(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収装置カラムの第3区域中の前記吸収溶液が、前記吸収装置カラムの第1区域中の前記吸収溶液と比べてより低いアンモニア濃度および前記吸収装置カラムの第2区域中の前記吸収溶液と比べてより高いアンモニア濃度を有する、請求項1に記載の方法。
前記再生カラムが再生溶液を含み、前記再生カラムの第2区域における前記再生溶液の温度が前記再生カラムの第1区域における前記再生溶液の温度よりも低くなるように、前記再生カラム内に温度勾配が存在する、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
一態様において、CO
2含有ガスから精製CO
2を回収する方法であって:(a)吸収装置カラム中で水、アンモニアおよび炭酸カリウムを含む吸収溶液にCO
2含有ガスを接触させてCO
2を吸着可能にして、CO
2除去ガスおよびCO
2リッチ溶液を生成するステップ;ならびに(b)再生カラム中でCO
2リッチ溶液を脱着条件に従わせて精製CO
2ガス流およびCO
2除去溶液を生成するステップを含む方法である。
【0006】
実施形態において:
吸収装置カラムの第1区域中の吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1を超えるまでの溶解アンモニアを含み、吸収装置カラムの第2区域中の吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1未満までの溶解アンモニアを含み;
吸収装置カラムの第3区域中の吸収溶液は、吸収装置カラムの第1区域中の吸収溶液と比べてより低いアンモニア濃度および吸収装置カラムの第2区域中の吸収溶液と比べてより高いアンモニア濃度を有し;
吸収溶液は、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウムを含み;
該方法は、CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送することをさらに含み;
該方法は:(c)CO
2除去溶液を該再生カラムの第1区域からフラッシュチャンバに圧送して、該フラッシュチャンバにより該CO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成するステップ;および(d)該アンモニア除去CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送するステップをさらに含み、
該再生カラムが再生溶液を含み、該再生カラムの第2区域における該再生溶液の温度が該再生カラムの第1区域における該再生溶液の温度よりも低くなるように、該再生カラム内に温度勾配が存在し;
該脱着条件が30℃を超える温度および5バールを超える圧力を含み;
該吸収装置カラムの下部区域中の該吸収溶液が20〜40℃の間の温度に維持され;
該方法は、該CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送することにさらに含み、該吸収溶液は、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウムを含み;
該方法は、該CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送することをさらに含み、該再生カラムが再生溶液を含み、該再生カラムの第2区域における該再生溶液の温度が該再生カラムの第1区域における該再生溶液の温度よりも低くなるように、該再生カラム内に温度勾配が存在し;
該方法は、該CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送することをさらに含み、該吸収装置カラムの第1区域中の該吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1を超えるまでの溶解アンモニアを含み、該吸収装置カラムの第2区域中の吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1未満までの溶解アンモニアを含み;
該方法は:(c)該CO
2除去溶液を該再生カラムの第1区域からフラッシュチャンバに圧送して、該フラッシュチャンバによりCO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成するステップ;および(d)該アンモニア除去CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送するステップをさらに含み、該吸収溶液は、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウムを含み;
該方法は:(c)該CO
2除去溶液を再生カラムの第1区域からフラッシュチャンバに圧送して、該フラッシュチャンバによりCO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成するステップ;および(d)該アンモニア除去CO
2除去溶液を該吸収装置カラムに圧送するステップをさらに含み、該吸収装置カラムの第1区域中の該吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1を超えるまでの溶解アンモニアを含み、該吸収装置カラムの第2区域中の該吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1未満までの溶解アンモニアを含み;
該第1区域は該吸収装置カラムの下部区域であり、第2区域はその上部区域であり;
該第1区域は該吸収装置カラムの下部区域であり、第2区域はその上部区域であり、第3区域はその中間区域であり;
該第1区域は該再生カラムの下部区域であり、第2区域はその上部区域である。
【0007】
一態様において、上記のような方法を行うためのシステムであって、該システムは:該吸収溶液を含有し、該CO
2含有ガスから該吸収溶液中にCO
2を吸収して該CO
2リッチ溶液を形成できるように構成された該吸収装置カラム;該吸収装置カラムと流体連通し、該CO
2リッチ溶液からCO
2を除去して該精製CO
2ガス流および該CO
2除去溶液を形成するように構成された再生カラム;および該再生カラムと流体連通し、該吸収装置カラムと流体連通して、再生カラムから得た再生溶液からアンモニアを除去してCO
2除去アンモニア除去溶液を形成するように構成された、必須ではないフラッシュチャンバを含むシステムである。
【0008】
一態様において、精製CO
2を回収するシステムであって:水、アンモニアおよび炭酸カリウムを含む吸収溶液を含有する吸収装置カラム;該吸収装置カラムと流体連通した再生カラム;ならびに該再生カラムと流体連通し、該吸収装置カラムと流体連通した必須ではないフラッシュチャンバを含むシステムである。
【0009】
実施形態において:
該吸収装置は、CO
2含有ガスからCO
2を吸着可能にして、CO
2除去ガスおよびCO
2リッチ溶液を生成するように構成され;
該再生カラムは、吸収装置からCO
2リッチ溶液を受け入れて、CO
2リッチ溶液に脱着条件を受けさせて精製CO
2ガス流およびCO
2除去溶液を生成するように構成され;
該フラッシュチャンバは、該再生カラムからCO
2除去溶液を収容し、CO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成するように構成され;
該再生カラムは、該フラッシュチャンバからアンモニア除去CO
2除去溶液を収容するようにさらに構成され;
該吸収装置カラムの第1区域中の該吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1を超えるまでの溶解アンモニアを含み、該吸収装置カラムの第2区域中の該吸収溶液は、総カリウムに対する比率が1:1未満までの溶解アンモニアを含み;
該吸収装置カラムの第3区域中の該吸収溶液は、該吸収装置カラムの第1区域中の該吸収溶液と比べてより低いアンモニア濃度および該吸収装置カラムの第2区域中の該吸収溶液と比べてより高いアンモニア濃度を有し;
該吸収溶液は、アンモニア、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウムを含み;
該システムは、CO
2除去溶液を含有する該再生カラムの区域と該吸収装置カラムとの間に流体連通を与えるコンジットをさらに備え;
該システムは、CO
2除去溶液を含有する該再生カラムの区域と該フラッシュチャンバとの間に流体連通を与えるコンジットをさらに備え;
該再生カラムは再生溶液を含み、該再生カラムの第1(例えば下部)区域における該再生溶液の温度が該再生カラムの第2(例えば上部)区域の該再生溶液の温度よりも高くなるように、該再生カラム内に温度勾配が存在し;
該再生カラム内の条件が脱着条件であり、30℃を超える温度および5バールを超える圧力を含み;
該吸収装置カラムの下部区域中の吸収溶液が20〜40℃の間の温度に維持され;
該第1区域は該吸収装置カラムの下部区域であり、該第2区域は上部区域であり;
該第1区域は該吸収装置カラムの下部区域であり、該第2区域は上部区域であり、第3区域は中間区域であり;ならびに
第1区域は再生カラムの下部区域であり、該第2区域は上部区域である。
【0010】
これらおよび他の実施形態は、実施例および特許請求の範囲を含む、本明細書で与える開示に基づいて当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の技術分野は、CO
2回収および隔離ならびにガス分離および精製技術である。
【0012】
本明細書において、新規方法であって、統合された一連の吸収および再生において、工業的に利用可能な一般的な塩(炭酸アンモニウムおよび炭酸カリウム)を使用して、現在利用可能な最良のアンモニアベース法と比較して、CO
2回収のためのエネルギー使用量を50%、水使用量を75%を超えて低減させる新規方法である。当該方法は、CO
2回収のための吸収装置動作および高圧溶媒再生について周囲条件付近またはそれ以上で行われ、ただちに利用または隔離するためにCO
2を高圧で放出することができる。当該方法は、複数の吸収装置および再生装置を使用して、発電所および他の工業CO
2源による煙道ガス流から、アンモニア、炭酸アンモニウムおよび炭酸カリウム溶液の混合物を使用して、CO
2を回収することができる。当該方法、すなわち複数の吸収装置および再生装置は、アンモニア排出を低減して、水使用を低減して機能するように設計できる。
【0013】
当該方法は、以下の態様および利点を含む:炭酸カリウム中へのCO
2吸収速度を促進する方法;アンモニウム塩およびカリウム塩の選択的再生の方法;吸収装置中のアンモニア蒸気圧を低下させる方法;再生装置中のアンモニア蒸気圧を低下させる方法;アンモニア排出低減のための水使用を低減する方法;CO
2回収のためにアンモニアベース溶液を使用するエネルギー使用が低減した方法;サワーストリッパのエネルギー消費量を低減する方法;固体を沈殿させることなく(または固体形成を低減させて)炭酸カリウムおよびアンモニア混合物中に二酸化炭素を高度にローディングする方法;および塩を添加することによってアンモニア溶液に対するCO
2吸収熱を低下させる方法。理論に拘束されることを望むものではないが、これらおよび他の向上は、気/液界面にてCO
2を吸収して、CO
2を(より大量の、より低速で拡散する)炭酸カリウムに「折り返し輸送する」アンモニアによると考えられる。
【0014】
当該方法は環境保全技術であり、有害廃棄物を一切生成しない。これは中程度の温度でCO
2と反応して、貯蔵用の高純度高圧CO
2として放出できる、市販の低コストの化学薬品をベースとしている。混合塩システムは、気液物質移動を向上させて、溶媒とCO
2との間の反応の活性化エネルギーを低下させる、より高い拡散係数を有する無機部分を有する。加えて、本技術は、各塩の最適な特性を利用するための選択的再生を使用する。
【0015】
システム−吸収装置カラム
一態様において、精製CO
2を回収するシステムであって:水、アンモニアおよび炭酸カリウムを含む吸収溶液を含有する吸収装置カラム;吸収装置カラムと流体連通した再生カラム;ならびに再生カラムと流体連通し、吸収装置カラムと流体連通した必須ではないフラッシュチャンバを含むシステムである。
【0016】
システムは吸収装置カラムを含み、吸収装置カラムは、CO
2含有ガスからCO
2を吸着可能にして、CO
2除去ガスおよびCO
2リッチ溶液を生成するように構成されている。
【0017】
実施形態において、吸収装置カラムは垂直配向カラムである(すなわち外周よりも高さが大きい)。吸収装置カラムは区域に分けられ、各区域は単段吸収装置カラム内の領域であってよく、または各区域は多段吸収装置カラム内の段であってよい。ゆえに「段」は、中に単一の区域または複数の区域を含有し得るカラムである。吸収装置カラムは、単段内に複数の区域を有する単段吸収装置カラム(すなわち単一の物理カラム)であってよく、また各段が単一の区域である、多段吸収装置カラム(すなわち複数の独立したカラム)であってよい。
【0018】
実施形態において、吸収装置カラムは2つの区域を備え、第3区域を備えていてもよい。一実施形態において、第1区域は吸収装置カラムの「下部区域」であり、第2区域は吸収装置カラムの「上部区域」である。必須ではない第3区域が存在しない場合、第1および第2区域は吸収装置カラム全体を含む。必須ではない第3区域は、存在する場合、第1、第2および第3区域が吸収装置カラム全体を含むような、吸収装置カラムの「中間区域」である。
【0019】
単段カラムの実施形態において、各種の区域(すなわち第1、第2および必須ではない第3区域)は、スクリーン、バッフルなどの物理的バリアによって分離されている。実施形態において、このようなバリアは、液体に対するバリアであるが、ガスに対して透過性である。実施形態において、第1区域は「下部区域」であり、吸収装置カラムの下部(すなわちカラムの最下点)から第1区域と第2区域(または、第3区域が存在する場合は、第1区域と第3区域)の間のバリアまで延在する。第2区域は「上部区域」であり、吸収装置カラムの上部(すなわち最高点)から第2区域と第1区域(または、第3区域が存在する場合は、第2区域と第3区域)の間のバリアまで延在する。第3区域は、存在する場合、「中間区域」であり、2個のバリアの間に存在する。中間区域が存在しない場合、第1区域および第2区域は、サイズが同じであってよく(すなわちそれぞれカラム全高の50%)、またはサイズが同じでなくてもよい(例えば第1区域はカラム全高の20、30、40、60、70または80%である)。中間区域が存在する場合、3つの区域は、サイズが同じであってよく(すなわちそれぞれカラム全高の33%)、またはサイズが同じでなくてもよく、この場合、3つの区域を任意の好適な割合で使用してよい(例えば10/80/10または30/40/30または50/30/20など)。
【0020】
単段カラムの実施態様において、物理的バリアが存在せず、各種の区域は、一部は物理的位置によって、一部は本明細書に記載するような吸収溶液の内容に関して識別可能である。例えば2区域式カラム(すなわち、必須ではない第3区域が存在しない)において、第1区域は「下部区域」であり、吸収装置カラムの最下点から延在する。第2区域は「上部区域」であり、吸収装置カラムの最上点から延在する。2個の区域は吸収装置カラムの全高を含む。該2区域は接し、その接触点/箇所はカラムの中点(端部間の中間)であってよく、または中点とどちらかの端部との間の距離の少なくとも10、20、30、40または50%であってよい。例えば第1区域は、カラム全高の下部30、40、50、60、70または80%を含んでよい。したがって第2区域は、カラム全高の上部20、30、40、50、60または70%を含んでよい。3区域式カラム(すなわち必須ではない第3区域が存在する)において、第3(すなわち中間)区域は、カラムの中点を含んでよく、カラム全高の15〜40%または20〜35%を含んでよく、第1区域および第2区域が残りの区域を形成する。しかし、中間区域は中点を含む必要はなく、中間区域は単に第1区域と第2区域の間である。一実施形態において、区域はすべて同じサイズである(すなわち2区域式カラムにおいて、区域はどちらも高さの50%であり、3区域式カラムにおいて、区域はすべて33%である)。実施形態において、区域はその中の吸収溶液の組成によって識別および認識できる。例えば第1区域は、本明細書に記載するような、アンモニアのカリウムに対する特定比率を有する区域である。
【0021】
多段カラムの実施形態において、吸収装置カラムは、段の間に連結部を有する、複数の独立した個別の吸収装置カラムを備える。連結部は、連続する段の間に流体(すなわち液体、ガスまたは両方)連通を提供する。このような実施形態において、吸収装置カラムは、それぞれ吸収溶液を含有し、連結部を介して1つ以上の隣接する段に連結された、2つまたは3つの(または3つを超える)段を備えてよい。例えば第1段は吸収装置カラムの「下部区域」であり、第2段は「上部区域」であり、必須ではない第3段は、吸収装置カラムの「中間区域」である。
【0022】
一実施形態において、区域間の物理バリアが存在し、液体は吸収装置カラム上部区域の下部にてトレーに収集される。トレーに収集された液体は、吸収装置カラム下部区域までオーバーフローすることができる。トレーに収集された液体の一部は、吸収装置カラムの上部まで再供給することができる、および/または吸収装置カラム上部区域中の液体と混合することができる。次にこの複合流は、再生カラムまで圧送される。
【0023】
混合塩技術において、吸収カラムの両方の区域で、最新のアンモニアまたは炭酸塩方法と比較して反応速度が向上している。吸収装置の上部(第2区域)におけるCO
2吸収速度が高いのは、溶液(再生装置からのよりリーンな溶液)のCO
2ローディングが少なく、そのpHが比較的高いためである。さらに、上部区域の下部付近での速度の上昇は、ガスCO
2吸収のための気液物質移動および吸収装置の炭酸カリウム側CO
32−水溶液に関連する境界層を縮小する促進剤としてアンモニアが作用することによって実現される。
【0024】
吸収溶液
吸収装置カラムの各区域は吸収溶液を含有し、吸収溶液の組成は各種の区域の間で変化することがある。任意の区域の吸収溶液の組成は、多種多様の因子、例えば該区域への原料投入および該区域内での条件(例えば温度など)に依存している。各種の区域への原料投入は、上記のようなシステムの相互接続性配列によって決定される。一般に、吸収溶液は、水(すなわち水溶液)、溶解アンモニアおよび炭酸カリウムを含む。アンモニアと炭酸カリウムとの間の反応、解離などを含む各種の因子のため、他の種が吸収溶液中に存在することがある。このような他の種としては、アンモニウム塩、例えば炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムならびにカリウム塩、例えば重炭酸カリウムが挙げられる。
【0025】
実施形態において、吸収溶液は、溶媒としての水に加えて、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、NH
3、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムを含む水性混合塩システムである。実施形態において、吸収装置カラム中の無機塩総濃度は、20〜40重量%の間で変化してよい。
【0026】
実施形態において、第1吸収装置カラム区域ではアンモニアが(したがって、該区域では溶解した総アンモニアが高濃度化されるように、アンモニウム塩も)高濃度化されている。例えば、第1吸収装置カラム区域は、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3または5を超える溶解アンモニア(すなわちNH
3に加えてNH
4+)の総カリウムに対する比で動作する。比較的高濃度のアンモニアによって、CO
2回収速度および総回収能力が向上する。したがって、第1区域は通例、吸収装置カラムの「下部区域」であり、動作中に、処理されるCO
2含有ガス(例えば発電所などからの煙道ガス)を収容する。本実施形態は、必須ではない第3区域が存在しないシステムにとって特に好適である。
【0027】
実施形態において、第1吸収装置カラム区域ではカリウムも高濃度化される。例えば、アンモニアのカリウムに対する比は1:1から1:10の間、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10である。第1区域においてカリウムが高濃度であることは、処理されるCO
2含有ガスが、たとえこのようなCO
2含有ガスが高温であっても、冷却の必要なしにシステムに進入できることを意味する。本実施形態は、必須ではない第3区域が存在するシステムにとって特に好適である。
【0028】
実施形態において、第2吸収装置カラム区域では、アンモニアが除去されている。実施形態において、第2区域では、カリウムが高濃度化されている。例えば、第2吸収装置カラム区域は、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4または0.3未満の溶解アンモニア(すなわちNH
3に加えてNH
4+)のカリウムに対する比で動作する。第2区域は通例、「上部区域」であり、吸収装置カラム出口を含む。したがって、第2区域において低下したアンモニア濃度により、吸収装置カラムからの総アンモニア排出量が減少して、これによりアンモニア回収技術への要求が低下し、廃棄物が低減または排除される。必須ではない第3区域が存在する実施形態において、第2区域は、第3区域から発生するいかなるアンモニア排出量も回収するようにも機能する。
【0029】
実施形態において、第3吸収装置カラム区域が存在し、第2区域と比べて、アンモニアが(したがって、該区域では溶解した総アンモニアが高濃度化されるように、アンモニウム塩も)高濃度化されている。例えば、第3吸収装置カラム区域は、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、3または5を超える溶解アンモニア(すなわちNH
3に加えてNH
4+)の総カリウムに対する比で動作する。実施形態において、吸収装置カラムの第3区域中の吸収溶液は、吸収装置カラムの第1(すなわち上部)区域中の吸収溶液と比べてより高いアンモニア濃度を有するが、第2(すなわち下部)区域中の吸収溶液と比べてより低いアンモニア濃度を有する。このような実施形態において、吸収装置カラム全域にわたる吸収溶液は、アンモニア濃度勾配を有し、カラムの下部における最高濃度からカラムの上部における最低濃度まで進行する。アンモニアが比較的高濃度の区域では、アンモニアによって、CO
2回収速度および総回収能力が向上する。実施形態において、第3区域は、吸収装置カラムの「中間区域」である。
【0030】
動作の実施形態において、処理されるCO
2含有ガスは、吸収装置に下部区域から進入する。インプット圧力は、周囲圧力(1気圧)であるか、または周囲圧力より高くてよい。インプット温度は、ガス源およびシステムの構成に依存するが、例えば上昇してよい(例えば35、40、45、50、55または60℃以上)。
【0031】
動作の実施形態において、吸収装置カラム内の吸収溶液は、ある温度および圧力条件にて存在する。例えば、吸収装置カラム内(すなわち吸収溶液)の温度は、周囲温度であるか、または周囲温度を超える(例えば30、35または40℃まで)。例えば、吸収装置カラムによる圧力(すなわち液体およびガスの流れによって発生したシステム圧)は、周囲圧力であるか、または周囲圧力より高い。
【0032】
実施形態において、吸収装置カラムのアウトプットには液体およびガスが含まれる。液体アウトプットは、CO
2リッチ水溶液であり、吸収装置カラムの下部から取り出される。CO
2リッチ溶液は、吸収装置カラムの下部から再生カラムに圧送され、本明細書に記載するように処理される。ガスアウトプットは、CO
2除去ガスである。CO
2除去ガスはN
2が高濃度化され、他の構成成分、例えばO
2を含有する。いくつかの実施形態において、カリウムリッチ水溶液は、吸収装置カラムの上部から除去されて、再生カラムの下部へ圧送されてよい。
【0033】
理論に拘束されることを望むものではないが、混合塩中に存在する非解離アンモニアは、他の溶解種(イオン化および非解離)、例えば炭酸塩、重炭酸塩、または溶解二酸化炭素と比較して、水溶液中で非常に高い拡散速度を有する。したがって、NH
3(ガス)はCO
2(ガス)と気/液界面にて反応して、一過性複合体を形成し、これは次に複数の経路によって解離する:(1)NH
3CO
2*+NH
3(ガス)→NH
2CO
2−+NH
4+および(2)NH
3CO
2*+H
2O(l)→HCO
3−+NH
4+。加えて、複合体−NH
3CO
2*−は再びNH
3(水溶液)およびCO
2(水溶液)に解離することができる。正味の結果として、溶解CO
2(水溶液)が増加する。技術の主要な特徴は、アンモニアをベースとするインサイチュー無機部分がより高い拡散係数を有し、CO
2回収の速度を向上させるための気/液物質移動を向上させることである。アンモニアサイクルは:CO
2→NH
3CO
2→H
2O→NH
4++OH
−→H
2O+NH
3→CO
2である。CO
2吸収の速度は、アンモニアが気/液界面でのCO
2−炭酸イオンを溶液中へ折り返し輸送するプロモータとして機能し、溶解相中のCO
2の分圧を上昇させることによって上昇する。このことによって、CO
2の炭酸イオンとの衝突速度が上昇して、結果としてCO
2吸収速度が上昇する。
【0034】
システム−再生カラム
再生カラムの主な目的は、CO
2リッチ溶液からCO
2を脱着して、吸収溶液を再生することである。再生カラムは、様々なアンモニア対カリウム組成を有するCO
2リーン溶液を生成できるような方式で設計され、このような溶液は吸収溶液として再使用される。したがって再生したCO
2リーン溶液は、CO
2吸収装置の各種の区域(段)中に圧送される。
【0035】
実施形態において、再生カラムは垂直配向カラムである(すなわち外周よりも高さが大きい)。再生カラムはその中に区域を備えてよく、「区域」は、別個の機能を有するまたは別個の組成を有する再生溶液を含有する再生カラム内の領域である。
【0036】
CO
2リッチ溶液は、吸収装置カラムから(例えば吸収装置カラムの下部区域から)抜き取られ、再生カラムに圧送される。CO
2リッチ溶液は、再生カラムにカラム上部にてまたはカラム上部付近で進入する。ひとたび再生カラムに入ると、溶液は本明細書では再生溶液と呼ばれる。再生溶液は、CO
2の脱着および精製CO
2ガス流の形成に好適な条件に従う。ゆえに再生カラムのアウトプットは、精製CO
2ガス流およびCO
2除去溶液を含んでいる。精製CO
2ガス流は、再生カラム内の任意の好適な位置、例えばカラムの上部または上部区域付近(例えばカラムの最上点の1、2、3、4または5%)から抜き取ってよい。
【0037】
実施形態において、CO
2除去溶液は、吸収装置カラムに直接戻される。他の実施形態において、CO
2除去溶液はさらに処理されて、アンモニア欠乏炭酸カリウム流(すなわちカリウムリッチ流)、アンモニアリッチ炭酸カリウム流または両方を形成する。一実施形態において、再生カラムはこのような両方の流れを生成し、アンモニアリッチ流は吸収装置カラムの中間区域(例えば吸収装置カラムの垂直中点または垂直中点の5、10、15、20もしくは25%以内)まで圧送され、アンモニア欠乏流は吸収装置カラムの下部(すなわち吸収装置カラムの最下点または最下点の5、10もしくは15%以内)まで圧送される。
【0038】
アンモニア欠乏流およびアンモニアリッチ炭酸カリウム流を形成するためのCO
2除去溶液のさらなる処理は、フラッシュチャンバ中で行ってよい。本手法において、該方法は:CO
2除去溶液を再生カラムの第1区域からフラッシュチャンバに圧送して、フラッシュチャンバによりCO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成すること;およびアンモニア除去CO
2除去溶液を吸収装置カラムの上部に圧送することをさらに含む。
【0039】
実施形態において、再生カラムは、高圧(例えば5、10、15または20バールを超える)およびより低い温度(例えば140℃未満であるが20、25または30℃を超える)を含む脱着条件にて動作する。実施形態において、再生カラムは、100〜180℃の範囲内の温度にて動作する。再生溶液は再生カラム下部から抜き取られて、フラッシュチャンバに圧送される。フラッシュチャンバは、再生溶液からアンモニアの大半(50、60、70、80、90または95%を超える)を除去する。フラッシュチャンバの条件は、水の蒸発を最小限にすると共に、リーン溶液からのNH
3除去を最大化するように調整される(例えば140〜200℃および150psi(10バール)未満)。フラッシュチャンバの上部区域において、蒸発した水およびアンモニアは濃縮されて、再生カラムに圧送して戻される。フラッシュチャンバ下部を出る液体はアンモニア濃度が低下していて、この溶液も吸収装置カラムの上部まで圧送することができる。必要に応じて、フラッシュチャンバの動作条件を調整して、アンモニア濃度を4重量モル未満に低下させることができる。
【0040】
動作の実施形態において、再生カラムの温度および圧力は監視および調節される。実施形態において、再生カラムの上部における再生溶液の温度は、70℃以下に維持されてアンモニアおよび水のスリップを低減する。
【0041】
実施形態において、温度勾配は、再生カラムの高さに沿って存在する:カラムの第2区域における再生溶液は、比較的より低い温度(例えば30〜90℃)であり、カラムの第1区域における再生溶液は、比較的より高い温度(例えば100〜200℃)である。カラムの第1区域におけるより高い温度は、溶液からのアンモニアのストリッピングを補助する。このような実施形態において、第1区域は再生カラムの「下部区域」であり、第2区域は再生カラムの「上部区域」である。したがって、一実施形態において、再生カラムの第2(すなわち上部)区域における再生溶液の温度が再生カラムの第1(すなわち下部)区域における再生溶液の温度よりも低くなるように、再生カラム内に温度勾配が存在する。
【0042】
本明細書で述べる温度が再生カラム内の再生溶液を示すことが認識されるであろう。
【0043】
必要な場合、蒸気または外部ヒーターによって、再生カラムに熱を加えてよい。再生カラムの圧力は調節でき、例えば5、10、15、20、25、30または35バールを超える圧力を維持することができる。圧力は、例えば背圧レギュレータを使用することによって維持できる。代表的な動作において、再生カラムの圧力は150〜450psiの間に維持される。
【0044】
動作中の実施形態において、水、アンモニアおよびCO
2は再生カラムの下部から気化し、この流れは、再生装置の下部にてカリウムリッチ溶液から離れる下降混合塩流を加熱する。実施形態において、再生カラムの下部でのカリウム塩の組成は4重量モルを超えるが、アンモニア塩の濃度は4重量モル未満である。
【0045】
システム構成
実施形態において、本明細書のような方法を行うためのシステムであって:吸収溶液を含有し、CO
2含有ガスから吸収溶液中にCO
2を吸収してCO
2リッチ溶液を形成できるように構成された吸収装置カラム;吸収装置カラムと流体連通し、CO
2リッチ溶液からCO
2を除去して精製CO
2ガス流およびCO
2除去溶液を形成するように構成された再生カラム;および再生カラムと流体連通し、吸収装置カラムと流体連通して、再生カラムから得た再生溶液からアンモニアを除去するように構成された、必須ではないフラッシュチャンバを含むシステムである。
【0046】
実施形態において、再生カラムは、吸収装置からCO
2リッチ溶液を受け入れて、CO
2リッチ溶液を脱着条件に従わせて精製CO
2ガス流およびCO
2除去溶液を生成するように構成されている。実施形態において、フラッシュチャンバは、再生カラムからCO
2除去溶液を収容し、CO
2除去溶液からアンモニアを除去してアンモニア除去CO
2除去溶液を形成するように構成されている。再生カラムは、フラッシュチャンバからアンモニア除去CO
2除去溶液を収容するようにさらに構成されてよい。本明細書では、「収容するように構成されて」は、好適な入口/出口ポートおよびコンジットが存在して物質を供給源から行き先まで輸送することを意味する。さらなる構成要素、例えばポンプ、弁、フィルタなどは必要に応じて存在してよい。ゆえに、例えば、実施形態において、システムは、CO
2除去溶液を含有する再生カラムの区域と吸収装置カラムとの間に流体連通を与えるコンジットを備え、および/またはシステムは、CO
2除去溶液を含有する再生カラムの区域とフラッシュチャンバとの間に流体連通を与えるコンジットを備える。
【0047】
必須ではないフラッシュチャンバが存在する一実施形態において、吸収装置カラムは3つのインプットおよび2つのアウトプットを備える。第1インプットは本明細書に記載するようなCO
2含有ガスであり、これはカラムの下部またはその付近にて(例えば最下点またはそのような点の1、3、5、10もしくは15%以内にて)吸収装置カラム中に圧送される。例えば100フィートカラムの下部の1%以内は、カラムの最下点の1フィート以内となる。第2インプットはフラッシュチャンバから収容されるアンモニア除去溶液であり、これはカラム上部またはその付近にて(例えば最上点またはそのような点の1、3、5、10もしくは15%以内にて)吸収装置カラム中に圧送される。第3インプットは再生カラムから(すなわち再生カラムの下部区域、例えば再生カラムの下部の30、25、20、15、10または5%以内から)収容されるCO
2除去溶液であり、これは吸収装置カラムの中間区域中へ(例えば中点またはこのような点の5、10、15、20、25、30もしくは35%以内にて)圧送される。第1アウトプットはCO
2除去ガスであり、これはカラムの上部またはその付近にて(例えば上部または上部の1、2、3、4もしくは5%以内にて)吸収装置カラムから除去される。第2アウトプットはCO
2リッチ溶液であり、これはカラムの下部またはその付近にて(例えば最下点またはそのような点の1、3、5、10もしくは15%以内にて)吸収装置カラムから除去される。再生カラムは2つのインプットおよび3つのアウトプットを備える。第1インプットは吸収装置カラムからのCO
2リッチ溶液であり、これはカラムの上部またはその付近にて(例えば最上点またはそのような点の1、3、5、10もしくは15%以内にて)再生カラムに進入する。第1アウトプットは精製CO
2ガス流であり、これはカラムの上部またはその付近にて(例えば上部または上部の1、2、3、4もしくは5%以内にて)再生カラムから除去される。第2アウトプットは吸収装置カラムによって収容されるCO
2除去溶液であり、これは上述のように再生カラムの下部から除去される。第3アウトプットはフラッシュチャンバによって収容されるアンモニアリッチ溶液であり、これは再生カラムの下部区域から(例えば最下点またはこのような点の1、3、5、10もしくは15%以内にて)抜き取られる。次に第2インプットは、フラッシュチャンバから収容され(例えばフラッシュチャンバの上部区域から抜き取られ)、中間区域にて(例えば中点またはこのような点の5、10、15、20、25、30もしくは35%以内にて)再生カラムに進入するアンモニア除去溶液である。各種の熱交換器を必要に応じてシステム内に配置してよい。
【0048】
フラッシュチャンバが存在しない一実施形態において、吸収装置は3つのインプットおよび2つのアウトプットを備える。第1インプットは上のようなCO
2含有ガスである。第2インプットは、上のような再生カラムの下部付近からのCO
2除去溶液である。第3インプットは、再生カラムの下部区域から得られ、吸収装置カラムの上部区域の中へ圧送されるカリウムリッチ溶液である。第1アウトプットは上のようなCO
2除去ガスである。第2アウトプットは上のようなCO
2リッチ溶液である。吸収装置カラムは、アンモニア(および溶解アンモニウム塩)がリッチである第1区域を含有し、これはカラムの下部3分の2に位置する。吸収装置カラムはさらに、カリウム(K
+塩)がリッチである第2区域を含有し、これはカラムの上部3分の1に位置する。再生カラムは1つのインプットおよび3つのアウトプットを有する。インプットは上のようなCO
2リッチ溶液である。第1アウトプットは、吸収装置の下部区域から得られるカリウム高濃度化溶液である。第2アウトプットは、再生カラムの下部付近からまた得られるアンモニアリッチ溶液である。第3アウトプットは精製CO
2ガス流である。各種の熱交換器を必要に応じてシステム内に配置してよい。
【0049】
アミン含有システム
現在利用可能なCO
2回収の1つは、アミンベースの技術である。従来のアミン技術に伴う主な問題は、分解および揮発によるアミン損失である。アミン揮発はSO
3によって促進され、SO
3は吸収装置内部の煙道ガス中のSO
2の酸化によって形成される。一般に、アミンベースCO
2スクラバにおいて、煙道ガス流は精製されてSO
2が10ppm未満まで除去される。
【0050】
CO
2回収方法におけるアミンの分解を阻害することは、(i)溶媒の損失および方法に対する影響に関して経済上の目的のためにも、(ii)熱安定性固体(HSS)形成をもたらす分解生成物およびニトロソアミンなどのダイオキシン形成化合物の前駆体の形成を防止するためにも重要である。重要な初期分解生成物の1つは、2−オキサゾリジノン(OZD)である。OZDの形成機構は、エチレンオキシドを形成するMEAからのアミン基の損失、次にエチレンオキシドとCO
2との反応、続いてのMEAとの反応による。アンモニアがシステム中に存在する場合、そのような反応を軽減することができる。これは、アンモニアが競合経路(エチレンオキシド+アンモニア+水→アミン)を提供して、エチレンオキシドを除去して、ゆえにOZDの形成を低減するためである。
【0051】
さらに、代表的な商業的MEA生成は、エチレンオキシドをアンモニアと反応させることによる。商業的方法において、水の存在下でのエチレンオキシドとアンモニアとの反応によって、第1級および第2級アミンがもたらされる。第1級アミン(MEA)は、最初にアンモニアを除去することによって分離され、これはMEA生成方法の最も費用のかかる部分である。CO
2回収用途のためには、このアンモニア除去は不要である。したがって、CO
2回収方法に好適なアンモニアおよびアミン混合物は、純粋なMEA溶液を生成するよりも低いコストで生成することができる。
【0052】
ゆえにアンモニアおよびアミン(またはアミン混合物)より成るCO
2スクラビング溶液を使用して、天然ガスまたは石炭発電所からの煙道ガス混合物よりCO
2を回収する場合、本明細書の混合塩方法で提案するデュアル吸収装置システムを使用することができる。利点としては以下が挙げられる:吸収装置の下部区域での十分なアンモニア濃度を有することにより、煙道ガス中のSOxと反応して、アミンに対するその影響を低減する;アンモニアはアミン分解の阻害物質として作用し、したがってアミン構成の要求事項が低減される;アンモニアおよびアミンを含有する溶媒混合物は、純粋なアミン溶液と比較してより低いコストで処方することができる;ならびにアンモニアはアミンよりも揮発性であるため、好ましいアンモニア/アミン混合物を、混合塩方法に似た再生装置ステップにおいて調製できる。
【0053】
アンモニアおよびアミンの混合物を混合塩方法に記載した方式で使用する場合、煙道ガス中のSO
2は、アンモニウムサルフェートとして捕捉される。このようにSO
3形成が低減される。さらに、従来のアミン方法における主要なコストは、アミンの損失を絶えず補うために新たなアミンの添加が必要なことによる。本明細書に記載するアミン添加を伴う混合塩方法は、この問題を軽減する。
【0054】
したがって、本明細書に記載するような混合塩を用いる多区域吸収装置システムは、CO
2回収を向上するためにアミンを添加しても使用することができる。一例として、混合物アンモニアおよびアミン(モノエタノールアミン[MEA]または他のアミン)が好適である。このような実施形態において、吸収装置カラムの第1(下部)区域は、高いアンモニア濃度を有し、吸収装置カラムの第2(上部)区域はアミンが濃縮されているが、比較的より低いアンモニア濃度をなお含有する。
【0055】
CO
2含有ガス源および組成
CO
2含有ガスはガス混合物である。実施形態において、CO
2含有ガスは発電所または他のこのような供給源からの煙道ガスである。実施形態において、CO
2含有ガスは、他の構成成分、例えばN
2、O
2、NO
x、SO
xおよび他の酸性ガスの1つ以上を含む。一実施形態において、CO
2含有ガスは、5から15体積%のCO
2、N
2、O
2、NO
x、SO
xおよび他の酸性ガスを含む煙道ガスである。実施形態において、CO
2含有ガスは、CO
2を2〜20体積%、または2〜15体積%、または2、3、4、5、7、10もしくは15体積%を超える量で含む。
【0056】
記載した方法は、従来の方法と比較してエネルギーの要求が低く、CO
2回収のコストは、CO
2 1トンに付き30、25または20ドル未満とすることができる。従来の方法と比較して、50%を超えるエネルギー使用の低減および75%を超える水使用の低減も得られる。一実施形態において、記載した方法を、石油コークス発電所の煙道ガス脱硫(FGD)システムの下流に組み入れることができる。
【0057】
[実施例]
[実施例1]
ベンチスケール試験による結果は良好であり、40℃、1気圧での13%CO
2より成るシミュレート煙道ガス流では、95%を超えるCO
2回収効率を達成した。混合塩のローディング容量は、炭酸カリウムシステムのほぼ3倍(溶媒1kgに付きCO
2約170g)であった。炭酸カリウムおよび混合塩のローディング容量データを40℃、1気圧にて、約30から約80Nm
3/t溶媒の間のCO
2ローディング値について測定した。
【0058】
ベンチ・スケール・データは、該技術が99%を超えるCO
2を回収可能であり、非常に高い循環CO
2ローディング容量を有することを示した。従来のアミン溶媒を利用する在来のCO
2回収方法は、エネルギーを非常に多く使用し、石炭燃料煙道ガス中の酸素、SO
xおよびNO
2による溶媒分解も受けやすく、運用コストが高くなる。本明細書に記載する混合塩技術は、微量レベルのSO
xをCO
2と共に同時回収し、ゆえに煙道ガス脱硫に関連するコストを低減する機会を提供する。加えて、再生のための低い熱反応(35〜45kJ/mol)および低いボイラー負荷(800Btu/lb未満)によって、CO
2回収装置と発電所との間の熱統合がより良好となる。表1は、CO
2回収についてアミン技術と混合塩技術との比較を示す。混合塩技術は、20ドル/t CO
2未満のコストを提供する。
【表1】
【0059】
[実施例2]
熱力学的計算を行って、混合塩CO
2回収概念の実現可能性を決定した。具体的には、計算は以下を含んでいた:(1)アンモニアが炭酸カリウムを含有する溶液中へのCO
2の吸収を促進することを示す、気液物質移動の境界層の決定;ならびに(2)、他の競合するアンモニアベース方法と比較して、低いアンモニア蒸気圧にて運用するための、温度、圧力および組成を決定するための熱力学モデル化。吸収装置出口における平衡アンモニア蒸気圧を計算し、各種温度における10Mアンモニア濃度に対するCO
2ローディングの関数としてプロットした。
【0060】
[実施例3]
煙道ガス(5から15体積%のCO
2、N
2、O
2、NO
x、SO
xおよび他の酸性ガス)は、1気圧、58℃にて吸収装置に下部区域から進入する。洗浄したガスは、吸収装置の上部から出る。90%CO
2回収では、15%のCO
2を含有する煙道ガス流では、1.5%体積%のCO
2が吸収装置の上部から出る。CO
2リッチ溶媒は、吸収装置の下部区域から出る。
【0061】
[実施例4]
典型的な試験において、30〜50℃の吸収装置下部からのCO
2リッチ溶媒を、再生装置からのCO
2リーン溶液と熱交換した後に、再生装置の上部に圧送する。
【0062】
[実施例5]
混合塩方法の化学作用は、気/液相物質移動と、続いての液相における化学反応を含む。後続のK
2CO
3−NH
3−H
2O−CO
2システムのための化学種分別へと繋がる、該方法に関連する選択された主な反応は、以下の通りである:
CO
2(ガス)←→CO
2(水溶液)
NH
3(水溶液)+CO
2(水溶液)+H
2O(液体)←→(NH
4)HCO
3(水溶液)
(NH
4)
2CO
3+2CO
2(水溶液)+H
2O(液体)←→2(NH
4)HCO
3(水溶液)
2NH
3(水溶液)+CO
2(水溶液)←→(NH
4)NH
2CO
2
(NH
4)NH
2CO
2(水溶液)+CO
2(水溶液)+2H
2O(液体)←→2(NH
4)HCO
3(水溶液)
K
2CO
3(水溶液)+CO
2(水溶液)+H
2O(液体)+触媒←→2KHCO
3(水溶液)+触媒
K
2CO
3−NH
3−CO
2−H
2Oシステムにおける種としては、H
2O CO
2(ガス)、H
2O(ガス)、NH
3(ガス)、CO
2(水溶液)、NH
3(水溶液)、CO
3−2、HCO
3−、H
+、K
+、NH
2CO
2−、NH
4+、OH
−、K
2CO
3(固体)、KHCO
3(固体)、(NH
4)
4H
2(CO
3)
3(固体)、NH
4HCO
3(固体)、K
2CO
3・1.5H
2Oが挙げられる。固体種は、混合塩システムには存在していない。
【0063】
アンモニアベース方法における化学反応はすべて可逆性であり、その方向はシステムにおける圧力、温度および濃度に依存する。低温では、上の式は左から右方向への発熱反応であり、所望の吸収温度を維持するために方法から熱を除去する必要がある。高温では、式は右から左方向への吸熱反応であり、ガス状CO
2を放出するためにエネルギーを必要とする。該方法の反応熱は、混合物の組成(カリウムおよびアンモニウム塩の比)に応じて調整できる。40〜50kJ/モルの反応熱を有する混合物で試験を行ったが、所望の結果には他の混合物も好適であり得る。
【0064】
[実施例6]
混合塩CO
2回収システムは、2段等温吸収装置、再生装置および補助装置を備える。吸収装置は、カリウムリッチ溶媒を有する上部区域(吸収装置2)およびアンモニアリッチ溶媒を有する下部区域(吸収装置1)より成る。吸収装置は、2つの区域を有する1台の吸収装置または連続した2台の別個の吸収装置のどちらかとして組立てることができる。発電所からの煙道ガスは、FGDユニットを通過した後に、吸収装置の下部区域から進入する;30℃〜40℃まで冷却した後、CO
2の50〜80%が第1吸収装置内で吸収される。煙道ガス中に残存するCO
2は、吸収装置(吸収装置2)の上部区域で吸収される。
【0065】
下段は、液体リサイクルおよび冷却を行って、冷却水温度(30℃〜40℃)のすぐ上にて保持して、吸収装置を比較的一定の温度に維持する.2段吸収装置では、下段はアンモニア1モルに付きCO
2 0.6〜0.7モルおよびカリウム1モルに付きCO
2約0.7〜0.8モルの範囲の最も高いCO
2ローディングで動作する。反応熱は、下段からリサイクルループ内の熱交換器を用いて除去される。下段からのCO
2リッチ溶液は、下部からリサイクルループの放出流によって常に除去される。CO
2リッチ溶液は再生のために再生装置に送られる。
【0066】
該混合塩方法は、選択的再生装置を使用する。該再生装置の主な特徴は、以下のような2つのCO
2リーン塩流を再生する設計である:(1)吸収装置の上段へのアンモニアリーン混合塩;および(2)下段へのアンモニアリッチ混合塩流。代表的な動作では、吸収装置からのCO
2リッチ混合塩(約38%の総重量の固定NH
3およびK組成および0.7 CO
2/アルカリモル比までのCO
2ローディング)が再生装置の上部区域に進入する。該再生装置は等圧高圧再生装置(10〜40バール)であり、温度勾配(上部約60℃〜70℃および下部約120℃〜170℃)を有する。高温にて、アンモニアは、再生装置の下部において水およびCO
2と共に蒸発する。次に、蒸気が再生装置カラムを上昇するに連れて、アンモニアおよび水は再吸収され、これにより再生装置の中間区域でアンモニアリッチ溶液が生成される。再生装置からのNH
3リッチCO
2リーン溶液は吸収装置の下部区域(上の吸収装置1)に供給され、KリッチCO
2リーン溶液は上部区域(上の吸収装置2)に供給される。
【0067】
アンモニア排出の低減。アンモニアリッチ溶液を用いて動作する吸収装置1の上部でのアンモニア蒸気圧は、吸収装置の温度および再生リーン溶媒の組成に依存する。このアンモニアスリップは、吸収装置2の下部にて最吸収される。吸収装置2の上部でのリーン溶媒の平衡アンモニア蒸気圧は、非常に低い。一例として、混合塩方法で30℃にて動作する吸収装置では、吸収装置1の上部でのアンモニア蒸気圧は約3kPaであり、吸収装置2の出口では、約0.2kPa未満である。このアンモニア蒸気圧の数値は、他の最新のアンモニアベース方法によるアンモニア蒸気圧よりも1桁を超えて下回っている。混合塩方法のアンモニア蒸気圧と20℃における10m NH
3のアンモニア蒸気圧の比較も決定した。
【0068】
混合塩方法は(上の段落で説明したように)アンモニアの蒸気圧を1桁を超えて低下させることが可能であるため、高性能の吸収装置設計により、冷却水の必要性に対する負荷は小さくなる。CAPと比較して、水使用の90%を超える低減が達成できる。したがって、接触クーラー、溶媒冷却のためのチラー、大規模な水洗およびサワー水ストリッパなどのユニットは、我々の提案するシステムでは、完全に除去されるか、またはCAPと比較してサイズが縮小される(90%小さい)かのどちらかである。混合塩システムの占有面積は、混合塩方法の高い効率(より速い速度および吸収装置サイズの縮小)のためにさらに縮小される。
【0069】
[実施例7]
吸収速度の向上は、実験室試験によって確認され、水中の炭酸イオンの反応性の利用可能なアブイニシオモデル化によって、炭酸イオン移動度(水和球の拡散低下の程度)が低い理由が説明された。実験室規模の試験では、12体積%のCO
2(約0.5から5acfmのガス流量)を用いて、該方法の速度向上を証明した。試験を様々な開始CO
2ローディングで行った。未希釈の(純粋な)3m K
2CO
3(約41重量%)ローディングを用いた試験も行って、混合塩方法での速度の向上を比較した。38%混合塩溶液および未希釈K
2CO
3を用いて、1バールにて測定した30℃での試験よりデータを収集した。K
2CO
3について測定した作業能力を、未希釈K
2CO
3システムより3倍高いCO
2ローディング容量を有する混合塩システムと比較した。
【0070】
CO
2吸収速度に対する温度の効果。CO
2吸収の速度は、溶媒揮発性が十分に低く、反応のGibbsの自由エネルギーが負であれば、温度の上昇によって上昇させることができる。4mアンモニア溶液について測定したアンモニアベースのシステムでデータを収集した。このデータは、静電吸収装置を使用してCO
2速度を測定することによって得られた。1バールにおけるCO
2吸収を、示した様々な温度およびCO
2ローディングにて測定した。予想したように、平衡は温度の上昇と共に非常に急速に確立され、逆反応(上で論じた式)が重要となる。より低い温度において、反応速度は低く、システムの平衡は低速である。冷却アンモニアおよび水性アンモニア方法においては、より低い温度を使用して、アンモニアの蒸発を回避する;したがって、より望ましい温度範囲(30℃〜45℃)にて方法を行う機会がない。本明細書に記載する混合塩方法が好都合であるのは、該方法が望ましい温度範囲30℃〜45℃にて行われるためである;混合塩方法におけるCO
2吸収速度は、冷却アンモニアのCO
2吸収速度の約5倍である。
【0071】
本発明は、引用した特定のおよび好ましい実施形態のあらゆる組合せを含む。本明細書に記載した実施例および実施形態は例証目的に過ぎず、各種の修正または変更がそれに照らして当業者に示唆され、本出願の要旨および範囲ならびに添付する特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、その中での引用も含めて、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。