(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明樹脂シート(A)と前記基材シート(B)と間、および/または、前記熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)との間に更に印刷層(C)を含むことを特徴とする請求項2に記載の物品。
前記透明樹脂シート(A)が、アクリル系樹脂シート(A1)の層;芳香族ポリカーボネート系樹脂シート(A2)の層;および非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂シート(A3)の層;からなる群から選択される少なくとも1つの層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の物品は表面側から透明樹脂シート(A)と基材シート(B)とをこの順に含む。
【0012】
透明樹脂シート(A)は、物品にガラス調意匠を付与するために透明である必要があり、具体的にはヘイズ値が10%以下のものを使用する必要がある。好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。
ヘイズ値の下限は、付与しようとするガラス調意匠の意匠感にもよるが、通常は、すっきりとした透明感を与えるものが好まれるため、特になく、小さいほど好ましい。
ヘイズ値は、JIS K 7105に従い測定した。
【0013】
透明樹脂シート(A)は、物品にガラス調意匠を付与するために、肉厚が0.2mm以上である必要がある。0.2mm未満では、深みがなく、ガラス感を得ることが難しい。好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上である。
また透明樹脂シート(A)は曲率の大きな曲面を有する物品を製造するために、肉厚が10mm以下である必要がある。肉厚が10mmを超えると曲げ加工が難しくなる。好ましくは6mm以下であり、より好ましくは4mm以下である
【0014】
また本発明の物品は曲面を有するため、透明樹脂シート(A)は、単独でも曲げ加工に対応できるものであることが好ましい。具体的には透明樹脂シート(A)の曲面の曲げ半径の最小値(以下、最小曲げ半径ということがある)が500mm以下のものが好ましい。より好ましくは50mm以下であり、更に好ましくは15mm以下であり、最も好ましくは10mm以下である。
最小曲げ半径の下限は特にない。小さいほど曲率の大きい曲面を有する物品を得ることができるため好ましい。
なお最小曲げ半径は、シートを折り曲げたとき曲げ部の表面にクラックが発生する直前の曲げ半径であり、曲げ加工の限界を示す指標である。曲げ半径は後述する曲率半径と同様に定義される。
最小曲げ半径の測定は、JIS−K6902の曲げ成形性(B法)を参考として、温度23℃±2℃、相対湿度50±5%にて24時間状態調節した試験片について、曲げ加工温度23℃±2℃、折り曲げ線がシートのマシン方向と直角となる方向において、基材シート(B)側を内側に折り曲げて曲面が形成されるようにして行った。クラックが発生しなかった成形ジグのうち正面部分の半径の最も小さいものの正面部分の半径を最小曲げ半径とした。
【0015】
このような透明樹脂シート(A)としては、アクリル系樹脂組成物からなるアクリル系樹脂シート(A1)、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂シート(A2)、非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂組成物からなる非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂シート(A3)をあげることができる。これらの樹脂シートからなる透明樹脂シート(A)は、上記(A1)、(A2)、(A3)の任意の組合せの積層体を包含する。
好ましい積層体としては、高硬度のアクリル系樹脂シートと柔軟なアクリル系樹脂シートとの積層体、アクリル系樹脂シートと芳香族ポリカーボネート系樹脂シートとの積層体をあげることができる。また全く同じ種類の樹脂シートの積層体も、製造性の観点から、好ましい積層体の一例である。
上記の積層体を得る方法は、制限されず、任意の方法で積層体を得ることができる。例えば、各々の樹脂シートを下記で説明する方法等により得た後、ドライラミネート又は熱ラミネートする方法、各々の構成材料を押出機にて溶融させ、フィードブロック法又はマルチマニホールド法によるTダイ共押出などにより得る方法、及び、少なくとも1つの樹脂シートを下記で説明する方法等により得た後、該シート上に他の樹脂シートを溶融押出する押出ラミネーする方法などをあげることができる。
【0016】
上記アクリル系樹脂組成物としては、例えば、
ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステル;エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体;などのアクリル系樹脂(A1−1)の1種又は2種以上の混合物と、
メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴム(A1−2)の1種又は2種以上の混合物とを含む樹脂組成物をあげることができる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味である。
上記(A1−1)と上記(A1−2)との配合比は、両者の合計を100質量部としたとき、好ましくは(A1−1)50〜85質量部、(A1−2)50〜15質量部であり、より好ましくは(A1−1)60〜75質量部、(A1−2)40〜25質量部である。
また上記アクリル系樹脂組成物に含み得る任意成分としては、アクリル系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。
これらの任意成分の配合量は、通常、(A1−1)と(A1−2)との合計を100質量部としたとき、0.1〜10質量部程度である。
【0017】
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物としては、例えば、
ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法によって得られる重合体;ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られる重合体;などの芳香族ポリカーボネート系樹脂(A2−1)の1種又は2種以上の混合物と、
メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴム(A2−2)の1種又は2種以上の混合物とを含む樹脂組成物をあげることができる。
上記(A2−1)と上記(A2−2)との配合比は、両者の合計を100質量部としたとき、好ましくは(A2−1)95〜100質量部、(A2−2)5〜0質量部であり、より好ましくは(A2−1)97〜99.5質量部、(A2−2)3〜0.5質量部である。
また上記芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に含み得る任意成分としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。
これらの任意成分の配合量は、通常、(A2−1)と(A2−2)との合計を100質量部としたとき、0.1〜10質量部程度である。
【0018】
上記非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂組成物としては、例えば、
テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸成分とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール成分とのポリエステル系共重合体、より具体的には、テレフタル酸100モル%、エチレングリコール42〜32モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール58〜68モル%からなるグリコール変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG);テレフタル酸50〜99モル%、イソフタル酸1〜50モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%からなる酸変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTA);などの非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂(A3−1)の1種又は2種以上の混合物と、
メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴム(A3−2)の1種又は2種以上の混合物とを含む樹脂組成物をあげることができる。
上記(A3−1)と上記(A3−2)との配合比は、両者の合計を100質量部としたとき、好ましくは(A3−1)95〜100質量部、(A3−2)5〜0質量部であり、より好ましくは(A3−1)97〜99.5質量部、(A3−2)3〜0.5質量部である。
また上記非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂組成物に含む得る任意成分としては、非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。
これらの任意成分の配合量は、通常、(A3−1)と(A3−2)との合計を100質量部としたとき、0.1〜10質量部程度である。
【0019】
なお本明細書では、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用し、試料を320℃で5分間保持した後、20℃/分の降温速度で−50℃まで冷却し、−50℃で5分間保持した後、20℃/分の昇温速度で320℃まで加熱するという温度プログラムでDSC測定を行って得られる融解曲線における融解熱量が、60J/g以下のポリエステルを非晶性又は低結晶性と定義した。
【0020】
上記の(A1)、(A2)、(A3)またはその他の熱可塑性樹脂組成物は、上記各成分を任意の溶融混練機を用いた溶融混練法により得られる。溶融混練機としては、加圧ニーダー、ミキサーなどのバッチ混練機;同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機などの押出混練機;カレンダーロール混練機などをあげることができる。これらを任意に組み合わせて使用してもよい。得られた樹脂組成物は、任意の方法でペレット化した後、例えばカレンダー加工機を使用して、又は、押出機とTダイを使用して透明樹脂シート(A)に成形することができる。ペレット化はホットカット、ストランドカット、及び、アンダーウォーターカットなどの方法により行うことができる。あるいは溶融混練された樹脂組成物をそのままカレンダー加工機又はTダイに送って透明樹脂シート(A)に成形してもよい。カレンダー加工機は任意のものを使用することができ、例えば直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、及び、Z型ロールなどをあげることができる。押出機は任意のものを使用することができ、例えば単軸押出機、同方向回転二軸押出機、及び、異方向回転二軸押出機などをあげることができる。Tダイは任意のものを使用することが出来、例えばマニホールドダイ、フィッシュテールダイ、及び、コートハンガーダイなどをあげることができる。
【0021】
基材シート(B)は、物品において透明樹脂シート(A)の下層に位置し、曲げ加工性を担保するという機能を有するとともに、意匠性の付与に係る。
【0022】
基材シート(B)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、塩素化ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体の水素添加物などのスチレン系樹脂;非結晶性、低結晶性又は結晶性のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;アクリル系樹脂;シリコン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;含弗素系樹脂;及び、クロロプレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、及び、これらの熱可塑性樹脂組成物のシートを使用することができる。これらのシートは、無延伸シート、一軸延伸シート、及び、二軸延伸シートを包含する。またこれらのシートの積層体を包含する。
また上記熱可塑性樹脂組成物に含み得る任意成分としては、顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び、界面活性剤等の添加剤;などをあげることができる。
基材シート(B)が無延伸シートである場合、該無延伸シートは、上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を用い、上記製膜法と同様にして得ることができる。
基材シート(B)が一軸延伸シートや二軸延伸シートである場合、該延伸シートは上記無延伸シートからなる原反を常法に従って延伸することにより得ることができる。
【0023】
また基材シート(B)としては、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属材料のシートを使用することができる。上記の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物シートと金属シートとの積層体を基材シート(B)として使用してもよい。金属材料を使用することにより物品の高剛性化や薄肉化などのメリットを得ることができる。
【0024】
基材シート層(B)の肉厚は、これが熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物からなる場合には、通常50〜400μmであり、金属材料からなる場合には、通常30〜300μmである。熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物シートと金属シートとの積層体の場合には、通常30〜300μmである。
【0025】
基材シート(B)としての積層体の好ましいものとしては、例えば、
上記の基材シート(B)に使用し得る熱可塑性樹脂、及び、これらの熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と
下記で説明する二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)との積層体をあげることができる。
基材シート(B)としての積層体を得る方法は、制限されず、任意の方法で積層体を得ることができる。例えば、ドライラミネート、熱ラミネート、押出ラミネート、共押出などの方法をあげることができる。
【0026】
透明樹脂シート(A)と基材シート(B)との積層は、熱ラミネート、押出ラミネート、共押出などの方法を適用できる場合もあるが、通常は、ドライラミネート法により行われる。
透明樹脂シート(A)と基材シート(B)とを接着する接着剤としては、十分な接着強度を得られるものであれば、特に制限はなく、例えば、アクリル系、エチレン酢酸ビニル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、クロロプレンゴム系、スチレンブタジエンゴム系などの慣用の接着剤を使用することができる。接着剤層を設ける方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、及び、ダイコートなどの方法があげられる。このとき、必要に応じて任意の希釈溶剤、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、アセトンなどを使用することができる。
【0027】
こうして得られた透明樹脂シート(A)と基材シート(B)との積層体は、曲げ加工に対応できるものである必要がある。具体的には、最小曲げ半径が500mm以下である必要がある。
好ましくは50mm以下であり、より好ましくは15mm以下であり、更に好ましくは10mm以下である。
最小曲げ半径の下限は特にない。小さいほど曲率の大きい曲面を有する物品を得ることができるため好ましい。
なお積層体の最小曲げ半径は、上記で説明したように、基材シート(B)側を内側に折り曲げて曲面が形成されるようにして測定される。
【0028】
本発明の物品は、曲面を有する物品である。曲面を有しない又は曲率半径の大きい物品であれば、特許文献1の技術でも適用可能である。上記のように、透明樹脂シート(A)と基材シート(B)との積層体は、その最小曲げ半径が500mm以下であるから、本発明の物品には、少なくともその曲率半径が500mmの曲面を設けることができる。
なお曲率半径は、以下のように定義される。
図1に示すように:
曲線のM点からN点までの長さをΔS;
M点における接線の傾きと、N点における接点の傾きとの差をΔα;
M点における接線と垂直であり、かつ、M点で交わる直線と
N点における接線と垂直であり、かつ、N点で交わる直線との交点をO;としたとき、
ΔSが十分に小さいときは、M点からN点までの曲線は円弧に近似することができる。
このときの半径が曲率半径と定義される。
また曲率半径をRとすると、∠MON=Δαであり、ΔSが十分に小さいときは、Δαも十分に小さいから、ΔS=RΔαが成り立ち、R=ΔS/Δαである。
【0029】
本発明の物品は、透明樹脂シート(A)と基材シート(B)との積層体の層間や、基材シート(B)としての積層体の層間に、更に印刷層(C)を含み得る。
【0030】
図2は、印刷層(C)を有する本発明の物品を説明するための概略断面図である。
図2(a)に示す形態の物品10は、透明樹脂シート(A)と前記基材シート(B)と間に更に印刷層(C)を有している。
図2(b)に示す形態の物品12は、熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)との間に更に印刷層(C’)を有している。
図2(c)に示す形態の物品14は、透明樹脂シート(A)と前記基材シート(B)と間に更に印刷層(C)を有し、かつ、熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)との間に更に印刷層(C’)を有している。
【0031】
上記印刷層(C)、(C’)は、物品に意匠性を付与するものであり、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成される。印刷は、透明樹脂シート(A)と基材シート(B)の何れに施してもよい。模様としては、木目模様、大理石等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、寄木模様、パッチワークなどをあげることができる。印刷インキとしては、バインダーに顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを使用することができる。上記バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの樹脂、及びこれらの樹脂組成物を使用することができる。
【0032】
本発明の物品は、透明樹脂シート(A)の表面側に更にハードコート(E)を有することができる。
図3は、当該形態を説明するための物品の概略断面図であり、物品15は、透明樹脂シート(A)の表面側に更にハードコート(E)を有する。なお、必要に応じて基材シートを熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)とから構成してもよい。また、上記の印刷層(C),(C’)を設けたりしてもよい。
【0033】
ハードコート(E)を設けることにより物品の耐傷付性を更に高めることができる。ハードコート(E)の形成に使用する塗料としては、ガラス調意匠を保持するため、高透明性、高光沢性を有するものが好ましい。このようなハードコート形成用塗料としては、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をあげることができる。
【0034】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、塗膜を形成することが可能なものであり、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、トリメチルシロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有単官能反応性モノマー;N−ビニルピロリドン、スチレン等の単官能反応性モノマー;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマーなどから選択される1以上を、あるいは上記1以上を構成モノマーとする樹脂を、1分子中に2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物及び/又は光重合開始剤とともに含む組成物をあげることができる。
【0035】
なお本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
【0036】
上記、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート;及び、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤などをあげることができる。これらをそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、架橋の際には、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどの触媒を添加してもよい。
【0037】
上記、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物;トリアジン系化合物;ビイミダゾール化合物;アシルフォスフィンオキサイド系化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。これらをそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
特に好ましい、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)としては、
(α)下記式(1):
【0040】
(ここで、R1およびR2は各々、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエーテル(メタ)アクリレート残基であり、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が3以上である)を有するエタノールアミン変性ポリエーテル(メタ)アクリレート、
(β)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、および
(γ)光重合開始剤
を含み、
成分(α)の水酸基の個数(a)と成分(β)のイソシアネート基の個数(b)との比(a/b)が0.5〜1.2の範囲にあることを特徴とする
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をあげることができる。
【0041】
上記式中、R1およびR2は各々、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエーテル(メタ)アクリレート残基であり、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が3以上、好ましくは3〜9であり、より好ましくは4である。上記式(1)において、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が2以下であると、塗膜の耐傷付性、耐磨耗性および耐汚染性に劣る。R1とR2は互いに同じでも異なっていてもよいが、R1とR2が同じであるのが好ましい。
【0042】
成分(α)は、酸素ラジカルを捕捉する働きをする。一般に、(メタ)アクリロイルオキシ官能基含有化合物はラジカル重合により硬化するところ、ラジカル重合性化合物は、空気中の酸素ラジカルにより重合阻害を受け易く、特に塗膜の表面では、酸素ラジカルにより硬化反応が遅くなる。表面が十分に硬化するように活性エネルギー線の照射時間を長くすると、製造ラインの速度が低下するとともに、塗膜内部では酸素ラジカルの影響が比較的少ないために、硬化反応が進み過ぎ、脆く、耐折り曲げ性に劣るハードコートになる。一方、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)は、成分(α)が上記式(1)の特定の構造を有するので、酸素ラジカルによる阻害を受けず、したがって、硬化反応速度が速く、かつ耐傷付き性、耐摩耗性、耐汚染性および耐折り曲げ性に優れたハードコートを得ることができる。成分(α)は、エタノールアミン残基を有し、エタノールアミン残基における窒素原子の隣のメチレン基の水素が引き抜かれてラジカルが発生し、そこに酸素ラジカルが結合して捕捉されると考えられる。
【0043】
成分(α)は、例えば、下記式(3)で示される化合物、及び、下記式(4)で示される化合物をエタノールアミンとともに室温で反応させることにより製造することができる。この反応は常温で高活性であり、触媒を必要としない。またゲル化を防止するために、溶剤等を加えて見かけの濃度を低くすることが好ましい。
R1−O−C(=O)−CH=CH
2 (3)
R2−O−C(=O)−CH=CH
2 (4)
ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである。
【0044】
なお、成分(α)を上記方法で製造するとき、主な生成物である目的の成分(α)以外にも多種類の副反応物が生成するが、塗料分野では、成分(α)を、これらの副生成物を含んだ状態で使用するのが通常である。
【0045】
上記式(3)および(4)で示される化合物としては、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のTPGDA(商品名)(トリプロピレングリコールジアクリレート)およびOTA480(商品名)(グリセリンプロポキシトリアクリレート)、ならびに日本化薬株式会社製のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがあげられる。
【0046】
上記OTA480は、下記式(5)を有する化合物である。
【0048】
成分(α)として特に好ましいのは、下記式(2)を有する化合物である。
【0050】
成分(α)が上記式(2)を有する化合物であるとき、得られる組成物は保存安定性が良く、また、得られるハードコートは、耐折り曲げ性、三次元成形性、耐傷付性、耐磨耗性および耐汚染性のバランスが非常に良い。また、一般に、基材フィルムに塗料を塗布して得られる積層体を製造する製造ラインでは、積層体をロールに巻き取るときに積層体同士がブロッキングするのを防ぐために、塗膜の上にセパレータを置くのが通常であるが、成分(α)が上記式(2)の化合物である場合には、硬化反応が非常に速いので、セパレータを使用する必要がないという利点がある。
【0051】
上記(β)成分としては上記で例示した1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を使用することができる。
これらの中で、ハードコートの耐折り曲げ性や塗料の保存安定性の観点から、1分子中にイソシアネート基を3個以上有するものが好ましく、特に、下記式(6)で表される、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体でありかつイソシアネート環構造をもつものや、下記式(7)で表される、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体でありかつトリメチロールプロパンアダクト体であるものが好適に使用され得る。これらはヘキサメチレン鎖の先の互いに離れた位置にイソシアネート基が存在するという構造上の特徴があり、そのため、得られるハードコートは弾性があり、耐傷付性および耐磨耗性に優れる。
【0054】
上記の樹脂組成物は、成分(α)における水酸基と成分(β)におけるイソシアネート基との反応により硬化を生じる。硬化が十分に生じるように、本発明の樹脂組成物は、成分(α)の水酸基の個数(a)と成分(β)のイソシアネート基の個数(b)の比(a/b)が0.5〜1.2、好ましくは0.7〜1.1の範囲にある。上記比が上記下限未満であると、得られる塗膜の耐折り曲げ性に劣る。上記比が上記上限より大きいと、得られる塗膜の水性汚染物、例えば水性マジックに対する耐汚染性に劣る。
【0055】
なお、本明細書では、成分(α)の単位量当たりの水酸基の個数を、JIS−K−1557−1:2007に基づいて決定した。すなわち、成分(α)の水酸基をアセチル化試薬(無水酢酸のピリジン溶液)によりアセチル化した後、過剰のアセチル化試薬を水により加水分解し、生成した酢酸を京都電子工業株式会社の電位差自動滴定装置AT−610型を使用して水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する方法により上記個数を求めた。また、成分(β)の単位量当たりのイソシアネート基の個数を、JIS−K−7301:1995に基づいて決定した。すなわち、成分(β)のイソシアネート基をジノルマルブチルアミンと反応させた後、過剰のジノルマルブチルアミンを京都電子工業株式会社の電位差自動滴定装置AT−610型を使用して塩酸水溶液で滴定する方法により上記個数を求めた。
【0056】
上記成分(γ)としては、上記で説明した光重合開始剤を使用することができる。
成分(γ)の配合量は、他の成分の種類や所望の塗膜厚みにより適宜選択することができ、一般的には成分(α)100質量部に対して、0.5〜10質量部程度である。
【0057】
また上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、フィラーなどの添加剤を1種、又は2種以上含んでいてもよい。
【0058】
好ましい任意成分としては、粒子径1nm〜300nmの微粒子をあげることができる。
前記微粒子を成分(α)100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは3〜25質量部使用することによりハードコート(E)の硬度を高めることができる。
前記微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子のどちらも使用することができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子;弗化マグネシウム、弗化ナトリウム等の金属弗化物微粒子;金属微粒子;金属硫化物微粒子;金属窒化物微粒子;などをあげることができる。
有機微粒子としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレン系樹脂、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの硬化樹脂などの樹脂ビーズをあげることができる。
これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また微粒子の塗料中での分散性を高めたり、得られる塗膜の硬度を高めたりする目的で、当該微粒子の表面をビニルシラン、アミノシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;脂肪酸、脂肪酸金属塩等の表面処理剤などにより処理したものを使用してもよい。
これらの中でより硬度の高いハードコート(E)を得るためにシリカ、酸化アルミニウムの微粒子が好ましく、シリカの微粒子がより好ましい。シリカ微粒子の市販品としては、日産化学工業株式会社のスノーテックス(商品名)、扶桑化学工業株式会社のクォートロン(商品名)などをあげることができる。
前記微粒子の粒子径は、ハードコート(E)の透明性を保持するために300nm以下である必要がある。また粒子径の粗い場合はハードコート(E)の硬度改良効果を得られないことがある。好ましくは200nm以下であり、より好ましくは120nm以下である。一方、粒子径の下限は特にないが、通常入手可能な粒子は細かくてもせいぜい1nm程度である。
なお本明細書において、微粒子の粒子径は、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計MT3200II(商品名)を使用して測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。
【0059】
また上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)は、塗工し易い濃度に希釈するため、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤は硬化性樹脂組成物の成分、及び、その他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、及び、ダイアセトンアルコールなどの公知のものを使用することができる。
【0060】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)は、これらの成分を混合、攪拌することにより得られる。
【0061】
ハードコート(E)の厚みは0.5μm以上であることが好ましい。これよりも薄いと耐傷付き性の改良効果を得られないことがある。一方、ハードコート(E)の厚みの上限は特にない。しかし、不必要に厚いハードコートはコストアップ要因になるばかりであるから、厚くてもせいぜい60μmである。
【0062】
本発明の物品は、透明樹脂シート(A)の表面側に更に二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の層を有することができる。
図4は、当該形態を説明するための物品の概略断面図であり、物品16は、透明樹脂シート(A)の表面側に更に二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の層を有する。なお、必要に応じて基材シートを熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)とから構成してもよい。また、上記の印刷層(C),(C’)を設けたりしてもよい。
二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)は高光沢性、高透明性を有しており、物品のガラス調意匠感を高めることができる。また耐溶剤性、耐傷付性、耐衝撃性、耐汚染性に優れており、物品のこれら特性を高めることができる。二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、グリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、酸共重合ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂またはこれらの任意の組み合わせからなる二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムをあげることができる。またその肉厚は、通常10μm〜100μmであり、好ましくは15〜50μmである。このような二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの市販例としては、ユニチカ株式会社のエンブレットS25(商品名)をあげることができる。
なお、上記の二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、上記の二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)として利用され得る。
【0063】
本発明の物品は、表面側からハードコート(E)と透明樹脂シート(A)と基材シート(B)とをこの順に含む形態である場合、ハードコート(E)と透明樹脂シート(A)との間に更に二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の層を有することができる。
図5は、当該形態を説明するための物品の概略断面図であり、物品17は、ハードコート(E)と透明樹脂シート(A)との間に更に二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の層を有する。なお、必要に応じて基材シートを熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)とから構成してもよい。また、上記の印刷層(C),(C’)を設けたりしてもよい。
【0064】
本発明の物品は、上記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)と上記透明樹脂シート(A)との間に更に印刷層(F)を有することができる。
図6は、当該形態を説明するための物品の概略断面図であり、物品18は、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)と上記透明樹脂シート(A)との間に更に印刷層(F)を有する。なお、必要に応じて二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の表面側に図示しないハードコート(E)を設けてもよく、基材シートを熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)と前記二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)とから構成してもよい。また、上記の印刷層(C),(C’)を設けたりしてもよい。
上記印刷層(F)は、物品に意匠性を付与するものであり、物品のガラス調意匠感を損なわない範囲において、任意の模様を任意のインキと任意の印刷機を使用して印刷することにより形成される。印刷は、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)と透明樹脂シート(A)のどちらに施してもよい。具体的な模様、使用インキ等は、上記印刷層(C)と同様に行うことができる。
【0065】
本発明の物品は、上記ハードコート(E)を設けるに際し、基材となる透明樹脂シート(A)や二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の表面に、ハードコートとの接着強度を高めるため、事前にアンカーコートを設けてもよい。
【0066】
アンカーコートを形成するためのアンカーコート剤としては、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸n−ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、アセトンなどの公知の溶剤に良く溶解し、かつ、十分なアンカー効果を得られるものであれば、特に制限はなく、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系およびポリエステルウレタン系等の慣用のものを使用することができる。市販例として、東洋紡株式会社のバイロン24SS(商品名)、株式会社トクシキのAU2141NTなどを挙げることができる。
【0067】
アンカーコートを設ける場合には、基材となる透明樹脂シート(A)や二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)の表面に、慣用の方法でアンカーコート剤を塗布してアンカーコートを形成しておき、このアンカーコートの上にハードコートを積層することができる。
【0068】
アンカーコートの厚みは通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.5〜2μmである。
【0069】
ハードコートのための塗料やアンカーコート剤を塗布する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコートおよびダイコートなどの方法があげられる。
【0070】
本発明の物品は、上記透明樹脂シート(A)と上記基材シート(B)、及び、その他の任意の層(C)〜(F)からなる積層体に曲げ加工等の加工を施すことにより得ることができる。このとき、基材シート(B)側を内側に折り曲げて曲げ加工を行う。
曲げ加工の方法としては、特に制限されず、任意の方法で行うことができる。例えば、積層体を適宜加熱して軟化させた後、R曲げ型によって、あるいはオスメス両型でプレスすることによって行うことができる。
図7は、曲げ加工後の本発明の物品の一部を説明するための概略断面図である。
なお、
図7の形態は、熱可塑性樹脂無延伸シート(B−1)上に印刷層(C’)、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)、透明樹脂シート(A)、印刷層(F)、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)、ハードコート(E)を順次設けた形態である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
実施例1
透明樹脂シート(A)の製造
アクリル系樹脂(A1−1)70質量部とアクリル系コアシェルゴム(A1−2)30質量部とのアクリル樹脂組成物(住友化学工業株式会社製HT03Y(商品名))を用い、Tダイ押出製膜法により厚み1mmの透明樹脂シートを得た。
また得られた透明樹脂シート(A)のヘイズ値と最小曲げ半径を上記の方法により測定した。
【0073】
基材シート(B−1)の製造
塩化ビニル樹脂(信越化学工業株式会社製、重合度1100)100質量部、ポリエステル系可塑剤(花王株式会社製、HA−5(商品名))20質量部およびカーボンブラック(三菱化学株式会社製、MCF#1000(商品名))5質量部を含有する組成物をカレンダー成形機により製膜し、厚み100μmの基材シート(B−1)を得た。
【0074】
成分(α−1)の合成
ダイセル・サイテック株式会社製のOTA480(製品名、上記式(5)のグリセリンプロポキシトリアクリレート)と2−アミノエタノールとを前者2モルに対し後者1モルの割合の量でガラス製のビーカーに仕込み、温度23℃で72時間反応させて、上記式(2)の構造を有する、4個のアクリロイルオキシ基を有するエタノールアミン変性ポリエーテルアクリレート(α−1)を得た。成分(α−1)の単位量当たりの水酸基の個数は、上述した方法により測定したところ、1.09モル/kgであった。
【0075】
ハードコート(E)用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)
成分(α)として成分(α−1)100質量部、
成分(β)として日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHX(商品名、上記式(6)のポリイソシアネート)(β−1)25質量部、
成分(γ)としてベンゾフェノン(γ−1)7質量部、
その他成分としての平均粒子径80nmの高純度コロイダルシリカ 8質量部、
及び、希釈溶剤としての1-メトキシ−2−プロパノール(E−1)200質量部を攪拌して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)を得た。
なお成分(β−1)の単位量当たりのイソシアネート基の個数は、上述した方法により測定したところ、5.12モル/kgであった。従って比(a/b)は、
(1.09×100)/(5.12×25)=0.85である。
【0076】
二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)、ハードコート(E)、印刷層(F)
二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)としてユニチカ株式会社の二軸延伸ポリエステルフィルム「エンブレットS25」(商品名、厚み25μm)を使用し、その片面にアンカーコート剤(東洋紡株式会社のバイロン24SS(商品名))を乾燥膜厚で1μmになるように塗布して、片面にアンカーコートを有する二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(D)を得た。
アンカーコートの上に上記で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)からなる塗料を塗布し、乾燥し、紫外線照射し、そして得られた積層体をロールに巻取った。
上記塗料の塗布は、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を用い、乾燥後の塗膜厚みが11μmとなるように行った。
このときライン速度は50m/分であり、セパレータは不要であった。
次にハードコート(E)を形成した面の反対側の面に塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体樹脂をビヒクルとするインクを使用して絵柄模様を印刷し、印刷層(F)を形成した。このとき形成する絵柄模様は、物品にガラス調の意匠を得ることができるように留意した。
【0077】
印刷層(C’)
二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム(B−2)としてユニチカ株式会社の二軸延伸ポリエステルフィルム「エンブレットS25」(商品名、厚み25μm)を使用し、その片面に塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体樹脂をビヒクルとするインクを使用して絵柄模様を印刷した。
【0078】
(A)と(B)との積層体の製造
上記で得た透明樹脂シート(A)、基材シート(B−1)、
片面にハードコート(E)を形成し、その反対の面に印刷層(F)を形成したフィルム(D)、及び、
片面に印刷層(C’)を形成したフィルム(B−2)を
図7の積層順になるように
接着剤として三井化学ポリウレタン株式会社のタケラックA−310/タケネートA−3(12/1質量比)の二液タイプを使用してドライラミネートした。
上記接着剤の塗布はフィルムメイヤーバー方式の塗工装置を用い、乾燥後の厚みが2.5μmとなるように行った。
【0079】
上記で得られた積層体を温度23℃±2℃、相対湿度50±5%にて24時間状態調節した後、(1)最小曲げ半径を上記の方法により測定した。
【0080】
曲面を有する物品の製造
上記で得られた積層体を温度23℃±2℃、相対湿度50±5%にて24時間状態調節した後、R曲げ型を使用して、曲げ加工温度130℃±2℃、折り曲げ線がシートのマシン方向と直角となる方向において、基材シート(B)側を内側に折り曲げて曲面が形成されるようにして逆U字形状の物品を製造した。
このとき曲面の曲げ半径の最小値は上記(1)の値と同じにすることができた。
物品の平らな部分を利用して物性(2)〜(6)を下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0081】
実施例2
透明樹脂シート(A)として、
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A2−1)の帝人化成株式会社のK−1300Y(商品名)を99.5質量部と
コアシェルゴム(A2−2)の株式会社カネカのメタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体「カネエースB−56(商品名)」を0.5質量部との
樹脂組成物を用い、Tダイ押出製膜法により得た厚み1mmの透明樹脂シートを使用したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表1に示す
【0082】
実施例3
透明樹脂シート(A)として、
非晶性又は低結晶性芳香族ポリエステル系樹脂(A3−1)のイーストマンケミカルカンパニー社のPETG樹脂「Cadence GS1(商品名)」を99質量部と
コアシェルゴム(A3−2)の株式会社カネカのメタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体「カネエースB−56(商品名)」を1質量部との
樹脂組成物を用い、Tダイ押出製膜法により得た厚み1mmの透明樹脂シートを使用したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表1に示す
【0083】
実施例4、5
透明樹脂シート(A)の厚さをそれぞれ表1のように変更したこと以外は
全て実施例1と同様に行った。結果を表1に示す
【0084】
実施例6
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)の成分(β)として住化バイエルウレタン株式会社のスミジュールHT(β−2)(商品名、上記式(7)のポリイソシアネート、単位量当たりのイソシアネート基の個数:3.10モル/kg)(B−2)を42質量部の量で使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0085】
実施例7〜12
実施例1において活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)の成分(β−1)の量を表2のように変更したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
なお実施例11において(1)最小曲げ半径の値が透明樹脂シート(A)の最小曲げ半径よりも大きいのは、ハードコート(E)が割れてしまうためである。下記実施例15及び16についても同様である。
【0086】
成分(α−2)の合成
上記成分(α−1)の合成において、OTA480(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名)に替えてトリプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・サイテック社製)を使用したこと以外は上記成分(α−1)の合成と同様にして、2個のアクリロイルオキシ基を有するエタノールアミン変性ポリエーテルアクリレート(α−2)を合成した。成分(α−2)の単位量当たりの水酸基の個数は、1.51モル/kgであった。
実施例13
実施例10において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)の成分(α)として成分(α−2)を使用したこと以外は実施例10と同様に行った。このときのライン速度は実施例10と同様に50m/分であったが、ロールへの巻取りにはセパレータが必要であった。結果を表2に示す。
【0087】
実施例14
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)の成分(α)として、トリプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・サイテック社製、単位量当たりの水酸基の個数:0モル/kg)(α−3)を使用し、成分(γ)として、アルキルフェノン系光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社のダロキュア1173(商品名)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(γ−2)を5質量部の量で使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。このときのライン速度は30m/分であった。成分(γ)としてベンゾフェノン(γ−1)を使用しなかったのは、成分(α)が上記(α−3)であるとき、上記(γ−1)では硬化速度が遅いためである。上記(α−3)と上記(β−1)との硬化が、ゲル化することなく速い速度で進むように、成分(γ)として上記(γ−2)を使用した。下記実施例15及び16についても同様である。なお、成分(γ)の量が5質量部であるのは、7質量部では多過ぎてゲル化を生じるからである。結果を表2に示す。
【0088】
実施例15
実施例14において、成分(α)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、単位量当たりの水酸基の個数:0.63モル/kg)(α−4)を使用し、比a/bが実施例1と同じ0.85となるように(β−1)の配合量を調節したこと以外は実施例14と同様に行った。結果を表2に示す。なお、上記(α−4)は、構造上は水酸基を有しないが、アクリロイルオキシ基の一部が加水分解された成分を含むために水酸基が存在する。下記実施例16における(α−5)についても同様である。
【0089】
実施例16
実施例14において、成分(α)として、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(日本化薬株式会社製、単位量当たりの水酸基の個数:0.35モル/kg)(α−5)を使用し、比a/bが実施例1と同じ0.85となるように(β−1)の配合量を調節したこと以外は実施例14と同様に行った。結果を表2に示す。
【0090】
実施例17
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(Q)のその他成分としての平均粒子径80nmの高純度コロイダルシリカを使用しなかったこと以外は、全て実施例1と
同様に行った。結果を表2に示す。
【0091】
試験方法
(2)鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4に従い、200g荷重の条件で、鉛筆{三菱鉛筆株式会社の「ユニ」(商品名)}を用いて、塗膜表面の硬度を評価した
いて、塗膜表面の硬度を評価した
【0092】
(3)耐傷付き性−1
上記で得られた積層体を長さ200mm×幅25mmの大きさに切り出して試験片とし、これを塗膜面が表面になるようにJIS L 0849の学振試験機に置いた。続いて、学振試験機の摩擦端子に#0000のスチールウールを取り付けた後、荷重1Kgを載せ、試験片の表面を5往復擦った。上記表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷がない
○:1〜3本の傷がある
△:4〜10本の傷がある
×:11本以上の傷がある
【0093】
(4)耐傷付き性−2
上記で得られた積層体を長さ150mm×幅75mmの大きさに切り出して試験片とし、これを塗膜面が表面になるように硝子板上に置いた。仲屋ブラシ工業製の4行真鍮ブラシ(荷重500gf)を用いて、試験片の表面を片道100mmの距離で10往復擦った。上記表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷がない
○:1〜3本の傷がある
△:4〜10本の傷がある
×:11本以上の傷がある
【0094】
(5)耐汚染性−1
上記で得られた積層体の塗膜表面を油性赤マジックによりスポット汚染した後、汚染部分を時計皿で被覆し、室温で24時間放置した。次いで、汚染部分を、イソプロピルアルコールを十分含ませたキムワイプ(商品名)を用いて、キムワイプに新たに汚れが付かなくなるまで拭いて洗浄した後、上記部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染無し
○:汚染が僅かに残っている
△:汚染がかなり残っている
×:汚染が著しく残っている
【0095】
(6)耐汚染性−2
上記で得られた積層体の塗膜表面を水性赤マジックによりスポット汚染した後、汚染部分を時計皿で被覆し、室温で24時間放置した。次いで、汚染部分を、流水で十分洗浄した後、水道水を十分含ませたキムワイプ(商品名)を用いて、キムワイプに新たに汚れが付かなくなるまで拭いて洗浄した後、上記部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染無し
○:汚染が僅かに残っている
△:汚染がかなり残っている
×:汚染が著しく残っている
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
表1および2の結果から、本発明の物品は、表面側から透明樹脂シート(A)と基材シート(B)とをこの順で積層し、透明樹脂シート(A)のヘイズおよび肉厚を適切に制御してなるものであるので、曲率の大きな曲面を有する物品でありながらガラス調意匠を有する。また、表面側からハードコート(E)と前記透明樹脂シート(A)と前記基材シート(B)とをこの順に含み、かつ特定のハードコート(E)を採用した形態によれば、優れた表面硬度、耐傷付性、耐汚染性を有する物品を提供することができる。