【実施例】
【0080】
実施例
1.材料及び方法
1.1.材料
工業グレードのポリエトキシ化界面活性剤C18E6は、Steahnehe-Dubois (Boulogne, フランス)から供与された。これは、ポアソン様エチレンオキシド(EO)分布がおよそ6である、典型的な市販品である。このかなり親油性な、すなわちEO数が少ない両親媒性物質は、「軽油」及び水プラス電解質(NACl)からなるエマルションを安定化することになる。軽油は、Cooper (Melun, フランス)から購入し、これは、石油から得られる飽和炭化水素の混合物を表現するための標準的呼称単位である。超高純度水を、MilliQ(登録商標)システム(Millipore, Saint-Quentin-en-Yvelines, フランス)により、塩化ナトリウムをProlabo (Fontenay- sous-Bois、フランス)から入手した。最終的には、流動性があり且つ揮発性の無極相も、第二油、及びプロセスの要点として使用した。25℃での絶対粘度、ηis.=0.35 mPa・s、及び沸点B
isp=28℃である、イソペンタン(2−メチルブタン)をRiedel-de-Han(ドイツ)から入手した。
【0081】
メチレンブルー(MB)、標識ウシ血清アルブミン−フルオレセインイソチオシアネート(BSA−FITC)、レッドサウダン(RS)は、シグマから購入した。
【0082】
1.2.粒子(P)の組成物の調製
粒子(P)の組成物を、以下の成分(表1)を基にし、一般手法に従って調製した。
【0083】
【表1】
【0084】
1.2.1.油中水ナノエマルション(E
1)調製
「軽油」及びMillQ水(100×水/(水+油)荷重配分比:WOR=40)プラスNaCl(水中濃度:0.51 M)からなる肉眼で見えるエマルションを、PEO鎖が短い(PEO−300ステアレート、10重量%)、非イオン性ポリエトキシ化(PEO)界面活性剤により安定化した。PEO−300ステアレートは、当該「軽油」中にすぐに溶解し、水中には不溶性である(Yu, C. D., 1994)。
【0085】
この系は、温度の関数でエマルション転相を受けることが確実にできる(Salager, J. L. et al., 2004; Anton, N. et al., 2007)。この現象、製剤及び組成物パラメータの影響、並びにこの三成分系特性は、従来の研究で詳細に研究されている(Anton, N. et al., 2007)。すなわち、当該系が、正確にエマルション転相温度(PIT)に維持されると、ナノメートルスケールで構造化された、青みがかった透明な態様を呈する共連続マイクロエマルション(ウィンザーIV様)が自発的に形成される(Kahlweit, M. et al., 1985; Forster, T. et al., 1995; Morales, D. et al., 2003; Izquierdo, P. et al., 2004)。次に、一時的なマイクロエマルションを「構築する」ために、温度循環処理をPIT周辺(35<T<60℃)で行うと、温度サイクル数と共に、ナノメートルスケールのネットワークの微細度が増加する。
【0086】
最後のステップとして、PITで、このナノメートル共連続系を、水と比較して非常に流動性のある別の油(イソペンタン)で突然希釈する。典型的には、〜40nmの液滴流体力学的直径、及び非常に満足できる多分散指数である-0.05(ナノZS Malvern Instrumentsを用いて行った測定値)を呈する、油中水ナノエマルションがすぐに発生する。当該w/oエマルションの不安定化メカニズムは、液的内相互作用プロファイルが一般的に深い一次極小を示す、典型的な転位エマルションのコロイド凝集プロセスに従って示されている。
【0087】
さらに、ナノエマルションが形成された後、ナノエマルション連続油相中へのさらなる界面活性剤の添加(POE−300ステアレート)は、不可逆的に懸濁物の安定化、つまり凝集プロセスの予防をもたらすことが観察されている。実際には、液滴の良好な安定化を保証するため、界面活性剤総量の〜35重量%に対応する界面活性剤量を添加する。非イオン性界面活性剤分子は、水性液滴に包まれ且つ被覆され、それにより、それらの間で立体低安定化がもたらされると推測される。
【0088】
1.2.2.界面重縮合
界面重縮合段階は、w/oナノエマルションテンプレートに二次元ポリウレアフィルムを作製する段階的なプロセスである。選択されるモノマーに適合する基準は(i)連続油混合物(イソペンタンプラス鉱物油)中での自由な溶解性、及び(ii)分散した水相との良好な反応性であり(
図1参照)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)をこの実施態様で選択した。このように、液滴と接触したモノマー分子のイソシアネート官能基は、水滴に接触することにより、以後水より反応性が高く、別のイソシアナートモノマーと優先的に反応する、アミン基を形成するはずである。
【0089】
すなわち、化学反応は段階的な重合であり、且つ伸長のためには、ポリウレア鎖は水及び油(モノマーリザーバー)の両方に連続的に接触することが必要なので、得られたポリマーシェルの厚みは、分子範囲において有利であり、且つグリッド様の界面ネットワークを形成する。(以下のカプセル化収率の結果によりこの概念が支持されることになる)。モノマーとカプセル化される分子の潜在的なNH
2基との間の反応は、ポリマーフィルムの形成を干渉しないと推測される。カプセル化収率に対する重縮合時間tpの効果を以下で調べ、最適化した製剤のために、最終的に2時間に固定した。
【0090】
1.2.3.ナノカプセル(NC)の作製
この段階で、実験系は、グリッド様構造を呈すると推測されるポリウレア二次元フィルムにより囲まれ、且つイソペンタン(PIT希釈から)及び鉱物油(初期エマルションから)のバルク油混合物中に分散される、水性ナノ液滴から構成される。さらに、油中に、まだ反応していないモノマー分子の可能性ある存在も考慮される。
【0091】
水性コアナノカプセルの発生(
図1参照)は、単純に(i)外部の追加の水相を添加することにより、及び同時に(ii)イソペンタンの沸点(B
isp=28℃)よりかなり高い温度、例えば50℃に固定した温度で、ボイラー中で1時間、それ自身の蒸発を通してイソペンタン相を除去することにより、達成される。
【0092】
それにより、この蒸発段階中に提供されるエネルギーは、揮発油を急速に除去するだけでなく、サンプルの好適な均一化を保証し、全体的な油容量が減少する間の急速な液滴凝集を予防する。水性液滴は、無極相を越えて等しく広がり、水中の明確なコロイド状物体の発生をもたらす可能性がある。そのように、非揮発性鉱物油の無極相における存在により、イソペンタン蒸発が完了すると、最終的に新規に形成されるコロイド状粒子にそれが共有されることになる。さらに、油蒸発、つまり油容量の減少と共に、使用されるPEO非イオン性界面活性剤が、水に完全に不溶性であるため、両親媒性物質は、油中で徐々に結晶化することになる。最終的に、固体界面活性剤は、得られた液滴を囲む鉱物油に包まれるため、ポリマーフィルムに保護される水性コアを包む、非晶質固体界面活性剤及び鉱物油からなるマトリクス状の脂質シェルを作製する(
図1に構造が示されている)。このカプセル構造は、以下の電子顕微鏡実験により、及び親水性及び親油性分子を同時にカプセル化する高い能力によっても、十分に支持される。最終的に、油中に潜在的に残存している遊離モノマーについては、(末端NH
2基により)形成されたポリマーフィルムか、又は外部の水相に接触して、(鉱物油中に包含されるため)確実に中性化されたように見える。
【0093】
1.2.4.ナノカプセル(NC)顕微鏡観察による特性評価
透過型電子顕微鏡(TEM)
各水性分散体検体の液滴を、初めに、炭素被覆TEM銅グリッド(Quantifoil、ドイツ)に置き、空気乾燥させた。その後、このサンプルを酢酸ウラニル(Merck, ドイツ)でネガティブ染色した。このため、サンプル被覆されたTEMグリッドを、酢酸ウラニルの水溶液(2重量%)の液滴及び蒸留水の液滴上に連続的に置いた。その後、このグリッドを空気乾燥させ、電子顕微鏡に導入した。サンプルをJEOL JEM−1230TEMを用い80kVで操作して可視化した。
【0094】
低温TEM(Cryo−TEM)
低温TEM観察用の検体を、クライオプランジ低温固定化(cryoplunge cryo-fixation)装置(Gatan、米国)を用い、ここに水性懸濁物の液滴を、グロー放電性穴あきタイプの炭素被覆グリッド(glow-discharged holey-type carbon-coated grids)(Ted PeIIa Inc.、米国)に沈着させた。その後、TEMグリッドを、補強炭素フィルムの孔の反対側に残っていた厚みおよそ50〜500nmの液体薄層に、検体を含有する液滴の染みをつけることにより調製した。当該液体フィルムは、液体窒素により冷却される液体エタンに、グリッドを急落させることによりガラス状にした、ガラス状の検体を、Gatan 910検体ホルダー(Gatan、米国)にマウントし、それをクライオトランスファーシステム(cryotransfert system(Gatan、米国)を用いて顕微鏡内に挿入し、液体窒素で冷却した。その後、ガラス状氷に保存され、且つ補強炭素物質の孔の反対側に残っていた検体から、TEM画像を得た。低用量条件(10e・A2未満)下、−178℃、80kVで操作され、LaB6フィラメントを備えるJEM1230「低温」顕微鏡(Jeol、日本)を用いてサンプルを観察した。全ての顕微鏡図を、Gatan 1.35 K×1、04 K×12ビット ES500W Erlangshen CCDカメラで記録した。
【0095】
表面電位測定
ナノスケール表面電位ζの画像として、電位を、ナノZS(Malvern Instruments)を用いて評価した。電気泳動移動度とζ電位を結びつけるSmoluchowskiのモデルを用いた。散乱角を173°で固定し、一定温度25℃で、ヘリウム−ネオンレーザー4mWを、633nmで操作する。ただし、軟粒子解析モデル(H. Ohshima, et al., 2006)による表面特性の深さにおける研究から、これらの物体の表面電位にカプセル化物質が影響を与えないことがわかっている。カプセル化物質がシェル構造の役割を担わないことが示される。
【0096】
1.2.5.親水性及び親油性モデル分子の取り込み
図1における全体的な作製プロセスについて、親水性及び親油性種の取り込みは、異なる方法で行われるように見えるはずである。
【0097】
(i)最終的に親水性物質は、w/oナノエマルション中で水滴を共有し、そしてそれは、最初からマクロエマルション調製の水相に含まれた状態でなされてもよい。別のより効果の高い方法は、温度循環の後であって、且つイソペンタン希釈の前に、PITに維持したマイクロエマルション中に、非常に少ない量の高濃縮された水溶液(2%(v./v.))を注入することからなる。(さらに)攪拌されるマイクロエマルション中に注入された液滴は、共連続相ネットワークの水性部分を急速に一体化させる。油希釈の結果、ナノエマルションが速やかに形成され、それを注入された親水性分子の油中に非常に均一に分散させる。この独自の手法を介する親水性種の取り込みは、最終的に温度循環処理による処理の間、潜在的に分子の分解を防ぐ。当該親水性モデル分子は、全く異なる分子量が選択された。第一の分子は、不安定な色素、メチレンブルー(MB)であり、第二の分子はタンパク質、標識ウシ血清アルブミンフルオレセインイソチオシアネート(BSA−FITC)及び最後の分子は、蛍光化合物の、抗癌薬物であるドキソルビシン塩化水和物(DOX)である。
【0098】
(ii)一方、親油性種は、選択された重合時間の後、イソペンタンの段階の前に、当該ナノエマルションの油相に導入された(当該モノマーとの潜在的な相互作用を最大限に予防するため)。それにより、イソペンタンが完全に蒸発した後、物質が添加された親油性は、残存する鉱物油に包含される液滴に等しく共有される、つまり、非晶質油/非イオン性界面活性剤マトリクスに捕捉される。それは最終的に、残存鉱物油局在のマーカーとして現れ、有意なカプセル化収率の決定は、提供される多機能な水/油構造を支持するはずである。色素、レッドサウダンIII(RS)も親油性モデル分子である。ここで、親水性及び親油性剤を含有するナノカプセル製剤のこれらのプロセスは、なお低量のエネルギーしか必要としないと考えることができるという点が重要である(しばしば「低エネルギー法」と呼ばれる)。それにより、カプセル化分子は、「高エネルギー」の乳化処理及び装置(例えば、高圧ホモジナイザー又はソニファイアー)、及び温度循環にもさらされない。カプセル化されるもろい分子の処理の間の、潜在的な分解が予防される。
【0099】
全ての定量化は、遠心分離によりナノカプセルの外部の水を遠心分離(30分、14500 rpm)後、以下の間接的な方法、すなわち潜在的に残存するナノカプセルの破壊を保証する(及び、当該定量化プロセスにおけるさらなる光吸着を予防する)凍結乾燥で行った(RP2V, SGD, Le Coudray Saint-Germer, フランス)。次に、当該凍結乾燥サンプルを、ジクロロメタン(DCM)に溶解させ、外部の水に存在しているDOX以外の、取り込んだ異なる分子を、分光光度計UV-可視Uvikon 922分光光度計(Bio-Tek Koutron instruments, Saint-Quentin-en-Yvelines, フランス)を用いて単純に定量化する。DOXを、スペクトロフルオロメーター(Fluoroskan Ascent FL, type 374, Thermo Electron Corporation, フィンランド)を用いて定量化した。励起及び発光の光は、それぞれ485 nm及び550 nmでバンドパスフィルターを通過する。
【0100】
1.2.6.粒子(P)からのドキソルビシンに放出率
薬物放出動力学を設定するために(
図8)、透析15 kDaメンブレン(Spectra/Por(登録商標) Membranes, Fisher Bioblock Scientific, lllkirch, フランス)で包んだ、2 mlの新たに調製したDOX標識粒子(P)を、40 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)(シグマ製)に添加した。暗中、37℃でフラックを機械的に弱く攪拌した(125 rpm)(boiler, Julabo SW22, JULABO Labortechnik GmbH, Seelbach, ドイツ)。次に、500μLの放出培地を、特定時間で回収し、前述の通り、スペクトロフルオロメトリーでDOX濃度を決定した。「シンク(sink)」の実験条件を保証するため、この回収量を、同量の新鮮なPBSで置き換えた。
【0101】
2.結果
2.1ナノカプセル特性評価
ネガティブ染色したこれらの水性コアなのカプセルのTEM画像を
図2に示し、低温TEMのものを
図3に示す。当該2つの相補的な実験法により、相補的な情報、及び最終的に、
図1に示した構造と非常に良く一致することが明らかになった。第一の注目事項は、その液滴サイズであり、約50nmであり、これは測定されたw/oナノエマルションサイズと最終的に一致する(マイナス油、プラス界面活性剤のシェル厚み)。さらに、理論的な油/界面活性剤シェル厚みは、ナノカプセルを形成する物質を考慮し、それぞれの特性を知り、及び推測される構造を呈するナノカプセルを推測するだけで達成でき、その結果厚みはおよそ7.5 nmである。この計算結果は、
図2に示されるコア/シェルの比率よっても支持されているようである。
【0102】
さらに、これらの電子顕微鏡画像は、カプセルの比較的良好な単分散性を示し、その後、当該分散及び製剤プロセス等の、比較的良好な定量性を証明する。当然、これらのコロイド状物体の水性コアを有するカプセル構造は、
図2で証明され、これは当該物体が、真空構築段階と共に、当該測定の間爆発する可能性があるためである。その後、(親水性の)染色剤が作製すること覆われるその孔が、ナノカプセル内で点を作製する。
【0103】
対照的に、
図3(a)、(b)、(c)の低温TEM画像は、未処理のナノカプセルを示すと共に、同様に当該粒子の中心と境界とのコントラスト(対比)の違いによりカプセル構造を示す。実際、有機種と水との違いは、染色剤を使用せずに十分詳細に対比される。最後に、
図3で開示される電子強度の詳細について、特定のシェルは、ナノカプセルシェル中での、有機物(及びポリマー配列)の無作為な分布を証明する質感を有する。それは、
図1で示したメカニズム及びグリッド様構造となお一致している。
【0104】
2.2安定性
特定のナノカプセル構造により、ポリマーの存在がシェル骨格を構築し、使用される界面活性剤が、その親油性部分に関してPEO鎖が短く、且つ油中でほとんど結晶化するために、静電気的原因が反発に貢献する力は、立体的原因と同じくらい非常に低く見える。新規に調製したナノカプセルは、非常に良好な単分散性を停止、及び多分散指数(Nano ZS Malvernにより測定、好適な希釈条件で)が比較的良好、つまり0.1未満である。その後、濃縮したNC懸濁物を、明らかに水中のコロイド凝集プロセスを介して、急速に不安定化さると、約一ヶ月の保存後に、NCのクリーム化濃縮物が得られる。実際、十分大きい場合(>1μm)、このクラスターは重力を受ける。一方、このプロセスは、サンプルを単に希釈することにより顕著に低減させ、懸濁物は一ヶ月安定に見える。
【0105】
2.3.親水性及び/又は親油性分子の高効率なナノカプセル化
水性連続相において分散したナノカプセルそれ自身中での、親水性剤のカプセル化を構築する真の試みにより、第一の結果は、親水性種、メチレンブルー及びBSA−FITCが当該コロイドにカプセル化できる範囲に関連することになる。ナノエマルション発生ステップの間の当該分子の取り込み、及びカプセル化収率を決定するための当該分子定量は、上記の方法に従って行った。それにより、カプセル化収率に対する、製剤パラメータ、すなわち、製剤に導入されたモノマーの量、及び重合時間t
pの影響を、
図4に開示する。
【0106】
従って、
図4は、t
p=を2時間に固定した最適化重縮合時間で、カプセル化収率に対する、w/oナノエマルション内で添加されたモノマー量の影響を、異なる親水性分子、MB及びBSA−FITCで比較する。この傾向は非常に類似しており、すなわち、モノマーが存在せずカプセル化は不可能点では収率がゼロで、且つ内部の水が外部の水に対して漏れると推測される時点から、最高のモノマー含量での十分満足のいく時点までの傾向である。MB及びBSA−FITCの両方の到達するプラトーは、非常に類似する約0.9であるが、2つの分子間に存在するシフトに、非常に興味深い点が見られる。実際、少量の色素で比較すると、巨大タンパク質はより低いモノマー量を保持する。このプラトーは、BSA−FITCは約0.05 mg・L
-1ほどであるが、MBは約0.5 mg・L
-1にまで達し、モノマー濃度と、ポリマー「グリッド」密度との間に関連性が存在する可能性が高いことを示している。つまり、モノマー含量が高ければ高いほど、緊密なポリマー「グリッド」が形成される。重縮合反応は、ポリマー線維が群生する「グリッド様」ネットワークを形成する、二次元フィルムを作製するだけなので、最終的には、この結果は、上で示されたナノカプセル構造と一致する。このことより、イソペンタン蒸発の間、与えられるエネルギーは、カプセル化分子の一部が外部の水に漏れるよう誘導し、同様に、ポリマーグリッド密度が増加すると、この漏れが減少する。さらに、MBとBSA−FITCとで観察される違いから、カプセル化分子の分子量は、プロセスにおいても重要であるように見える。最も大きな分子は、より小さな分子と比較して、ポリマーネットワークによって容易に止められるため、これらは類似するカプセル化収率(〜0.5 mg・L
-1)に到達する。
【0107】
図5は、MBのカプセル化収率に対する、重縮合時間t
pの影響を、3つの選択されたモノマー添加量について示す。そのため、t
pは、ナノエマルションへのモノマー添加と、イソペンタン蒸発ステップとの間の遅延時間に対応する。サンプルを非常に弱く、500 rpmで攪拌する間の時間である。プロセスにおいて固定したその値(t
p=2時間)は、各事例において同様に、急速に安定化に到達する(1時間未満)ため、ここで最終的に正当化される。さらに、当該モノマーが油薄層に包まれる(及び内部の水、ポリマーシェル、又は外部の水のいずれかと接触させる)はずであるイソペンタン蒸発ステップより、全てのTDI分子は最終的に反応させられ、ポリウレアネットワークに参加することになる。この意味で、同量の合成ポリマーに対して、短いt
pで与えられるカプセル化収率の違いは、ナノカプセル構造において不均一に分散したポリマーが原因となっているはずである。この強制的な重縮合(短いt
pでの)が、内部の水が油に漏れることにより、カプセルにおけるポリマー孔を作製し得ることに想到するのは、非常に論理的である。
【0108】
ここで、親水性及び親油性成分の同時カプセル化に関して、同じナノカプセルに、メチレンブルー及びレッドサウダンIIIを取り込ませる実験を行い、
図6で報告した。上で取り組んだように、カプセル化収率は、製剤に添加されるモノマーの機能として測定され、最適な重縮合時間は、2時間が選択される。同様に、あらかじめNC構造により示唆されるように、MBは内部の水中に、及びRSは、油性の囲むシェルにある。当然、当該メチレンブルー曲線は、ナノカプセル中に単独である
図4で示したものと、非常に類似する態様を示す。ここで、レッドサウダンIIIに関しては、当該モノマー量は、カプセル化収率に影響を及ぼさないように見えることは明らかであり、それは界面重縮合後、親油性分子が油相に添加されるために、最終的に当該プロセスと一致する。結果的に、RSは油/非結晶界面活性剤シェルに包まれ、0.92という非常に高いカプセル化収率を示す。
【0109】
総括すると、これらの物体は、ポリマー内部骨格の特別な影響を持つ親水性主をカプセル化する興味深い能力を示すだけでなく、親水性(MB)及び親油性(RS)モデル分子を同時にカプセル化する重要な能力も示す。当該物体が、その自身の構造中に液体の水及び油リザーバーを含むため、及び同様に、これらはコロイド状のサイズ範囲を呈するので、これらの多機能特性は、比較的独創的なようである。
【0110】
本研究のさらなる態様は、製剤変数(variable)の関数における、DOXカプセル化収収率の追随に対処した。それゆえ、研究を通して、2つのパラメータのみがカプセル化収率に有意に影響を及ぼすことが示され、それがモノマー量と重縮合させる時間(t
p)であった。t
pが約1〜1.5時間の場合、いかなるモノマー濃度でも、収率は急速にプラトーに達したので、我々は当該プロセスにおいてtp=2時間に固定した。
【0111】
一方、DOXカプセル化収率に対するモノマー量の影響は、
図7に示される、典型的な漸進的変化である。この挙動は、ナノカプセル構造及び均一シェル(孔無し)の形成は、モノマー濃度と密接に関連しているため、液滴界面でのポリマーの緊密性に密接に関連する。これらの結果は、カプセル化収率とポリマーの全量との妥協点を規定することにより、当該プロセスを最適化する。
【0112】
その後、水性コアナノカプセルの放出挙動を、生理的条件で調べ、その結果を
図8に示す。これらは、シェル透過性及びDOX放出メカニズムの情報だけでなく、水性コアナノカプセルの構造的特性の情報も提供する。最終的に、これらは、DOXが効率的にカプセルにカプセル化され、且つ時間で完全に(カーブフィッティングにより100%まで)放出できることを確認する。放出プロファイルが対数的挙動である第一の場は、対数関数にうまくフィッティングする(R=0.992)。
【0113】
2.4.カプセル化した任意の活性成分を含まない粒子(P)の細胞毒性
上記1.2.に従って、カプセル化した任意の活性成分を含まない粒子(P)の細胞毒性をNIH/3T3細胞(マウスMus筋肉の線維芽細胞)で評価した。粒子(P)を様々な粒子濃度に、4、24、48又は72時間晒した。細胞生存率は、MTT試験により決定した。結果を以下の表及び
図9に示す。最大1/1000希釈で、有意な毒性は確認されなかった。
【0114】
【表2】
【0115】
2.5.両親媒性物質としてのTween80(登録商標)からなるシェルを含んでなる、ナノカプセル(NC)を含有する粒子(P)の組成物の調製
上に示すような(1.2.1及び1.2.3を参照)一般的な方法により、以下の成分に基づいて、組成物を調製した。
【0116】
【表3】
【0117】
温度サイクルを3回、35〜60℃で、攪拌しながら(500 rpm)行った。第三サイクルの冷却期間の間、系に50℃でイソペンタン及びPOE300ステアリン酸を添加して、安定な(w/o)ナノエマルションを形成させた。
【0118】
その後、milliQ水中の得られたナノエマルションを50℃で添加し、約1時間イソペンタンを蒸発させることにより、ナノカプセルを形成させた。
【0119】
得られた組成物の経時的安定性を、粒子(P)のサイズ及びゼータ電位の変化をモニターすることにより調べた(nanosizer ZSを用いて測定した。1.2.4参照)。
【0120】
結果は、一定値のサイズ及びゼータ電位対時間(1ヶ月)に対応する粒子の良好な安定性を示した。
【0121】
2.6.モノマーの存在下又は不存在下での、親水性抗癌薬物(ドキソルビシン)のカプセル化収率の比較
上に示すような(1.2.1及び1.2.3を参照)一般的な方法により、以下の成分に基づいて、組成物を調製した。
【0122】
【表4】
【0123】
温度サイクルを3回、35〜60℃で、攪拌しながら(500 rpm)行い、マイクロエマルションを形成させた。その後、マイクロエマルションを39℃で安定化した。
その後、水中のドキソルビシン溶液(4.18mg/ml)の50μLを、マイクロエマルションに連続的に添加し、イソペンタンで希釈後に、ドキソルビシンを有するw/oナノエマルションを形成した。
【0124】
その後、このナノエマルションの一部を、トリレン2,4−ジイソシアネート(上記1.2.2を参照)と共に界面重合に供し、別の一部は処理しなかった。
【0125】
その後、milliQ水中の得られたナノエマルションを50℃で添加し、約1時間イソペンタンを蒸発させることにより、ナノカプセルを形成させた。
これら2つのナノエマルションの水性ナノカプセル又は水性液滴のサイズは、130 nmであった(nanosizer ZSで測定した)。
カプセル化ドキソルビシンの収率は、ポリマーナノカプセルで70%であり、水滴で30%であった。
これらの結果は、ポリマーナノカプセルで得られたものとの比較では、低いカプセル化収率であるが、水滴はドキソルビシンをカプセル化できることを実証する。
【0126】
【表5】