(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
LANケーブル用コネクタのラッチ用フラッパを含む外周を覆う筐体に前記ラッチ用フラッパに向けて貫通した細孔が形成されたラッチ解除阻止筐体に対応するラッチ解除用工具であって、
前記細孔を通して前記ラッチ用フラッパに達する押圧片部と、
前記押圧片部から離隔する方向に延びる第1被操作部と、
前記第1被操作部と所定の可動結合部で部分的に結合され、且つ、前記押圧片部側に向けて延びるとともに、前記押圧片部に対して接近可能な第2被操作部と、
を含んでなり、
前記第1被操作部及び前記第2被操作部は一連なりの弾性のある金属を折り曲げ加工して構成され、且つ、前記押圧片部は、前記第1被操作部の延長端を適切な角度に折り曲げて形成されているラッチ解除用工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の提案は、コネクタの差込口を備えた機器に該コネクタを差し込んでLANケーブルを該機器に接続したときに、該コネクタの差込口から露出している露出部分全体を、コネクタカバーで覆い、且つ、ロック手段でコネクタカバー手段を取り外すことができないようにするというものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術を提案した時点では、このようなコネクタカバーを装着した後に、特定の管理者等に限り、LANケーブル用コネクタ(プラグ側)の抜去を容易に行えるようにすることについては、特段の提案をしていなかった。
本発明は、上述のような状況に鑑みてなされたものであり、ロック機構を備えたLANケーブル用コネクタの抜去を不特定の者には許容しない一方、特定の者に限り容易に行えるようにした、ラッチ解除阻止筐体及びラッチ解除用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、ここに次のような技術を提案する。
【0007】
LANケーブル用コネクタ(例えば、後述のLANケーブル用コネクタ10)のラッチ用フラッパ(例えば、後述のラッチ用フラッパ12)を覆う第1カバー部(例えば、後述の第1カバー部110)と、
前記第1カバー部と組み合わされて前記LANケーブル用コネクタの外周を覆う筐体を構成する第2カバー部(例えば、後述の第2カバー部120)と、を有し、
前記第1カバー部は、前記ラッチ用フラッパに向けて貫通した細孔(例えば、後述の細孔111)が形成され、
前記第2カバー部は、前記LANケーブル用コネクタのケーブル接続部外殻に形成された凹部(例えば、後述の凹部13)に係合する係止用凸部(例えば、後述の係止用凸部121)が内面に突設されている、
ラッチ解除阻止筐体(例えば、後述のラッチ解除阻止筐体100)。
【0008】
LANケーブル用コネクタ(例えば、後述のLANケーブル用コネクタ10)のラッチ用フラッパ(例えば、後述のラッチ用フラッパ12)を含む外周を覆う筐体(例えば、後述のラッチ解除阻止筐体100の第1カバー部110)に前記ラッチ用フラッパに向けて貫通した細孔(例えば、後述の細孔111)が形成されたラッチ解除阻止筐体(例えば、後述のラッチ解除阻止筐体100)に対応するラッチ解除用工具(例えば、後述のラッチ解除用工具200)であって、
前記細孔を通して前記ラッチ用フラッパに達する押圧片部(例えば、後述の押圧片部211)と、
前記押圧片部から離隔する方向に延びる第1被操作部(例えば、後述の第1被操作部212)と、
前記第1被操作部と所定の可動結合部(例えば、後述の可動結合部230)で部分的に結合され、且つ、前記押圧片部側に向けて延びるとともに、前記押圧片部に対して接近可能な第2被操作部(例えば、後述の第2被操作部221)と、
を含んでな
り、
前記第1被操作部及び前記第2被操作部は一連なりの弾性のある金属を折り曲げ加工して構成され、且つ、前記押圧片部は、前記第1被操作部の延長端を適切な角度に折り曲げて形成されているラッチ解除用工具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロック機構を備えたLANケーブル用コネクタの挿抜を不特定の者には許容しない一方、特定の者に限り容易に行えるようにした、ラッチ解除阻止筐体及びラッチ解除用工具を具現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
【0012】
図6は、本発明を適用するLANケーブル用コネクタを例示する図である。
LANケーブル用コネクタ10は、LANケーブル20の端部に設けられた、例えば、RJ45型コネクタなどのロック機構を備えたコネクタプラグであり、電子機器であるハブ30に設けられたコネクタジャック(不図示)に差し込まれる。このLANケーブル用コネクタ10を、以下、適宜、コネクタ10と称する。
図6の(A)には、コネクタ10をハブ30のコネクタジャックから引き抜いた状態が示され、
図6の(B)には、コネクタ10をハブ30のコネクタジャックに差し込んだ状態が示されている。
【0013】
コネクタ10の本体11には、コネクタジャックに差し込んだ状態でラッチするためのラッチ用フラッパ12が設けられている。
コネクタ10の先端をコネクタジャックの受け口に合わせて差し込む際に、ラッチ用フラッパ12の尾部側が一旦本体11に接近するように変位した後、更に押し込まれたときに元の姿勢に復帰して、コネクタジャック側の係止部にラッチ用フラッパ12の被係止部(不図示)が引っ掛かることによって、ラッチがかかる。これが
図6の(B)の状態である。
図6の(B)の状態から、コネクタ10を引き抜く際には、ラッチ用フラッパ12の尾部を本体11側に押圧変位させてラッチを解除させる。この状態のままで、コネクタ10を引くことにより、コネクタ10をコネクタジャックから抜去することができる。
尚、周知の通り、LANケーブル用コネクタ10では、LANケーブル20の導線を本体11の各対応する接触導体部に接続するためのカシメ工程で、本体11のラッチ用フラッパ12とは反対側のケーブル接続部外殻に凹部13が形成される。
【0014】
図1は、本発明のラッチ解除阻止筐体100が取付けられたLANケーブル用コネクタ10をラッチ解除用工具200を用いてラッチ解除する様子を示す図である。
図1におけるラッチ解除阻止筐体100は本発明の一実施形態であり、ラッチ解除用工具200も本発明の一実施形態である。
図1において、既述の
図6との対応部には同一の符号が附されている。
図1におけるLANケーブル用コネクタ10は、電子機器であるハブ30に設けられたコネクタジャック(不図示)に差し込まれた状態、即ち、既述の
図6の(B)と同じ状態にある。
LANケーブル用コネクタ10にはその外周を覆うようにラッチ解除阻止筐体100が取付けられている。
ラッチ解除阻止筐体100は、全体が同質の樹脂製であり、LANケーブル用コネクタ10のラッチ用フラッパ12を覆う第1カバー部110と、第1カバー部110と組み合わされてコネクタ10の外周を覆う筐体を構成する第2カバー部120とを有する。
第1カバー部110には、コネクタ10のラッチ用フラッパ12に向けて貫通したスリット状の細孔111が形成されている。
また、第2カバー部120には、コネクタ10に形成された既述の凹部13に係合する係止用凸部121が内面に突設されている。
【0015】
ラッチ解除用工具200は、一定の剛性を有する板状の第1部材210と第2部材220との各基端部側が、本例ではヒンジである可動結合部230で結合されて構成されている。
第1部材210は、基端部側とは反対側の先端部側に、ラッチ解除阻止筐体100(その第1カバー部110)の細孔111を通してコネクタ10のラッチ用フラッパ12に達する押圧片部211を持ち、この押圧片部211から離隔する方向(即ち、可動結合部230側)に延びる第1被操作部212を有する。
また、第2部材220は、可動結合部230から第1被操作部212の押圧片部211に対応する部位に向けて延びる第2被操作部221を有する。可動結合部230は上述のとおりヒンジであるため、第2部材220(第2被操作部221)の可動結合部230から離隔した部位は、第1部材210(第1被操作部212)に対し接近しまた離隔するように変位可能である。
【0016】
ラッチ解除用工具200における第1部材210の押圧片部211をラッチ解除阻止筐体100の細孔111に差し込み、第1部材210の第1被操作部212と第2部材220の第2被操作部221とを両者を握持するなどして相互に接近する方向に変位させる。このようにすると、押圧片部211がコネクタ10のラッチ用フラッパ12を押圧するので、コネクタ10のラッチが解除される。
上述のようにしてラッチが解除された状態で、ラッチ解除用工具200を握持したままラッチ解除阻止筐体100ごとコネクタ10をハブ30のコネクタジャック(不図示)から後退させる方向に引くと、コネクタ10は無理なく抜去される。
【0017】
次に、上述の
図1に
図2及び
図3を併せ参照して、ラッチ解除阻止筐体100及びラッチ解除用工具200について更に詳述する。
図2は、
図1のラッチ解除阻止筐体100を複数の視点から見た図であり、
図2の、(A)は平面視、(B)は左側面視、(C)は正面視、(D)は背面視、(E)は底面視の、各視点から見た状態を表している。
また、
図3は、
図1のラッチ解除用工具200を側面から見た図である。
図2及び
図3において、既述の
図1との対応部には同一の符号が附されている。
ラッチ解除阻止筐体100は、第1カバー部110と第2カバー部120とは、上下に組み合わされて、コネクタ10の概略直方体の本体11を略隙間なく収容するコネクタ本体収容空間100aを構成している。
【0018】
また、第1カバー部110と第2カバー部120との後方側には、コネクタ10の本体11から後方に導出されたLANケーブル20に向けて漸次縮径するように錘状に突出したコーン状部130が連なって形成されている。このコーン状部130は、第1カバー部110に連なる上部コーン131と、第2カバー部120連なる下部コーン132と、が上下に合わされて構成されている。コーン状部130の漸次縮径する後部側の端部にはLANケーブル20を略隙間なく通すケーブル挿通孔130aが形成されている。
【0019】
第1カバー部110の、コネクタ10本体11の上側部分を収容する角型の上側コネクタ本体収容部112の上にラッチ用フラッパ12を収容するフラッパ収容部113が連なるようにして構成されている。
本例のフラッパ収容部113は、上側コネクタ本体収容部112よりも幅が狭く、ラッチ用フラッパ12の長手方向に沿って延長した角型を呈し、上側コネクタ本体収容部112の前端(対応するコネクタジャックに対向する端部)よりも更に前側に延長した前側延長部114を有する。また、フラッパ収容部113の後端側は適宜の壁面で閉じられている。
フラッパ収容部113が上側コネクタ本体収容部112よりも幅狭に構成されているため、
図2の(C)及び(D)にて顕著なとおり、コネクタ本体収容空間100aは、上側コネクタ本体収容部112の上壁内面からフラッパ収容部113内に連なる部位に、幅狭になる段差が形成される。このため、コネクタ本体収容空間100aに収納されたコネクタの本体11は搖動することがない。
【0020】
既述の細孔111は、フラッパ収容部113に形成されている。即ち、フラッパ収容部113上面に、その上面の幅を横断する向きで、該幅からフラッパ収容部113の左右側板の厚みを除く範囲に、スリット状に細孔111が形成されている。また、この細孔111は、その上方開口位置から深さ方向に沿って垂下する平行な2枚の内壁111a、111bによって、一定深度までスリットの隙間寸法が維持されるように形成されている。
本例では、この一定深度とは、フラッパ収容部113の高さにおける中程の水準までの程度であり、フラッパ収容部113にコネクタ10の傾斜したラッチ用フラッパ12を収容するときに、内壁111a、111bの最深部がこれに干渉しないように設定されている。
【0021】
一方、第2カバー部120の、コネクタ10本体11の下側部分を収容する角型の下側コネクタ本体収容部122の底部内面側に、既述の係止用凸部121が形成されている。この係止用凸部121は、前方から後方に向けて漸次高さを増す傾斜面部121aと、この傾斜面部の後方端から下側コネクタ本体収容部122の底部内面に略垂直に降下する係止面部121bとを有する、側方視で断面が垂直三角形状をなしている。
【0022】
上述のように構成された本例のラッチ解除阻止筐体100は、ハブ30(コネクタジャック)に向かって右側の側面で、第1カバー部110(その上側コネクタ本体収容部112)と第2カバー部120(その下側コネクタ本体収容部122)とが、肉薄に成形された樹脂による可動結合部141でヒンジのように結合され、左側の側面で上下に開閉可能に構成されている。
また、上側コネクタ本体収容部112と下側コネクタ本体収容部122との左側の側面は上述のように開閉可能であり、且つ、相互の凹凸に形成された係合部(不図示)で弾性的に係合することによって、閉止状態を維持することができるように構成されている。
【0023】
他方、ラッチ解除用工具200は、既述のように、一定の剛性を有する板状の第1部材210と第2部材220との各基端部側が、可動結合部230で結合されて構成されている。
図3の例では、押圧片部211を有する第1部材210及び第2部材220とも金属板で構成され、可動結合部230はヒンジである。第1部材210及び第2部材220はヒンジ230を軸として両者の開き角度が可変である。従って、既述の通り、第2部材220(第2被操作部221)のヒンジ230から離隔して押圧片部211側に向けて延びる部位は、第1部材210(第1被操作部212)に対し接近しまた離隔するように変位可能である。
第1部材210先端の押圧片部211は、ラッチ解除阻止筐体100における第1カバー部110のフラッパ収容部113に形成されたスリット状の細孔111の上記深度を超える長さを有する。本例の押圧片部211は、金属板である第1部材210の第1被操作部212の延長端を適切な角度に折り曲げて形成されている。
【0024】
次に、上述のラッチ解除阻止筐体100をLANケーブル用コネクタ(コネクタプラグ)10に取付ける操作について説明する。
図4は、
図1のラッチ解除阻止筐体100の装着要領を説明するための図である。
図4において既述の
図1及び
図2との対応部には同一の符号を附して示してある。
先ず、
図4(A)のように、ラッチ解除阻止筐体100の可動結合部141でヒンジ結合された第1カバー部110と第2カバー部120とを開く。
次いで、
図4(B)のように、ハブ30(その、不図示のコネクタジャック)にコネクタ10が差し込まれたままの状態で、このコネクタ10から後退した位置のLANケーブル20をラッチ解除阻止筐体100の第1カバー部110と第2カバー部120とを上下から噛むようにして合わせて閉じる。
【0025】
このように閉じると、
図4(C)のように、第1カバー部110と第2カバー部120とは既述の左側面の係合部で係合し、両者が合わされて、内側にコネクタ本体収容空間100aができる。
図4(A)から
図4(C)までの操作は、コネクタ10からは適当に離れたLANケーブル20上の位置で行う。このため、仮に、ハブ30の多数のコネクタジャックにコネクタ(プラグ)が密集して差し込まれていたとしても、ここから離れたLANケーブル20上で密集を避けた作業空間を適宜確保して、第1カバー部110と第2カバー部120との開閉、従って、ラッチ解除阻止筐体100の取付け、を支障なく行うことができる。
次いで、
図4(C)のように、第1カバー部110と第2カバー部120とが合わされて、内側にコネクタ本体収容空間100aができたラッチ解除阻止筐体100を、LANケーブル20に沿ってコネクタ10の位置まで移動させる。
【0026】
この移動により、
図4(D)のように、ラッチ解除阻止筐体100が正規の装着位置に至り、第2カバー部120の係止用凸部121がコネクタ10の凹部13に嵌まり込む。このようにして、ラッチ解除阻止筐体100はコネクタ10に係止された状態に至り、コネクタ10から離脱しなくなる。係止された状態に至る過程では、係止用凸部121の傾斜面部121aがコネクタ10との隙間に徐々に滑り込み、これにより第2カバー部120の下側コネクタ本体収容部122が弾性変形する。そして、やがて、係止用凸部121の係止面部121bがコネクタ10の凹部13の後壁に接した状態で、係止用凸部121が凹部13に嵌入する。嵌入すると下側コネクタ本体収容部122の弾性変形は元に復帰し、ラッチ解除阻止筐体100がコネクタ10に係止された状態が維持される。
【0027】
上述のようにコネクタ10にラッチ解除阻止筐体100が装着された後は、
図1を参照して既述のように、ラッチ解除用工具200を用いて、ラッチ解除阻止筐体100が装着されたままの状態で、コネクタ10をジャックから無理なく抜去することができる。この場合、コネクタ10には直後にLANケーブル20が連なっているが、LANケーブル20を適当に撓わせておけば、コネクタ10の背後からラッチ解除用工具200をアプローチさせるに支障はない。
【0028】
図5は、本発明
の実施形態としてのラッチ解除用工具を示す図である。
図5において、既述の
図3との対応部には同一の符号を附して示し、個々の部位の説明は適宜省略する。
図5のラッチ解除用工具200aは、第1被操作部212を含む第1部材210及び第2被操作部221を含む第2部材220が一連なりの弾性のある金属板を折り曲げ加工して構成され、可動結合部230aはその可撓性のある折り曲げ部である。従って、第2部材220(第2被操作部221)の可動結合部230aから離隔した部位は、第1部材210(第1被操作部212)に対し接近しまた離隔するように変位可能である。
本例においても、押圧片部211は、金属板である第1部材210の第1被操作部212の延長端を適切な角度に折り曲げて形成されている。
使用方法等は、
図3のラッチ解除用工具200と変わりがない。
【0029】
以上に詳述した本発明の実施形態としてのラッチ解除阻止筐体及びラッチ解除用工具によれば次のような作用効果を奏する。
【0030】
本発明の実施形態としてのラッチ解除阻止筐体100は、LANケーブル用コネクタ10のラッチ用フラッパ12を覆う第1カバー部110と、第1カバー部110と組み合わされてLANケーブル用コネクタ10の外周を覆う筐体を構成する第2カバー部120と、を有し、第1カバー部110は、ラッチ用フラッパ12に向けて貫通した細孔111が形成され、第2カバー部120は、LANケーブル用コネクタ10のケーブル接続部外殻に形成された凹部13に係合する係止用凸部121が内面に突設されている。
【0031】
このようなラッチ解除阻止筐体100によれば、ラッチ用フラッパ12が第1カバー部110で覆われるため、LANケーブル用コネクタ10の不正な抜き取りを予防することができる。
また、
図4を参照して説明したように、多数のコネクタジャックにLANケーブル用コネクタ10(プラグ)が密集して差し込まれていたとしても、ここから離れたLANケーブル20上で密集を避けた作業空間を適宜確保して、第1カバー部110と第2カバー部120との開閉を支障なく行えるため、ラッチ解除阻止筐体100をLANケーブル用コネクタ10に装着することができる。
【0032】
また、既存のLANケーブル用コネクタ10に後付けでラッチ解除阻止筐体100を装着するものであるため、不正な抜き取りを予防するために特殊な構造の専用コネクタを用意する必要がない。
また、
図4を参照して説明したように、コネクタジャックにLANケーブル用コネクタ10(プラグ)を差し込んだままの状態でラッチ解除阻止筐体100をLANケーブル用コネクタ10に装着可能である。このため、装着作業に際してもLANケーブル20による通信を中断させる必要がない。
【0033】
また、本発明の実施形態としてのラッチ解除用工具200は、LANケーブル用コネクタ10のラッチ用フラッパ12を含む外周を覆う筐体にラッチ用フラッパ12に向けて貫通した細孔111が形成されたラッチ解除阻止筐体100に対応するラッチ解除用工具200であって、細孔111を通してラッチ用フラッパ12に達する押圧片部211と、
押圧片部211から離隔する方向に延びる第1被操作部212と、第1被操作部212と所定の可動結合部230で部分的に結合され、且つ、押圧片部211側に向けて延びるとともに、押圧片部211に対して接近可能な第2被操作部221と、を含んで構成される。
【0034】
上述のような、ラッチ解除阻止筐体100及びラッチ解除用工具200によれば、LANケーブル用コネクタ10を抜去するには専用の工具であるラッチ解除用工具200が必要とされるため、許可を得た者のみがLANケーブル用コネクタ10を抜去できる管理体制を敷くことができる。
また、ラッチ解除阻止筐体100及びラッチ解除用工具200によれば、ラッチ解除阻止筐体100の細孔111と、これに適合するラッチ解除用工具200の押圧片部211とを、種々形を変えた複数の組み合わせとして準備することにより、適用対象の群ごとに専用のラッチ解除用工具200のみが適合することになり、セキュリティの向上が図られる。
【0035】
コネクタ10には直後にLANケーブル20が連なっているが、たとえ多数のコネクタジャックにLANケーブル用コネクタ10(プラグ)が密集して差し込まれていたとしても、LANケーブル20を適当に撓わせておけば、コネクタ10の背後からラッチ解除用工具200をアプローチさせ、支障なくコネクタ10を抜去することができる。
また、コネクタ10に色分けにより誤配線を防止する保護カバーなどが適用されていても、このような保護カバーの寸法を見込んだ寸法でラッチ解除阻止筐体100及びラッチ解除用工具200を構成すれば、保護カバーを装着したままで、ラッチ解除阻止筐体100及びラッチ解除用工具200を適用できる。
【0036】
また、
図4(C)を参照して説明したように、ラッチ解除阻止筐体100の装着作業の過程で、第1カバー部110と第2カバー部120とが合わされて、内側にコネクタ本体収容空間100aができたラッチ解除阻止筐体100を、LANケーブル20に沿ってコネクタ10の位置まで移動させる。この移動方向は、コネクタ10が差し込まれているコネクタジャックに向かう方向である。従って、装着作業の過程でコネクタ10をコネクタジャックから引き抜く方向の力が作用せず、コネクタ10が不用意に抜去されてしまうおそれがない。
【0037】
更にまた、
図2(A)及び
図2(B)を参照して説明したように、細孔111は、その上方開口位置から深さ方向に沿って垂下する平行な2枚の内壁111a、111bによって、一定深度までスリットの隙間寸法が維持されるように形成されている。
このため、ラッチ解除用工具200を持たない者が、不正に、ボールペンのペン先やシャープペンシルの先端ガイドパイプなどで細孔111からコネクタ10のラッチ用フラッパ12を押圧しようと試みても、これらでは細孔111の深部に達せず、コネクタ10を抜去することはできない。
【0038】
また、
図2を参照して説明したように、ラッチ解除阻止筐体100における第1カバー部110の、コネクタ10本体11の上側部分を収容する角型の上側コネクタ本体収容部112の上にフラッパ収容部113が設けられている。そしてこのフラッパ収容部113は、上側コネクタ本体収容部112の前端(対応するコネクタジャックに対向する端部)よりも更に前側に延長した前側延長部114を有する。
従って、
図4(D)のように、ラッチ解除阻止筐体100がコネクタ10に装着された状態において、コネクタジャック(ハブ30)とラッチ解除阻止筐体100との隙間からラッチ用フラッパ12を押圧しようと試みても、前側延長部114がコネクタジャック(ハブ30)に近接しているため、押圧するための板状体などを差し込む隙間ができない。従って、コネクタ10の不正な抜去を防止できる。
【0039】
更にまた、
図2を参照して説明したように、ラッチ解除阻止筐体100の背面側は、フラッパ収容部113については、その後端側が適宜の壁面で閉じられている。また、上側コネクタ本体収容部112及び下側コネクタ本体収容部122については、コーン状部130が連なって形成されLANケーブル20との隙間も閉じられている。
このため、ラッチ解除阻止筐体100の背面側にも、ラッチ用フラッパ12を押圧するための棒状体などを差し込む隙間がない。従って、コネクタ10の不正な抜去を防止できる。
【0040】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。例えば、ラッチ解除阻止筐体100の細孔111はスリット状であったが、星形、その他、種々の特殊な形状を採ることができる。当然ながら、細孔111に対応するラッチ解除用工具200の押圧片部211の形状も細孔111の形状に適合したものとする。
【0041】
また、本発明は、
LANケーブル用コネクタ(10)のラッチ用フラッパ(12)を覆う第1カバー部(110)と、前記第1カバー部(110)と組み合わされて前記LANケーブル用コネクタ(10)の外周を覆う筐体を構成する第2カバー部(120)と、を有し、前記第1カバー部(110)は、前記ラッチ用フラッパ(12)に向けて貫通した細孔(111)が形成され、前記第2カバー部(120)は、前記LANケーブル用コネクタ(10)のケーブル接続部外殻に形成された凹部(13)に係合する係止用凸部(121)が内面に突設されている、ラッチ解除阻止筐体(100)と、
細孔(111)を通してラッチ用フラッパ(12)に達する押圧片部(211)と、押圧片部(211)から離隔する方向に延びる第1被操作部(212)と、第1被操作部(212)と所定の可動結合部(230)で部分的に結合され、且つ、押圧片部(211)側に向けて延びるとともに、押圧片部(211)に対して接近可能な第2被操作部(221)と、を含んでなるラッチ解除用工具200と、の
セットとしても成立するものである。