特許第5989770号(P5989770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989770歯科用修復材、その製造方法およびガラスセラミック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989770
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】歯科用修復材、その製造方法およびガラスセラミック
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/04 20060101AFI20160825BHJP
   A61C 13/083 20060101ALI20160825BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   C03C10/04
   A61C13/083
   A61C13/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-516296(P2014-516296)
(86)(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公表番号】特表2014-520061(P2014-520061A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】EP2012061582
(87)【国際公開番号】WO2012175450
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】11005102.6
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/499,815
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503450678
【氏名又は名称】ヴィタ ツァーンファブリク ハー.ラウター ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】504013395
【氏名又は名称】デグデント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルシャング,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】プローブスト,イェルン
(72)【発明者】
【氏名】ティール,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ゲディカー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フォルマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュッサー,ウド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィースナー,カルステン
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−040744(JP,A)
【文献】 特開平11−314938(JP,A)
【文献】 特開2006−219367(JP,A)
【文献】 特開2005−053776(JP,A)
【文献】 特開2011−225441(JP,A)
【文献】 特表2013−515659(JP,A)
【文献】 特表2013−543831(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/126317(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/076422(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/059143(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 − 14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸リチウムガラスセラミックを含む歯科用修復材の製造方法であって、
(a)600℃〜800℃までの第1の温度と780℃〜900℃までの第2の温度による2段階処理である少なくとも一つの熱処理に非晶質ガラスを供して強度(DINISO 6872に従って測定)が250MPa以上であり、DIN EN 410に従って測定して360nmから740nmまでの間の波長を有する光を透過する、歯の色を有するガラスセラミックを得ること、ここで、このガラスセラミックは、少なくとも一つの熱処理を行う間に、上昇した温度によって少なくとも部分的に結晶化される、および、
(b)このガラスセラミックから、ミリング、研削およびレーザーアブレーションからなる群より選択される材料除去プロセスによって、少なくとも200MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有する、歯に適用するための歯科用修復材を形成し、
非晶質ガラスが、以下の組成:
50〜75重量%のSiO、17〜20重量%のLiO、8〜20重量%のZrO、0〜8重量%のAl、0〜8重量%のKO、0〜15重量%の添加剤、
を有するが、下記の組成:
59.0重量%のSiO、18.0重量%のLiO、12.0重量%のZrO、3.0重量%のKO、4.5重量%のAl、3.5重量%のP;および、
59.0重量%のSiO、19.0重量%のLiO、12.0重量%のZrO、2.0重量%のKO、4.5重量%のAl、3.5重量%のP
ではない、上記方法。
【請求項2】
添加剤が、成核剤、蛍光剤、染料およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成核剤が、酸化リン、酸化チタン、酸化スズ、これらの混合物および貴金属からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
蛍光剤が、ビスマスの酸化物、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
染料が、鉄、チタン、セリウム、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、セレン、銀、インジウム、金、バナジウム、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イットリウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群より選択されるガラス着色用酸化物、および/または、ドープしたスピネルである有色顔料、である、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
添加剤が、酸化ホウ素、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ランタンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
材料除去プロセスが、CAM加工である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
歯に適用する前に、歯科用修復材が、仕上げ加工に供される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
度(DIN ISO 6872に従って測定)が250MPa以上であり、DIN EN 410に従って測定して360nmから740nmまでの間の波長を有する光を透過する、歯の色をしたガラスセラミックであって、
50〜75重量%のSiO、17〜20重量%のLiO、8〜20重量%のZrO、0〜8重量%のAl、0〜8重量%のKO、0〜15重量%の添加剤、
という組成を有するが、下記の組成:
(組成1) 59.0重量%のSiO、18.0重量%のLiO、12.0重量%のZrO、3.0重量%のKO、4.5重量%のAl、3.5重量%のP;および、
(組成2) 59.0重量%のSiO、19.0重量%のLiO、12.0重量%のZrO、2.0重量%のKO、4.5重量%のAl、3.5重量%のP
ではない、上記ガラスセラミック。
【請求項10】
歯科用修復材としての、請求項9に記載のガラスセラミックの使用。
【請求項11】
歯科用修復材、少なくとも5%結晶化度を有する、および/または、少なくとも200MPa強度(DINISO 6872に従って測定)を有する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
歯科用修復材仕上げされており、仕上げ加工した歯科用修復材は、少なくとも250MPa強度(DINISO 6872に従って測定)を有する、請求項10または11に記載の使用
【請求項13】
歯科用修復材が、インレー、アンレー(上張り)、ブリッジ、支台歯、面材、被覆冠(ベニヤリング)、咬合小面、歯冠、一部金冠、下部構造またはコーピングである、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
請求項9に記載のガラスセラミックを含む歯科用修復材。
【請求項15】
歯科用修復材が、少なくとも5%の結晶化度を有する、および/または、少なくとも200MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有する、請求項14に記載の歯科用修復材。
【請求項16】
歯科用修復材が仕上げされており、仕上げ加工した歯科用修復材が、少なくとも250MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有する、請求項14または15に記載の歯科用修復材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度、高い半透明性および高い化学的安定性を示し、また機械的に加工することもできるガラスセラミックに関する。本発明はさらに、そのようなガラスまたはガラスセラミックを含む歯科用修復材を製造するための方法ならびに歯科用修復材そのものに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化リチウム−二酸化ケイ素の系において、二ケイ酸リチウム(LiO・2SiO(LiSi))ガラスセラミックは文献により周知であり、また幾つかの特許はこのガラスセラミック系に基づくものである。欧州特許(EP)0536479号(B1)において、食卓用器具の製造のための自己施ゆう化(self-glazed)二ケイ酸リチウムガラスセラミックの物体が記載されていて、また欧州特許0536572号(B1)には、表面に微粒の着色ガラスを散布させた、建築用途のための外装要素として用いることのできる二ケイ酸リチウムガラスセラミックが記載されている。
【0003】
二ケイ酸リチウムガラスセラミックについての刊行物の主な焦点は、歯科用途に当てられている。この点で、二ケイ酸リチウム系はCAD/CAM加工が可能なガラスセラミックの製造に非常に適していて、それは、その結晶化がメタケイ酸リチウムの相を経て行われるためである(S. D. Stookey:“Chemical Machining of Photosensitive Glass(感光性ガラスの化学的機械加工)”, Ind. Eng. Chem., 45, 115-118 (1993) およびS. D. Stookey:“Photosensitively Opacifiable Glass(感光して不透明になるガラス)”,(米国特許(US−A)2684911号(1954))を参照されたい)。
【0004】
これらのメタケイ酸リチウムガラスセラミックは、この中間段階において強度が極めて小さくなるので、CAD/CAMによって容易に加工することができる(M. -P. Borom, A. M. Turkalo, R. H. Doremus:“Strength and Microstructure in Lithium Disilicate Glass Ceramics(二ケイ酸リチウムガラスセラミックの強度と微細構造)”, J. Am. Ceram., Soc., 58, No.9-10, 385-391 (1975) およびドイツ特許(DE)2451121号(A1))。
【0005】
第二の熱処理における二ケイ酸リチウムへのその後の転化またはメタケイ酸リチウム結晶の成長によって、高い強度を有する歯科用材料が得られる。
歯科技工室または歯科医院において行われる熱処理は技工士にとって負担であるし、また時間と費用の面で患者にとっても負担となる。特に、チェアーサイド法を行う際は、不便な待ち時間が発生する場合がある。
【0006】
この方法においては、個々に製作される歯冠、アンレー(上張り)またはインレー(詰め物)が、最初の結晶化段階の後にCAD/CAMによってガラスセラミックのブロックから削り出され、これが歯科医院において特殊なオーブンの中で第二の結晶化段階に供され、そして患者にとっての最初で一回だけの歯科医院への訪問において直接用いられる(DE10 2005 028637号)。
【0007】
そのような熱処理はオーブンを必要とし、またそれに応じた習得とメンテナンス費用も必要となる。さらに、そのような熱処理は最終製品の欠陥の原因になりうる。別の欠点は、そのような処理のために必要となる30分から60分の間の時間である。一般的なCAD/CAM装置については、170MPaの最大強度が限界である。従って、機械加工が可能な材料を高品質の用途のために直接用いることはできない。機械加工性は材料の強度に依存するだけでなく、硬度、弾性率、破壊靭性ならびにガラスセラミックの構造および微細構造などの特性にも依存する。結晶内の破壊形態と結晶間の破壊形態は区別されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP0536479B1
【特許文献2】EP0536572B1
【特許文献3】US−A2684911
【特許文献4】DE2451121A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. D. Stookey:“Chemical Machining of Photosensitive Glass”, Ind. Eng.Chem., 45, 115-118 (1993)
【非特許文献2】M. -P. Borom, A. M. Turkalo, R. H. Doremus:“Strength and Microstructure in Lithium Disilicate Glass Ceramics”, J. Am. Ceram., Soc., 58, No.9-10, 385-391 (1975)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、本発明の目的は、改善された強度の値を有し、また改善された半透明性と耐薬品性も有するガラスセラミックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する歯科修復材を製造するための方法、請求項11の特徴を有する半透明で歯の色をしたガラスセラミック、および請求項14の歯科修復材によって達成される。さらなる従属請求項は、有利な展開を明らかにしている。
【0012】
本発明の範囲内で、SiO-LiO-ZrOを基本的な系とするガラス組成物が開発されたが、これは唯一の結晶相または主要な結晶相(>50%)としてメタケイ酸リチウムを有する。
【0013】
驚くべきことに、特定のメタケイ酸リチウム組成物を使用するとともに、特定の熱処理によって結晶化することによって、CAD/CAM法で機械加工することのできる高い強度を有する最終的に結晶化したガラスセラミックが得られることが見いだされた。
【0014】
加えて、20重量%以下のZrOを、構造に著しい影響を及ぼすことなくガラス中に配合することができることが示された。全ての予想に反して、ZrOは分離した結晶相として結晶化するのではなく、非晶質の残留ガラス相の中に完全に、または広範囲にわたって留まる。高い比率のZrOのために、この非晶質相において機械的および化学的な耐性は大いに改善され、またこれにより、歯科用ガラスセラミックの全体(結晶相と残留ガラス相)における改善された諸特性(例えば、最終強度や酸溶解度)ももたらされる。
【0015】
この方法はまた、最初のガラスからの二段階の製造プロセスにも適していて、最初の加工処理段階においてメタケイ酸リチウムの部分的な結晶化が起こり、これにより良好なCAD/CAM加工が可能になる。第二の加工処理段階において、結晶相(初期のメタケイ酸リチウム)の比率の増大が生じ、これにより高い強度の値がもたらされる。メタケイ酸リチウム系の驚くほどに高い強度の最も重要な原因は、高い酸化ジルコニウムの比率にある(>8MA)。
【0016】
高い半透明性は、ガラスセラミック中の低い微結晶サイズによって確保される。加えて、良好な化学的安定性は、ガラス相における高い酸化ジルコニウムの比率によって確保される。
【0017】
本発明によれば、ケイ酸リチウムガラスセラミックを含む歯科用修復材を製造するための方法が提供され、この方法は下記の工程を有する:
(a)非晶質ガラスが450℃から1100℃までの温度を用いる少なくとも一つの熱処理に供され、それにより半透明で歯の色をしたガラスセラミックが得られ、このガラスセラミックは少なくとも250MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)と歯の色を有し、ここで、少なくとも一つの熱処理を行う間に、上昇した温度のために少なくとも部分的な結晶化が生じ、そして
b)材料除去プロセスによって、直接に歯に適用するための歯科用修復材として、また少なくとも200MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有するものとして、ガラスセラミックが形成される。
【0018】
本発明の主旨において、半透明のガラスセラミックは、(ミノルタCM−3610dの分光光度計を用いてDINEN 410に従って測定して)360nmから740nmまでの間の波長を有する光の透過性を有するセラミックである。
【0019】
歯の色は、現行の歯科用シェードガイド(色調ガイド)に従って、例えばVitaクラシックシェードガイド(Vita3Dマスターシェードガイド)に従って決定される。
安定剤は、好ましくはZrOおよび/またはHfOである。好ましくは、安定剤は本質的に非晶質状態で存在する。
【0020】
ガラスまたはガラスセラミックの中に、添加剤として成核剤、蛍光剤、染料(特にガラス着色用酸化物、有色顔料)およびこれらの混合物からなる群から選択される成分が含まれていてもよい。
【0021】
成核剤は、好ましくは酸化リン、酸化チタン、酸化スズ、これらの混合物、および貴金属からなる群から選択され、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%、最も好ましくは4〜8重量%の量で含まれる。
【0022】
蛍光剤は、好ましくはビスマスおよび希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、エルビウムおよびユーロピウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、最も好ましくは1〜3重量%の量で含まれる。
【0023】
ガラス着色用酸化物は、好ましくは鉄、チタン、セリウム、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、セレン、銀、インジウム、金、バナジウムおよび希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イットリウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれる。
【0024】
有色顔料はドープしたスピネルであってよく、これらは好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれる。
さらなる添加剤は、好ましくは酸化ホウ素、酸化リン、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ランタンおよびこれらの混合物からなる群から選択され、これらは好ましくは0.1〜5重量%の量で含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい態様において、非晶質ガラスは下記の組成を有する:
55〜70重量%のSiO
10〜25重量%のLiO、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znの酸化物またはこれらの混合物からなる群から選択される安定剤、
0〜10重量%のAl
0〜10重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜20重量%の添加剤。
【0026】
さらに好ましい態様において、非晶質ガラスは下記の組成を有する:
55〜70重量%のSiO
10〜25重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%のAl
0〜10重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜20重量%の添加剤。
【0027】
さらに好ましい態様において、非晶質ガラスは下記の組成を有する:
55〜64重量%のSiO
15〜22重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0.1〜8重量%のAl
0〜8重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜15重量%の添加剤。
【0028】
さらに好ましい態様において、非晶質ガラスは下記の組成を有する:
55〜64重量%のSiO
17〜20重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0.1〜5重量%のAl
0.1〜5重量%のKOおよび/またはNaO、
2〜8重量%のP、および
0〜10重量%の添加剤。
【0029】
さらに好ましい態様において、熱処理は600℃から950℃までの温度、好ましくは780℃から900℃までの温度を用いる単一の段階の処理である。別の好ましい態様は、熱処理を二段階の処理とするものであり、このとき600℃から800℃までの第一の温度と780℃から900℃までの第二の温度を用いる。
【0030】
本発明に係るケイ酸リチウムガラスまたはガラスセラミックは、歯科用材料として、または歯科用材料の構成要素として用いられる。
材料除去プロセスは、好ましくはミリング(milling)、研削およびレーザーアブレーションからなる群から選択される除去プロセスであり、好ましくはCAM加工として行われる。
【0031】
さらに好ましい態様において、この歯科用修復材は、歯に適用する前に仕上げ加工に供される。そのような仕上げ加工は、磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティングおよびベニヤリング用セラミックまたは釉薬を用いるベニヤリング(veneering)とすることができる。
【0032】
歯科用修復材は好ましくは、インレー、上張り、ブリッジ、支台歯、面材、被覆冠(ベニヤリング)、咬合小面、歯冠、一部金冠、下部構造またはコーピングである。
本発明によれば、(DIN ISO 6872に従って測定して)少なくとも250MPaの強度を有する半透明で歯の色をしたガラスセラミックも提供され、このガラスセラミックは下記の組成を有する:
55〜70重量%のSiO
10〜25重量%のLiO、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%のAl
0〜10重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜20重量%の添加剤。
【0033】
好ましい態様において、ガラスセラミックは下記の組成を有する:
55〜70重量%のSiO
10〜25重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%のAl
0〜10重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜20重量%の添加剤。
【0034】
好ましくは、ガラスセラミックは下記の組成を有する:
55〜64重量%のSiO
15〜22重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0.1〜8重量%のAl
0〜8重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜15重量%の添加剤。
【0035】
さらに好ましい態様において、ガラスセラミックは下記の組成を有する。
55〜64重量%のSiO
17〜20重量%のLiO、
8〜20重量%の、ZrO 、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0.1〜5重量%のAl
0.1〜5重量%のKOおよび/またはNaO、
2〜8重量%のP、および
0〜10重量%の添加剤。
【0036】
このガラスセラミックは好ましくは、材料除去プロセスによってガラスセラミックを機械加工することを可能にする寸法安定性を備える。
さらに、本発明によれば、上述した方法によって製造することのできる歯科用修復材が提供される。
【0037】
この歯科用修復材は少なくとも5%、好ましくは少なくとも50%の結晶化度を有する。
この歯科用修復材は少なくとも200MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度を有するのがさらに好ましい。
【0038】
この歯科用修復材は仕上げすることができる。そのような仕上げ加工は好ましくは、磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティング、およびベニヤリング用セラミックまたは釉薬を用いるベニヤリングである。そのような仕上げ加工した歯科用修復材は、好ましくは少なくとも250MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度を有する。
【0039】
下記の組成を有する歯科用修復材は、本発明のさらなる態様である。
【0040】
【化1-1】
【0041】
【化1-2】
【0042】
【化1-3】
【実施例】
【0043】
本願に係る主題を以下の実施例を参照してさらに詳しく説明するが、その主題はこれらの変形例に限定されるものではない。
実施例1
様々な安定剤を例示する特定の組成が表1に挙げられているが、これらの組成によって、安定剤の含有量の高いメタケイ酸ガラスセラミックを歯科用に製造することができる。
【0044】
【表1】
【0045】
表2は、表1の組成に関して歯科用途に用いられる安定剤を例として示す。
【0046】
【表2】
【0047】
ガラスを1500℃で溶解し、金属の型に注ぎ込み、これによりブロックを形成した。ブロックについて炉中で560℃において応力解放処理を行い、そしてゆっくり冷却した。様々な特徴づけのための加工処理のために、ガラスのブロックを分割し、そして最初の結晶化処理に供した。この目的のために、ガラスを600℃〜750℃において10〜120分にわたって保管した。この結果、150MPa〜220MPaの強度の値を有するガラスセラミックが製造された。これにより、結晶相としてもっぱらメタケイ酸リチウムが形成された。この状態において、CAD/CAM法による加工を極めて容易に行うことができる。
【0048】
表3に組成が例示されているが、これらの組成によって、酸化ジルコニウムの含有量の高いメタケイ酸塩ガラスセラミックを歯科用に製造することができる。
【0049】
【表3】
【0050】
ガラスを1500℃で溶解し、金属の型に注ぎ込み、これによりブロックを形成した。ブロックについて炉中で560℃において応力除去処理を行い、そしてゆっくり冷却した。様々な特徴づけのための加工処理のために、ガラスのブロックを分割し、そして最初の結晶化処理に供した。この目的のために、ガラスを600℃〜750℃において10〜120分にわたって保管した。この結果、150MPa〜220MPaの強度の値を有するガラスセラミックが製造された。これにより、結晶相としてもっぱらメタケイ酸リチウムが形成された。この状態において、CAD/CAM法による加工を極めて容易に行うことができる。
【0051】
実施例2
60重量%のSiO 、19重量%のLiO 、10重量%のZrO、6重量%のP 、2重量%のAl 、2重量%のKO、および2重量%のCeOの組成を有するガラスの溶融体をブロックの形状に鋳込む。このブロックを二段階の焼成プロセスによって完全に結晶化させる。熱処理は620℃と850℃において行われる。この手順の後、ブロックをCAM成形機の中に固定するために、ブロックにブロックホルダー(例えば、金属のアタッチメント)を接着剤でくっつける。
【0052】
この用途のために、歯科用フライス盤(Sirona inLab MCXL)を用いる。最初の試験のために、予備焼結したIPSe.max CADのためのプレインストールしたパラメーター(ソフトウェア、バージョン3.85)が選ばれた。典型的なダイヤモンド工具を用いることによって、設計された前部歯冠を削った。予想した研削時間は17分であった。実際の研削時間は28分を要した。選ばれたバーと得られた歯冠には何も問題はなかった。
【0053】
第二の試験において、ビタインセラム(VITA In-Ceram)スピネルのためのプレインストールしたパラメーターを選ぶことによって、同じ機械において同様の歯冠を削った。この研削プロセスも、計算した時間よりも約10分長い時間を要した。歯冠と研削盤において欠陥は認められなかった。
【0054】
ミリングの後、歯冠の表面を手作業で最適化することができる。歯科技工士または歯科医にとっての典型的な手順は、例えば、磨き仕上げ、釉掛け、着色およびベニヤリングである。最後の結晶化を行い、そして釉薬で処理した後に機械加工した折り曲げ棒は、370MPaの破壊値を示した(DIN ISO 6872に従う三点曲げ強度試験)。
【0055】
比較試験
市販の製品であるIPS e.max CAD(Ivoclar-Vivadent、色 LT A2)を、比較用に試験した。そのために、ブロックをさらに850℃で熱処理した。最後の熱処理を行う前にはずしたホルダーを、再び接着して取り付けた。
次いで、同様に設計した歯冠を再び装填し、そして(標準的に部分的にのみ結晶化させた)IPSe.max CADのためのパラメーターを選んだ。研削加工の全体で、計算値である17分に対して約90分を要した。加工を行う間に4つのダイヤモンド研削盤が破壊したために、加工を4回再開する必要があった。このことは、最終的に結晶化したIPSe.max CADの歯冠は商業的に有効な方法で機械加工できないことを意味する。
【0056】
(1) ケイ酸リチウムガラスセラミックを含む歯科用修復材の製造方法であって、
(a)非晶質ガラスを450℃から1100℃までの温度を用いる少なくとも一つの熱処理に供して、少なくとも250MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)と歯の色を有する半透明のガラスセラミックを得ること、ここで、このガラスセラミックは、少なくとも一つの熱処理を行う間に、上昇した温度によって少なくとも部分的に結晶化される、および、
(b)材料除去プロセスによって、少なくとも200MPaの強度(DIN ISO 6872に従って測定)を有し、直接に歯に適用するための歯科用修復材がガラスセラミックから形成される、上記方法。
(2) 非晶質ガラスが、下記の組成:
55〜70重量%、好ましくは55〜64重量%のSiO
10〜25重量%、好ましくは15〜22重量%のLiO、より好ましくは17〜20重量%のLiO、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znの酸化物またはこれらの混合物、好ましくはZrO、HfOまたはこれらの混合物からなる群から選択される安定剤、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%のAl
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%のKOおよび/またはNaO、
0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%のP、および
0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の添加剤、
を有することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3) 熱処理が、600℃から950℃までの温度、好ましくは780℃から900℃までの温度による一段階の処理であるか、600℃から800℃までの第一の温度と780℃から900℃までの第二の温度による二段階の処理であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 添加剤が、成核剤、蛍光剤、染料(好ましくはガラス着色用酸化物および/または有色顔料)およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 成核剤が、酸化リン、酸化チタン、酸化スズ、これらの混合物、および貴金属からなる群から選択され、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%、そして最も好ましくは4〜8重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)に記載の方法。
(6) 蛍光剤が、ビスマスの酸化物、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、そして最も好ましくは1〜3重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)または(5)に記載の方法。
(7) ガラス着色用酸化物が、鉄、チタン、セリウム、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、セレン、銀、インジウム、金、バナジウム、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イットリウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、そして最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれ、そして/または、有色顔料はドープしたスピネルであり、これらは好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、そして最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)から(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 添加剤が、酸化ホウ素、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ランタンおよびこれらの混合物からなる群から選択され、これらは好ましくは0.1〜5重量%の量で含まれることを特徴とする、(1)から(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 材料除去プロセスが、好ましくはミリング(milling)、研削およびレーザーアブレーションからなる群から選択される除去プロセスであり、好ましくはCAM加工として行われることを特徴とする、(1)から(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 歯に適用する前に、歯科用修復材が、好ましくは磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティングおよびベニヤリング用セラミックまたは釉薬によるベニヤリング(veneering)である仕上げ加工に供されることを特徴とする、(1)から(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 少なくとも250MPaの強度(DIN ISO6872に従って測定)を有する半透明で歯の色をしたガラスセラミックであって、下記の組成:
55〜70重量%のSiO
10〜25重量%のLiO、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%のAl
0〜10重量%のKOおよび/またはNaO、および
0〜20重量%の添加剤、
を有するガラスセラミック。
(12) ガラスセラミックが、下記の組成:
55〜64重量%のSiO
15〜22重量%、好ましくは17〜20重量%のLiO、
8〜20重量%、好ましくは10〜15重量%の、ZrO、HfOまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、そしてより好ましくは1〜5重量%のAl
0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%のKOおよび/またはNaO、
0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%のP、および
0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の添加剤、
を有することを特徴とする、(11)に記載のガラスセラミック。
(13) 材料除去プロセスによって、ガラスセラミックを機械加工できる寸法安定性を有することを特徴とする、(11)または(12)に記載のガラスセラミック。
(14) (1)から(10)までのいずれかに記載の方法によって製造することのできる歯科用修復材。
(15) 歯科用修復材は少なくとも5%、好ましくは少なくとも50%の結晶化度を有し、そして/または、歯科用修復材は少なくとも200MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有することを特徴とする、(14)に記載の歯科用修復材。
(16) 歯科用修復材は、好ましくは磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティング、またはベニヤリング用セラミックあるいは釉薬を用いるベニヤリングによって仕上げされていて、仕上げ加工した歯科用修復材は、少なくとも250MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有することを特徴とする、(14)または(15)に記載の歯科用修復材。