特許第5989837号(P5989837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5989837-画像形成装置 図000002
  • 特許5989837-画像形成装置 図000003
  • 特許5989837-画像形成装置 図000004
  • 特許5989837-画像形成装置 図000005
  • 特許5989837-画像形成装置 図000006
  • 特許5989837-画像形成装置 図000007
  • 特許5989837-画像形成装置 図000008
  • 特許5989837-画像形成装置 図000009
  • 特許5989837-画像形成装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989837
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20160825BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G03G21/14
   B65H7/06
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-61515(P2015-61515)
(22)【出願日】2015年3月24日
(62)【分割の表示】特願2012-123754(P2012-123754)の分割
【原出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-146032(P2015-146032A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】中村 了
【審査官】 齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−030682(JP,A)
【文献】 特開2012−027373(JP,A)
【文献】 特開2003−140488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
B65H 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を収容し、当該記録媒体を給紙する給紙部と、
感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、当該トナー像を前記記録媒体に転写させる画像形成を行う画像形成部と、
前記給紙部から前記画像形成部による前記トナー像の前記記録媒体への転写位置に向けて前記記録媒体を搬送するための搬送路と、当該搬送路による前記記録媒体の搬送方向において前記転写位置よりも上流側に設けられ、前記記録媒体が前記転写位置に搬送されるタイミングを調整するレジストローラーと、前記レジストローラーよりも前記記録媒体の搬送方向上流側となる搬送路に設けられて前記記録媒体を検出する反射型センサーと、前記搬送路において前記レジストローラーと前記転写位置の間に設けられ、前記レジストローラーによって前記転写位置に向けて搬送される前記記録媒体を検出するアクチュエーターセンサーとを含む搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体のジャムを、前記反射型センサーから出力される前記記録媒体の先端部を検出したことを示す先端検出信号と、前記アクチュエーターセンサーから出力される前記記録媒体の後端部を検出したことを示す後端検出信号とを用いて検出する記録媒体ジャム検出部と、
前記アクチュエーターセンサーから出力される前記記録媒体の先端部を検出したことを示す先端検出信号に基づいて、前記レジストローラーによって搬送される前記記録媒体に転写するトナー像を前記感光体ドラムの表面に形成するタイミングを調整すると共に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送部による前記記録媒体の搬送を停止させる制御を行う制御部と、
前記画像形成に用いる記録媒体の種別情報を取得する種別情報取得部とを備え、
前記制御部は、前記搬送部により連続して搬送される前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を、前記記録媒体の記録媒体種に応じて異ならせるものであり、
前記種別情報取得部に普通紙を示す種別情報が取得された場合には、前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を前記普通紙用の距離に設定し、
前記種別情報取得部に予め定められた特殊紙を示す種別情報が取得された場合には、前記搬送部により連続して搬送される前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を、前記搬送方向における前記反射型センサー及び前記アクチュエーターセンサー間の距離よりも長く設定し、かつ、前記種別情報取得部に前記普通紙を示す種別情報が取得された場合における前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔よりも大きく設定する画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体ジャム検出部は、前記種別情報取得部に普通紙を示す種別情報が取得された場合には、前記後端検出信号を前記アクチュエーターセンサーから得ることなく、前記先端検出信号及び前記後端検出信号の両方を前記反射型センサーから得て、当該先端検出信号及び後端検出信号を用いて前記記録媒体のジャムを検出する請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録媒体の搬送路において記録媒体を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンター等の画像形成装置では、下記特許文献1及び2に示されるように、感光体ドラム及び転写ローラーによるトナー像の転写位置に記録紙を搬送するタイミングを調整すると共に、記録紙の斜行を矯正するために、当該転写位置よりも記録紙搬送方向上流側に設けられたレジストローラー対により、記録紙を一旦停止させた後、上記転写位置に対して記録紙を二次的に給紙する技術が採用されている。この場合、レジストローラー対の近傍に配設されたレジストセンサーにより、記録紙がレジストローラー対に到達するタイミングが検出され、制御部は、このタイミングを用いて、レジストローラー対による二次給紙の開始タイミングを制御する。
【0003】
印刷速度が速い高速の画像形成装置には、このレジストセンサーとして、搬送路を搬送される記録紙に対して光を照射して、記録紙からの反射光を受光することで、搬送路上に記録紙が存在することを検出する反射型センサーが多く採用されている。当該レジストセンサーとして、反射型センサーを用いることで、アクチュエーターセンサーとは違って、アクチュエーターのチャタリングや、アクチュエーターの姿勢復帰に要するタイムロスを省くことができるため、反射型センサーは、高速機での記録紙検出に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−137618号公報
【特許文献2】特開2005−24705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成に用いる記録紙としてOHPシートを用いる場合、当該OHPシートは透明であり、しかも、記録紙の先端部よりも後の部分はバタツキが生じやすいため、反射型センサーは、記録紙の先端部よりも後の部分においては上記反射光を十分に得られず、記録紙の後端部が当該反射型センサーの配設位置に到来するタイミングを誤検出する虞があり、当該誤検出による反射型センサーからの記録紙検出信号に従って、制御部が誤ったジャム表示をしてしまうという問題がある。この問題を解消するために、反射型センサーがOHPシートの先端部を検出した後、制御部は、反射型センサーからの記録紙検出信号を一定時間無視し、この一定期間の経過後に、当該記録紙検出信号に基づいてOHPシート後端部の検出を行う制御が採用されている。しかし、高速機の場合、OHPシート後端部の検出時間に裕度が少ないため、この検出方法を用いても、上記要因による不具合を有する反射型センサーの検出精度では、依然としてOHPシート後端部を誤検出するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、印刷速度が速い高速機の場合であっても、記録媒体の先端部及び後端部の両方を正確に検出し、特に記録紙の後端部の誤検出に起因して記録紙のジャムが誤って検出される事態を、記録紙種別を問わずに防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、記録媒体を収容し、当該記録媒体を給紙する給紙部と、
感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、当該トナー像を前記記録媒体に転写させる画像形成を行う画像形成部と、
前記給紙部から前記画像形成部による前記トナー像の前記記録媒体への転写位置に向けて前記記録媒体を搬送するための搬送路と、当該搬送路による前記記録媒体の搬送方向において前記転写位置よりも上流側に設けられ、前記記録媒体が前記転写位置に搬送されるタイミングを調整するレジストローラーと、前記レジストローラーよりも前記記録媒体の搬送方向上流側となる搬送路に設けられて前記記録媒体を検出する反射型センサーと、前記搬送路において前記レジストローラーと前記転写位置の間に設けられ、前記レジストローラーによって前記転写位置に向けて搬送される前記記録媒体を検出するアクチュエーターセンサーとを含む搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記記録媒体のジャムを、前記反射型センサーから出力される前記記録媒体の先端部を検出したことを示す先端検出信号と、前記アクチュエーターセンサーから出力される前記記録媒体の後端部を検出したことを示す後端検出信号とを用いて検出する記録媒体ジャム検出部と、
前記アクチュエーターセンサーから出力される前記記録媒体の先端部を検出したことを示す先端検出信号に基づいて、前記レジストローラーによって搬送される前記記録媒体に転写するトナー像を前記感光体ドラムの表面に形成するタイミングを調整すると共に、前記記録媒体ジャム検出部によって前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送部による前記記録媒体の搬送を停止させる制御を行う制御部と、
前記画像形成に用いる記録媒体の種別情報を取得する種別情報取得部とを備え、
前記制御部は、前記搬送部により連続して搬送される前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を、前記記録媒体の記録媒体種に応じて異ならせるものであり、
前記種別情報取得部に普通紙を示す種別情報が取得された場合には、前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を前記普通紙用の距離に設定し、
前記種別情報取得部に予め定められた特殊紙を示す種別情報が取得された場合には、前記搬送部により連続して搬送される前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔を、前記搬送方向における前記反射型センサー及び前記アクチュエーターセンサー間の距離よりも長く設定し、かつ、前記種別情報取得部に前記普通紙を示す種別情報が取得された場合における前記記録媒体同士の前記搬送方向における間隔よりも大きく設定する画像形成装置である。
【0008】
この発明では、搬送路におけるレジストローラーと転写位置の間に、レジストローラーによって上記転写位置に搬送される記録媒体を検出するアクチュエーターセンサーを設け、制御部は、当該アクチュエーターセンサーからの先端検出信号に基づいて、当該記録媒体に転写するトナー像を感光体ドラムの表面に形成するタイミングを調整し、更に、記録媒体ジャム検出部は、記録媒体のジャムを、反射型センサーからの先端検出信号と、アクチュエーターセンサーからの後端検出信号とを用いて検出する。すなわち、本発明は、レジストローラーによる二次搬送開始後の記録媒体の搬送状態に応じた感光体ドラム表面へのトナー像形成のタイミング調整を行うためのアクチュエーターセンサーを備え、このアクチュエーターセンサーが出力する記録紙の検出信号を、記録媒体のジャム検出にも用いることで、ジャム検出の精度を高めるものである。
【0009】
このようにジャム検出を行うことにより、搬送路を高速に搬送される記録媒体の後端部がバタついて、反射型センサーによる当該後端部の検出精度が低下する状態となっても、本発明では、アクチュエーターセンサーにより記録媒体の後端部を検出して、ジャム検出部が当該アクチュエーターセンサーからの後端検出信号を用いてジャムを検出するため、印刷速度が速い高速機の場合であっても、記録媒体の先端部及び後端部の両方を正確に検出し、特に記録紙の後端部の誤検出に起因して記録紙のジャムが誤って検出される事態を防止することができる。
【0010】
本発明によれば、記録媒体が普通紙の場合は勿論、透明なOHPシートの場合であっても、搬送される記録媒体の後端部を正確に検出することができる。OHPシートは透明であるために、反射型センサーによる検出では、特にOHPシートの後端部の検出が上記バタつきのために不正確になりやすいが、本発明では、当該記録媒体の後端部の検出は、上記アクチュエーターセンサーにより行うため、OHPシートからの反射光が不十分であることと、上記バタツキの両方が重なる場合であっても、記録媒体の後端部を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷速度が速い高速機の場合であっても、記録媒体の先端部及び後端部の両方を正確に検出し、特に記録紙の後端部の誤検出に起因して記録紙のジャムが誤って検出される事態を、記録紙種別を問わずに防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機構的な概略構成を示す側面図である。
図2】画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図3】搬送路におけるレジストローラー対の配設位置周辺の構成を示す側面図である。
図4】画像形成装置における画像形成時の動作制御の第1実施形態を示すフローチャートである。
図5】画像形成装置における記録紙ジャムの検出処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
図6】(A)は反射型センサーから出力される記録紙検出信号を示す図、(B)はアクチュエーターセンサーから出力される記録紙検出信号を示す図、(C)(D)はジャム発生時にアクチュエーターセンサーから出力される記録紙検出信号を示す図である。
図7】受光部に入光する反射光量が不安定な場合に反射型センサーから出力される記録紙検出信号を示す図である。
図8】画像形成装置における画像形成時の動作制御の第2実施形態を示すフローチャートである。
図9】画像形成装置における記録紙ジャムの検出処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の機構的な概略構成を示す側面図である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置1として、図1には、電子写真方式のプリンターを示している。
【0015】
画像形成装置1の正面上部には、操作部47が設けられている。操作部47は、画像形成装置1の状態や各種メッセージを操作者に対して表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部473を備えている。操作部47には、さらに、画像形成に用いる記録紙の種別(種類)やサイズ等の設定を行うための操作キー471や、画像形成装置1の状態(ジョブ実行中、ジャム(紙詰まり)等のエラー発生等)を報知するために点灯又は消灯するLED(Light Emitting Diode)等からなる点灯部472が設けられている。
【0016】
画像形成装置1の本体10の内部下方には、給紙部2が配設されている。給紙部2は、本体10の内部に脱着可能な給紙カセット21を有している。給紙カセット21には、複数枚の記録紙Pが積載されて収容されている。さらに、給紙部2は、給紙ローラー22を備えている。給紙ローラー22は、給紙カセット21内に積載された記録紙Pのうち最上部の記録紙Pと接し、後述する搬送モーター34(図2)から供給される回転駆動力により回転駆動する。この給紙ローラー22の回転駆動により、記録紙Pは、最上位のものから順に1枚ずつピックアップされて、給紙カセット21から搬送路3に送り出される。
【0017】
搬送路3は、給紙部2から画像形成部6及び定着部7を経て、排出トレイ74に亘って設けられ、当該給紙部2から排出トレイ74まで記録紙Pを案内する。搬送路3には、記録紙Pの搬送方向において画像形成部6の上流側には、捌きローラー対31、中間ローラー4、レジストローラー対5(レジストローラーの一例)が配設されている。これら各ローラー及びローラー対は、給紙ローラー22から受け取った記録紙Pを搬送路3において画像形成部6方向に向けて搬送する。
【0018】
また、画像形成装置1の正面には、本体10の側部を開閉自在に回動する手差しトレイ11が設けられている。この手差しトレイ11には、開状態(図1に示す状態)とされた状態で、複数枚の記録紙Pが載置可能である。本体10内であって、手差しトレイ11に載置された記録紙Pの上方となる位置には、給紙ローラー111が設けられている。搬送路3は、手差しトレイ11及び給紙ローラー111に繋げて形成され、搬送路3に、手差しトレイ11及び給紙ローラー111に繋がる搬送路部分3aが接続する部分には、切換爪32が設けられている。切換爪32は、回転して姿勢を変更することにより、搬送路3において画像形成部6の配設位置に案内する記録紙Pを、給紙カセット21から搬送されてくる記録紙Pとするか、手差しトレイ11から搬送されてくる記録紙Pとするかを切り換える。
【0019】
中間ローラー4は、捌きローラー対31により搬送路3を搬送されてきた記録紙Pを、更にレジストローラー対5及び画像形成部6に向けて搬送する。
【0020】
レジストローラー対5は、搬送路3において記録紙Pの搬送方向に関して、画像形成部6によるトナー像の転写位置Nよりも上流側に設けられている。レジストローラー対5は、後述するエンジン制御部9による回転及び停止制御で、当該レジストローラー対5のニップ部に狭持した記録紙Pが当該転写位置Nに搬送されるタイミング(到達するタイミン
グ)を調整する。
【0021】
搬送路3には、記録紙Pの搬送方向において、レジストローラー対5よりも上流側であって、中間ローラー4よりも下流側となる位置に、レジストセンサーとして、反射型センサー101が設けられている。反射型センサー101は、例えば、光センサーであり、記録紙Pの搬送方向においてレジストローラー対5の上流側かつ近傍にある記録紙Pを検出する。
【0022】
また、記録紙Pの搬送方向において、画像形成部6の上記転写位置Nよりも上流側であって、レジストローラー対5よりも下流側となる位置には、アクチュエーターセンサー102が設けられている。アクチュエーターセンサー102は、レジストローラー対5により上記転写位置Nに向けて搬送される記録紙Pを検出するものである。
【0023】
例えば、反射型センサー101から出力される記録紙検出信号、すなわち、記録紙Pの先端部を検出したことを示す先端検出信号は、レジストローラー対5の回転駆動開始のタイミングを計るために用いられる。また、アクチュエーターセンサー102から出力される記録紙検出信号(記録紙Pの先端部を検出したことを示す先端検出信号)は、画像形成部6による感光体ドラム61表面へのトナー像の形成開始タイミングを計るために用いられる。
【0024】
画像形成部6は、予め定められた速度で回転してトナー像を担持する感光体ドラム61を有する。感光体ドラム61の上部に配置された帯電部62は、感光体ドラム61表面をほぼ一様に一定電位に帯電させる。感光体ドラム61表面の回転方向において帯電部62よりも下流側には、露光部63か設けられている。露光部63は、画像形成装置1にネットワーク接続されているコンピューター20(図2)等から送られてきた画像データに基づいてレーザー光Lを感光体ドラム61に照射し、静電潜像を感光体ドラム61表面上に形成する。
【0025】
感光体ドラム61表面の回転方向において露光部63よりも下流側には、現像部64が設けられている。現像部64は、感光体ドラム61表面に形成された上記静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。さらに、感光体ドラム61の下方には、転写ローラー65が配置されている。転写ローラー65には、トナー像転写用の転写バイアスが印加され、感光体ドラム61とのニップ部である転写位置Nに進入した記録紙Pに対して、感光体ドラム61表面上に形成されている上記トナー像を転写させる。
【0026】
画像形成部6の上記転写位置Nよりも記録紙Pの搬送方向下流側には、定着部7が設けられている。定着部7は、発熱体71を内蔵する加熱ローラー72と、加熱ローラー72に圧接してニップを形成する加圧ローラー73を有している。上記転写後であって未定着状態のトナー像を担持した記録紙Pが、定着部7の加熱ローラー72及び加圧ローラー73によるニップ部に進入すると、当該両ローラーによる加熱及び加圧により、トナー像のトナーが溶融して記録紙Pに定着する。当該トナー像定着後の記録紙Pは、排出搬送路7bを通って上方へ送られ、排出搬送路7bに設けられている搬送ローラー対75及び排出ローラー対76により、記録紙Pが本体の最上部に配置されている排出トレイ74に排出される。
【0027】
次に、画像形成装置1の電気的構成を説明する。図2は画像形成装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、画像形成装置1は内部に制御部8を有する。制御部8は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部8は、CPU81、画像処理部82等を有する。制御部8は、記憶部83と接続されている。記憶部83は、ROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせたものである。例えば、記憶部83は、画像形成装置1の制御プログラム、制御データ等を記憶する。CPU81は、中央演算処理装置であり、記憶部83に格納される制御プログラムや設定データに基づき、画像形成装置1の各部の制御や演算を行う。
【0029】
画像処理部82は、ASICや画像処理用RAM等を含む回路である。画像処理部82は、画像データに、設定に合わせ拡大、縮小、濃度変換、データ形式変換等、各種画像処理を施す。画像処理部82は、露光部63に画像処理後の画像データを送る。露光部63は、この画像データを受けて走査、露光を行い、感光体ドラム61に静電潜像を形成する。
【0030】
制御部8は、操作部47と接続されている。制御部8は、操作部47において操作者による操作キー471の操作等で入力された指示を受け付ける。さらに、制御部8は、操作部47の表示部473による表示と、点灯部472による点灯とを制御する。例えば、ジャムなどのエラーが発生したとき、制御部8は、点灯部472を点灯させ、表示部473にエラー発生の旨のメッセージを表示させる。
【0031】
また、制御部8は、インターフェイス部84と接続される。インターフェイス部84は、印刷を行う画像データや印刷における設定データを含む印刷データの送信元となるコンピューター20(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー等)等とネットワークやケーブルを介して通信を行うための通信インターフェイスである。画像形成装置1は、インターフェイス部84に入力されたコンピューター20からの画像データ及び設定データに基づき、印刷を行う。インターフェイス部84が受け取る設定データには、画像形成に用いる記録紙Pの記録紙種別(普通紙、OHPシート等の種類)を示す種別情報、用紙サイズを指定するサイズ情報等が含まれており、制御部8(種別情報取得部の一例となる)は、コンピューター20から、インターフェイス部84を介して、当該設定データを受信することで、印刷に用いる記録紙Pの種別情報を取得する。なお、当該サイズ情報の取得は、操作者による操作部47の操作キー471の操作で入力され、当該入力されたサイズ情報を制御部8が受け付けることで行ってもよい。制御部8は、取得した記録紙Pの種別情報をエンジン制御部9と共有する。
【0032】
画像形成装置1には、画像形成に関する部分(エンジン部90、例えば、給紙部2、搬送部30、画像形成部6、定着部7)を制御するために、エンジン制御部9が設けられている。エンジン制御部9は、エンジンCPU91、メモリー92、計時部93、及び記録媒体ジャム検出部94を有する。
【0033】
エンジンCPU91は、メモリー92内のプログラムやデータに基づき、演算や処理を行う演算処理装置である。メモリー92は、画像形成に関する制御用のプログラムやデータを記憶するROMやRAMである。計時部93は、制御に関する時間を計時する。なお、計時部93を設けずに、計時をエンジンCPU91で行うことも可能である。記録媒体ジャム検出部94は、反射型センサー101及びアクチュエーターセンサー102から得られる記録紙検出信号に基づいて搬送路3における記録紙Pのジャムを検出する。
【0034】
エンジン制御部9は、メモリー92内の印刷に関する制御プログラムや制御データに基づき、適切に画像形成が行われるようにエンジン部90の各部の動作をエンジンCPU91により制御する。本実施形態における制御部8及びエンジン制御部9が特許請求の範囲における制御部の一例となる。なお、本実施形態では、制御部8とは別個に、画像形成を行う部分を制御するエンジン制御部9を設ける例を示しているが、エンジン制御部9と制御部8とを統合し、制御部8がエンジン制御部9の機能及び処理を実行するものとしてもよい。
【0035】
搬送部30は、搬送路3、反射型センサー101、アクチュエーターセンサー102、搬送モーター34、レジストローラー用電磁クラッチ51、及び中間ローラー用電磁クラッチ41と、これらに加えて、搬送モーター34から回転駆動力の供給を受けて回転する給紙ローラー22,111、捌きローラー対31、中間ローラー4、レジストローラー対5、搬送ローラー対75、及び排出ローラー対76を備える。
【0036】
反射型センサー101及びアクチュエーターセンサー102は、エンジン制御部9による制御の下で駆動されると共に、上述した記録紙検出信号をエンジン制御部9に出力する。
【0037】
搬送部30は、搬送モーター34、レジストローラー用電磁クラッチ51、中間ローラー用電磁クラッチ41を備えている。
【0038】
搬送モーター34は、給紙ローラー22,111、捌きローラー対31、中間ローラー4、レジストローラー対5、搬送ローラー対75、及び排出ローラー対76に回転駆動力を供給する駆動源である。エンジン制御部9は、当該レジストローラー対5や中間ローラー4等の各ローラー対が予め定められた速度で回転するように、搬送モーター34を回転させる。
【0039】
レジストローラー用電磁クラッチ51は、搬送モーター34からレジストローラー対5に駆動力を伝達するか否かを切り換え、レジストローラー対5の回転を制御する。エンジン制御部9は、レジストローラー対5を回転させるとき、搬送モーター34を回転させつつ、レジストローラー用電磁クラッチ51を、駆動力を伝達する状態(オン状態)とする。これにより、レジストローラー対5が回転する。
【0040】
一方、エンジン制御部9は、レジストローラー対5を停止させるとき、搬送モーター34を停止させるか、レジストローラー用電磁クラッチ51を、駆動力を伝達しない状態(オフ状態)とする。これにより、レジストローラー対5は停止した状態となる。
【0041】
中間ローラー用電磁クラッチ41は、搬送モーター34から中間ローラー4への駆動力の伝達(オン)又は非伝達(オフ)の切り換えを行い、中間ローラー4の回転を制御する。エンジン制御部9は、中間ローラー4を回転させるとき、搬送モーター34を回転させつつ、中間ローラー用電磁クラッチ41をオン状態とする。これにより、中間ローラー4が回転する。一方、エンジン制御部9は、中間ローラー4を停止させるとき、搬送モーター34を停止させるか、中間ローラー用電磁クラッチ41をオフ状態とする。これにより、中間ローラー4が停止する。
【0042】
次に、反射型センサー101及びアクチュエーターセンサー102の構成を説明する。図3は、搬送路3におけるレジストローラー対5の配設位置周辺の構成を示す側面図である。
【0043】
搬送路3には、記録紙Pの搬送方向において、レジストローラー対5よりも上流側であって、中間ローラー4よりも下流側となる位置に、反射型センサー101が設けられている。反射型センサー101は、レジストセンサーとして、記録紙Pの搬送方向においてレジストローラー対5の上流側かつ近傍にある記録紙Pを検出する。
【0044】
また、記録紙Pの搬送方向において、画像形成部6の上記転写位置Nよりも上流側であって、レジストローラー対5よりも下流側となる位置に、アクチュエーターセンサー102が設けられている。アクチュエーターセンサー102は、レジストローラー対5により上記転写位置Nに向けて搬送される記録紙Pを検出する。
【0045】
反射型センサー101は、例えば、光センサーである。反射型センサー101は、LED(Light Emitting Diode)等を有して搬送路3に向けて光を照射する発光部101aと、フォトダイオード等を有して記録紙Pで反射された発光部101aからの光の反射光を受光する受光部101bを備える。
【0046】
反射型センサー101の配設位置においては、当該配設位置を記録紙Pが通過しない状態では、発光部101aから出射された光の反射光は、記録紙Pの不存在により、受光部S2bには受光されない。一方、反射型センサー101の配設位置を記録紙Pが通過するときは、発光部101aから出射された光が当該記録紙Pで反射して、受光部101bは、当該反射光を受光する。
【0047】
受光部101bによる上記反射光の受光又は非受光の状態に応じて、反射型センサー101は、記録紙検出信号の出力レベル(出力電圧値)を切り換える。例えば、受光部101bが反射光を受光しない時には、反射型センサー101は、記録媒体ジャム検出部94に対して、記録紙検出信号としてオフ信号(Low信号)を出力する。当該受光時には、反射型センサー101は、記録媒体ジャム検出部94に対して記録紙検出信号として、例えばオン信号(High信号)を出力する。記録媒体ジャム検出部94は、反射型センサー101から出力される信号の状態変化に応じて(例えば、High又はLowのいずれか、HighからLowへの変化、LowからHighへの変化に基づいて)、反射型センサー101の配設位置における記録紙Pの存在又は不存在、記録紙Pの先端部及び後端部の到来及び通過を検出する。
【0048】
アクチュエーターセンサー102は、例えば、機械的スイッチである。アクチュエーターセンサー102は、記録紙Pによる押圧で回動するアクチュエーター1021を備え、当該押圧によるアクチュエーターの回動で接点が閉じられたときに記録紙Pの存在を示すオン信号を出力し、当該押圧を受けないことでアクチュエーターが回動せずに、接点が閉じられていないときには記録紙Pの不存在を示すオフ信号を出力する。
【0049】
アクチュエーターセンサー102のアクチュエーター1021は、記録紙Pがアクチュエーターセンサー102の配設位置に到達していないときは、記録紙Pの押圧を受けずに、図3に実線で示す姿勢が保持されている。アクチュエーター1021が当該姿勢にあるとき、アクチュエーターセンサー102内の接点は開状態とされている。一方、記録紙Pがアクチュエーターセンサー102の配設位置に到達して、アクチュエーター1021が当該記録紙Pに押下されると、図3に破線で示すようにアクチュエーター1021が回動して姿勢を変更する。アクチュエーターセンサー102内の接点は、アクチュエーター1021が当該姿勢にあるとき、閉状態となるように構成されている。
【0050】
アクチュエーターセンサー102は、上記接点が閉状態にあるときに、記録紙Pを検出したことを示す記録紙検出信号としてオン信号(High信号)を出力し、上記接点が開状態にあるときに、記録紙Pを検出していないことを示す記録紙検出信号としてオフ信号(Low信号)を出力する。
【0051】
記録媒体ジャム検出部94は、アクチュエーターセンサー102から出力される上記記録紙検出信号の状態変化に応じて、反射型センサー101の場合と同様に、アクチュエーターセンサー102の配設位置における記録紙Pの存在又は不存在、記録紙Pの先端部及び後端部の到来及び通過を検出する。
【0052】
次に、画像形成装置1における画像形成時の動作制御の第1実施形態を説明する。図4は画像形成装置1における画像形成時の動作制御の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0053】
画像形成動作は、例えば、ネットワーク接続されたコンピューター20から印刷ジョブを受信すること等を契機として制御部8及びエンジン制御部9により開始される。この画像形成動作時には、まず、エンジン制御部9は、給紙カセット21に収容されている記録紙Pを給紙ローラー22により1枚ずつピックアップして搬送路3に給送させ、捌きロー
ラー対31及び中間ローラー4により、当該記録紙Pを、画像形成部2に向けて搬送させる(S1)。複数枚の記録紙Pに連続して画像形成を行う連続印刷の場合は、エンジン制御部9は、捌きローラー対31及び中間ローラー4により、画像形成部2に向けて、複数枚の記録紙Pを連続して搬送させる。
【0054】
エンジン制御部9は、給紙ローラー22により搬送路3に記録紙Pを搬送開始したタイミングを用いて、当該タイミングから予め定められた時間(捌きローラー対31、中間ローラー4、レジストローラー対5による記録紙搬送速度と、給紙部2及びトナー像の転写位置N間の距離とに基づいて定められる)経過後に、当該記録紙Pに対して感光体ドラム61表面上のトナー像が転写されるように、当該記録紙Pに転写させるためのトナー像の画像形成部6によるトナー像形成開始タイミングを設定する。
【0055】
このように搬送開始された記録紙Pが、レジストセンサーとしての反射型センサー101の配設位置に到達し、反射型センサー101が当該記録紙Pの先端部を検出したことを示す記録紙検出信号としての先端検出信号をエンジン制御部9に出力すると(S2でYES)、計時部93が、当該先端検出信号の受信時からの経過時間の計時を開始する(S3)。
【0056】
計時部93により待機時間の経過が計時されると(S4でYES)、エンジン制御部9は、レジストローラー用電磁クラッチ51をオン状態として、上記搬送モーター34の回転動力をレジストローラー対5に伝達させ、レジストローラー対5を回転駆動する(S5)。
【0057】
この待機時間とは、上記給紙部2からの記録紙Pの搬送開始時から上記設定されたトナー像形成の開始タイミングまでとなる時間t1から、上記給紙部2からの記録紙Pの搬送開始時から当該反射型センサー101による記録紙P先端部の検出時までの時間t2を差し引いた差分である時間t3が、予め定められた規定時間tfよりも小さい場合に、当該規定時間tfから時間t3を差し引いた差分となる時間t4を上記待機時間とする。規定時間tfは、レジストローラー対5による搬送で記録紙Pの先端が、レジストローラー対5から転写位置Nに到達するのに必要な時間である。
【0058】
すなわち、エンジン制御部9は、反射型センサー101からの上記先端検出信号の受信タイミングを用いて、当該記録紙Pの先端部が画像形成部6のトナー像転写位置Nに到達するタイミングを、適正なタイミングに調整する。
【0059】
エンジン制御部9が、レジストローラー対5により記録紙Pを画像形成部2の転写位置Nに向けて搬送を開始させた後、レジストローラー対5よりも記録紙搬送方向下流側のアクチュエーターセンサー102により当該記録紙Pの先端部が検出され、エンジン制御部9が、アクチュエーターセンサー102から、記録紙Pの先端を検出したことを示す記録紙検出信号としての先端検出信号を受信すると(S6でYES)、エンジン制御部9は、当該先端検出信号の受信タイミングを用いて、画像形成部6による感光体ドラム61へのトナー像形成開始タイミングを調整する。本実施形態では、エンジン制御部9は、アクチュエーターセンサー102からの上記先端検出信号の受信時に、画像形成部6に感光体ドラム61表面上へのトナー像の形成を開始させる(S6でYES、S7)。
【0060】
エンジン制御部9は、レジストローラー対5により記録紙Pが画像形成部6のトナー像転写位置N、すなわち、感光体ドラム61及び転写ローラー65の間に搬送されてきた記録紙Pに対して、感光体ドラム61表面上のトナー像を転写ローラー65により転写させる(S8)。感光体ドラム61及び転写ローラー65の間に連続して搬送されてきた各記録紙Pに対しては、同様に、S2乃至S8の処理が行われ、感光体ドラム61上のトナー像が順次転写される。
【0061】
なお、エンジン制御部9は、画像形成部6での画像形成が終了した記録紙Pを、定着部7を通過させた後、搬送ローラー対75及び排出ローラー対76により排出トレイ74に排出させる。
【0062】
次に、画像形成装置1における記録紙ジャムの検出処理の第1実施形態を説明する。図5は画像形成装置1における記録紙ジャムの検出処理の第1実施形態を示すフローチャートである。図6(A)は反射型センサー101から出力される記録紙検出信号を示す図、(B)はアクチュエーターセンサー102から出力される記録紙検出信号を示す図、(C)(D)はジャム発生時にアクチュエーターセンサー102から出力される記録紙検出信号を示す図である。なお、当該記録紙ジャムの検出処理は、上述した画像形成時の動作制御と並行して行われる。
【0063】
画像形成実行時に、上記のように、エンジン制御部9が、画像形成部6に向けて給紙カセット21に収容されている記録紙Pの搬送を開始した後(S11)、反射型センサー101が当該記録紙Pの先端部を検出したことを示す先端検出信号をエンジン制御部9に出力すると(S12でYES)、計時部93が当該先端検出信号の受信時からの経過時間の計時を開始する(S13)。当該計時部93による計時は、図4におけるS3の計時と兼ねて行われてもよいし、当該図4におけるS3の計時とは別個に行われてもよい。
【0064】
計時部93による予め定められた所定時間の計時中、エンジン制御部9の記録媒体ジャム検出部94は、アクチュエーターセンサー102から、記録紙Pの後端部を検出したことを示す記録紙検出信号としての後端検出信号が出力されてくるのを待機する(S14でNO,S17)。この予め定められた所定時間は、搬送路3における反射型センサー101の配設位置に、上記搬送される記録紙Pの先端部が到達してから、当該記録紙Pの後端部がアクチュエーターセンサー102の配設位置に到達するまでに要する時間である。例えば、この予め定められた所定時間は、今回の画像形成に適用される記録紙Pの用紙サイズの示す記録紙搬送方向における距離(例えば、A4サイズの場合297mm)を、搬送部30による記録紙Pの搬送速度により除算することで算出される。
【0065】
ここで、計時部93により上記所定時間の経過が計時される前に(S14でNO)、記録媒体ジャム検出部94が、アクチュエーターセンサー102から上記後端検出信号を受信した場合は(S17でYES)、記録紙ジャムとは判定せずに処理を終了する。この後は、画像形成部6による画像形成が終了するまで、全ての記録紙Pに対して当該S12乃至S17の処理を繰り返す。
【0066】
一方、計時部93により上記所定時間の経過が計時されても、記録媒体ジャム検出部94が、アクチュエーターセンサー102から上記後端検出信号を受信しない場合は(S17でNO,S14でYES)、当該記録紙Pの後端部が、適正な時間を経過しても、アクチュエーターセンサー102の配設位置に到来していないことを示すため、記録媒体ジャム検出部94は、記録紙Pのジャムが発生したと検出する(S15)。当該ジャム検出後、エンジン制御部9は、画像形成部6による画像形成、及び搬送部30による記録紙Pの搬送動作を停止させる(S16)。この後、画像形成装置1は、操作者によるジャム解消を待機する待機モードとなる。
【0067】
例えば、複数枚の記録紙Pが連続して搬送されており、搬送路3においてジャムが発生していないときには、記録媒体ジャム検出部94における反射型センサー101からの記録紙検出信号の受信状態は、図6(A)に示すものとなる。すなわち、反射型センサー101の配設位置に記録紙Pが存在して、発光部101aが照射した光の記録紙Pでの反射光を受光部101bが受光し、反射型センサー101からHigh信号が出力されるH(ハイ)の期間T1(時間t11)と、当該記録紙Pが通過して次の記録紙Pが反射型センサー101の配設位置に搬送されるまでの期間、すなわち、受光部101bが上記反射光を受信できず、Low信号が出力されるL(ロー)の期間T2(時間t12)とが周期的に発生する。時間t11は、記録紙Pの搬送方向の長さと記録紙Pの搬送速度とに応じて定まる値である。
【0068】
また、記録媒体ジャム検出部94によるアクチュエーターセンサー102からの記録紙検出信号の受信状態は、搬送路3においてジャムが発生していないときには、図6(B)に示すものとなる。すなわち、アクチュエーターセンサー102の配設位置に記録紙Pが到達して、アクチュエーター1021を記録紙Pの先端部が押下して回動させて接点が閉状態となり、High信号が出力されるH(ハイ)の期間T3(時間t13)と、当該記録紙Pがアクチュエーターセンサー102の配設位置を通過して次の記録紙Pがアクチュエーターセンサー102の配設位置に搬送されるまでの期間、すなわち、記録紙Pがアクチュエーター1021を押下せず、接点が開状態となって、Low信号が出力されるL(ロー)の期間T4(時間t14)とが周期的に発生する。時間t13は、記録紙Pの搬送方向の長さと記録紙Pの搬送速度とに応じて定まる。
【0069】
この場合に、記録媒体ジャム検出部94は、反射型センサー101から先端検出信号(図6(A)に示す立ち上がりエッジ部E1)を受信したときから、アクチュエーターセンサー102により後端検出信号(図6(B)に示す立ち下がりエッジ部E2)を受信した時点までの計時部93による計時時間t15が、上記予め定められた所定時間内となっている場合は、ジャムは発生していないと判断する。
【0070】
一方、ジャムが発生したときには、アクチュエーターセンサー102の配設位置には、記録紙Pが上記時間t13以上滞留するため、例えば、図6(C)に示すように、アクチュエーターセンサー102からは、上記時間t13以上の期間H(ハイ)の信号が記録媒体ジャム検出部94に出力され続ける。なお、記録紙Pの先端部がアクチュエーターセンサー102の配設位置に到達していない状態でジャムを生じた場合は、例えば、図6(D)に示すように、アクチュエーターセンサー102からは、L(ロー)の信号のみが記録媒体ジャム検出部94に出力される。
【0071】
上記図6(C)(D)に示す記録紙検出信号を、記録媒体ジャム検出部94が、アクチュエーターセンサー102から受信している場合は、計時部93が上記予め定められた所定時間を計時するまでに、アクチュエーターセンサー102から後端検出信号を受信していないことになるため、記録媒体ジャム検出部94は、ジャムが発生したと判断する。
【0072】
なお、反射型センサー101に何らかの不具合が生じた場合には、記録紙Pが正確に検出されない事態が生じ得る。例えば、搬送される記録紙Pのバタツキが大きい場合、記録紙Pの先端部はバタツキが比較的少ないと想定されるため、反射型センサー101の受光部101bは記録紙Pの反射光を十分に受光できるが、バタツキが比較的大きくなる先端部よりも後の部分では、受光部101bに入光する反射光の量は安定せず、記録紙Pの反射光を十分に受光できない時間帯も生じる。図7は、受光部101bに入光する反射光量が不安定な場合に反射型センサーから出力される記録紙検出信号を示す図である。例えば、図7に示すように、本来は、記録紙Pが存在してHigh信号を出力すべきであっても、Low信号が出力される等の現象が生じ、反射型センサー101が出力する信号波形が乱れる場合がある。この場合、上記予め定められた所定時間の経過前に、複数のLow信号が受信される事態が発生し得るため、反射型センサー101の受光部101bからの記録紙検出信号に基づいて、記録紙Pの後端部の検出を行うと、記録媒体ジャム検出部94では、ジャム発生の有無が正確に検出されないおそれがある。
【0073】
しかし、本実施形態では、上記のように、記録媒体ジャム検出部94は、記録紙Pの後端部の検出には、アクチュエーターセンサー102からの後端検出信号を用いるので、ジャム発生の有無を正確に検出することができる。上記のように記録紙Pにバタツキが生じていたとしても、記録紙Pによるアクチュエーター1021に対する押圧は、記録紙Pの通過により確実に解除されるため、アクチュエーターセンサー102によれば、正確に記録紙Pの後端部が検出されるためである。
【0074】
また、アクチュエーターセンサー102からの後端検出信号を用いる場合、上記記録紙Pのバタツキによる記録紙検出信号への悪影響が極めて少ないため、上記予め定められた所定時間の経過前に、記録媒体ジャム検出部94がHigh信号を受信しても、当該後端検出信号は信頼性が高い。このため、本実施形態によるジャム検出によれば、設定データが示す記録紙Pのサイズとは異なるサイズ(異なる搬送方向長さ)の記録紙Pが搬送されていたとしても、正確に当該記録紙Pの先端部及び後端部を検出して、精度の高いジャム検出を行うことができる。なお、このような設定データが示す記録紙Pのサイズとは異なるサイズの記録紙Pが搬送される事態は、操作者が、手差しトレイ11に、設定データが示す記録紙サイズとは異なるサイズの記録紙Pを載置して画像形成に用いた場合等に生じ得る。
【0075】
このように、本実施形態では、レジストローラー対5による転写位置Nへの記録紙Pの二次搬送開始後に、当該記録紙Pの搬送状態に応じた感光体ドラム61表面へのトナー像形成のタイミング調整を行うためのアクチュエーターセンサー102が出力する後端検出信号を、記録紙Pのジャム検出にも用いることで、ジャム検出の精度を高めている。
【0076】
このようにジャム検出を行うことにより、搬送路を高速に搬送される記録媒体Pの後端部がバタついて、反射型センサーによる当該後端部の検出精度が低下する状態となっても、本発明では、アクチュエーターセンサー102により記録媒体Pの後端部を検出して、記録媒体ジャム検出部94が当該アクチュエーターセンサー102からの後端検出信号を用いてジャムを検出するため、印刷速度が速い高速機の場合であっても、記録媒体Pの先端部及び後端部の両方を正確に検出し、特に記録紙Pの後端部の誤検出に起因して記録紙のジャムが誤って検出される事態を防止することができる。
【0077】
本実施形態によれば、記録紙Pが普通紙の場合は勿論、透明なOHPシートの場合であっても、搬送される記録紙Pの後端部を正確に検出することができる。OHPシートは透明であるために、反射型センサー101による検出では、特にOHPシートの後端部の検出が上記バタつきのために不正確になりやすいが、本実施形態では、当該記録紙Pの後端部の検出は、上記アクチュエーターセンサー102により行うため、OHPシートからの反射光が不十分であることと、上記バタツキの両方が重なる場合であっても、記録紙Pの後端部を正確に検出することができる。
【0078】
このように、アクチュエーターセンサー102から出力される後端検出信号を用いて、記録媒体ジャム検出部94がジャムを検出するため、印刷速度が速い高速機の場合であっても、記録紙Pの先端部及び後端部の両方を正確に検出し、特に記録紙Pの後端部の誤検出に起因して記録紙のジャムが誤って検出される事態を防止することができる。
【0079】
次に、画像形成装置1における画像形成時の動作制御の第2実施形態を説明する。図8は画像形成装置1における画像形成時の動作制御の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0080】
第2実施形態では、エンジン制御部9は、設定される記録紙Pの種別に応じて、連続印刷時における記録紙P同士の間隔(紙間)を調整する。
【0081】
エンジン制御部9は、ネットワーク接続されたコンピューター20から印刷ジョブを受信したとき、当該印刷ジョブの設定データに含まれる種別情報から、今回の画像形成に用いられる記録紙Pの記録紙種別を取得する(S21)。エンジン制御部9は、当該取得した記録紙種別がOHPシートを示す場合は(S22でYES)、連続印刷時の記録紙Pの紙間をOHPシート用の距離に設定する(S23)。一方、エンジン制御部9は、当該取得したサイズ情報が普通紙を示す場合は(S22でNO)、連続印刷時の記録紙Pの紙間を普通紙用の距離に設定する(S32)。なお、OHPシートは、予め定められた特殊紙の一例である。
【0082】
OHPシートは、透明であるため、反射型センサー101によっては、記録紙Pからの反射光が普通紙の場合よりも少ない。このため、エンジン制御部9は、反射型センサー101による記録紙Pの先端部検出に精度を高めるために、OHPシート同士の紙間を、普通紙の場合における紙間よりも大きく設定する。当該OHPシート用の紙間は、反射型センサー101の精度に応じて設定されるが、エンジン制御部9は、上記OHPシート用の紙間を、記録紙Pの搬送方向における反射型センサー101及びアクチュエーターセンサー102間の距離よりも長い距離に設定する。
【0083】
他方、普通紙の場合は、上記OHPシートのような問題はないため、普通紙の場合の紙間は、OHPシートの場合における紙間よりも小さく設定する。当該普通紙用の紙間は、反射型センサー101の精度に応じて可能な限り小さく設定されることが好ましい。
【0084】
この記録紙種別に応じた紙間設定後は、第1実施形態のS1乃至S8と同様の処理であるS24乃至S31が行われる。
【0085】
また、当該第2実施形態に係る画像形成制御と並行して行われるジャム検出処理としては、上述した第1実施形態に係るジャム検出処理と、後述する第2実施形態に係るジャム検出処理のいずれも適用が可能である。
【0086】
上記では、記録紙種別として、OHPシートと普通紙の2種のみを例にして説明しているが、エンジン制御部9は、更に他の記録紙種に応じて異なる紙間を更に設定するものとしてもよい。
【0087】
この第2実施形態に係る画像形成制御によれば、エンジン制御部9は、画像形成のために搬送される記録紙PがOHPシートである場合には、連続搬送されるOHPシート同士の上記記録紙Pの搬送方向における間隔を、反射型センサー101及びアクチュエーターセンサー102間の距離よりも長い距離に設定するため、先に搬送されている記録紙Pの後端部がアクチュエーターセンサー102によって検出されるよりも、続いて搬送される次の記録紙Pの先端部が反射型センサー101により先に検出されるという事態が生じない。
【0088】
なお、透明なOHPシートが記録紙Pとして用いられる場合、反射型センサー101による記録紙Pの先端部の検出精度を高めるために、その記録紙P同士の間隔は、普通紙の場合よりも大きく設定されるため、上記のように紙間を大きくする設定は、OHPシートを記録紙Pとして用いる場合における印刷効率を低下させる大きな要因にはならない。
【0089】
次に、画像形成装置1における記録紙ジャムの検出処理の第2実施形態を説明する。図9は画像形成装置1における記録紙ジャムの検出処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0090】
本第2実施形態では、上記取得された記録紙種別が普通紙である場合には(S41でNO)、記録紙Pの先端部については、反射型センサー101からの上記先端検出信号を用いると共に(S50)、記録紙Pの後端部についても、反射型センサー101から上記後端部を検出したことを示す後端検出信号(図6(A)に示すE3)を用いて(S52,S53)、ジャム検出を行う(S46)。なお、記録紙Pの後端部の検出に、反射型センサー101からの後端検出信号を用いること以外は、第1実施形態と同様にして、ジャム検出が行われる。
【0091】
一方、上記取得された記録紙Pの種別がOHPシードである場合(S41でYES)、第1実施形態と同様に、記録媒体ジャム検出部94は、記録紙Pの先端部については、反射型センサー101から上記記録紙Pの先端部を検出したことを示す記録紙検出信号を用い(S43)、記録紙Pの後端部については、アクチュエーターセンサー102から上記記録紙Pの後端部を検出したことを示す記録紙検出信号を用いて(S45,S48)、ジャム検出を行う(S46)。
【0092】
この第2実施形態によれば、反射型センサー101による検出であっても、OHPシートのような特殊紙と比較して、検出結果に精度が保たれる普通紙が記録紙Pとして画像形成に用いられる場合には、記録媒体ジャム検出部94は、反射型センサー101から得た上記先端検出信号及び後端検出信号を用いて記録紙Pのジャムを検出するので、アクチュエーターセンサー102により生じやすいチャタリングや、アクチュエーター1021の復帰のためのタイムロスを省いて高速に記録紙を搬送しつつ、精度よくジャムを検出することが可能である。
【0093】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置をプリンターとした例を説明したが、本発明に係る画像形成装置はこれに限定されず、コピー機、ファクシミリ装置、複合機等の他の画像形成装置であっても構わない。
【0094】
また、図1乃至図9を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 搬送路
4 中間ローラー
5 レジストローラー対
6 画像形成部
7 定着部
8 制御部
9 エンジン制御部
30 搬送部
61 感光体ドラム
65 転写ローラー
94 記録媒体ジャム検出部
47 操作部
471 操作キー
472 点灯部
473 表示部
101 反射型センサー
101a 発光部
101b 受光部
102 アクチュエーターセンサー
1021 アクチュエーター
P 記録紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9