(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも部分的に円錐形の管状壁と、前記管状壁にその内部の底端の領域内で実質的に液密態様で結合されている底壁とにより形成された充填可能な内部を含む紙材料のカップであって、内部を境界付ける管状壁が少なくとも一つの周囲変形体を含むものにおいて、前記少なくとも一つの周囲変形体の領域内に前記周囲変形体を安定化する目的のための補強材が設けられていること、及び前記補強材が、前記管状壁に付与された接着剤すみ肉の形態であることを特徴とするカップ。
前記周囲変形体が、複数の同じタイプのカップからなる積み重ね体において前記カップを支持するための手段の形態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のカップ。
前記底壁と前記管状壁が前記液密結合の領域内に周縁枠を形成し、前記周囲変形体が、複数の同じタイプのカップの積み重ね状態の前記カップの前記周縁枠を支持するための手段の形態であることを特徴とする請求項4に記載のカップ。
前記カップが、前記管状壁を少なくとも部分的に取り囲む外部套管を持ち、前記周囲変形体が、複数の同じタイプのカップの積み重ね状態の前記カップの前記外部套管を支持するための手段の形態であることを特徴とする請求項4に記載のカップ。
前記周囲変形体が、前記カップの開放端からその底壁に向かって見たとき、前記カップの内部の少なくとも部分的な断面収縮部を形成し、前記補強材が前記断面収縮部の直ぐ下流に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカップ。
紙材料のカップの製造方法において、円錐形管状壁を実質的に液密態様でカップの底壁に結合し、管状壁内に少なくとも一つの周囲変形体を組み込み、そして少なくとも一つの周囲変形体を安定化するために少なくとも一つの周囲変形体の領域内に補強材を設けること、及び前記補強材が、前記管状壁に付与された接着剤すみ肉の形態であることを特徴とする方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、紙材料から作られた改善されたカップ、及び紙材料から作られたカップの改善された製造方法を提供することである。
【0006】
本発明によれば、紙材料から作られた特定のカップがこの目的のために提供され、このカップは、少なくとも部分的に円錐形の管状壁とこの管状壁にこのカップの内部の底端で管状壁に実質的に液密態様で結合されている底壁とを含む充填可能内部を持ち、内部を境界付けるこの管状壁は少なくとも一つの周囲変形体を含み、この周囲変形体を安定化するための補強材がこの少なくとも一つの周囲変形体の領域内に配置されている。
【0007】
驚くべきことに、周囲変形体の領域内の補強材は紙材料から作られたカップの性能特性を実質的に改善することができることが観察された。即ち、種々の目的のためにカップ上に設けられることができるこれらの変形体がそれら自身、負荷下にそれらがもはやそれらのために意図された仕事を実施することができないような、すなわち積み重ねられる複数のカップが信頼性をもって積み重ねられることを可能にするようなまたは外部套管と管状壁の間の距離を維持するような、範囲まで変形されることができることが確立された。驚くべきことに、周囲変形体の変形は、紙材料から作られたカップ上に実際に作用する過剰な力が事実上なくても起こる。例えば複数の紙カップを含む積み重ね体において、下方のカップ上に作用するのは各上方カップの重量のみである。補強材を設けることにより、周囲変形体の形状は負荷下でさえ実質的に変えられないか、または周囲変形体の形状は周囲変形体が意図した仕事をなお実施することができるような範囲にまでのみ変えられることが確実にされることができる。
【0008】
本発明の一展開において、補強材は、管状壁に付与された被覆の形態である。
【0009】
例えば、この補強材は、特に周囲変形体の領域内のそのある部分の管状壁の周囲上に噴霧されるプラスチック材料の被覆の形態であることができる。紙カップが作られている紙材料は通常、例えば液体と接触させられる内表面上をプラスチック材料で被覆される。次いで追加の被覆が、周囲変形体を安定化するためにその製造に続いて周囲変形体の領域に付与されることができる。
【0010】
本発明の一展開において、補強材は、管状壁に付与された接着剤すみ肉の形態である。
【0011】
驚くべきことに、管状壁上の周囲変形体の非常に実質的な補強が接着剤すみ肉の簡単な付与により達成されることができることが観察された。接着剤すみ肉の付与は特に簡単である、なぜならカップの底壁及び管状壁及び所望により外部套管はどのような場合であっても互いに接着剤により結合されるからである。従って、接着剤すみ肉の周囲変形体の領域内の追加の付与はカップの製造のための通常の装置に含まれるもの以外の装置を必要としない。本発明の目的のために、用語「接着剤」はグルー(のり)、ホットメルト接着剤、可塑性接着剤等を言う。
【0012】
本発明の一展開において、周囲変形体を安定化するための接着剤すみ肉は、管状壁の全周にわたって付与される。
【0013】
この方法では、周囲変形体は管状壁の全周にわたって簡単に安定化されることができ、接着剤すみ肉はまた、問題を起こすことなく付与されることができる。なぜなら例えばカップの底壁を管状壁にカップの全周に結合するとき、どのような場合であっても液密連結を確立することが必要であるからである。有利には、接着剤すみ肉は管状壁の全周に一定レベルで配置される。周囲変形体のタイプ及び使用される接着剤のタイプに依存して、接着剤すみ肉がカップの内部からは遠い管状壁の側に配置されるときに有利でありうる。この方法では、接着剤すみ肉は二重壁断熱カップで視野から完全に隠されることができる。なぜなら接着剤すみ肉はカップの完成状態で断熱外部套管と液体を収容する管状壁の間に位置されるからである。
【0014】
本発明の一展開において、接着剤すみ肉により管状壁及び/または底壁に結合される外部套管が提供される。
【0015】
二重壁断熱カップは、実際のカップの上でスライドされることができるかまたはその周りに置かれることができる外部套管を含む。周囲変形体を安定化するための接着剤すみ肉は同時に、外部套管を例えばその底端でカップの管状壁にまたは底壁に結合するために使用されることができる。この方法では、付与された接着剤は、二重機能、すなわち一方では周囲変形体を安定化する機能と、外部套管をしっかりと取り付ける機能とを果たすことができる。
【0016】
本発明の一展開において、補強材は別個の補強要素、特に補強リングの形態である。
【0017】
周囲変形体は別個の補強要素の設置により管状壁上で安定化されることができる。有利には、補強要素は、補強を必要とする周囲変形体のその領域に釣り合うように構成されている。補強要素は例えばプラスチック材料から作られることができ、例えばプラスチック材料のリングの形態であることができる。かかるタイプのリングは、管状壁の外部表面上をスライドされることができ、またはこれに代えてカップの内部中に挿入され、かつ周囲変形体の領域内に固定されることができる。補強要素がカップの内部に置かれるとき、この補強要素はまた、補強要素がカップの開放端の領域内に配置されるという条件で、蓋または充填口を含む要素のようなカップの一部を直接形成しない追加の要素を取り付けるために使用されることができる。例えば、周囲変形体の領域内の内部カップ周りにリングを形成するために配置されかつ内部カップに追加的にのり付けされる断熱外部套管の部分はまた、別個の補強要素として役立つことができる。
【0018】
本発明の一展開において、周囲変形体は、複数の同様なタイプのカップの積み重ね状態でカップを支持するための手段の形態である。
【0019】
例えば、周囲変形体は、カップの内部中に延びる凹入かかと形状の肩または略半円形断面を持つ溝の形態である。
【0020】
本発明の一展開において、底壁と管状壁は液密結合の領域内に周縁枠を形成し、周囲変形体は、複数のカップの積み重ね状態の同様なタイプの別のカップの周縁枠を支持するための手段の形態である。
【0021】
周囲変形体の領域内の補強材の設置は、周囲変形体のかかる実施態様において、すなわち別のカップの周縁枠のための支持体の形態の周囲変形体において特に有利であると証明された。周囲変形体は接着剤すみ肉の付与により非常に簡単に補強されることができ、驚くべきことに、周囲変形体は、補強材を備えたときに非常に大きな積み重ね負荷であっても耐えることができることが見出された。本発明のカップにおいて、複数のカップが非常に多くの数のカップを含む積み重ね体においてであっても互いの中で動かなくなるおそれがない。
【0022】
本発明の一展開において、カップは、管状壁を少なくとも部分的に取り囲む外部套管を含み、周囲変形体は、複数のカップの積み重ね状態の同様なタイプのカップの外部套管を支持するための手段の形態である。
【0023】
例えば、カップは、管状壁上に配置された周囲変形体によりかつ外部套管の周縁枠により積み重ねされる。この場合においてもまた、周囲変形体の領域内の補強材はかかるカップの積み重ね性を実質的に改善することができる。
【0024】
本発明の一展開において、周囲変形体はカップの開放端から底壁の方向に見たとき、内部の断面において少なくともある領域に、収縮部を示し、補強材は収縮した断面の領域の直ぐ下流に配置されている。
【0025】
この方法において、特に周囲変形体が複数のカップを積み重ねるときに同様なタイプのカップを支持するための手段の形態で設けられるとき、補強材は、周囲変形体が負荷状態でその形状を失うことを防ぎ、従って積み重ねカップが互いの中で動かなくなることが起こるのを防ぐことができる。収縮した断面の領域の直ぐ下流に配置されている補強材の結果として、周囲変形体は、せいぜい積み重ね上方カップが収縮した断面の領域の上に位置されている下にあるカップの管状壁の部分を外向きに押圧するような方法で変形されるであろうが、積み重ね上方カップは、収縮した断面を持つ下にあるカップの領域の下に下向きにスライドしないであろうし、それはそうでなければ積み重ねられたカップが互いの内側で動かなくなることを必然的に起こすであろう。
【0026】
本発明の一展開において、補強材は、管状壁のその内部から遠い外部表面上の断面の減少を形成する周囲変形体の部分にもたれかかる。
【0027】
この方法では、接着剤すみ肉、別個の補強要素、または被覆の形態で付与された補強材は、複数のカップの積み重ね状態で最大の変形力にさらされる領域でカップの管状壁が正確に補強されることを可能にする。
【0028】
本発明の目的はまた、紙材料から作られたカップの製造方法により達成され、その方法は次の工程を含む:
− 円錐状または円筒状管状壁をカップの底壁に実質的に液密態様で結合する、
− 少なくとも一つの周囲変形体を管状壁に組み込む、そして
− 少なくとも一つの周囲変形体の領域内に少なくとも一つの周囲変形体を安定化するための補強材を設ける。
【0029】
本発明の方法は、管状壁に配置された周囲変形体が非常に簡単な態様で補強されることを可能にする。補強材を設ける目的のためには、カップの紙材料に追加の材料を付与することが必要なだけである。プラスチック材料の射出成形カップと異なり、紙カップ上に補強材を設けることは極めて問題である。これらの紙カップは、もちろん、連続した実質的に一定の材料厚さを持つ。本発明は、この問題を、管状壁への周囲変形体の生成に続いて補強材が少なくとも一つの周囲変形体の領域内に設けられることで解決する。
【0030】
本発明の一展開において、補強材は、カップの内部から遠い管状壁の外部表面上に設けられる。
【0031】
この方法では、液体と接触させられるカップの内部は補強材の付与により影響を受けないままであり、従ってもし必要であるなら、補強材は例えば液体と長時間接触させられるべきでない材料から構成されることができる。
【0032】
本発明の一展開において、接着剤すみ肉は少なくとも一つの周囲変形体を安定化するために周囲変形体の領域内に付与される。
【0033】
特に効果的かつ特に簡単な補強材は接着剤すみ肉の付与により達成されることができる。一般に、管状壁を底壁に結合するために、管状壁を形成するための紙素材から円錐形要素の作成のために、及び外部套管を取り付けるために、いずれの場合でも接着剤の付与は必要である。従って、本発明の方法は、周囲変形体を安定化するために周囲変形体の領域内への追加の接着剤すみ内の付与のために紙カップの製造のための通常の装置を使用することを可能にする。
【0034】
カップの積み重ね及び積み重ね解除の特性は本発明により実質的に改善される。特に、従来技術より実質的に多くのカップを積み重ねることが可能であり、これらは多数の積み重ねカップを含む積み重ね体が不意に落下したときまたは例えばカップマガジンを装填するときに起こりうるような何らかの他の方法で積み重ねられたカップ上に大きな軸方向推力が作用するときであっても互いの中で動かなくなることはない。
【0035】
周囲変形体の付与のためにカップが変形されかつその円形形状を失うかもしれないが、これは同様に本発明により防がれる。
【0036】
本発明によれば、周囲変形体は、被覆、好ましくはこの分野で慣習的に使用されるホットメルト接着剤の意図された付与により強化される。さらに、カップの管状壁の周囲変形体は、例えばリングの形態のものであり、好ましくは既に周囲変形体の形状を持つ要素により強化されることができる。このタイプの要素は好ましくはプラスチック材料または紙から作られる。カップの管状壁にこのリングが取り付けられる場所は、このリングがカップの管状壁の内側または外側に位置するか否かの問題に関してこの文脈では重要ではない。
【0037】
EP1227042B1に開示されたカップの欠点は、カップを積み重ねるときに発生する力がカップの内部を境界付ける管状壁によりかつ外部套管により吸収されることである。第一支持手段から誘導されかつ第二支持手段によりカップの内側に吸収されなければならない力は、最初内部管状壁と外部套管の間の結合部のそばの内部を境界付ける管状壁により吸収され、次いで外部套管のそばのこの結合部により吸収される。外部套管では、力は次いで内巻体の形態である第二支持手段により吸収され、この点で次のカップにより吸収される。結果として、管状壁と外部套管はともに、もたらされた力に抵抗するのに十分な強さであるように構成されなければならない。さらに、外部套管と管状壁の間の結合部はまた、発生する最大力に耐えるように設計されなければならない。
【0038】
EP1227042B1に開示されたカップの設計の自由度は不利に制限される。なぜなら外部套管に取り付けられた第二支持手段は常に、同様なタイプの別のカップを支持するために第一手段の寸法に釣り合わなければならずかつ関連する力を吸収できなければならないからである。任意の形状を持つ外部套管を設けることまたはその形状を望みのように変えることは不可能である。さらに、カップの効果的な積み重ね性を失うことなく、もし必要なら外部套管を省くことも不可能である。
【0039】
積み重ね可能なカップは次の工程を含む方法により作られることが好ましい:
− 内部を境界付ける管状壁上に同様なタイプの別のカップを支持するための少なくとも第一手段を造形する;
− 周縁枠上に第二支持手段を造形する、但しこの第二支持手段は、カップが積み重ねられるとき、同様なタイプの別のカップに取り付けられた第一支持手段と共働することができる。
【0040】
第二支持手段は、内部を境界付ける管状壁上にまたは底壁上にまたは内部を境界付ける管状壁を底壁に結合する結合部上に配置される。いずれの場合でも、第二支持手段は、充填可能な内部と接触状態にあるカップの要素に取り付けられる。
【0041】
本発明のカップの利点は、それがしっかりしたかつ安定な態様で外部套管を持ってまたは持たずに積み重ねられることができ、かつまたカップが互いの内側で動かなくならずに積み重ねを解くことができ、かつカップに断熱外部套管を提供することができることである。
【0042】
内部を境界付ける管状壁及び底壁はいずれの場合でも、カップを積み重ねるときに発生する力に抵抗するのに十分な強さである。なぜならそれらはまた、カップを満たすときに発生する力に抵抗することが要求されるからである。
【0043】
複数のカップを積み重ねるときにそれらが互いの中で動かなくなるのを防ぐために、第二支持手段の寸法が同様なタイプの別のカップを支持するための第一手段の寸法に釣り合うときに有利である。同様なタイプの別のカップを支持するための第一手段は実際には任意に造形されることができる。重要な因子は、第一手段がカップの軸方向に作用する力、すなわち積み重ね工程時に二つのカップ間に作用する力、に抵抗することができる形状を持つべきであることである。第一支持手段は、カップの内部を境界付ける管状壁の少なくともカップの周囲周りの領域内に作られたビードまたは溝の形態のものであることが好ましい。ビードまたは溝は、カップの周囲周りに連続的にまたは断続的に延びるように造形されることができる。
【0044】
本発明の一実施態様において、断熱外部套管はカップのために設けられ、その断熱外部套管の設計はそれ自体任意である。例えば、外部套管はプラスチック材料、紙、または複合材料から作られることができる。断熱性を改善するために、外部套管は波形、うね形、またはエンボス加工されることができ、またはそれは発泡層を備えることができる。外部套管はこれに代えて多層要素の形態であることができる。例えば、それは、波形中間層と平坦接触した外部層により覆われた波形中間層を含むことができる。本発明のカップが外部套管に関係なく積み重ねられることができるという事実のおかげで、一つの同じ内部カップを簡単かつ殆ど任意な態様で種々様々な外部套管と組み合わせることができる。内部カップ及び充填可能な内部を形成する要素の形状及び寸法を変えることなしに、可変性の光学的及び触感的性質を持つ種々のカップを作ることができる。なぜなら使用者により印象づけられるカップの外観は主として外部套管の設計により決められるからである。
【0045】
さらに、
図3a,3b及び3dで示された外部套管の底部の内巻端はまた、周囲変形体のための追加の補強要素として使用されることができる。
【0046】
さらに、好ましくはプラスチック材料から作られたリングは、本発明によれば周囲変形体を補強するために設けられる。
【0047】
このリングは、支持体を必要とする周囲変形体の領域の形状を持つことができる。さらに、周囲変形体自身は、本発明によればリングの助けにより作られることができ、このリングはカップの管状壁中に押圧される。
【0048】
リングは、リングがカップの管状壁中に押圧されるときに発生する力がリングを永久的に固定するのに十分でない場合には好ましくはカップの管状壁にのり付けされるべきである。
【0049】
本発明の追加の特徴及び利点は、請求項中にかつ図面に関する本発明の好適な実施態様の以下の説明中に示される。示された種々の実施態様の個々の特徴は、必要により本発明の範囲を越えることなく組み合わされることができる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、内部カップ12及び外部套管14を含む二重壁断熱カップ10を示す。内部カップ12は実質的に円錐形の管状壁16及び底壁18からなり、管状壁16と底壁18は互いに液密態様で結合されて周縁枠20を形成する。周縁枠20は管状壁16のU形状折りたたみにより形成され、その中にポット形状の底壁18の略直角縁が挿入されている。前記縁の挿入の後、周縁枠20は、管状壁16を底壁18にのり付け、押圧、及び/または封止することにより完成される。
【0058】
外部套管14はケーシングのようにスライドされ、それは同様に円錐形状を持つ。外部套管14の底端は下部ビード22の形態をしている。外部套管14の下部ビード22は底壁18の水平部の下の内部カップ12によりかかる。外部套管14の上端は、カップ10の上端を形成する口部ビード24に隣接するように内部カップ12によりかかる。
【0059】
内部カップの内部中に延びるかかと形状の肩26の形態の周囲変形体は、内部カップ12の内部の垂直寸法のほぼ1/4のレベルで内部カップ12の管状壁16上に設けられている。肩26は、口部ビード24により規定されたカップ10の開放端から底壁18に向けて見たときに内部の直径の急な減少により形成され、そこでは管状壁16はカップの縦中心軸28に向けてほぼ水平に曲げられている。管状壁16は次いでその一部に渡って縦中心軸28に平行に延び、再びカップ10の底端に下向きに達する最終部分に渡って円錐形状をとる。肩26はこのようにしてカップ10の内部中に突出する。肩26の形態の周囲変形体を安定化するために、管状壁16の外部表面上の肩26のほぼ水平部分の下に配置された接着剤ビードまたは接着剤すみ肉30が設けられる。従って、接着剤すみ肉30はカップ10の内部中に満たされた液体と接触しない。
図1に見ることができるように、接着剤すみ肉30は、管状壁16のその内部から遠い外部表面上のかかと形状の肩26により形成されたほぼ直角のくぼみ中に導入される。
【0060】
肩26は、多数のカップが一緒に積み重ねられるときに同様のタイプのカップを支持するための手段として設けられる。特に、二つのカップが積み重ねられるときに同様なタイプの別のカップの下部ビード22が肩26の上に支持される。接着剤すみ肉30は、重い負荷の場合でさえ肩26の形態の周囲変形体を補強する。接着剤すみ肉はまた、多数のカップが一緒に積み重ねられるときまたはカップの積み重ね体が不意に下に落とされるときにカップが互いの内側で動かなくなるのを防ぐ。
【0061】
図2は、本発明の第二好適実施態様による二つの積み重ねられたカップ32a,32bの縦断面を示す。カップ32a,32bは互いに積み重ねられ、それぞれ一重壁カップの形態である。しかし、両カップ32a,32bが
図1に示された外部套管の態様の断熱外部套管を備えることも容易に可能である。なぜなら積み重ね状態の二つのカップ32a,32b間に再び十分な空間があるからである。
【0062】
図2に見ることができるように、カップ32a,32bの管状壁34は、その下半分の領域内に、内部中に突出するかかと形状肩の形態の周囲変形体36を備えている。管状壁34と各カップ32a,32bの底壁38は、互いに液密態様で結合されて周縁枠40を形成する。周縁枠40は、截頭円錐形を形成するように外向きに広がっている。二つのカップ32a,32bの積み重ね状態では、カップの底縁、従って周縁枠40の下方自由端は周囲変形体36上に載る。この周囲変形体36を補強するために、接着剤すみ肉42は、周囲変形体36により形成されたくぼみの領域内の管状壁34の外部表面に付与される。接着剤すみ肉42は管状壁34の全周周りに付与される。接着剤すみ肉42は、下方カップのかかと形状周囲変形体36が、強い圧力が上方カップ32aに付与されるときにおそらく変形されることができるという意味で周囲変形体36を補強するが、下方カップはいずれにしても周囲変形体36の領域内でふくらむこと及び上方カップ32aをそのときさらに下方カップ32b中に下にスライドさせることを防止するであろう。むしろ、肩形状の周囲変形体36は、せいぜい上方カップ32aの周縁枠が載る部分が水平に曲がるような方法で変形されるであろう。二つのカップ32a,32bが互いの内側で動かなくなるおそれはない。
【0063】
周囲変形体36は肩の形態であり、従ってそれは管状壁34の断面の減少を示す。従って、収縮部36はカップの中心軸28に向けて作用する力、すなわちカップ32a,32bが積み重ねられるときに作用する力を吸収することができる。収縮部36は肩の形態であり、それはカップの内部中に延びる。管状壁34がカップの内部を境界付ける周縁枠40は、ポット形状の深絞り加工された底壁周りに折り曲げられ、周縁枠40に対して管状壁34が液密態様で封止され、外向きに膨張され、従って同様なタイプのカップを支持するための手段を示し、周縁枠40は二つのカップが積み重ねられるときに肩形状の収縮部36と共働する。
【0064】
図3aは、本発明のさらなる実施態様による二つの積み重ねられたカップ46a,46bの縦断面の部分図を示す。カップ46a,46bの内部カップ48はそれぞれ、内部中に突出する肩50の形態の周囲変形体を備えている。肩50を安定化するための接着剤すみ肉52は、肩50により形成されたくぼみ内の管状壁48の外部表面上に設けられる。カップ46a,46bの外部套管54はその下方領域で180°折り曲げられ、折り曲げられた自由端は次いで内部カップに向けて曲げられて接着剤すみ肉52によりかかる。この方法では、接着剤すみ肉52は二重機能を果たすことができ、そこではそれは肩50を安定化するだけでなく、外部套管54が内部カップの管状壁48にしっかりと結合されることを確実にする。示された実施態様では、外部套管54は底壁の下の管状壁によりかかり、その折り曲げられた端部を介して接着剤すみ肉52によりかかる。
【0065】
図3bは、本発明のさらなる実施態様による本発明の二つの積み重ねられたカップ56a,56bの縦断面の部分図を示す。これは、各カップの外部套管58の折り曲げが異なる形状をしていることのみが
図3aに示されたカップ46a,46bと異なる。外部套管58の底端は180°折り曲げられており、この折り曲げは平坦ではないが、代わりに小さな直径周りにふくらんでいる。折り曲げられた自由端は次いで再び内部カップに向けて曲げられて接着剤すみ肉52によりかかる。
【0066】
図3cは、本発明の二つの積み重ねられたカップ60a,60bの縦断面の部分図を示す。カップ60a,60bは、単にそれぞれの外部套管62の底端の形状の点で
図3aと3bに示されたものと異なる。外部套管62はその底端で折り曲げられ、わずかに内側に向けて曲げられ、従って外部套管の底端はカップ60a,60bの底壁の下で周縁枠によりかかり、それにより管状壁と底壁は互いに対して液密態様で結合される。外部套管62の底端の折り曲げられた部分は平坦であり、従って折り曲げられた部分はまた、その全表面で外部套管の内部表面によりかかる。
【0067】
図3dは、本発明の二つの更なるカップ64a,64bの縦断面を示す。カップ64a,64bは、単に外部套管66の下方端の形状の点で
図3aから3cに示されたものと異なる。外部套管66はその底端でわずかに180°未満だけ折り曲げられ、従って外部套管の折り曲げられた部分はカップ64a,64bの管状壁の外部表面に平坦によりかかる。従って、外部套管66の折り曲げられた部分68は周囲変形体70の下で管状壁の外部表面上に載る。折り曲げられた部分68の端部は周囲変形体70まで延び、折り曲げられた部分68の上縁は接着剤すみ肉72によりかかる。外部套管66を折り曲げることにより、追加の別個の補強がこのようにして達成され、それにより収縮部70、及び収縮部と底壁間に位置されるカップのその部分73が補強されることができる。
【0068】
図4は、本発明のさらなるカップ74の縦断面の部分図を示す。カップ74は管状壁76及び断熱外部套管78を含む内部カップを含む。管状壁76は口部ビード80の下に周囲変形体82を備えており、周囲変形体82は、カップ74の内部から外向きに離れるように延びるビードまたは溝の形態である。周囲変形体82は、外部套管78と管状壁76の間の正確に規定された距離を確保する役目をし、このようにして満足な断熱性を提供する。周囲変形体82は、
図4に示されたような周囲変形体82の下に配置された接着剤すみ肉84により補強され、周囲変形体82の底部分に隣接する。図から見ることができるように、接着剤すみ肉84は、一方では周囲変形体82を安定化し、同時に他方で外部套管78を管状壁76に結合する。
【0069】
図5は、本発明のさらなる実施態様による本発明の別のカップ86を示す。カップ86は、下向きに広がった周縁枠の領域内で液密態様で互いに結合された管状壁88と底壁90を含む内部カップを含む。さらに、カップ86は、底壁90の水平方向に延びる部分の下で管状壁88によりかかる断熱外部套管92を含む。外部套管92の底端はカップ86を積み重ねるために使用され、そこでは外部套管92の底端が二つのカップの積み重ね状態の管状壁88のビード形状のまたは溝形状の周囲変形体94によりかかる。周囲変形体94は略半円または円の弧の形態であり、それはカップ86の内部中に延びる。周囲変形体94は、例えば管状壁の周囲周りに動くローラーにより形成される。周囲変形体94を安定化するために、管状壁88の外部表面上の周囲変形体94により形成されたへこみは接着剤すみ肉96により満たされる。接着剤すみ肉96はこのようにして周囲変形体94を安定化し、従って外部套管は、カップが積み重ねられるときに周囲変形体94を越えてスライドできない。この方法では、幾つかのカップが互いの内側で動かなくなるおそれなしに積み重ねられることができる。
【0070】
図6は、部分縦断面で本発明のさらなるカップ98を示す。カップ98は、互いに液密態様で結合されて広がった周縁枠104を形成した管状壁100と底壁102を含む内部カップを含む。底壁102は全体として逆ポットの形態であり、その折り曲げられた縁は、円周周縁枠104が形成されるように管状壁100のU形状折り曲げ中に挿入される。枠104は円錐形であり、それはカップの底端に向けて広がっている。管状壁100は凹角の肩106の形態の周囲変形体を備えており、それはカップ98の内径を急に減少する。複数のカップの積み重ね状態では、周縁枠104の下端は肩106上にもたれかかる。
【0071】
肩106を安定化するために、プラスチック材料から作られた補強リング108が肩106の下に設けられ、この補強リング108は管状壁100の外表面上をスライドされて肩106の下側に立てかけられる。補強リング108はカップ98の完成状態では管状壁100上に残る。補強リング108が適所にスライドされた後に、断熱外部套管110は内部カップ上にスライドされ、それに取り付けられることができる。
【0072】
図7aは、管状壁114及び底壁116を備えている本発明のさらなるカップ112を示す。管状壁114は、カップ112の内部中に突出する溝形状の周囲変形体118を備えている。周囲変形体118を安定化するために、プラスチックリング120が設けられており、それはカップ112の内部中に上部から挿入されて周囲変形体118の上部にもたれかかる。プラスチックリング120は、例えば複数のカップを積み重ね可能にするために使用されることができる。プラスチックリング120はまた、例えばクリップで留める蓋、のり付けされた膜、または充填口を含む円盤のような、カップの直接的な部品でない追加の要素を収容するために使用されることができる。
【0073】
図7bは、本発明のさらなるカップ122を示す。
図7aに示されたカップ112とは異なり、カップ122は凹角の肩124の形態の周囲変形体を備えている。カップの管状壁126は、底壁128のすぐ上で円錐形状を再び取るために肩124の下でカップの中心軸に実質的に平行に延びる。プラスチックリング130はカップの内部中に挿入され、このプラスチックリング130は、肩124にもたれかかり、従ってそれを補強する周囲凹角かかと状物を備えている。補強リング130は、必須ではないが、管状壁126にのり付けされることができる。肩124の上の管状壁126の円錐形状の結果として、補強リング130はまた、接着剤の使用なしに、カップ122上にしっかりと保持されることができる。補強リング130は複数のカップをしっかりと積み重ねるために使用されることができるが、例えば膜、蓋などを収容するために使用されることもできる。
【0074】
外部套管、及び周囲変形体のようなカップの他の造形手段の種々の設計が必要に応じて互いに任意に組み合わされることができ、示された変形例に限定されないことが特別に述べられる。さらに、図は縮尺通りに描かれていないことに注意するべきである。