(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の技術を具体化した一実施の形態について
図1から
図12を参照して説明する。
図1に示されるように、濾過装置10にて、混合液通路Lmにおける入口端部Lmiは、混合液の供給元に接続され、混合液通路Lmにおける出口端部Lmoは、混合液の排出先に接続される。混合液は、濾過の対象となる液体であり、例えば、切り屑等の異物が水に混ざった液である。混合液の供給元は、例えば、工作機械に搭載された混合液の貯留タンクである。
【0011】
混合液通路Lmの途中には、入口端部Lmiから順に、混合液供給弁Vsmと混合液排出弁Vdmとが設けられている。混合液供給弁Vsm、及び、混合液排出弁Vdmの各々は、混合液通路Lmの連通と混合液通路Lmの遮断とを切り替える。混合液供給弁Vsm、及び、混合液排出弁Vdmの各々では、急開と急閉とが行われる駆動方式が採用され、例えば、空圧作動式が用いられる。
【0012】
濾過装置10にて、濾液通路Lfにおける入口端部Lfiは、圧縮空気の供給元に接続され、濾液通路Lfにおける出口端部Lfoは、濾液の排出先に接続される。濾液通路Lfの途中には、入口端部Lfiから順に、圧縮空気タンク11、逆止弁VR、空気供給弁Vsa、及び、濾液排出弁Vdfが設けられている。
【0013】
圧縮空気タンク11には、圧縮気体としての圧縮空気が施設から供給される。圧縮空気タンク11における内部の圧力は、圧縮空気の定常的な供給によって、例えば、0.2kg/cm
2に保たれる。逆止弁VRは、圧縮空気タンク11から空気供給弁Vsaへの圧縮空気の流れを許容し、空気供給弁Vsaから圧縮空気タンク11への濾液の流れを規制する。空気供給弁Vsa、及び、濾液排出弁Vdfの各々は、濾液通路Lfの連通と濾液通路Lfの遮断とを切り替える。空気供給弁Vsa、及び、濾液排出弁Vdfの各々では、急開と急閉とが行われる駆動方式が採用され、例えば、空圧作動式が用いられる。
【0014】
混合液通路Lmのうち、混合液供給弁Vsmと混合液排出弁Vdmとの間には、濾過機21が接続されている。濾過機21は、相互に対向する2つの筒端部を有する筒形状をなす。濾過機21の容量は、例えば、圧縮空気タンク11の容量と略同じである。
【0015】
濾過機21の混合側端部21mは、混合液通路Lmのうち混合液供給弁Vsmと混合液排出弁Vdmとの間に接続され、濾過機21の濾液側端部21fは、濾液通路Lfのうち空気供給弁Vsaと濾液排出弁Vdfとの間に接続されている。濾液通路Lfのうち空気供給弁Vsaと濾液排出弁Vdfとの間の部分は、濾過機21の上方に配置され、濾過機21に対し上方に延びる通路を有している。
【0016】
なお、混合液の圧力損失や濾液の圧力損失を抑えるために、混合側端部21mと混合液通路Lmとは、2つの通路で接続され、また、濾液側端部21fと濾液通路Lfとも、2つの通路で接続されている。
【0017】
混合液通路Lmのうち混合液排出弁Vdmと出口端部Lmoとの間には、逆洗タンク31が接続されている。逆洗タンク31は、相互に対向する2つの筒端部を有する筒形状をなし、逆洗タンク31における1つの筒端部は、混合液通路Lmに接続され、逆洗タンク31における別の筒端部は、外部に開放された脱圧通路Lpに接続されている。
【0018】
次に、
図2を参照して濾過機21の構成を説明する。
濾過機21を構成する濾過タンク22は、2つの筒端部を有する円筒形状をなし、濾過タンク22の筒内は、混合液通路Lmと濾液通路Lfとに連通する。濾過タンク22は、相互に同一の軸心を有する2つの円筒部によって構成される。2つの円筒部である第1円筒部22mと第2円筒部22fとの各々は、相互に対向する2つの筒端部を有する円筒形状をなす。
【0019】
第1円筒部22mにおける1つの筒端部は、濾過機21における混合側端部21mであり、第1円筒部22mの内部は、混合液通路Lmに連通している。第1円筒部22mにおける別の筒端部は、第2円筒部22fに連結される連結端部であり、第1円筒部22mの中心軸に向けて出っ張る第1フランジ部FAを有する。第2円筒部22fにおける1つの筒端部は、濾過機21における濾液側端部21fであり、第2円筒部22fの内部は、濾液通路Lfに連通している。第2円筒部22fにおける別の筒端部は、第1円筒部22mに連結される連結端部であり、第2円筒部22fの中心軸に向けて出っ張る第2フランジ部FBを有する。
【0020】
第1円筒部22mの外径と第2円筒部22fの外径とは略等しく、第1フランジ部FAの内径は第2フランジ部FBの内径よりも大きい。第1フランジ部FAと第2フランジ部FBとは、第1円筒部22mの筒内と第2円筒部22fの筒内とが相互に連通し、且つ、第1フランジ部FAと第2フランジ部FBとの間から液体が漏れないように、例えば、シール部材を介して連結されている。
【0021】
第1円筒部22mにおける混合側端部21mには、台座23が配設されている。台座23は、第1円筒部22mの内径よりも小さい外径を有して第1円筒部22mと同一の軸心を有する円柱状をなす。第1円筒部22mの内部にて、台座23上には、濾材25が配置されている。濾材25は、第1円筒部22mと同一の軸心を有する円筒形状をなし、濾材25の外径は、台座23の外径と略等しく、また、第1フランジ部FAの内径と略等しい。濾材25と台座23との間、及び、濾材25と第2フランジ部FBとの間の各々には、これらの間から液体がもれないように、シール部材が挟まれている。
【0022】
そして、混合液通路Lmから第1円筒部22mに流入する混合液は、第1円筒部22mの内周面と濾材25の外周面251との間の隙間を通じて、濾材25の外周面251から濾材25の内周面252に向かって流れる。すなわち、濾材25の外周面251は、混合液の流入面として機能し、濾材25の内周面252は、濾液の流出面として機能する。この際に、混合液に含まれる異物は、濾材25の外周面251に捕らわれ、異物の取り除かれた混合液である濾液は、濾材25の筒内から第2円筒部22fの内部に入る。
【0023】
また、濾液通路Lfから第2円筒部22fに流入する濾液は、第2円筒部22fの筒内と濾材25の筒内とを通じて、濾材25の内周面252から濾材25の外周面251に向かって流れる。この際に、濾材25の外周面251に捕らわれた異物は、濾液によって濾材25から押し出される。そして、濾材25から押し出された異物を含む濾液は、第1円筒部22mの内周面と濾材25の外周面251との間の隙間を通じて、第1円筒部22mの外部へ流れる。
【0024】
濾材25の筒内では、円錐台状をなす分散部材26が台座23に固定されている。分散部材26は、濾液に対する耐食性や濾液に対する非溶解性を有する材料からなる。分散部材26の外径は、濾材25の内径よりも小さく、分散部材26の外周面と濾材25の内周面252との間には、台座23から第2フランジ部FBに向かって徐々に大きくなる隙間が空いている。濾材25の中心軸に沿った方向にて、分散部材26の長さは、例えば、濾材25の長さの半分以上、且つ、濾材25の長さの2/3以下である。そして、第2円筒部22fから濾材25の筒内に伝播する圧力波は、分散部材26との衝突を通じて、濾材25の内周面252に対し分散される。なお、圧力波とは、濾材25の内部における液体中を伝播する圧力の不連続な波面である。
【0025】
次に、
図3を参照して濾過装置10における電気的構成を説明する。
図3に示されるように、濾過装置10を構成する処理設定部41は、外部の入力機器に接続され、濾過装置10における各種の処理の条件を入力機器から入力する。処理設定部41では、例えば、濾過処理の行われた時間の累積値である濾過処理時間は、濾過装置10における処理内容を濾過処理と逆洗処理とに切り替える切り替え条件として設定される。そして、処理設定部41は、濾過処理時間を計測し、濾過処理時間の計測値が切り替え条件以下である場合に、濾過装置10の実行する処理として濾過処理を設定する。また、処理設定部41は、濾過処理時間の計測値が切り替え条件よりも大きい場合に、濾過装置10の実行する処理として逆洗処理を設定して濾過処理時間をリセットする。
【0026】
濾過制御部42は、処理設定部41での設定処理を所定の制御周期で読み取る。また、濾過制御部42は、処理設定部41での設定処理が濾過処理になるまで待機する。そして、処理設定部41での設定処理が濾過処理に移行するごとに、濾過制御部42は、混合液排出弁Vdmと空気供給弁Vsaとを閉じ、且つ、混合液供給弁Vsmと濾液排出弁Vdfとが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。
【0027】
逆洗モード設定部43は、外部の入力機器に接続され、濾過装置10における逆洗処理のモードを入力機器から入力する。逆洗モード設定部43は、第1モード、第2モード、及び、第3モードのうちいずれか1つを逆洗処理のモードとして設定する。
【0028】
逆洗制御部44は、処理設定部41での設定処理を所定の制御周期で読み取る。逆洗制御部44では、各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfの駆動の状態が逆洗処理のモードごとに対応づけられている。また、逆洗制御部44は、処理設定部41での設定処理が逆洗処理になるまで待機する。そして、処理設定部41での設定処理が逆洗処理に移行するごとに、逆洗制御部44は、逆洗モード設定部43での設定モードを読み取る。また、逆洗制御部44は、各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfの駆動の状態を制御するための制御信号を読み取られた設定モードに基づいて生成して弁駆動部45に出力する。
【0029】
弁駆動部45は、各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfを駆動するための駆動信号を濾過制御部42からの制御信号に応じて生成して、生成された駆動信号を各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfに出力する。
【0030】
次に、
図4を参照して逆洗処理における各弁の駆動の状態をモードごとに説明する。
図4に示されるように、逆洗制御部44では、逆洗処理の各モードにおける各工程に対し、各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfの駆動の状態と、その工程の実行される時間とが対応付けられ、また、準備工程と逆洗工程との繰り返される回数が設定されている。
【0031】
第1モードでは、停止工程と、準備工程と、逆洗工程とがこの順に設定され、さらに、準備工程と逆洗工程とが交互に繰り返される回数が、設定回数N1として設定されている。停止工程は、濾液排出弁Vdfのみが開いた状態として設定されている。停止工程の実行される時間は、時間Tp1に設定されている。準備工程は、全ての弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfが閉じた状態として設定されている。準備工程の実行される時間は、時間Ts1に設定されている。逆洗工程は、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開いた状態として設定されている。逆洗工程の実行される時間は、時間Tr1に設定されている。
【0032】
第2モードでは、停止工程と、準備工程と、逆洗工程とがこの順に設定され、さらに、準備工程と逆洗工程とが交互に繰り返される回数が、設定回数N2として設定されている。停止工程は、第1モードと同じく、濾液排出弁Vdfのみが開いた状態として設定されている。停止工程の実行される時間は、時間Tp2として設定されている。準備工程は、混合液排出弁Vdmのみが開いた状態として設定されている。準備工程の実行される時間は、時間Ts2に設定されている。逆洗工程は、第1モードと同じく、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開いた状態として設定されている。逆洗工程の実行される時間は、時間Tr2として設定されている。
【0033】
第3モードでは、停止工程と、第1逆洗工程と、第2逆洗工程とがこの順に設定され、さらに、第1逆洗工程と第2逆洗工程とが交互に繰り返される回数が、設定回数N3として設定されている。停止工程は、第1モードと同じく、濾液排出弁Vdfのみが開いた状態として設定されている。停止工程の実行される時間は、時間Tp3として設定されている。第3モードの第1逆洗工程は、空気供給弁Vsaのみが開いた状態として設定されている。第1逆洗工程の実行される時間は、時間Ts3として設定されている。第3モードの第2逆洗工程は、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開いた状態として設定されている。第2逆洗工程の実行される時間は、時間Tr3として設定されている。
【0034】
次に、
図5から
図12を参照して濾過装置10によって行われる濾過方法を説明する。
図5に示されるように、処理設定部41での設定処理が逆洗処理から濾過処理に移行すると、混合液供給弁Vsmと濾液排出弁Vdfとが開き、且つ、混合液排出弁Vdmと空気供給弁Vsaとが閉じる。
【0035】
すなわち、濾過制御部42は、混合液排出弁Vdmと空気供給弁Vsaとが閉じるための制御信号を弁駆動部45に出力し、次いで、混合液供給弁Vsmと濾液排出弁Vdfとが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、濾過制御部42からの制御信号に応じて、混合液排出弁Vdmと空気供給弁Vsaとが閉じるための駆動信号をこれら2つの弁Vdm,Vsaに出力する。次いで、弁駆動部45は、混合液供給弁Vsmと濾液排出弁Vdfとを開くための駆動信号を出力する。
【0036】
これによって、混合液の供給元から濾過機21に混合液が供給され、濾材25の外周面251から濾材25の内周面252に向かって混合液が流れる。そして、混合液に含まれる異物は濾材25の外周面251に捕らわれ、異物の取り除かれた混合液である濾液は濾材25の筒内から濾液排出弁Vdfを通じて排出される。
【0037】
図6に示されるように、処理設定部41での設定処理が濾過処理から逆洗処理に移行すると、逆洗制御部44は、逆洗モード設定部43における設定モードに基づいて、各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfの駆動の状態を制御するための制御信号を弁駆動部45に出力する。
【0038】
例えば、逆洗モード設定部43での設定モードが第1モードである場合に、逆洗制御部44は、まず、停止工程として、濾液排出弁Vdfのみが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、濾液排出弁Vdfのみが開くための駆動信号を濾液排出弁Vdfに出力する。これによって、濾過機21の内部の圧力は、時間Tp1の間に、濾過処理時の圧力から大気圧に向かって減圧され、特に、第2円筒部22fの内部の圧力は、大気圧に減圧される。
【0039】
図7に示されるように、停止工程が終了すると、逆洗制御部44は、準備工程として、全ての弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfが閉じるための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、全ての弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfが閉じるための駆動信号を各弁Vsm,Vdm,Vsa,Vdfに出力する。これによって、濾過機21の内部は、時間Ts1の間だけ静置される。
【0040】
図8に示されるように、準備工程が終了すると、逆洗制御部44は、逆洗工程として、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとを同時に開けるための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開くための駆動信号を空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとに出力する。これによって、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが同時に開く。そして、逆洗工程が終了すると、再び、逆洗制御部44は、準備工程と逆洗工程とをこの順に設定回数N1だけ繰り返す。なお、設定回数N1は、準備工程と逆洗工程との繰り返しによって、濾材25の筒内における濾液の全てが濾過機21から排出される程度に設定される。
【0041】
この際に、空気供給弁Vsaは、濾液通路Lfにおいて濾液と圧縮空気との境界である。それゆえに、空気供給弁Vsaが急開すると、圧縮空気タンク11に貯められた圧縮空気は、濾液通路Lfの内部を満たす濾液に対し即座に作用して圧力波を発生させる。そして、濾過機21の内部に伝播した圧力波は、混合液通路Lmの出口端部Lfoあるいは逆洗タンク31を通じて外部で消失する。
【0042】
図9に示されるように、濾材25の内部に伝播した圧力波は、濾材25の内周面252から第1円筒部22mの内周面に向かって伝播し、その伝播の過程で異物25Rに作用する。結果として、圧力波のエネルギーの殆どは、圧力波の進行する方向に異物25Rを移動させるために消費される。そして、濾材25の外周面251に捕らわれた異物25Rは、圧力波のエネルギーの一部によって外周面251から取り除かれる。
【0043】
図10に示されるように、異物25Rが取り除かれた状態から準備工程と逆洗工程とが繰り返されると、濾材25の内部には、再び、圧力波が伝播する。外周面251に異物25Rが捕らわれていない状態では、圧力波のエネルギーの殆どが、濾材25の外周面251と第1円筒部22mとの間の隙間に伝播する。そして、逆洗工程ごとに濾過機21から押し出される液体は、混合液通路Lmの出口端部Lmoから排出され、さらに、逆洗タンク31の内部にも排出される。結果として、圧力波のエネルギーの一部が逆洗タンク31の内部に放出される分、圧力波の印加に求められる機械的な耐性は濾過装置10にて、特に混合液通路Lmにて抑えられる。また、混合液通路Lmの内部に伝播した圧力波が濾過機21に向けて反射することが抑えられるため、取り除かれた異物25Rの円滑な排出が可能にもなる。
【0044】
なお、濾液通路Lfの内部に発生した圧力波は、濾過機21から上方に延びる通路を通じて濾材25の内部に作用する。そして、第2円筒部22fの内部に溜まった濾液や濾材25の内部に溜まった濾液の自重が作用する方向に沿って、圧力波は進行する。それゆえに、濾液の自重が作用する方向とは反対の方向に沿って圧力波が進行する場合に比べて、異物25Rに作用する圧力波のエネルギーが高められる。
【0045】
また、濾材25の内部には、第2円筒部22fから濾材25の筒内に伝播する圧力波を濾材25の内周面252に対し分散する分散部材26が配設されている。それゆえに、濾材25の筒内に伝播する圧力波は、分散部材26との衝突を通じて、濾材25の内周面252に対し分散される。結果として、外周面251の略全体にわたり圧力波は作用し、外周面251の略全体から異物25Rは取り除かれる。
【0046】
一方で、内周面252の一部にのみ圧力波が作用する場合には、外周面251の一部でのみ異物25Rが取り除かれる。そして、準備工程と逆洗工程との繰り返しによって圧力波が再び印加されるとしても、濾材25の筒内に伝播した圧力波の殆どは、異物25Rの取り除かれた部位を通じて、濾材25の外周面251と第2円筒部22fとの間の隙間に伝播してしまう。結局のところ、外周面251の全体にわたる異物25Rを取り除くために、設定回数N1を増やすことが必要になる。この点で、濾材25の内部に分散部材26が配設される構成であれば、外周面251の略全体にわたり圧力波が作用するため、設定回数N1が増えることが抑えられる。
【0047】
なお、逆洗モード設定部43での設定モードが第2モードである場合には、逆洗制御部44は、第1モードと同じく、まず、第2モードでの停止工程を実行し、濾過機21の内部の圧力は、時間Tp2の間に、濾過処理時の圧力から大気圧に向かって減圧される。
【0048】
図11に示されるように、第2モードでの停止工程が終了すると、逆洗制御部44は、混合液排出弁Vdmのみが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、混合液排出弁Vdmのみが開くための駆動信号を出力する。これによって、第1円筒部22mの内部の圧力、特に、濾材25の外周面251と第2円筒部22fとの間の隙間の圧力が大気圧に減圧される。
【0049】
そして、準備工程が終了すると、逆洗制御部44は、第2モードの逆洗工程として、空気供給弁Vsaが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、空気供給弁Vsaが開くための駆動信号を空気供給弁Vsaに出力する。これによって、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開いた状態になる。そして、逆洗工程が終了すると、再び、逆洗制御部44は、準備工程と逆洗工程とをこの順に設定回数N2だけ繰り返す。
【0050】
この際に、空気供給弁Vsaが急開すると、第1モードと同じく、圧縮空気タンク11に貯められた圧縮空気は、濾液通路Lfの内部に対し即座に作用して圧力波を発生させる。濾材25の内部に伝播した圧力波は、濾材25の内周面252から第1円筒部22mの内周面に向かって伝播し、その伝播の過程で異物25Rに作用する。ここで、第2モードの準備工程では、濾材25の外周面251と第1円筒部22mとの間の隙間の圧力が大気圧に減圧される。それゆえに、濾材25の外周面251と第2円筒部22fとの間の隙間の圧力が大気圧よりも高い場合に比べて、濾材25の外周面251に捕らわれた異物25Rは、外周面251から取り除かれやすくなる。
【0051】
なお、逆洗モード設定部43での設定モードが第3モードである場合には、逆洗制御部44は、第1モードと同じく、まず、第3モードでの停止工程を実行し、濾過機21の内部の圧力は、時間Tp3の間に、濾過処理時の圧力から大気圧に向かって減圧される。
【0052】
図12に示されるように、第3モードでの停止工程が終了すると、逆洗制御部44は、第3モードでの第1逆洗工程として、空気供給弁Vsaのみが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、空気供給弁Vsaのみが開くための駆動信号を出力する。これによって、空気供給弁Vsaのみが開いた状態になる。
【0053】
この際に、空気供給弁Vsaが急開すると、第1モードと同じく、圧縮空気タンク11に貯められた圧縮空気は、濾液通路Lfの内部に対し即座に作用して圧力波を発生させる。濾材25の内部に伝播した圧力波は、濾材25の内周面252から第1円筒部22mの内周面に向かって伝播し、その伝播の過程で異物25Rを外周面251から取り除く。また、混合液排出弁Vdmが閉じた状態で空気供給弁Vsaが急開するため、圧力波の伝播は混合液排出弁Vdmにて止められる。結果として、濾過機21の内部では、圧力波の伝播に伴って液体が急激に大きく流動することが第1モードよりも抑えられる。それゆえに、圧力波の印加に対して求められる濾材25の耐性が抑えられる。
【0054】
そして、第1逆洗工程が終了すると、逆洗制御部44は、第3モードでの第2逆洗工程として、混合液供給弁Vsmが開くための制御信号を弁駆動部45に出力する。弁駆動部45は、逆洗制御部44からの制御信号に応じて、混合液供給弁Vsmが開くための駆動信号を空気供給弁Vsaに出力する。これによって、空気供給弁Vsaと混合液排出弁Vdmとが開いた状態になる。そして、第2逆洗工程が終了すると、再び、逆洗制御部44は、第1逆洗工程と第2逆洗工程とをこの順に設定回数N3だけ繰り返す。
【0055】
上記実施の形態は、以下のように変更して実施できる。
・分散部材26が割愛されてもよいし、第1モードと第2モードとの各々から準備工程が割愛されてもよい。また、逆洗タンク31が割愛されてもよいし、濾液通路Lfのうち空気供給弁Vsaと濾液排出弁Vdfとの間の部分は、濾過機21の下方に配置されてもよい。また、濾材の形状は板状や塊状であってもよいし、濾過機に供給される混合液はプールや水槽等から排出される液体であってもよい。さらに、圧縮気体は圧縮された窒素等であってもよい。要するに、濾材の流出面に圧力波が加えられる構成であればよい。
【0056】
・上記実施の形態では、濾液通路Lf、圧縮空気タンク11、空気供給弁Vsa、濾液排出弁Vdf、及び、濾過タンク22によって圧力印加部が構成される。これに限らず、圧力印加部では、圧縮空気タンク11が割愛されてもよい。また、空気供給弁Vsaと濾液排出弁Vdfとが個別の通路を介して濾過タンク22に接続される構成であれば、空気供給弁Vsa、濾過タンク22、及び、空気供給弁Vsaと濾過タンク22とを接続する通路によって圧力印加部が構成されてもよい。
【0057】
・混合液供給弁Vsmと混合液排出弁Vdmとは、個別の通路を介して濾過タンク22に接続されてもよい。
・濾過装置10の実行する逆洗処理では、相互に異なる2つ以上のモードが連続してもよいし、1つのモードのみが常に実施されてもよい。
【0058】
なお、本開示における濾過装置は、下記(1)、(2)の構成とすることもできる。
(1)濾液が流出する流出面を有した濾材と、前記濾材の前記流出面に連通する通路と、前記通路内への圧縮気体の供給によって前記流出面に圧力波を加える圧力波印加部と、
を備え、前記通路が、前記濾材に対し上方に延び、前記圧力波印加部が、前記濾材の上方から前記圧縮気体を供給する濾過装置。
【0059】
(2)前記圧力印加部が、前記通路に接続されて圧縮気体を貯留するタンクと、前記通路の途中に設けられて前記タンクと前記流出面との連通と前記連通の遮断とを切り替える弁とを備える上記(1)に記載の濾過装置。