースを検出する検出部としても機能することができる。操作受付部34は、操作部14gの操作入力による信号を取得する。操作部14gは、例えば、押しボタンやスイッチ等であり、出庫支援の要求やキャンセルを行うことができる。目標位置決定部36は、車両1の移動目標位置、言い換えれば、出庫目標位置を決定する。経路算出部38は、車両1の現在位置から出庫目標位置に車両1を誘導するための出庫誘導経路(移動経路)を算出する。誘導制御部40は、車両1が移動経路に沿って出庫目標位置(移動目標位置)へ移動するよう、車両1の各部を制御する。出力情報決定部42は、表示装置12,8や、音声出力装置9等で出力する情報や、当該情報の出力態様等を決定する。
【0030】
ブレーキセンサ受付部44は、ブレーキセンサ18bから出力される信号、すなわち制動操作部6、例えばブレーキペダルの操作入力に基づく信号を取得する。ブレーキセンサ受付部44は、運転者(ユーザ)の減速や停車の意志確認信号を取得する意志確認部として機能する。なお、ブレーキセンサ受付部44は、図示しないパーキングブレーキの操作入力を取得してもよく、この操作入力に基づき、運転者の停車の意志確認信号を取得するように機能してもよい。アクセルセンサ受付部46は、アクセルセンサ20から出力される信号、すなわち加速操作部5、例えばアクセルペダルの操作入力に基づく信号を取得する。アクセルセンサ受付部46は、運転者の走行や加速や意志確認信号を取得する意志確認部として機能する。シフトセンサ受付部48は、シフトセンサ21から出力される信号、すなわち変速操作部7、例えばシフトレバーの操作入力に基づく信号を取得する。シフトセンサ受付部48は、「Dポジション」を示す信号の受付により、運転者の前進走行の意志確認信号を取得し、「Rポジション」を示す信号の受付により運転者の後進走行の意志確認信号を取得する意志確認部として機能する。同様に、「Pポジション」を示す信号の受付により、運転者の駐停車の意志確認信号を取得する意志確認部として機能する。舵角センサ受付部50は、舵角センサ19から出力される信号、すなわち操舵部4、例えばステアリングホイールの操作入力に基づく信号を取得する。舵角センサ受付部50は、誘導制御部40によって自動制御される車両1の操舵状態を取得すると共に、運転者の操舵の意志を示す意志確認信号を取得する意志確認部として機能する。車輪速センサ受付部52は、車輪速センサ22から出力される信号を取得し、車両1の走行状態または停止状態を車速に基づいて判定する情報を取得すると共に、出庫のために自動で誘導する場合の誘導状態の良否判定を行う場合の情報の取得部として機能する。なお、上述した各モジュールは、機能ごとに分けて構成する例を示したが、2つの機能またはそれ以上の機能を統合した構成にしてもよい。例えば、ブレーキセンサ受付部44、アクセルセンサ受付部46、シフトセンサ受付部48、舵角センサ受付部50、車輪速センサ受付部52はセンサ受付部として統合してもよい。
【0031】
図6は、駐車出庫支援システム100を搭載する車両が駐停車領域から出庫する場合の挙動と出庫目標位置及び出庫誘導経路に基づく誘導の様子を説明する図である。なお、
図6に示す例の場合、駐停車領域は、例えば走行路の路側に設けられた縦列駐車用の駐車場60であり、平面路に描かれた複数の区画線62によって駐車区画が1台分ずつに区分されている。
図6には、例えば3台分の駐車区画が示されている。自車両64は、
図1〜
図3で説明した車両1と同等であり、
図4で説明した駐車出庫支援システム100を搭載するものとする。自車両64は、例えば左右の後輪66を連結する車軸の略中央部に誘導基準点68を設けている。誘導基準点68の位置は車軸上に限定されるものではなく、自車両64のいずれの位置に設定してもよい。例えば、左右の前輪を結ぶ軸線上に設定してもよいし、自車両64のフロントバンパ中央部に設定してもよい。この誘導基準点68を、誘導開始に先立ち決定した駐停車領域(駐車区画)の出口付近に設定される出庫目標位置70に略一致させるように誘導することで、自車両64を駐停車領域(駐車区画)から走行路側に導く出庫を支援する。
【0032】
検出部32は、区画線62で規定される駐車区画に駐車されている自車両64が、出庫の際に走行路に出るために利用する出口スペースが、駐停車領域(駐車区画)に存在するか否か検出する。駐停車領域から自車両64が出庫するためには、少なくとも自車両64の車幅より所定量広い出口スペースが必要である。この場合、検出部32は、出口スペースを検出するために、撮像部15及び測距部16,17を用いて自車両64の周囲の状況を示す情報を収集する。例えば、自車両64の前後の駐車区画の駐車状況や自車両64の周囲の障害物(歩行者や自転車等)の有無や障害物の大きさ、障害物までの距離等を検出する。また、撮像部15は、走行路を走行する他車両や歩行者等の物体について、その存在の有無や物体までの距離を検出する。
【0033】
例えば、
図2における車両前方側の測距部17e〜17h及び撮像部15cは、自車両64の前方側の駐車区画の状況を主として検出する。同様に、
図2における車両後方側の測距部17a〜17d及び撮像部15aは、自車両64の後方側の駐車区画の状況を主として検出する。また、
図2における車両右側の測距部16b,16c及び撮像部15b、さらに画角の広い撮像部15a,15cは、走行路側の状況を主として検出する。なお、必要に応じて、
図2における車両左側の測距部16a,16d及び撮像部15d、さらに画角の広い撮像部15a,15cは、路側側の状況を検出してもよい。
【0034】
出口スペースは、自車両64が現在の停車位置から旋回しながら出ることを想定して探索してもよいし、自車両64の前後に余裕スペースが存在する場合、例えば、自車両64の後方に後退できる余裕スペースがある場合には、一度後退した位置から旋回しながら出ることを想定して探索してもよい。また、1回の後退に限らず、前後の切り返しを複数回行ってから旋回しながら出ることを想定して探索してもよい。
【0035】
出口スペースが検出できた場合、目標位置決定部36は、自車両64を誘導するために利用する出庫目標位置70を決める。本実施形態の場合、目標位置決定部36は、自車両64の路側側(走行路の反対側)の車両前端部が周囲の障害物に接触することなく走行路側に、自車両64を誘導できる出庫目標位置70を設定する。前述したように誘導基準点68は、自車両64の所定位置に設定されているので、誘導基準点68を基準に自車両64の外形の各部分までの距離は既知となる。したがって、自車両64の周囲の状況が検出できていて、自車両64の外形状の各部分の位置及び出口スペースの位置が分かれば、出庫目標位置70を決めることができる。すなわち、自車両64の誘導基準点68がどこを通れば、自車両64の路側側の車両前端部が周囲の障害物に接触することなく走行路側に進出できるかが計算できるので、出庫目標位置70を逆算して求めることができる。
【0036】
なお、例えば、自車両64の前方側の駐停車領域に駐車車両が存在しない場合、出庫目標位置70を決定する場合に基準となる障害物が存在しないことになる。このような場合は、撮像部15cにより、自車両64の前方側の区画線62の走行路側後端隅位置を検出し、区画線62の走行路側後端隅位置と自車両64の路側側の車両前端部が交差しないような、すなわち、区画線62の上を区画線62が通過しないような出庫目標位置70を決定すればよい。
【0037】
次に、経路算出部38は、算出した出庫目標位置70を誘導基準点68が通過するような出庫誘導経路Lを算出する。なお、出庫誘導経路Lの算出は、既知の種々の経路算出手法が利用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態の場合、出庫支援の完了後に煩雑なハンドル操作を伴うことなく容易な操作で走行路に自車両64を合流させられるように、
図6に示すように、走行路に自車両64の路側側の車両前端部が進出するときに操舵角が中立状態になるような出庫誘導経路Lを算出する。言い換えれば、自車両64の路側側の車両前端部が障害物と接触することなく走行路側に進出したときには操舵角が中立状態になり、出庫支援が完了する。このように操舵角が中立状態で出庫支援を完了させることで、自車両64は走行路に合流するとき直進状態になる。つまり、出庫支援が完了したときの自車両64の挙動が把握し易くなり、ユーザは、直進状態から自車両64を所望の方向に向ければよい。その結果、走行路に合流する際の操舵が容易になる。
【0038】
上述したような駐車出庫支援システム100による出庫支援処理の手順の詳細を
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、自車両64の電源がONされると、検出部32が撮像部15、測距部16,17を用いて駐停車中の自車両64の周囲状況を検出する(S100)。そして、操作受付部34は、ユーザによる操作部14gの操作により出庫支援制御による出庫を要求する出庫要求を受け付けたか否か監視する。操作受付部34が出庫要求を受け付けていない場合(S102のNo)、このフローを一旦終了する。自車両64の電源がONされたままであれば、引き続き検出部32が撮像部15、測距部16,17を介して自車両64の周囲状況を検出し、最新情報を更新する。
【0040】
操作受付部34が出庫要求を受け付けた場合(S102のYes)、目標位置決定部36は、出庫目標位置70を決定し(S104)、経路算出部38は、出庫誘導経路Lを算出する(S106)。
【0041】
ここで、誘導制御部40は、経路算出部38が算出した出庫誘導経路Lが、
図6に示すように、誘導完了時に前輪72の操舵角が中立状態になるような舵角中立経路を含む出庫誘導経路Lであるか否か確認する(S108)。前述したように、経路算出部38は、舵角中立経路を含むような出庫誘導経路Lを算出しようとする。しかしながら、現実的には、自車両64の周囲の障害物の有無や駐車区画における自車両64の駐車位置、駐車区画内での切り返しの可否等によっては、出庫誘導経路Lに舵角中立経路を含めない場合がある。S108において、出庫誘導経路Lが舵角中立経路を含む場合(S108のYes)、誘導制御部40は、出力情報決定部42を介して、
図8に示すような中立舵角出庫案内を行う(S110)。
【0042】
図8は、出庫誘導制御の実行開始時または実行中に表示装置12に示される画面12aの例を示している。画面12aは、出庫支援制御中の制御状態やユーザへのメッセージ、操作指示を表示する第1表示領域80及び第2表示領域82を備える。出庫支援制御中には、第1表示領域80に例えば「出庫支援中」と表示される。この表示は、ユーザの注意を喚起するために、点滅表示や赤色等の強調色で表示してもよい。また、第2表示領域82には、例えば「出庫のとき舵角は中立になります」等のように出庫時の注意事項等を示すメッセージが表示される。この場合もユーザの注意を喚起するために、点滅表示や強調色で表示するようにしてもよい。この他、自動操舵制御中であることを示すステアリングシンボル84や自車両64の周囲に注意すべき障害物が存在するか否かを示す周囲検出シンボル86、出庫支援完了までのおおよその期間を示す完了インジケータ88が表示されている。ステアリングシンボル84は、誘導制御部40による操舵制御が実行されている場合に、自動操舵の実行を通知ように点灯する。また、ステアリングシンボル84は、実際の操舵角度と対応した回転角度で表示するようにしてもよい。周囲検出シンボル86は、車両シンボルの周囲に個別シンボルが配置された構成で、検出部32の検出結果に基づき予め設定された警告距離以内に障害物が存在する場合に、その存在方向を示す個別シンボルが点灯するように構成することができる。また、個別シンボルは、定常時に例えば「青色」を表示させ、警告すべき障害物が検出された場合に、「青色」から「赤色」に変化させるようにしてもよい。完了インジケータ88は、単位期間を示す個別ブロックの点灯数が増減して誘導完了までの期間を示すインジケータ88aと、誘導完了(出発;DEP)を示す目標シンボル88bとを有する。なお、画面12aの表示内容は一例であり、必要に応じて、表示項目を変更したり、表示態様を変更したりしてもよい。
【0043】
S108において、出庫誘導経路Lが舵角中立経路を含まない場合(S108のNo)、誘導制御部40は、出力情報決定部42を介して、
図9に示すような舵角注意案内を行う(S112)。この場合、第1表示領域80には、例えば「出庫誘導中」と表示される。また、第2表示領域82には、「出庫のとき舵角が付いています 注意してください」等の注意喚起をするメッセージが表示される。この場合、特にユーザに注意喚起が必要となるので、点滅表示や赤色等の強調色で表示することが望ましい。
【0044】
出庫支援の場合、走行路を走行する他車両を考慮した発進が必要になるので、誘導制御部40は、ユーザによる発進操作の有無、例えばブレーキペダルの踏み込み解除やアクセルペダルの踏み込み等の操作で示される誘導開始要求を受け付けたか否か確認する(S114のNo)。例えば、ブレーキペダルの踏み込み解除は、ブレーキセンサ受付部44からの信号により確認できる。また、アクセルペダルの踏み込みは、アクセルセンサ受付部46からの信号により確認できる。誘導開始要求を受け付けた場合(S114のYes)、誘導制御部40は、操舵システム13による操舵制御を実行しつつ、基本的にはクリープによる駆動力で自車両64を、算出された出庫誘導経路Lにしたがって走行させて、出庫誘導制御を実行する(S116)。
【0045】
誘導制御部40は、出庫制御中はユーザによる操作介入があるか否か監視する(S118)。ユーザによる操作介入とは、例えば、ハンドル操作によりユーザ自ら操舵を開始する操作や、アクセルペダルの操作により加速して出庫しようとする操作である。このようなユーザによる操作介入がない場合(S118のNo)、誘導制御部40は、自車両64の路側側の車両前端部が走行路側に脱出したか否か確認する(S120のNo)。この場合、誘導基準点68が出庫目標位置70に到達したか、または、自車両64の誘導基準点68が現在出庫誘導経路Lのどこの位置にいるかで、確認することができる。S120において、自車両64の路側側の車両前端部が走行路側に脱出したことが確認できた場合(S120のYes)、誘導制御部40は、出力情報決定部42を介して、
図10に示すような合流案内報知を行う(S122)。この場合、第1表示領域80には、例えば「DEPARTURE」と表示される。また、第2表示領域82には、「合流車線に注意して出発してください」等のメッセージが表示される。なお、この場合、出庫支援制御は完了しているので、ステアリングシンボル84や完了インジケータ88は消灯するようにしてもよい。
【0046】
S118において、誘導の途中でユーザによる操作介入があった場合(S118のYes)、誘導制御部40は出庫のための誘導要求が終了したと見なす。つまり誘導が完了したと見なす(S124)。例えば、操舵システム13の自動制御を中止してハンドルをフリーの状態にする。また、誘導制御部40は、自車両64が既に発進した後の誘導中止なので、出力情報決定部42を介して、
図11に示すような合流案内報知を行う(S122)。この場合、第1表示領域80には、例えば「誘導完了」と表示される。また、第2表示領域82には、「誘導を完了します ハンドル操作に注意してください」等のメッセージが表示される。この場合、誘導の中止はユーザの意志に基づくが、中止のタイミング、すなわち誘導の進行状態や出庫誘導経路Lの形状等によって操舵角が異なるので、特に第2表示領域82は、注意喚起のために点滅表示や赤色等の強調色で表示することが望ましい。なお、この場合、出庫支援制御は中止されているので、ステアリングシンボル84や完了インジケータ88は消灯するようにしてもよい。
【0047】
なお、上述した実施形態において、S106で算出した出庫誘導経路Lが、駐停車領域から自車両64の路側側の車両前端部の進出が完了する前に、操舵角が中立状態になる経路である場合がある。このような場合、誘導制御部40は、S116における出庫誘導制御の実行中、その出庫誘導経路Lに基づく誘導により操舵角が中立状態になったら自車両64の誘導が完了したと見なしてもよい。この場合、駐停車領域内で既に操舵角が中立状態になる場合、自車両64の挙動は直線でありがユーザに理解し易い状態になっているので、この状態で誘導を完了することで、出庫支援が迅速に完了したとユーザに理解させ、誘導完了後にユーザの所望するタイミングで余裕を持った操作で、走行路に合流できるようにすることができる。
【0048】
上述した実施形態では、主として表示装置12に画面12aを表示して出庫支援の状況をユーザに提示したが、これに加えまたは別途、出力情報決定部42は音声制御部14eを介して音声出力装置9から音声により出庫支援の状況をユーザに提示してもよい。
【0049】
本実施形態の誘導制御部40や出力情報決定部42で実行される駐車支援プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態の誘導制御部40や出力情報決定部42で実行される駐車支援プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の誘導制御部40や出力情報決定部42で実行される駐車支援プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0051】
本実施形態において、駐車支援のための報知は、表示装置12に表示する画面12aによって実施する例を示したが、他の実施形態においては、音声出力装置9を用いて同様な内容の報知を音声により実施してもよい。画面12aによる情報提供と音声による情報提供を併せて実施するよりユーザに理解しやすい駐車支援を提供することができる。
【0052】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。