(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸保持体が第一、第二のアームを備えており、これら第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしている請求項1記載の果実保護シート取付具。
前記軸保持体が、第一のアームとこの第一のアームを操作するための第一の操作部とを有した第一のクリップ部材と、第二のアームとこの第二のアームを操作するための第二の操作部とを有し前記第一のクリップ部材に対して相対移動し得る第二のクリップ部材と、前記第一、第二のアームを閉方向に付勢する弾性体とを備えたものであり、
前記第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしている請求項1、2又は3記載の果実保護シート取付具。
前記シート保持体が、第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とを備えたものであり、これら第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とが、前記果実の軸を囲うようにして取り付けられるものである請求項1、2、3、4又は5記載の果実保護シート取付具。
前記軸保持体が、第一のアームとこの第一のアームを操作するための第一の操作部とを有した第一のクリップ部材と、第二のアームとこの第二のアームを操作するための第二の操作部とを有し前記第一のクリップ部材に対して相対移動し得る第二のクリップ部材と、前記第一、第二のアームを閉方向に付勢する弾性体とを備えたものであり、前記第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしており、
前記シート保持体が、第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とを備えたものであり、これら第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とが、前記果実の軸を囲うようにして取り付けられるものであり、
前記第一のクリップ部材と前記第一の保持体構成部材とが一体に形成されている請求項1、2、3、4、5又は6記載の果実保護シート取付具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に着目してなされたものであり、少なくとも、果実保護シートが果実の軸とこすれ合い、果実の軸に擦り傷が生じてしまうという不具合の発生を防止ないし抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は次の構成をなしている。
【0010】
請求項1に係る果実保護シート取付具は、果実の軸を保持する軸保持体と、この軸保持体の下側に配設され果実保護シートを保持するシート保持体とを備えている果実保護シート取付具であって、前記シート保持体が、
前記果実保護シートを下から支持し、前記果実保護シートと係わり合って当該果実保護シートを保持するためのシート保持部を備えているものである。
【0011】
ここで、「果実の軸」とは、果物における果実と枝との間を繋ぐ軸状の部分を示すものである。例えば、ブドウのように果実が穂状をなすものにおいては穂の中軸をなす部位である。
【0012】
請求項2に係る果実保護シート取付具は、請求項1記載の構成において、前記軸保持体が第一、第二のアームを備えており、これら第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしているものである。
【0014】
請求項
3に係る果実保護シート取付具は、請求項1又は
2記載の構成において、前記シート保持体が、前記果実保護シートの端縁と係わり合って当該果実保護シートを保持するためのシート保持部を備えており、前記シート保持部が前記果実保護シートの端縁と係わり合う傾斜面を備えているものである。
【0015】
請求項
4に係る果実保護シート取付具は、請求項1、2又は
3記載の構成において、前記軸保持体が、第一のアームとこの第一のアームを操作するための第一の操作部とを有した第一のクリップ部材と、第二のアームとこの第二のアームを操作するための第二の操作部とを有し前記第一のクリップ部材に対して相対移動し得る第二のクリップ部材と、前記第一、第二のアームを閉方向に付勢する弾性体とを備えたものであり、前記第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしているものである。
【0016】
請求項
5に係る果実保護シート取付具は、請求項1、2、3又は
4記載の構成において、前記シート保持体が、前記果実の軸が通過し得る軸通路を備えているものである。
【0017】
請求項
6に係る果実保護シート取付具は、請求項1、2、3、4又は
5記載の構成において、前記シート保持体が、第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とを備えたものであり、これら第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とが、前記果実の軸を囲うようにして取り付けられるものである。
【0018】
請求項
7に係る果実保護シート取付具は、請求項1、2、3、4、5又は
6記載の構成において、前記軸保持体が、第一のアームとこの第一のアームを操作するための第一の操作部とを有した第一のクリップ部材と、第二のアームとこの第二のアームを操作するための第二の操作部とを有し前記第一のクリップ部材に対して相対移動し得る第二のクリップ部材と、前記第一、第二のアームを閉方向に付勢する弾性体とを備えたものであり、前記第一、第二のアームが前記果実の軸を挟むことにより当該果実の軸を保持するようにしており、前記シート保持体が、第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とを備えたものであり、これら第一の保持体構成部材と第二の保持体構成部材とが、前記果実の軸を囲うようにして取り付けられるものであり、前記第一のクリップ部材と前記第一の保持体構成部材とが一体に形成されているものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、果実保護シートが果実の軸とこすれ合い、果実の軸に擦り傷が生じてしまうという不具合の発生を防止ないし抑制することができるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を、
図1〜15を参照して説明する。なお、説明の便宜上、
図11〜13については、弾性体であるスプリングを省略して示している。
【0022】
この実施形態は、本発明を、果物であるブドウの果樹栽培において使用される果実保護シート取付具(以下、単に「取付具」という)Gに適用したものである。
【0023】
取付具Gは、果実の軸Hを保持する軸保持体1と、この軸保持体1の下側に配設され果実Fを雨水から保護するための果実保護シート(以下、単に「保護シート」という)Sを保持するシート保持体2とを備えている。
【0024】
ブドウは、
図2及び
図3に示すように、末端に複数の果実Fを有しており、これら果実Fと枝Bとの間を穂軸である果実の軸Hで繋いでいる。なお、果実F及び果実の軸Hは幼果の段階のものから熟果の段階のものに至るまでのすべての状態のものを含む。
【0025】
保護シートSは、
図2〜4に示すように、「笠」とも称されるものであり、シート状のものである。保護シートSは、果実Fが雨水を浴びないように果実Fに被せて保護するためのものである。保護シートSは、果実Fに雨水が及ぶのを抑制するために、取付具Gを介して果実の軸Hに装着されるようになっている。
【0026】
保護シートSは、樹脂製のものであり、装着前の状態では略矩形状をなしている。保護シートSは、その端縁s11が取付具Gのシート保持体2に当接し得るように巻回されるものであり、その巻回された状態の形状がステープラー等の止着具(図示せず)によって固定されることにより取付具Gに対して取り付けられる。保護シートSは、その中央部分に、収容孔s12が形成されている。収容孔s12の大きさは、取付具Gにおけるシート保持体2の筒状部2cの大きさに略対応させてある。保護シートSの収容孔s12を形成している開口端すなわち端縁s11は、装着時に取付具Gと直接的に係わり合う部分である。保護シートSには、その外縁s14から収容孔s12に至る1本のスリットs13が設けられている。そして、当該スリットs13によって、収容孔s12及び端縁s11を果実の軸Hに装着された状態にある取付具Gのシート保持体2に導くことができるようになっている。
【0027】
続いて、
図1〜3、及び、
図5〜15に示す取付具Gの軸保持体1及びシート保持体2について詳述する。
【0028】
軸保持体1は、果実の軸Hを挟むための軸保持クリップである。軸保持体1は、内側に果実の軸Hに添接し得る湾曲面a12、c12を有した第一、第二のアームa、cを備えている。これら第一、第二のアームa、cが果実の軸Hを挟むことにより当該果実の軸Hを保持するようにしている。
【0029】
軸保持体1は、第一のアームaとこの第一のアームaを操作するための第一の操作部bとを有した第一のクリップ部材11と、第二のアームcとこの第二のアームcを操作するための第二の操作部dとを有し前記第一のクリップ部材11に対して相対移動し得る第二のクリップ部材12と、前記第一、第二のアームa、cの外側を内側に向かって押圧して当該第一、第二のアームa、cを閉方向に付勢する円弧状をなした弾性体たるスプリング13とを備えている。
【0030】
第一のクリップ部材11と第二のクリップ部材12とは、それぞれ樹脂により形成されたものであり、ヒンジ部hを介して相対回動可能に構成されている。具体的には、第一のクリップ部材11における第一のアームaと第一の操作部bとの中間部に、第二のクリップ部材12側に向かって円弧状に突出したヒンジ突部h1が設けられており、第二のクリップ部材12における第二のアームcと第二の操作部dとの中間部に、第一のクリップ部材11側を向いて円弧状に凹んだヒンジ凹部h2とが設けられている。ヒンジ突部h1はヒンジ凹部h2内に配され、ヒンジ凹部h2と摺接して回動し得るようになっている。すなわち、ヒンジ部hは、前記ヒンジ突部h1とヒンジ凹部h2とを主体に構成されたものであり、当該ヒンジ部hにより第一のクリップ部材11と第二のクリップ部材12とが相対回動し得るようになっている。
【0031】
第一のクリップ部材11の第一のアームaは、平面視において円弧(劣弧)状をなすアーム本体a1を主体に構成されている。アーム本体a1の内面側には上下方向に延びる湾曲面a12が設けられている。アーム本体a1の外面側には円弧状のスプリング13の一端を支持する凹陥状のバネ支持部a11が設けられている。湾曲面a12は、果実の軸Hに直接的に接する部分となる。
【0032】
第一のクリップ部材11の第一の操作部bは、手指により第一のアームaをヒンジ部hを介して開閉操作するための部位である。第一の操作部bは、使用者の手指が接する操作部本体b1を主体に構成されている。操作部本体b1は、中間部にスプリング13挿通用の孔である横方向に貫通するバネ挿通孔b11を有するとともに後端部に手指を掛けるのに好適な突出部位を有した指掛け部b12とを有している。
【0033】
なお、軸保持体1を構成する第一のクリップ部材11とシート保持体2を構成する第一の保持部材構成部材21とは樹脂により一体に形成されている。
【0034】
第二のクリップ部材12の第二のアームcは、平面視において円弧(劣弧)状をなすアーム本体c1を主体に構成されている。アーム本体c1の内面側には上下方向に延びる湾曲面c12が設けられている。アーム本体c1の外面側には円弧状のスプリング13の他端を支持する凹陥状のバネ支持部c11が設けられている。湾曲面c12は、果実の軸Hに直接的に接する部分となる。
【0035】
第二のクリップ部材12の第二のアームcには、アーム本体c1の下端部から外側に突出した雨水侵入抑制部である孔カバーc2が設けられている。孔カバーc2は、板状のものであり、雨水がシート保持体2の軸通路2b内に侵入するのを抑制するために軸通路2bの上部の開口部を塞ぐものである。第二のクリップ部材12は、果実の軸Hが生育するに連れて拡径した場合でも、スプリング13の付勢力に抗して当該果実の軸Hの直径の伸長に追従し得るようになっている。このため、例えば、第二のアームcが第一のアームaに近接した状態で果実の軸Hを支持しているような場合(幼果の段階の比較的細径の果実の軸Hを支持している場合など)でも、第二のクリップ部材12の孔カバーc2が、前記第二のアームcの外側からシート保持体2の軸通路2bに雨水が侵入することを好適に抑制し得るものとなっている。
【0036】
第二のクリップ部材12の第二のアームcには、第二のアームcが開方向に動作する過程において、所定の位置から第二の保持体構成部材22を連動して開方向に動作させる連動機構rの構成部材を備えている。すなわち、第二のアームcは、その下部に下方に向けて突設され、所定の位置から第二の保持体構成部材22に係わり合う突起c3を備えており、当該突起c3が前記連動機構rを構成している。
【0037】
第二のクリップ部材12の第二の操作部dは、手指により第二のアームcを開閉操作するための部位である。第二の操作部dは、使用者の手指が接する操作部本体d1を主体に構成されている。操作部本体d1は、中間部にスプリング13挿通用の孔である横方向に貫通するバネ挿通孔d11と、後端部に指を掛けるのに好適な突出部位を有した指掛け部d12とを備えている。
【0038】
操作部本体d1は、後述するシート保持体2の第二の保持体構成部材22の回動範囲を規制するための回動範囲規制機構tの構成部材を備えている。すなわち、操作部本体d1には、第二の保持体構成部材22に当接し得る回動範囲規制用の突部d13が下方に突出した態様で設けられており、当該突部d13が回動範囲規制機構tを構成している。取付具Gは、回動範囲規制機構tを備えているため、第二の保持体構成部材22が過度に第一の保持体構成部材21に対して過度に回動することが抑制され、果実の軸Hに対する取り付け作業時において煩わしさを軽減することができるようになっている。
【0039】
なお、回動範囲規制機構tは、第二の保持体構成部材22の開閉端部22aを第一の保持体構成部材21の開閉端部21aに近接させる際に、スプリング13が第二のクリップ部材における第二の操作部dに与える外方への付勢力を利用して、第二の保持体構成部材22を閉方向に押し出す付勢機構も構成している。
【0040】
スプリング13は、円弧状をなした金属製のものであり、第一のアームaと第二のアームcとを相寄る方向に付勢するためのものである。なお、スプリング13の付勢力は、果実の軸Hを保持し得るとともに、果樹の成長に伴い果実の軸Hが拡径した場合にその拡径に追従し得る大きさに設定されている。
【0041】
続いて、シート保持体2について詳述する。
【0042】
シート保持体2は、概略円筒状のものである。シート保持体2は、保護シートSと係わり合って当該保護シートSを落下しないように保持するためのシート保持部2aと、平面視における略中央部に設けられ果実の軸Hが通過し得る上下方向に延びる空間である軸通路2bと、前記シート保持部2aの上側に外面側を略面一にして連設され、保護シートSの端縁s11を取り付ける際の目標位置となり得る筒状部2cと、この筒状部2cの上側に連設され、筒状部2cの外周面よりも外側に張り出した態様で設けられた天壁2dと、前記シート保持部2aの下に外面側を略面一にして連設された筒状をなす大径筒状部2eとを備えている。
【0043】
シート保持部2aは、保護シートSの端縁s11と係わり合って当該保護シートSを保持するための部位である。シート保持部2aは、外側に形状が保持された状態の保護シートSの端縁s11と係わり合う傾斜面213a、223aを備えている。より具体的に言えば、シート保持部2aは、下方に向かうにつれ外径寸法が大きくなる形状を有している。この実施形態では、シート保持部2aの外面は円錐面となっており、その円錐面が保護シートSの端縁s11と係わり合って、保護シートSの落下を規制している。シート保持部2aの内側には空間を有しており軸通路2bを構成している。
【0044】
軸通路2bは、収穫段階にある果実の軸Hの太さを収容し得る大きさすなわち空間幅を有している。本実施形態における軸通路2bは、収穫段階に生育したブドウの果実の軸Hを収容し得る約7mmの空間幅に設定されている。換言すれば、軸通路2bを有したシート保持体2は、収穫段階にまで生育したブドウの果実の軸Hを囲繞し得るものである。
【0045】
筒状部2cは、保護シートSの端縁s11の巻回に好適な円筒状のものであり、シート保持部2aの上端に連続して形成されている。筒状部2cの外面は保護シートSが風によって移動した際に端縁s11と摺接し得る部位になっている。筒状部2cは一定の上下寸法を有しており、保護シートSを装着する際には筒状部2cの外周面に対して端縁s11を添接させるようにする。つまり、筒状部2cの外周面は取り付け時の目標部位となっている。筒状部2cの内側には空間を有しており軸通路2bを構成している。
【0046】
天壁2dは、平面視において略ドーナツ形状をなしており、中央部の空間が軸通路2bを構成している。天壁2dは、筒状部2cの上端縁から連続して形成されており、筒状部2cの外周面よりも外側に延出した鍔状の部位を形成している。天壁2dは筒状部2cの外面よりも外側に張り出しており、雨水が筒状部2cの外面に及び難いようになっている。このようにすることで、雨水は、筒状部2dの外面を伝わって保護シートSの端縁s11との間に入り込むことが好適に抑制されることになる。
【0047】
天壁2dは、シート保持体2の第二の保持体構成部材22の回動範囲を規制するための回動範囲規制機構tの構成部材を備えている。すなわち、天壁2dは、第二の操作部dに設けられた突部d13に当接し得る外縁部221bを有しており、当該外縁部221bが回動範囲規制機構tを構成している。
【0048】
天壁2dは、第二のアームcが開方向に動作する過程において、所定の位置から第二の保持体構成部材22を連動して開方向に動作させる連動機構rの構成部材を備えている。すなわち、天壁2dは、その内方端部に前記アームcの突起c3が係わり合う係合部221aを備えており、当該係合部221aが連動機構rを構成している。
【0049】
大径筒状部2eは、シート保持部2aの下端に連続して形成された略円筒状のものであり、外面側に第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材22とを回転可能に連結するためのヒンジ部jが設けられている。
【0050】
大径筒状部2eにおける第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材22の開閉端部21a、22a側にはこれら第一、第二の保持体構成部材21、22の開閉端部21a、22a同士を接続した状態で保持する接続機構kが設けられている。
【0051】
具体的には、第一の保持体構成部材21は、一端側にヒンジ部jを構成する上下方向に延びる第一ヒンジ部材たる軸部214aを有し、他端側に接続機構kを構成する第一係合部たる係合凹部214bを有している。そして、第二の保持体構成部材22は、一端側にヒンジ部jを構成する前記軸部214aを包持する第二ヒンジ部材たる軸保持部224aを有し、他端側に接続機構kを構成する前記係合凹部214bと係わり合う第二係合部たる係合突部224bを有している。軸保持部224aは軸部214aに対して密着して包持し得るように設定されており、第二の保持体構成部材22が第一の保持体構成部材21に対して自重によって回転し難いようになっている。このようにすることで、取り付け時において第二の保持体構成部材22の第一の保持体構成部材21に対する姿勢が定まらず煩わしさが生じるという不具合を抑制している。
【0052】
ヒンジ部jは、平面視において第一、第二の操作部b、d側すなわち後側に設けられており、接続機構kは平面視において第一、第二のアームa、c側すなわち前側に設けられている。つまり、第一、第二のアームa、cの開閉位置方向に対応して、第一、第二の保持体構成部材21、22の開閉端部21a、22aが開閉し得るようになっており、装着時に作業の迅速に寄与し得るものとなる。
【0053】
シート保持体2は、半割筒状をなしている樹脂製の第一の保持体構成部材21と半割筒状をなしている樹脂製の第二の保持体構成部材22とによって構成されている。そして、これら第一、第二の保持体構成部材21、22の端縁同士を突き合わせることにより筒状をなすシート保持体2を形成し得るようになっている。第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材22は、果実の軸Hを囲うようにして相互に取り付けられるものである。換言すれば、第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材22とは、相互に取り付けられた状態で、果実の軸Hを囲うことができるようになっている。
【0054】
第一の保持体構成部材21は、天壁2dを構成するための天壁構成部211と、筒状部2cを構成するための筒状部構成部212と、シート保持部2aを構成するための外面に前記傾斜面213aを有したシート保持部構成部213と、大径筒状部2eを構成するための前記軸部214a及び係合凹部214bを有した大径筒状部構成部214と、軸通路2bを構成するための空間を有した軸通路構成部215とを備えている。
【0055】
第二の保持体構成部材22は、天壁2dを構成するための前記係合部221a及び前記外縁部221bを有した天壁構成部221と、筒状部2cを構成するための筒状部構成部222と、シート保持部2aを構成するための外面に傾斜面223aを有したシート保持部構成部223と、大径筒状部2eを構成するための前記軸保持部224a及び係合突部224bを有した大径筒状部構成部224と、軸通路2bを構成するための空間を有した軸通路構成部225とを備えている。
【0056】
軸保持体1を構成する第一のクリップ部材11とシート保持体2を構成する第一の保持体構成部材21とは樹脂により一体に形成されている。より具体的には、第一のアームaの下端部と第一の保持体構成部材21の天壁構成部211の上端部とは樹脂により一体に接続している。つまり、第一のクリップ部材11と第一の保持体構成部材21とは、一体的に動作することになる。
【0057】
軸保持体1の第一、第二のクリップ部材11、12及びシート保持体2は、樹脂により形成されるものであり、それらは比較的明度が高い色(オレンジ色や黄色や黄緑色等)に着色されている。このようにすることで、種なしブドウの生産、果実Fの落下防止、或いは果実Fの成長促進などのために行われるジベレリン処理が行われたことを示す目印としても有効に機能するようにしている。
【0058】
次いで、本実施形態に係る取付具Gの果実の軸Hに対する装着等について説明する。なお、以下の説明はあくまでもブドウに対する装着等に関する一例を説明するものであり、装着等が以下の説明に限られるものではない。
【0059】
ブドウの果実F(幼果の段階)に対してジベレリン処理を施した後に、当該果実Fを保持する果実の軸Hに対して取付具Gを取り付ける。取付具Gは、ジベレリン処理として透明な薬液を使用した場合に処理が完了した目印の役割も果たす。
【0060】
シート保持体2を構成する第一、第二の保持体構成部材21、22の開閉端部21a、22a側の接続を解除し離れた状態にしておく。具体的には大径筒状部2eの接続機構kによる接続(係合凹部214bと係合突部224bとの係合)を解除し、果実の軸Hを軸通路2bに導くことができるようにしておく。取付具Gは、回動範囲規制機構tを設けているので、第二の保持体構成部材22の開閉端部22aが第一の保持体構成部材21から過度に離れてしまい、作業者による軸保持体1の操作に支障をきたすことが抑制されている。また、取付具Gは、連動機構rを設けているので、軸保持体1を開方向に操作するだけで、一定の位置から第一、第二の保持体構成部材21、22の開閉端部21a、22a側の接続を解除することができるようになっている。
【0061】
次いで、軸保持体1により、果実の軸Hを把持する。具体的には、手指により、第一のクリップ部材11の第一の操作部bと第二のクリップ部材12の第二の操作部dとをスプリング13の付勢力に抗して相寄る方向に寄せ、第一のアームaと第二のアームcとを相離れる方向(開方向)に一時的に移動し、その間に、当該第一のアームaと第二のアームcとの間に果実の軸Hを位置させる。その後、第一、第二の操作部b、dに対する操作を解除することにより、スプリング13の付勢力にしたがって第一、第二のアームa、cを閉方向に移動させて果実の軸Hを挟持する。
【0062】
しかる後に、第一、第二の保持体構成部材21、22の開閉端部21a、22a側を接続する。具体的には、大径筒状部2eの接続機構kを構成する係合凹部214bと係合突部224bとを係合させる。
【0063】
以上により、果実の軸Hに対する取付具Gの装着が完了する。
【0064】
続いて、取付具Gに対して保護シートSを装着する。この実施形態では、保護シートSの収容孔s12を構成する端縁s11部分を、筒状部2cの外面に添接するようにして当該筒状部2cに巻回する。保護シートSが取付具Gに巻回されて一定の笠形状が形成された段階で、図示しないステープラー等の止着具により保護シートSの形状を固定する。これにより、取付具Gに対する保護シートSの取り付けが完了する。保護シートSは、その自重により端縁s11がシート保持体2のシート保持部2aと係わり合い、落下しない状態となる。
【0065】
以上詳述したように、本実施形態に係る取付具Gは、果実の軸Hを保持する軸保持体1と、この軸保持体1の下側に配設され果実保護シートSを保持するシート保持体2とを備えている。このため、果実保護シートSと果実の軸Hとの間にシート保持体2が介在することになるため果実保護シートSが果実の軸Hとこすれ合い、果実の軸Hに擦り傷が生じてしまうという不具合の発生を防止ないし抑制することができるものとなる。
【0066】
軸保持体1が第一、第二のアームa、cを備えており、これら第一、第二のアームa、cが果実の軸Hを両側から挟むことにより当該果実の軸Hを保持するようにしている。このため、果実の軸Hを好適に保持することができるものとなる。
【0067】
シート保持体2が、果実保護シートSと係わり合って当該果実保護シートSを保持するためのシート保持部2aを備えている。このため、果実保護シートSを好適に保持し得るものとなる。
【0068】
シート保持体2が、果実保護シートSの端縁s11と係わり合って当該果実保護シートSを保持するためのシート保持部2aを備えており、前記シート保持部2aが前記果実保護シートSの端縁s11と係わり合う傾斜面213a、223aを備えている。このため、果実保護シートSを接着剤等の格別な保持手段を用いることなく、傾斜面213a、223aを利用して好適に保持し得るものとなる。
【0069】
前記軸保持体1が、第一のアームaとこの第一のアームaを操作するための第一の操作部bとを有した第一のクリップ部材11と、第二のアームcとこの第二のアームcを操作するための第二の操作部dとを有し前記第一のクリップ部材11に対して相対移動し得る第二のクリップ部材12と、前記第一、第二のアームa、cを閉方向に付勢する弾性体13とを備えている。そして、かかる構成のもとで、前記第一、第二のアームa、cが前記果実の軸Hを挟むことにより当該果実の軸Hを保持するようにしている。このため、第一、第二の操作部b、dを操作して、第一、第二のアームa、cが果実の軸Hを挟むことができるため、果実の軸Hに対する装着を好適に行い得るものとなる。
【0070】
シート保持体2が、前記果実の軸Hが通過し得る軸通路2bを備えているため、果実のの軸Hの周囲を取り囲む構成を好適に実現し得るものとなる。
【0071】
シート保持体2が、第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材23とを備えたものであり、これら第一の保持体構成部材21と第二の保持体構成部材23とが、前記果実の軸Hを囲うようにして取り付けられるものである。このため、果実の軸Hの周囲を取り囲む構成を好適に実現し得るものとなる。
【0072】
前記第一のクリップ部材11と前記第一の保持体構成部材21とが一体に形成されているものであるため、果実の軸Hに対する取り付け及び取り外しが便宜なものとなる。
【0073】
軸保持体1とシート保持体2との間、より具体的には、第二のクリップ部材12と第二の保持体構成部材22との間に連動機構rを設けている。このため、果実の軸Hに装着する際には、軸保持体1のみが開方向に操作されてしまい、第二の保持体構成部材22が第一の保持体構成部材21に対して開く方向に回転しないという不具合が解消されるため、装着時における作業性の向上に寄与し得るものとなる。さらには、役割を果たして果実の軸Hから離脱させる際には、軸保持体1を開方向に操作するだけで、第二の保持体構成部材22も第一の保持体構成部材21に対して離れる方向に回転するため、回収時における作業性の向上も寄与し得るものとなる。
【0074】
なお、連動機構rは、
図12及び
図13に示すように、第一のアームaと第二のアームbとが一定の間隔に開いた段階で初めて第二の保持体構成部22に作用するようになっているため、その前段階では軸保持体1のみを開閉操作することが可能になっている。このため、軸保持体1を操作するだけで無理なく保護シートSの上下位置を調整することができ、例えば、収容孔s12が拡開してしまうといった保護シートSの損傷を好適に回避することができるものとなる。
【0075】
また、成長に伴って果実の軸Hが太くなっても、シート保持体2の第一、第二の保持体構成部材21、22が開かないように設定されているので雨水の侵入を好適に抑制できるものとなっている。
【0076】
軸保持体1とシート保持体2との間、より具体的には、
図11に示すように、第二のクリップ部材12と第二の保持体構成部材22との間に回動範囲規制機構tを設けている。このため、果実の軸Hに装着する際に、第二の保持体構成部材22が第一の保持体構成部材21に対して過度に開き過ぎてしまい、軸保持体1の操作に支障を来すという不具合を抑制し得るものとなり、装着時における作業性の向上に寄与し得るものとなる。
【0077】
なお、回動範囲規制機構tは、弾性体13の付勢力を利用して第二の保持体構成部材22を第一の保持体構成部材21に向かって閉方向に押し出す機能も発揮し得るものとなっている。
【0078】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限定されるものではない。
【0079】
取付具は、どのような果実の軸に装着してもよく、ブドウの果実を保護するものに限られない。例えば、リンゴ、ナシ、ミカン、モモ等の果実を保護するためのものであってもよい。
【0080】
保護シートは、樹脂製のものに限られるものではなく、一定の撥水性を有した紙製のものや布製のものであってもよいし、シート状の素材が用いられているものであれば、その形状はどのようなものであってもよい。
【0081】
果実の軸を保持する軸保持体は、果実の軸を保持することができるものであればよく、上述した実施形態のものに限られるものではない。すなわち、軸保持体は、果実の軸を挟んで支持するものには限られない。例えば、軸保持体を、可撓性のある素材を果実の軸に巻回するようなものとしてもよい。
【0082】
保護シートを保持するシート保持体は、保護シートを保持することができればよく、上述した実施形態のものに限られるものではない。例えば、シート保持体を、保護シートの特定の部位が接着し得る接着部分を設けたものとしてもよいし、保護シートの特定の部位に貫通して係わり合う針状の部分を設けたものとしてもよい。
【0083】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。