(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989782
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】換気管システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20160825BHJP
A61M 16/08 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
A61M16/08 330
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-532384(P2014-532384)
(86)(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-528258(P2014-528258A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012069107
(87)【国際公開番号】WO2013045563
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】102011054131.4
(32)【優先日】2011年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514079996
【氏名又は名称】ハミルトン・ボナドゥウ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・ビュッヒ
(72)【発明者】
【氏名】リートウ・フライ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミーデル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・グランツオットー
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・ゾイコス
【審査官】
田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02462697(GB,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02229973(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
A61M 16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸患者用の呼吸ガスの換気管システムであって、
呼吸用加湿器(3)およびY字形部品(5)に接続可能な第1の吸気管(1)と、
人工呼吸器(9)および前記呼吸用加湿器(3)に接続可能な第2の吸気管(7)と、
前記人工呼吸器(9)および前記Y字形部品(5)に接続可能な呼気管(11)と、
を有しており、
前記第1の吸気管(1)および前記呼気管(11)の少なくとも特定の部分の各々は、少なくとも1つの加熱ワイヤ(15、17)を有する管ヒータを備えており、前記管ヒータの各々は、前記呼吸用加湿器(3)の内部の電源/制御ユニットによって制御可能であり、
前記第2の吸気管(7)および前記第1の吸気管(1)の各々は、呼吸ガスの経路の空圧的接続が電気的接続とともに達成されるように、前記呼吸用加湿器(3)へ接続可能な接続片(23、25)を備えており、
前記呼気管(11)の前記管ヒータの電源線(13)は、前記第2の吸気管(7)の前記接続片(23)から始まり、前記接続片から前記第2の吸気管(7)および、前記人工呼吸器(9)とは別の接続要素(21)を介して前記呼気管(11)へ続いていることを特徴とする換気管システム。
【請求項2】
前記接続要素(21)は、前記呼気管(11)および前記第2の吸気管(7)の人工呼吸器に面する端部の領域において、前記呼気管(11)および前記第2の吸気管(7)を接続する可撓性ブリッジとして設計されている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項3】
前記接続要素(21)は、少なくとも2つの電気配線を備えている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項4】
前記呼気管(11)は、前記人工呼吸器(9)へ接続される第1の接続片(27)を備えており、前記第2の吸気管(7)は、前記人工呼吸器(9)へ接続される第2の接続片(29)を備えており、前記接続要素(21)は、前記第1および第2の接続片(27、29)へ接続されている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項5】
前記接続要素(21)は、2つのプラグ要素(33、35)を備えており、前記プラグ要素(33、35)は、この目的のために前記第1および第2の接続片(27、29)に設けられたソケット要素(37、39)の中へ挿入可能である請求項4に記載の換気管システム。
【請求項6】
前記プラグ要素(33、35)と前記第1および第2の接続片(27、29)との間の接続が解除不可能である請求項5に記載の換気管システム。
【請求項7】
前記接続要素(21)はU字形状に形成されている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項8】
前記管ヒータの前記加熱ワイヤ(15、17)の少なくとも特定の部分は、加熱コイルとして形成されている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項9】
前記第1の吸気管(1)および/または前記第2の吸気管(7)は、少なくとも1つの電気測定線またはデータ線を備えている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項10】
前記呼気管(11)は、前記第2の吸気管(7)および前記接続要素(21)に沿って連続する少なくとも1つの電気測定線またはデータ線を備えている請求項9に記載の換気管システム。
【請求項11】
前記電気測定線またはデータ線は、前記人工呼吸器(9)へ接続可能である請求項9に記載の換気管システム。
【請求項12】
前記第1の吸気管(1)の前記電気測定線またはデータ線は、温度センサ(41)を備えている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項13】
前記第2の吸気管(7)、前記呼気管(11)、および前記接続要素(21)における電気配線の電気抵抗は異なっている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項14】
医療用の1回だけ使用される/使い捨ての物品として設計されているか又は医療的に再使用可能な物品として設計されている請求項1に記載の換気管システム。
【請求項15】
人工呼吸器(9)と、呼吸用加湿器(3)と、請求項1に記載の換気管システムと、を備えており、前記呼吸用加湿器(3)は、前記呼気管(11)および前記第1の吸気管(1)の管ヒータへの電力供給および前記管ヒータの制御を行う役目を果たす制御ユニットを備えている換気システム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸ガスによる人工呼吸患者の換気管システムに関し、また、人工呼吸器と、呼吸用加湿器と、換気管システムとを備える換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集中治療の病棟において患者に機械的な人工呼吸が施されるとき、人工呼吸対象の患者は、換気管システムによって人工呼吸器へと空気圧的に接続される。患者へと供給される呼吸ガスは、患者の生理学的ニーズに合わせて温度および湿度に関して調節されなければならないため、呼吸用加湿器が、呼吸ガスを加熱および加湿するために吸入管または吸気管に配置される。呼吸ガスの加湿器は、通常のやり方においては蒸留水で満たされた液体容器を備えており、吸入用のガスがこの容器を通って導かれることで、水分含有量が高められる。
【0003】
水分が換気管システムの内側に凝縮することがないように、吸入管ならびに呼気管または吐出管に、通常は、稼働時に管を通って流れる吸気および呼気を加熱する電気式の管ヒータが備えられる。例えば、吸気管または呼気管の内部へと一体化された加熱ワイヤのループが使用され、あるいは吸気管または呼気管に、いずれの場合も加熱ワイヤのコイルが巻き付けられる。
【0004】
呼吸ガスの温度が、通常は、患者の付近に配置されるとともに、例えば呼吸用加湿器に配置された制御ユニットへと電気測定線によって接続される温度センサによって調節される。
【0005】
この形式の換気管システムは、例えば、独国特許第102008039137号公報、独国特許出願公開第102007003455号公報、独国特許出願公開第4441480号公報、および欧州特許出願公開第1338297号公報明から知られている。これらの従来技術による換気管システムの欠点は、吸気管および呼気管を人工呼吸器と呼吸用加湿器と患者に配置されるY字形部品とに空圧的に接続する他に、管ヒータおよび温度センサの電気配線も接続する必要があり、この電気配線は、弛んで独立したケーブルとして存在するとともに、互いに独立してに接続されなければならないことである。接続すべきケーブルおよび管の数が多いことは、時間の損失および作業者の混同の恐れにつながるとともに、患者の環境をさらに乱雑にすることにもなり、種々の構成部品も損傷を被りやすくなる。また、そのような弛んだケーブルの使用は、作業者または患者に絡まり、生じうる最悪の場合として、患者の処置の最中に呼吸用加湿器と加熱ワイヤとの間の電気的な接続が断たれかねないという危険も伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第102008039137号公報
【特許文献2】独国特許出願第102007003455号公報
【特許文献3】独国特許出願第4441480号公報
【特許文献4】欧州特許出願第1338297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、管および電気配線ならびにそれらの接続の数を最小限にし、接続を確立できるさまざまな可能性のある手法を提供し、1回の接続行為で、空圧的接続および電気的接続の両方の確立を容易にする換気管システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。好都合な詳細および実施形態が、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明の一態様によれば、人工呼吸患者の呼吸ガスのための換気管システムであって、呼吸用加湿器およびY字形部品に接続することができる第1の吸気管と、人工呼吸器および呼吸用加湿器に接続することができる第2の吸気管と、人工呼吸器およびY字形部品に接続することができる呼気管と、を有しており、第1の吸気管および呼気管の少なくとも特定の部分の各々が、少なくとも1つの加熱ワイヤを有する管ヒータを備えており、管ヒータの各々を、呼吸用加湿器の内部の電源/制御ユニットによって制御することができる換気管システムが提供される。この換気管システムは、呼気管の管ヒータの電源線が、呼吸用加湿器における第2の吸気管の接続部から始まり、この接続部から第2の吸気管および人工呼吸器とは別である接続要素を介して続いていることを特徴とする。空気圧管接続部への電気配線の高度の一体化の結果として、ユーザにとって使い勝手が大幅に改善され、作業者のミスおよび技術的欠陥の可能性が低減される。さらに、露出される管およびケーブルが少なくなることで、全体としてシステムが、より小さな空間しか占めず、故障しにくくなる。
【0010】
好ましくは、第2の吸気管が接続片を備え、好ましくは第1の吸気管も接続片を備え、呼吸ガスの経路の空気的圧接続と電気的接続とが一緒に達成され、すなわち基本的に同時に確立され、あるいは1回の接続行為によって達成されるようなやり方で、これらの接続片の各々を呼吸用加湿器へと接続することができる。これにより、空気圧的接続を電気的接続とは別に確立させる必要がもはやないため、ミスの影響を受けにくくなり、全体としてのシステムが、さらによりユーザにとって使い勝手のよいものになる。
【0011】
好都合には、前記接続要素は、呼気管および第2の吸気管を人工呼吸器に面する端部の領域において(すなわち、人工呼吸器へと接続することができる端部において)接続する可撓性ブリッジとして設計または形成される。これは、問題を引き起こす可能性がある露出したケーブル接続部の形態の接続要素を避けることを可能にし、したがってユーザにとっての使い勝手を向上させる。
【0012】
また、前記接続要素が少なくとも2つの電気配線を備えると好都合である。これは、呼吸用加湿器から呼気管の管ヒータを制御する可能性だけでなく、例えば1つ以上の温度センサのための測定またはデータ線を呼気管に組み込む可能性も生み出す。
【0013】
呼気管が、好ましくは人工呼吸器への接続のための第1の接続片を備え、前記第2の吸気管が、好ましくは人工呼吸器への接続のための第2の接続片を備え、前記接続要素が、前記第1および第2の接続片へと接続される。これにより、人工呼吸器への接続片は、通常は堅固な押し出しによるプラスチック要素であるため、破損および故障を被りにくい丈夫な一体構造が生み出される。好ましくは、前記接続要素は、この目的のために前記第1および第2の接続片に設けられるソケット要素へと挿入することができる2つのプラグ要素を備えることができる。プラグ要素と前記第1および第2の接続要素との間の接続は、好ましくは、作業者が電気接続に干渉する機会がないように、着脱不可能である。
【0014】
前記接続片は、好ましくは「U」字形状に形成または設計される。これは、人間工学的な設計を呈し、呼気管および第2の吸気管上の加熱線、データ線、または測定線が延在する経路に基本的に対応する。
【0015】
管ヒータの加熱ワイヤの少なくとも特定の部分を、加熱コイルとして形成することも好都合である。加熱コイルは、例えば呼気管の外壁へと一体化され、したがって効果的な加熱を保証する。
【0016】
特に好ましくは、第1の吸気管および/または第2の吸気管が、少なくとも1つの電気測定線またはデータ線を備える。これは、例えば情報を呼吸用加湿器の表示ユニットに表示できるよう、データを人工呼吸器から電気データ線を介して呼吸用加湿器へと伝え、さらに患者へと伝えることを可能にする。患者の付近のY字形部品において記録され、あるいは患者から記録されたデータを、呼吸用加湿器または人工呼吸器へと伝えることができる。電気測定線またはデータ線が、空気圧管要素の一体の一部分として形成または設計され、例えば管の鞘へと一体化されるため、周囲の活動と干渉しかねず、あるいは損傷を被りかねない露出した電気ケーブルが存在しない。
【0017】
同じやり方で、呼気管が、第2の吸気管および前記接続要素に沿って続く少なくとも1つの電気測定線またはデータ線を備えることが、好都合である。結果として、センサからの測定信号または呼気管において取得された他のデータを、接続要素を介して呼吸用加湿器へと送ることができ、呼吸用加湿器において評価および表示することができる。
【0018】
また、第1の吸気管の電気測定線またはデータ線が温度センサを備えることが考えられ、そのようにすることが好都合である。温度センサは、通常は、患者の近くの温度の状態を測定できるよう、Y字形部品のきわめて近くに設置される。この点に関し、温度測定線または何らかの他の線を、患者から由来する測定信号またはデータ信号の伝達に利用できるよう、接続片を介してY字形部品へと通すことが考えられる。
【0019】
第2の吸気管、呼気管、および前記接続要素における電気配線の電気抵抗が、異なっていると好都合である。例えば、第2の吸気管および前記接続要素における配線を、例えば呼気管における熱出力および電力消費を最適化するようなやり方で、呼気管の管ヒータのための電気供給線として設計することができる。これは、測定および管の加熱機能の信頼性も向上させる。
【0020】
特に好ましくは、この換気管システムは、医療グレードの1回だけ使用される/使い捨ての物品として設計される。あるいは、この換気管システムを、医療的に再使用可能であるように設計してもよい。汚染を防止し、したがって患者の感染の危険を減らすために、医療グレードの消耗品の多くは、1回だけ使用される/使い捨ての物品として設計される。本発明の換気管システムも、この分類に属し、好ましくはただ1人の患者に特定の時間期間についてのみ使用される。しかしながら、コストまたは他の理由で、換気管システムを再使用可能であるように設計することも可能であり、すなわち換気管システムを、再使用することができるように機械的に洗浄することが可能であり、さらには/あるいはオートクレーブ処理することが可能であってよい。
【0021】
さらに、本発明の一態様によれば、換気システムが、人工呼吸器と、呼吸用加湿器と、上述のとおりの換気管システムとを備え、呼吸用加湿器が、呼気管および第1の吸気管のための管ヒータへの電流供給および管ヒータの制御の役目を果たす。すでに述べたように、呼吸ガスの湿度および温度は、通常は呼吸用加湿器によって調節される。これは、呼吸ガスを入手可能にするために任意の適切な人工呼吸器を使用することができ、呼吸用の空気の加湿および制御の機能を人工呼吸器とは無関係に呼吸用加湿器において行うことができるという利点をユーザに提供する。
【0022】
換言すると、本発明による換気管システムは、吸気管および呼気管のための従来の規格化された管接続部を備える任意の既存の人工呼吸器と組み合わせることが可能である。
以下で、添付の図面を参照して、典型的な実施形態にもとづいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による換気管システムの好ましい実施形態の概略図。
【
図2】本発明による換気管システムの別の好ましい実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明による換気管システムの好ましい実施形態の概略図を示している。第1の吸気管1は、呼吸用加湿器3とY字形部品5との間に配置されている。矢印によって示されるように、簡素に設計されたY字形部品5の端部は、人工呼吸対象の患者へと向けられる。第2の吸気管7は、呼吸用加湿器3を人工呼吸器9へ接続する。最後に、呼気管11は、人工呼吸器9とY字形部品5の上記端部以外の残りの端部との間に配置される。
【0025】
乾燥した呼吸ガスは、人工呼吸器9において例えばブロア(図示されていない)によって生成され、第2の吸気管7を通って呼吸用加湿器3へ進む。呼吸用加湿器3において、呼吸ガスは、液体容器31(
図1には示されていない)内に周知の手法で導かれ、そこで加熱された液体によって加熱および加湿される。加熱および加湿された呼吸ガスは、呼吸ガスの加湿器から出て、第1の吸気管を通り、Y字形部品5を通って患者へ達する。
【0026】
人工呼吸器9によって制御される呼吸サイクルに対応して、消費された呼吸用の空気が再び患者から出て、Y字形部品5において呼気管11へ入り、人工呼吸器9へ流れ戻る。
【0027】
加熱ワイヤ15は、第1の吸気管1の壁に一体化されており、このワイヤは、らせん形の加熱コイルとして設計されている。加熱ワイヤ15の電源および制御は、第1の吸気管1を呼吸用加湿器3へと接続、正確には液体容器31(
図1では不図示)へ接続する第1の接続片25における電気接続部を介して、呼吸用加湿器3の電源/制御ユニット(不図示)によって操縦される。さらに、Y字形部品5に近い端部に配置された温度センサ41からの信号を呼吸用加湿器3の制御ユニット(不図示)へ伝える電気測定線19が第1の吸気管1に一体化されている。温度センサ41の位置は、患者にできるだけ近いが、依然としてできるだけ容易に交換できるように設計された換気管システムの一部であるように選択される。電気測定線19も、第1の接続片25からの接点要素によって、呼吸用加湿器3または呼吸用加湿器の液体容器の対応する相手方の接点へ接続されている。
【0028】
呼気管11も、やはりらせん形の加熱コイルとして設計された加熱ワイヤ17の形態の管ヒータを備える。呼気管11を加熱する理由は、流れ戻る呼吸ガスが呼気管11において凝縮することを防止するとともに、この呼吸ガスが汚染された液体の状態で例えばY字形部品5を介して患者へ戻ることを防止することにある。呼気管11の管ヒータを、連続したユニットとして設計することができ、あるいはいくつかの部分にて設計することができる。加熱ワイヤ17は、電源線13にて電流が供給され、この電源線13は、呼吸用加湿器3を始点として、第2の接続片23、第2の吸気管7および接続要素21を通過して、最終的に呼気管11に到達し、呼気管11において、加熱ワイヤ17へ接続される。電源線13を第2の吸気管7および接続要素21を介して導くことによって、呼気管11へ電力を供給する配線が自由に露出されたケーブルとなることを防止する。従って、電源線13および/または加熱ワイヤ17は、どちらも例えば人工呼吸器などの他の装置に接続される必要がないので、換気管システム全体と一緒に1回のみしか使用されない(使い捨て)物品として、きわめて容易に交換可能である。
【0029】
図1においては、接続要素21は、人工呼吸器9と2つの管(すなわち、第2の吸気管7および呼気管11)との間の接続片の近くに配置されている。次に、
図2を参照して接続要素21を詳しく説明する。
【0030】
図2は、本発明による換気管システムの斜視図を示しており、第1および第2の吸気管1、7は、対応する接続片23、25によって呼吸用加湿器3(
図2には示されていない)の液体容器31へ接続されている。
図2は、接続片23、25を介しての第1および第2の吸気管1、7と液体容器31との空圧的接続だけを示している。なぜならば、配管を通るすべての電気配線の電気的な接続は、接点要素24、26によって確保されているからである。接点要素24、26は、接続片23、25に一体化されているるとともに、呼吸用加湿器3のハウジングの対応する相手方の接触要素部品との電気的な接触を確立している。
【0031】
Y字形部品5も、
図2には示されていない。代わりに、
図2は、通常の場合において医療用の1回だけ使用される/使い捨ての物品である要素に着眼点を置いており、この要素は、換気管システムと併せた呼吸用加湿器3の機能に必要な交換式の付属品を形成する。
【0032】
基本的な構成要素については、
図1に関連してすでに説明済みであるため、ここでそれらを再び説明する必要はない。そこで、概略的に示されているにすぎない
図1の実施形態に対する相違点を、詳しく説明する。
【0033】
配管の材料、すなわち第1の吸気管1、第2の吸気管7、および呼気管11の材料は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの適切なプラスチック材料によって形成される。他の適切な材料も可能である。これらの管は、知られている技術によって押し出し、または共押し出しされる。管の内径は、通常は、成人用の換気システムにおいて約19mmであるが、12mmまたは15mmなどのより小さな直径も、例えば小児または幼児のための集中治療室の換気システムにおいて使用することができる。対応する装置とY字形部品5との間のつなぎを形成する接続片も、押し出しによるプラスチック材料である。医療の領域においては、材料について厳格な要件が課されるため、これらの材料は、ISO規格5367−2000を満たさなければならない。すでに述べたように、本発明による換気管システムは、医療用の1回だけ使用される/使い捨ての物品として設計され、あるいは洗浄およびオートクレーブ処理によって再び使用可能な状態に戻すことができる再使用可能な医療品として設計される。換気管システムのすべての構成要素も、例えば有害な材料を含まず、CIDEX、Sekusept、Korsolexなどの低温消毒剤に耐えることができるようなやり方で設計されなければならない。
【0034】
図2に示した実施形態における接続要素21は、人工呼吸器9の近くに配置されるが人工呼吸器9とは別個である可撓性ブリッジであり、第2の吸気管は、このブリッジによって呼気管へ電気的に接続されている。可撓性ブリッジの長さは、約5cm〜約50cmの範囲にあるが、好ましくは約10cmの長さである。第2の吸気管7の接続片29は、空圧開口の付近にソケット要素39を備えており、このソケット要素39の中に、接続要素21の対応するプラグ要素35が恒久的に差し込まれている。同様に、呼気管11の接続片27は、ソケット要素37を空圧開口に隣接させて備えており、このソケット要素37の中に、接続要素21のプラグ要素33が恒久的に差し込まれている。この文脈において、「恒久的」という用語は、作業者が接続要素21と接続片27、29との間の電気的接続を容易には切ることができないことを意味すると理解されたい。
【0035】
接続要素21は、呼気管11の加熱ワイヤの電源線だけが存在する
図1による例示の実施形態に示されているわずか2本ではなく、数本の電気配線を備えることができる。例えば、センサ、フィルタ、などのための追加の加熱機能、または他のセンサを、電気的に接続することができる。また、接続要素21によって呼気管11と呼吸用加湿器3との間での信号伝達も可能である。第2の吸気管7と呼気管11との間の接続要素21は、2つの管の端部間で横方向に変位することが容易に可能である一方で2つの管を互いに対して回転させることはきわめて困難となるように、設計されることができる。
【0036】
本発明により、管および電気配線ならびにそれらの接続の数を最小限にし、接続の確立を可能にするさまざまなやり方を提供し、1回の接続行為で空圧的および電気的接続を達成できるようにし、作業者または患者が加熱ワイヤのための追加の電気配線に絡まり、それらの電気的接続が断たれてしまう危険がない換気管システムがもたらされた。