【実施例】
【0043】
本願に係る主題を以下の実施例を参照してさらに詳しく説明するが、その主題はこれらの変形例に限定されるものではない。
実施例1
様々な安定剤を例示する特定の組成が表1に挙げられているが、これらの組成によって、安定剤の含有量の高いメタケイ酸ガラスセラミックを歯科用に製造することができる。
【0044】
【表1】
【0045】
表2は、表1の組成に関して歯科用途に用いられる安定剤を例として示す。
【0046】
【表2】
【0047】
ガラスを1500℃で溶解し、金属の型に注ぎ込み、これによりブロックを形成した。ブロックについて炉中で560℃において応力解放処理を行い、そしてゆっくり冷却した。様々な特徴づけのための加工処理のために、ガラスのブロックを分割し、そして最初の結晶化処理に供した。この目的のために、ガラスを600℃〜750℃において10〜120分にわたって保管した。この結果、150MPa〜220MPaの強度の値を有するガラスセラミックが製造された。これにより、結晶相としてもっぱらメタケイ酸リチウムが形成された。この状態において、CAD/CAM法による加工を極めて容易に行うことができる。
【0048】
表3に組成が例示されているが、これらの組成によって、酸化ジルコニウムの含有量の高いメタケイ酸塩ガラスセラミックを歯科用に製造することができる。
【0049】
【表3】
【0050】
ガラスを1500℃で溶解し、金属の型に注ぎ込み、これによりブロックを形成した。ブロックについて炉中で560℃において応力除去処理を行い、そしてゆっくり冷却した。様々な特徴づけのための加工処理のために、ガラスのブロックを分割し、そして最初の結晶化処理に供した。この目的のために、ガラスを600℃〜750℃において10〜120分にわたって保管した。この結果、150MPa〜220MPaの強度の値を有するガラスセラミックが製造された。これにより、結晶相としてもっぱらメタケイ酸リチウムが形成された。この状態において、CAD/CAM法による加工を極めて容易に行うことができる。
【0051】
実施例2
60重量%のSiO
2 、19重量%のLiO
2 、10重量%のZrO
2、6重量%のP
2O
5 、2重量%のAl
2O
3 、2重量%のK
2O、および2重量%のCeO
2の組成を有するガラスの溶融体をブロックの形状に鋳込む。このブロックを二段階の焼成プロセスによって完全に結晶化させる。熱処理は620℃と850℃において行われる。この手順の後、ブロックをCAM成形機の中に固定するために、ブロックにブロックホルダー(例えば、金属のアタッチメント)を接着剤でくっつける。
【0052】
この用途のために、歯科用フライス盤(Sirona inLab MCXL)を用いる。最初の試験のために、予備焼結したIPSe.max CADのためのプレインストールしたパラメーター(ソフトウェア、バージョン3.85)が選ばれた。典型的なダイヤモンド工具を用いることによって、設計された前部歯冠を削った。予想した研削時間は17分であった。実際の研削時間は28分を要した。選ばれたバーと得られた歯冠には何も問題はなかった。
【0053】
第二の試験において、ビタインセラム(VITA In-Ceram)スピネルのためのプレインストールしたパラメーターを選ぶことによって、同じ機械において同様の歯冠を削った。この研削プロセスも、計算した時間よりも約10分長い時間を要した。歯冠と研削盤において欠陥は認められなかった。
【0054】
ミリングの後、歯冠の表面を手作業で最適化することができる。歯科技工士または歯科医にとっての典型的な手順は、例えば、磨き仕上げ、釉掛け、着色およびベニヤリングである。最後の結晶化を行い、そして釉薬で処理した後に機械加工した折り曲げ棒は、370MPaの破壊値を示した(
DIN ISO 6872に従う三点曲げ強度試験)。
【0055】
比較試験
市販の製品であるIPS e.max CAD(Ivoclar-Vivadent、色 LT A2)を、比較用に試験した。そのために、ブロックをさらに850℃で熱処理した。最後の熱処理を行う前にはずしたホルダーを、再び接着して取り付けた。
次いで、同様に設計した歯冠を再び装填し、そして(標準的に部分的にのみ結晶化させた)IPSe.max CADのためのパラメーターを選んだ。研削加工の全体で、計算値である17分に対して約90分を要した。加工を行う間に4つのダイヤモンド研削盤が破壊したために、加工を4回再開する必要があった。このことは、最終的に結晶化したIPSe.max CADの歯冠は商業的に有効な方法で機械加工できないことを意味する。
【0056】
(1) ケイ酸リチウムガラスセラミックを含む歯科用修復材の製造方法であって、
(a)非晶質ガラスを450℃から1100℃までの温度を用いる少なくとも一つの熱処理に供して、少なくとも250MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)と歯の色を有する半透明のガラスセラミックを得ること、ここで、このガラスセラミックは、少なくとも一つの熱処理を行う間に、上昇した温度によって少なくとも部分的に結晶化される、および、
(b)材料除去プロセスによって、少なくとも200MPaの強度(DIN ISO 6872に従って測定)を有し、直接に歯に適用するための歯科用修復材がガラスセラミックから形成される、上記方法。
(2) 非晶質ガラスが、下記の組成:
55〜70重量%、好ましくは55〜64重量%のSiO
2、
10〜25重量%、好ましくは15〜22重量%のLi
2O、より好ましくは17〜20重量%のLi
2O、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znの酸化物またはこれらの混合物、好ましくはZrO
2、HfO
2またはこれらの混合物からなる群から選択される安定剤、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%のAl
2O
3、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%のK
2Oおよび/またはNa
2O、
0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%のP
2O
5、および
0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の添加剤、
を有することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3) 熱処理が、600℃から950℃までの温度、好ましくは780℃から900℃までの温度による一段階の処理であるか、600℃から800℃までの第一の温度と780℃から900℃までの第二の温度による二段階の処理であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 添加剤が、成核剤、蛍光剤、染料(好ましくはガラス着色用酸化物および/または有色顔料)およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 成核剤が、酸化リン、酸化チタン、酸化スズ、これらの混合物、および貴金属からなる群から選択され、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%、そして最も好ましくは4〜8重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)に記載の方法。
(6) 蛍光剤が、ビスマスの酸化物、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、そして最も好ましくは1〜3重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)または(5)に記載の方法。
(7) ガラス着色用酸化物が、鉄、チタン、セリウム、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、セレン、銀、インジウム、金、バナジウム、希土類元素(例えば、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イットリウム)の酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、そして最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれ、そして/または、有色顔料はドープしたスピネルであり、これらは好ましくは0.1〜6重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、そして最も好ましくは1〜4重量%の量で含まれることを特徴とする、(4)から(6)のいずれかに記載の方法。
(8) 添加剤が、酸化ホウ素、フッ素、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ランタンおよびこれらの混合物からなる群から選択され、これらは好ましくは0.1〜5重量%の量で含まれることを特徴とする、(1)から(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 材料除去プロセスが、好ましくはミリング(milling)、研削およびレーザーアブレーションからなる群から選択される除去プロセスであり、好ましくはCAM加工として行われることを特徴とする、(1)から(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 歯に適用する前に、歯科用修復材が、好ましくは磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティングおよびベニヤリング用セラミックまたは釉薬によるベニヤリング(veneering)である仕上げ加工に供されることを特徴とする、(1)から(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 少なくとも250MPaの強度(DIN ISO6872に従って測定)を有する半透明で歯の色をしたガラスセラミックであって、下記の組成:
55〜70重量%のSiO
2 、
10〜25重量%のLi
2O、
8〜20重量%の、Zr、Hf、Ge、La、Y、Ce、Ti、Znまたはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%のAl
2O
3、
0〜10重量%のK
2Oおよび/またはNa
2O、および
0〜20重量%の添加剤、
を有するガラスセラミック。
(12) ガラスセラミックが、下記の組成:
55〜64重量%のSiO
2 、
15〜22重量%、好ましくは17〜20重量%のLi
2O、
8〜20重量%、好ましくは10〜15重量%の、ZrO
2、HfO
2またはこれらの混合物から選択される群からの安定剤、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%、そしてより好ましくは1〜5重量%のAl
2O
3、
0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%のK
2Oおよび/またはNa
2O、
0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%のP
2O
5、および
0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の添加剤、
を有することを特徴とする、(11)に記載のガラスセラミック。
(13) 材料除去プロセスによって、ガラスセラミックを機械加工できる寸法安定性を有することを特徴とする、(11)または(12)に記載のガラスセラミック。
(14) (1)から(10)までのいずれかに記載の方法によって製造することのできる歯科用修復材。
(15) 歯科用修復材は少なくとも5%、好ましくは少なくとも50%の結晶化度を有し、そして/または、歯科用修復材は少なくとも200MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有することを特徴とする、(14)に記載の歯科用修復材。
(16) 歯科用修復材は、好ましくは磨き仕上げ、釉掛け、封止、コーティング、またはベニヤリング用セラミックあるいは釉薬を用いるベニヤリングによって仕上げされていて、仕上げ加工した歯科用修復材は、少なくとも250MPa、好ましくは少なくとも300MPaの強度(DINISO 6872に従って測定)を有することを特徴とする、(14)または(15)に記載の歯科用修復材。