(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989752
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】表面仕上材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B44C 3/02 20060101AFI20160825BHJP
B44D 5/00 20060101ALI20160825BHJP
B32B 9/02 20060101ALI20160825BHJP
A01N 1/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B44C3/02 Z
B44D5/00
B32B9/02
A01N1/00
【請求項の数】4
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2014-255697(P2014-255697)
(22)【出願日】2014年12月18日
(62)【分割の表示】特願2011-147109(P2011-147109)の分割
【原出願日】2004年6月11日
(65)【公開番号】特開2015-71787(P2015-71787A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】088743
(32)【優先日】2004年2月16日
(33)【優先権主張国】TH
(73)【特許権者】
【識別番号】504225688
【氏名又は名称】ザ ファウンデイション フォー ザ プロモーション オブ サプリメンタリー オキュペイションズ アンド リレイテッド テクニクス オブ ハー マジェスティ クイーン シリキット
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンプイング スポルンペン ルアングセプ
【審査官】
安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−175200(JP,A)
【文献】
実開昭62−025599(JP,U)
【文献】
特開2011−190464(JP,A)
【文献】
新村出編,広辞苑第3版,日本,岩波書店,1984年11月20日,1512ページ(玉虫の項)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C1/00〜B44C7/08
B44D2/00〜B44D7/00
A01N1/00〜A01N65/48
B32B1/00〜B32B43/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む昆虫類からの表面仕上材の製造方法:
(1) 適当な性質を有する昆虫類として、繁殖の後に自然死した金属色の木食いカブト虫類を選択すること;
(2) 上記の昆虫類の羽、頭部または腹部の下側部を完全に乾燥すること;
(3) 上記の完全に乾燥した昆虫類の前記部位の表面下部の組織を分解および除去すること、ここで
工程(2)は、約30〜40℃の温度での1〜2日間の太陽光または乾熱を使用して実施され;
工程(3)は、上記の組織を除くために力を加えることにより実施され、かつ
上記の表面仕上材は種々の寸法の小片に切断することにより分割され、上記木食いカブト虫類は孵化後約9ヶ月〜1年のタイ国産の玉虫である。
【請求項2】
表面仕上材の厚さが0.1〜1.5mmである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
表面仕上材の厚さが0.5〜1.0mmである請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
繁殖の後に自然死した金属色の木食いカブト虫類を選択して用いることにより、前記表面仕上材はより光沢があり虹色の輝きもより優れ、破損に対する抵抗性が増している、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の概要)
本発明は、種々の光沢のある色による虹色の輝きのある天然材料からの表面仕上材の製造方法であって、寸法は必要に応じて大きい小片あるいは小さい小片に選択でき、しかも、自然の特徴を利用し環境に有害な影響を引き起こさない、該製造方法に関する。
本発明は、硬く、脆い、種々の光沢のある色による虹色の輝きのある、容易には破損しない天然材料からの表面仕上材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去から現在にわたり、人類は感動を高めるためや自己の宗教上の信条に敬意を捧げるためのような異なった目的の種々の芸術品を作り出してきた。従って、種々の芸術の異なった形態の創作品が存在する。このような創作品の一つには、諸材料、装置または任意の対象の表面を、表面エッチング、図案による装飾、印刷などの種々の方法を用いて仕上げすることが含まれる。好ましい方法の一つは、表面を飾るために諸材料をはりつけることである。このような材料は通常、表面仕上材と呼ばれる。
【0003】
好ましく使用される表面仕上材は植物、動物のような天然材料である。たとえば表面に種々の光沢のある色による虹色の輝きのある材料をはりつけることである。しかし、これらの材料は通常、非常に脆くて破損し易いという弱点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、種々の光沢のある色による虹色の輝きのある、通常非常に脆く、破損し易い天然材料による表面仕上材の製造方法を目的としており、そのため本発明はこの弱点の改善を目指していて、適切に適合させることにより達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法に使用するのに適した材料は、種々の光沢のある色による虹色の輝きのあるものでなくてはならない。好ましくは、これらの材料は、甲虫目タマムシ科に属する金属色の木食いカブト虫のような硬い羽をもつ昆虫または同様の性質を有するほかの昆虫から選ばれた昆虫から得られる。
【0006】
使用されるべきこれらの昆虫の部位は頭部、胴体部、関節、または腹部の下側部である。より適した部位は、大きさが適当であり、種々の作品に使用できるので羽である。これらの昆虫は寿命サイクルが短いが、どのような観点をもってしても、これが本発明で表面仕上材にこれらの昆虫を用いる理由ではない。
【0007】
自然を保護するという本発明の性質から、本発明は自然死して、同時に付加価値を生ずる昆虫類を対象としている。研究者達によれば、自然死した昆虫類の種々の部位を使用する本発明の製造方法により製造される表面仕上材は、自然死でない昆虫類を用いたものよりよい結果が得られることが見出されている。すなわちそのような表面仕上材は、より光沢があり虹色の輝きもより優れ、破損に対する抵抗性が増している。理論によるものではないが、使用に適した昆虫類は、繁殖後に自然死したものであるべきである。通常、この昆虫類は、孵化後約9ヶ月から1年のものである。従って、本発明の目的を達成するためには、本発明の特有の性格からのみ見出されることであるが、昆虫類が自然死することが確実でなくてはならない。
【0008】
本発明の一つの実施態様としては、上記の死んだ昆虫類は、まず、完全に乾燥しなければならない。乾燥は、昆虫またはその必要な部位を分解するのに高すぎない温度、例えば約30〜40℃の温度で、昆虫のタイプおよび他の条件によってはさらに長くなるが、約1〜2日間の太陽光、または乾熱のような多数の方法で場合により実施できる。
【0009】
加えて、上記の表面仕上材の表面下部の組織を分解する、上記の表面仕上材片の色が褐色から黒に変化することにより観察される一つの方法を、選ぶことが出来る。この方法は化学薬品を使用することなく、機械装置または必要なら工具による圧力のような適当な力を適用して組織を除く事によって達成できる。本発明においては、昆虫の年齢が不適当である場合および、本発明により適切に乾燥されていない場合にはこれらの組織は昆虫の部位からその部位を破損させずに取り除くことはできない。
【0010】
本発明においては、表面仕上材の得られた厚さが光の反射に影響し、それが個々の光沢ある色と虹色の輝きに影響するので、適当な厚さは0.1〜1.5mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmであることが見出されている。
【0011】
所望の厚さが得られたときには、場合により、その表面仕上材を、用途により必要とされる種々の寸法の小片に切断することにより分割する。
【0012】
本発明の方法に従って製造された製品は単独で任意の材料、装置または道具の表面仕上に、あるいは、リゴジウムフレクソスム(Lygodium flexuosum)種のつた、籐、竹もしくは金のような貴金属のようなほかの材料とともに、あるいは任意の工芸技法とともに用いられる。