(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の冷却コイルの各々は、前記製造装置の冷却軸に沿って延在する対応する横幅を有し、該複数の冷却コイルの少なくとも1つの横幅が、該複数の冷却コイルの別のものの横幅より広い、請求項1から4いずれか1項記載の製造装置。
各冷却コイルが、前記冷却軸に沿って一列の冷却区域を形成するために互いに整列された複数の冷却区域の関連する1つを形成するように、前記冷却コイルを作動させる工程をさらに含む、請求項6記載の方法。
前記ガラスリボンの幅に沿った様々な位置で該ガラスリボンの温度を検出する工程、および検出された温度に基づいて前記複数の冷却コイルを選択的に作動させる工程をさらに含む、請求項6から8いずれか1項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の例示の実施の形態が示されている添付図面を参照して、方法を以下により詳しく説明する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部品を参照するために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。しかしながら、本開示は、多くの様々な形態で具体化してよく、ここに述べられた実施の形態に制限されるものと解釈すべきではない。
【0009】
後にガラス板に加工するためのガラスリボンを形成するための装置を提供できる。
図1は、フュージョンドロー装置101を図解しているが、さらに別の実例において、本開示の態様にアップドロー法、スロットドロー法または他のガラス成形技法を使用してもよい。そのようなフュージョンドロー技法について、本開示は、プロセス安定性を提供し、品質性能を促進するために、粘度曲線および温度冷却曲線の制御を提供する。例えば、成形容器の下での適切な冷却は、リボンの波状たるみ、すなわち、自重での不均一に、のように制御不能にリボンが変形する傾向を最小にするのに十分な冷却と十分に高い粘度をガラスリボンに提供するのに役立つ。成形容器の下での適切な冷却は、厚さを安定化させ、形状を制御するのに役立ち得る。さらに、適切な冷却は、最終的なガラスの平坦さ、応力、形状が制御される粘弾性領域へのガラスの適切な移行および状態調節を与えるのに役立つことができる。
【0010】
図示されるように、フュージョンドロー装置101は、貯蔵容器109からバッチ材料107を受け入れるように構成された溶融容器105を備えることができる。バッチ材料107は、モータ113で動くバッチ供給装置111により導入できる。随意的な制御装置115は、矢印117により示されるように、所望の量のバッチ材料107を溶融容器105中に導入するためにモータ113を稼働させるように構成できる。直立管123内のガラス溶融物121のレベルを測定し、通信回線125によって測定情報を制御装置115に通信するために、金属プローブ119を使用することができる。
【0011】
フュージョンドロー装置101は、溶融容器105の下流に位置し、第1の接続管129により溶融容器105に接続された、清澄管などの清澄容器127も備えることができる。撹拌槽などの混合容器131も清澄容器127の下流に位置して差し支えなく、供給容器133が混合容器131の下流に位置してよい。図示したように、第2の接続管135が清澄容器127を混合容器131に接続でき、第3の接続管137が混合容器131を供給容器133に接続できる。さらに示されるように、降下管139が、供給容器133からガラス溶融物121をフュージョンドロー設備140に供給するために配置することができる。フュージョンドロー設備140は、降下管139からガラス溶融物を受け入れるために入口141が設けられた成形容器143を備えることができる。
【0012】
図示されるように、溶融容器105、清澄容器127、混合容器131、供給容器133、および成形容器143は、フュージョンドロー装置101に沿って直列に配置できるガラス溶融物ステーションの例である。
【0013】
溶融容器105は、一般に、耐火(例えば、セラミック)レンガなどの耐火材料から製造されている。フュージョンドロー装置101は、白金・ロジウム、白金・イリジウムおよびそれらの組合せなどの白金または白金含有金属から一般に製造された構成部材をさらに備えてもよく、それらの構成部材は、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、およびその合金などの耐火金属および/または二酸化ジルコニウムを含んでもよい。白金含有構成部材は、第1の接続管129、清澄容器127(例えば、清澄管)、第2の接続管135、直立管123、混合容器131(例えば、混合槽)、第3の接続管137、供給容器133(例えば、ボウル)、降下管139および入口141の1つ以上を含んでも差し支えない。成形容器143も、耐火材料から製造されており、ガラスリボン103を形成するように設計されている。
【0014】
図2は、
図1の線2−2に沿ったフュージョンドロー装置101の断面斜視図である。図示されるように、成形容器143は、成形ウェッジ201の反対の端部の間に延在する一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205を含む成形ウェッジ201を含む。一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205は板引方向207に沿って収束して基部209を形成する。板引面211は基部209を通って延在し、ここで、ガラスリボン103は板引面211に沿って板引方向207に引っ張ることができる。図示したように、板引面211は基部209を二等分できるが、板引面211は、基部209に関して他の向きに延在してもよい。
【0015】
ガラスリボンをフュージョンドローするためのフュージョンドロー装置101は、リボンが成形ウェッジ201の基部209から離れて引っ張られるときに、ガラスリボン103の対応する縁103a,103bを係合させるように構成された一対のエッジ・ローラを含む少なくとも1つのエッジ・ローラ・アセンブリも備えることができる。この一対のエッジ・ローラは、ガラスリボンの縁の適切な仕上げを促進させる。エッジ・ローラ仕上げは、一対の下方に傾斜した成形表面部分203,205に関連するエッジ方向付け部材212の反対の表面から引っ張られている溶融ガラスの縁部分の所望の縁特徴および適切な融合を与える。
図2に示されるように、第1のエッジ・ローラ・アセンブリ213aは第1の縁103aに関連付けられている。
図3は、ガラスリボン103の第2のエッジ103bに関連付けられた第2のエッジ・ローラ・アセンブリ213bを示している。各エッジ・ローラ・アセンブリ213a,213bは、互いに実質的に同一であって差し支えないが、一対のエッジ・ローラは、さらに別の例において、異なる特徴を有してもよい。
【0016】
図3に示されるように、フュージョンドロー装置101は、板引面211の板引方向207におけるガラスリボン103の引っ張りを促進するために各それぞれの縁103a,103bのために第1と第2の牽引ロール・アセンブリ301a,310bをさらに備えることができる。
【0017】
フュージョンドロー装置101は、ガラスリボン103を別個のガラス板305に切断できる切断装置303をさらに備えることができる。これらのガラス板305は、液晶ディスプレイ(LCD)などの様々なディスプレイ装置に組み込むために個々のガラス板に再分割してもよい。切断装置は、レーザ装置、機械式罫書き装置、移動式アンビル装置および/またはガラスリボン103を別個のガラス板305に切断するように構成された他の装置を備えてもよい。
【0018】
図2を参照すると、一例において、ガラス溶融物121は成形容器143のトラフ215中に流れ込むことができる。次いで、ガラス溶融物121は対応する堰217a,217bから同時に溢れ出て、その対応する堰217a,217bの外面219a,219b上を下方に流れることができる。次いで、ガラス溶融物のそれぞれ流れは、下方に傾斜した成形表面部分203,205に沿って成形容器143の基部209に収束する。次いで、ガラスリボン103は、板引面211において基部209から離れて板引方向207に引っ張られる。
【0019】
図3に戻ると、ガラスリボン103は、板引面211の板引方向207に基部209より、粘性区域307から固化区域309へと引っ張られる。固化区域309において、ガラスリボン103は、粘性状態から、所望の断面プロファイルを有する弾性状態へと固化する。次いで、ガラスリボンは固化区域309から弾性区域311へと引っ張られる。弾性区域311において、粘性区域307からのガラスリボンのプロファイルは、ガラスリボンの特徴として固定される。固化したリボンをこの配置から離れるように曲げてもよいが、内部応力により、ガラスリボンは元の固化プロファイルに戻り得る。
【0020】
ガラスリボンを製造するための装置のいずれも、冷却軸に沿ってガラスリボンの横温度プロファイルを制御するように構成された冷却装置を備えることができる。例えば、フュージョンドロー装置101は、冷却装置を含むものとして図解されている。
図4は、本開示の態様による1つの例示の冷却装置401を示しているが、さらに別の例において、他の冷却装置の構成を設けてもよい。冷却装置401は、例えば、
図1〜3に図解されたフュージョンドロー設備140の一部であってよい。冷却装置401の詳細は、明確にするために、
図1〜3には示されていないが、例示の冷却装置401の態様は、
図4〜7により十分に示されている。
【0021】
図4〜7は、図示されたフュージョンドロー装置101を構成してよいガラスリボンを製造する例示の装置を示しているが、本開示の態様による冷却装置を、アップドロー装置または他のガラス成形装置に設けてもよい。
図4〜6に示されるように、図示された冷却装置401は、フュージョンドロー装置101の冷却軸405aに沿って位置する複数の冷却コイル403a〜eを備えることができる。図示されたように、冷却軸405aは、板引方向207に対して、実質的に垂直などの、横に延在するように設計できる。例えば、
図3に示されるように、冷却軸405aは、ガラスリボン103が粘性状態から弾性状態へと移行し始める固化区域309の上部に位置している間、板引方向207に対して実質的に垂直であって差し支えない。
図4に示されるように、そのような位置で、フュージョンドロー設備140の構造を保護するために、熱シールド406が設けられていてもよい。熱シールド406はSiC材料からなって差し支えないが、さらに別の例において、さらに他の材料を使用してもよい。
【0022】
その上、または代わりに、
図3および4に示されるように、冷却軸405bが、ガラスリボン103が粘性状態から弾性状態への移行を終わらせる固化区域309の下部に位置してもよい。さらにまた、
図3に示されるように、冷却軸405cが、ガラスリボンが弾性状態に完全に固化した弾性区域311に位置してもよい。実際に、冷却軸は、成形容器143から移動するガラスリボンの様々な位置に位置付けられていても差し支えないことが認識されよう。例えば、図示された例において、冷却軸は、成形ウェッジ201の基部209と切断装置303との間のガラスリボンの様々な代わりの位置に位置付けられていてもよい。
【0023】
冷却軸を設けることは、冷却軸に沿ってガラスリボン103の横温度プロファイルを制御するのに役立つように有益であろう。例えば、横温度プロファイルは、ガラスリボンのプロファイル軸に実質的に沿って位置していて差し支えない。
図4は、ガラスリボン103の温度プロファイル軸407aが、板引方向207に対して実質的に垂直であり、かつ対応する冷却軸405aに対して平行である例を示している。同様に、ガラスリボン103の別の温度プロファイル軸407bは、板引方向207に対して実質的に垂直であり、かつ対応する冷却軸405bに対して平行である。それゆえ、プロファイル軸(例えば、407aおよび407b)は、板引方向207に対して実質的に垂直であり、同様に、ガラスリボンの引き伸ばし軸(elongated axis)に対して実質的に垂直であってよい。さらにまた、プロファイル軸は、ガラスリボンの縁103a,103bに対して実質的に垂直であってよいが、プロファイル軸は、縁103a,103bおよび/または板引方向207に対して斜角に向けられてもよい。
【0024】
したがって、本開示の装置および方法は、ガラスリボン103の板引方向207に沿った様々な位置での冷却軸に沿ったガラスリボン103の横温度の制御を促進することができる。ガラスリボンの横温度の制御を可能にすることにより、ガラスリボン103の横方向における横粘度曲線および/または温度冷却曲線の制御を促進することができる。
【0025】
図4に参照された複数の冷却コイル403a〜eが
図5〜6に示されている。
図5は、
図4の線5−5に沿ったフュージョンドロー設備140の部分の断面図である。説明目的のために、
図5は、5つの冷却コイル403a〜eを含む複数の冷却コイル403a〜eを示しているが、さらに別の例において、それより多いか少ない冷却コイルを設けてもよい。
【0026】
各冷却コイルは、少なくとも1つの管から製造することができ、冷却コイルから熱を除去するために流体をその少なくとも1つの管に循環させるように構成することができる。したがって、ガラスリボンまたはフュージョンドロー装置101の他の部分と物理的に接触せずに、管に循環させるために、液体および/または気体の冷却流体を使用してよい。一例において、その管は、熱がそれぞれの冷却区域から除去される伝熱率を上昇させるために液体を循環させるように構成することができる。したがって、少なくとも1つの管は、電機部品またはフュージョンドロー設備の他の構造を汚染せずに、液体を冷却区域の近傍に動かすことができる。それゆえ、装置の他の部分と接触せずに、少なくとも1つの管を含む冷却コイルによる液体冷却に関連する高い熱伝達の恩恵を達成することができる。
【0027】
一例において、少なくとも1つの冷却コイルは、互いに接続された複数の冷却コイルまたはコイルのセグメントを含むことができる。さらに別の例において、コイルの1つ以上が、セグメント間の界面および/または冷却管の縦軸に沿ってのいずれかで、継ぎ目(seam)で形成されていてよい。例えば、複数の真っ直ぐなセグメントは、複数のひじ形またはU字形セグメントと互いに溶接、はんだ付け、または他の様式で接合されていてよい。あるいは、
図5に示されるように、各冷却コイルの少なくとも1つの管は、コンパクト形状503に曲げられた単一の実質的に連続した管501を備えることができる。この単一の実質的に連続した管501は、冷却コイルのコンパクト形状503に沿って(例えば、冷却管の縦軸に沿って)どのような溶接またははんだ継ぎ目もなく設けられるが、コンパクト形状503は、2つ以上の管および/または継ぎ目のある管により設けられてもよい。しかしながら、継ぎ目のない図示された単一の連続した管で冷却コイルを設けることによって、亀裂、流体の漏れおよび/または冷却コイルの近傍で装置の電気部品および他の構成要素に他の様式で損傷を与えるかもしれない冷却コイルの壊滅的な破損の可能性を減少させることができる。
【0028】
本開示の態様にしたがって様々なコンパクト形状を使用してもよい。例えば、
図5に示されるように、コンパクト形状503は蛇行形状を含むことができる。蛇行形状により、少なくとも1つの管が、対応する冷却区域内で冷却コイルの表面を増加させるようにコンパクト形態を達成することができる。例えば、
図5に示されるように、蛇行形状は、屈曲端部507で互いに接続された複数の真っ直ぐなセグメント505を含むことができる。
【0029】
図4に示されるように、冷却コイル403a〜eの各々のコンパクト形状503は、冷却面411に沿って延在できる。そのような構成において、蛇行形状は、真っ直ぐなセグメント505および屈曲端部507が互いに実質的に同平面上にあるように、冷却面411に沿って実質的に延在できる。そのような例において、温度プロファイル軸407a,407bの上と下で、比較的一貫した冷却を達成できる。さらに図示されるように、冷却面411は板引面211に面している。一例において、冷却面411は、冷却コイル403a〜eの高さに沿って熱伝達を変化させられるように、板引面211に対してある角度に位置付けることもできる。あるいは、図示されるように、冷却面411は板引面211に対して実質的に平行であって差し支えない。実質的に平行な相対的向きを提供することによって、板引方向207に沿って冷却区域の高さに亘り所望の温度プロファイルの維持を促進するために、ガラスリボンから熱を均一に除去するのに役立つことができる。
【0030】
図5を参照すると、複数の冷却コイル403a〜eを、冷却軸405aに沿って延在する冷却コイル403a〜eの列に互いに対して整列させることができる。一列が示されているが、さらに別の例は、多数の列を有する冷却コイルのアレイに配列された冷却コイルを含んでもよい。そのような例において、冷却コイルは、冷却コイルの行列を形成するようにそれぞれの行に沿って整列されていてよい。
【0031】
さらに図示されるように、複数の冷却コイル403a〜eは、各々が、装置の冷却軸に沿って延在する対応する横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」を有することができる。図示されるように、複数の冷却コイルの少なくとも1つの横幅は、複数の冷却コイルの別のものの横幅よりも大きい。例えば、ガラスリボンの中心は、外側の冷却コイルよりも狭い横幅を有する1つ以上の冷却コイルに関連つけられてよい。例えば、実例として、一列の冷却コイル403a〜eは、内側の冷却コイル403cをまたぐ冷却コイル403b,403dの内側対の横幅「W
2」より狭い横幅「W
3」を有する内側冷却コイル403cを含むことができる。同様に、一列の冷却コイル403a〜eは、冷却コイル403b,403dの内側対の幅「W
2」および内側の冷却コイル403cの幅「W
3」よりも大きくあり得る幅「W
1」を有する冷却コイル403a,403eの外側対を含むことができる。
【0032】
さらに別の例において、冷却コイルの1つ以上が同じ幅を有していてもよい。例えば、図示されるように、冷却コイル403b,403dの内側対は同じ横幅「W
2」を有し、冷却コイル403a,403eの外側対は同じ横幅「W
1」を有する。異なる幅および/または同じ幅を有する冷却コイルを設けることにより、ガラスリボンの中心から様々な距離で、ガラスリボン103の冷却および/または加熱を補償するのに役立つことができる。さらに、冷却コイルは、以下により十分に記載される複数の加熱装置の横幅に対応するように異なる幅を有してもよい。
【0033】
図6に示されるように、複数の冷却コイル403a〜eの各横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」は、フュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」より実質的に狭い。
図6に示されるように、フュージョンドローの板引幅「W
d」は、縁103a,103bの間の板引方向207に対して垂直な方向に沿ってガラスリボン103の横幅と考えることができる。フュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」より実質的に狭い横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」を有する各冷却コイル403a〜eにより、冷却区域601a〜e内の選択的冷却が、冷却軸405aに沿って所望の温度プロファイルを達成するのに役立てることができる。
【0034】
複数の冷却コイル403a〜eは、冷却コイルの全長「L」がフュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」より大きいか、またはほぼ等しくなるように、冷却軸405aに沿って冷却コイル403a〜eの列に互いに対して整列させることができる。それより短いことも可能であるが、長さ「L」を板引幅「W
d」より大きいまたはほぼ等しくすることによって、ガラスリボン103の全幅に渡る横温度プロファイルを制御することができる。
【0035】
図6に示されるように、冷却コイル403a〜eの各々は他の冷却コイルから独立して作動させることができる。例えば、複数の冷却コイル403a〜eの各々は、気体および/または液体などの冷却流体を受け入れるように構成されたそれぞれの入口603a〜eを含むことができる。例えば、図示されるように、各それぞれの入口603a〜eに、水などの冷却流体607を、冷却流体607の供給源609から提供することができる。冷却コイル403a〜eの各々は、加熱された液体を冷却コイルから格納構造611に通過させるように構成されたそれぞれの出口605a〜eも含むことができる。そのような例において、冷却された流体をそれぞれの入口603a〜eに再度導入する前に、加熱された流体から熱を除去するために、熱交換器を使用することができる。
【0036】
一例において、液体をそれぞれの入口603a〜eに送り込んで、冷却コイル403a〜eに循環させるために、ポンプ613を設けてもよい。一例において、マニホールド615に、それぞれの冷却コイル403a〜eを通る流体の流量を調節するように手動で、または自動的に作動できる複数のソレノイドフローバルブを設けてもよい。一例において、信号をそれぞれの回線621に沿ってそれぞれのソレノイドフローバルブ617に送信するために、コンピュータ制御装置619を設けてもよい。さらに別の例において、各それぞれの冷却コイル403a〜eの所定の流れを、コンピュータにプログラムしても、さらに別の入力によって、コンピュータにより計算させてもよい。一例において、フローセンサ623が、各冷却コイル403a〜e内の流体流をモニタし、それぞれの通信回線625による信号をコンピュータ制御装置619に提供することができる。したがって、各それぞれの冷却コイル403a〜eを通る実際の流体流は、それぞれのフローセンサ623によってモニタすることができる。次いで、流体流信号をコンピュータ制御装置619に提供し、この装置は、次いで、指令信号を出力してポンプ613を作動させ、それぞれのソレノイドフローバルブ617を調節して、対応する冷却コイル403a〜eを通じて適切な流量を提供することができる。図示されていないが、各流体回路は、圧力逃がし弁を含んでよいが、さらに別の例において、必要とされない。
【0037】
図6にさらに示されるように、入口603a〜eの各々に、対応する入口温度センサT
1を設けてよく、出口605a〜eの各々に対応する出口温度センサT
2を設けてもよい。したがって、冷却コイル403a〜eの各々に出入りする流体の入口温度と出口温度をモニタすることができる。コンピュータ制御装置619は、温度センサT
1,T
2により測定された温度の変化(すなわち、ΔT)を計算するようにプログラムすることができる。さらに、コンピュータ制御装置619は、冷却コイル403a〜eに循環されている流体の比熱をプログラムすることができる。フローセンサ623により測定される流体の流量と共に、コンピュータ制御装置619は、各冷却コイル403a〜eにより除去されている熱を概算することができる。この情報をさらに使用して、冷却区域601a〜e内の温度制御を最適化するのに役立ててもよい。
【0038】
さらに別の例において、前記装置は、冷却区域601a〜eの各々に関連した複数の熱センサ627を備えることができる。熱センサ627は、横プロファイルに沿った様々な位置でガラスリボンの温度をモニタするように構成することができる。一例において、各熱センサ627は、検出した温度に対応する信号をコンピュータ制御装置619に戻すように送信できるように構成された通信回線629を含むことができる。したがって、各冷却区域601a〜eに関連するガラスリボン103の部分の温度をモニタすることができる。検出された温度に基づいて、各冷却コイル403a〜eを通る流体の流れは、冷却軸405aに沿ってガラスリボン103の所望の横温度プロファイルを達成するために他の冷却コイルとは独立して作動させてもよい。したがって、図示された構成は、横プロファイルに沿った様々な位置で検出された対応する温度に基づいて、冷却コイルを選択的に作動させるように構成された制御システムを提供する。
【0039】
図4〜7に示されるように、フュージョンドロー装置101は、冷却軸405aに沿って位置している複数の加熱装置413a〜eも必要に応じて備えてもよい。本開示の態様にしたがって、様々な加熱装置を使用してよい。例えば、
図4に示されるように、加熱装置413a〜eは、互いに対して並列にまたは直列に電気的に配列されてよい加熱素子415の列を含むことができる。加熱素子415の各列は、板引方向207の温度勾配を生じられるように様々な温度を達成するように設計できる。さらに別の例において、加熱素子415の各列は、ガラスの部分が加熱装置413a〜eを通過するときに、リボンの部分を実質的に同じ加熱温度に曝露するように実質的に同じ温度を達成するように設計することができる。
【0040】
また
図4に示されるように、加熱素子415は各々、加熱面417に沿って延在することができる。一例において、加熱面417は、ガラスリボン103の部分が加熱面417を通過するときに、熱伝達を変化させられるように板引面211および/または冷却面411に対してある角度に位置付けられている。あるいは、図示したように、加熱面417は、冷却面411および板引面211に対して実質的に平行であって差し支えないが、加熱面417は、別の例において、冷却面411または板引面211に関してのみ実質的に平行であってよい実質的に平行な相対向きを提供することにより、板引方向207に沿って冷却区域(または加熱区域)の高さに亘り所望の温度プロファイルの維持を促進するようにガラスリボンに熱を均一に印加するのに役立ち得る。
【0041】
図5を参照すると、複数の加熱装置413a〜eを、一列の冷却コイル403a〜eと共に、冷却軸405aに沿って延在する加熱装置413a〜eの列に互いに対して整列させることができる。一列が示されているが、さらに別の例は、多数の列を有する加熱装置の例に配列された加熱装置を含んでもよい。そのような例において、加熱装置は、加熱装置の行列を形成するようにそれぞれの行に沿って整列されてもよい。
【0042】
さらに図示されるように、複数の加熱装置413a〜eは、冷却コイル403a〜eの対応するものとほぼ等しくてよい対応する横幅を有することもできる。したがって、
図5に示されるように、加熱装置の各々は、対応する冷却コイルの横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」と実質的に均しい横幅を有することができる。先に冷却コイルについて記載したように、加熱装置は、同様に、同じ幅または異なる幅を有してよい。加熱装置に同じ幅および/または異なる幅を設けることによって、ガラスリボン103の縁103a,103bに向かって一般に生じるより速い冷却を補償するのに役立ち得る。
【0043】
図6に示されるように、加熱装置413a〜eにも対応する各横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」は、同様に、フュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」よりも実質的に狭い。加熱装置413a〜eの各々に、フュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」よりも実質的に狭い対応する横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」を設けることによって、冷却区域601a〜e内を選択的に加熱して、冷却軸405aに沿って所望の温度プロファイルを達成するのに役立つことができる。加熱装置413a〜eの列は、長さ「L」がフュージョンドロー装置101の板引幅「W
d」以上となるように、冷却軸405aに沿って加熱装置413a〜eの列に互いに対して整列させても差し支えない。それより短い長さも可能であるが、長さ「L」を板引幅「W
d」以上にすることによって、ガラスリボン103の全幅に亘る横温度プロファイル制御が可能となる。
【0044】
図6に示されるように、加熱装置413a〜eの各々は、他の加熱装置から独立して作動可能である。例えば、複数の加熱装置413a〜eの各々は、巻線に電流を流すときに、加熱装置の巻線を加熱できるように電気回路に配置されるように構成された電気接点631a,631bを含むことができる。一例において、電気リレー633は、各冷却区域601a〜eで望ましいと決定された所望の熱出力に応じて、電気接点631a,631bを通じて流れる電流を個別に制御するために、コンピュータ制御装置619からの信号を受信するように構成されている。さらに別の例において、それぞれの加熱装置413a〜eの各自の所定の電流は、コンピュータ制御装置にプログラムされても、またはさらに別の入力によりコンピュータ制御装置によって計算されてもよい。
【0045】
さらに別の例において、加熱装置413a〜eの各々を通る電流は、複数の随意的な熱センサ627から検出された温度に基づいて、独立して作動させることができる。それゆえ、図示された装置は、横プロファイルに沿った様々な位置で検出された対応する温度に基づいて、加熱装置を選択的に作動させるように構成された制御システムを提供する。
【0046】
さらに別の例において、冷却コイル403a〜eの1つ以上を、加熱装置413a〜eの各々に関連付けてもよい。あるいは、加熱装置413a〜eの1つ以上を、冷却コイル403a〜eの各々に関連付けてもよい。
図5〜6に示されるように、複数の加熱装置413a〜eの各々は、冷却コイル403a〜eの対応する1つに関連付けてもよい。いくつかの例において、加熱装置413a〜eは、冷却コイル403a〜eと同時に作動させてもよい。それゆえ、各それぞれの冷却区域601a〜e内の冷却は、それぞれの冷却装置と共に加熱装置を作動させることによって微調整してもよい。あるいは、温度プロファイルを制御する加熱装置のみを作動させることによって冷却が行われる場合、冷却コイル403a〜eを停止させてもよい。そのような例において、冷却コイルの少なくとも1つの管は、加熱装置のみを作動させるときに、高温に耐えられる様々な材料を含んでよい。例えば、その少なくとも1つの管は、高ニッケル合金、310ステンレス鋼、または他の高温材料を含んで差し支えない。
【0047】
さらにまた、その材料の所望の放射率を得て、それによって、ガラスリボンからの放射熱損失に影響を与えるコーティングを、必要に応じて、冷却コイルに設けてもよい。その上、またはその代わりに、腐食を防ぐために、同じまたは異なるコーティングを設けてもよい。それゆえ、放射率特徴を向上させるために、および/または耐食性を向上させるために、冷却コイルに1つ以上のコーティングを施してもよい。
【0048】
図4および7に図解したように、フュージョンドロー装置101は、このフュージョンドロー装置101の冷却軸405aに沿って位置する複数の温度制御モジュール419a〜eを備えることができ、この制御モジュール419a〜eの各々は、複数の冷却コイル403a〜eの少なくとも1つおよび複数の加熱装置413a〜eの少なくとも1つを含む。
図4に示されるように、各温度制御モジュール419a〜eは、対応する冷却コイル403a〜eが、フュージョンドロー装置101の対応する加熱装置413a〜eと板引面211との間に位置するように、図示された成形ウェッジ201などの板引装置に対して取り付けることができる。
【0049】
さらにまた、
図4および7に示されるように、各温度制御モジュール419a〜eは板引装置に対して取外し可能に取り付けられていてよいが、さらに別の例において、取外し不可能な取付け構成を使用してもよい。例えば、
図4に図解されるように、取付ブラケット421は、留め具423によって、フュージョンドロー装置101の支持構造425に取外し可能に取り付けることができる。別の組の留め具427が加熱装置413a〜eを取付ブラケット421に取り付けることができる。さらに別の組の留め具429が、冷却コイル403a〜eを取付ブラケット421に取り付けることができる。図示されるように、管501は、対応する加熱装置413a〜eに関連付けられた断熱レンガ435内に形成された取付溝433内に受け入れられる取付セグメント431を含むことができる。図示されるように、取付溝433は、断熱レンガ435に対して片持ち式に冷却コイル403a〜eのコンパクト形状503をしっかり固定するのに役立つように、管501の対応する取付セグメント431を受け入れることができる。図示されていないが、さらに別の随意的な取付構造を、本開示のさらに別の態様にしたがって設けてもよい。
【0050】
図示されるように、取付ブラケット421は、板引装置に対する温度制御モジュール419a〜eを取外し可能に取り付ける。例えば、
図7に示されるように、温度制御モジュール419a〜eの選択されたものは、選択された制御モジュールに対応する取付留め具423を外すことによって、取り外せる。矢印701により示されるように、古い制御モジュール703は、迅速に取り外し、新しい制御モジュール705と交換できる。それゆえ、選択された制御モジュールは、他の制御モジュールを交換する必要なく、迅速に交換できる。さらに、板引方向に溶融ガラスを引っ張っている間、フュージョンドロープロセスを停止させずに、古い制御モジュール703に関連する損傷した加熱装置および/または冷却装置を交換することも可能である。次いで、古い制御モジュールは、将来、別の交換モジュールを提供するために、修復することができる。
【0051】
先に論じたように、冷却コイルおよび/または加熱装置は様々な位置に設けてもよい。
図4に示されるように、固化区域309の下側部分に位置する冷却軸405bに沿って、別の温度制御モジュール437a〜eを設けてもよい。温度制御モジュール437a〜eは、上述した制御モジュール419a〜eと実質的に同一であってよい。あるいは、図示されるように、温度制御モジュール437a〜eは、制御モジュール419a〜eと異なるサイズのものであってよい。さらに別の例において、冷却軸405bに沿って、冷却装置または加熱装置のみを設けてもよい。
【0052】
作動中、ガラスリボン103を製造する方法は、板引方向207に溶融ガラスを粘性区域307へと引っ張って、板引方向207に延在する反対の縁103a,103bを含むガラスリボン103を形成する工程を含み得る。
図1および3に示されるように、反対の縁103a,103bは、板引方向207に対して横であるガラスリボン103の幅に沿って間隔が置かれている。
【0053】
次いで、この方法は、溶融ガラスを粘性区域307から、その粘性区域307の下流の固化区域309へと引っ張る工程を含む。固化区域309において、ガラスリボン103は粘性状態から弾性状態へと固化する。この方法は、ガラスリボン103を、固化区域309の下流の弾性区域311へと引っ張る工程をさらに含む。次いで、切断装置303を必要に応じて使用して、さらに加工するために、ガラスリボン103から別個のガラス板305を切断してもよい。図示されていないが、ガラスリボンの縁をトリミングしてもよく、および/またはガラスリボンは、別の場所でさらに別の切断技法を実施するために、保管スプールに巻き付けてもよい。
【0054】
この方法は、粘性区域307、固化区域309および弾性区域311の少なくとも1つにおいて、ガラスリボン103の幅に沿ってガラスリボン103の横温度プロファイルを制御する工程をさらに含む。この温度プロファイルを制御する工程は、板引方向207に対して横である冷却軸405aに沿って配置された複数の冷却コイル403a〜eの少なくとも1つから熱を選択的に除去する工程を含む。
【0055】
図6に示されるように、冷却コイルから熱を除去する工程は、水などの流体を対応する冷却コイルを形成する少なくとも1つの管501に循環させることによって、行うことができる。流体を管に循環させることにより、フュージョンドロー装置101の加熱装置または他の部品と関連する電気部品を水などの流体で損傷する、またはそうでなければ汚染することを避けることができる。
【0056】
図6にさらに示されているように、前記方法は、冷却コイル403a〜eを選択的に作動させて、ガラスリボン103の横温度プロファイルを制御することができる。例えば、熱センサ627は、ガラスリボンの幅に沿った様々な位置でガラスリボン103の温度を検出できる。次いで、熱センサ627は、通信回線629によって、コンピュータ制御装置619にフィードバックを送信することができる。そのフィードバックに基づいて、コンピュータ制御装置は、ポンプ613および/またはソレノイドフローバルブ617の1つ以上を調節して、冷却コイル403a〜eの1つ以上を通る流体の冷却流を独立して調節することができる。それゆえ、冷却コイルの少なくとも別のものの冷却速度を調節せずに、冷却コイル403a〜eの少なくとも1つの冷却速度を調節する方法が可能になる。さらに、複数の冷却コイル403a〜eを温度フィードバックに基づいて選択的に作動させて、検出された温度に基づいて冷却コイルを作動させる制御システムを提供してもよい。
【0057】
さらに別の例において、温度プロファイルは、冷却軸405aに沿って配置された複数の加熱装置413a〜eの少なくとも1つで選択的に熱を加えることによって、制御することができる。一例において、コンピュータ制御装置619は、熱センサ627によって検出されたフィードバックに基づいて、加熱装置の各々によって加えられる熱を自動的に調節することができる。例示の方法は、冷却コイル403a〜eを使用せずに、加熱装置413a〜eによる冷却を含むことができる。例えば、流体を冷却コイルから流れ出させてよく、ここで、冷却装置の少なくとも1つの管の高温金属により、冷却コイルが、それぞれの加熱装置によるガラスリボンの部分の加熱を、もしあるとしてもわずかしか干渉せずに、高温環境内で構造の健全性を維持することができる。作動中、縁103a,103bに近いガラスリボン103の外側部分は必然的に、ガラスリボン103の中央部分よりも速く冷却する傾向がある。それゆえ、冷却区域601a,601bに関連する外側のセンサ627が検出する温度によって、ガラスリボン103の外側部分がより速く冷却されることが分かるであろう。それに応じて、コンピュータ制御装置619は、残りの加熱装置に対して高い温度で加熱装置413a,413eの外側の対を始動させて、幅に亘りガラスリボンをより均一に冷却することができる。
【0058】
あるいは、冷却が冷却コイル403a〜eにより行われている場合、加熱装置を停止してもよい。この例において、中央の冷却区域601cに関連する熱センサ627により検出された温度は、ガラスリボンの中央部分が比較的高い温度を含むことを示すであろう。それに応答して、コンピュータ制御装置619は、中央の冷却区域601cの冷却速度を上昇させるために、内側の冷却コイル403cを通る流体の流量を増加させてもよい。それゆえ、中央の冷却コイルは、比較的速い速度で冷却して、幅に亘りガラスリボンをより均一に冷却するであろう。
【0059】
さらに別の例において、加熱装置および冷却コイルを同時に作動させてもよい。例えば、加熱装置により印加される加熱は、それぞれの冷却区域により適用される有効冷却速度を微調整するために、それぞれの冷却コイルによる冷却で変えることができる。
【0060】
さらに図解されるように、冷却速度の調節が最も必要とされている区域におけるより大きい熱伝達を促進するのに役立つように、相対的に異なる横幅「W
1」、「W
2」および「W
3」を設けてもよい。例えば、さもなければ望ましくない横温度プロファイルをもたらすであろう縁でのより速い冷却を補償するために、外側の縁により速い速度で熱を印加するのに役立つように、外側の加熱装置413a,413eに比較的広い幅「W
1」を関連付けてもよい。
【0061】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本開示に様々な改変および変更を行えることが、当業者には明白である。それゆえ、本発明は、本開示の改変および変更を、それらが付随の特許請求の範囲とその同等物の範囲に含まれるという条件で、包含することが意図されている。