(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる車両用エアバッグ装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。第1実施形態は、エアバッグが単一のチャンバを備える場合であり、第2実施形態は、エアバッグが複数のチャンバを備える場合である。いずれの実施形態の場合も、後述するプリーツ部は、単一であっても、複数であってもよい。
【0020】
第1実施形態では
図1に示すように、車両用シート101のシートバック101aに折り畳まれるなどして収容され、インフレータガスが導入されることにより、乗員の側部と車両のドアやサイドウインドウ等との隙間へ、車両前方に向かって展開膨張する車両用サイドエアバッグ102を例に挙げて説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る車両用エアバッグ装置のサイドエアバッグ102の正面図、
図3は、
図2に示した車両用サイドエアバッグ102に用いられる基布103の展開状態を示す正面図、
図4は、
図2に示した車両用サイドエアバッグ102を形成する基布103の周縁部103aに形成される縫合部分の拡大図、
図5は、
図2に示した車両用サイドエアバッグ102の展開状態を示す平面図、
図6は、
図2に示した車両用サイドエアバッグ102の展開状態を示す斜視図である。
【0022】
車両用サイドエアバッグ102は一般周知のように、インフレータ(図示せず)から噴出されるインフレータガスにより、
図1に示すように、シートバック101aから車両前方に向かって展開膨張し、乗員とドアやサイドウインドウとの隙間に進入して乗員を保護する。
【0023】
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ102は、
図2〜
図4に示すように、柔軟な素材の基布103を二つ折りにして二重に重ね合わせ、重ね合わせた基布103の周縁部103aを縫合ラインSで縫合して形成される車両用サイドエアバッグ102であって、二重に重ね合わせた基布103の一方の基布部分(後述する右パネル部108:
図3参照)には、山折り部104と谷折り部105とが隣り合うプリーツ状に折り畳んで、3つのプリーツ部106が形成される。プリーツ部106を形成する山折り部104は、その稜線が車両の上下方向に沿う向きに形成される。複数のプリーツ部106を形成する、隣接する山折り部104同士は、車両の前後方向に、互いに平行に配列される。従って、谷折り部105も、車両の上下方向に沿う向きに、車両の前後方向に互いに平行な配列で、形成される。山折り部104同士は、従って谷折り部105同士も、必ずしも互いに平行に配列する必要はなく、展開膨張時に求められる、車両用サイドエアバッグ102の外形形態に応じて配列される。さらに、プリーツ部106はすべて、車両前方もしくは車両後方のいずれか一方へ、同じ向きに折り畳んだ状態で、基布103の周縁部103aが縫合されて形成される。具体的には、山折り部104が同じ向きに畳み込まれる。上述した二重に重ね合わせる基布103は、一枚の基布103を折り畳んで二重に重ね合わせてもよいし、二枚の基布103を用意してこれらを二重に重ね合わせてもよい。また、プリーツ部106は、3つに限らず、複数形成すればよい。勿論、プリーツ部106は、1つであってもよい。また、縫合する際には、縫い合わせをし易いように、基布103(バッグ)の外形部分に、位置決め用の突起を設けるようにしても良い。
【0024】
図3を参照して、さらに詳述すると、本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ102の基布103は、これを二つ折りにする折り目箇所103bが上下方向に沿い、この折り目箇所103bを境界として、左側の左パネル部107と右側の右パネル部108とを備える。図中、左パネル部107の先端107aは、ほぼ円弧状に形成される。この先端107aの円弧状の直径は、折り目箇所103bの車両上下方向に沿う長さ寸法よりも僅かに長く形成される。左パネル部107の円弧状の先端107aの下縁は、折り目箇所103bへ向かって車両前後方向に水平をなす周縁部103aと接続される。左パネル部107の円弧状の先端107aの上縁は、折り目箇所103bへ向かって僅かながら下降する傾斜をなす周縁部103aと接続される。左パネル部107には、折り目箇所103bの近傍に、インフレータ装着部103cが設けられる。
【0025】
右パネル部108の先端108aは、左パネル部107の先端107aと同じ円弧状に形成される。基布103の展開状態では、折り目箇所103bから先端107a,108aそれぞれまでの長さ寸法は、右パネル部108の方が左パネル部107よりも長く形成される。右パネル部108には、3箇所にプリーツ形成部109が設けられる。プリーツ形成部109は、プリーツ部106が形成される部分である。プリーツ形成部109は、折り目箇所103bに対し平行に山折りされる山折り部104と折り目箇所103bに対し平行に谷折りされる谷折り部105が、一対で形成される。従って、隣接する山折り部104同士は、互いに平行に配列される。
【0026】
プリーツ形成部109で山折り部104及び谷折り部105を形成し、その後、右パネル部108を左パネル部107に重ね合わせると、
図2に示すように、左パネル部107と右パネル部108の輪郭が一致する。このとき、各プリーツ形成部109の山折り部104は、それらの稜線がすべて車両前後方向のいずれか一方へ向くように、折り畳まれる。
【0027】
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ102は、基布103の折り目箇所103bがシートバック101a側に位置され、インフレータガスが導入されて展開膨張すると、各パネル部107,108の先端107a,108aが、車両前方側に位置するように設定される。折り目箇所103bがほぼ車両の上下方向に沿って配置されるので、いずれか一方のパネル部107,108が乗員に面し、他方のパネル部108,107がドアやサイドウインドウ等の車両側に面する。すなわち、プリーツ部106を有する右パネル部108を乗員側に配置し、左パネル部107を車両側に配置しても、その反対の配置であっても、いずれでもよい。
【0028】
いずれかのパネル部107,108、図示例では右パネル部108に、3つのプリーツ部106が設けられ、各プリーツ部106を折り畳んだ状態で、パネル部107,108が二重に重ね合わされ、折り目箇所103bを除く周縁部103aが縫合ラインSで縫合される。必要に応じて、折り目箇所103bに対して縫製を行ってもよい。プリーツ部106が設けられていない左パネル部107に、インフレータ装着部103cが設けられる。
【0029】
次に、本実施形態に係る車両用エアバッグ装置のサイドエアバッグ102の展開膨張作用について説明すると、インフレータガスが導入されると
図5及び
図6に示すように、プリーツ部106が拡がるので、右パネル部108が、プリーツ部106のない左パネル部107よりも大きく膨張する。プリーツ部106を設けたことにより、プリーツ部106がない場合よりも、車両幅方向に大きなストローク(厚さ)で膨張させることができる。これによって、乗員とドアやサイドウインドウとの隙間で、車両用サイドエアバッグ102に大きな厚みを確保することができる。また、ストロークを確保するプリーツ部106は、基布103に畳み込まれており、エアバッグの外形形状を拡張する必要がないため、シートバック101aへの収納時の大きさをコンパクト化することができる。言い換えれば、通常、ストロークを拡張するために必要なエアバッグの外形寸法の拡大を必要としないため、外形寸法の拡大によって発生する他部品への干渉を低減することができる。
【0030】
本実施形態に係る車両用エアバッグ装置のサイドエアバッグ102の製造方法について説明する。まず、
図3に示すような形状の基布103を準備する。このとき、インフレータ装着部103cを形成する。次に、右パネル部108のプリーツ形成部109において、山折り部104と谷折り部105で折り畳んでプリーツ部106を形成する。次いで、折り目箇所103bで基布103を折り返し、左パネル部107と右パネル部108とを重ね合わせる。このとき、各プリーツ形成部109の山折り部104を、それらの稜線がすべて車両前後方向のいずれか一方へ向くように折り畳む。最後に、左パネル部107と右パネル部108とを重ね合わせた状態で、基布103の周縁部103aを、プリーツ部106とともに縫合ラインSで縫合する。
【0031】
第1実施形態に係る車両用サイドエアバッグ102によれば、右パネル部108にプリーツ部106を設けたので、インフレータガスによりプリーツ部106が拡がり、右パネル部108が左パネル部107より大きく膨張する(
図5中、P>Qで示す)。すなわち、プリーツ部106が設けられていない場合よりも、車両用サイドエアバッグ102を、より大きなストロークで、膨張させることができる。
【0032】
プリーツ部106がない車両用エアバッグを、車幅方向に大きなストロークで厚く膨張させる方法の一つとして、基布やパネル部の車両前後方向長さ寸法を大きくする方法がある。しかしながら、この場合には、エアバッグを畳んだ際の収納状態におけるエアバッグのボリュームが大きくなってしまい、コンパクト化することができない。プリーツ部106を設けると、シートバック101aに収容する際には、車両用サイドエアバッグ102の大きさをコンパクト化することができる。コンパクトに収容可能であると共に、展開膨張した際には、より厚く膨張させることができる。
【0033】
また、厚さを厚く膨張させるために、基布とは別に他の布を縫合して三次元に膨張させる方法もある。この場合には、二重に重ね合わせた部位にさらに他の布を重ねて縫合するので、周縁部の縫合とは別に、他の布を縫合する作業が必要となり、製造性に劣り、エアバッグの自動生産の障害となる。本実施形態では、プリーツ部106を折り畳んだ状態で、周縁部103aと一括して縫合するだけなので、製造性を向上でき、好ましく自動生産に適用することができる。
【0034】
さらに言えば、プリーツ部106によって、コンパクトでありながら、必要な部分に対し、展開膨張時のストローク(サイドエアバッグ102の車幅方向の厚み)を必要に応じてかつ十分に確保することができると共に、プリーツ部106は、単なる折り返しによる重ね合わせで設けることができて、サイドエアバッグ102の生産性を向上でき、かつコストダウンも達成することができる。
【0035】
また、3つのプリーツ部106を同じ向きに折り畳むので、手作業の場合でも、機械による自動化作業の場合でも、プリーツ部106を一挙に折り畳むことができる。従って、好ましく自動生産に適用することができる。
【0036】
また、隣接する山折り部104同士が、互いに平行に配列されるので、各プリーツ部106が交差することがなく、プリーツ部106を円滑に拡げることができて、スムーズな展開膨張作用を確保でき、優れた乗員保護性能を確保することができる。
【0037】
上記実施形態では、プリーツ部106を右パネル部108に設ける場合について説明したが、左パネル部107に設けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、車両用サイドエアバッグ102全体に対してプリーツ部106を形成する場合について説明したが、局所的にストロークを確保する場合には、プリーツ部106の山折り部104や谷折り部105の幅や数、配置を変えることで対応することができる。
【0038】
図7は、上記第1実施形態の変形例に係る車両用サイドエアバッグ102の縫合部分の拡大図、
図8は、
図7に示した変形例の車両用サイドエアバッグ102の展開状態を示す平面図である。上記実施形態では、プリーツ部106を右パネル部108のみに設けた場合について説明したが、
図7及び
図8に示すように、プリーツ部106は、二重に重ね合わせた基布103の双方(右パネル部108及び左パネル部107)に設けてもよい。このようにすれば、車両用サイドエアバッグ102を、車両の幅方向左右双方へ向かって大きなストロークで膨張させることができて、厚みをさらに厚く確保することができる。この場合、各パネル部107,108におけるプリーツ部106の折り畳み方向は、同じ向きであっても、反対向きであっても、いずれでもよい。
【0039】
図9は、上記第1実施形態の他の変形例の車両用サイドエアバッグ102を示す正面図である。上記実施形態では、各プリーツ部106が、折り目箇所103bに沿って車両の上下方向に形成される場合について説明したが、
図9に示すように、折り目箇所103bと交差する方向、すなわち上記プリーツ部106と交差する方向に、追加の山折り部110と追加の谷折り部111が隣り合うプリーツ状に折り畳んで交差方向プリーツ部112を複数形成し、これら複数の交差方向プリーツ部112を同じ向きに折り畳んだ状態で、基布103の周縁部103aを縫合ラインSで縫合するようにしてもよい。このようにすれば、両プリーツ部106,112が共に拡がるので、車両用サイドエアバッグ102を、さらに厚く、大きなストロークで膨張させることができる。
【0040】
次に、本発明にかかる車両用エアバッグ装置の第2実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。特に、第2実施形態は、コンパクトでありながら、展開膨張時に、必要な部分に対し、十分なストローク(厚み)を局所的に確保することが可能であると共に、生産性の向上及びコストダウンの達成が可能である点で優れる。
【0041】
図10は、第2実施形態に係る車両用エアバッグ装置の概略側面図、
図11〜
図13は、
図10に示した車両用エアバッグ装置に備えられるエアバッグの部品図、
図14は、
図11に示したメインパネルにプリーツ部を形成した状態を示す側面図、
図15は、
図10中、A−A線矢視断面図、
図16は、
図10中、B−B線矢視断面図、
図17は、
図10中、C−C線矢視断面図、
図18は、
図10に示したエアバッグの展開膨張状態を説明する説明図である。
【0042】
第2実施形態では、車両用サイドエアバッグ装置の場合が示されている。本説明において、前とは車両前後方向前方を、後ろとは車両前後方向後方を、上とは車両上下方向上方を、下とは車両上下方向下方を、左右とは車幅方向を意味する。
【0043】
車両用サイドエアバッグ装置1に備えられるサイドエアバッグ2は、従来周知のように、座席のシートバック3に内蔵され、内部にインフレータガスが導入されることにより、折り畳むなどした収納状態から、乗員と車両側部の間の隙間に車両後方から車両前方へ向かって展開膨張され、乗員を保護するようになっている。
【0044】
図10に示すように、サイドエアバッグ2には、後述するバッフル4,5によって区分けされて、車両前後方向後方の上側で展開膨張する第1チャンバ6と、車両上下方向の下側で展開膨張する第2チャンバ7と、車両前後方向前方の上側で展開膨張する第3チャンバ8が形成される。
【0045】
サイドエアバッグ2が展開膨張膨張すると、第1チャンバ6は、乗員の肩部及びその周辺を受け止め、第2チャンバ7は、乗員の腰部及びその周辺を受け止め、第3チャンバ8は、乗員の胸部及びその周辺を受け止め、これにより乗員を保護する。
【0046】
図10から
図13に示すように、サイドエアバッグ2は、右側と左側の2枚の、基布で形成されるパネル体9の外周縁同士を外周縁シームラインs1で接合することにより、膨張可能な袋状に形成される。
図11は、基布から形成されるメインパネル10及びボトムパネル11を各左右一対で示す部品図、
図12は、基布から形成される第2バッフル5及びフロントパネル12を左右一対で示す部品図、
図13は、基布から形成される第1バッフル4を左右一対で示す部品図である。二点鎖線は、後述する各シームラインs1,s2,s3,s4の予定位置を示している。
【0047】
各パネル体9は、メインパネル10とボトムパネル11とフロントパネル12を1枚ずつ一組として、これらを接合することで形成される。詳細には、パネル体9は、メインパネル10の前端部分にフロントパネル12の後端部分を接合し、メインパネル10の下端部分にボトムパネル11の上端部分を接合することで形成される。
【0048】
サイドエアバッグ2内部には、メインパネル10、フロントパネル12及びボトムパネル11の境界位置に組み込んで、2枚一組の第1バッフル4と、折り曲げて用いられる1枚の第2バッフル5が設けられる。これらメインパネル10、ボトムパネル11、フロントパネル12、第1及び第2バッフル4,5は、車両用エアバッグの技術分野で従来周知の柔軟な素材で形成される。
【0049】
サイドエアバッグ2が展開膨張した際、対向する左右一対のパネル体9のうち、一方のパネル体9が、サイドウインドウなどの車両側部に面し、他方のパネル体9が、座席に着座している乗員に面する。
【0050】
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置1のサイドエアバッグ2では、対向する2枚のメインパネル10同士を、バッフル4,5を介して接合することで第1チャンバ6が形成される。同様に、対向する2枚のボトムパネル11同士を、バッフル4,5を介して接合することで第2チャンバ7が形成され、対向する2枚のフロントパネル12同士を、バッフル4を介して接合することで第3チャンバ8が形成される。
【0051】
バッフルについて詳細に説明すると、各第1バッフル4は、屈曲部4aを途中に有する弓幹状の形態で形成され、メインパネル10の前端部分に重ね合わせて設けられる。各第1バッフル4の長さ方向前端4bはサイドエアバッグ2の前端に接合され、長さ方向上端4cはサイドエアバッグ2の上端に接合される。2枚の第1バッフル4は、サイドエアバッグ2の組み立ての際に、幅方向一側縁が後述するシームラインs2で互いに接合されて一体化され、同時にメインパネル10に接合される。第2バッフル5は真っ直ぐな形態で形成され、サイドエアバッグ2の後端に長さ方向後端5aが接合され、長さ方向前端5bが第1バッフル4の屈曲部4aにオーバーラップ(図中、Eで示す)して、当該屈曲部4aに接合される。第1バッフル4と第2バッフル5とは、インフレータガスが漏れないように、気密に接合される。
【0052】
第2バッフル5の後端5aには、インフレータ13を差し入れるためのスリット14が形成される。従って、インフレータ13は、第2バッフル5を貫通して配置される。第1バッフル4は、メインパネル10とフロントパネル12の接合部分に沿って、第1チャンバ6と第3チャンバ8を仕切る。第1バッフル4及びメインパネル10には、これらを貫通して、第1チャンバ6と第3チャンバ8とを連通するスリット状の連通孔15が形成される。
【0053】
第2バッフル5は、メインパネル10とボトムパネル11の後方部分の接合部分に沿って、第1チャンバ6と第2チャンバ7の後方部分とを仕切る。第1バッフル4はさらに、メインパネル10とボトムパネル11の前方部分の接合部分に沿って、第3チャンバ8と第2チャンバ7の前方部分とを仕切る。
【0054】
言い換えれば、第1チャンバ6は前方部分が第1バッフル4により、下方部分が第2バッフル5により区画される。第2チャンバ7は、前方部分が第1バッフル4により、後方部分が第2バッフル5により区画される。第3チャンバ8は、後方部分及び下方部分が共に、第1バッフル4により区画される。
【0055】
サイドエアバッグ2内部に収容されるインフレータ13は、第2バッフル5を貫通して、第1チャンバ6から第2チャンバ7に亘って設けられる。インフレータ13から噴出されるインフレータガスは、第1チャンバ6内部及び第2チャンバ7内部に導入される。インフレータガスは、第1チャンバ6から、連通孔15を介して、第3チャンバ8へ導入される。
【0056】
サイドエアバッグ2に備えられる複数のチャンバ6〜8のうち、少なくともいずれかのチャンバには、プリーツ部16が備えられる。
図14は、プリーツ部16を折り畳んだ状態のメインパネル10の側面図である。本実施形態ではプリーツ部16は、
図11及び
図14に示すように、車両前後方向後方の上側で展開膨張する第1チャンバ6を形成する左右のメインパネル10双方に備えられる。プリーツ部16は、第2チャンバ7や第3チャンバ8に形成してもよい。また、プリーツ部16は、各パネル10〜12のいずれか片方にのみ形成してもよいことはもちろんである。
【0057】
プリーツ部16は、折り返しによる重ね合わせで形成される。具体的には、メインパネル10には、プリーツ部16を形成するための重ね合わせ代Gが設定される。重ね合わせ代Gの中央位置と一端縁位置に折り線Fが設定される。重ね合わせ代Gを利用して、2つの折り線Fに沿ってメインパネル10を折り返すことにより、メインパネル10にプリーツ部16が形成される。
【0058】
折り返しによる重ね合わせでプリーツ部16を形成する前、メインパネル10は、重ね合わせ代Gにより、車両前後方向の長さ寸法が長く、プリーツ部16を形成した後、メインパネル10は、プリーツ部を備えないメインパネルと同じ長さ寸法となる。
【0059】
本実施形態では、
図14に示すように、メインパネル10で形成される第1チャンバ6は、車両上下方向が第1チャンバ6の長手方向であり、車両前後方向が第1チャンバ6の短手方向である。プリーツ部16の重ね合わせの幅H(重ね合わせ代Gの1/2)の範囲には、第1チャンバ6の短手方向中央Xが含まれ、かつプリーツ部16の折り線Fが第1チャンバ6の長手方向に沿っている。
【0060】
図示例では、プリーツ部16の重ね合わせ幅Hは、第1チャンバ6の車両前後方向中央X(
図14及び
図15中、第1チャンバ6の車両前後方向長さをYとして、後端もしくは前端からY/2の位置)を基準位置として、当該基準位置から車両前後方向両側へ等しい距離を隔てて設定されている。プリーツ部16が備えられたチャンバ、具体的には第1チャンバ6は、プリーツ部が備えられないチャンバ(
図18中、t参照)と比較して、膨張容量が増大される。プリーツ部16を形成した位置では、プリーツ部が形成されない位置に比較して、車幅方向への膨らみが増大される。
【0061】
次に、第2実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置1のサイドエアバッグ2の構造を、
図10及び
図15から
図17を参照して、組立手順の一例に沿ってさらに詳細に説明する。最初に、一方のメインパネル10の前端部分にシームラインs2によって、一方の第1バッフル4を全長に亘って接合する。また、他方のメインパネル10の前端部分にシームラインs2によって、他方の第1バッフル4を全長に亘って接合する。
【0062】
次いで、これらメインパネル10の間に、折り返した第2バッフル5を配置する。この際、各メインパネル10において、折り返しによる重ね合わせでプリーツ部16を形成しておく。プリーツ部16を形成した各メインパネル10の外側に、ボトムパネル11を重ね合わせ、ボトムパネル11の外側にさらにフロントパネル12を重ね合わせる。
【0063】
重ね合わせに際しては、
図16に詳細に示すように、第2バッフル5が第1バッフル4とオーバーラップする位置において、折り返した第2バッフル5の左右両側縁5cと、各第1バッフル4の一方の側縁4dと、各メインパネル10の下端縁10aと、各ボトムパネル11の上端縁11aと、各フロントパネル12の下端縁12aが重なり合うようにし、第2バッフル5の両側縁5c同士は接合しないようにして、一括してこれらをシームラインs3で車両前後方向に接合する。
【0064】
この接合では、いずれか一方のパネル体9を第2バッフル5の一側縁5cにシームラインs3で接合し、その後、第2バッフル5の他側縁5cに他方のパネル体9をシームラインs3で接合するようにしてもよい。
【0065】
これにより、第2バッフル5が第1バッフル4にオーバーラップする付近では、第2バッフル5を挟み込んだ状態で、メインパネル10、ボトムパネル11及びフロントパネル12が接合され、同時にシームラインs3に沿って車両前後方向では、、サイドエアバッグ2の後方部分において、メインパネル10とボトムパネル11が、サイドエアバッグ2の前方部分において、メインパネル10、ボトムパネル11及びフロントパネル12が一括して接合される。従って、この段階で、ボトムパネル11は、メインパネル10に車両前後方向全長に亘って接合される。
【0066】
次いで、第1バッフル4を含めて、フロントパネル12とメインパネル10を、オーバーラップ位置付近からサイドエアバッグ2の上端に向けて、シームラインs4によって接合する。これにより、フロントパネル12がメインパネル10に車両上下方向全長に亘って接合される。
【0067】
最後に、メインパネル10のプリーツ部16を保った状態で、パネル体9同士を外周縁シームラインs1に沿って接合する。この際、外周縁シームラインs1は、サイドエアバッグ2の上縁位置で第1バッフル4の長さ方向上端4cを、サイドエアバッグ2の前縁位置で第1バッフル4の長さ方向前端4bを、サイドエアバッグ2の後縁位置で第2バッフル5の長さ方向後端5aをパネル体9に接合すると共に、プリーツ部16の上端部の重ね合わせをパネル体9に接合する。プリーツ部16の下端部の重ね合わせは、シームラインs3によってパネル体9に接合される。
【0068】
以上の組立手順により、サイドエアバッグ2が作成される。シームラインs1〜s4による接合は、縫製や接着、溶着など、従来周知のどのような方法によってもよい。
【0069】
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置1では、インフレータ13から噴出されるインフレータガスは、最初に第1チャンバ6及び第2チャンバ7に充満してこれらを膨張させ、第1チャンバ6に充満したインフレータガスの一部は、連通孔15から第3チャンバ8に流入して、当該第3チャンバ8を膨張させ、これによりサイドエアバッグ2の展開膨張が完了する。
【0070】
図18(a)は、展開膨張したサイドエアバッグ2を下から見上げた図であり、
図18(b)は、展開膨張したサイドエアバッグ2を車両後方から見た図である。第1チャンバ6には、プリーツ部16が備えられているので、プリーツ部がない場合(図中、t参照)よりも、第1チャンバ6の膨張容量を増大することができ、第1チャンバ6による乗員保護性能を向上することができる。プリーツ部16を第2チャンバ7や第3チャンバ8に備えれば、第1チャンバ6と同様に、それら部位における乗員保護性能を向上することができる。
【0071】
また、プリーツ部16を、第1チャンバ6の車両前後方向中央Xを含む位置に備えたので、当該中央の膨らみを増大させることができ、さらに乗員保護性能を向上することができる。
【0072】
要するに、サイドエアバッグ2が複数のチャンバ6〜8を有する場合に、各チャンバ6〜8の膨張容量を個別に変化させることができると共に、各チャンバ6〜8で膨らみ具合を増大させる箇所を任意に設定することができる。
【0073】
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置1では、第1チャンバ6に、折り返しによる重ね合わせで形成されるプリーツ部16を備えていて、このプリーツ部16によって、コンパクトでありながら、必要な部分に対し、展開膨張時のストローク(サイドエアバッグ2の車幅方向の厚み)を局所的にかつ十分に確保することができると共に、単なる折り返しによる重ね合わせで設けることができて、サイドエアバッグ2の生産性を向上でき、かつコストダウンも達成することができる。
【0074】
図19及び
図20には、上記第2実施形態の変形例が示されている。
図19は、プリーツ部を折り畳んだ状態のメインパネルの側面図、
図20は、
図19中、D−D線矢視断面図である。
【0075】
この変形例は、プリーツ部16の形成位置が上記実施形態と異なる。図示するように、プリーツ部16の重ね合わせの幅の範囲Hには、第1チャンバ6の車両前後方向後端(短手方向端部)6aが含まれ、かつプリーツ部16の折り線Fが第1チャンバ6の長手方向に沿っている。このようにすると、第1チャンバ6の後端6a周辺、すなわちサイドエアバッグ2の後端周辺の膨らみを、他の部分よりも増大させることができる。
【0076】
すなわち、プリーツ部16の形成位置を適宜調整することで、所望の位置の膨らみ具合を増大させるように調整することができる。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができることはもちろんである。
【0077】
図21には、上記第2実施形態の他の変形例が示されている。
図21は、プリーツ部を折り畳んだ状態のメインパネルの側面図である。上記実施形態では、プリーツ部16の折り線Fは、第1チャンバ6の長手方向、すなわち第1チャンバ6の車両上下方向に平行で、プリーツ部16の重ね合わせ幅Hが車両上下方向で一定であったが、この変形例では、プリーツ部16の重ね合わせの幅Hが変化する、具体的にはプリーツ部16の折り線Fに沿って当該プリーツ部16の一端から他端へ向かって次第に幅が広がるように形成される。
【0078】
このようにすれば、プリーツ部16によって増大させる膨らみ具合を、車両上下方向に変化させることができる。図示例では、第1チャンバ6は、第2チャンバ7直上で最も膨らみ具合が大きくなり、サイドエアバッグ2の上縁付近では、プリーツ部16のない場合と同等の膨らみ具合に設定することができる。
【0079】
すなわち、折り線Fを適宜に設定することで、膨らみ具合を変化させることができる。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができることはもちろんである。
【0080】
上記実施形態においては、車両用エアバッグ装置のエアバッグとして、車両用サイドエアバッグ102を例示して説明したが、これに限らず、ルーフサイドレール周辺から下方へ向かって展開膨張する、いわゆるカーテンエアバッグや、インストルメントパネルから車両後方へ乗員に向かって展開膨張する、いわゆるフロントエアバッグに適用してもよいことはもちろんである。
【0081】
以上に述べた車両用エアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施形態例も、各種の方法で実施または遂行できる。特に、本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさおよび構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。