特許第5989764号(P5989764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989764電動スクリュードライバのための電気ラチェット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989764
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電動スクリュードライバのための電気ラチェット
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20160825BHJP
   H02P 6/08 20160101ALI20160825BHJP
【FI】
   B25B21/00 530D
   H02P6/08
   B25B21/00 540Z
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-508517(P2014-508517)
(86)(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公表番号】特表2014-517774(P2014-517774A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012035004
(87)【国際公開番号】WO2012149023
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】13/095,600
(32)【優先日】2011年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】フェア,クリストファー・エル
(72)【発明者】
【氏名】コルツ,マイケル・エル,ジュニア
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030325(JP,A)
【文献】 特開2004−082222(JP,A)
【文献】 特開昭62−102977(JP,A)
【文献】 特表2008−537901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00 − 21/02
A61B 17/14 − 17/16
H02P 6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって握持するように構成されるハンドル部およびトリガーを有するドライバハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるモータであって、前記モータがステータとロータとを備え、前記ロータが前記ステータ内に回転可能に配置される、モータと、
回転出力を与えるとともに、前記ロータに機械的に結合される作用端と、
前記モータに電力を供給するようになっている電源と、
モータ状態を表わす信号を受信するとともに、その受信された信号に基づいて、電気ラチェット能力を与える態様で前記モータを制御するようになっているコントローラと、
を備え
前記コントローラは、前記トリガの押圧なしに負荷が前記モータに第1方向に印加されるときに、前記ステータに対する前記ロータの回転位置を維持するように前記モータを転流し、
前記トリガの押圧なしに負荷が前記モータに前記第1方向とは反対の第2方向に印加されるときに、前記ステータに対する前記ロータの自由回転を許容する、
電動スクリュードライバシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ステータに対する前記ロータの位置を示す信号を受信するように構成されるとともに、前記ステータに対する第1の方向の前記ロータの回転位置を維持するために前記モータに給電するように構成される請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項3】
ドライバと、別個の制御コンソールとを更に備え、前記ドライバは、前記ドライバハウジングと、前記モータと、前記作用端とを備え、前記別個の制御コンソールが前記コントローラを備え、前記制御コンソールは、前記モータを制御するために前記ドライバと電気的に通信する請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項4】
モータ状態を表わす前記信号は、前記ステータに対する前記ロータの位置を示す信号であり、前記コントローラは、前記信号に基づいて前記ロータの位置を決定するように構成される請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項5】
前記信号は、前記モータからの電磁力を示す信号およびロータ検知要素からの信号のうちの1つである請求項に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記ステータに対する前記ロータの望ましい位置を定めること、および、
前記トリガの押圧なしに、前記ロータを望ましい位置にほぼ維持するためにトルクが前記ロータに抗して前記第1の方向で印加されるときに前記モータを転流すること、
によって電気ラチェット能力を与える態様で前記モータを制御するように構成されるとともにそのように制御するようになっている請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
トルクが前記ロータに抗して前記第2の方向で印加されるときに前記ロータの自由回転移動を許容すること、
によって電気ラチェット能力を与える態様で前記モータを制御するように更に構成されるとともにそのように制御するようになっている請求項に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項8】
前記ドライバハウジングおよび前記モータは、外科処置前に前記ハウジングを滅菌するためにオートクレーブ可能である請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項9】
モードセレクタと、
前記モータを調整するためのトリガと、
を備え、
前記コントローラは、前記モードセレクタが順方向モードにあるとともに前記トリガが押圧されないときにラチェットモードで動作するように構成される請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項10】
ユーザによって握持するように構成されるハンドル部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるモータであって、前記モータがステータとロータとを備え、前記ロータが前記ステータ内に回転可能に配置される、モータと、
回転出力を与えるとともに、前記ロータに機械的に結合される作用端と、
を備えるハンドピースドライバと、
前記ハンドピースドライバとは別個の制御コンソールであって、前記ハンドピースドライバと電気的に通信する制御コンソールと、
を備え、
前記制御コンソールは、負荷が前記モータに第1の方向で印加されるときに前記ロータの望ましい相対位置を維持するために前記モータを転流するように構成されるコントローラを備え、前記コントローラは、負荷が前記モータに第2の方向で印加されるときに前記ステータ内の前記ロータの自由回転移動を許容するようにも構成され、
前記コントローラは、前記ステータに対するロータの位置を決定するように逆起電力を使用する、
電動スクリュードライバシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ステータに対する前記ロータの位置を示す逆起電力信号を受信するように構成され、前記コントローラは、前記逆起電力信号に基づいて前記ロータの望ましい相対位置を決定するように構成される請求項10に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記ステータに対する前記ロータの望ましい相対位置を定める、および、
前記ロータを望ましい相対位置にほぼ維持するためにトルクが前記ロータに抗して第1の方向で印加されるときに前記モータを転流する、ように構成されてそのようにするようになっている請求項10に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項13】
前記ドライバハウジングおよび前記モータは、外科処置前に前記ハウジングを滅菌するためにオートクレーブ可能である請求項1に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項14】
前記ハンドピースドライバは、前記ステータに対する実際のロータ位置を表わす信号を発するように構成され、前記制御コンソールは、望ましいロータ位置を定めるように構成されて、前記ハンドピースドライバから前記実際のロータ位置を表わす信号を受信するように構成されるとともに、前記実際のロータ位置が前記望ましいロータ位置から外れる場合を決定するように構成され、前記コントローラは、前記実際のロータ位置が予め設定された閾値量を超えて前記望ましいロータ位置から外れるときに前記モータを転流するように構成される請求項10に記載の電動スクリュードライバシステム。
【請求項15】
スクリュードライバシステムを動作させる方法であって、
ステータに対する開始ロータ位置を推定するステップと、
前記開始ロータ位置に相当する前記ステータに対する第1の望ましいロータ位置を設定するステップと、
前記ステータに対する前記第1の望ましいロータ位置をほぼ維持して前記ロータに第1の方向で印加される負荷をオフセットするためにモータを転流するステップと、
前記ロータに第2の方向で印加される負荷に応じて前記ステータ内の実際のロータ位置の移動を許容するステップと、
移動されたロータ位置に相当する前記ステータに対する第2の望ましいロータ位置を設定するステップと、
を備える方法。
【請求項16】
前記第1の望ましいロータ位置と前記実際のロータ位置との間の差としてエラー因子を決定するステップと、
前記エラー因子が予め定められた閾値を超えるときに前記第1の望ましいロータ位置をほぼ維持するために前記モータを転流する前記ステップを行うステップと、
を備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の望ましいロータ位置と前記実際のロータ位置との間の差としてエラー因子を決定するステップと、
前記望ましいロータ位置がプラスで且つ前記エラー因子がマイナスのとき、または、前記望ましいロータ位置がマイナスで且つ前記エラー因子がプラスのときに、第2の望ましいロータ位置を設定する前記ステップを行うステップと、
を備える請求項15に記載の方法。
【請求項18】
電気ラチェット能力がアクティブであるかどうかを決定するステップと、
モードセレクタが順方向モードであるかまたは逆方向モードであるかどうかを決定するステップと、
前記実際のロータ位置が前記第1または第2の望ましいロータ位置から自由に動くときに可聴クリックノイズを発するための信号を発生させるステップと、
を更に備える請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、ネジ回しシステムの分野に関し、より詳細には、ラチェットシステムを有するネジ回しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]電動スクリュードライバは、ネジおよびボルトを回すための手動のスクリュードライバよりもかなり効率的である。しかしながら、かなり注意しないと、電動スクリュードライバは、ネジまたはボルトを締め付けすぎるまたは回転しすぎる可能性がある。外科用途などの幾つかの重大な用途では、ユーザは、締め付けすぎを回避するため、または、回されるネジまたはボルトを望ましい回転位置へ向けるために手動でネジを回す場合がある。これらの場合、ユーザは、ネジが臨界位置に近づき始めるまで、電動ドライバを用いてネジを回す場合がある。その後、締め付けすぎるまたは回転しすぎの機会を減らすために、ユーザは、電動ドライバを脇に置いて、別個のラチェットスクリュードライバまたは手動スクリュードライバを用いてネジを手動で締め付ける。
【0003】
[0003]ラチェットは、それらがねじ込み方向の回転を防止して他方向の連続的な自由回転を与えるため、ネジやボルトを締め付けるための手動スクリュードライバよりも効率的である。したがって、ラチェットは、しばしば、外科用途における手動スクリュードライバよりも好ましい。従来のラチェットは、駆動工具のハンドルと駆動されるべきハードウェアとの間で機械的なアセンブリを使用する。例えば、従来の機械的なラチェットアセンブリは、ギアシステム、歯止めを有する高摩擦面、歯および歯止めを有するスプロケット、または、一方向の回転を機械的に制限するための輪止めを含む。
【0004】
[0004]これらの従来のラチェットは、工具全体のサイズを増大させるとともに全体の重量も増大させる大型の機械的なアセンブリを必要とする。例えば、ラチェットハウジングは、機械的なラチェットシステムを受け入れるように寸法付けられなければならない。また、これらの機械的なアセンブリは、ラチェットに質量を付加し、その後、工具の回転要素に更なる慣性を加える。大型で重いシステムは、操作者の疲れ、および/または、操作者の負傷を増大させる場合があり、そのため、潜在的に、あまり効果的なネジ標的化をもたらさない。これは、患者の手術結果に影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]本明細書中に開示される装置および方法は、前述した欠点、および/または、従来技術の欠点のうちの1つ以上を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、電気ラチェットを有する電動スクリュードライバシステムを対象とする。
[0007]1つの態様によれば、本開示は、ユーザによって握持するように構成されるハンドル部を有するドライバハウジングを含むとともに、ハウジング内に配置されるモータを含む電動スクリュードライバシステムを対象とする。モータはステータとロータとを備え、ロータがステータ内に回転可能に配置される。作用端が、回転出力を与えるとともに、ロータに機械的に結合される。電源がモータに電力を供給する。コントローラが、モータ状態を表わす信号を受信するとともに、その受信された信号に基づいて、電気ラチェット能力を与える態様でモータを制御する。
【0007】
[0008]1つの態様において、コントローラは、ステータに対するロータの位置を示す信号を受信するように構成されるとともに、ステータに対する第1の方向のロータの望ましい位置を維持するためにモータに給電するように構成される。他の態様において、コントローラは、第1の方向と反対の第2の方向でのステータに対するロータの自由回転を許容するように構成される。
【0008】
[0009]他の典型的な態様において、本開示は、ハンドピースドライバと制御コンソールとを有する電動スクリュードライバシステムを対象とする。ハンドピースドライバは、ユーザによって握持するように構成されるハンドル部を有するハウジングと、ハウジング内に配置されるモータとを備える。作用端が、回転出力を与えるとともに、ロータに機械的に結合される。制御コンソールは、ハンドピースドライバとは別個の制御コンソールであって、ハンドピースドライバと電気的に通信する。制御コンソールは、負荷がモータに第1の方向で印加されるときに、ステータ内のロータの望ましい相対位置を維持するためにモータを整流するように構成されるコントローラを備え、コントローラは、負荷がモータに第2の方向で印加されるときにステータ内のロータの自由回転移動を許容するようにも構成される。
【0009】
[0010]1つの態様において、コントローラは、ステータに対するロータの位置を示す信号を受信するように構成されるとともに、前記信号に基づいてロータの望ましい相対位置を決定するように構成される。
【0010】
[0011]他の典型的な態様において、本開示は、外科用スクリュードライバシステムを動作させる方法を対象とする。方法は、ステータに対する開始ロータ位置を推定するステップと、開始ロータ位置にほぼ相当するステータに対する第1の望ましいロータ位置を設定するステップとを含む。また、方法は、ステータに対する第1の望ましいロータ位置をほぼ維持してロータに第1の方向で印加される負荷をオフセットするためにモータを整流するステップも含む。ステータ内の実際のロータ位置の移動が、ロータに第2の方向で印加される負荷に応じて許容される。また、方法は、移動されたロータ位置にほぼ相当するステータに対する第2の望ましいロータ位置を設定するステップも含む。
【0011】
[0012]1つの態様において、方法は、第1の望ましいロータ位置と実際のロータ位置との間の差としてエラー因子を決定するステップと、エラー因子が予め定められた閾値を超えるときに第1の望ましいロータ位置をほぼ維持するためにモータを整流する前記ステップを行うステップとを含む。1つの態様において、方法は、第1の望ましいロータ位置と実際のロータ位置との間の差としてエラー因子を決定するステップと、望ましいロータ位置がプラスで且つエラー因子がマイナスのとき、または、望ましいロータ位置がマイナスで且つエラー因子がプラスのときに、第2の望ましいロータ位置を設定する前記ステップを行うステップとを含む。
【0012】
[0013]本発明の更なる態様、形態、実施形態、目的、特徴、利益、および、利点は、本明細書中に与えられる詳細な図面および説明から明らかになる。
[0014]本開示の態様は、添付図面から最も良く理解されて説明されるとともに、本明細書中の記載によって成文化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0015]ドライバと制御コンソールとを含むとともに電気ラチェットを備える本開示の第1の実施形態に係る典型的なモータ式スクリュードライバシステムの例示である。
図2】[0016]図1の典型的なドライバにおけるモードセレクタの非常に簡略化された断面図の例示である。
図3】[0017]本開示の1つの態様に係る電気ラチェットを有するモータ式スクリュードライバシステムの機能的な構成要素を示すブロック図である。
図4】[0018]本開示の典型的な態様に係る電気モータの断面図の定型化された例示である。
図5】[0019]本開示の1つの態様に係る電気ラチェットを有するモータ式スクリュードライバシステムの機能的な構成要素を示すブロック図である。
図6】[0020]本開示の1つの典型的な態様に係る制御論理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0021]本発明の原理の理解を促す目的で、ここで、図面に示される実施形態または実施例を参照するとともに、これらの実施形態または実施例を説明するために特定の言語が使用される。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲の限定が意図されないことが理解される。記載される実施形態における任意の変更および更なる改変、並びに、本明細書中に記載される本発明の原理の任意の更なる適用は、本発明が関連する技術分野における当業者が普通に想起し得るように考慮される。
【0015】
[0022]この開示は、電気ラチェットを有するモータ駆動の電動スクリュードライバシステムについて説明する。システムは、電動ドライバと駆動されるネジとの1方向の相対的な回転を防止するまたは制限する一方で他方向の自由回転を許容することによりラチェットを形成するべくモータを制御する。特に、電気ラチェットを使用してネジを駆動させるために、スクリュードライバシステムは、モータ構成要素の移動を検出して、更なる移動を制限するまたは防止するべくモータに給電することにより応答する。したがって、手動で印加されたトルクの結果としてモータ移動が生じ始めると、移動をオフセットするべくモータが給電され、それにより、ドライバがネジに対して1方向に滑ることが効果的に制限される。しかしながら、モータは第2の方向の自由回転を効果的に許容する。したがって、駆動されるネジに対してドライバ全体を回転させることにより、ユーザは、ネジを所望の深さまで及び所望の方向へラチェット駆動させることができる。本明細書中で使用される自由回転は、少なくとも2つのシナリオを包含するように意図される。すなわち、第1に、第2の反対方向でのモータ移動を防止するべくモータが給電されないときに自由回転が生じ、また、第2に、モータが第2の反対方向に回転されるときに駆動系の抵抗をオフセットするべくモータが給電されると、自由回転が生じる。
【0016】
[0023]電動スクリュードライバシステムは、椎弓根ネジなどの骨ネジを駆動させるためにドライバが使用される外科的な用途に特に良く適する。ユーザは、モータ式ドライバを使用して、ネジをその望まれる深さ付近まで駆動させることができる。しかしながら、過度な締め付けまたは過度な駆動の危険を減らすために、ユーザは、モータによる従来の駆動を停止させることができるとともに、ドライバをラチェットとして使用して所望のトルクまたは深さのネジ埋め込みを完了させることができる。また、幾つかの椎弓根ネジなどの幾つかの骨ネジが脊椎ロッド、ケーブル、または、他の医療器具を受けるように方向付けられなければならないときには、電気ラチェットは、ドライバをネジから取り外すことなく、また、別個のラチェットスクリュードライバまたは手動スクリュードライバを必要とすることなく、ネジを要望通りに位置合わせするために必要な微調整を可能にする。これは、外科的な効率および外科医にとっての利便性を高める。また、電気ラチェットは大型で重い機械的なラチェット構成要素を欠くため、結果として得られるラチェット式スクリュードライバは、操作者の疲労または想定し得る操作者負傷を増大させない。これにより、更に効果的なネジ標的化を行うことができ、患者予後が改善されうる。
【0017】
[0024]また、電気ラチェトシステムは、大型の機械的な構成要素の代わりにモータ制御を使用して作動するため、本明細書中に開示されるシステムは、更なる質量および重量を付加することなくラチェット動作を達成する。付加的な質量を回避することにより、本明細書中に開示されるドライバは、機械システムによりもたらされる余分な慣性を有さず、そのため、ドライバが更に効率的になる。これは、コンパクトなサイズを可能にするとともに、ドライバ重量を最小限に抑え、これらは、操作する外科医にとって重要な利点である。
【0018】
[0025]図1は、本発明の典型的な実施形態に係る電動スクリュードライバシステム100を示す。システムはモータ式ドライバ102と制御コンソール104とを含む。ドライバ102は、外科処置中に、タップ、ドリルビット、および、例えば骨ネジなどの外科的なハードウェアを駆動させるために可変回転速度で動作する。モータ動力を使用してこれらの機能を果たすことに加えて、ドライバ102は電気ラチェットを伴って構成される。ドライバ102は、ハンドル106およびバレル108の形状を成す外側ハウジング105を含む。ここで、ハンドル106は、ユーザの利便性および快適さのため、ピストルの握り部分の形態を成してバレル108から延びる。ハンドル106は、電気ポート110と、ここではトリガ112として示される入力装置とを含む。幾つかの実施例では、トリガ112が永久磁石とホール効果センサとを含む。使用時、ホール効果センサにより検出される磁場は、トリガ112の相対位置と、ホール効果センサに対するトリガ内の磁石の近接性とに基づいて変化する。
【0019】
[0026]バレル108は、コレット116と、モードセレクタ118とを含む。トルク制御レベルまたはリミット、位置合わせ要素、および、他の機能などの他の入力装置が含まれてもよい。コレット116は、ドライバ102の作用端に配置されて、タップ、ドリルビット、ソケット、または、他の工具などの工具を受ける。モードセレクタ118は、ドライバ102の駆動方向を制御するようになっている。幾つかの実施例において、利用可能なモードは、いくつかあるモードの中で特に、順方向モード、逆方向モード、振動モード、ロックまたは非回転モードを含む。モードセレクタ118を切り換えることにより、ユーザはコレット116の回転駆動方向を制御できる。図示の実施例では、モードセレクタ118がバレル108の一部の周囲に配置されるカラーである。他の実施形態において、モードセレクタ118は、ボタン、トグルレバー、ロッカースイッチ、または、他の入力装置である。
【0020】
[0027]ドライバ102は、作用端の工具を駆動させるためのモータを収容する。幾つかの実施例において、モータは、制御コンソール104から給電されるように構成されるブラシレスDCモータである。これらの実施例において、電気ポート110は、ケーブル114を介してドライバ102を制御コンソール104と接続する。他の実施例では、ドライバとコンソールとが無線で通信する。1つの実施例において、ドライバ102のハンドル106は、モータシャフトがハンドル106からバレル108へと上方に延びるように配置されるモータを収容する。ギア機構がモータシャフトを略水平に延びる駆動シャフトに対して接続し、駆動シャフトは、コレット116に接続されるとともに、ドライバ102により受けられる穴あけ工具または機械化端部を駆動させるために利用される。
【0021】
[0028]モードセレクタ118の1つの実施例が図2に更に詳しく示される。ここで、モードセレクタ118はカラー120を含み、カラー120は、ユーザが駆動モードを変えるためにモードセレクタを中心軸周りで容易に回転させることができるようにする径方向に突出するタブ122を含む。マグネットリング124がカラー120に固定されてカラー120と共に回転する。マグネットリング124およびカラー120は、ドライババレル108の本体126の部分上に配置されており、本体126内には絶縁層128およびホール効果センサ130が配置される。マグネットリング124は複数の磁石132を含む。モードセレクタ118の回転は、磁石132をホール効果センサ130に対して移動させる。ホール効果センサ130は、モードセレクタ118の位置を特定するため、更には、選択されたモードを特定するために使用される信号を発生させる。図示の実施形態において、モードセレクタ118は、モードまたはカラーの位置を表わす信号を制御コンソール104へ通信してもよい。モードセレクタの他の例は、単一の磁石132と、複数のホール効果センサ130とを含む。ホール効果センサの代わりに、例えばリードセンサおよび他のセンサを含む他のタイプのセンサを使用することが考えられる。
【0022】
[0029]モードセレクタは、ユーザがドライバ102の動作モードを選択できるようにする。図示の実施例において、利用可能なモードは、いくつかあるモードの中で特に、順方向モード、逆方向モード、振動モード、ロックまたは非回転モードを含む。幾つかの構造は、シャフト制御に関連しない補助ユーザ入力を与える。ホール効果センサに対する磁石の位置は、選択されたモードの表示を与える。これは、処理および機能的実施のためにコンソール104へ通信されて戻される。
【0023】
[0030]図1に戻ると、制御コンソール104は、ドライバ102を動作させるための制御および設定を含んでもよい。1つの実施例において、制御コンソール104は、ドライバ102から信号を受信するとともに、それらの受信信号に基づき、制御コンソールで直接に受信されるユーザ設定と組み合わせて、ドライバ102の出力を制御するように構成される。この幾つかの実施例が以下の説明から明らかになる。注目すべきは、幾つかのシステムが別個の制御コンソールを含まないということであり、そのような実施形態では、例えばドライバ102自体の機体内などの他の場所で全ての決定および計算が行われてもよい。
【0024】
[0031]図3は、本開示の典型的な態様に係るシステム100の1つの実施例のブロック図を示している。図示のように、システムはドライバ102と制御コンソール104とを含む。この実施例において、ドライバ102は、トリガ112、モードセレクタ118、Hブリッジ148、および、モータ150を含む。
【0025】
[0032]Hブリッジ148は、電力を制御コンソール104からモータ150へと方向付ける。モードセレクタ118によって決定される動作モードに応じて、Hブリッジは、電力を一方向または他の方向に方向付ける。例えば、モードセレクタ118が順方向モードから逆方向モードへ変えられる場合、Hブリッジは、モータを通じた電力の向きを変え、モータの動作方向を切り換える。
【0026】
[0033]この実施例において、モータ150は、Hブリッジ148からの3つの入力により表わされる3つの巻線を有するブラシレスDCモータである。図4は、本開示の1つの態様に係るブラシレスDCモータの定型化された実施例を示す。図4のモータ150は、同期モータであり、ステータ160と、ロータ162と、ロータ162に配置されてロータ162と共に回転できる永久磁石164とを含む。この実施例では、モータが3相モータであるが、他の実施形態では2相モータおよび単相モータが使用されてもよい。ステータ160は巻線166を含む。この実施例において、磁石164は、N極とS極とが交互に入れ替わる2つの極対を含む。したがって、図示の実施例は4極モータである。しかしながら、他の実施例では、極対が1つしかないモータ、すなわち、2極モータが使用される。他の実施形態はかなり多い極対を含む。幾つかの実施例は、最大で8個の極対またはそれ以上の極対を有し、より多くの極対が存在する場合には、より正確な制御を決定できる。従来のモータシステムと同様に、ロータ162はステータ160に対して回転する。ステータはドライバハウジング105に対して固定される。したがって、ユーザがドライバを物理的に回転させてネジを手動で回すと、ステータ160がドライバハウジング105に対して固定された状態にとどまる。幾つかの実施例において、モータは、ドライバハウジング105に対して所定位置に固定されるステータ160の周囲にモータハウジングを有する。
【0027】
[0034]図3に戻ると、制御コンソール104は、ユーザから様々な設定入力(例えば、最大速度および最大トルク)を受けるとともにユーザの設定入力とドライバ102のトリガ112の押圧とに基づいてドライバ102のモータを制御するべく制御コンソール104が構成されるようにプログラミングされる処理システムおよびメモリを含む。その場合、システム100の制御コンソール104は、ドライバ102のモータの位置制御およびトルク制御を行う。
【0028】
[0035]この実施例において、制御コンソール104は、アナログ-デジタル変換器(ADC)152と、位置推定モジュール158を起動させるプロセッサ156を備えるコントローラ154とを含む。また、システム100は、システム100が動作する態様に影響を与える実行可能プログラムを収容するメモリ、ユーザインタフェース、通信モジュール、および、他の標準的な機器も含む。制御コンソール104を使用する幾つかの実施例において、ユーザは、システムに関して最大速度、加速度、急動、および、モード(順方向、逆方向、または、振動)を設定できる。また、プロセッサ156は、トリガ112の押圧量を示す信号を受信する。プロセッサ156へ送られる信号は、前述したように、ホール効果センサにより検知される磁場に基づくトリガ押圧量を示してもよい。また、前述したように、ドライバとコンソールとの間の全ての信号通信がケーブル114を介してもよい。あるいは、通信は、無線ブルートゥース、Wi−Fi、従来のRF、赤外線、または、他の通信方法であってもよい。
【0029】
[0036]図示の実施例において、プロセッサ156は、ユーザから様々な設定入力を受けるデジタル信号プロセッサである。設定と、特定の事前に記憶された実行可能プログラムとに基づいて、プロセッサは、Hブリッジを制御して、モータ150へ通信される信号をHブリッジへ送る。例えば、最大速度、加速度、急動、モード、および、トリガ位置に関して受信される信号を使用して、コントローラ154は、ドライバ102のロータの位置を動かす。コントローラ154は、モータのロータの位置を制御するための望ましい制御曲線にしたがったデューティサイクルを有するパルス幅変調制御信号を出力する。
【0030】
[0037]この実施例において、制御コンソール104は、モータ150からの逆起電力(EMF)を使用して、モータ150のロータ位置を監視し、それにより、制御曲線によって規定される望ましい位置をモータのロータが達成しているようにする。これは、各巻線の巻回部ごとにEMFレベルをコントローラ154で検出することによって達成される。EMF信号はモータからADCへ送られ、ADCはEMF信号をデジタル信号へ変換し、その後、デジタル信号はコントローラ154へ通信される。標準的な動作中、EMFにより検出されるようにロータが望ましい位置を達成していない(例えば、ロータが余計に回転されたまたは不十分に回転された)場合、コントローラ154は、ロータの実際の位置とロータの望ましい位置との間の差を表わすエラー信号に基づいてデューティサイクルを調整する。このようにして、システム100は、ロータの位置を監視して、ドライバ102の使用中にロータが望ましい位置を達成しているようにする。
【0031】
[0038]ドライバ102において、ステータ160(図4)は、ドライバハウジング105(図1)に対して所定位置で固定される。モータのロータ162は、駆動シャフトおよびコレット116に対して直接にまたは例えばギアシステムを介して少なくとも回転可能に機械的に結合される。したがって、ステータ106に対するロータ162の動作は、ドライバハウジング105に対するコレット116(およびコレット内の工具)の動作を示す。そのため、コレット116および駆動シャフトがネジに係合されてもよい工具に係合されると、システム100は、ネジとドライバ102との間の相対動作を検出できる。この実施例において、システム100のコントローラ154は、ステータに対するロータ位置を示すEMFなどのデータを受信して、ロータとステータとの間の検出される相対動作を減少させるまたは更には防止するのに十分なレベルで電力をモータに印加することにより、電気ラチェットを作用させるように構成される。
【0032】
[0039]図5は、本開示の他の典型的な態様に係るシステム100aの一例のブロック図を示す。図示のように、システム100aはドライバ102と制御コンソール104とを含む。この実施例において、ドライバ102は、トリガ112、モードセレクタ118、Hブリッジ148、および、モータ150を含む。しかしながら、この実施形態は位置検出要素170も含む。位置検出要素170は、モータ150内のロータの位置を直接に特定するように構成される任意の装置であってよい。1つの実施例では、位置検出要素170が複数のホール効果センサである。この実施例において、ホール効果センサは、モータのステータに配置されており、ロータの磁極の通過を検出して制御コンソール104へ送られる電圧信号を発するように構成される。1つの実施例は3つのホール効果センサを使用する。しかしながら、更に多くの数および更に少ない数のホール効果センサが考えられる。
【0033】
[0040]図5では、制御コンソール104がADC152とコントローラ154とを含む。しかしながら、ここでは、コントローラ154は、ロータの位置を示すデータを直接に受信することができ、したがって、コントローラは位置推定モジュール158を含む必要がない。図3に関連して前述したように、ADC152は、位置検出要素170からの電圧信号をデジタル信号へ変換して、そのデジタル信号をコントローラ154へ送る。この実施例では、図3のシステム100により必要とされるような位置決定の代わりに、コントローラ154は、ステータに対するロータの位置を直接に検出する。その後、コントローラ154は、ロータの位置に基づいてモータ150を動作させて、一方向での自由回転を防止しまたは制限しつつ他方向の自由回転を許容し、それにより、ラチェット効果を達成してもよい。位置検出要素170は、ホール効果センサとして記載されるが、回転エンコーダまたはステータ160に対するロータ162の位置を測定する他の直接的位置測定システムであってもよい。
【0034】
[0041]これについて図6を参照して更に説明する。図6は、電動スクリュードライバシステム100の電気ラチェット機能性を達成するためにコントローラ154により実行される論理フローチャートを示す。1つの実施例において、論理フローチャートは、メモリに記憶されてプロセッサ156により実行可能な方法の実行可能プログラムである。数字200により参照される方法は、プロセッサ156がステータに対するロータの現在の位置を推定するステップ202から始まる。これは、コントローラ154がモータ150からのEMFを監視してEMFに基づいてロータの位置を決定するまたはコントローラ154がモータと関連付けられるホール効果センサまたはエンコーダからステータに対するロータの位置を示す信号を受信する前述した方法を含む任意の数の方法で達成されてもよい。
【0035】
[0042]ステップ204において、コントローラは、ラチェットモードがONまたはアクティブかどうかを決定する。1つの実施例において、これは、モードセレクタ118の位置を検出することによって達成される。ラチェットモードがアクティブである位置にモードセレクタ118がある場合には、信号が、コントローラ154により処理するために、ドライバ102から制御コンソール104へと送られる。この信号により、コントローラは、システム100をラチェットモードで動作させることができる。幾つかの実施例では、信号が別の信号の欠如である。前述したモードセレクタ118において、ラチェットモードは、モードセレクタ118が順方向モードにあって且つトリガが押圧されないときには常に順方向でアクティブである。ラチェットモードは、モードセレクタ118が逆方向モードにあって且つトリガが押圧されないときには常に逆方向でアクティブである。他の実施例において、モードセレクタは、順方向モードおよび逆方向モードとは無関係なラチェットモードを含む。したがって、ユーザは、モードセレクタをラチェットモードへ移動させることによってラチェットモードをアクティブにするまたはONにしてもよい。モードセレクタは、前述したモードセレクタとは無関係なボタンまたはスイッチを含んでもよく、また、コンソール104またはドライバ102に配置されてもよい。ステップ204においてラチェットモードがONでない場合には、システムがループ状に循環して、ステータに対するロータの現在の位置を推定し続ける。この状態において、ドライバは、いくつかある制御シナリオの中で特に、順方向駆動、逆方向駆動、または、振動を許容する通常の機能で動作してもよい。
【0036】
[0043]ステップ204において、ラチェットモードがONである場合には、コントローラ154は、ステップ206において、ラチェットが既にONであったかかどうかまたはこれがループを通じた最初のものであるかどうかを決定する。ステップ206においてそれがループを通じた最初のものである場合、ループは、ステータに対するロータの望ましい位置を設定する。ここで、ループは、ステップ208において、望ましい位置を現在の位置に等しいとして設定する。ステップ208において現在の位置に等しい望ましい位置を設定するステップは、ステップ202で推定された現在の位置を使用する。ステップ208で設定された望ましい位置を用いて、プロセスは、ステップ202へ戻り、ステータに対するロータの現在の位置を再び推定する。この推定された現在位置の値は、その後の使用のために記憶される。
【0037】
[0044]ステップ206においてラチェットモードが既にアクティブまたはONであった場合、コントローラ154は、ステップ210において、ラチェットが順方向(時計回り)回転または逆方向(反時計回り)回転に設定されたかどうかを決定する。幾つかの実施形態では、回転方向がモードセレクタの設定と完全に関連付けられる。例えば、モードセレクタが順方向モードに設定される場合には、方向が順方向として設定されてもよい。モードセレクタが逆方向モードに設定される場合には、方向セレクタが、順方向として設定されなくてもよく、代わりに逆方向として設定される。幾つかの実施例では、前述したように、システム100は、単一の方向でのみラチェット駆動するように構成されてもよい。したがって、ステップ210における方向セレクタは、ラチェットがONであるかどうかを決定するための状態であってもよく、そのため、幾つかの実施例ではステップ204の一部であってもよい。
【0038】
[0045]ラチェット駆動が順方向または逆方向となるように選択されてもよいこの実施例において、方法は、選択された方向に応じてステップ210から続く。ステップ210において方向が順方向である場合、方法は、望ましい位置とステップ202で最後に取得された現在の位置との間の差を決定する。この差は、本明細書では、エラー値と称される。エラー値は、その後、印加される負荷に対抗してシステムをラチェットとして用いるためにモータを使用すべきかどうかを決定するために、予め設定された閾値xと比較される。閾値xは、モータが駆動される前に望ましい位置からの何らかの移動をもたらす変数である。しかしながら、幾つかの実施例では、値xがゼロまたはほぼゼロである
[0046]ステップ212において、現在の位置と望ましい位置との間のエラー値が予め設定された値xよりも大きい場合、コントローラ154は、ステップ214において、望ましい位置を達成するようにモータに通信する。したがって、ドライバハウジングがドライバ102のコレットおよび駆動工具に対して移動し始めるにつれて、現在の位置と望ましい位置との間のエラー値は、それが予め設定された値xを超えるまで増大する。エラー値がxよりも大きくなると、コントローラ154は、ロータをステータに対する望ましい位置にほぼ維持するために印加されるトルクを効果的にオフセットするのに十分な電力を用いてモータを制御する。これは、必ずしもエラーをゼロにする必要がなく、エラー値の更なる増大を単に制限するまたは制御することを含むだけでもよい。したがって、ユーザがトリガ122を押圧することなくドライバ102を順方向に回転させると、モータがステータに対するロータ位置をほぼ維持し、それにより、骨ネジなどのハードウェアが手動で駆動される。また、xの閾値は微小な程度であってもよいため、相対移動をユーザが感知できない場合がある。1つの実施例では、xの値が相対動作の1°未満に相当する。
【0039】
[0047]ステップ212において現在の位置と望ましい位置との間のエラー値がxの値よりも小さい場合、コントローラ154は、ステップ216において、エラー値がゼロよりも小さいかどうかを決定する。ステップ216におけるゼロよりも小さい値とは、ロータ162がステータ160に対して逆方向に回転されていることを示す。従来の機械的なラチェット動作と同様に、1方向の自由回転が許容される一方で、他方向の回転が許容されない。したがって、この実施形態において、モータは、ステップ216において、逆方向の回転を制限するまたは防止するように制御されない。そのため、現在の位置と望ましい位置との間のエラー値がゼロよりも小さい場合、コントローラ154は、ステップ218において、望ましい位置を検出された現在位置に再設定する。これは、新たな開始点(望ましい位置)を与える。
【0040】
[0048]ステップ216において、現在の位置と望ましい位置との間のエラー値がゼロよりも小さいが、エラー値がステップ212においてもxより大きくない場合、コントローラは、ステップ202へ戻り、処理を再び始める。
【0041】
[0049]ここで、ステップ210へ戻り、ラチェット設定が順方向のラチェット駆動に関して設定されなかった場合、1つの実施例では、コントローラ154は、ステップ220において、現在の位置と望ましい位置との間のエラー値を決定して、それをxのマイナス値(-x)と比較する。その後、作業は、ステップ212,214,216,218に関連して前述した態様と同様の態様で行われるが、マイナスxをもたらす反対の方向を使用して行われる。すなわち、エラー値がマイナスxよりも小さい場合、コントローラ154は、ステップ214において、現在の位置を望ましい位置に維持するようにモータを制御する。したがって、システムは、ドライバ102とコレットまたはコレット内のスクリュードライバとの相対動作を効果的に制限するまたは防止する。現在の位置と望ましい位置との間のエラー値がマイナスxよりも小さくない場合、コントローラ154は、ステップ222において、エラー値がゼロよりも大きいかどうかを決定する。エラー値がゼロよりも大きい場合には、ステップ218において、望ましい位置を現在位置に等しく設定する。ゼロよりも大きくない場合には、プロセッサがステップ202へ戻る。
【0042】
[0050]図に記載される方法200は、設定に応じて順方向および逆方向の両方向でラチェット駆動を許容するシステムに関するものである。幾つかの実施形態は、順駆動方向など、1方向でのみラチェット駆動を許容する。そのようなシステムでは、ステップ220,222が存在しなくてもよい。モータは、コレットとドライバ102との間の相対動作を防止するまたは制限するように給電されるため、ユーザは、トリガを押圧することなくドライバ102を順方向に回転させることにより、ネジ、タップ、ビット、または、他の器具または工具であるかどうかにかかわらず、器具または工具を駆動させることができる。
【0043】
[0051]1つの実施例において、システム100は、ドライバが手動で自由回転方向に回転されるときにドライバ102または制御コンソール104がクリック音を発するように構成される。例えば、クリック音は、システムがラチェットモードにあって、ステータに対するロータの移動によって測定される予め設定された回転範囲だけコレットがドライバ本体に対して移動するときに発せられてもよい。1つの実施形態において、コントローラ154は、自由回転の10°ごとに1回クリックノイズをもたらす信号を発生するように構成される。クリックノイズを発するスピーカは、ドライバ102または制御コンソール104に配置されてもよい。したがって、ユーザは、歯止めシステムを有する歯付きスプロケットなどの従来の機械的なシステムにおいてユーザが機械的に発生されるクリックノイズを聞くことができるのと同じ態様で、電子的に発生されるクリックノイズを聞くことができる。幾つかの実施例では、可聴クリックノイズの代わりに、モータ電圧のPWMが可聴フィードバックをユーザへ与える。例えば、印加されるシャフトトルクが増大すると、モータにより発生される可聴音がフィードバックをユーザへ与えてもよい。幾つかの実施例では、トルクが増大すると、可聴音の音量が増大し、あるいは、トルクが増大すると、(周波数に基づく)ピッチが増大する。
【0044】
[0052]ドライバおよび制御コンソールの両方を有するものとして図示して説明したが、本開示の幾つかの実施形態は、制御コンソール104が有するものとして本明細書中に開示される処理能力をドライバが有することを含む。したがって、幾つかの実施例では、コントローラ154がドライバ自体に配置される。また、図示の実施形態は、動作電力が制御コンソール104から引き出されることを開示するが、幾つかのドライバ実施形態は、充電式バッテリーパックまたは一次電池のいずれかを使用する、バッテリー電源などのそれら自体の別個の電源を含む。幾つかの実施形態は、従来の電源コンセントに差し込み可能な電源コードを含む。
【0045】
[0053]幾つかの実施例において、ドライバは、外科的設定で使用されるように構成される手術器具である。したがって、ドライバは、オートクレーブによって滅菌されるように構成されてもよい。また、ドライバは、滅菌領域へ汚染物を導入する可能性があるモータからの材料またはフィラメントの解放あるいは通気口を伴うことなく、完全に自己完結型となるように構成されてもよい。
【0046】
[0054]前述したように、電気ラチェットの自由回転能力は、第1の駆動方向と反対の第2の自由回転方向でのモータ移動を防止するためにモータに給電しないことを含む。したがって、ユーザは、ドライバをネジに対して第2の反対方向で自由に回転させることができる。幾つかの実施形態において、電気ラチェットの自由回転能力は、モータが第2の自由回転方向に回転されるときに駆動系の抵抗をオフセットするために何らかの小さいレベルのモータ電力も与える。したがって、駆動系の抵抗が外科的なハードウェア(骨ネジなど)に作用する摩擦力を超える幾つかの実施例では、ハードウェアが第1の駆動方向および第2の自由回転方向の両方向でドライバと共に依然として回転しない。その代り、ハードウェアは第1の駆動方向でドライバと共に回転するが、モータは、ドライバが第2の自由回転方向でドライバと共に回転しないようにドライバの固有の抵抗をオフセットするべく作用する。これは、電気ラチェット機能が第2の自由回転方向の自由回転であるという知覚をユーザに与えるが、抵抗力にモータが打ち勝つ。
【0047】
[0055]本明細書中に記載される装置、システム、および、方法は、骨固定具および他の外科器具などの外科器具を駆動させる改良されたシステムを与える。出願人は、本明細書中に開示される手続きが単なる典型的なものであり、本明細書中に開示されるシステムおよび方法が多数の他の医療プロセスおよび医療処置のために利用されてもよいことに留意する。幾つかの選択された実施形態について図示して詳しく説明してきたが、言うまでもなく、それらは典型的なものであり、以下の特許請求の範囲により規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な置換および変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6