(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水分計は、少なくとも一対の陰極及び陽極が1mm以下の間隔に設けられた電極を有し、該電極を脱水汚泥に接触させた状態で一定電圧を印加して電解電流を測定し、電解電流値から含水率を算出することを特徴とする請求項1記載の汚泥処理システム。
前記スクリュープレス脱水機の前段に、該スクリュープレス脱水機に導入する前記混合汚泥の汚泥濃度を一定範囲にするための汚泥濃縮機を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥処理システム。
前記水分計は、少なくとも一対の陰極及び陽極が1mm以下の間隔に設けられた電極を有し、該電極を脱水汚泥に接触させた状態で一定電圧を印加して電解電流を測定し、電解電流値から含水率を算出することを特徴とする請求項4記載の汚泥処理方法。
前記スクリュープレス脱水機の前工程において、汚泥濃縮機によって該スクリュープレス脱水機に導入する前記混合汚泥の汚泥濃度を一定範囲にすることを特徴とする請求項4、又は5記載の汚泥処理方法。
【背景技術】
【0002】
近年、下水道の普及に伴い、し尿や浄化槽汚泥を生物処理や高度処理等を行うことなく、脱水機を用いて脱水処理して脱水汚泥を回収した後、脱水ろ液を希釈してそのまま下水道へ放流する処理が多く採用されるようになっている。回収される脱水汚泥は助燃剤等として有効利用されるが、含水率を70%以下となるように調整することが求められている。
【0003】
一般にし尿処理場に搬入されるし尿と浄化槽汚泥は別々に収集されて搬入されることが前提であるが、実際には混合収集されているのが現状であり、その混合比によって脱水汚泥の含水率が異なってくることが想定される。このため、脱水汚泥の含水率が一定になるように、脱水処理前にし尿と浄化槽汚泥の混合比を一定にするようにしているが、実際には脱水汚泥の含水率は一定にならない。その理由は、一般的には浄化槽汚泥にはSS分が多いが、繊維分(夾雑物)は少ない傾向にあり、脱水機は原水のSS及び繊維量に性能が大きく左右されることから、それらが変動することにより、脱水汚泥の含水率が変動するためである。
【0004】
特許文献1には、汚泥を薬剤混合槽に導入して薬剤を注入、混合した後、脱水機によって脱水して脱水汚泥を製造するに際し、脱水汚泥中に電極を設置して含水率を測定し、その測定値が一定範囲となるように、脱水機の回転数、薬剤混合槽への汚泥供給量又は薬剤注入量を調整して、脱水汚泥の含水率を一定に制御することが提案されている。
【0005】
特許文献2には、脱水汚泥の一部を圧送ポンプによってマイクロ波透過型水分計に圧送し、該水分計によって測定した脱水汚泥の減衰電圧と脱水汚泥の含水率変化に対する汚泥供給ポンプの圧送圧力を加味して含水率を算出し、スクリュープレス脱水機のスクリューの回転数を制御して脱水汚泥の含水率を一定制御することが提案されている。
【0006】
特許文献3には、マイクロ波含水率計によってスクリュープレス脱水機の排出口で脱水汚泥の含水率を測定し、その測定値に基づいて凝集剤の薬注率を減少させることを優先に、スクリューの回転数と薬注率を制御して脱水汚泥の含水率を一定に制御することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
脱水汚泥の含水率が所定値よりも高い場合は、特許文献1〜3に記載のように、スクリューの回転数を低下させることで含水率が低くなるように調整することができる。しかし、スクリューの回転数低下は脱水汚泥の処理量低下につながるため、このスクリューの回転数を第一義的な制御対象とすることは、脱水汚泥を効率的に処理する上では好ましいこととはいえない。
【0009】
また、脱水助剤等の薬剤を投入すると、脱水汚泥量が増加してしまい、汚泥コストが増加すると共に、薬剤の費用も別途必要となり、コスト高となる問題がある。
【0010】
このため、簡単な制御で脱水汚泥と脱水ろ液とに低コストで分離でき、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥の性状変化に関わらず、脱水汚泥の含水率を一定値以下に効率良く調整することができる汚泥処理システム及び汚泥処理方法が求められている。
【0011】
そこで、本発明は、簡単な制御で脱水汚泥と脱水ろ液とに低コストで分離でき、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥の性状変化に関わらず、脱水汚泥の含水率を一定値以下に効率良く調整することができる汚泥処理システム及び汚泥処理方法を提供することを課題とする。
【0012】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
1.
回動することがないスクリーンの内部に、スクリュー軸の外周にスクリュー羽根が螺旋状のスクリューが配設されたスクリュープレス脱水機を用いて、脱水ろ液と脱水汚泥とに分離する汚泥処理システムにおいて、
前記スクリュープレス脱水機の脱水汚泥排出口から排出される脱水汚泥の含水率を測定する水分計と、
所定時間毎に前記水分計の測定値を入力し該測定値に基づいて前記脱水汚泥排出口から排出される脱水汚泥の含水率が一定値以下となるように、前記スクリュープレス脱水機における前記脱水汚泥排出口に設けられている背圧板の押付け圧及びスクリューの回転数を制御対象として制御可能な制御装置と、
を備えることを特徴とする汚泥処理システム。
【0015】
2.
前記水分計は、少なくとも一対の陰極及び陽極が1mm以下の間隔に設けられた電極を有し、該電極を脱水汚泥に接触させた状態で一定電圧を印加して電解電流を測定し、電解電流値から含水率を算出することを特徴とする前記1記載の汚泥処理システム。
【0016】
3.
前記スクリュープレス脱水機の前段に、該スクリュープレス脱水機に導入する前記混合汚泥の汚泥濃度を一定範囲にするための汚泥濃縮機を備えることを特徴とする前記1又は2記載の汚泥処理システム。
【0017】
4.
回動することがないスクリーンの内部に、スクリュー軸の外周にスクリュー羽根が螺旋状のスクリューが配設されたスクリュープレス脱水機を用いて、脱水ろ液と脱水汚泥とに分離する汚泥処理方法において、
前記スクリュープレス脱水機の脱水汚泥排出口から排出される脱水汚泥の含水率を所定時間毎に水分計によって測定し、その測定値に基づいて前記脱水汚泥排出口から排出される脱水汚泥の含水率が一定値以下となるように、前記脱水汚泥排出口に設けられている背圧板の押付け圧及び前記スクリュープレス脱水機におけるスクリューの回転数を制御対象として制御することを特徴とする汚泥処理方法。
【0018】
5.
前記水分計は、少なくとも一対の陰極及び陽極が1mm以下の間隔に設けられた電極を有し、該電極を脱水汚泥に接触させた状態で一定電圧を印加して電解電流を測定し、電解電流値から含水率を算出することを特徴とする前記4記載の汚泥処理方法。
【0019】
6.
前記スクリュープレス脱水機の前工程において、汚泥濃縮機によって該スクリュープレス脱水機に導入する前記混合汚泥の汚泥濃度を一定範囲にすることを特徴とする前記4、又は5記載の汚泥処理方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡単な制御で脱水汚泥と脱水ろ液とに低コストで分離でき、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥の性状変化に関わらず、脱水汚泥の含水率を一定値以下に効率良く調整することができる汚泥処理システム及び汚泥処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る汚泥処理システムの全体フロー図である。
【0024】
スクリュープレス脱水機1(以下、脱水機1という。)は、一端上方に投入口11aが開口したケーシング11内にパンチングメタル等からなる円筒状のスクリーン12が配置されている。本発明では、この脱水機1の投入口11aに、し尿及び浄化槽汚泥を混合した混合汚泥が投入され、脱水処理を行う。
【0025】
ケーシング11の下部には、スクリーン12によってろ過された脱水ろ液の排液口11bが設けられていると共に、ケーシング11の他端には、脱水汚泥の排出口11cが設けられている。
【0026】
スクリーン12の内部には、スクリュー軸13aの外周にスクリュー羽根13bが螺旋状に設けられたスクリュー13が配設されている。スクリュー軸13aは、投入口11a側から排出口11c側に向けて次第に太くなるように形成されており、これによりスクリュー軸13aの外周面とスクリーン12との間隔が、投入口11aから排出口11cに行くに従って次第に狭くなり、投入口11aから投入された混合汚泥を排出口11cに向けて移送する過程で徐々に圧縮するようになっている。この圧縮により、投入された混合汚泥中の水分がスクリーン12の穴から搾り出され、脱水ろ液が排液口11bから機外へ排出される。
【0027】
スクリュー軸13aの一端は駆動モーター14と連結されており、該駆動モーター14の回転駆動によってスクリュー13は所定の回転数で回転するようになっている。また、スクリュー軸13aの他端はスクリーン12の他端よりも突出しており、この突出部分のスクリュー軸13aの外周に、該スクリュー軸13aと同心状の背圧板15が設けられている。
【0028】
背圧板15は、スクリーン12の他端側の開口径よりも大径に形成されており、エアシリンダー16によって所定の押圧力でスクリーン12の他端側の開口に向けて押圧されている。スクリーン12の他端側に面する背圧板15の側面はテーパー状に形成されており、このテーパー状の側面とスクリーン12の他端側の開口との間に形成される隙間によって、脱水汚泥の排出口11cを形成している。
【0029】
エアシリンダー16は、背圧板15を基準にしてスクリーン12と反対側に配置されており、エアーコンプレッサー2から供給される空気圧によって駆動する。背圧板15は、このエアシリンダー16によって排出口11cを狭める方向に所定の押付け圧が掛けられるようになっている。エアーコンプレッサー2から各エアシリンダー16に送られる空気の供給量は、電磁弁箱3内の各電磁弁を介して調整されるようになっている。
【0030】
制御装置4は、電磁弁箱3及び駆動モーター14と制御可能に接続されている。従って、制御装置4によって電磁弁箱3内の各電磁弁の開度を制御することで、各エアシリンダー16に供給される空気圧が調整され、背圧板15の押付け圧が調整可能とされると共に、駆動モーター14の回転数を制御することで、スクリュー13の回転数が調整可能とされる。
【0031】
エアシリンダー16に供給される空気圧は、制御装置4によって、予め設定された所定圧毎に段階的に変更可能であり、これにより背圧板15の押付け圧は、初期値に対して所定圧毎に段階的に増減可能となっている。また、駆動モーター14の回転数は、制御装置4によって、予め設定された所定値毎に段階的に変更可能であり、これによりスクリュー13の回転数は、初期値に対して所定値毎に段階的に増減可能となっている。これら背圧板15の押付け圧及びスクリュー13の回転数を段階的に増減させる場合の1段階毎の値は適宜可変とすることができる。
【0032】
かかる脱水機1において、駆動モーター14を駆動し、スクリュー13を所定回転数で回転させた状態で投入口11aから混合汚泥を導入すると、混合汚泥は、スクリュー13のスクリュー羽根13bで
図1中の左方向に移送されながら、徐々に狭くなるスクリーン12とスクリュー軸13aとの間で圧縮され、スクリーン12によって水分が搾り出される。搾り出された水分は脱水ろ液として排液口11bから機外に取り出される。一方、脱水汚泥は、スクリュー13の回転によって徐々に排出口11cに向けて移送され、背圧板15に強制的に押し付けられる。脱水汚泥が一定の含水率になると、スクリュー13によって背圧板15に押し付けられる脱水汚泥の押出し力が背圧板15の押付け力を上回り、背圧板15が後退することにより排出口11cから排出される。
【0033】
脱水機1における脱水汚泥の排出口11cには、該排出口11cから排出される脱水汚泥と接触するように、脱水汚泥の含水率を測定するための水分計5が設けられている。制御装置4は、電磁弁箱3及び駆動モーター14の制御因子として水分計5の測定値がリアルタイムに入力されるようになっており、この水分計5によるリアルタイムの測定値に基づいて、これら電磁弁箱3及び駆動モーター14を制御し、これにより背圧板15の押付け圧及びスクリュー13の回転数を制御対象として制御可能とされている。
【0034】
この水分計5の好ましい一例を
図2を用いて説明する。
【0035】
図2は、水分計5の斜視図である。この水分計5は、外筒51内に、円筒状の電極固定リング52の端面が該外筒51の一端から露出するように設けられている。電極固定リング52は、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材やセラミックス等によって形成された絶縁体であり、外筒51から露出している端面の中央部に四角形状の開口部52aが形成されており、この開口部52a内に電極が固定されている。
【0036】
電極は陰極53及び陽極54からなる。陰極53及び陽極54を構成する金属には、白金等の貴金属が用いられるが、陰極53には銅、SUS等を用いることもできる。これら陰極53及び陽極54は少なくとも一対あればよいが、図示するように、陰極53と陽極54とが間に電極スペーサー55を挟んで交互となるように複数平行に配置されたくし型状とすることが好ましい。これら陰極53及び陽極54は、それぞれの一側縁が電極固定リング52の端面と面一状に露出するように該電極固定リング52の開口部52a内に固定されている。各陰極53及び各陽極54は、それぞれ給電ケーブル56と接続されており、この給電ケーブル56が外筒51内を通って該外筒51の他端から外部に延び、制御装置4と電気的に接続されている。
【0037】
なお、
図2に示す水分計5では、陰極53及び陽極54は外筒51の端面から露出するように位置しているが、例えば外筒51の側面に露出するように位置していてもよい。
【0038】
陰極53と陽極54は、測定精度の観点から1mm以下の間隔で平行に設ける必要がある。陰極53と陽極54の間隔が狭い程測定精度は向上するが、ノイズの発生率が大きくなるため、0.75mm〜0.1mmが好ましく、0.5mm〜0.2mm程度とすることがより好ましい。この間隔は電極スペーサー55の厚みによって調整できる。各陰極53及び陽極54の長さ(露出する部分の長さ)は測定精度の観点から短い方が好ましく、20mm以下とすることが好ましく、10mm以下とすることがより好ましく、5mm程度とすることが更に好ましい。
【0039】
かかる水分計5は、脱水汚泥の性状変化(含水率変化)により電解電流が変化することを利用したものであり、給電ケーブル56を介して陰極53及び陽極54に一定電圧を印加し、その時の電解電流値を陰極53及び陽極54によって直接かつ連続的に測定し、その測定値を給電ケーブル56を介して制御装置4に出力する。これにより制御装置4において脱水汚泥の含水率をリアルタイムに把握することができる。
【0040】
図1において、6は脱水機1の前段(前工程)として設けられる汚泥濃縮機である。汚泥濃縮機6を設けることによって、脱水機1に導入する混合汚泥の汚泥濃度を一定範囲に調整することができるため、本発明において好ましく設けることができる。
【0041】
この汚泥濃縮機6は、混合汚泥の汚泥濃度を固液分離して一定濃度まで濃縮することができるものであれば特に問わないが、多数の回転する楕円板61を用いた固液分離装置を好ましく用いることができる。
【0042】
図3は、楕円板61を用いた固液分離装置の主要部の部分平面図である。
【0043】
楕円板61は、一つの回転軸62につき同一位相で一定間隔毎に多数枚軸装されて固定されており、それぞれ多数枚の楕円板61が固定された回転軸62が、混合汚泥の投入口6aから濃縮混合汚泥の排出口6bにかけて、等間隔で多数本平行に架設されている。楕円板61は、隣接する回転軸62毎に位相が90°ずつずらされており、各回転軸62が不図示の駆動源によって同時に同速で同方向に回転することにより、全体として上部外周面(混合汚泥の送り面)が、投入口6a側から排出口6b側に向けてウェーブを形成するように作動するようになっている。
【0044】
各回転軸62の上方には、各回転軸62に亘って、回転軸62に軸装された各楕円板61間に挿入されるように延びる板状部材からなる複数本の案内部材63が配設されている。各案内部材63は、楕円板61の回転によって搬送される混合汚泥の搬送方向に沿って延びており、その上端面で、楕円板61の回転によって搬送される混合汚泥の搬送をガイドするようになっている。
【0045】
このような汚泥濃縮機6は、投入口6aから混合汚泥を投入すると、案内部材63及び回転する楕円板61の上部外周面(回転時に上側に位置する外周面)を移動する過程で、楕円板61と案内部材63との間の隙間及び隣接する回転軸62間の楕円板61同士の間隙から水分を下方にろ過し、排液口6cから機外に排出される。楕円板61は1回の回転で2回の掻き上げ搬送を行うので、搬送能力が増大すると共に固形物の滞留もなく、混合汚泥を固液分離し、汚泥濃度が一定範囲に濃縮された混合汚泥を生成することができる。
【0046】
脱水機1には、この汚泥濃縮機6によって濃縮された混合汚泥を導入することにより、脱水汚泥の含水率を一定範囲に調整することが一層容易となる。
【0047】
次に、制御装置4による脱水機1の制御方法の一例について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
ここでは通常条件(初期値)として、スクリュー13の回転数が0.5rpm、背圧板15の押付け圧が0.3MPaとなるように設定されている(S1)。
【0049】
脱水機1の投入口11aに混合汚泥が導入されると、スクリュー13の回転によって脱水ろ液と脱水汚泥とに分離され、脱水汚泥は背圧板15に当たって排出口11cから排出される。脱水汚泥は、この排出口11cの近傍において水分計5と接触し、その含水率が測定され、測定値が制御装置4に入力される。
【0050】
制御装置4には、ここでは予め含水率の制御目標値68%が設定されており、脱水機1に導入される混合汚泥の性状変化に伴って68%を超えるようになった場合に、脱水汚泥の含水率が68%以下になるように処理条件の変更制御を行う。
【0051】
なお、制御装置4は、所定の時間間隔で水分計5からの測定値を入力するようになっている。この測定間隔は可変であり、予め設定された設定時間内の各測定値の測定値平均によりPID制御を行うようになっている。この設定時間は測定間隔よりも長い時間であれば任意であり可変とすることができる。ここでは測定間隔を1分毎とし、設定時間を30分として、この30分間に測定された各測定値の平均を算出することで含水率を求めるようにしている。従って、制御装置4は、水分計5の測定値を1分毎に順次入力し、30分間の各測定値から平均値を算出している。測定値平均は、1分毎にその前の30分間の測定値の平均値を算出して順次更新していくため、最初の30分経過後、含水率は1分毎に求められることになる。
【0052】
脱水汚泥の導入後、処理が安定する一定時間が経過した後、制御装置4は水分計5から入力された測定値の設定時間分の平均値によって含水率を算出して目標値と比較判断し(S2)、その含水率が目標値以下(≦68%)であれば、上記ステップS1の通常条件を継続し、目標値を超えた場合(>68%)は、水分計5の演算補正を行った後、スクリュー13の回転数は初期値を維持したまま、電磁弁箱3の各電磁弁の開度を制御して、各エアシリンダー16に供給するエアーコンプレッサー2からの空気圧を1段階、例えば0.01MPaだけ大きくし、背圧板15の押付け圧を初期値よりも1段階だけ大きくする(S3)。
【0053】
なお、演算補正を行うのは、水分計5が背圧板15の押付け圧の変更時の圧力変動の影響を受けるため、含水率の演算に補正因子を含めるためである。
【0054】
背圧板15の押付け圧の変更後、制御装置4は再度含水率を算出して目標値と比較判断する(S4)。ここで、含水率が目標値以下(≦68%)となっていた場合は、水分計5の演算補正の後、背圧板15の押付け圧を1段階低下させて上記ステップS1の初期値に戻す。
【0055】
また、上記ステップS4において、含水率が目標値を超えた場合(>68%)、演算補正の後、スクリュー13の回転数は初期値を維持したまま、電磁弁箱3の各電磁弁の開度を制御して、各エアシリンダー16に供給するエアーコンプレッサー2からの空気圧を上記ステップS3よりも更にもう1段階大きくし、背圧板15の押付け圧を初期値に対して2段階大きくする(S5)。
【0056】
背圧板15の押付け圧を更に変更した後、制御装置4は再度含水率を算出して目標値と比較判断する(S6)。ここで、含水率が目標値以下(≦68%)となっていた場合は、演算補正の後、背圧板15の押付け圧を上記ステップS3の条件に戻して、初期値に対して1段階大きくした状態として処理を継続する。
【0057】
また、上記ステップS6において、含水率が目標値を超えた場合(>68%)、演算補正の後、スクリュー13の回転数は初期値を維持したまま、電磁弁箱3の各電磁弁の開度を制御して、各エアシリンダー16に供給するエアーコンプレッサー2からの空気圧を上記ステップS5よりも更にもう1段階大きくし、背圧板15の押付け圧を初期値に対して3段階大きくする(S7)。
【0058】
以後、上記と同様にして、制御装置4は、含水率を算出して目標値と比較判断し(S8)、目標値以下となった場合は、その背圧板15の押付け圧を初期値に向けて1段階ずつ小さくしていき、目標値を超えた場合は、スクリュー13の回転数は初期値を維持したまま、背圧板15の押付け圧だけを初期値に対して1段階ずつ大きくしていく制御を繰り返していく。
【0059】
しかし、含水率が目標値を超えた場合に背圧板15の押付け圧を大きくしすぎると、脱水汚泥の排出が困難となる等のおそれがあるため、背圧板15の押付け圧の増加には限度がある。ここでは背圧板15の押付け圧の初期値0.3MPaに対して、制御上限値として0.5MPaが制御装置4に予め設定されており、制御装置4は、背圧板15の押付け圧を1段階ずつ大きくしていく毎に常にこの制御上限値と比較することで、押付け圧が制御上限値に達したかどうかを監視している。
【0060】
上記ステップS8以後、上記の通りに処理を継続したところ、ステップS9において、スクリュー13の回転数は初期値を維持したままであるが、背圧板15の押付け圧は0.5MPaとなって制御上限値に達した状態となっている。この後、制御装置4が含水率を算出して目標値と比較判断した結果(S10)、目標値以下(≦68%)となった場合は、背圧板15の押付け圧を初期値に向けて1段階戻すように制御するが、押付け圧が制御上限値(0.5MPa)に達したにも関わらず依然として目標値を超えている場合(>68%)、制御装置4は、背圧板15の押付け圧を制御上限値に維持したまま、駆動モーター14を制御して、スクリュー13の回転数を初期値の0.5rpmから1段階、例えば0.2rpmだけ小さくして、0.3rpmに落とし、スクリュー13による圧縮時間をそれだけ長くとるようにする(S11)。
【0061】
なお、スクリュー13の回転数を下げると、それに伴って処理量も低下するため、投入口11aにおける液位の上下を検出する検出器(図示せず)を設けておき、この検出器の液位が所定位置よりも上回った際に、例えば混合汚泥を投入口11aに供給するための供給ポンプの駆動を一時的に停止する等、混合汚泥の導入量を調整することが好ましい。
【0062】
スクリュー13の回転数を落とした後、制御装置4は再度含水率を算出して目標値と比較判断する(S12)。ここで、含水率が目標値以下(≦68%)となった場合、背圧板15の押付け圧を制御上限値に維持したまま、駆動モーター14を制御して、スクリュー13の回転数を上記ステップS9の状態、すなわち初期値の0.5rpmに戻して処理を継続する。
【0063】
また、上記ステップS12において、含水率が目標値を超えたままである場合(>68%)、制御装置4は含水率の調整が不可能であると判断し、警告音、警告表示等によってオペレータに警告を発する。
【0064】
以上のように、本発明に係る汚泥処理システム及び汚泥処理方法によれば、脱水機1から排出される脱水汚泥の含水率を、水分計5によってリアルタイムで測定し、その結果に基づいて背圧板15の押付け圧とスクリュー13の回転数とを制御対象として脱水機1の制御を行うようにしたので、脱水助剤等を必要とすることなく、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥の性状変化に関わらず、含水率が一定値以下に調整された脱水汚泥を効率良く生成することができる。
【0065】
特に、制御装置4による制御対象は、背圧板15の押付け圧とスクリュー13の回転数だけであり、いずれも脱水機1本来の調整項目であるため、水分計5を付加する以外、含水率調整のための改造は不要である。このため、簡単な制御だけで、しかも低コストに含水率を一定値以下となるように調整することができる。
【0066】
また、脱水機1は、スクリュー13の回転数を落とすことで、脱水効率を高め、含水率を低下させることができるが、一般にスクリュー13の回転数を低下させると、それに伴って処理量も低下する。このため、上記フローチャートに示されるように、制御装置4は、含水率が目標値を超えた場合、スクリュー13の回転数の制御よりも背圧板15の押付け圧を優先して該押付け圧が大きくなるように制御し、押付け圧の制御上限値に達しても含水率が低下せずに目標値以下にならない場合に、背圧板15の押付け圧を維持したままスクリュー13の回転数を落とすように制御することで、処理量を優先させた含水率の調整を行うことができ、含水率が一定値以下に調整された脱水汚泥を一層効率良く生成することができる。
【0067】
なお、上記フローチャートでは、スクリュー13の回転数を初期値の0.5rpmから1段階落として0.3rpmとした後、含水率が低下しない場合は警告を発するようにしたが、スクリュー13の回転数の調整制御も、背圧板15の押付け圧の場合と同様に、複数段階でより細かく調整制御するようにしてもよい。もちろん、制御装置4には予め回転数の制御下限値が設定されており、回転数を変更する毎に常にこの制御下限値と比較することで、回転数が制御下限値に達したかどうかを監視している。回転数を複数段階に調整制御する場合の警告は、回転数が制御下限値に達した後に算出された含水率が目標値以下とならなかった場合に発するようにすればよい。
【0068】
本発明において、制御装置4における制御値(目標値及び測定値)となる含水率は、必ずしも厳密な意味での含水率である必要はなく、脱水汚泥の含水率に伴って変動する物理量であれば、実質的な意味での含水率として制御値に用いることができる。「脱水汚泥の含水率に伴って変動する物理量」としては、格別限定されるものではないが、例えば上述した電解電流値等を好ましく例示でき、本発明では、かかる物理量を、そのまま(含水率に換算することなく)制御値として用いることも好ましいことである。
【実施例】
【0069】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
【0070】
(実施例1)
図1に示したものと同様の汚泥処理システムを用いて、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥をスクリュープレス脱水機1を用いて脱水処理し、脱水ろ液と脱水汚泥とに分離する汚泥処理を行った。
【0071】
汚泥処理に際して、制御装置4により、以下の制御を行った。
【0072】
<制御>
脱水汚泥の含水率が一定値以下となるように、スクリュープレス脱水機1における脱水汚泥排出口11cに設けられている背圧板15の押付け圧及びスクリュー13の回転数を制御する。具体的には、スクリュープレス脱水機1の脱水汚泥排出口11cに設けられた水分計5により測定された脱水汚泥の含水率を、予め設定された目標値(68%)と比較し、該目標値を超えた場合、スクリュー13の回転数よりも背圧板15の押付け圧を優先して該押付け圧が大きくなるように制御し、背圧板15の押付け圧が予め設定された制御上限値に達しても含水率が目標値以下にならない場合に、背圧板15の押付け圧を維持したままスクリュー13の回転数を落とすように制御する。
【0073】
得られた脱水汚泥の含水率の経時変化(プロット)を
図5に示した。
【0074】
(実施例2)
実施例1において、脱水汚泥の含水率を、
図6に示されるように意図的に増加させたこと以外は実施例1と同様の制御を行いながら、汚泥処理を行った。
【0075】
得られた脱水汚泥の含水率、背圧板の押付け圧、及びスクリューの回転数(モーター周波数)の経時変化(プロット)を
図6に示した。
【0076】
<評価>
実施例1、2の結果(
図5及び
図6)より、本発明に係る汚泥処理システムを用いることにより、し尿及び浄化槽汚泥の混合汚泥の性状変化に関わらず、脱水汚泥の含水率を一定値以下に効率良く調整することができることがわかる。
【0077】
特に、
図6に示されるように、脱水汚泥の含水率が増加するように、意図的に混合汚泥の性状を変化させた場合(実施例2)においても、上記制御を行うことにより、脱水汚泥の含水率を一定値以下に効率良く調整することができることがわかる。
【0078】
なお、実施例1、2では、含水率の目標値を68%に設定した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜設定できる。