(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989892
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ナットプレートの封止キャップ
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
F16B37/14 J
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-505768(P2015-505768)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-514196(P2015-514196A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】US2013032387
(87)【国際公開番号】WO2013154773
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/622,874
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502328466
【氏名又は名称】ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オブホイッチ、ジョージ シー.
(72)【発明者】
【氏名】リッツェロ、ソッコルソ
(72)【発明者】
【氏名】シェレンバーガー、ラッセル
【審査官】
保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−074612(JP,U)
【文献】
特開2010−254287(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02220244(GB,A)
【文献】
特開平04−363456(JP,A)
【文献】
実開昭63−021524(JP,U)
【文献】
実開昭52−015661(JP,U)
【文献】
実開昭61−141081(JP,U)
【文献】
特開2001−254718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P19/00−21/00
B25B25/00−33/00
F16B23/00−43/02
F16J15/00−15/14
15/3204−15/3236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的留具を封止するためのキャップアセンブリであって、
外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、
前記シェルを通じて前記内表面と前記外表面との間を延びている開口部と、
前記空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、
前記開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、前記機械的留具のシャフトに外嵌するように構成され、前記シェルは前記管の軸に沿って滑動可能である、キャップアセンブリ。
【請求項2】
前記シェルは、少なくとも部分的に硬化したシーラントからなる、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項3】
前記シーラントは少なくとも部分的に未硬化である、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項4】
前記管は、前記開口部から取り外し可能である、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項5】
シーラントキャップパッケージであって、
ホルダと、
前記ホルダ上に解放可能に装着される複数のキャップアセンブリとを備え、各キャップアセンブリは、
外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、
前記シェルを通じて前記内表面と前記外表面との間を延びている開口部と、
前記空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、
前記開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、前記ホルダに解放可能に固定される、シーラントキャップパッケージ。
【請求項6】
前記ホルダは、複数のニップルを有するベースを備え、各ニップルは、複数の前記管の
うちの1つの第1端部に係合するように構成されている、請求項5に記載のシーラントキャップパッケージ。
【請求項7】
前記シェルは、前記ベースの表面より上方に支持される、請求項6に記載のシーラントキャップパッケージ。
【請求項8】
複数の孔を有する上部管支持部をさらに備え、各孔は、各管の第2端部に係合するように構成され、前記複数の孔は、前記複数のニップルと実質的に位置合わせされている、請求項6に記載のシーラントキャップパッケージ。
【請求項9】
複数の孔を有する上部管支持部をさらに備え、各孔は、各管の第2端部に係合するように構成されている、請求項5に記載のシーラントキャップパッケージ。
【請求項10】
各管の第2端部より上方に配置されるカバーをさらに備える、請求項5に記載のシーラントキャップパッケージ。
【請求項11】
キャップを機械的留具に取り付ける方法であって、前記キャップは、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、前記シェルを通じて前記内表面と前記外表面との間を延びている開口部と、前記空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、前記開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、前記機械的留具のシャフトに外嵌するように構成されている、前記方法において、
前記機械的留具のシャフトを前記管の中に挿入する工程と、
前記シェルを前記管の軸に沿って初期位置から取付位置に滑動させる工程であって、前記シーラントは、前記機械的留具と、前記機械的留具が留められる基板との一部分に接触する、前記工程とを備える方法。
【請求項12】
前記シェルが取付位置に配置された後、前記管を前記開口部から取り外す工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シェルは、少なくとも部分的に硬化したシーラントからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記シーラントは少なくとも部分的に未硬化である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
シーラントキャップアセンブリを機械的留具上に取り付けるためのドライバであって、前記シーラントキャップアセンブリは、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、前記シェルを通じて前記内表面と前記外表面との間を延びている開口部と、前記空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、前記開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、前記機械的留具のシャフトに外嵌するように構成され、前記シェルは細長い前記管の軸に沿って滑動可能である、前記ドライバにおいて、工具は、
前記管に解放可能に係合するように構成及び配置されるクランプと、
前記シェルを前記管の軸に沿って初期位置から取付位置に動かすように構成及び配置されるスリーブとを備え、前記シーラントは、前記機械的留具の一部分と、前記機械的留具が留められる基板の一部分とに接触する、ドライバ。
【請求項16】
前記クランプは、前記スリーブに対して軸方向に可動である、請求項15に記載のドライバ。
【請求項17】
前記スリーブは、前記クランプを少なくとも部分的に囲む、請求項15に記載のドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラント材料に関し、詳細には、機械的留具を封止するためのプリフォームキャップと、そのようなプリフォームキャップを製造するための方法と、そのようなプリフォームキャップを基板に付与するための方法とに関する。さらに、本発明は、シーラント材料を基板上に付与するためのドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
硬化可能なシーラントを分配するためのディスペンスシステムは、本技術分野において周知である。キャップを使用する留具にシーラントを付与するための様々な方法が存在する。その方法には、シーラントを付与し、次いで留具上においてキャップを用いてシーラントを整形すること、又は留具を覆うキャップ中にシーラントを注入することが伴われる。その方法は、キャップをシーラントの周囲に配置する前に留具の周囲の正確な量のシーラントを供給することや、留具の上にキャップとシーラントとを配置する前にキャップ中へ正確な量のシーラントを供給することを必要とする。その方法は、費用がかかり実用的でない。さらに、その方法は、一定した結果を提供しない。
【0003】
未硬化のシーラントの充填が留具上への付与の直前に行われる、プリフォームされたシーラントキャップは、同様に非効率なことが多い。未硬化のシーラントでキャップを充填するこの余計な工程によって、シーラントを留具上に付与することが煩雑になる。その典型的な実施は、シーラントを多くの留具に一度に付与することを伴っていた。キャップを充填する余計な工程によって、付与が複雑化し、基板全体にシーラントを留具上に付与するために必要とされる時間の長さが増大する。分配後一定期間内にシーラントが硬化するという事実によって、留具に付与する前にシーラントを分配することが複雑化する。
【0004】
さらに、多くの製造業者は、シーラントを留具上に押し出して工具で整えることによって手作業でナットプレート留具を封止している。しかしながら、これは、多くの留具が到達の困難な位置に配置されていることにより留具に到達して封止することが技術的に困難になるので、困難で時間のかかるプロセスである。さらに、留具に付与されるシーラントの厚さを制御することは、大抵困難である。
【0005】
最後に、典型的には、複数の留具が、1つのシリーズとして製造されて、各シリーズの留具は、特定の基準寸法を有し、所定の範囲のシャフト長さが提供されている。したがって、プリフォームされたシーラントキャップは、典型的には、各シリーズについての各シャフト長さに関する使用に対して製造される。これによって、製造コストが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、既存の材料の非効率性及び複雑性に対処するシーラントの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施形態では、本発明は、機械的留具を封止するためのキャップであって、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、シェルを通じて内表面と外表面との間を延びている開口部と、空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントとを備える、キャップに関する。
【0008】
ある他の実施形態では、本発明は、機械的留具を封止するためのキャップアセンブリで
あって、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、シェルを通じて内表面と外表面との間を延びている開口部と、空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、機械的留具のシャフトに外嵌するように構成され、シェルは管の軸に沿って滑動可能である、キャップアセンブリに関する。
【0009】
ある他の実施形態では、本発明は、シーラントキャップパッケージであって、ホルダと、ホルダ上に解放可能に装着される複数のキャップアセンブリとを備え、各キャップアセンブリは、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、シェルを通じて内表面と外表面との間を延びている開口部と、空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、ホルダに解放可能に固定される、シーラントキャップパッケージに関する。
【0010】
ある他の実施形態では、本発明は、キャップを機械的留具に取り付ける方法であって、キャップは、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、シェルを通じて内表面と外表面との間を延びている開口部と、空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、機械的留具のシャフトに外嵌するように構成されている、方法において、機械的留具のシャフトを管中に挿入する工程と、シェルを管の軸に沿って初期位置から取付位置に滑動させる工程であって、シーラントは、機械的留具と、機械的留具が留められる基板との一部分に接触する、方法に関する。
【0011】
ある他の実施形態では、本発明は、キャップアセンブリを機械的留具上に取り付けるためのドライバであって、キャップアセンブリは、外表面と、空洞を形成する内表面とを有するシェルと、シェルを通じて内表面と外表面との間を延びている開口部と、空洞を少なくとも部分的に充填するシーラントと、開口部を通じて延びている管とを備え、該管は、機械的留具のシャフトに外嵌するように構成され、シェルは細長い管の軸に沿って滑動可能である、ドライバにおいて、工具は、管に解放可能に係合するように構成及び配置されるクランプと、シェルを管の軸に沿って初期位置から取付位置に動かすように構成及び配置されるスリーブとを備え、シーラントは、機械的留具の一部分と、機械的留具が留められる基板の一部分とに接触する、ドライバに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】機械的留具を封止するためのキャップの一実施形態の上面の等角図。
【
図5】機械的留具のシャフトに係合するように構成されているキャップにおける開口部を通じて延びている管に組み合わせて示す、
図1に示したキャップの等角図。
【
図6】
図4に示した、管に組み合わせたキャップの上面図。
【
図7】
図5に示した、管に組み合わせたキャップの側面断面図。
【
図8】
図5に示した、管に組み合わせたキャップの側面断面図であり、管が機械的留具上に取り付けられたことを示す図。
【
図9】
図5に示した、管に組み合わせたキャップの側面断面図であり、キャップが機械的留具に係合したことを示す図。
【
図10】
図5に示した、管に組み合わせたキャップの側面断面図であり、管が取り外され、キャップが機械的留具に係合したことを示す図。
【
図11】複数のキャップアセンブリに組み合わせたアセンブリジグの分解図。
【
図12】複数のキャップアセンブリに組み合わせたホルダの分解図。
【
図13】初期位置にあることを示す、
図5に示したキャップアセンブリのキャップを留具上に取り付けるための工具の等角図。
【
図14】中間位置にあることを示す、
図13に示した工具の等角図。
【
図15】取付位置にあることを示す、
図13に示した工具の等角図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面は、この明細書に組み入れられ、この明細書の一部を構成しており、本発明のいくつかの非限定的な実施形態を示し、記載と一体となって本発明を説明するのに役立つ。
【0014】
可能な場合には、同じ参照符号は、同じ又は類似の部分を参照するために図面を通じて使用される。
この明細書の目的に関し、本発明は、反対に特別に明記した場合を除き、様々な代替の変形や工程の順序を呈する場合があることが理解される。さらに、実施例以外に、又は別様に示した場合以外は、明細書及び特許請求の範囲において使用される例えば成分量を表現する全ての数字は、全ての場合に“約”の語によって修正されるものと理解される。したがって、反対に示さない場合、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲において記述されている数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性によっては変化する場合がある概数である。少なくとも、そして特許請求の範囲に対して均等論の適用を制限しようとするものとしてではなく、各数値パラメータは、開示された有効桁の数字に照らし、及び通常の丸め法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0015】
広範な本発明の範囲を記述する数値範囲及び数値パラメータは概数であるが、明確な具体例において記述される数値は、可能な限り正確なように開示されている。しかしながら、どの数値も、各試験測定に見出される標準的な変動から生じる必然的なある誤差をもとから含んでいる。
【0016】
さらに、本明細書において記載のどの数値範囲も、その数値範囲が包含する全ての部分範囲を含むように意図されていることが理解されるべきである。例えば、“1〜10”の範囲は、記載された最小値1と、記載された最大値10との間(記載された最小値1と、記載された最大値10とを含む)の全ての部分範囲を含むように意図されている。すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値とを有する部分範囲を含む。
【0017】
本明細書において使用するように、“シーラント”の語は、開口部(例えば、2つの部分の間の界面によって形成される接合部又は空間等)に付与される場合に湿分及び温度等の大気条件に耐えることができ、開口部に付与されない場合には開口部に生じることがある水、燃料、他の液体や気体のうちの少なくとも1つ等の物質が通ることを少なくとも部分的に遮断する、組成物を指す。したがって、シーラントは、大抵、構成要素部分の周辺エッジ表面に付与され、その目的は、そのような部分への物質の移動と、そのような部分からの物質の移動とを妨げることである。シーラントは、大抵、接着特性を有するが、シーラントの遮断特性を有さない単なる接着剤ではない。
【0018】
図1から
図4は、機械的留具200を封止するためのキャップ10の非限定的な実施形態を示す。各キャップ10は、留具のベース210に係合するように構成されているシェル12を有する。各シェル12は、内表面16と、外表面14とを有する。シェルの内表面16は、空洞18を形成する。
図3及び
図6に示すように、第1の量のシーラント13が空洞18に配置され、そのシーラント13は、ある実施形態では、少なくとも部分的に未硬化である場合がある。シェル12は、任意の剛性の材料から製造されてもよく、その剛性の材料には、第2の量の少なくとも部分的に硬化したシーラントや、疎水性ポリマを含むプラスチックや、同様の材料が含まれる。ある実施形態では、シェルとシーラントとは、同じ組成物である。
【0019】
“少なくとも部分的に未硬化である”の語は、完全に液体の状態から幾分ゲル状まで、
少なくとも、第1の量のシーラントが基板の表面に一致することが可能なゲル状までの硬さの全範囲を含むように意図されている。逆に、“少なくとも部分的に硬化した”の語は、完全に硬化した状態から幾分ゲル状まで、少なくとも、基板に付与するために手作業又は機械で第2の量のシーラントを取り扱うことが可能なまでの硬さの全範囲を含むように意図されている。したがって、シーラントがその量のシーラント全体に一様でないように、シーラントの部分が硬化していたり未硬化であったりする場合があることが予想される。例えば、シーラントは同時に硬化する必要はなく、ほぼ完全に硬化したシーラント中の未硬化のシーラントの小領域や、ほぼ完全に未硬化のシーラント中の硬化したシーラントの小領域の可能性を残し得る。
【0020】
硬化すなわちシーラントの硬化反応時間は、シーラント組成物の可使時間に依存し、数分から数時間までの広い範囲にわたって異なる場合がある。別の非限定的な実施形態では、第1の量のシーラントを空洞に配置する前に、第2の量のシーラントは、完全に硬化した状態にならないように熱的に調整される場合がある。
【0021】
図1から
図4に示すように、開口部19は、シェル12を通じて延びている。
図5から
図7に示す非限定的な実施形態では、第1端部22と第2端部24とを有する管20は、開口部19を通じて延びている。
図8及び
図9に示すように、管20は、留具200のシャフト210に外嵌するように構成されることが可能である。ある実施形態では、シェル12は、管20の軸Aに沿って滑動可能な場合がある。管20は、第1の量のシーラント13に適合する任意の剛性の材料から製造されてもよく、その剛性の材料には、厚紙、プラスチック等が含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、管20の内表面(図示せず)は、第1の量のシーラント13に適合した材料を用いてコーティングされる場合がある。本明細書において使用するように、“適合した”の語は、シーラントに関して使用される場合、言及される材料がシーラントのシーラント特性に悪影響を与えないことを意味する。
【0022】
本発明のキャップ10を製造する非限定的な実施形態は、シェル10の頂部を取り除き、シェル10の内表面14と外表面16との間を延びている開口部19を形成することによって、キャップアセンブリ100を組み立てることからなる(
図1から
図4)。シェル10の頂部を取り除き開口部19を露出する様々な方法は、当業者に知られている。
【0023】
キャップ10を製造する非限定的な実施形態では、管20は、開口部19を通じて挿入される(
図5から
図7)。随意に、
図11に示すように、キャップアセンブリ100を組み立てる非限定的な実施形態では、管の第1端部22は、アセンブリジグ310上に配置され、これによって、シェル10は、ジグの表面312より上方に配置され、シェル10の空洞18は、第1の量のシーラント13を受容するように配置される。
【0024】
本発明のある実施形態では、第1の量のシーラント13が空洞18に配置される。1つの非限定的な実施形態では、十分な第1の量のシーラント13は、その表面よりわずか上まで、空洞18を充填するように使用される場合がある。非限定的な実施形態では、第1の量のシーラント13は、シーラントの硬化を少なくとも部分的に遅らせるように、硬化温度より十分低い温度に熱的に調整することによって、少なくとも部分的に未硬化であるように維持される。剥離紙又は当業者に周知の他の同様の材料は、次いで、第1の量のシーラントの上に付与される場合がある。このパッケージングによって、シーラントが保管中及び搬送中に熱的に調整される場合や、シーラントの温度が付与より前に増大するとき、湿分が現れることが少なくとも部分的に抑制される。シェル12の空洞18に配置されるプリフォームされる第1の量のシーラント13からなる組み合わせは、留具、基板、又はその両方に付与されるまで熱的に調整される。“プリフォーム”の語は、シーラントが基板に付与される前に保管及び搬送され得るように、その量のシーラントを分配及びパッ
ケージングすることを指す。
【0025】
“熱的に調整する”の語は、第1の量のシーラント13を、硬化反応プロセスを少なくとも部分的に停止することによって硬化を遅らせる温度に低下させたり、その温度に維持したりすることを指す。温度は、硬化反応プロセスを効果的に停止するように低下され得る。1つの非限定的な実施形態では、完了するまでの硬化反応プロセスの時間の長さは、温度に逆相関する場合があり、これにより、温度が低いほど、硬化反応プロセスの停止や硬化を遅らせる率が大きくなる。1つの非限定的な実施形態では、温度の低下、維持、又はその両方は、第1の量のシーラント13が製造されシェル10の空洞18に配置される時点から、第1の量のシーラント13が基板に付与するために準備ができる時点まで持続し得る。したがって、第1の量のシーラント13の保管中及び搬送中に冷却が使用される場合があり、例えば、第1の量のシーラント13を冷蔵条件下で又はドライアイスを使って輸送することである。
【0026】
上述した硬化反応プロセスを停止するための温度は、広範に変化する場合があり、第1の量のシーラント13の貯蔵期限に依存する。温度に対するシーラントについての使用期限は、シーラント組成物ごとに異なる。1つの非限定的な例では、シーラントのシェルフライフは、−40℃では21日の場合がある。シェルフライフは、温度を下げることによって延ばされ得る。1つの非限定的な実施形態では、シーラントは、硬化を遅らせるために、−100℃以上−25℃以下の温度に保たれ得る。別の非限定的な実施形態では、シーラントの最高温度は、−75℃に保たれ得る。別の非限定的な実施形態では、シーラントの最低温度は、−55℃に保たれ得る。別の非限定的な実施形態では、シーラントは、−45℃に保たれ得る。シーラントの選択は重要ではなく、技術分野において既知の様々な材料が使用可能である。
【0027】
シーラントを特に選択することは、一般に、基板の種類や意図される最終使用等の複数の要因による。商業的に入手可能なシーラントの非限定的な例には、ピーアールシー−デソト・インターナショナル,インコーポレイティド(PRC DeSoto International, Inc.)(カリフォルニア州バーバンク)のPR−1776(登録商標)、PS−890(登録商標)、及びPR−1440(登録商標)、並びにエーシーテック(AC Tech)(コネティカット州ハートフォードのピービーティーブランド,インコーポレイティド(PBT Brands, Inc.))のAC−236(登録商標)及びAC−250(登録商標)が含まれる。さらに、プリフォームされる少なくとも部分的に未硬化の材料の方法は、接着剤、コーティング等の他の組成物に対しても使用され得る。
【0028】
上で列挙した非限定的な実施形態では、第1の量のシーラント13は、加熱によって硬化反応させることが可能である、すなわち、加熱によって硬化することが可能である。別の非限定的な実施形態では、第1の量のシーラント13は、硬化反応が可能である、すなわち、酸化によって硬化することが可能である。この実施形態では、第1の量のシーラント13の酸化は、シーラントが空気に曝されることを制限することによって遅らされ、これによって、シーラントは部分的に未硬化の状態のままになる。
【0029】
“抑制する”の語は、特定の反応ないし働きを抑止し、妨害し、遅くし、又は阻止することを指す。このことは、複数の手法によって達成されることが可能であり、例えば、シーラントが曝される環境を制御することである。酸化の場合、抑制することは、シーラントの酸化を抑止し、妨害し、遅くし、又は阻止することを指す。非限定的な例では、酸化は、シーラントが空気又は周囲の状態に曝されることを制限することによって少なくとも部分的に抑制される。湿分の場合、抑制することは、シーラント上に湿分が現れることを抑止し、妨害し、遅くし、又は阻止することを指す。非限定的な例は、シーラント表面上
において凝縮を制限することによって湿分を少なくとも部分的に抑制することからなる。
【0030】
随意に、本発明のある実施形態では、
図11に示すように、第1の量のシーラント13がシェル12の空洞18に配置された後、複数のニップル318を備える第1管支持部314は、キャップアセンブリ100の上に配置される。各ニップル318は、アセンブリジグ310上に配置された管20のうちの1つと実質的に位置合わせされ、対応する管の第2端部24中に挿入されるように構成されている。ある実施形態では、ニップル318は、管の第2端部24中に挿入され、随意に、ベース320が第1管支持部314の上に配置される。ある実施形態では、第1管支持部314は、ベース320に固定される。
【0031】
随意に、本発明のある実施形態では、
図12に示すように、ニップル318が管の第2端部24中に挿入され、随意のベース320がその上に配置された後、ベース320は、逆さにされる。ある実施形態では、
図12に示すように、第1の量のシーラント13を含むシェル12を第1管支持部314の表面316より上方に所定の距離だけニップル318が維持することによって、第1の量のシーラント13が第1管支持部の表面316に接触しないことにより第1の量のシーラント13がシェル12の外に毛管現象により運ばれることが防がれる。
【0032】
随意に、本発明のある実施形態では、
図12に示すように、複数の孔328を有する第2管支持部324は、キャップアセンブリ100の上に配置される。各孔328は、第1管支持部314上に配置されるキャップアセンブリ100のうちの1つと実質的に位置合わせされ、対応する管20の第1端部22を挿入するように構成されている。ある実施形態では、カバー330は、随意に、第2管支持部324の上に配置される。
【0033】
ある非限定的な実施形態では、シェル12は、部分的に硬化したシーラントからなる場合がある。ある非限定的な実施形態では、シェル12は、第1の量のシーラント13が配置される空洞18を有するシェル12を形成する、予め決定された厚さに第2の量のシーラントを加圧することによって製造され得る。第2の量のシーラントは、熱的に調整することによって少なくとも部分的に未硬化であるように保たれる。シェル12は、本技術分野において既知の任意の手段によって形成されることが可能であり、例えば、大気圧、大気圧より小さい圧力、又は大気圧より大きい圧力において実行される、射出充填成形を使用すること、スタンピング、オス型成形及びメス型成形を使用すること等による。特定の用途に合うように凹型のシェルを様々な形状及びサイズに形成する様々な方法が当業者に知られている。シェルを形成する例示的な方法は、2002年9月26日に出願された米国特許第7,438,974号明細書において識別され、これは、本明細書において参照として援用される。
【0034】
ある非限定的な実施形態では、シーラントキャップパッケージ500は、ホルダ300と、ホルダ上に解放可能に装着される複数のキャップアセンブリ100とを備える。ホルダ300は、凝縮の可能性を低減する熱的特性を有する材料から製造される。湿分がシーラント上に集まると、その湿分は、付与の際、基板とシーラントとの間に留まることがあり、シーラントの性能に有害な影響を与える。シーラントキャップパッケージ500の非限定的な実施形態が
図12に示されている。各キャップアセンブリ100は、外表面14と、空洞18を形成する内表面16とを有するシェル12と、シェル12を通じて内表面16と外表面14との間を延びている開口部19と、空洞18を少なくとも部分的に充填する第1の量のシーラント13と、開口部19を通じて延びている管20とを備える場合があり、該管20は、機械的留具200のシャフト210に外嵌するように構成され、シェル20は管20の軸Aに沿って滑動可能である。複数のキャップアセンブリは、第1管支持部314の表面316から突出している複数のニップル318を有する第1管支持部314上に解放可能に装着される。ニップルは、管の第2端部24中に挿入されるように
構成され、第1の量のシーラント13を含むシェル12を第1支持部314の表面316より上方に所定の距離だけ高めるのに十分な高さ部分を第1管支持部の表面316の上に有する場合がある。これによって、第1の量のシーラント13が表面316に接触しないことにより第1の量のシーラント13がシェル12の外に毛管現象により運ばれることが防がれる。ニップル318の数は、必要なキャップアセンブリ100の数、第1の量のシーラント13を空洞18中に分配するための機械のサイズ等に基づいて、異なる場合がある。ある実施形態では、第1管支持部314は、ベース320に固定される場合もあれば、ベース320に配置される場合もある。複数の孔328を有する第2管支持部324は、キャップアセンブリ100の上に配置され得る。各孔328は、管の第1端部22中に挿入されるように構成され、ホルダ300においてキャップアセンブリ100を安定化でき、例えば、保管中及び搬送中における安定のために安定化できる。ある実施形態では、カバー330は、第2管支持部324の上に配置される。
【0035】
図8から
図10は、シーラントを留具、基板230、又はその両方に付与するための方法についての非限定的な実施形態が、シーラントを少なくとも部分的に硬化させるのに十分な温度のプリフォームされた第1の量のシーラント13を得る工程と、シーラント13を基板230に接触させる工程を備えることを示す。そのような温度は、徐々に温度を上昇させるようにシーラントを熱的に調整することや、シーラントを周囲温度(20℃)に到達させることからなる場合がある。別の非限定的な実施形態では、シーラントを付与する方法は、酸化を遅らせるのに十分な状態のプリフォームされた第1の量のシーラント13を得る工程と、少なくとも部分的に硬化した状態に第1の量のシーラント13を酸化するのに十分な空気に曝す工程とを備える。
【0036】
シーラントを利用する、凸状表面、弧状表面、又は平面を有する留具等、留具の多くの例が存在する。
図8から
図10は、キャップアセンブリ100を使用して封止される留具200の一例を示す。基板230同士は、留具200によって留められる(
図8)。管20は、留具200のシャフト210に挿入される(
図8)。シェル12は、管の軸Aに沿って初期位置(
図8)から取付位置に動かされ、その取付位置では、第1の量のシーラント13は、機械的留具200と、機械的留具が留められる基板230との一部分に接触する(
図9)。管20はシェル12の開口部19から取り外されることによって、留具200は、第1の量のシーラント13によって少なくとも部分的に覆われている(
図10)。下向きに押圧する動き(
図9)と、管20を取り外すこと(
図20)によって、第1の量のシーラント13の一部分が変位し、シェル12と基板230との間の界面(
図9、
図10)、シェル12と管20との間の界面(
図9)、シェル12と留具210との間の界面(
図10)のうちの少なくとも1つにシーラントのわずかな一部分が押し進められる。この過剰な部分によって、シェル12と基板230との間の緊密な封止が確実になる。その過剰な部分は、全体として残されたり、又は第1の量のシーラント13と、基板230との間の滑らかな移行をなすように、ならされたりすることが可能である。シーラント13を留具200と、基板230とに付与する場合、第1の量のシーラント(随意に第2の量のシーラント)は、第1の量のシーラント13を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な温度に曝される。
【0037】
図13から
図15に示す実施形態等のある実施形態では、キャップアセンブリ100を機械的留具200上に取り付けるためのドライバ400が開示されている。ドライバ400は、円筒シャフト410によって接続されている先端部402と基端部404とを有する。ドライバ400の先端部402は、ほぼ環状のスリーブ406を含み、ドライバ400の基端部404は、操作者の手のひらの手首寄りの部分又は親指が係合するように構成されている把手端部408を含む。一実施形態では、先端側のスリーブ406と、基端側の把手端部408とは、互いに対して動かず、1つの要素の材料から製造される場合がある。
【0038】
図13から
図15にさらに示すように、ドライバ400は、キャップアセンブリ100の管20を把持及び保持することが可能な内部表面を有する、ややテーパー状の円筒の割スリーブであるクランプ420をさらに備える。クランプ420は、ドライバ400の円筒シャフト410の周りに同軸に装着された円筒シャフト432を有するリトラクタ430に接続される。リトラクタ430は、円筒シャフト432から延びている2つの対向する指把持延在部434を有する。リトラクタ430は、ピン436、又はクランプ420の基端部424に固定される他の機械的留具によって、クランプ420に接続されている。
【0039】
図13から
図15にさらに示すように、ドライバ400の円筒シャフト410は、リトラクタ430をクランプ420に接続するピン436が延びている長手方向のスロット425を有する。リトラクタ430がドライバ400の先端部402から基端部404に向かって引っ張られると、ピン436は、ドライバ400の円筒シャフト410における長手方向のスロット425において動く(
図13)。この構成では、リトラクタ430がドライバ400の先端部402から基端部404に向かって動かされると、ドライバ400は、クランプ420をスリーブ406の内部に軸方向に引っ張る。ある実施形態では、リトラクタ430は、ドライバ400の先端部402に向かってばねにより付勢されている場合があり、操作者は、付勢するばね(図示せず)の力に抗してリトラクタ430及びクランプ420をドライバ400の先端部402から引っ張ることができる一方、管20がクランプ420によって引き込まれるとき、手のひら又は親指を用いてドライバ400の把手端部408に対して押圧し、ドライバ400の先端部402がキャップ10のシェル12と接触した状態に維持する。スリーブ406の先端部は、キャップアセンブリのシェル12(図示せず)を留具(図示せず)に対して取付位置に係合及び押進させるための接触表面を提供する。クランプ420の側壁を通じる1つ以上の軸方向スロット425と組み合わされた、クランプ420のややテーパー状の円筒外側表面によって、クランプ420がドライバ400に対して先端方向に動かされるときに管20を最初に把持するための開位置が提供される(
図15)。クランプ420がドライバ400の基端部404に向かって動かされると、クランプ420の外側表面は、ドライバ400の円筒中部部分の内径に係合し、クランプ420の裂かれた部分が径方向に内向きに動かされ管20をより緊密に把持する(
図13、
図14)。クランプ420の内側表面は、鋸歯状の刻み、又は動作中に管を把持及び固定するのに役立つ他のフィーチャを備えていてもよい。
【0040】
ドライバ400の構成要素は、金属、プラスチック等の最適な材料から製造される。
本発明の他の実施形態は、明細書と、本明細書に開示された発明の実施とを考慮することにより当業者に明らかである。明細書及び例は例示にすぎないと考慮されるとともに本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。