特許第5989784号(P5989784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989784非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989784
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   G02C7/04
【請求項の数】20
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-533620(P2014-533620)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-528101(P2014-528101A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】US2012056530
(87)【国際公開番号】WO2013048893
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】13/245,923
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェルリガン・ピエール−イーブス
(72)【発明者】
【氏名】ジュビン・フィリップ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】クラッターバック・ティモシー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ダモドハラン・ラドハクリシュナン
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−262377(JP,A)
【文献】 米国特許第05760870(US,A)
【文献】 特開昭50−055346(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/034602(WO,A1)
【文献】 特表2011−513792(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0225273(US,A1)
【文献】 特表2013−515279(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0149230(US,A1)
【文献】 特表2007−538288(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0259220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記上方部分との間の重なりにおいて、前記第1表面積の重なりが最小であり、前記第2表面積の重なりが最大であるようにすることと、を含み、
前記外輪郭が、前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項2】
患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方部分との間の第表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方部分との間の第表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記下方部分との間の重なりにおいて、前記第表面積の重なりが最小であり、前記第表面積の重なりが最大であるようにすることと、を更に含む、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項3】
前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項4】
前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項5】
前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項6】
前記外輪郭が平面である、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項7】
前記外輪郭が平面でない、請求項1に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項8】
眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記下方部分との間の重なりにおいて、前記第1表面積の重なりが最小であり、前記第2表面積の重なりが最大であるようにすることと、を含み、
前記外輪郭が、前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項9】
患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記上方部分との間の重なりにおいて、前記第3表面積の重なりが最小であり、前記第4表面積の重なりが最大であるようにすることと、を更に含む、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項10】
前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項11】
前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項12】
前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項13】
前記外輪郭が平面である、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項14】
前記外輪郭が平面でない、請求項に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項15】
眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの上方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記上眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記上方部分との間の重なりにおいて、前記第1表面積の重なりが最小であり、前記第2表面積の重なりが最大であるようにすることと、
患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方部分との間の第3表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの下方部分との間の第4表面積の重なりを計算することと、
前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記外輪郭の前記幾何形状を変化させることによって、前記下眼瞼と前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの前記下方部分との間の重なりにおいて、前記第3表面積の重なりが最小であり、前記第4表面積の重なりが最大であるようにすることと、を含み、
前記外輪郭が、前記非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項16】
前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項15に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項17】
前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、請求項15に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項18】
前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、請求項15に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項19】
前記外輪郭が平面である、請求項15に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【請求項20】
前記外輪郭が平面でない、請求項15に記載の非円形かつ非楕円形コンタクトレンズの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法に関し、より具体的には、着用者の眼の上でのセントレーション/回転におけるレンズ位置付けに応じて、レンズ−眼瞼(lens-lid)接触領域の変異を最適化することにより、眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善を目的とした非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚ゾーンの非回転対称の補正特性、波面補正特性、又は分散を、円柱レンズ、二焦点レンズ、多焦点レンズ等のコンタクトレンズの1つ又は2つ以上の表面に与えることによって、ある特定の視覚欠陥の矯正を達成することができることが知られている。印刷パターン、マーキング等のある特定の表面的特性が、着用者の目に対して特定の配向で配置されるよう要求されることも知られている。コンタクトレンズの使用は、一対のコンタクトレンズのそれぞれが目の上にあるときに効果的であるように、特定の配向で維持されなければならない場合に厄介である。コンタクトレンズが最初に目の上に配置されると、自らを自動的に位置付けするか、又は自動位置付けし、その後、その位置を長期にわたって維持しなければならない。しかしながら、いったんコンタクトレンズが位置付けられると、瞬き中の眼瞼によって、力がコンタクトレンズ上に加えられるため、眼の上で回転する傾向がある。
【0003】
目の上でのコンタクトレンズの配向の維持は、典型的には、コンタクトレンズの機械的特性を変更することによって達成される。例えば、コンタクトレンズの前面を後面に対して偏心させること、コンタクトレンズの下部の外周の厚みを大きくすること、コンタクトレンズの表面に凹み又は隆起を形成すること、及びコンタクトレンズの縁部を切り詰めることを含むプリズム安定化は、使用されている方法である。
【0004】
更に、厚いゾーン及び薄いゾーン、又は場合によっては、コンタクトレンズの周辺部の厚さが増加若しくは減少する領域の使用によってコンタクトレンズが安定化される際に、動的安定化が使用されている。典型的には、厚いゾーン及び薄いゾーンは、垂直軸及び水平軸の周囲で対称性を有するコンタクトレンズの周辺部に位置する。例えば、2つの厚いゾーンのぞれぞれを、視覚ゾーンの両側に位置付けてもよく、コンタクトレンズの0〜180度軸に沿って中心に配置してもよい。このように、個々の上眼瞼の大半は、例えば、1つの厚いゾーンの最上端に、他方に触れる前に触れる。これはコンタクトレンズの傾斜をもたらし、維持されるべく求められている方向から離れてコンタクトレンズを移動させる。
【0005】
コンタクトレンズの配向及びセントレーションの維持は、これまでコンタクトレンズの機械的特徴を使用して実行されてきたが、現在、配向、回転及びセントレーションに改善された安定性をもたらすために、上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状を利用して、コンタクトレンズ外輪郭の形状を上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状に従って調整している設計はない。
【0006】
米国特許第7,216,978号は、上眼瞼及び下眼瞼は、瞬き中に上下に動作しても厳密に垂直方向に動かないことを説明している。上眼瞼は、瞬きする間、小さい鼻成分を用いて実質的に垂直に動き、下眼瞼は、瞬きする間鼻方向に動きながら実質的に水平に動く。更に、上眼瞼及び下眼瞼は、垂直子午線を通る平面切断に対して対称的ではない。言い換えると、個人は、開いた上眼瞼と下眼瞼との間に引かれた水平軸に対して対称的に瞬きしない。また、ビューワーが読むために視線を下に向けるとき、眼が一点に集中することは既知である。その結果、まばたき自体は、コンタクトレンズの理想的な並進をもたらすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、コンタクトレンズが誤配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域とコンタクトレンズが正しく配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域との間の差が最大になるようにコンタクトレンズ外輪郭の形状を最適化するコンタクトレンズの設計方法を開発することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法は、着用者の眼の上でのコンタクトレンズの配向に関する数多くの不利益を克服する。
【0009】
本発明は、眼の上のレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善を目的とした非円形ソフトコンタクトレンズの新しい設計方法を目的とするこの方法は、着用者の眼の上でのセントレーション/回転におけるコンタクトレンズ位置付けに応じて、レンズ−眼瞼接触領域の変化を最適化する。レンズ−眼瞼接触領域は、上眼瞼及び下眼瞼が重なるコンタクトレンズ表面積として定義される。この方法は、レンズが誤配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域とコンタクトレンズが正しく配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域との間の差が最大になるようにコンタクトレンズ外輪郭の形状を最適化する。
【0010】
この方法は、上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状の初期設定を含む。この上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状は、白人、アジア人、アフリカ人などの民族性を示す母集団の平均、又は注文ベースのいずれか一方であってよい。眼瞼の幾何形状が設定されると、次の工程は角膜の形状、角膜縁部の形状、及び強膜の形状を含む眼球の幾何形状の設定である。次の工程は、コンタクトレンズの幾何形状の設定を伴う(前側及び後側光学ゾーン、前側及び後側周辺部、縁部の幾何形状、中心厚、材料など)。幾何形状がすべて設定されると、次の工程は、前述の眼球の形状をそのコンタクトレンズで覆うため、必要に応じて有限要素解析を使用した眼の上でのコンタクトレンズのセントレーションの推定を伴う。コンタクトレンズのセントレーションは、最小のひずみエネルギーの位置に対応する。次の工程は、コンタクトレンズの2つの極端な配向の選択を伴うが、これらの配向の一方は眼の上でのコンタクトレンズの最終の位置/配向である。最終工程は、これらコンタクトレンズの2つの極端な配向間のレンズ−眼瞼接触領域の差を最大化するために、コンタクトレンズの形状の最適化を含む。
【0011】
非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法は、眼の上での改善されたレンズの安定性、回転、及びセントレーションを有するコンタクトレンズを提供する。これらのコンタクトレンズはまた、適切な位置付けにより向上した視力とともに、クリアで快適なフィット感を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の前述の特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の付属の図面に示される本発明の好ましい実施態様のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
図1】従来の円形コンタクトレンズと本発明による非円形コンタクトレンズとの間のレンズ−眼瞼接触領域の違いを図示している。
図2】本発明による非円形ソフトコンタクトレンズの設計方法のフローチャートである。
図3A】本発明による、眼の上の2つの異なる位置での非円形コンタクト及び対応するレンズ−眼瞼交点の図式表示である。
図3B】本発明による、眼の上の2つの異なる位置での非円形コンタクト及び対応するレンズ−眼瞼交点の図式表示である。
図4】本発明による極座標の4つのコントロールポイントの使用から得られる第1の非円形輪郭コンタクトレンズの図式表示である。
図5A】円形コンタクトレンズ、楕円形コンタクトレンズ、及び非円形コンタクトレンズの通常の厚みの輪郭プロットである。
図5B】円形コンタクトレンズ、楕円形コンタクトレンズ、及び非円形コンタクトレンズの通常の厚みの輪郭プロットである。
図5C】円形コンタクトレンズ、楕円形コンタクトレンズ、及び非円形コンタクトレンズの通常の厚みの輪郭プロットである。
図6】本発明による極座標の4つのコントロールポイントの使用から得られる第2の非円形輪郭コンタクトレンズの図式表示である。
図7A】それぞれ、本発明による楕円形コンタクトレンズ及び非円形コンタクトレンズに対する、レンズ−眼瞼接触領域表面積の差対コンタクトレンズの配向のグラフ図である。
図7B】それぞれ、本発明による楕円形コンタクトレンズ及び非円形コンタクトレンズに対する、レンズ−眼瞼接触領域表面積の差対コンタクトレンズの配向のグラフ図である。
図8】本発明による円形、楕円形、及び非円形コンタクトレンズに対するコンタクトレンズ再配向の結果のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、眼の上のレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善を目的とした非円形ソフトコンタクトレンズの新しい設計方法を目的とする。この方法は、着用者の眼の上でのセントレーション/回転におけるコンタクトレンズ位置付けに応じて、レンズ−眼瞼接触領域の変化を最適化する。レンズ−眼瞼接触領域は、上眼瞼及び下眼瞼が重なるコンタクトレンズ表面積として定義される。この方法は、レンズが誤配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域とコンタクトレンズが正しく配向されたときのレンズ−眼瞼接触領域との間の差が最大になるようにコンタクトレンズ外輪郭の形状を最適化する。
【0014】
本発明の目的のために、コンタクトレンズは、少なくとも3つの異なる領域によって定義される。これらは、視力矯正が得られる内部領域、眼の上のコンタクトレンズの機械的安定性を提供するコンタクトレンズの外側周辺部、内側領域と外側領域の間にあり、2つの前述の領域を不連続部分が生じないように滑らかに融合するために使用される中間領域である。
【0015】
内部領域又は光学ゾーンは、視力矯正を提供し、単焦点の矯正、乱視の視力矯正、二焦点の視力矯正、多焦点の視力矯正、カスタム矯正等の特定のニーズ、又は視力矯正を提供し得る任意の他のデザインのために設計される。外側周辺部、すなわち周辺部は、セントレーション及び方向付けなど、目の上におけるコンタクトレンズの安定化機能を与える。配向安定化は、光学ゾーンが乱視矯正及び/又は高次収差等の非回転対称特性を含むとき、基本となる。中間領域、すなわち中間部は、光学部と周辺部とが正接曲線によって混じり合うようにするものである。光学ゾーン及び周縁ゾーンの両方は、それらの設計が特定の必要条件が必要であるときに強く関連することがあるとはいえ、独立して設計され得ることに留意することが重要である。例えば、乱視光学ゾーンを有する円環状レンズの設計は、目の上でのコンタクトレンズの所定の配向の維持のために特定の周縁ゾーンを必要とし得る。
【0016】
本発明の目的のため、コンタクトレンズは、前面又は表面屈折力、裏面又はベースカーブ、及び縁部によっても定義される。コンタクトレンズの前面及び裏面は、少なくとも3つの領域によって示され、この3つの領域は、視力矯正が得られる内側領域、眼の上のコンタクトレンズの機械的安定性を提供するコンタクトレンズの外側領域又は周辺部分、及び内側領域と外側領域の間にあり、不連続部分が生じないように2つの前述の領域を滑らかに融合するために使用される中間領域である。
【0017】
現在のトーリックレンズの設計が、眼の上のコンタクトレンズを再配向するために上部及び下部の眼瞼圧を使用することは周知である。トーリックレンズは、互いに直交であり、一般に乱視の矯正に利用される2つの配向で2つの異なる度を有するレンズである。眼瞼によってコンタクトレンズに加わる力を制御する別の方法は、レンズと眼瞼との間の表面接触領域を制御することである。一定の眼瞼圧については、レンズ−眼瞼接触領域の増加(減少)は、眼瞼によってコンタクトレンズに加わる力を増加(減少)させる。したがって、所与の眼瞼の開口及び眼瞼の形状に対して、コンタクトレンズの形状は、レンズ−眼瞼接触領域が、レンズを誤配向したときに最大に、レンズを正しく配向したときに最小になるように、調整されてよい。眼の上でのコンタクトレンズ配向に応じてレンズ−眼瞼接触領域を制御するコンタクトレンズの設計方法を提供することが本発明の目的である。
【0018】
眼瞼圧の大部分は、上眼瞼及び下眼瞼の縁部に沿った幅約0.40mm〜0.60mmの圧力帯であるリッドワイパーに沿って分散される。眼瞼結膜(眼瞼を覆う結膜)が直接眼球結膜(白眼を覆う結膜)に接触しないこともまた既知である。薄い涙膜で充填された間隙がこれらの2つの組織の間に存在する。圧力の大部分はリッドワイパーによって加わるが、眼瞼結膜もまた、涙膜を通した一定の圧力の原因となると想定され得る。
【0019】
図1に図示するように、従来の円形レンズでは、レンズ−眼瞼接触領域はコンタクトレンズの配向から独立している。コンタクトレンズ配向に応じたこのレンズ−眼瞼接触領域の最大化は、図1でも図示されるように非円形の使用によってのみ実現し得る。上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状は、これらの上部接触領域及び下部接触領域の境界の1つを定義するので、この非円形の最適化は、上眼瞼及び下眼瞼の幾何形状を考慮することによってのみ実現し得る。図示したように、従来の円形コンタクトレンズでは、180度での上眼瞼の接触領域及び180度での下眼瞼の接触領域は、90度での上眼瞼の接触領域及び90度での下眼瞼の接触領域と等しいが、非円形縁部形状コンタクトレンズではあてはまらない。
【0020】
本発明の方法は、眼の上の2つ又はそれ以上の異なるレンズ位置間のレンズ−眼瞼接触領域の差の最適化を含む。それらの位置は、眼の上のレンズの所望の最終位置、及び着用期間中に生じる少なくとももう1つのあまり望ましくないレンズ位置に対応する。
【0021】
本発明の方法による1つの代表的な実施形態において、上部又は上方のレンズ−眼瞼接触領域の差は、上眼瞼の輪郭、及び上眼瞼が重なるコンタクトレンズ部分のコンタクトレンズの縁部によって定義される表面積のみを使用して計算される。本発明の方法による別の代表的な実施形態において、下眼瞼が重なる下部又は下方のレンズ−眼瞼接触領域はまた、単独で又は上方のレンズ−眼瞼接触領域の寄与部分との組み合わせで、のどちらかが考慮される。
【0022】
本発明の方法による更に別の代表的な実施形態において、上方のレンズ−眼瞼圧力帯域の差は、上眼瞼の圧力帯、及び上眼瞼が重なるコンタクトレンズ部分のコンタクトレンズの縁部によって定義される表面積のみを使用して計算される。本発明の方法による更に別の代表的な実施形態において、下眼瞼が重なる下方レンズ−眼瞼圧力帯域はまた、単独で又は上方レンズ−眼瞼圧力帯域の寄与部分との組み合わせで、のどちらかが考慮される。
【0023】
表面積の計算は、計算する表面の境界が既知であれば、任意の好適な数学的ツールを使用して実行されてよい。本発明において、表面積は、眼の光軸に対し垂直の平面として定義されるX−Y座標平面で、上/下眼瞼の輪郭と眼瞼が重なる上部/下部コンタクトレンズ縁部との間で定義される。本発明による別の代表的な実施形態において、表面積の計算は、前述の同じ境界を使用し正確なトポグラフィーの表面積を使用して実行されてよい。この第2の方法は、安定化ゾーン又は眼の上のコンタクトレンズの機械的安定をもたらす他の機能など、コンタクトレンズの表面積を増加又は減少させる場合のあるコンタクトレンズの前面に追加された任意の機能を考慮に入れる。
【0024】
本発明による代表的な方法は、次のように広義に述べられてよい。第1工程では、上眼瞼及び下眼瞼の一方及び/又は両方の幾何形状が指定されるか又は記述される。これらの幾何形状は、2次又はより高次の多項式で数学的に表すことができるが、他の数学的ツールが使用されてもよい。第2工程では、角膜(虹彩、瞳孔、及び前眼房を覆っている眼の透明な前側部分)、鞏膜(白眼)、及び鞏膜を角膜に接続する角膜縁部領域(鞏膜が終わり角膜が始まる接合部分)を含む眼表面幾何形状が、指定されるか又は記述される。第3工程では、後に最適化されるコンタクトレンズの初期の幾何形状が、選択されるか又は記述される。コンタクトレンズの幾何形状として、中心厚、前面及び裏面の幾何形状、縁部輪郭、及び材料の特性が挙げられる。第4工程では、指定した眼瞼幾何形状及び指定した眼表面幾何形状に基づく初期のコンタクトレンズのセントレーションが見積もられる。第5工程では、最適化に必要な異なる制約条件が設定される。最終工程では、眼の上の2つ又はそれ以上の異なるコンタクトレンズ位置に対してレンズ−眼瞼接触領域の差を最大化するレンズ縁部輪郭は、第5工程で設定された制約条件に基づき最適化される。図2は、本発明による代表的な方法のフローチャート表示であり、以下に詳述する。
【0025】
フローチャート内の要素202、204、及び206により示される、本発明による代表的な方法の第1工程では、上眼瞼及び下眼瞼の一方及び/又は両方の幾何形状が指定される。これらの幾何形状は、例えば、白人、アジア人、アフリカ人などの民族性を示す母集団の平均、又は固有の患者の右及び/又は左の眼に関係してよいこれらの幾何形状のいずれか一方であってよい。これらの幾何形状は、比較的単純であるため、2次又はより高次の多項式で数学的に表現することができる。ただし、他の数学的ツールを使用してこれらの幾何形状を表現してもよい。多項式を使用する利点の1つは、例えば、眼瞼輪郭が連続する曲線によって表されるように、上眼瞼/下眼瞼と水平のX軸との間の表面積の直接計算である。積分法は、このように、表面積を決定するのにいかなる数値法の使用も必要としない。領域は、この多項式の積分から直接得られる。
【0026】
所与の民族性では、上述のように多項式によって数学的に表現され得る予測可能又は平均の眼瞼幾何形状が存在する。注文の眼瞼幾何形状は、患者の眼のデジタル画像を撮影することによって決定することができ、次に眼瞼幾何形状を最もよく表す多項式表現を開発するのに適した多項式を決定する。
【0027】
フローチャート内の要素208、210、212、及び214により示される、本発明による代表的な方法の第2工程では、角膜、鞏膜、及び鞏膜を角膜に接続する角膜縁部領域を含む眼表面幾何形状が指定される。好ましい代表的な実施形態では、角膜は、以下により与えられる等式1によって表現される非球面により記述され得る。
Z=CS/(1+(1−(1+k)C1/2) , (1)
式中、Zは表面の前後の奥行であり、Cは角膜の曲率であり(C=1/R、Rは曲率半径)、kは円錐定数であり、Sは半径位置である。角膜は、非球面のR値及びk値が臨床トポグラフィーデータから定義される場合に最もよく記述される。例えば、白人の眼の角膜を記述するデータの良好なセットは、限定するものではないが、R=7.85mm及びk=−0.26である。この非球面はまた、乱視を含む角膜を記述しようとする場合、円環状非球面又は双円錐面によって置き換えられてよい。円環状非球面又は双円錐面は、以下により与えられる等式2によって表現され得る。
Z=(C+C)/(1+(1−(1+k)C−(1+ky)C1/2), (2)
式中、Zは座標位置(X,Y)における表面の前後の奥行であり、C=1/Rであり(Rは、X軸に沿った曲率半径)、C=1/Rであり(Rは、Y軸に沿った曲率半径)、k及びkは、それぞれX軸及びY軸に沿った円錐定数である。等式(1)のS項は、等式(2)でX+Yとして表現されるか、又は置換される。換言すれば、S=X+Yであり、Sは上で定義されたように半径位置である。
【0028】
鞏膜は、半径Rの球面により記述され得る。この球面は、R臨床トポグラフィーデータから定義される場合に最もよく記述される。好ましい代表的な実施形態では、鞏膜は、非球面などのより複雑な面によって記述され得る。鞏膜の曲率は眼の上方及び下方の領域に沿ってそれほど違いがないが、耳側領域の曲率が鼻側領域より大きいことは当事者にとって既知である。角膜縁部領域は、2つの隣接した領域を、これらの領域間の遷移が滑らかかつ連続的であるように接続する半径Rのフィレットによって記述され得る。角膜縁部領域で第3の曲線を使用する利点は、角膜から鞏膜への異なる遷移プロファイルを形成できることである。
【0029】
フローチャート内の要素216、218、220、222、及び224により示される、本発明による代表的な方法の第3工程では、後に最適化されるコンタクトレンズの初期幾何形状が指定される。コンタクトレンズの幾何形状の選択は、記述されたレンズ材料及びレンズの種類に基づく中心厚(要素218)、光学ゾーン及び周辺部内の前面及び裏面の幾何形状であるレンズ縁部プロファイル(要素225)、並びに初期レンズの外輪郭の形状(要素224)の選択を含む。コンタクトレンズの外輪郭の形状は、単にコンタクトレンズで一般的に使用される円形状、楕円形状などのより複雑な形状、又は初期レンズ縁部の輪郭が非円形である更に複雑な形状であってよい。コンタクトレンズを製造する材料を選択することもまた、この材料はプロセスの次の工程で重要なパラメーターであるため、重要である。コンタクトレンズの幾何形状だけでなく材料特性も、眼の幾何形状を覆った後にこのコンタクトレンズに含有されるひずみエネルギーを規定する。
【0030】
フローチャート内の要素226、228、230、及び232により示される、本発明による代表的な方法の第4工程では、必要があれば、有限要素法(要素228)、又はその他の好適な評価方法を使用して、初期レンズセントレーションが見積もられる。レンズ被覆の有限要素解析が完了すると、最大角膜圧力及び最大鞏膜圧力が得られる(要素230)。コンタクトレンズのセントレーションは、最小のひずみエネルギーの位置に対応する。コンタクトレンズの初期幾何形状の複雑さに応じて、眼の上での異なるコンタクトレンズの配向に対して、コンタクトレンズのセントレーションの見積もりを実行することが好ましい。この方法の好ましい代表的な実施形態では、レンズ−眼瞼接触領域を決定する、それぞれの選択された位置に対してコンタクトレンズのセントレーションが実行される。
【0031】
フローチャート内の要素234により示される、本発明による代表的な方法の第5工程では、最適化の制約条件が定義される。これらの制約条件としては、水平軸に沿ったコンタクトレンズの水平方向径の範囲、垂直軸に沿ったコンタクトレンズの垂直方向径の範囲、コンタクトレンズの最大水平方向半径の差、コンタクトレンズの最大垂直方向半径の差、上眼瞼及び下眼瞼並びにコンタクトレンズセントレーションにおける最小及び最大レンズ−眼瞼重なりが挙げられる。上記に対して追加の制約条件をいくつでも追加することができる。代わりに、設計の制約条件の任意の好適な集合が使用されてよい。
【0032】
フローチャート内の要素236、238、240、及び242により示される、本発明による代表的な方法の第6工程では、解に達するまでコンタクトレンズ形状の最適化が実行される。最適化は、眼の上のコンタクトレンズの少なくとも2つの異なる位置に対して、コンタクトレンズの上部領域内若しくはコンタクトレンズの下部領域内のいずれか一方、又はコンタクトレンズの両方の領域内で、レンズ−眼瞼接触領域を最大化するために設定される。この方法の好ましい代表的な実施形態では、これらの位置は眼の上のコンタクトレンズの所望の最終位置、及び着用期間中に生じる少なくとも1つの他のあまり望ましくない又は最も望ましくないレンズ位置に対応する。あまり望ましくない又は最も望ましくない位置は、コンタクトレンズの回転位置が予定された最終位置から最も離れているときであり、一般に所望の最終位置から90度離れている。
【0033】
本発明の対象又は目的は、少なくとも2つの異なるコンタクトレンズの配向に対する接触領域の差を最大にするコンタクトレンズ縁部輪郭を最も良好に決定するため、上部のレンズ−眼瞼接触領域若しくは下部のレンズ−眼瞼接触領域、又は上部及び下部両方のレンズ−眼瞼接触領域を決定又は推定することである。次の代表的な手順は、この接触領域の差を最大にするために使用されてよい。
【0034】
図3A及び3Bは、任意の同じ非円形コンタクトレンズの2つの異なる位置での、レンズ−眼瞼の配向の実施例を図示している。図3Aで、非円形コンタクトレンズ302は、上眼瞼304と下眼瞼306との間の眼の上での、このコンタクトレンズの最終静止配向の状態である。図3Bで、非円形コンタクトレンズ302は、上眼瞼304と下眼瞼306との間の眼の上での、このコンタクトレンズの最終配向から時計と反対方向に90度ずれている。方法を記述する目的上、この90度の誤配向は、非円形コンタクトレンズがその眼で取り得る最も悪い又は最も安定しない位置と見なされる。上眼瞼304と下眼瞼306との間の交点は、円308、310、312、314、316、318、320、及び322により表される。これらの点は、上部及び下部のレンズ−眼瞼接触領域を決定するために使用される境界を特定する。
【0035】
接触領域は、次のように計算することができる。まず、上部及び下部領域の交点308、310、312、及び314は、最初のコンタクトレンズの配向に対して数学的に決定される。次に、上眼瞼304と水平軸との間であって、水平軸の上方の交点308及び310の突起部によって限定される領域を含む表面積を計算する。この表面積は、交点308及び310を境界又は積分境界として単純に積分により計算してもよい。次に、上部コンタクトレンズ302の縁部と水平軸との間であって、水平軸の上方の交点308及び310の突起部によって限定される領域を含む表面積を計算する。再度、表面積は交点308及び310を境界として積分によって計算するか、又は他の任意の好適な方法の使用により計算してよい。次に、これらの2つの表面積の差を計算する。これらの工程すべてを、コンタクトレンズの下方領域の表面積の差を決定するために、交点312及び314を使用して下眼瞼306に対して繰り返してよい。この工程が完了したら、レンズ−眼瞼接触領域の差を決定できるように、次に図3Bに図示するような異なるコンタクトレンズ位置に対して全プロセスを繰り返す。
【0036】
当事者向けには、コンタクトレンズの縁部を形成する非円形の輪郭を確定するために、数学的ツールをいくつでも使用してよい。1つの代表的な実施形態において、コンタクトレンズ縁部輪郭は、単純に一連のコントロールポイントによって示され、各コントロールポイントP(R,θ)は、半径距離R及び角度θによって極座標系に定義される。(R,θ)及び(Rn+1,θn+1)が、極座標系でコンタクトレンズの縁部の部分を記述する2つの連続するコントロールポイントである場合、レンズの中心からこの部分内にある縁部までの半径距離Rは、等式3によって定義される。
R=R+(Rn+1−R)sin(90((θ−θ)/θn+1−θ)), (3)
式中、θ<θ≦θn+1である。
【0037】
輪郭を決定するには最低2つのコントロールポイントが必要であるが、好ましくは各四分円が少なくとも1つのコントロールポイントを含むことができるように、少なくとも4つのコントロールポイントが使用される。より複雑なコンタクトレンズ縁部輪郭では、使用できる点の数に制限はない。ここで図4を参照すると、それぞれ半径及び角度を有する4つのコントロールポイント402、404、406、及び408によって定義されるコンタクトレンズ縁部輪郭が図示されている。
【0038】
上記の説明が本発明の概念の4番目の代表的な実施形態を示す一方で、以下の実施例では具体的な実施形態及びそれらに関連する利点をよりよく理解できる。以下の実施例の設定及びパラメーターは、最初に以下の結果の議論とともに提供される。
【0039】
次の3つの実施例におけるコンタクトレンズの回転及びセントレーションの性能は、本願に引用して援用する2009年12月17日に出願された米国特許出願第12/641,089号に記載のシミュレーションモデルを利用して得られた。このシミュレーションモデルでは、コンタクトレンズは、セントレーション動作及び回転動作を測定することができるように眼の上で自由に移動及び回転する。このシミュレーションモデルでは、涙膜(水性層)がコンタクトレンズと眼(角膜及び鞏膜)との間、コンタクトレンズと眼瞼との間に存在すること、及び眼瞼がコンタクトレンズに圧力を加えることを想定している。眼瞼が動く際、例えば、瞬きの際に、涙膜内で剪断が起こり、したがって、剪断応力がコンタクトレンズ上に作用する。コンタクトレンズと眼瞼(眼瞼圧)との間の相互作用におけるコンタクトレンズの厚さ分布の影響は、考慮される。眼に装着すると、コンタクトレンズは変形し眼の形状と同じ形状をとる。コンタクトレンズの位置依存の変形は、コンタクトレンズの弾性エネルギー容量に影響を与え、したがって、位置に影響を及ぼす。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
円形形状を有する乱視患者用の従来技術のコンタクトレンズ502が、図5Aに図示されるが、これは従来のコンタクトレンズ設計ソフトウェアを利用して、次の入力設計パラメーターにより設計されたものである。
【0041】
【表1】
【0042】
安定化ゾーンは、コンタクトレンズの厚さプロファイルに追加される特別厚いゾーンである。このコンタクトレンズ502は、実質的に円形のトーリックレンズの一般的な実施例である。コンタクトレンズ縁部幾何形状は円形であるので、レンズ−眼瞼接触領域の差は、眼の上のコンタクトレンズ502の配向と独立して0にとどまる。この設計は、乱視矯正用の市販のコンタクトレンズで見られるものの良好な表現として提示される。図5Aは、コンタクトレンズ502の通常の厚さの輪郭プロットを図示している。
【0043】
(実施例2)
楕円形形状を有する乱視(astimatic)患者用のコンタクトレンズ504が、図5Bに図示されるが、これは従来のコンタクトレンズ設計ソフトウェアを利用して、次の入力設計パラメーターにより設計されたものである。
【0044】
【表2】
【0045】
コンタクトレンズ504の安定化ゾーンは、コンタクトレンズ502(実施例1)の安定化ゾーンと同じプロファイルを有するが、規模は、コンタクトレンズ502の最大の厚さの差の66%に縮小されている。安定化ゾーンの最大の厚さの位置は、コンタクトレンズ504の縁部輪郭に従う。図5Bは、コンタクトレンズ504の通常の厚さの輪郭プロットを図示している。
【0046】
(実施例3)
非円形を有する乱視患者用のコンタクトレンズ506が図5Cに図示されるが、これは下記のように得られた、従来のレンズ設計ソフトウェアを利用して、次の入力パラメーターにより設計されたものである。
【0047】
【表3】
【0048】
コンタクトレンズ506の非円形縁部輪郭は、上記の4つのコントロールポイントを利用する方法によって定義される。それらのコントロールポイントの座標は図6にある。コンタクトレンズ506の安定化ゾーンはまた、コンタクトレンズ502(実施例1)の安定化ゾーンと同じプロファイルを有し、規模は、ここでも円形コンタクトレンズ502の最大の厚さの差の66%に縮小されている。安定化ゾーンの最大の厚さの位置は、コンタクトレンズ506の縁部輪郭に従う。図5Cは、コンタクトレンズ506の通常の厚さの輪郭プロットを図示している。
【0049】
本発明の方法を利用して、レンズ−眼瞼接触領域の差が、実施例2(楕円形)及び実施例3(非円形)のコンタクトレンズ504及び506に対して作成された。各コンタクトレンズの最終位置又は静止位置が、接触領域の差を評価するための参照位置としてとられた。実施例1(円形形状)の円形コンタクトレンズ502に対しては、輪郭が眼の上の位置に独立して対称のままであるため、接触領域の差は評価されなかった。この計算では、コンタクトレンズのセントレーションは考慮されなかった。セントレーションは、プロセスの重要なパラメーターではあるが、プロセスに著しい複雑性を追加するため、図示に利用され、プロセスを単純化する実施例の教示では省略される。上眼瞼だけが瞬き中の上下運動を有するため、上部のレンズ−眼瞼接触領域がレンズの回転に最も寄与するが、上部及び下部両方の接触領域の差が図7A及び7Bで提供される。
【0050】
図7Aは、実施例2のコンタクトレンズ504の上部及び下部両方のレンズ−眼瞼接触領域の差対コンタクトレンズの配向をグラフ表示し、図7Bは、実施例3のコンタクトレンズ506の上部及び下部両方のレンズ−眼瞼接触領域の差対コンタクトレンズの配向をグラフ表示している。特定の眼瞼幾何形状(例えば特定の人に対し測定される眼瞼の幾何形状)と対照的に、眼瞼幾何形状は、母集団群又は母集団下位群での眼及び眼瞼の生体計測データに関する情報を収集するために、特に実施された臨床研究から得られた。本書に記載の実施例では、これらのサンプル母集団の眼瞼幾何形状が利用された。各母集団下位群には、約100名が含まれた。下表1は、3つの母集団下位群の眼瞼幾何形状を要約している。本質的に、このデータは調査された特定の母集団の平均を示す。表内の数字は、X項を表すA2、X項を表すA1、定数項A0によって幾何形状を示す多項式の係数である。
【0051】
【表4】
【0052】
図7Aで、曲線702、704、及び706は、それぞれ、実施例2のコンタクトレンズ504における、グループ2の母集団の眼、グループ1の母集団の眼、及びグループ3の母集団の眼に対する下眼瞼の表面積の差対コンタクトレンズの配向を示す。曲線708、710、及び712は、それぞれ、実施例2のコンタクトレンズ504における、グループ1の母集団の眼、グループ3の母集団の眼、及びグループ2の母集団の眼に対する上眼瞼の表面積の差対コンタクトレンズの配向を示す。図7Bで、曲線714、716、及び718は、それぞれ、実施例3のコンタクトレンズ506における、グループ3の母集団の眼、グループ2の母集団の眼、及びグループ1の母集団の眼に対する下眼瞼の表面積の差対コンタクトレンズの配向を示す。曲線720、722、及び724は、それぞれ、実施例3のコンタクトレンズにおける、グループ1の母集団の眼、グループ3の母集団の眼、及びグループ2の母集団の眼に対する上眼瞼の表面積の差対コンタクトレンズの配向を示す。
【0053】
レンズ−眼瞼接触領域の差は、最も安定しない位置(90度のコンタクトレンズの配向)における実施例2のコンタクトレンズ504と実施例3のコンタクトレンズ506との間で、コンタクトレンズの上部領域において約100%、下部領域において約60%増加した。非円形コンタクトレンズ506(実施例3)は、異なる位置及び母集団にわたってより小さい接触領域の差を示しており、この設計が3つすべての母集団に適合することを意味する。グループ1の母集団に対しては、楕円形コンタクトレンズ504がこの民族性で最大の接触領域の差を示すため、楕円形コンタクトレンズ504を用いることが好ましい。非円形コンタクトレンズ506はまた、静止位置周囲のコンタクトレンズの小さな誤配向(静止位置の15度以内でのコンタクトレンズの配向)では、レンズ−眼瞼接触領域の差の変動が少ないことを示しており、眼の上のコンタクトレンズのより良い角安定性を意味する。
【0054】
図8は、右眼でのシミュレーションモデルから得られたコンタクトレンズの再配向をグラフ表示又は要約している。曲線802は実施例1のコンタクトレンズの結果を示し、曲線804は実施例2のコンタクトレンズの結果を示し、曲線806は実施例3のコンタクトレンズの結果を示す。各コンタクトレンズは当初、水平から反時計方向に45度離れて配向された。使用された眼及び眼瞼の幾何形状は、白人の眼を最も良好に示すように選択された。コンタクトレンズの再配向は、約78秒の時間枠を示す24回の瞬き周期セットの間計算された。実施例1のコンタクトレンズ502は、水平から21度離れたままであるため、最終静止位置に十分に到達しない。実施例2及び3のコンタクトレンズ504及び506は、24回の瞬き周期後、同じ位置に到達する。ただし、実施例3のコンタクトレンズ506は、眼の上でのより迅速な全体の再配向をもたらす、より迅速な初期再配向を示す。
【0055】
下表2は、最終瞬きサイクル中のコンタクトレンズの位置及び移動を提示する。垂直軸に沿った位置の変更は、各コンタクトレンズ縁部が上眼瞼及び下眼瞼と相互作用する方法によって主に説明される。これらのコンタクトレンズの大部分は垂直軸に沿って形状が異なるため、垂直位置で有意差が見られる。実施例1及び実施例2のコンタクトレンズが、耳側の偏心を示す一方で、実施例3のコンタクトレンズ506は、鼻側の偏心を示す。水平の偏心におけるこの変化は、最大水平半径の差から制御される。コンタクトレンズ被覆がこの方向におけるコンタクトレンズを再セントレーションしやすいように鼻側により短い半径を有することが好ましい。コンタクトレンズの移動は、3つのコンタクトレンズ502、504、及び506にわたってほぼ同じままである。ただし、実施例3のコンタクトレンズ506は、回転においてより良好な安定性を示す。角運動の範囲は、実施例1及び実施例2のコンタクトレンズ502及び504で見られる範囲のおよそ半分である。
【0056】
【表5】
【0057】
本発明の代表的な実施形態の別の態様によると、提案された方法は、コンタクトレンズを設計する当事者に高い柔軟性を与える。1つの事例で、コンタクトレンズ縁部輪郭は、同じ設計が左眼及び右眼の両方に適合するようにY軸又は垂直軸に沿って対称であるように対称軸の制御を想定してよい。また、コンタクトレンズ縁部輪郭が患者の眼瞼形状及び眼の形状の幾何形状に完全にカスタマイズされるような、コンタクトレンズ縁部輪郭が1つも対称を有さないものを想定してもよい。
【0058】
また、コンタクトレンズ縁部輪郭が、コンタクトレンズを挿入前に指又は手のひらでどのように取り扱う必要があるかが患者に明白であるような十分に特殊な事例を考慮してもよい。かかる設計に対して、患者は挿入前に患者の指上でコンタクトレンズを予備的に配向するので、レンズ−眼瞼接触領域の差の計算における第2配向の位置の選択は、最大ひずみエネルギーの配向ではなくて、最終位置から20度又は30度だけ離れたコンタクトレンズの配向であってよい。
【0059】
完全な処方の範囲の1つのSKUが選択されて、コンタクトレンズ縁部輪郭を最適化する事例を考慮してもよく、得られた解は、残りのSKUにわたって適用される。また、コンタクトレンズの中心及び周辺部におけるSKU範囲にわたる厚さの変化のため、個々のSKUが最適化される事例を考慮してもよい。これらの厚みの変化は、眼を被覆するコンタクトレンズからのひずみエネルギーに影響を与え、それによって、眼の上でのコンタクトレンズのセントレーションを変化させる。セントレーションにおけるこれらの変化は、コンタクトレンズ縁部輪郭と眼瞼輪郭との交点の位置を変化させ、したがって各SKUに対するレンズ−眼瞼接触領域の差に影響を与える。
【0060】
当該技術分野において、眼の上のコンタクトレンズの性能の評価に熟練している人にとって、注視方向、特に垂直方向における注視方向によって眼瞼幾何形状が変化することは既知である。次に、眼瞼幾何形状のかかる変化が、眼の上のコンタクトレンズの性能に影響を与えることは明らかである。このように、設計プロセス中に注視方向の変化による眼瞼幾何形状の変化を考慮しながら、設計性能を向上する機会もまた存在する。加えて、当該技術分野において、眼の上のコンタクトレンズの性能の評価に熟練している人にとって、民族性の間の眼瞼幾何形状の変化は既知である。このように、コンタクトレンズ設計が対象とする母集団によりコンタクトレンズ縁部輪郭を設計する機会もまた存在する。本発明は、白人、アジア人(中国人、日本人)、アフリカ人、又は具体的な眼瞼及び眼表面の生体計測データを有する任意の他の母集団を含む、特定の母集団向けのコンタクトレンズ設計を生成するために使用されてよい。
【0061】
また、市販のコンタクトレンズは、先天性異常、外傷、又は、眼瞼の異常変形に影響を及ぼす若しくは誘発する他の任意の原因により引き起こされた眼瞼の変形を有する患者に対する最良の解を提供しない場合があることを想定してもよい。これらの変形は、コンタクトレンズの性能に影響を及ぼすことがあり、患者が眼瞼幾何形状に基づくカスタムコンタクトレンズを必要とするまでに行き着く。本発明は、これらの患者に、性能に影響することなくコンタクトレンズを着用できる解決策を提供することができる。
【0062】
本明細書に図示及び説明した実施形態は、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、当業者であれば、本明細書に説明及び図示した特定の設計及び方法からの改変はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明及び図示される特定の構造に限定されるものではないが、付属の特許請求の範囲に含まれ得るすべての改変例と一貫性を有するものとして解釈されなければならない。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記第1表面積の重なりと前記第2表面積の重なりとの間の差を最大化することと、を含む、非円形コンタクトレンズの設計方法。
(2) 患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記第1表面積の重なりと前記第2表面積の重なりとの間の差を最大化することと、を更に含む、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(3) 前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(4) 前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(5) 前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
【0064】
(6) 前記外輪郭が平面である、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(7) 前記外輪郭が平面でない、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(8) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して対称である、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(9) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、実施態様1に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(10) 眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの前記外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記第1表面積の重なりと前記第2表面積の重なりとの間の差を最大化することと、を含む、非円形コンタクトレンズの設計方法。
【0065】
(11) 患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記第1表面積の重なりと前記第2表面積の重なりとの間の差を最大化することと、を更に含む、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(12) 前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(13) 前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(14) 前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(15) 前記外輪郭が平面である、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
【0066】
(16) 前記外輪郭が平面でない、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(17) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して対称である、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(18) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、実施態様10に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(19) 眼の上でのレンズの安定性、回転、及びセントレーションの改善のための非円形コンタクトレンズの設計方法であって、
患者の少なくとも1つの眼の上眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記患者の少なくとも1つの眼の眼表面の表面幾何形状を決定することと、
非円形コンタクトレンズの外輪郭の初期幾何形状を設定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第1表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記上眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの上方部分との間の第2表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの外輪郭の幾何形状を変化させることによって、前記第1表面積の重なりと前記第2表面積の重なりとの間の差を最大化することと、
患者の少なくとも1つの眼の下眼瞼の幾何形状を決定することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最適な最終位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方部分との間の第3表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズが前記眼表面の幾何形状に基づいて前記眼の上の最も適切ではない位置にあるとき、前記下眼瞼と前記非円形コンタクトレンズの下方部分との間の第4表面積の重なりを計算することと、
前記非円形コンタクトレンズの前記外輪郭の前記幾何形状を変化させることによって、前記第3表面積の重なりと前記第4表面積の重なりとの間の差を最大化することと、を含む、非円形コンタクトレンズの設計方法。
(20) 前記外輪郭が、個々の患者の眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
【0067】
(21) 前記外輪郭が、特定の母集団下位群の眼及び眼瞼の幾何形状の平均幾何形状によって決定される、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(22) 前記外輪郭が、個々の患者の、異なる注視に対する眼及び眼瞼の幾何形状によって決定される、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(23) 前記外輪郭が平面である、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(24) 前記外輪郭が平面でない、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
(25) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して対称である、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
【0068】
(26) 前記外輪郭が、前記非円形コンタクトレンズの垂直軸に関して非対称である、実施態様19に記載の非円形コンタクトレンズの設計方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8