(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989963
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】低NOx複合インジェクタ
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20160825BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20160825BHJP
F23D 17/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
C03B5/235
F23C99/00 309
F23D17/00 101
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-506980(P2010-506980)
(86)(22)【出願日】2008年5月6日
(65)【公表番号】特表2010-526747(P2010-526747A)
(43)【公表日】2010年8月5日
(86)【国際出願番号】FR2008050796
(87)【国際公開番号】WO2008148994
(87)【国際公開日】20081211
【審査請求日】2011年5月2日
【審判番号】不服2015-1881(P2015-1881/J1)
【審判請求日】2015年1月30日
(31)【優先権主張番号】0754969
(32)【優先日】2007年5月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】593099355
【氏名又は名称】サン−ゴバン アンバラージュ
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ベルナ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】マゾッティ デ オリベイラ,カルロス
【合議体】
【審判長】
真々田 忠博
【審判官】
板谷 一弘
【審判官】
山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第2834774号明細書(FR,A1)
【文献】
特開昭57−31720号公報(JP,A)
【文献】
特公昭62−42861号公報(JP,B2)
【文献】
英国特許出願公開第257416号明細書(GB,A)
【文献】
特開平11−241810号公報(JP,A)
【文献】
特開平11−193907号公報(JP,A)
【文献】
特開平11−193906号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C03B 5/235, F23D17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのインジェクタを用いてガラスを溶融させる燃焼方法であって、
前記インジェクタが、液体燃料の入口ダクトを備え、液体燃料の前記入口ダクトが、液体燃料の噴霧用の流体の入口ダクトに同軸に取り囲まれ、液体燃料の噴霧用の前記流体の入口ダクトは、同軸の単一の気体燃料入口ダクトに取り囲まれており、
液体燃料の推力と単一の気体燃料の推力との両方によって火炎を生成させ、全パワーに対する、液体燃料に基づくパワーの比率を、20〜80%とし、気体燃料の比推力を最大で2.05N/MWに制限し、かつ液体燃料の比推力を1N/MWを超えないようにして、生成する煙に含まれるNOxの含有量が、サイド・ポート式炉に関しては800mg/Nm3を超えず、エンド・ポート式炉に関しては600mg/Nm3を超えないようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
液体燃料の前記入口ダクトが、液体燃料を、インジェクタから放出する前に中空旋回ジェットの形態にするための、斜め方向の通路が設けられた要素を備え、前記通路各々の母線は、液体燃料の入口方向と2〜30度の角度をなしていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インジェクタをガス100%で作動させるため、液体燃料の前記入口ダクトと、液体燃料の噴霧用の前記流体の入口ダクトとが、前記インジェクタから取外し可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ又は複数の前記インジェクタを備えるバーナーを用いて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バーナーを少なくとも1つ備える炉において行う、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の供給が少なくとも1つのインジェクタによって行われる、燃焼方法と燃焼装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、ガラス溶解炉での利用に関し、特に、フロートガラスを製造する炉、又は容器用の中空ガラスを製造する炉、例えば蓄熱室(熱回収装置)を用いる炉のような、蓄熱式作動炉に関するが、このような用途に限定するものではない。
【背景技術】
【0003】
上記のタイプの燃焼方法の大半、その中でも特にガラス製造炉で利用される燃焼方法は、燃焼後の煙の中に望ましくないNOxが放出されるという問題に直面している。
【0004】
NOxは、人間と環境の両方に悪い影響を与える。NO
2は刺激性のガスであり、呼吸器疾患の原因になる。また、NOxは、大気と接触すると、徐々に酸性雨となる恐れがある。更に、NOxは光化学汚染を発生する。なぜならNOxは、揮発性有機化合物及び太陽光線と組み合わさると、いわゆる対流圏オゾンというオゾンの生成原因となるからであり、標高の低い場所でオゾンの濃度が増大すると、特に暑さが厳しい期間には、人間にとって有害になる。
【0005】
そのためNOxの放出に関する現在の規制はますます厳しくなっている。このような規制が存在するので、炉の製造者と使用者、例えばガラス製造炉の製造者と使用者は、NOxの放出の低減を常に気にかけており、NOxの放出は、サイド・ポート式炉に関しては1Nm
3の煙につき800mg未満であることが好ましく、エンド・ポート式炉に関しては1Nm
3の煙につき600mg未満であることが好ましい。
【0006】
NOxの生成に影響するパラメータはすでに研究されており、温度が問題である。なぜなら1,300℃を超え、空気が過剰であると、NOxの濃度は酸素の濃度の平方根に従って変わり、又はN
2の濃度の平方根にも従うため、NOxの放出が指数関数的に増大するからである。
【0007】
NOxの放出を低減するため、すでに多数の方法が提案されている。
【0008】
第1の方法は、放出されるガスに対して還元剤を利用し、NOxを窒素に変換するものである。還元剤としては、アンモニアが可能だが、貯蔵と取り扱いが難しいという問題が発生する。還元剤として、天然ガスも利用できるが、炉の消耗の原因となり、CO
2の放出が増加する。更に、炉の特定の部分、例えば蓄熱室、に還元ガスが存在していると、この領域の耐火材の腐食を加速する可能性がある。
【0009】
従って、必須ではないが、この方法をやめ、一次手段と呼ばれる手段を採用することが好ましい。この手段がこのように呼ばれているのは、上記の方法のように生成されたNOxを分解するのではなく、例えば火炎の段階で、NOxの生成を阻止しようとするからである。この手段はまた、実施が比較的簡単であるため、より経済的である。しかし、この手段は、上述の方法に完全に取って代わるのではなく、上述の方法を補足することが好ましい。いずれにせよ、この一次手段は、二次手段の反応物質の消費を低減するのに必要不可欠である。
【0010】
既存の手段はいくつかのカテゴリーに分類することができるが、これに限定するものではない。
‐第1のカテゴリーは、「再燃焼」技術を利用して、NOxの生成を低減するものである。この方法では、炉の燃焼室の中に空気のない領域が作り出される。この技術には、蓄熱室の積層レンガの温度が上昇し、場合によっては、特に気密性と耐食性に関して、蓄熱室とその積層レンガが特殊な設計になる、という欠点がある。
‐第2のカテゴリーは、火炎に作用し、火炎中のNOxの生成を低減する、又は、阻止するものである。このためには、例えば、過剰な燃焼用空気を低減するとよい。また、火炎の長さを維持し、火炎前部の体積を大きくして、火炎の中心における平均温度を下げ、温度のピークを制限することも可能である。このような解決法は、例えば、特許文献1と特許文献2に記載されている。この解決法は、ガラスの溶融のための燃焼方法から成り、この方法では、燃料の供給と酸化剤の供給の両方が、NOxの放出量を低減するよう、燃料と酸化剤との接触時間を拡張するか、又は、燃料と酸化剤との接触の体積を増大させるようになされる。
【0011】
インジェクタは、燃焼の推進専用であり、燃料は、酸化剤によって燃焼される。従って、インジェクタは、バーナーの一部を形成し、バーナーという用語は、一般的に、燃料入口と酸化剤入口との、両方を備える装置を示す。
【0012】
NOxを低減するために、特許文献3(又は特許文献4)は、少なくとも1つのインジェクタを備えるバーナーを提案しており、このインジェクタは、燃料油のような液体燃料の入口ダクトと、液体燃料の入口ダクトに対して同心に配置された、噴霧流体の入口ダクトとを備えており、液体燃料の入口ダクトは、液体燃料を内壁に沿った中空ジェットの形態にする、斜め方向の通路が設けられた要素を備えており、この通路の各母線は、液体燃料の入口方向と少なくとも10度の角度をなしている。
【0013】
特許文献5は、
‐液体燃料、
‐高圧気体燃料、
‐低圧気体燃料
を導く同軸の3つの通路をこの順番で軸から遠ざかるようにして備える少なくとも1つのインジェクタを有するバーナーを使用して、NOxを低減することを提案している。しかし、このインジェクタでは、さまざまな燃料の相対的な割合を変化させたい場合に、低NOx放出を維持するためには、複雑な調節が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第6,047,565号
【特許文献2】WO 98/02386
【特許文献3】ヨーロッパ特許第921349号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第6,244,524号
【特許文献5】フランス国特許第2 834 774号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、異なったタイプの燃料が利用される溶融ガラスの熱処理の方法を提供し、特性が広範囲に変わっても、低NOxの放出を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明は、ガラスを溶融させる燃焼方法に関し、液体燃料の推力と気体燃料の推力の両方によって火炎を生成させる燃焼方法であって、全パワーに対する、液体燃料に基づくパワーの比率を、20から80%の間とし、気体燃料の比推力を十分に小さな値に制限して、生成する煙に含まれるNOxの含有量が、サイド・ポート式炉に関しては800mg/Nm
3を超えず、エンド・ポート式炉に関しては600mg/Nm
3を超えないようにすることを特徴とする。
【0017】
事実、液体燃料(例えば燃料油)の推力と低圧ガスの推力を組み合わせることにより、複雑な設定や調節を必要とすることなく、低NOxを維持できることが確認された。すなわち、例えば、燃料油とガスとの割合を、特にこれら燃料のコストの変動に合わせて、非常に簡単に変えることができる。
【0018】
本発明の方法により、燃料油を単独の燃料として使用して、NOxの放出をできるだけ少なくすることができる。
【0019】
燃焼のパワーは、ここでは、液体燃料に基づくパワーと、気体燃料に基づくパワーに分けられ、気体燃料に基づくパワーの割合は、100%から液体燃料の割合を引いたものである(すなわち80%と20%の間で変化する)。
【0020】
気体燃料の比推力は、最大で3N/MWに等しいことが好ましく、2.5N/MWであることが特に好ましい。
【0021】
本発明に関連するガラス産業では、エンド・ポート式炉は、炉の左側と右側に位置する2つのバーナーが交互に作動できることに、注意されたい。バーナーのパワーは、バーナーが備えるインジェクタの数(特に2又は3)と、インジェクタのパワーとの積に等しい。
【0022】
バーナーのパワー(従ってバーナー1つ当たりのインジェクタの数)は変えることができ、特に炉のサイズに合わせる必要がある。
【0023】
例えば、約100m
2(溶融面積)の炉は、それぞれが8〜14MWの2つのバーナーを交互に用いて作動させることができる。もしこれらのバーナーが、それぞれ2つのインジェクタを備えているならば、インジェクタのパワーは4〜7MWであり、このパワーは、液体燃料に基づくインジェクタのパワーと、気体燃料に基づくインジェクタのパワーに分けられる。
【0024】
気体燃料の、上記の最大比推力は、気体燃料に基づくインジェクタのパワーに関係している。気体燃料の比推力を比較的小さな値に維持すると、NOxの放出を低いレベルに維持しつつ、液体燃料と気体燃料の相対比率を大きく変えることができる。
【0025】
この比推力の調節は、気体燃料入口ダクトの直径を選定することによって、非常に簡単に行うことができる。比推力を小さくするにはこの直径を大きくするだけでよく、他のパラメータは同じままであり、逆の場合も同様である。
【0026】
本発明による方法の、別の有利な特徴によれば、液体燃料の比推力は、最大で1N/MWである。この値は、インジェクタのパワーに対する液体燃料の寄与だけに関係する。この値は、ガラス産業又はそれと同等の産業の炉のあらゆるサイズと構成における、火炎の長さと最適な燃焼出力に当てはまる。この値はまた、NOxの放出量を、望ましい低レベルにすることも保証している。
【0027】
液体燃料の比推力の調節は、気体燃料の比推力の調節と同じくらい容易であり、同じように行われる。液体燃料の入口ダクト(ノズル)の直径を大きくすると、液体燃料の比推力が小さくなるが、他のすべてのパラメータは同じままであり、逆の場合も同様である。
【0028】
本発明は、上記の方法を実施するためのインジェクタにも関し、このインジェクタは、液体燃料を噴霧する流体入口ダクトに同軸に取り囲まれている、液体燃料入口ダクトを備え、この液体燃料を噴霧する流体入口ダクトは、気体燃料用の単一の入口ダクトに同軸に取り囲まれていることを特徴とする。インジェクタのこの構成は、特許文献5に記載されているインジェクタにおいて、互いに同軸の液体燃料入口ダクトと液体燃料の噴霧流体のダクトとの間に配置された、同軸の高圧ガス入口ダクトを除去するとともに、同軸の低圧ガス入口ダクトを除去することによって得られる。本発明の入口ダクトは、流体の排出機能も有する。
【0029】
液体燃料の入口ダクトは、液体燃料を、インジェクタから放出する前に中空旋回ジェットの形態にするための、斜め方向の通路が設けられた要素を備えていて、これら通路各々の母線は、液体燃料の入口方向と2〜30度の角度をなしていることが好ましい。この特徴は特に特許文献3で公知である。液体燃料は、斜め方向の通路と同数の個別のジェットに分割される。
【0030】
液体燃料の入口ダクトの全周にわたって斜め方向の通路が一様に分配され、これら通路の母線が2〜30度傾斜しており、全ジェットが、相互に干渉することなく、遠心力を与えられるということになる。
【0031】
この遠心力は、下流において、燃料が入口ダクトの内壁に沿った中空ジェットの形態になって螺旋軌跡を形成するのに寄与する。
【0032】
入口ダクトの出口では、液体燃料が、このようにして最大の運動エネルギーを獲得し、噴霧流体の影響下で、最適のサイズ分布を有する液滴になる。
【0033】
本発明のインジェクタの特に有利な一実施態様では、ガス100%の運転ができるように、液体燃料の入口ダクトと液体燃料の噴霧流体の入口ダクトは、取外し可能である。これら入口ダクトは、軽量の一体化した組立体に形成でき、インジェクタから取り外すのもインジェクタに取り付けるのも容易である。この組立体をインジェクタから取り外すと、インジェクタは、完全に気体燃料で作動することができる。燃料油ラインを除去することによって空いたまま残された場所では、高圧ガスが排出される。低圧ガスは、外側リング部を通過し続ける。
【0034】
本発明の他の目的は、
‐上記で定義した1つ又は複数のインジェクタを備えるバーナーと;
‐このようなバーナーを少なくとも1つ備える炉、特にエンド・ポート式炉又はサイド・ポート式炉、を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を、以下の実施例によって説明する。
【実施例1】
【0036】
95m
2(溶融ガラス面積)のエンド・ポート式炉に、炉のそれぞれ左側と右側に配置した、2つのバーナーを備える。
【0037】
バーナーは空気到着路を備えており、その空気到着路の下には、130℃に加熱した液体燃料のインジェクタと天然ガスのインジェクタとの2つのインジェクタが、配置されている。バーナーのパワーは13MWである。
【0038】
インジェクタの燃料油入口ダクトは、同軸の、燃料油の噴霧用空気(2バール)の入口ダクトに、取り囲まれている。
【0039】
噴霧用空気の入口ダクトは、同軸の、天然ガスの入口ダクトに、取り囲まれている。
【0040】
単一のインジェクタの燃料油のパワーに対する、燃料油の比推力Ispe(f)は、燃料油入口ダクトのノズルに依存する。値Ispe(f)は下に示す表に記載されている。インジェクタのパワーは、バーナーのパワーの半分(すなわち6.5MW)であり、インジェクタの燃料油のパワーとガスのパワーとの合計になる。
【0041】
単一のインジェクタの、ガスのパワーに対するガスの比推力Ispe(g)は、ガス入口ダクトの直径に依存する。値Ispe(g)は下に示す表に記載されている。
【0042】
燃料油の入口ダクトは、燃料油を回転させる要素を備え、燃料油を回転させる要素は穴を有し、穴の軸は、燃料油入口方向と2〜30度の角度をなしている。
【0043】
ガスと燃料油のパワーの相対的な関係は、2つのバーナーの、両方のインジェクタに対して、下の表に示した各構成について、同じように変化する。燃料油の相対的なパワーは、下表に、%(f)で示してある。
【0044】
それぞれの構成に対し、耐火材の腐食に関して妥当なCOの値に対する、NOxの放出量を示す。
【0045】
【表1】
【0046】
構成1〜3について、以下に比較する。
【0047】
燃料油よりもNOxをより多く生成させることが知られている、ガスの割合を増加して、テストした。結果は、明確に示されている。
【0048】
値Ispe(f)をほぼ一定に維持するためノズル(f)を変化させた。この値は、対象とする炉での最適な火炎の長さに対応する。
【0049】
ガス・ノズルの直径を同じに維持すると、ガスの比推力が、ガス流量に対応して増加することが観測されている。
【0050】
構成3と4を比較する。
【0051】
ガス・ノズルの直径を、より大きくし、Ispe(g)の値を、2.05N/MWから0.64N/MWに低下させ、NOxの放出量を低減することに成功した。
【0052】
しかし、Ispe(g)の値が0.64N/MWよりも2.05N/MWのほうが、火炎の制御性がよく、火炎の体積が少ない。
【0053】
構成5と6を比較する。
【0054】
燃料油のパワーが増加するとNOxの放出量が減ることが、再度観察されている。このデータは、ノズルの値(f)とノズル直径の値(g)とを変化させることによって、比推力を一定値に維持し、比推力とは無関係であることが確認されている。
【0055】
従って、本発明により、液体燃料の推力と、相対的に小さい気体燃料の推力とを組み合わせることによって、NOxの放出量を、エンド・ポート式炉に関して600mg/Nm
3(サイド・ポート式炉に関しては800mg/Nm
3)未満に制限することができる。