(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990423
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】浄化槽排水処理システム
(51)【国際特許分類】
E03F 5/22 20060101AFI20160901BHJP
E03F 1/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
E03F5/22
E03F1/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-165265(P2012-165265)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-25235(P2014-25235A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】堀 昌広
(72)【発明者】
【氏名】大石 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】荒原 隆文
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−127119(JP,A)
【文献】
特開2011−220012(JP,A)
【文献】
特開2009−228319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−5/22
C02F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化槽から排出された排水を放流先に放流するための浄化槽排水処理システムであって、
浄化槽から排出された排水が流入するポンプ槽を備え、
さらに該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に放流するための、該ポンプ槽と該放流先とを繋ぐ排水経路に、該排水経路の下流側から該ポンプ槽内に排水が逆流することを防止する逆流防止手段が設けられており、
前記ポンプ槽には、
該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に吐出する駆動状態と、吐出しない非駆動状態とに選択的に状態変換自在なポンプ装置と、
該ポンプ槽内に互いに高さを異ならせて配置された一対の液面検知部を有する水位検知手段と、
が設けられており、
該水位検知手段は、
該ポンプ槽内の水位が上昇して該水位が高レベル側の液面検知部に達したこと、及び、該ポンプ槽内の水位が下降して該水位が低レベル側の液面検知部に達したことを検知し、
前記ポンプ装置が非駆動状態のときに前記水位検知手段が高レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が駆動状態となり、一方、該ポンプ装置が駆動状態のときに前記水位検知手段が低レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が非駆動状態となり、
前記ポンプ槽に接続された流入管を介して、前記浄化槽からの排水が該ポンプ槽に流入する構成にあって、前記水位検知手段における高レベル側の液面検知部は、該ポンプ槽内の周壁に配された該流入管の管頂の高さに配置されていることを特徴とする浄化槽排水処理システム。
【請求項2】
浄化槽から排出された排水を放流先に放流するための浄化槽排水処理システムであって、
浄化槽から排出された排水が流入するポンプ槽を備え、
さらに該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に放流するための、該ポンプ槽と該放流先とを繋ぐ排水経路に、該排水経路の下流側から該ポンプ槽内に排水が逆流することを防止する逆流防止手段が設けられており、
前記ポンプ槽には、
該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に吐出する駆動状態と、吐出しない非駆動状態とに選択的に状態変換自在なポンプ装置と、
該ポンプ槽内に互いに高さを異ならせて配置された一対の液面検知部を有する水位検知手段と、
が設けられており、
該水位検知手段は、
該ポンプ槽内の水位が上昇して該水位が高レベル側の液面検知部に達したこと、及び、該ポンプ槽内の水位が下降して該水位が低レベル側の液面検知部に達したことを検知し、
前記ポンプ装置が非駆動状態のときに前記水位検知手段が高レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が駆動状態となり、一方、該ポンプ装置が駆動状態のときに前記水位検知手段が低レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が非駆動状態となり、
前記ポンプ槽に接続された流入管を介して、前記浄化槽からの排水が該ポンプ槽に流入する構成にあって、前記水位検知手段における低レベル側の液面検知部は、該ポンプ槽内の周壁に配された該流入管の管底の高さに配置されていることを特徴とする浄化槽排水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽から排出された排水を放流先に放流するための浄化槽排水処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、公共下水道設備が整っていない地域において、一般家庭等からの排水を浄化槽を用いて浄化処理し、側溝等の排水設備や河川に放流することが行われている。ここで、浄化槽の排水管の管底高さが、放流先の水位より十分高い場合には、該浄化槽の排水は放流先に向けて自然流下させることができるが、土地の勾配や、浄化槽と放流先との距離が長いなどの条件により、浄化槽の排水を放流先に自然流下させることができない場合がある。そこで、浄化槽の排水を放流先に自然流下させることができない場合があるところでは、ポンプを使って強制的に浄化槽の排水を放流先へ圧送するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1に開示された構成は、浄化槽本体の外側で、浄化槽本体が設置される床盤上面より離間して、ポンプ槽を着脱可能に支持させている。
【0004】
特許文献2に開示された構成は、ポンプ槽外槽内の上部を通る送液管の槽内液に浸らない高さに、水中ポンプ稼働中と停止中とで開閉が切り替わる通気弁が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−248484号公報
【特許文献2】特開2003−65279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでの従来構成には、以下の問題がある。すなわち、浄化槽と放流先とが同じくらいの高さで施工されている場合は、放流先に自然流下させることができない場合があるため常時ポンプを駆動させなければならない。しかし、放流先の水位は変化するため、浄化槽の排水管の管底に対して放流先の水位が高くなったり低くなったりする場合があるところ、該管底に対して放流先の水位が低くなった場合は、自然流下が可能であり、実際にはポンプの駆動は不要となる。このため、従来構成は無駄にポンプの稼働時間が長くなってしまい、ランニングコストが高騰するという問題がある。一方、放流先の水位を常時監視してポンプのON・OFFを制御する構成は、構成が複雑となり、監視負担が大きすぎる。
【0007】
そこで本発明は、ポンプ装置を備えた浄化槽排水処理システムであって、簡単な構成で、該ポンプ装置のランニングコストを抑えることができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、浄化槽から排出された排水を放流先に放流するための浄化槽排水処理システムであって、浄化槽から排出された排水が流入するポンプ槽を備え、さらに該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に放流するための、該ポンプ槽と該放流先とを繋ぐ排水経路に、該排水経路の下流側から該ポンプ槽内に排水が逆流することを防止する逆流防止手段が設けられており、前記ポンプ槽には、該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に吐出する駆動状態と、吐出しない非駆動状態とに選択的に状態変換自在なポンプ装置と、該ポンプ槽内に互いに高さを異ならせて配置された一対の液面検知部を有する水位検知手段と、が設けられており、該水位検知手段は、該ポンプ槽内の水位が上昇して該水位が高レベル側の液面検知部に達したこと、及び、該ポンプ槽内の水位が下降して該水位が低レベル側の液面検知部に達したことを検知し、前記ポンプ装置が非駆動状態のときに前記水位検知手段が高レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が駆動状態となり、一方、該ポンプ装置が駆動状態のときに前記水位検知手段が低レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が非駆動状態とな
り、前記ポンプ槽に接続された流入管を介して、前記浄化槽からの排水が該ポンプ槽に流入する構成にあって、前記水位検知手段における高レベル側の液面検知部は、該ポンプ槽内の周壁に配された該流入管の管頂の高さに配置されていることを特徴とする浄化槽排水処理システムである。
【0009】
かかる構成にあって、雨量等が増して放流先の水位が上昇し、浄化槽あるいはポンプ槽に比べて放流先の水位が高くなると、前記排水経路を介して放流先の水が浄化槽に向けて逆流しようとするが、該排水経路に設けられた逆流防止手段により、これを適切に阻止することができる。ここで、該逆流防止手段が逆流を防止している状態では、該排水経路を介して排水を放流先に向けて自然流下させることができなくなるが、浄化槽から継続して排水が排出される場合は、前記ポンプ槽のポンプ装置により、適切に排水処理することができる。しかも、本発明においては、互いに設定高さ位置を異ならせた液面検知部を備える水位検知手段がポンプ槽に設けられているため、ポンプ槽内の水位が例えば高レベル側に設定された警告水位になると該ポンプ装置を駆動させ、一方、低レベル側に設定された安全水位になると該ポンプ装置を停止させることが可能となる。そして、該ポンプ装置が停止した非駆動状態である場合には、放流先の水位に応じて前記排水経路を介して排水を自然流下させることが可能となる。このように本発明は、放流先の水位が低い場合にはポンプ装置を停止して放流先へ自然流下させることができる構成であるため、該ポンプ装置が無駄に長時間稼働することを抑制でき、該ポンプ装置のランニングコストを適切に抑えることが可能となる。
【0011】
また、かかる構成とすることにより、該流入管の管頂より水位が高くなる状況をできる限り避けることができるため、浄化槽の処理水を滞留させることがない。
【0012】
また、
本発明は、浄化槽から排出された排水を放流先に放流するための浄化槽排水処理システムであって、浄化槽から排出された排水が流入するポンプ槽を備え、さらに該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に放流するための、該ポンプ槽と該放流先とを繋ぐ排水経路に、該排水経路の下流側から該ポンプ槽内に排水が逆流することを防止する逆流防止手段が設けられており、前記ポンプ槽には、該ポンプ槽内に流入した排水を前記放流先に吐出する駆動状態と、吐出しない非駆動状態とに選択的に状態変換自在なポンプ装置と、該ポンプ槽内に互いに高さを異ならせて配置された一対の液面検知部を有する水位検知手段と、が設けられており、該水位検知手段は、該ポンプ槽内の水位が上昇して該水位が高レベル側の液面検知部に達したこと、及び、該ポンプ槽内の水位が下降して該水位が低レベル側の液面検知部に達したことを検知し、前記ポンプ装置が非駆動状態のときに前記水位検知手段が高レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が駆動状態となり、一方、該ポンプ装置が駆動状態のときに前記水位検知手段が低レベル側の液面検知部に水位が達したことを検知すると、該ポンプ装置が非駆動状態となり、前記ポンプ槽に接続された流入管を介して、前記浄化槽からの排水が該ポンプ槽に流入する構成にあって、前記水位検知手段における低レベル側の液面検知部は、該ポンプ槽内の周壁に配された該流入管の管底の高さに配置されていることを特徴とする浄化槽排水処理システムである。
【0013】
このように、低レベル側の液面検知部の高さを前記流入管の管底の高さに設定することにより、前記ポンプ槽内の水位が該流入管の管底まで下降して、浄化槽への逆流が懸念されない状況になったところで、前記ポンプ装置を停止させることができる。このため、放流先の水位が低い場合に該ポンプ装置を無駄に稼働する必要がなくなり、該ポンプ装置の稼働時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の浄化槽排水処理システムは、ポンプ装置の稼働時間を短縮することができるため、適切に浄化槽の排水を処理可能としつつポンプ装置のランニングコストを大幅に抑えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】浄化槽排水処理システムの概要を示す説明図。
【
図2】通常時の浄化槽排水処理システムにおける放流の流れを示す説明図。
【
図3】逆流防止時の浄化槽排水処理システムの概要を示す説明図。
【
図5】浄化槽排水処理システムにおけるタイムチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の浄化槽排水処理システム1を具体化した実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、浄化槽排水処理システム1は、浄化槽10から排出された排水が流入するポンプ槽20を備えている。具体的には、一端が浄化槽10に接続され、他端がポンプ槽20に接続された流入管11を介して、該ポンプ槽20に排水が流入する。
【0018】
また、前記ポンプ槽20の下流側には、該ポンプ槽20と放流先である側溝30とを繋ぐ排水経路22が形成されている。すなわち、該ポンプ槽20内に流入した排水は、該排水経路22を介して側溝30へ自然流下可能となっている。
【0019】
さらに、前記排水経路22は、流出管21によって構成されており、該流出管21の中間部には、逆流防止手段としての逆流防止ます40が設けられている。該逆流防止ます40は、ポンプ槽20から自然流下した排水が流入するます本体部41を備え、該ます本体部41内に、下流側からの逆流を阻止する逆流防止装置42が配設されている。具体的には、該逆流防止装置42は、その内部に弁体としての開閉蓋43が上下方向に回動自在に配設されている。そして、該開閉蓋43が水流の方向に応じて開閉することにより、ます本体部41内と、これより下流側の側溝30とを開通させる開通状態、又は、該ます本体部41内と側溝30とを遮断して前記ポンプ槽20内に排水が逆流することを防止する閉塞状態に状態変換される。
【0020】
図2に示すように、側溝30の水位が低い通常時においては、浄化槽10から排出された排水は、流入管11を介してポンプ槽20内に流入し、さらに、該ポンプ槽20内にある排水が流出管21を介して逆流防止ます40に流入する。そして、該逆流防止ます40内の排水が前記開閉蓋43を持ち上げてさらに下流へ流出し、側溝30へと放流される。なお、
図2において、浄化槽排水処理システム1における排水は適宜図示省略した。
【0021】
一方、
図3に示すように、増水時において側溝30内の水位が上昇した場合は、流出管21を介して、側溝30内の水が排水経路22の上流側に向けて逆流するが、前記逆流防止ます40の開閉蓋43が閉塞状態となり、上流側への逆流が防止される。なお、
図3において、ポンプ槽20等の排水は適宜図示省略した。
【0022】
ところで、
図3に示すように、逆流防止装置42が逆流防止状態であるときは、開閉蓋43が閉塞状態となるため、ポンプ槽20から下流側へ排水を自然流下させることが不可能となる。そこで、上記浄化槽排水処理システム1には、逆流防止装置42が逆流防止状態であるときでもポンプ槽20から下流側へ排水を排出することができる機構が設けられている。
【0023】
図1等に示すように、前記ポンプ槽20には、ポンプ装置25が設けられている。該ポンプ装置25は、該ポンプ槽20内の底部近傍に配置された吸引口(図示省略)と、吸引口から吸引した排水を側溝30へ直接圧送する圧送管26を有している。そして、該ポンプ装置25は、電源のON・OFF制御がなされることにより、該ポンプ槽20内に流入した排水を前記圧送管26を介して前記側溝30に吐出する駆動状態と、吐出しない非駆動状態とに選択的に状態変換する。なお、前記ポンプ装置25が非駆動状態のときは、駆動状態のときに比べて該ポンプ装置25の消費電力が低減される。
【0024】
さらに、前記ポンプ槽20内の周壁には、互いに高さを異ならせて配置された一対の液面検知部27A,27Bを備える水位検知装置27が設けられている。具体的には、該水位検知装置27の高レベル側の液面検知部27Aが、該ポンプ槽20内における前記流入管11の管頂と同じ高さとなるように、該ポンプ槽20の周壁に配設され、低レベル側の液面検知部27Bが、該流入管11の管底と同じ高さとなるように、該ポンプ槽20の周壁に配設されている。なお、該水位検知装置27により、本発明に係る水位検知手段が構成される。
【0025】
そして、前記ポンプ装置25と前記水位検知装置27とが電気信号を送受信可能に接続されており、該水位検知装置27が、該ポンプ槽20内の水位が上昇して高レベル側の液面検知部27Aに達したことを検知した場合、これを報知する検知信号をポンプ装置25に送信する。また、これに対して該ポンプ槽20内の水位が下降して低レベル側の液面検知部27Bに達したことを水位検知装置27が検知した場合、その検知信号をポンプ装置25に送信する。
【0026】
前記ポンプ装置25は、非駆動状態のときに高レベル側の液面検知部27Aに水位が達したことを報知する検知信号を受信すると、駆動状態に切り替わり、一方、駆動状態のときに低レベル側の液面検知部27Bに水位が達したことを報知する検知信号を受信すると、非駆動状態に切り替わる制御内容を具備している。
【0027】
なお、前記液面検知部27A,27Bとしては、公知の液面センサーが好適に採用可能である。また、前記の制御内容を具備するポンプ装置25は、例えば中央処理装置(CPU)を使用した制御回路により好適に構成することができる。ただし、液面検知部27A,27B及びポンプ装置25の構成は、これらに限定されるものではない。
【0028】
上記した浄化槽排水処理システム1にあって、逆流防止装置42が逆流防止状態である場合には(
図3参照)、開閉蓋43が閉塞状態であるため、この状態で継続的に浄化槽10から排水が排出されると、これに伴い該ポンプ槽20内の水位が徐々に上昇する。そして、
図4aに示されるように、上昇した水位が前記高レベル側の液面検知部27Aに到達すると、該液面検知部27Aがこれを検知し、
図5に示すようにポンプ装置25が非駆動状態(OFF状態)から駆動状態(ON状態)となる。そして、圧送管26を介して該ポンプ槽20内の排水が側溝30へ強制的に吐出され始め、該ポンプ槽20内の排水が適切に処理開始される。
【0029】
前記ポンプ装置25が駆動したことによりポンプ槽20内の水位が下降し、
図4bに示すように下降した水位が前記低レベル側の液面検知部27Bに到達すると、該液面検知部27Bがこれを検知し、
図5に示すようにポンプ装置25が駆動状態(ON状態)から非駆動状態(OFF状態)となる。これにより、圧送管26を介した側溝30への強制的な吐出が停止することになる。
【0030】
また、再びポンプ槽20内の水位が上昇し、水位が高レベル側の液面検知部27Aに到達すると、ポンプ装置25が再び非駆動状態から駆動状態となる。このように、ポンプ槽20内の水位変動に応じて、ポンプ装置25が駆動状態又は非駆動状態に状態変換する。
【0031】
一方、側溝30内の水位が低く、逆流防止装置42の開閉蓋43が開通状態である場合は、ポンプ槽20内の水が側溝30に向けて自然流下する。なお、前記流出管21の管径は、浄化槽10から排出される単位時間当たりの通常の排水量に基づき、排水が十分に自然流下可能な太さに設定されているため、前記のように逆流防止装置42の開閉蓋43が開通状態のときは、ポンプ槽20内の水位が高レベル側の液面検知部27Aに到達することはない。
【0032】
なお、上記浄化槽排水処理システム1は、浄化槽10の排水制御を、側溝30の水位を測定することなく、ポンプ槽20内の水位状況のみに基づいて行うことができるため、システム全体の管理が簡素化される利点がある。
【0033】
本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、逆流防止手段としての前記逆流防止ます40に代えて、
図6に示すように、ポンプ槽20内における流出管21の管口に取り付けられる公知の逆流防止弁50を採用してもよい。かかる構成は、ますを設置できないような狭小地であっても、適切に逆流防止手段を講じることが可能となる。
【0034】
また、放流先としては、側溝30に限定されることはなく、水路、又は河川等であってもよい。
【0035】
また、側溝30に向けた自然流下が円滑に行われるべく、配管を施工する際には適切に勾配をつけるようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0036】
1 浄化槽排水処理システム
10 浄化槽
20 ポンプ槽
22 排水経路
25 ポンプ装置
27 水位検知装置(水位検知手段)
27A,27B 液面検知部
30 側溝(放流先)
40 逆流防止ます(逆流防止手段)
50 逆流防止弁(逆流防止手段)