(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1又は2記載の燃料電池モジュールにおいて、前記仕切り部材には、前記燃焼ガス連通孔に隣接して前記燃焼ガス流通規制部材が配置されることを特徴とする燃料電池モジュール。
請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃焼ガス流通規制部材には、前記燃焼ガスを通過させる燃焼ガス流通孔が設けられることを特徴とする燃料電池モジュール。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃焼ガス流通規制部材には、前記燃焼ガスによる燃焼を促進させるための燃焼触媒が設けられることを特徴とする燃料電池モジュール。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電池モジュールは、固体酸化物形燃料電池モジュールであることを特徴とする燃料電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、燃料電池システム10は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池モジュール12を組み込むとともに、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられる。
【0028】
燃料電池システム10は、燃料ガス(水素ガスにメタン、一酸化炭素が混合した気体)と酸化剤ガス(空気)との電気化学反応により発電する燃料電池モジュール(SOFCモジュール)12と、前記燃料電池モジュール12に原燃料(例えば、都市ガス)を供給する原燃料供給装置(燃料ガスポンプを含む)14と、前記燃料電池モジュール12に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置(空気ポンプを含む)16と、前記燃料電池モジュール12に水を供給する水供給装置(水ポンプを含む)18と、前記燃料電池モジュール12の発電量を制御する制御装置20とを備える。
【0029】
燃料電池モジュール12は、複数の固体酸化物形の燃料電池22が鉛直方向(又は水平方向)に積層される固体酸化物形の燃料電池スタック24を備える。燃料電池22は、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質26の両面に、カソード電極28及びアノード電極30が設けられた電解質・電極接合体(MEA)32を備える。
【0030】
電解質・電極接合体32の両側には、カソード側セパレータ34とアノード側セパレータ36とが配設される。カソード側セパレータ34には、カソード電極28に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路38が形成されるとともに、アノード側セパレータ36には、アノード電極30に燃料ガスを供給する燃料ガス流路40が形成される。なお、燃料電池22としては、従来より使用されている種々のSOFCを用いることができる。
【0031】
燃料電池22は、作動温度が数百℃と高温であり、アノード電極30では、燃料ガス中のメタンが改質されて水素、COが得られ、この水素、COが電解質26の前記アノード電極30側に供給される。
【0032】
燃料電池スタック24には、各酸化剤ガス流路38の入口側に一体に連通する酸化剤ガス入口連通孔42a、前記酸化剤ガス流路38の出口側に一体に連通する酸化剤ガス出口連通孔42b、各燃料ガス流路40の入口側に一体に連通する燃料ガス入口連通孔44a、及び前記燃料ガス流路40の出口側に一体に連通する燃料ガス出口連通孔44bが設けられる。
【0033】
燃料電池モジュール12は、炭化水素を主体とする原燃料(例えば、都市ガス)と水蒸気との混合ガスを改質し、燃料電池スタック24に供給される燃料ガスを生成する改質器46と、水を蒸発させるとともに、前記水蒸気を前記改質器46に供給する蒸発器48と、燃焼ガスとの熱交換により酸化剤ガスを昇温させるとともに、前記燃料電池スタック24に前記酸化剤ガスを供給する熱交換器50と、前記燃料電池スタック24から排出される前記燃料ガスである燃料排ガスと前記酸化剤ガスである酸化剤排ガスとを燃焼させ、前記燃焼ガスを発生させる排ガス燃焼器52と、前記原燃料と前記酸化剤ガスとを燃焼させて前記燃焼ガスを発生させる起動用燃焼器54とを備える。
【0034】
燃料電池モジュール12は、基本的には、燃料電池スタック24とFC周辺機器56とにより構成される。このFC周辺機器56は、改質器46、蒸発器48、熱交換器50、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54を備える。
【0035】
図2に示すように、FC周辺機器56は、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54が構成される、例えば、開口形状円形の第1領域R1と、熱交換器50が構成されるとともに、前記第1領域R1を環状に周回する第2領域R2と、改質器46が構成されるとともに、前記第2領域R2を環状に周回する第3領域R3と、蒸発器48が構成されるとともに、前記第3領域R3を環状に周回する第4領域R4とを備える。
【0036】
図2及び
図3に示すように、起動用燃焼器54は、空気供給管57及び原燃料供給管58を備える。起動用燃焼器54は、エゼクタ機能を有し、空気供給管57から導入される空気流により原燃料供給管58に負圧を発生させて、原燃料を吸引する。
【0037】
FC周辺機器56は、
図2及び
図4に示すように、第1領域R1と第2領域R2との間に配置される第1仕切り板(仕切り部材)60a、前記第2領域R2と第3領域R3との間に配置される第2仕切り板60b及び前記第3領域R3と第4領域R4との間に配置される第3仕切り板60cとを備える。第4領域R4の外周には、外板である第4仕切り板60dが設けられる。
【0038】
図2及び
図3に示すように、排ガス燃焼器52は、起動用燃焼器54を収容する第1仕切り板60a内に同軸に構成される。第1仕切り板60aは、円筒形状を有する。第1仕切り板60aの外周部には、燃料電池スタック24側の端部に近接し、第1領域R1から第2領域R2に燃焼ガスを流通させる複数の第1燃焼ガス連通孔62aが形成される。
【0039】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第1の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接し、前記排ガス燃焼器52から前記起動用燃焼器54への燃焼ガスの流通を規制する一方、前記起動用燃焼器54から前記排ガス燃焼器52への前記燃焼ガスの流通を規制する燃焼ガス流通規制部材として、邪魔円板61が設けられる。
【0040】
邪魔円板61は、
図2〜
図6に示すように、中心に燃焼ガスを通過させる燃焼ガス流通孔61aが設けられる。邪魔円板61は、耐熱金属、例えば、ニッケルをベースとする耐熱合金により構成される。
図5及び
図6に示すように、邪魔円板61は、側面(板厚方向)視で波形状に屈曲成形され、外周部が第1仕切り板60aの内周面に溶接等により固着される。邪魔円板61の外周には、下側に屈曲する下側頂部61bdと、上側に屈曲する上側頂部61buとが交互に設けられる。
【0041】
下側頂部61bdは、第1燃焼ガス連通孔62aの下方に配置され、前記第1燃焼ガス連通孔62aを排ガス燃焼器52に連通する。上側頂部61buは、第1燃焼ガス連通孔62aの上方に配置され、前記第1燃焼ガス連通孔62aを起動用燃焼器54に連通する。
【0042】
図2及び
図5に示すように、第2仕切り板60bには、燃料電池スタック24とは反対側の端部に近接して複数の第2燃焼ガス連通孔62bが形成される。第3仕切り板60cには、燃料電池スタック24側の端部に近接して複数の第3燃焼ガス連通孔62cが形成される。第4仕切り板60dには、燃料電池スタック24とは反対側の端部に近接して複数の第4燃焼ガス連通孔62dが形成される。第4燃焼ガス連通孔62dは、燃焼ガスを外部に排出する。
【0043】
第1仕切り板60aには、酸化剤排ガス通路63aの一端と燃料排ガス通路63bの一端とが配置される。第1仕切り板60a内では、燃料ガス(具体的には、燃料排ガス)と酸化剤ガス(具体的には、酸化剤排ガス)との燃焼反応により、燃焼ガスが生成される。
【0044】
図1に示すように、酸化剤排ガス通路63aの他端は、燃料電池スタック24の酸化剤ガス出口連通孔42bに接続されるとともに、燃料排ガス通路63bの他端は、前記燃料電池スタック24の燃料ガス出口連通孔44bに接続される。
【0045】
図2及び
図3に示すように、熱交換器50は、第1仕切り板60aの外周に配設される複数本の熱交換管路(伝熱パイプ)64を備える。熱交換管路64の一端部(燃料電池スタック24とは反対側の他方の端部、以下同様)は、第1内側リング66aに固定されるとともに、前記熱交換管路64の他端部(燃料電池スタック24側の一方の端部、以下同様)は、第1内側リング66bに固定される。
【0046】
第1内側リング66a、66bの外方には、第1外側リング68a、68bが配設される。第1内側リング66a、66b及び第1外側リング68a、68bは、第1仕切り板60aの外周面と第2仕切り板60bの内周面とに固着される。
【0047】
第1内側リング66aと第1外側リング68aとの間には、酸化剤ガスが供給される環状の酸化剤ガス供給室70aが形成される。第1内側リング66bと第1外側リング68bとの間には、昇温された酸化剤ガスが排出される環状の酸化剤ガス排出室70bが形成される(
図2〜
図4参照)。熱交換管路64の両端は、酸化剤ガス供給室70aと酸化剤ガス排出室70bとに開放される。
【0048】
酸化剤ガス供給室70aには、酸化剤ガス供給管72が配設される。酸化剤ガス排出室70bには、酸化剤ガス通路74の一端が配設されるとともに、前記酸化剤ガス通路74の他端は、燃料電池スタック24の酸化剤ガス入口連通孔42aに接続される(
図1参照)。
【0049】
改質器46は、都市ガス(原燃料)中に含まれるエタン(C
2H
6)、プロパン(C
3H
8)及びブタン(C
4H
10)等の高級炭化水素(C
2+)を、主としてメタン(CH
4)、水素、COを含む燃料ガスに水蒸気改質するための予備改質器であり、数百℃の作動温度に設定される。
【0050】
改質器46は、
図2及び
図3に示すように、熱交換器50の外周に配設される複数本の改質管路(伝熱パイプ)76を備える。改質管路76の一端部は、第2内側リング78aに固定されるとともに、前記改質管路76の他端部は、第2内側リング78bに固定される。
【0051】
第2内側リング78a、78bの外方には、第2外側リング80a、80bが配設される。第2内側リング78a、78b及び第2外側リング80a、80bは、第2仕切り板60bの外周面と第3仕切り板60cの内周面とに固着される。
【0052】
第2内側リング78aと第2外側リング80aとの間には、混合ガス(原燃料と水蒸気)が供給される環状の混合ガス供給室82aが形成される。第2内側リング78bと第2外側リング80bとの間には、生成された燃料ガス(改質ガス)が排出される環状の改質ガス排出室82bが形成される。
【0053】
改質管路76の両端は、混合ガス供給室82aと改質ガス排出室82bとに開放される。各改質管路76内には、改質用のペレット状触媒84が充填される。改質管路76の両端には、ペレット状触媒84を保持するための金網86が配設される。
【0054】
混合ガス供給室82aには、原燃料供給路88が接続されるとともに、前記原燃料供給路88の途上には、後述する蒸発リターン管路102が接続される。改質ガス排出室82bには、燃料ガス通路90の一端が連通するとともに、前記燃料ガス通路90の他端は、燃料電池スタック24の燃料ガス入口連通孔44aに連通する(
図1参照)。
【0055】
蒸発器48は、改質器46の外周に配設される複数本の蒸発管路(伝熱パイプ)92を備える。蒸発管路92の一端部は、第3内側リング94aに固定されるとともに、前記蒸発管路92の他端部は、第3内側リング94bに固定される。
【0056】
第3内側リング94a、94bの外方には、第3外側リング96a、96bが配設される。第3内側リング94a、94b及び第3外側リング96a、96bは、第3仕切り板60cの外周面と第4仕切り板60dの内周面とに固着される。
【0057】
第3内側リング94aと第3外側リング96aとの間には、水が供給される環状の水供給室98aが形成される。第3内側リング94bと第3外側リング96bとの間には、水蒸気が排出される環状の水蒸気排出室98bが形成される。蒸発管路92の両端は、水供給室98aと水蒸気排出室98bとに開放される。
【0058】
水供給室98aには、水通路100が配設される。水蒸気排出室98bには、少なくとも1本以上の蒸発管路92により構成される蒸発リターン管路102の一端が配設されるとともに、前記蒸発リターン管路102の他端は、原燃料供給路88の途上に接続される(
図1参照)。原燃料供給路88は、エゼクタ機能を有しており、流通される原燃料によって負圧を発生させ、水蒸気の吸引を行う。
【0059】
図1に示すように、原燃料供給装置14は、原燃料通路104を備える。原燃料通路104は、原燃料用調整弁106を介して原燃料供給路88と原燃料供給管58とに分岐する。原燃料供給路88には、都市ガス(原燃料)中に含まれる硫黄化合物を除去するための脱硫器108が配設される。
【0060】
酸化剤ガス供給装置16は、酸化剤ガス通路110を備える。酸化剤ガス通路110は、酸化剤ガス用調整弁112を介して酸化剤ガス供給管72と空気供給管57とに分岐する。水供給装置18は、水通路100を介して蒸発器48に接続される。
【0061】
図5に概略的に示すように、第1領域R1には、燃焼ガスが流通する第1燃焼ガス通路116aが形成され、第2領域R2には、前記燃焼ガスが矢印A1方向に流通する第2燃焼ガス通路116bが形成され、第3領域R3には、前記燃焼ガスが矢印A2方向に流通する第3燃焼ガス通路116cが形成され、第4領域R4には、前記燃焼ガスが矢印A1方向に流通する第4燃焼ガス通路116dが形成される。
【0062】
このように構成される燃料電池システム10の動作について、以下に説明する。
【0063】
燃料電池システム10の起動時には、空気(酸化剤ガス)及び原燃料が起動用燃焼器54に供給される。具体的には、酸化剤ガス供給装置16では、空気ポンプの駆動作用下に酸化剤ガス通路110に空気が供給される。この空気は、酸化剤ガス用調整弁112の開度調整作用下に、空気供給管57に供給される。
【0064】
一方、原燃料供給装置14では、燃料ガスポンプの駆動作用下に原燃料通路104に、例えば、都市ガス(CH
4、C
2H
6、C
3H
8、C
4H
10を含む)等の原燃料が供給される。原燃料は、原燃料用調整弁106の開度調整作用下に、原燃料供給管58に導入される。この原燃料は、空気と混合されるとともに、起動用燃焼器54内に供給される(
図2参照)。
【0065】
このため、起動用燃焼器54内には、原燃料と空気との混合ガスが供給され、この混合ガスが着火されることにより、燃焼が開始される。従って、起動用燃焼器54から第1仕切り板60aの内部には、燃焼ガスが導入される。
図5に示すように、第1仕切り板60aには、燃料電池スタック24側の端部に近接して複数の第1燃焼ガス連通孔62aが形成されるとともに、前記第1燃焼ガス連通孔62aに隣接して邪魔円板61が配設されている。
【0066】
これにより、第1仕切り板60aの内部に供給された燃焼ガスは、邪魔円板61の上側頂部61buに対応して配置されている第1燃焼ガス連通孔62aを通過し、第1領域R1から第2領域R2に導入される。
【0067】
燃焼ガスは、第2領域R2を矢印A1方向に流通した後、第2仕切り板60bに形成された複数の第2燃焼ガス連通孔62bを通って第3領域R3に導入される。第3領域R3では、燃焼ガスは、矢印A2方向に流通した後、第3仕切り板60cに形成された複数の第3燃焼ガス連通孔62cを通って第4領域R4に導入される。燃焼ガスは、第4領域R4を矢印A1方向に流通した後、第4仕切り板60dに形成された第4燃焼ガス連通孔62dから外部に排出される。
【0068】
その際、第2領域R2には、熱交換器50が配置されており、第3領域R3には、改質器46が配置されており、第4領域R4には、蒸発器48が配置されている。このため、第1領域R1から排出される燃焼ガスは、熱交換器50、改質器46及び蒸発器48の順に加熱する。
【0069】
そして、燃料電池モジュール12が設定温度に昇温されると、熱交換器50に酸化剤ガスが供給される一方、改質器46には、原燃料及び水蒸気の混合ガスが供給される。
【0070】
具体的には、酸化剤ガス用調整弁112の開度が調整されて、酸化剤ガス供給管72への空気供給量が増加されるとともに、原燃料用調整弁106の開度が調整されて、原燃料供給路88への原燃料供給量が増加される。また、水供給装置18の作用下に、水通路100に水が供給される。
【0071】
従って、
図2及び
図3に示すように、熱交換器50に導入された空気は、酸化剤ガス供給室70aに一旦供給された後、複数の熱交換管路64内を移動する間に、第2領域R2に導入された燃焼ガスにより加熱(熱交換)される。加熱された空気は、一旦酸化剤ガス排出室70bに供給された後、酸化剤ガス通路74を介して燃料電池スタック24の酸化剤ガス入口連通孔42aに供給される(
図1参照)。
【0072】
燃料電池スタック24では、加熱された空気は、酸化剤ガス流路38を流通した後、酸化剤ガス出口連通孔42bから酸化剤排ガス通路63aに排出される。酸化剤排ガス通路63aは、排ガス燃焼器52を構成する第1仕切り板60aの内部に開口しており、前記第1仕切り板60a内に酸化剤排ガスが導入される。
【0073】
また、
図1に示すように、水供給装置18から供給される水は、蒸発器48に供給されるとともに、脱硫器108で脱硫された原燃料は、原燃料供給路88を流通して改質器46に向かう。
【0074】
蒸発器48では、水が一旦水供給室98aに供給された後、複数本の蒸発管路92内を移動する間、第4領域R4を流通する燃焼ガスにより昇温されて、水蒸気化される。この水蒸気は、水蒸気排出室98bに一旦導入された後、前記水蒸気排出室98bに連通する蒸発リターン管路102に供給される。これにより、水蒸気は、蒸発リターン管路102内を流通して原燃料供給路88に導入され、原燃料と混合して混合ガスが得られる。
【0075】
混合ガスは、原燃料供給路88から改質器46を構成する混合ガス供給室82aに一旦供給される。混合ガスは、複数の改質管路76内を移動する。その間に、混合ガスは、第3領域R3を流通する燃焼ガスにより加熱されるとともに、ペレット状触媒84を介して水蒸気改質され、C
2+の炭化水素が除去(改質)されてメタンを主成分とする改質ガスが得られる。
【0076】
この改質ガスは、加熱された燃料ガスとして、一旦改質ガス排出室82bに供給された後、燃料ガス通路90を介して燃料電池スタック24の燃料ガス入口連通孔44aに供給される(
図1参照)。
【0077】
燃料電池スタック24では、加熱された燃料ガスは、燃料ガス流路40を流通した後、燃料ガス出口連通孔44bから燃料排ガス通路63bに排出される。燃料排ガス通路63bは、排ガス燃焼器52を構成する第1仕切り板60aの内部に開口しており、前記第1仕切り板60a内に燃料排ガスが導入される。
【0078】
なお、起動用燃焼器54による昇温作用下に、排ガス燃焼器52内が燃料ガスの自己着火温度を超えると、第1仕切り板60a内で酸化剤排ガスと燃料排ガスとによる燃焼が開始される。
【0079】
酸化剤排ガスと燃料排ガスとの燃焼により生成された燃焼ガスは、邪魔円板61の下側頂部61bdに対応して配置されている第1燃焼ガス連通孔62aを通過し、第1領域R1から第2領域R2に導入される。
【0080】
この場合、第1の実施形態では、FC周辺機器56は、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54が構成される第1領域R1と、熱交換器50が構成されるとともに、前記第1領域R1を環状に周回する第2領域R2と、改質器46が構成されるとともに、前記第2領域R2を環状に周回する第3領域R3と、蒸発器48が構成されるとともに、前記第3領域R3を環状に周回する第4領域R4とを備えている。
【0081】
すなわち、第1領域R1を中心にして、それぞれ環状の第2領域R2、第3領域R3及び第4領域R4が外方向に向かって、順次、設けられている。このため、高温及び熱需要が大きな機器、例えば、熱交換器50(及び改質器46)を内側に設置する一方、低温及び熱需要の小さな機器、例えば、蒸発器48を外側に設定することができる。
【0082】
熱交換器50は、例えば、550℃〜650℃の温度が必要であるとともに、改質器46は、550℃〜600℃の温度が必要である。一方、蒸発器48は、150℃〜200℃の温度が必要である。
【0083】
従って、熱効率の向上が図られて熱自立が促進されるとともに、簡単且つコンパクトに構成することが可能になるという効果が得られる。特に、改質器46の内方に熱交換器50が配設されるため、前記改質器46は、比較的A/F(空気/燃料ガス)が低い環境で、低温改質に適した前記改質器46が良好に使用される。
【0084】
しかも、第1領域R1において、第1仕切り板60aを介して排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54とが同軸に設定されている。これにより、FC周辺機器56の中心に発熱部位を集約することができ、熱効率が向上して熱自立の促進を図ることが可能になる。さらに、排ガス燃焼器52が失火した際には、起動用燃焼器54は、燃焼補助を行うことができ、熱自立の安定性が良好に向上する。
【0085】
さらにまた、第1仕切り板60aの内側には、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接して邪魔円板61が設けられている。邪魔円板61は、下側頂部61bdと上側頂部61buとを交互に設けるとともに、前記下側頂部61bdは、第1燃焼ガス連通孔62aを排ガス燃焼器52に連通する一方、前記上側頂部61buは、前記第1燃焼ガス連通孔62aを起動用燃焼器54に連通している。
【0086】
このため、邪魔円板61は、排ガス燃焼器52から起動用燃焼器54への燃焼ガスの流通を規制する一方、前記起動用燃焼器54から前記排ガス燃焼器52への前記燃焼ガスの流通を規制することができる。従って、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54は、不必要に燃焼ガスに曝されることがなく、耐久性の向上が容易に図られるという効果が得られる。しかも、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54からの熱引き(放熱)を抑制することが可能になり、熱効率が向上して熱自立の促進が図られる。
【0087】
例えば、排ガス燃焼器52により生成された燃焼ガスは、邪魔円板61に当接して複数の第1燃焼ガス連通孔62aに良好に案内される(
図6参照)。
【0088】
このため、邪魔円板61を使用しない構造のように、燃焼ガスは、第1仕切り板60aの一端から他端に、すなわち、起動用燃焼器54側に移動してリターンする際の放熱を回避することができる。従って、排ガス燃焼器52により生成された燃焼ガスは、放熱を良好に抑制され、所望の高温状態を維持して第2領域R2に移動することが可能になる。
【0089】
また、排ガス燃焼器52は、燃料電池スタック24に近接する第1仕切り板60aの一方の端部側に設けられるとともに、起動用燃焼器54は、前記燃料電池スタック24とは反対の前記第1仕切り板60aの他方の端部側に設けられている。
【0090】
これにより、燃料電池スタック24からの排ガスは、排ガス燃焼器52により降温を最小限に抑制しながら燃焼し、FC周辺機器56を構成する熱交換器50、改質器46及び蒸発器48に供給することができ、熱効率が向上して熱自立の促進が図られる。ここで、熱自立とは、外部から熱を加えることなく自ら発生する熱のみで燃料電池22の動作温度を維持することをいう。
【0091】
さらに、第1仕切り板60aには、第1燃焼ガス連通孔62aに隣接して邪魔円板61が配置されている。このため、排ガス燃焼器52から起動用燃焼器54への燃焼ガスの流通を規制する一方、前記起動用燃焼器54から前記排ガス燃焼器52への前記燃焼ガスの流通を規制しながら、燃焼ガスを第1燃焼ガス連通孔62aに導くことが可能になる。
【0092】
従って、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54は、不必要に燃焼ガスに曝されることがなく、耐久性の向上が容易に図られる。しかも、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54からの熱引き(放熱)を抑制することができ、熱効率が向上して熱自立の促進が図られる。
【0093】
さらにまた、邪魔円板61には、燃焼ガスを通過させる燃焼ガス流通孔61aが設けられている。これにより、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54は、不必要に燃焼ガスに曝されることがなく、耐久性の向上が容易に図られる。その上、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54からの熱引き(放熱)を抑制することができ、熱効率が向上して熱自立の促進が図られる。しかも、排ガス燃焼器52が失火した際には、起動用燃焼器54は、燃焼補助を行うことが可能になり、熱自立の安定性が良好に向上する。
【0094】
また、燃料電池モジュール12は、固体酸化物形燃料電池モジュールである。このため、特にSOFC等の高温型燃料電池に最適である。
【0095】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池モジュール120の要部断面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池モジュール12と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3以降の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0096】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第2の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接し、前記排ガス燃焼器52から前記起動用燃焼器54への燃焼ガスの流通を規制する一方、前記起動用燃焼器54から前記排ガス燃焼器52への前記燃焼ガスの流通を規制する燃焼ガス流通規制部材として、邪魔部材122が設けられる。
【0097】
邪魔部材122は、略円盤形状を有するとともに、上面側に平坦部122aが設けられる一方、底面側に円錐部122bが設けられる。邪魔部材122は、外周部が第1仕切り板60aの内周面に、各第1燃焼ガス連通孔62aの略中央部に位置して固着される。
【0098】
このように構成される第2の実施形態では、排ガス燃焼器52から送られる燃焼ガスは、邪魔部材122の平坦部122aの案内作用下に、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに供給される。一方、起動用燃焼器54から送られる燃焼ガスは、邪魔部材122の円錐部122bの案内作用下に、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに供給される。これにより、第2の実施形態は、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池モジュール124の要部断面説明図である。
【0100】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第3の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接し、燃焼ガス流通規制部材として、邪魔部材126が設けられる。
【0101】
邪魔部材126は、略円盤形状を有するとともに、上面側に円錐部126aが設けられる一方、底面側に円錐部126bが設けられる。邪魔部材126は、外周部が第1仕切り板60aの内周面に、各第1燃焼ガス連通孔62aの略中央部に位置して固着される。
【0102】
このように構成される第3の実施形態では、邪魔部材126の円錐部126aは、排ガス燃焼器52からの燃焼ガスのガイド機能を有する一方、前記邪魔部材126の円錐部126bは、起動用燃焼器54からの前記燃焼ガスのガイド機能を有している。このため、第3の実施形態では、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0103】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池モジュール128の要部断面説明図である。
【0104】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第4の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接して燃焼ガス流通規制部材として、邪魔板130が設けられる。邪魔板130は、第1仕切り板60aの内周径よりも小径な円板状を有し、メッシュ132に支持される。邪魔板130の外周と第1仕切り板60aの内周との間には、隙間Sが形成される。
【0105】
メッシュ132は、第1仕切り板60aの内周面に固着されるとともに、邪魔板130は、複数の第1燃焼ガス連通孔62aよりも下方に配置される。メッシュ132内には、邪魔板130上に載置されて複数の燃焼触媒134が収容される。燃焼触媒134は、例えば、白金系燃焼触媒が使用される。
【0106】
このように構成される第4の実施形態では、邪魔板130により第1仕切り板60aの内部が分割されるとともに、前記邪魔板130上には、燃焼ガスによる燃焼を促進させるための燃焼触媒134が設けられている。従って、排ガス燃焼器52が失火した際には、燃焼触媒134により燃焼を促進することができ、熱自立の安定性が良好に向上するという効果が得られる。
【0107】
図10は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池モジュール136の要部断面説明図である。
【0108】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第5の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aの下方に隣接し、燃焼ガス流通規制部材として、邪魔部材138が設けられる。
【0109】
邪魔部材138は、板材を湾曲(又は屈曲)成形して上端が開放されたカップ形状(有底円筒形状)を有するとともに、底部内面138bの略中央部には、燃焼ガスを通過させる燃焼ガス流通孔138aが設けられる。邪魔部材138は、外周部が第1仕切り板60aの内周面に、各第1燃焼ガス連通孔62aの下端部近傍に位置して固着される。
【0110】
このように構成される第5の実施形態では、排ガス燃焼器52からの燃焼ガスは、邪魔部材138の底部内面138bに当接して第1燃焼ガス連通孔62aに案内される一方、起動用燃焼器54からの前記燃焼ガスは、前記邪魔部材138の燃焼ガス流通孔138aを通って前記第1燃焼ガス連通孔62aに案内される。従って、第5の実施形態では、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0111】
図11は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池モジュール140の要部断面説明図である。
【0112】
第1仕切り板60aの内側には、排ガス燃焼器52と起動用燃焼器54との間に位置し、第6の実施形態では、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接し、燃焼ガス流通規制部材として、邪魔部材142が設けられる。
【0113】
邪魔部材142は、板材を略円錐状に成形するとともに、底部略中央部には、燃焼ガスを通過させる燃焼ガス流通孔142aが設けられる。邪魔部材142は、外周部が第1仕切り板60aの内周面に、径方向に対向する一方の第1燃焼ガス連通孔62aの下端部近傍及び他方の第1燃焼ガス連通孔62aの上端部近傍に位置して、すなわち、傾斜姿勢で固着される。
【0114】
邪魔部材142の内周面142bは、排ガス燃焼器52からの燃焼ガスを第1燃焼ガス連通孔62aに案内する機能を有する一方、前記邪魔部材142の外周面142cは、起動用燃焼器54からの燃焼ガスを前記第1燃焼ガス連通孔62aに案内する機能を有する。
【0115】
このように構成される第6の実施形態では、上記の第1〜第5の実施形態と同様の効果が得られる。
【0116】
図12に示すように、燃料電池システム150は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池モジュール152を組み込む。
【0117】
燃料電池モジュール152は、
図13に示すように、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54が構成される、例えば、開口形状円形の第1領域R1と、改質器46が構成されるとともに、前記第1領域R1を環状に周回する第2領域R2と、熱交換器50が構成されるとともに、前記第2領域R2を環状に周回する第3領域R3と、蒸発器48が構成されるとともに、前記第3領域R3を環状に周回する第4領域R4とを備える。
【0118】
FC周辺機器56は、第1領域R1と第2領域R2との間に配置される第1仕切り板(仕切り部材)154a、前記第2領域R2と第3領域R3との間に配置される第2仕切り板154b、前記第3領域R3と第4領域R4との間に配置される第3仕切り板154c、及び前記第4領域R4の外周に配置される第4仕切り板154dを備える。
【0119】
図13及び
図14に示すように、第1燃焼ガス連通孔62aは、第1仕切り板154aの燃料電池スタック24とは反対側の端部に近接して設けられ、第2燃焼ガス連通孔62bは、第2仕切り板154bの前記燃料電池スタック24側の端部に近接して設けられ、第3燃焼ガス連通孔62cは、第3仕切り板154cの前記燃料電池スタック24とは反対側の端部に近接して設けられ、第4燃焼ガス連通孔62dは、第4仕切り板154dの前記燃料電池スタック24側の端部に近接して設けられる。
【0120】
第1仕切り板154aには、第1燃焼ガス連通孔62aとは反対側に且つ前記第1燃焼ガス連通孔62aよりも小さな開口面積を有する複数の抽気孔部156aが形成される。
図14に示すように、抽気孔部156aは、第2仕切り板154bに形成された第2燃焼ガス連通孔62bに対向する位置に設定される。第2仕切り板154bには、第3仕切り板154cに形成された第3燃焼ガス連通孔62cに対向する位置に複数の抽気孔部156bが形成される。第3仕切り板154cには、第4仕切り板154dに形成された第4燃焼ガス連通孔62dに対向する位置に複数の抽気孔部156cが形成される。なお、抽気孔部156b、156cは、必要に応じて設けられていればよい。
【0121】
図13に示すように、第1仕切り板154aの内側には、複数の第1燃焼ガス連通孔62aに隣接し、燃焼ガス流通規制部材として、邪魔円板61が設けられる。なお、燃焼ガス流通規制部材としては、邪魔円板61の他、第2の実施形態〜第6の実施形態に用いられる邪魔部材122、邪魔板130(メッシュ132及び燃焼触媒134を含む)、邪魔部材138又は邪魔部材142のいずれかを使用してもよい。
【0122】
このように構成される第7の実施形態では、燃料電池モジュール152は、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54が構成される第1領域R1と、改質器46が構成されるとともに、前記第1領域R1を環状に周回する第2領域R2と、熱交換器50が構成されるとともに、前記第2領域R2を環状に周回する第3領域R3と、蒸発器48が構成されるとともに、前記第3領域R3を環状に周回する第4領域R4とを備えている。
【0123】
このため、高温及び熱需要が大きな機器、例えば、改質器46(及び熱交換器50)を内側に設置する一方、低温及び熱需要の小さな機器、例えば、蒸発器48を外側に設定することができる。従って、熱効率の向上が図られて熱自立が促進されるとともに、簡単且つコンパクトに構成することが可能になる。
【0124】
しかも、
図14に示すように、第2領域R2では、改質器46内を流通する混合ガスの流れ方向(矢印A2方向)と燃焼ガスの流れ方向(矢印A2方向)とが、互いに同一方向、すなわち、並行流となる。一方、第3領域R3では、熱交換器50内を流通する酸化剤ガスの流れ方向(矢印A2方向)と燃焼ガスの流れ方向(矢印A1方向)とが、互いに反対方向、すなわち、対向流となる。
【0125】
さらに、第1仕切り板154aには、第1燃焼ガス連通孔62aとは反対側に且つ前記第1燃焼ガス連通孔62aよりも小さな開口面積を有する抽気孔部156aが形成されている。これにより、抽気孔部156aにより第1領域R1から第2領域R2を介して第3領域R3に燃焼ガスの一部が導入されるため、第3領域R3の熱交換器50に熱量を補充することができ、熱自立の維持が可能になる。
【0126】
さらにまた、第1仕切り板154aの内部には、燃焼ガス流通規制部材(例えば、邪魔円板61)が設けられている。このため、排ガス燃焼器52及び起動用燃焼器54は、不必要に燃焼ガスに曝されることがなく、耐久性の向上が容易に図られる等、上記の第1〜第6の実施形態と同様の効果が得られる。