特許第5990344号(P5990344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990344
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】相乗作用を有する防腐剤ブレンド
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20160901BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20160901BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61Q5/02
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   A61Q5/12
   A61Q1/00
   A61Q17/04
   A61K8/34
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-563131(P2015-563131)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-525068(P2016-525068A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014063649
(87)【国際公開番号】WO2014207179
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年2月25日
(31)【優先権主張番号】13174309.8
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランフト、ヴォルカー
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−506621(JP,A)
【文献】 特表2002−544151(JP,A)
【文献】 米国特許第6447793(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/WPIDS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1から20重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)10から89重量%のベンジルアルコールと;
(c)10から89重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から4:1である、混合物と
を含む防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項2】
(a)1から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から70重量%のベンジルアルコールと;
(c)20から70重量%の以下の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から4:1である、混合物と
を含む、請求項1に記載の防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項3】
(a)2から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から50重量%のベンジルアルコールと;
(c)40から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から4:1である、混合物と
を含む、請求項2に記載の防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項4】
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと;
(c)50から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から2:1である、混合物と
を含む、請求項3に記載の防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項5】
成分(c)が、(i)1,2−プロパンジオール及び(ii)1,4−ブタンジオールの混合物である、請求項1から4の何れか一項に記載の防腐剤組成物。
【請求項6】
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと;
(c)50から70重量%の、(i)1,2−プロパンジオール及び(ii)1,4−ブタンジオールの混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から2:1である、混合物と
を含む、請求項5に記載の防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項7】
成分(c)が、(i)1,3−プロパンジオール及び(ii)1,3−ブタンジオールの混合物である、請求項1から4の何れか一項に記載の防腐剤組成物。
【請求項8】
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと;
(c)50から70重量%の、(i)1,3−プロパンジオール及び(ii)1,3−ブタンジオールの混合物であって、(i)対(ii)の重量比が1:4から2:1である、混合物と
を含む、請求項7に記載の防腐剤組成物(重量%は(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく)。
【請求項9】
化粧品又はパーソナルケア製品中の微生物の増殖を防止又は阻害する方法であって、前記化粧品又はパーソナルケア製品に、請求項1から8の何れか一項に記載の防腐剤組成物を、前記化粧品又はパーソナルケア製品の全重量100%に基づいて、成分(a)、(b)及び(c)の合計として計算して0.1から10.0重量%の量で添加する工程を含む、方法。
【請求項10】
請求項1から8の何れか一項に記載の防腐剤組成物が、前記化粧品又はパーソナルケア製品に、前記化粧品又はパーソナルケア製品の全重量100%に基づいて、成分(a)、(b)及び(c)の合計として計算して0.5から5.0重量%の量で添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化粧品又はパーソナルケア製品が、シャンプー、ローション、シャワージェル、バブルバス、バスオイル、クリーム、ベビー用品、液体石鹸、ヘアージェル、メイクアップ用品、及び日焼け止めからなる群から選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から8の何れか一項に記載の防腐剤組成物を含む、防腐処理された化粧品又はパーソナルケア製品であって、
前記防腐剤組成物を、前記化粧品又はパーソナルケア製品の全重量100%に基づいて、成分(a)、(b)及び(c)の合計として計算して0.1から10.0重量%の量で含む、製品。
【請求項13】
請求項1から8の何れか一項に記載の防腐剤組成物を含む、防腐処理された化粧品又はパーソナルケア製品であって、
前記防腐剤組成物を、前記化粧品又はパーソナルケア製品の全重量100%に基づいて、成分(a)、(b)及び(c)の合計として計算して0.5から5.0重量%の量で含む、製品。
【請求項14】
前記化粧品又はパーソナルケア製品が、シャンプー、ローション、シャワージェル、バブルバス、バスオイル、クリーム、ベビー用品、液体石鹸、ヘアージェル、メイクアップ用品、及び日焼け止めからなる群から選択される、請求項12又は13に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルビン酸又はその塩をベースとする相乗作用を有する防腐剤ブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ソルビン酸は、食物及び飼料、医薬品、並びに化粧品等の種々の製品のための防腐剤として、長年使用されてきた天然に存在する酸である。ソルビン酸は、本質的にヒト及び哺乳動物に対して非毒性であり、且つ微かな匂いを有するだけなので、より問題となる毒物学的又は感覚的特性を有する他の防腐剤に取って代るものとして魅力的である。しかし、ソルビン酸は、水に比較的やや難溶性の固体である。実用的な理由から、シャンプー、ローション、クリーム、液体石鹸等の液体又は半液体の化粧品及びパーソナルケア製品の製造者は、それらの製品に容易に混合することができる液体又は易溶性の防腐剤配合物を好む。更に、ソルビン酸及びその塩の殺菌性能はあまり高くない。
従って、本発明の目的は、改善された殺菌活性を有する液体形態のソルビン酸系防腐剤を提供することであった。
【0003】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の防腐剤ブレンドにより達成された。
驚くべきことに、1,4−ブタンジオール及び1,3−ブタンジオールから選択されるブタンジオール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールから選択されるプロパンジオール、ベンジルアルコール、並びにソルビン酸又はその塩を含む組成物が、化粧品及びパーソナルケア配合物に容易に混合することができる均質な液体であるのみならず、これらの成分を単独で使用した場合と比較してかなりの相乗効果を有することも見出された。
【0004】
本発明によれば、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、
(a)1から20重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)10から89重量%のベンジルアルコールと;
(c)10から89重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物;及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から4:1である)と;
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0005】
好ましい実施態様では、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、
(a)1から10重量%のソルビン酸又はその塩と;
(b)20から70重量%のベンジルアルコールと;
(c)20から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物;及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から4:1である)と;
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0006】
より好ましくは、この相乗作用を有する防腐剤組成物には
(a)2から10重量%のソルビン酸又はその塩と、
(b)20から50重量%のベンジルアルコールと、
(c)40から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物
の混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から4:1である)と
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0007】
最も好ましくは、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と、
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと、
(c)50から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、又はそれらの混合物、及び
(ii)1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、又はそれらの混合物の
混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から4:1である)と
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0008】
一の好ましい実施態様では、この相乗作用を有する防腐剤組成物の成分(c)は、(i)1,2−プロパンジオール及び(ii)1,4−ブタンジオールの混合物である。
より好ましくは、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と、
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと、
(c)50から70重量%の
(i)1,2−プロパンジオール;及び
(ii)1,4−ブタンジオールの混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から2:1である)と
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0009】
別の好ましい実施態様では、この相乗作用を有する防腐剤組成物の成分(c)は、(i)1,3−プロパンジオール及び(ii)1,3−ブタンジオールの混合物である。
より好ましくは、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、
(a)4から10重量%のソルビン酸又はその塩と、
(b)20から45重量%のベンジルアルコールと、
(c)50から70重量%の
(i)1,3−プロパンジオール;及び
(ii)1,3−ブタンジオールの混合物(ここで、(i)対(ii)の重量比は、1:4から2:1である)と
が含まれる(重量%は(a)、(b)及び(c)の全重量に基づく)。
【0010】
主な成分(a)、(b)及び(c)に加えて、この相乗作用を有する防腐剤組成物には、溶媒、抗酸化剤、安定剤、着色剤、芳香剤及び香料等の補助剤、又は当該技術分野で知られている他の添加剤を含有させることができる。
本発明に係る相乗作用を有する防腐剤組成物は、好ましくは、化粧品又はパーソナルケア製品(トイレタリー)中で微生物が増殖するのを防止又は阻害する方法において使用される。この方法には、前記製品に上記実施態様のうちいずれか1つに係る防腐剤組成物を、それぞれの化粧品又はパーソナルケア製品の全重量100%に基づいて、成分(a)、(b)及び(c)の合計として計算して0.1から10.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の量で添加する工程が含まれる。
【0011】
適切な化粧品及びパーソナルケア製品には、非限定的に、シャンプー、ローション、シャワージェル、バブルバス、バスオイル、クリーム、ベビー用品、液体石鹸、ヘアージェル、メイクアップ用品及び日焼け止めが含まれる。
上記実施態様のうちいずれか1つに係る防腐剤組成物を含む防腐された化粧品及びパーソナルケア製品、又は上記方法によって得られる防腐された化粧品及びパーソナルケア製品もまた、本発明の目的である。
以下の非限定的な例により、本発明を更に説明することを意図する。特に断らない限り、全ての百分率は重量(w / w)による。
【実施例】
【0012】

例1
防腐剤濃縮物の調製
ソルビン酸(6g)を攪拌下でベンジルアルコール(20g)、1,2−プロパンジオール(37g)及び1,4−ブタンジオール(37g)の混合物に、透明な無色の溶液が得られるまで溶解した。
【0013】
例2
接種試験、細菌(bacteria)
A)試薬及び培地
トリプシン大豆ブロス(tryptic soy broth):30gの培地(Merck)を1Lの脱イオン水に懸濁する。9mLを20mLのガラス管に分注して、オートクレーブする(121℃にて15分間)。最終的なpHは7.3±0.2である。
トリプシン性大豆寒天プレート:既製のプレート(Merck)。最終的なpHは7.3±0.2である。
サブロー−2%グルコース−寒天プレ−ト:既製のプレ−ト(Merck)。最終的なpHは5.6±0.2である。
サブロー−2%グルコース−寒天傾斜培地:47gの培地(Merck)を1Lの脱イオン水に懸濁する。約6mLを20mLのガラス管に分注して、オートクレーブする(121℃にて15分間)。最終的なpHは5.6±0.2である。管を傾斜させて、冷却する。
NaCl−ペプトン溶液:8.0gの塩化ナトリウムと1.5gのトリプトン水を1Lの脱イオン水に溶解する。9mLを20mLのガラス管に分注して、オートクレーブする(121℃にて15分間)。
不活化培地:1Lの培地の場合、30.0gのトリプシン大豆ブロス、30.0gのTween(登録商標)80、30.0gのサポニン、1.0gのヒスチジン及び1.0gのシステインを脱イオン水に溶解する。少量のアリコートに分けて、オートクレーブする(121℃にて15分間)。
【0014】
B)接種物の調製
略等量の黄色ブドウ球菌ATCC 6538、緑膿菌ATCC 9027及び大腸菌ATCC 8739を含有する混合接種物を、以下の手順に従って調製した:
各細菌株の1つのコロニーを、保存培養株からトリプシン大豆寒天プレートに移し、18〜24時間、37±2℃でインキュベートした。次に、このようにして得られた各々の培養株の幾つかのコロニーをトリプシン大豆ブロス管に移し、再び、18〜24時間、37±2℃でインキュベートして、細菌継代培養株を得、これの200μLを滅菌プラスチック管中の2mLのNaCl−ペプトン溶液に添加して、約10cfu/mLのそれぞれの細菌を含有する接種物を得た。最終的に、混合接種物を、等容積の各接種物を混合することにより調製した。
【0015】
C)接種試験
例1で得られた防腐剤組成物を、2種の異なる濃度でベルギー、エスタンピュイのMcBride WCEから供給される通常の髪の毛用の防腐処理されていない標準的なシャンプー調製物(「Shampoo ULD」)のサンプル20gに添加した。比較のために、追加した20gのサンプルについて、防腐剤組成物の成分の各々を単独で又は2種の又は3種の成分の組合せのいずれかで当量にて使用して試験した。その後、各サンプルに、工程A)で得た混合接種物200μLを接種し、激しく振とうして、均質な汚染物を得た。その後、サンプルを室温で保存し、7日毎に、200μLのサンプルを採取し、各々を1.8mLの不活化培地と混合し、得られた混合物100μLを寒天プレートの表面に均質に塗布し、2〜3日間、37±2℃でインキュベートすることにより、細菌のカウントを測定した。インキュベート期間後、寒天プレート上に形成されたコロニーをカウントし、その結果をcfu/mLに換算した。必要に応じて、連続希釈液をNaCl−ペプトンで調製して、細菌のカウントが高い場合に対処した。その結果を、以下の表1に記載する。「0日」における記載は、接種物の細菌のカウントから計算した開始時のレベルを表す。イタリック体での記載は比較試験を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
例3
接種試験、真菌(fungi)
A)接種物の調製
略等量のカンジダアルビカンスATCC 10231と黒色アスペルギルスATCC 16404を含有する混合接種物を、以下の手順に従って調製した:
カンジダアルビカンスの1つのコロニーを保存培養株からサブロー−2%グルコース寒天プレートに移し、42〜48時間、30±2℃でインキュベートした。その後、このようにして得られた培養株の数個のコロニーを、滅菌プラスチック管中の約2mLのNaCl−ペプトン溶液に移し、微生物のカウントが約10cfu/mLである接種物を得た。
約100μLの黒色アスペルギルスの胞子の保存溶液を、サブロー−2%グルコース−寒天傾斜培地に移し、その表面上に均一に広げ、10〜12日間、30±2℃でインキュベートした。その後、NaCl−ペプトン溶液(9mL)を、傾斜培地に、幾つかの滅菌ガラスビーズと共に添加し、激しく振とうした。得られた混合物を、滅菌ガラスウールを介して、空の滅菌管中にろ過した。微生物のカウントを、プレートカウント(30±2℃にて2〜5日間インキュベートする。)によりチェックして、約2×10cfu/mLであることを確認した。
最終的に、混合接種物を、等容積の各接種物を混合することにより調製した。
【0018】
例1で得た防腐剤組成物を、pH5.5を有し、且つ表2に記載の組成を有する防腐処理されていないシャンプー調製物に添加した。
【表2】
【0019】
比較のために、防腐剤組成物の各々の成分の当量について、単独で又は2種の成分を組合せて試験した。その後、シャンプー調製物を、菌類の混合物と共にインキュベートし、細菌(germ)のカウントを、プレートを3〜5日間、30±2℃でインキュベートしたことを除いて、本質的に例2の工程C)に記載したのと同じ方法を使用して7日毎に測定した。その結果を以下の表3に記載する。「0日」における記載は接種物の細菌のカウントから計算した開始時のレベルを表す。イタリック体での記載は、比較試験を示す。
【表3】
【0020】
例4
防腐剤濃縮物の調製
例1の手順を、種々の量のソルビン酸を使用して繰返した。4種の組成物(AからD)を調製した。各組成物の成分の濃度を以下の表4に記載する。
【表4】
【0021】
例5
接種試験
2つのシリーズの接種物(接種#1及び接種#2と表示)を、例2と3に記載した方法に従って、微生物の黄色ブドウ球菌ATCC 6538、緑膿菌ATCC 9027、バークホルデリアセパシアATCC 25416、肺炎桿菌ATCC 4352、エンテロバクターゲルゴビエATCC 33028、及びカンジダアルビカンスATCC 10231、並びに、略等量の、化粧品から単離した2種のペニシリウム種及びアスペルギルスブラジリエATCC16404からなる「混合カビ」接種物を使用して調製した。接種物を、2重量%(サンプル全体の重量に基づいて)の表4に記載した防腐剤濃縮物のうち1種を添加することによって防腐処理された試験基剤(ローション)のサンプルに添加して、防腐処理されたサンプルにおけるソルビン酸の濃度をそれぞれ0.02%、0.05%、0.08%及び0.09%とした。試験基剤の組成物を以下に示す。

成分 含有物名 重量%
脱イオン水 水(aqua) 82.95
キサンタンガム キサンタンガム 1 .00
グリセロール グリセリン 2.00
Versene(登録商標)Na EDTA二ナトリウム 0.05
セテアリルアルコール セテアリルアルコール 2.00
ステアリン酸 ステアリン酸 2.00
Lonzest(商標)MSA ステアリン酸グリセリル&
PEG100ステアラート 2.00
Glycosperse(商標)
O−20 ポリソルバート80 1.00
pH調整剤、防腐剤 − 7.00
【0022】
接種物の量を、以下の表5に記載したローションのグラム当たりのコロニー形成単位の数となるように選択した。
【表5】

サンプル(各々35 g)に、グラム当たり約2×10の細菌又はグラム当たり10の酵母細胞又はカビ胞子を接種した。個々の確認物を、一晩経過した傾斜培地の細菌及び酵母培養物から、及び7から10日経過した非常に胞子が出ているカビ培養株から調製した。全てのサンプルを、24時間後及び4週間毎週、生存生物について定量的に(細菌はトリプシン性大豆寒天に及び菌類は麦芽寒天に)塗布し、試験基剤(化粧水)のグラム当たりのコロニー形成単位(cfu/g)の数を測定した。0.5%のTween(登録商標)80と0.07%のレシチンが添加された変法レーゼンブロスを中和剤として使用した。カビの胞子を接種したサンプルは48時間後にも塗布した。最初の確認の4週間後、サンプルを再び確認し、同様のサンプリング計画を実施した。対照サンプル(防腐剤なし)に対するcfu/g数もまた接種#1と接種#2の両方の後、0時間(即ち、接種直後)において測定した。その結果を以下の表6から11に記載する。表11のデータは、試験基剤に添加する前にエージングした組成物Dを用いて調製したサンプルに関する。
【0023】
防腐剤(表4参照) 表番号
なし(防腐処理されていない対照) 表6
組成物A 表7
組成物B 表8
組成物C 表9
組成物D 表10
組成物D(エージング*) 表11
*)50℃にて1月間エージングした後、室温で数か月間貯蔵した。

【表6】

【表7】

【表8】