特許第5990524号(P5990524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセプティブ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許5990524器具または薬剤を体腔に挿入するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990524
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】器具または薬剤を体腔に挿入するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   A61B17/42
【請求項の数】16
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-534069(P2013-534069)
(86)(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-543420(P2013-543420A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011056688
(87)【国際公開番号】WO2012054466
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年9月29日
(31)【優先権主張番号】61/394,120
(32)【優先日】2010年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513086784
【氏名又は名称】バイオセプティブ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】カピエロ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】クラナ,シュチ プリエ
(72)【発明者】
【氏名】ケンパー,クラレンス,ビー.,ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ウォールフェイル,クリスタ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】テイスタノヴァ,ボタ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル,マーク,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドールズ,キャサリン,ゼット.
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05259836(US,A)
【文献】 国際公開第01/021116(WO,A1)
【文献】 特表平10−507384(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/098618(WO,A1)
【文献】 特開昭50−141195(JP,A)
【文献】 特表平10−510444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正圧を受け取ってハウジング通路を通って挿入部材を移動させるように構成されたハウジング通路を規定するハウジングであって、真空チャネル及び真空チャンバを規定し、前記真空チャネルは前記真空チャンバに流体連通する、ハウジングと、
アクチュエータであって、前記真空チャンバ内での当該アクチュエータの移動が真空を生成するように前記真空チャンバ内に少なくとも部分的に配置されたアクチュエータと、
前記ハウジングに連結されたヘッド部であって、前記ハウジングの前記真空チャネルと流体連通するヘッド部通路を規定し、前記ヘッド部は、標的位置に関連する表面に接触するように構成された接触部分を有しており、前記接触部分は、前記標的位置に関連した身体腔を実質的に取り囲むように構成され、前記接触部分の側壁は、前記接触部分が前記表面に接触するときに、前記側壁および前記表面の一部が、前記身体腔を少なくとも部分的に取り囲む体積を実質的に閉塞するように、前記体積を規定する、ヘッド部と、を備え、
前記体積は、前記アクチュエータが移動するときに前記表面の一部上に真空力が作用するように前記ヘッド部通路に流体連通する、装置。
【請求項2】
挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する前記挿入部材であって、前記挿入部材の少なくとも一部は前記ハウジング通路内に配置され、前記挿入部材は、当該挿入部材に作用する前記正圧に応答して、前記身体腔を介して前記標的位置に前記挿入物を搬送するために前記ハウジング通路内で移動するように構成される、前記挿入部材と、
入力された力を受け取って前記挿入部材上に前記正圧を作用させるように構成された制御機構であって、前記入力された力が閾値を超えると、前記正圧の大きさを制限するように構成された制御機構と、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記真空チャンバ内に少なくとも部分的に配置されて前記真空チャンバの内面に実質的に気密シールを形成するように構成されたプランジャを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは連結部分を有しており、前記ヘッド部は、当該ヘッド部が少なくとも1つの自由度で前記ハウジングに対して回転することができるように前記ハウジングの前記連結部分に回転可能に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接触部分の前記側壁によって規定される前記体積は、前記接触部分の前記側壁によって規定される複数の体積のうちの1つの体積であり、前記複数の体積のうちの各体積は前記真空チャネルに連通する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記制御機構は、クラッチ機構およびラチェット機構のいずれか一方を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記挿入部材は第1挿入部材であり、前記装置は、
前記第1挿入部材に連結された第2挿入部材であって、前記第1挿入部材に対して移動して前記第1挿入部材の前記遠位端部分から前記挿入物を分離するように構成された第2挿入部材をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記挿入部材は第1挿入部材であり、前記装置は、
前記第1挿入部材に連結された第2挿入部材であって、前記第1挿入部材内でスライドして前記第1挿入部材の前記遠位端部分から前記挿入物を分離するように構成された第2挿入部材をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記挿入部材に係合して前記ハウジングに対して前記挿入部材の移動を制限するように構成された係合部分を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記挿入部材は挿入組立体の第1挿入部材であり、前記装置は、
第2挿入部材及び制御機構をさらに有する前記挿入組立体であって、前記第1挿入部材は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成され、前記第1挿入部材の少なくとも一部は前記ハウジング内で移動して前記標的位置に前記挿入物を搬送するように構成され、前記第2挿入部材は、入力された力の少なくとも一部を前記第1挿入部材に伝達して前記ハウジング内で前記第1挿入部材を移動させるように構成され、前記制御機構は、前記第1挿入部材に伝達された前記入力された力の大きさを制限するように構成される、前記挿入組立体をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記真空チャンバの外側に少なくとも部分的に配置され、前記真空チャンバの外側に配置された前記アクチュエータの一部は、ユーザから手動の力を受け取るように構成され、前記アクチュエータは、前記ユーザから受け取られた前記手動の力に応答して前記真空チャンバ内で移動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記入力された力はユーザによって手動で生成される、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記第1挿入部材に伝達された前記入力された力の大きさはゼロではない、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記入力された力を生成するためにユーザによって操作されるように構成されたレバーをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記アクチュエータは、前記真空チャンバに対する前記アクチュエータの軸方向移動が制限されるように前記真空チャンバの係合表面に選択的に係合するように構成された突起を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記標的位置は、子宮頚部に関連する身体内の位置であり、前記表面は子宮の表面であり、
前記ヘッド部の前記接触部分は、(1)子宮の一部を受容するように、かつ、(2)前記側壁及び前記表面の一部が前記体積を実質的に閉塞するときに前記接触部分と接触しない子宮の一部の移動を制限するように構成された不連続な輪郭を規定する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本願は、2010年10月18日に出願された発明の名称「Methods and Apparatus for Inserting a Device or Pharmaceutical into a Body Cavity」の米国仮特許出願第61/394,120号の優先権の利益を主張するものであり、同仮特許出願は、引用によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[1002] 本明細書において説明される実施形態は、器具および/または薬剤を体腔に挿入するための装置および方法に関する。さらに詳細には、本明細書に記載される実施形態は、子宮内避妊器具(IUD:intrauterine device)を子宮に挿入するための装置および方法に関する。
【0003】
[1003] 挿入が困難である点が、世界中の医師および医療従事者によって既知のIUDがより広く使用されることに対して顕著なハードルとなっている。IUDを挿入する既知の方法は4つの器具および複数の操作を伴う。特に、IUD挿入の既知の方法は、膣鏡、子宮支持鉤、osファインダ(os finder)(必要に応じて)、子宮ゾンデおよびIUDインサータの使用を含む。最初に、子宮頸部を視覚化するために膣鏡が用いられる。2番目に、実質的に子宮頸部を伸展させるためおよび/または子宮頸部と子宮腔とを整列させるために、子宮頸部が、子宮支持鉤を用いて下向きの牽引力でクランプされる。特定の状況において、子宮口の位置特定および拡張のためにosファインダが用いられる。3番目に、IUDが挿入される深さである子宮腔の深さを判定するために子宮ゾンデが用いられる。4番目に、IUDのアームが折り畳まれてインサータのチューブに装填される。5番目に、インサータが、医療提供者が子宮頸管の開口部を見つけることができるまで膣に挿入され、次いで、音響処理によって測定された深さまで子宮頸部を介して子宮へと挿入される。6番目に、子宮の基底部におけるチューブからIUDのアームを解放するために、インサータのチューブが引き戻される。いくつかの既知のプロセスにおいては、子宮内膜腔内において最も高い達成可能な配置が確実に行われるように、インサータチューブがIUDのアームの基部に対して再び押し当てられる。次いで、インサータは、IUDの配置が損なわれないように、子宮、子宮頸部、および膣から注意深く抜去される。最後に、施術医は、抜去用ストリングが十分な長さ(例えば少なくとも2.5cm)で確実に膣において露出するよう、IUDストリングを切断しなければならない。
【0004】
[1004] こうした既知の方法に係るIUDの挿入は、IUDの配置の失敗および/または他の問題をしばしば生じさせ得る。言い換えれば、IUD挿入の既知の方法は、確実にIUDを適切に配置するための一連の精密な操作を含む。IUD挿入のための既知の方法および器具を用いる際に手続き上の逸脱がわずかに生じたとしても、子宮壁の貫通、子宮内膜にIUDが埋め込まれる可能性の増加、および/または、IUDの排出が生じ得る。加えて、挿入処理中に細菌が膣から子宮に押し込まれ、それによって骨盤感染症疾患(PID:pelvic inflammatory disease)等の問題が生じ得る。
【0005】
[1005] したがって、これらの問題を軽減し、治療の全領域における医療提供者によってIUDの挿入が実行されることを可能にする子宮内避妊器具(IUD)を子宮に挿入するための改良された装置および方法に対する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[1006] 器具および/または薬剤を体腔に挿入するための装置および方法が本明細書において説明される。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ハウジング、ヘッド部および挿入部材を備える。ハウジングはハウジング通路を規定する。ヘッド部通路を規定するヘッド部は、ハウジングに対して回転する(例えばヘッド部は、屈曲、回転、旋回等をすることができる)ように構成される。ハウジング通路およびヘッド部通路は共同で、挿入通路の少なくとも一部が非線形である(例えば湾曲する、非平行区域またはその均等物を含む)ように挿入通路を規定する。挿入部材は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する。挿入部材は、挿入部材の近位端の少なくとも一部がハウジング通路内に位置するようにハウジング内に配置される。挿入部材は、挿入物を標的組織に搬送するため、挿入通路の一部内において(例えば近位端と遠位端との間で)湾曲、旋回および/または回転するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図2】第1構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図3】第2構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図4】第3構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図5】第1構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図6】第2構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図7】体腔内において用いられる、第1構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図8図7のX−X線に沿った図7の挿入物送達装置に含まれる接触部分の断面図である。
図9】体腔内において用いられる図7の挿入物送達装置の概略図である。
図10】一実施形態に係る挿入物送達装置の正面図である。
図11図10の挿入物送達装置に含まれる近位端キャップの斜視図である。
図12図10の挿入物送達装置に含まれる挿入組立体の分解斜視図である。
図13図10の挿入物送達装置に含まれる関節ネック部の斜視図である。
図14図13の関節ネック部の断面図である。
図15図10の挿入物送達装置に含まれるヘッド部の斜視図である。
図16図15のヘッド部の断面図である。
図17図10の挿入物送達装置に含まれる真空組立体の分解斜視図である。
図18】円Zによって図17に示される真空組立体の一部の拡大図である。
図19】円Zによって図17に示される真空組立体の一部の拡大図である。
図20】第1構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の側面図である。
図21】第2構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の側面図である。
図22】第3構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の側面図である。
図23】第4構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の側面図である。
図24】第5構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の側面図である。
図25】一実施形態に係る挿入物送達装置の斜視図である。
図26】Zとして示される領域によって図25に示される挿入物送達装置の一部の拡大図である。
図27図25の挿入物送達装置に含まれる真空アクチュエータの斜視図である。
図28図25の挿入物送達装置に含まれる挿入部材の斜視図である。
図29】円Zによって図28において示される挿入部材の拡大部分である。
図30】子宮内避妊器具とともに用いられる、図28の挿入部材の一部である。
図31】第1構成における図25の挿入物送達装置の一部の斜視図である。
図32】第2構成における図25の挿入物送達装置の一部の斜視図である。
図33】第1構成における一実施形態に係る挿入物送達装置の概略図である。
図34】第2構成における図33の挿入物送達装置の概略図である。
図35】一実施形態に係る挿入物送達装置の使用方法を説明するフローチャートである。
図36】一実施形態に係る挿入物送達装置の使用方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1036] 器具および/または薬剤を体腔に挿入するための装置および方法が本明細書において説明される。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ハウジング、ヘッド部および挿入部材を備える。ハウジングはハウジング通路を規定する。ヘッド部通路を規定するヘッド部は、ハウジングに対して回転する(例えばヘッド部が、屈曲、回転、旋回等をすることができる)ように構成される。ハウジング通路およびヘッド部通路は共同で、挿入通路の少なくとも一部が非線形である(例えば湾曲させられる、非平行区域またはその均等物を含む)ように挿入通路を規定する。挿入部材は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する。挿入部材は、挿入部材の近位端の少なくとも一部がハウジング通路内に位置するようにハウジング内に配置される。挿入部材は、挿入物を標的組織に搬送するために、挿入通路の一部内において(例えば近位端と遠位端との間で)湾曲、旋回および/または回転するように構成される。
【0009】
[1037] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ハウジング、第1挿入部材、第2挿入部材および制御部材を備える。ハウジングは、ハウジング通路を規定し、例えば子宮および/または子宮頸部の外側表面等の標的組織に関連する表面に接触するように構成された接触部分を備える。第1挿入部材は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する。第1挿入部材は、ハウジング通路内に少なくとも部分的に配置される近位端部分を備える。そのため、第1挿入部材は、第1位置と第2位置との間でハウジングに対して移動するように構成されてよい。第2位置にあるとき、第1挿入部材の遠位端は、ハウジングの接触部分から所定の距離だけ間隔を空けて配置される。第2挿入部材は、第1挿入部材に連結されて、第1挿入部材の遠位端部分から挿入物を分離する(すなわち接触状態から切り離す)ために、第1挿入部材に対して移動するように構成される。挿入物送達装置は、第1挿入部材から挿入物を分離するために第2挿入部材が移動するときに第2挿入部材によって挿入物上に作用される挿入力(implant force)を制限するように構成された制御機構(例えばバルブ、クラッチ、ブレーキ、ラチェットおよび/またはそれらの均等物)をさらに備える。
【0010】
[1038] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ハウジング通路を規定するハウジングを備える。ハウジングは、標的組織に関連する表面に接触するように構成された接触部分を備える。挿入物送達装置は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する少なくとも1つの挿入部材を備える。挿入部材は、ハウジング通路内に少なくとも部分的に配置される近位端部分を備える。挿入物送達装置は、ハウジングに動作可能に連結された例えば圧縮ガス容器、付勢部材(例えばバネ)、それらの均等物等のエネルギ蓄積部材をさらに備える。エネルギ蓄積部材は、作動すると、挿入物が標的組織に搬送されるように挿入部材を第1位置と第2位置との間でハウジングに対して移動させるための力を生成するように構成される。
【0011】
[1039] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ハウジング通路を規定するハウジングを備える。ハウジングは、標的組織に関連する表面に接触するように構成された接触部分を備える。接触部分は、側壁を備え、体積を規定する。接触部分は、標的位置に関連する体腔を実質的に取り囲むように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、接触部分は、子宮頸開口部および/または子宮頸管を実質的に包囲するように構成される。体積は、標的組織に関連する体腔を部分的に取り囲むように構成される。このように、接触部分の側壁および標的組織に関連する表面の一部は共同で、接触部分によって規定される体積を閉塞する。ハウジングは、接触部分によって規定される体積に流体連通し且つ真空源に動作可能に連結される真空チャネルをさらに備える。真空源は、作動すると、真空力が表面の一部上に作用するように体積内に真空を生成する。挿入物送達装置は、挿入物に着脱可能に連結されるように構成された遠位端部分を有する少なくとも1つの挿入部材を備える。挿入部材は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された近位端部分を備える。挿入部材は、標的組織に体腔を介して挿入物を搬送するために第1位置と第2位置との間でハウジングに対して移動するように構成される。
【0012】
[1040] いくつかの実施形態において、方法は、挿入物送達装置の接触部分が子宮頚部の外側表面に接触するまで接触部分を遠位方向に身体内に挿入することを含む。この方法は、吸引力が子宮頸部の外側表面の少なくとも一部に加えられるように、挿入物送達装置の接触部分によって規定された体積内に真空を生成することをさらに含む。吸引力が外側表面に加えられた状態で、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管とを実質的に整列させるために近位方向に移動させられる。さらに詳細には、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管との間の角度が実質的に90度より大きくなるまで近位方向に移動させられる。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管との間の角度が、所望レベルの整列および/または「直線性」が達成されるまで、近位方向に移動させられる。例えば、いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管との間の角度が、実質的に115度より、135度より、または165度より大きくなるまで近位方向に移動させられる。この方法は、挿入部材の遠位端部分が子宮腔内に配置されるまで、挿入物送達装置によって規定された通路内で挿入部材を移動させることをさらに含む。
【0013】
[1041] いくつかの実施形態において、方法は、挿入物送達装置のハウジングの接触部分が子宮頚部の外側表面に接触するまでハウジングを身体内に挿入することを含む。挿入物送達装置は、第1挿入部材の遠位端に着脱可能に連結された挿入物を備える。この方法は、遠位端部分が子宮頸部によって規定された子宮頸管内に配置されるように、第1挿入部材をハウジングに対して移動させることを含む。いくつかの実施形態において、第1挿入部材は、所定の距離(例えば子宮に関連する解剖学上の最小深さ)だけ移動させられるように構成される。この方法は、第1挿入部材から挿入物を分離するために、第1挿入部材に対して第2挿入部材を移動させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1挿入部材から挿入物を分離するために第2挿入部材によって加えられる力は所定の閾値より低く維持される。
【0014】
[1042] 本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる用語「近位」および「遠位」は、それぞれ、医療装置の取扱者に近づく方向および医療装置の取扱者から遠ざかる方向を指す。したがって、例えば、患者の体に接触する医薬品送達装置の端部が医薬品送達装置の遠位端となる一方、遠位端の反対側の端部が医薬品送達装置の近位端となる。
【0015】
[1043] 用語「平行」は、本明細書においては、2つの幾何学的構造(例えば2本の直線、2つの平面、1本の直線および1つの平面、またはそれらの均等物)同士の間の関係が、2つの幾何学的構造が実質的に無限に延長されたときこれら2つが実質的に交差しないことを示すために用いられる。例えば、本明細書で用いられるように、2本の直線が無限に延長されたときに交差しない場合、これらの2本は平行であると言われる。同様に、1つの平面(すなわち2次元表面)が1本の直線に対して平行であると言われるとき、その直線に沿った各点とその表面の最も近い部分との間の距離は実質的に等距離に保たれる。2つの幾何学的構造が、例えば誤差範囲内で相互に対して平行である場合等、相互に対して名目上平行であるとき、これら2つは相互に対して「平行」または「実質的に平行」であると言われる。こうした誤差は、例えば製造誤差、測定誤差またはそれらの均等物を含み得る。
【0016】
[1044] 図1は、一実施形態に係る挿入物送達装置100の概略図である。挿入物送達装置100は、ハウジング110、ヘッド部140および挿入部材161を備える。ハウジングは、近位端部分111および遠位端部分112を備え、近位端部分111と遠位端部分112との間にハウジング通路113を規定する。ハウジング通路113は、近位端111と遠位端112との間に第1中心線CLを規定する。ハウジング110は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング110は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形であってよい。
【0017】
[1045] ハウジング110の遠位端部分112は、ヘッド部140が、矢印BBによって図1に示されるようにハウジング110に対して屈曲、回転および/または旋回し得るように、ヘッド部140の近位端141に連結される。ヘッド部140は任意の好適な機構を介してハウジングに連結されてよい。例えば、ハウジング110の遠位端112は1組のアパーチャ(図1において図示せず)を備えてよく、ヘッド部140は1組の突起(図1において図示せず)を備えてよい。これらのアパーチャは、ヘッド部140をハウジング110に旋回可能に連結するために、これらの突起を受容するように構成されてよい。同様に、ヘッド部140に含まれるこれらの突起は軸を規定してよく、ヘッド部140はこの軸周りにハウジング110に対して旋回することができる。他の実施形態では、ヘッド部140は、ハウジング110の遠位端部分112およびヘッド部140の近位端141を受容するように構成された可撓性スリーブ(図1において図示せず)を介してハウジング110に連結されてよい。このように、スリーブは、ヘッド部140が1または2以上の自由度でハウジング110に対して回転することができるように、ヘッド部140をハウジング110に弾力的に連結してよい。ヘッド部140はハウジング110に対して直接的(すなわち介在構造なし)に連結されるように示されているが、いくつかの実施形態においては、ヘッド部140は介在構造を介してハウジング110に連結されてよい。同様に、いくつかの実施形態において、ヘッド部140は、ヘッド部140がハウジング110に物理的に直接接触することなく、ハウジング110に連結されてよい。
【0018】
[1046] ヘッド部140は、近位端141および遠位端142を備え、近位端141と遠位端142との間にヘッド部通路144を規定する。ヘッド部通路144は、近位端141と遠位端142との間に第2中心線CLを規定する。ハウジング通路113およびヘッド部通路144は共同で、挿入通路105の少なくとも一部が非線形となるように、挿入通路105を規定する。同様に、ヘッド部140は、ヘッド部通路144によって規定される第2中心線CLが、ハウジング通路113によって規定される第1中心線CLに対して非平行となるように、ハウジング110に対して回転するように構成される。言い換えれば、ヘッド部140は、第2中心線CLが第1中心線CLに対して角度的にずれるように、ハウジング110に対して回転するように構成される。このように、挿入通路105は、挿入通路105が直線を規定しないように、屈曲部分および/または湾曲部分を備える。本明細書においてより詳細に説明されるように、この構成によって、湾曲したおよび/または非線形の身体内腔Lを伸展させることに関連する患者の不快感を最小化しつつ、こうした身体内腔に挿入部材161を挿入することが可能となる。
【0019】
[1047] 挿入部材161は近位端162および遠位端163を有する。挿入部材161は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、挿入部材161は内腔(図1において図示せず)を規定してよい。いくつかの実施形態において、挿入部材161は実質的に中実(すなわち挿入部材161は内腔を規定しない)であってよい。挿入部材161は任意の好適な材料から形成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、挿入部材161は、ゴム、エラストマおよび/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。
【0020】
[1048] 挿入部材161は少なくとも部分的に挿入通路105内に配置される。言い換えれば、挿入部材161の近位端162の少なくとも一部がハウジング通路113内に配置される。挿入部材161の少なくとも一部は挿入通路105内で移動可能である。いくつかの実施形態において、挿入部材161は、挿入部材161が挿入通路105の一部内で移動するとき、湾曲、旋回および/または回転することができる。
【0021】
[1049] 挿入部材161の遠位端163は、挿入物101に着脱可能に連結されるように構成される。いくつかの実施形態において、挿入物101は、患者の子宮の標的部分に埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)である。他の実施形態において、挿入物101は、患者の身体内の標的位置に配置されるように構成された薬剤および/または他の医療装置であってよい。
【0022】
[1050] 使用時、挿入物送達装置100は、矢印AAによって図1に示されるように、患者の身体Bの一部によって規定された身体内腔Lに挿入される。いくつかの実施形態において、身体内腔Lは実質的に非線形である(例えば身体内腔Lは湾曲部分を有し得る)。上述のように、ヘッド部140は、挿入通路105が実質的に非線形となるようにハウジング110に対して移動させられ得る。ヘッド部140は、挿入前、挿入中または挿入後に、ハウジング110に対して回転することができる。このように、ヘッド部161の遠位端163は、標的組織Tの表面に整列させられてよく、標的組織Tの表面に接触されてよくおよび/または標的組織Tの表面に係合してよい。挿入部材161の少なくとも一部は、挿入物101を標的組織Tに送達するために挿入部材161の遠位端163がヘッド部140の遠位端142を越えて延長するように、挿入通路105内で移動させられてよい。上述のように、挿入部材161の一部は、挿入部材161が挿入通路105の一部内で移動させられるときに湾曲する。
【0023】
[1051] いくつかの実施形態において、例えば挿入物送達装置100は患者の膣に遠位方向に挿入されてよい。同様に、挿入物送達装置101は膣内で子宮頚部に向かって移動させられてよい。いくつかの実施形態において、ヘッド部140は子宮頸部の一部に接触してよい。挿入物送達装置のヘッド部140が子宮頸部の外側表面に接触する状態および/または子宮頸部の外側表面の近傍にある状態で、挿入部材161は挿入通路105内で遠位方向に移動させられてよい。挿入部材161が遠位方向に前進するにつれて、挿入部材161は、湾曲、回転および/または挿入通路105内における湾曲および/またはカーブに順応することができる。挿入部材161の遠位端163は、ヘッド部140の遠位端142を越えて子宮口(すなわち子宮腔の開口部)に(または子宮口を通って)延長するように構成されてよい。挿入部材161が子宮腔に挿入された状態で、挿入部材161は挿入物101を子宮の基底部(すなわち子宮口の反対側にある子宮部分)に送達することができる。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置100は、挿入部材161が遠位方向に移動するにつれて挿入部材161によって挿入物101(および/または子宮の基底部)上に作用される力を制限する制御部材(図1において図示せず)を備えてよい。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置100は、挿入処理の間に挿入部材161の遠位端163がヘッド部140の遠位端142を越えて延長する距離を制限する機構(図1において図示せず)を備えてよい。
【0024】
[1052] 図2図4は、それぞれ第1構成、第2構成および第3構成における、他の実施形態に係る挿入物送達装置200の概略図である。挿入物送達装置200は、ハウジング210、挿入組立体260および制御機構202を備える(図4参照)。ハウジング210は、近位端211および遠位端212を備え、近位端211と遠位端212との間にハウジング通路213を規定する。ハウジング210の遠位端212は、標的組織Tに関連する表面Sに接触するように構成された接触部分247を備える。表面Sは、外部表面(例えば皮膚)または内部表面(例えば子宮頸の外側表面)等の任意の好適な表面であり得る。ハウジング210は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング210は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形であってよい。いくつかの実施形態において、ハウジング210は、ゴム、エラストマおよび/またはプラスチック等の可撓性材料から形成される。いくつかの実施形態において、ハウジング210は、互いに回転可能に連結された1組の構成品を備えてよい。例えば、ハウジング210は、上記で図示および説明されたヘッド部140の配列と同様に、ハウジング210に回転可能に連結されたヘッド部分を備えてよい。
【0025】
[1053] 挿入組立体260は、第1挿入部材261および第2挿入部材266を備える。以下でより詳細に説明されるように、挿入組立体260の少なくとも一部はハウジング通路213内でハウジング210に対して移動するように構成される。第1挿入部材261は近位端部分262および遠位端部分263を備える。近位端部分262は少なくとも部分的にハウジング通路213内に配置される。遠位端部分263は、挿入物201に着脱可能に連結されるように構成される。いくつかの実施形態において、挿入物201は患者の子宮の標的部分に埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)である。他の実施形態において、挿入物201は、患者の体内の標的位置に配置されるように構成された薬剤および/または他の医療装置であってよい。
【0026】
[1054] 第1挿入部材261は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよく、第1挿入部材261に挿入物201を着脱可能に連結するための任意の好適な特徴を備えてよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1挿入部材261の遠位端部分263は、挿入物201の対応する突起および/または開口部に対で連結されるように構成された突起および/または開口部(図2図4において図示せず)を備えてよい。他の実施形態において、第1挿入部材261は内腔(図2図4において図示せず)を規定してよく、この内腔内に挿入物201の少なくとも一部が配置されてよい。さらに他の実施形態において、遠位端部分263は、挿入物201を遠位端部分263に着脱可能に連結するように構成されたスナップフィット接合部、螺刻取付具またはそれらの均等物を備えてよい。加えて、挿入部材261は任意の好適な材料から形成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1挿入部材261は、ゴム、エラストマ、重合体および/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。
【0027】
[1055] 第2挿入部材266は近位端部分267および遠位端部分268を備える。第2挿入部材266は第1挿入部材261に移動可能に連結される。特に、第2挿入部材266は、近位端部分267と遠位端268との間に挿入チャネル270を規定し、挿入チャネル270内に第1挿入部材261の少なくとも一部が配置される。このように、以下に説明するように、第2挿入部材266は、第1挿入部材261の遠位端部分263から挿入物201を分離するために、第1挿入部材261の周りで移動可能である。第2挿入部材266は、チャネル270を規定して第1挿入部材261の周りに配置されるものとして図示されているが、他の実施形態において、第2挿入部材266は、任意の好適な構成で第1挿入部材261に連結されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、第2挿入部材266は第1挿入部材261内に配置されてよい。他の実施形態において、第2挿入部材266は第1挿入部材261の傍らに配置されてよい。
【0028】
[1056] 使用時、挿入物送達装置200は、挿入物201を標的組織Tに送達するために、いくつかの異なる構成同士の間で移動することが可能である。図2に示される第1構成において、接触部分247は、標的組織Tに関連する表面Sに接触する。第1挿入部材261の遠位端部分263および第2挿入部材266の遠位端部分268は、それぞれ、挿入物201の遠位端が接触部分247と実質的に同一平面となるように、ハウジング通路213内においてハウジング210の遠位端部分212に配置される。他の実施形態において、第1挿入部材261および第2挿入部材266は、挿入物201の遠位端が接触部分247から近位方向(すなわち遠位端部分212内に凹む)にまたは遠位方向(すなわち遠位端部分212から突出する)に間隔を空けて配置されるように、ハウジング通路213内に配置されてよい。
【0029】
[1057] 第1構成(図2)から第2構成(図3)に装置200を移動させるために、矢印CCによって図3に示されるように遠位方向に挿入組立体260を前進させるために力が加えられる。このようにして、第1挿入部材261および第2挿入部材266は、ハウジング210に対して移動して、標的組織Tの接触表面Sによって規定された開口部Oを通って前進する。さらに詳細には、第1挿入部材261は、ハウジング210の接触部分247を越えて所定距離Dだけ前進するように構成される。いくつかの実施形態において、ハウジング210は、挿入物送達装置200が第2構成にあるときに第1挿入部材261が接触部分247を越えて延長する距離を制限するための係合部分(図2図4において図示せず)または他の機構を備えてよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1挿入部材261は接触部分247を約5cmだけ越えて延長するように構成されてよい。他の実施形態において、第1挿入部材261は接触部分247を約7cmだけ越えて延長するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、距離Dは、標的組織Tに関連する解剖学的特徴に関連し得る。例えば、いくつかの実施形態において、距離Dは、IUDの挿入が勧められる子宮の最小深さであってよい。
【0030】
[1058] 第2構成(図3)から第3構成(図4)に挿入物送達装置200を移動させるために、力Fが少なくとも第2挿入部材266に加えられる。このように第2挿入部材266は、矢印DDによって図4に示されるように第1挿入部材261に対して遠位方向に標的組織Tに向かって移動させられる。第2挿入部材266が第1挿入部材261に対して移動すると、挿入物201が第1挿入部材261から分離される。このようにして、挿入物201は、標的組織Tに接触しておよび/または標的組織Tに近接して配置される。
【0031】
[1059] 制御機構202は、第2挿入部材266上に作用されるおよび/または第2挿入部材266によって挿入物266上に作用される力Fを保持、低減、規制および/または別様に制限するように構成される。このようにして、挿入物201は、標的組織Tに対する潜在的な損傷および/または患者の不快感を最小化する量の力を用いて標的組織Tに送達され得る。制御機構202は、例えばバルブ、クラッチ、ラチェット機構および/またはそれらの均等物等の任意の好適な機構であってよい。特に、制御機構202は、第1力Fを受容し、力Fの少なくとも一部を第1挿入部材261および/または第2挿入部材266に伝達するように構成されてよい。第2挿入部材266上に作用する力が閾値レベルに達するまで大きくなると、制御機構202は、第1挿入部材261および/または第2挿入部材266に伝達される力Fの大きさを制限し得る。したがって、使用時、制御機構202は、制御機構202を通って伝達される第1力Fを第1力Fより小さい第2力Fに低減することによって、第2挿入部材266上に作用する力および/または圧力を規制し得る。
【0032】
[1060] 挿入組立体260、第1挿入部材261および/または第2挿入部材266に加えられる力(例えば力F1および/または力F2)は任意の好適な方法で生成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、その力は手動で(例えばユーザの動作によって)生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、その力は、ユーザが挿入組立体260に連結されたレバー(図2図4において図示せず)上に力を加える(例えば握る)と、手動で生成され得る。他の実施形態において、その力は、ユーザが挿入組立体260に流体連通する流体を手動で加圧したとき、手動で生成されてよい。さらに他の実施形態において、その力はエネルギ蓄積部材(図2図4において図示せず)によって生成され得る。いくつかの実施形態において、その力は、付勢部材(例えばバネシステム、弾性重合体、またはそれらの均等物)、電気的エネルギ蓄積部材および/または磁性部材によって生成され得る。他の実施形態において、その力は、ハウジング通路213に動作可能に連結された空気圧システムまたは油圧システムによって加えられてよい。
【0033】
[1061] 図5および図6は、挿入力を生成するためにエネルギ蓄積部材303を備える一実施形態に係る挿入物送達装置300の概略図である。挿入物送達装置300は、ハウジング310、挿入部材361およびエネルギ蓄積部材303を備える。ハウジング310は、近位端部分311および遠位端部分312を備え、ハウジング通路313を規定する。ハウジング310の遠位端部分312は、標的組織Tに関連する表面Sに接触するように構成された接触部分347を備える。表面Sは、外部表面(例えば皮膚)または内部表面(例えば子宮頸の外側表面)等の任意の好適な表面であってよい。ハウジング310は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング310は、身体開口部への挿入に好適な直径を有する実質的な円筒形であってよい。いくつかの実施形態において、ハウジング310は、ゴム、エラストマおよび/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。いくつかの実施形態において、ハウジング310は、回転可能に互いに連結された1組の構成品を備えてよい。例えば、ハウジング310は、接触部分347がスリーブおよび/またはその均等物(図5および図6において図示せず)を介してハウジング310に回転可能に連結されるように構成される。かかる実施形態において、ハウジング通路313は、ハウジング通路313の少なくとも一部が屈曲および/または湾曲するように実質的に非線形であってよい。
【0034】
[1062] 挿入部材361は近位端部分362および遠位端部分363を有する。挿入部材361の遠位端363は、挿入物301に着脱可能に連結されるように構成される。いくつかの実施形態において、挿入物301は、患者の子宮の標的部分に埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)である。他の実施形態において、挿入物301は、患者の身体内の標的位置に配置されるように構成された薬剤および/または他の医療装置であってよい。
【0035】
[1063] 挿入部材361は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよく、挿入部材361に挿入物301を着脱可能に連結するための任意の好適な特徴を備えてよい。例えば、いくつかの実施形態において、挿入部材361の遠位端部分363は、挿入物301の対応する突起および/または開口部に対で連結されるように構成された突起および/または開口部(図5および図6において図示せず)を備えてよい。他の実施形態において、挿入部材361は内腔(図5および図6において図示せず)を規定してよく、この内腔内に挿入物301の少なくとも一部が配置され得る。さらに他の実施形態において、遠位端部分363は、挿入物301を遠位端部分363に着脱可能に連結するように構成されたスナップフィット接合部、螺刻取付具またはそれらの均等物を備えてよい。加えて、挿入部材361は任意の好適な材料から形成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、挿入部材361は、ゴム、エラストマ重合体および/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。
【0036】
[1064] 挿入部材361は、近位端部分362の少なくとも一部がハウジング310内に配置されるように、ハウジング通路313内に配置されるように構成される。言い換えれば、挿入部材361の近位端部分362の少なくとも一部はハウジング通路313内に配置される。加えて、挿入部材361の少なくとも一部は、挿入物301を標的位置Tに搬送するために、ハウジング通路313内で移動するように構成される。いくつかの実施形態において、挿入部材361は、挿入部材361がハウジング通路313の一部内で移動するにつれて、湾曲、旋回、および/または回転することができる。
【0037】
[1065] エネルギ蓄積部材303は、第1構成(図5)と第2構成(図6)との間で挿入部材361を移動させるために挿入部材361に力を加えるように構成される。図6に示されるように、力Fは、矢印EEによって示される遠位方向に挿入部材361を前進させるために、エネルギ蓄積部材303によって加えられる。このようにして、挿入物301は、送達操作の間にユーザが手動で力Fを生成する必要なしに、標的位置Tに搬送され得る。
【0038】
[1066] いくつかの実施形態において、エネルギ蓄積部材303は、付勢部材(例えばバネ、弾性部材またはそれらの均等物)、電気的エネルギ蓄積部材、油圧システムおよび/または磁性部材であってよい。他の実施形態において、エネルギ蓄積部材303は、ハウジング通路313に動作可能に連結された空気圧システムであってよい。いくつかのこうした実施形態において、空気圧システムは、挿入部材361に接触する加圧流体流を生成するために、押ボタン式起動を備えるバルブシステムを介して制御されてよい。他の実施形態において、空気圧システムは、その後の送達操作の間に使用されるために蓄積される加圧流体流を生成するために、送達操作以前に医師によって手動で加圧されるように構成された気嚢体を備えてよい。空気圧式または油圧式のエネルギ蓄積システムに含まれる加圧流体は、ハウジング通路313の一部内で流れることができ、挿入部材361に含まれるプランジャ(図5および図6において図示せず)に力を加えることができる。
【0039】
[1067] 使用時、力Fが加えられると、挿入部材361は、ハウジング310に対して移動して、標的組織Tの接触表面Sによって規定された開口部Oを通って前進することができる。いくつかの実施形態において、挿入部材361は、図2図4を参照して上記で説明されたように、ハウジング310の接触部分347を越えて所定距離だけ前進するように構成されてよい。いくつかのこうした実施形態において、ハウジング310は、挿入部材361が接触部分347を越えて延長する距離を制限し得る係合部分を備えてよい。例えば、第1挿入部材361は、接触部分347を約5cmだけ越えて延長するように構成されてよい。
【0040】
[1068] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置300は、挿入部材361上に作用するFおよび/または挿入部材361によって挿入物301上に作用する力の大きさを保持、低減、規制、および/または、そうでなければ制限するように構成された制御機構(図5および図6において図示せず)を備えてよい。制御機構は、例えばバルブ、クラッチ、ラチェット機構および/またはそれらの均等物等の任意の好適な機構であってよく、図2図4を参照して上記で説明された制御機構と同様の機能を有してよい。
【0041】
[1069] 本明細書において図示および説明される挿入物送達装置のいずれもが、IUDを子宮に送達するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、IUDの送達を支援するために、子宮および/または子宮頸を伸展、整列、および/または操作するように構成されてよい。例えば図7図9は、一実施形態に係る挿入物送達装置400の概略図である。挿入物送達装置400はハウジング410および挿入部材461を備える。ハウジングは、近位端部分411および遠位端部分412を備え、ハウジング通路413を規定する。ハウジング410は真空チャネル481も規定する。ハウジング410の遠位端部分412は、子宮Uの頚部Cの外側表面Sに接触するように構成された接触部分447を備える。接触部分447は、体積Vを規定する側壁448を備える(図8参照)。
【0042】
[1070] ハウジング410によって規定された真空チャネル481は第1体積の少なくとも一部に流体連通する。真空チャネル481の近位端は真空源(図7図9において図示せず)に連結されてよい。このようにして、以下で説明されるように、真空が第1体積内で生成され得る。いくつかの実施形態において、真空源は、真空を生成するために手動で作動されるアクチュエータを備えるハウジングによって規定されるチャンバによって規定されてよい。こうした実施形態において、アクチュエータは、チャンバの内側表面に対して気密シールを形成するように構成されたプランジャを備えてよい。したがって、使用時、アクチュエータを収縮(例えば近位方向に移動)させると、真空力が生成され得る。
【0043】
[1071] ハウジング410は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング410は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形であってよい。いくつかの実施形態において、ハウジング410は、ゴム、エラストマおよび/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。いくつかの実施形態において、ハウジング410は、スリーブ、ピンジョイント、自在継手、ボールジョイントおよび/またはそれらの均等物(図7図9において図示せず)を介して接触部分447がハウジング410の残りの部分に回転可能に連結されるように構成される。いくつかのこうした実施形態において、ハウジング通路413は、ハウジング通路413の少なくとも一部が屈曲および/または湾曲するように実質的に非線形であってよい。
【0044】
[1072] 挿入部材461は近位端部分462および遠位端部分463を有する。挿入部材461の遠位端463部分は、患者の子宮Uに埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)等の挿入物401に着脱可能に連結されるように構成される。他の実施形態において、挿入物401は患者の身体内の標的位置に配置されるように構成された薬剤および/または他の医療装置であってよい。挿入部材461は、本明細書において説明されるように任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。
【0045】
[1073] 挿入部材461は、近位端部分462の少なくとも一部がハウジング410内に配置されるようにハウジング通路413内に配置される。言い換えれば、挿入部材461の近位端462の少なくとも一部がハウジング通路413内に配置される。加えて、挿入部材461の少なくとも一部は、以下で説明されるように挿入物401を子宮Uに搬送するためにハウジング通路413内で移動するように構成される。いくつかの実施形態において、挿入部材461は、挿入部材461がハウジング通路413の一部内で移動する間および/または移動した後、湾曲、旋回および/または回転することができる。
【0046】
[1074] 図7に示されるように、使用時、挿入物送達装置400は、例えば膣の内側壁部によって規定される内腔L等の患者の身体Bによって規定される身体内腔Lに挿入され得る。挿入物送達装置400は、接触部分447の少なくとも一部が子宮Uの頚部Cの外側表面Sに接触および/または係合するまで、内腔Lに挿入され得る。さらに詳細には、接触部分447は頚部Cの外側表面Sに接触し、頚部Cによって規定される子宮頸開口部Oを実質的に取り囲むように構成される。同様に、接触部分447が子宮頸開口部Oに当接して配置されると、側壁448は子宮頸開口部Oを実質的に包囲する。このようにして、遠位端部分463および/または挿入物401は、挿入物を子宮Uに送達することを支援するために、子宮頸開口部Oに対して実質的に整列させられ得る。
【0047】
[1075] 挿入物送達装置400が図7に示されるように配置されると、第1体積Vは子宮頸開口部Oを部分的に取り囲む。例えばいくつかの実施形態において、接触部分447は、第1体積Vが頚部Cの外側表面Sの前方部分に近接して配置されるように構成されてよい。さらに、接触部分447が頚部Cの外側表面Sの前方部分に当接して配置されると、外側表面Sの一部および側壁部448は第1体積Vを実質的に閉塞する。このようにして、真空源が作動されると、真空が第1体積V内で生成され、それによって吸引力が頚部Cの外側表面Sの一部上に作用する。
【0048】
[1076] 真空源が作動させられて吸引力が頚部Cの接触表面Sに加えられると、挿入物送達装置400を用いて子宮腔Uおよび開口部Oを実質的に整列、伸展および/または再配置させることによって、挿入物401の挿入が支援され得る。同様に、吸引力が子宮頸管の頚部Cの接触表面Sに加えられると、挿入物送達装置400は、挿入物401を受容するためによって好適な位置に患者の子宮Uを配置するために用いられ得る。さらに詳細には、図9に示されるように、真空源が吸引力を頚部Cの接触表面Sの一部上に作用させた状態で、挿入物送達装置400は矢印FFによって図9に示されるように近位方向に移動させられ得る。挿入物送達装置400を近位方向に移動させることによって、頚部Cおよび/または子宮Uは、子宮腔Uが子宮頸開口部Oを介してより容易にアクセス可能となるように伸展、配置および/または再配向される。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置400は、所望レベルの整列および/または「直線性」が子宮腔と子宮頸管との間で達成されるまで近位方向に移動させられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、挿入物送達装置400は、子宮頸管および/または子宮頸開口部Oの中心線CLと子宮の子宮腔の中心線CLとの間の角度Θが約90度より大きくなるまで、近位方向に移動させられ得る。他の実施形態において、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管との間の角度が、約115度より、135度より、150度より、または165度より大きくなるまで近位方向に移動させられる。
【0049】
[1077] 頚部Cおよび/または子宮Uが伸展、配置および/または再配向された後、挿入部材461は、本明細書で説明される任意の種類の方法で挿入物401を配置するために接触部分447を越えて子宮腔Uへと遠位方向に前進させられ得る。このようにして、送達装置は、標的組織の伸展および/または整列の両方を行い、挿入物を送達し得る。それによって支持鉤の必要性が排除される。
【0050】
[1078] 接触部分447は、頚部Cの外部表面に沿って空間的に変動する真空力を作用させるように構成されたものとしてこれまで図示および説明したが、他の実施形態において、接触部分447は、頚部Cの外部表面Sに沿って実質的に均一な真空力を作用させるように構成されてよい。一方、他の実施形態において、接触部分447は、真空力の局所的なエリアおよび/または不連続なエリアを生成するために、真空チャネル481に流体連通する付加的な体積を規定してよい。
【0051】
[1079] 図10図19は、一実施形態に係る挿入物送達装置500の概略図を示す。挿入物送達装置500は、ハウジング510、挿入組立体560、ヘッド部540および真空組立体580を備える。ハウジング510は、近位端511および遠位端512を備え、近位端511と遠位端512との間にハウジング通路513を規定する。ハウジング510は、真空組立体580をハウジング510に連結するように構成された1対の保持具516を備える。保持具516は、任意の好適な保持具であり、真空組立体580の少なくとも一部に対する摩擦嵌合を形成し得る。ハウジング510は、任意の好適な寸法、形状または構成であってよい。例えば、ハウジング510は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形である。ハウジング510は、ほぼ管状であり、例えばプラスチック等の任意の好適な材料から作られてよい。加えて、ハウジング510は、ハウジングを体内に挿入することがより容易となるように、滑らかにされた外側表面を備えてよい。
【0052】
[1080] ハウジング510の近位端511はアダプタキャップ520に連結される。アダプタキャップ520(図11)は近位端521および遠位端522を備える。アダプタキャップ520の近位端521は、蛇腹式取付具523を備え、内腔(図示せず)を規定する。蛇腹式取付具523は加圧流体源(図10図19において図示せず)に連結されてよい。例えばいくつかの実施形態において、加圧流体源は、空気送達管を有する気嚢体であってよい。こうした実施形態において、蛇腹式取付具523は、本明細書において以下でさらに詳細に説明されるように、ハウジング通路を内腔を介して加圧流体源に流体連通させるために、空気送達管に挿入されてよい。図11では、蛇腹式取付具523を含むものとして示される一方で、アダプタキャップ520は、任意の好適なエネルギ蓄積装置および/または加圧流体源に連結されるように構成された任意の好適な取付具を備えてよい。
【0053】
[1081] アダプタキャップ520の遠位端522は、1組のシール部材525を備える中央突起524を備える。このようにして、中央突起524はハウジング通路513の近位端に挿入され得る。シール部材525は、シール部材525がハウジング510の近位端511に対する流体密封シールを生成するように、ハウジング510の内側壁部に対する摩擦嵌合を規定する。
【0054】
[1082] 挿入組立体560(図12)は、少なくとも部分的にハウジング通路513内に配置され、加圧流体源(図10図19において図示せず)によって加えられる力および/または圧力に応答してハウジング510内で遠位方向に移動するように構成されてよい。挿入組立体は、第1挿入部材561、第2挿入部材566およびアクチュエータチューブ575を備える。第1挿入部材561は、近位端部分562および遠位端部分563を備え、近位端部分562と遠位端部分563との間に内腔564を規定する。第1挿入部材561の近位端部分562はプランジャ565に固定的に連結される。第1挿入部材561は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよく、任意の好適な材料から形成されてよい。いくつかの実施形態において、第1挿入部材561は可撓性重合体から形成されてよい。他の実施形態において、第1挿入部材561は、プラスチック、ゴムおよび/または様々な材料の組み合わせから形成されてよい。
【0055】
[1083] プランジャ565は、ハウジング通路513の内側壁部に対して流体密封シールを生成するように構成された任意の好適なプランジャであってよい。プランジャ565は、任意の好適な形状を規定し、任意の個数のシール部材、突起、輪郭および/またはそれらの均等物を備えてよい。このようにして、プランジャ565の近位端、ハウジング通路513の内側壁部およびアダプタキャップ520は共同で、加圧流体源からの加圧流体を受容するように構成されたチャンバ514を規定する。
【0056】
[1084] アクチュエータチューブ575は、近位端576および遠位端577を備え、近位端576と遠位端577との間に内腔578を規定する。アクチュエータチューブ575の遠位端577はプランジャ565の近位端に固定的に連結される。このようにして、第1挿入部材561によって規定される内腔564およびアクチュエータチューブ575によって規定される内腔578は共同で、第2挿入部材566の少なくとも一部を収容するように構成された通路(図10図19において図示せず)を規定する。
【0057】
[1085] 第2挿入部材566は近位端567および遠位端568を備える。第2挿入部材566は、任意の好適な形状、寸法または構成であってよく、例えば第1挿入部材561に対して説明された材料等の任意の好適な材料から形成されてよい。近位端567は、プランジャ569に固定的に連結され、アクチュエータチューブ575内に配置される。プランジャ569は、アクチュエータチューブ575の内側壁部に対する流体密封シールを生成するように構成された任意の好適なプランジャであってよい。第2挿入部材566の遠位端は、例えばIUD等の挿入物に着脱可能に連結されるように構成される。このようにして、第2挿入部材566は、本明細書において以下でさらに説明されるように、挿入物を送達するために第1挿入部材561に対して移動するように構成される。
【0058】
[1086] ハウジング510の遠位端512は関節ネック部530(図13および図14)に連結される。関節ネック部530は、近位端531および遠位端532を備え、ネック部通路535を規定する。近位端531は、ハウジング510の遠位端部分512に挿入されるように構成される。関節ネック部530の近位端531は、ハウジング510の内側壁部に対する摩擦嵌合を生成し得る。図13においては実質的に滑らかなものとして図示される一方で、近位端531は、ハウジング510の遠位端部分512内において連結されることを支援するために、任意の好適な表面特徴および/または質感を備えてよい。いくつかの実施形態において、近位端531は、アダプタキャップ520に対して説明された密閉突起525と実質的に同様の1組の密閉突起を備えてよい。関節ネック部530の近位端531は、挿入組立体560の少なくとも一部と選択的に係合するように構成された係合部分534を規定する。さらに詳細には、係合部分534は、挿入部材560が遠位方向に移動させられるときにプランジャ565に係合するように構成される。この配列によって、ハウジング510に対する第1挿入部材561の移動が制限される。係合部分534は、任意の好適な部分であり、プランジャ565の遠位端の輪郭と実質的に同等の輪郭を備えてよい。
【0059】
[1087] 関節ネック部530の遠位部分532は、1組の側壁533を備え、ヘッド部540(図10)に移動可能に連結される。側壁533は任意の好適な形状または構成を規定してよい。例えば図13に示されるように、側壁533は、1対のノッチ536を備える表面を規定する。ノッチ536は、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、ヘッド部540がハウジング510に対して連接されることを可能にする。側壁533は1組のアパーチャ537およびノッチ538を規定する。アパーチャ537およびノッチ538は、相互に対して反対側に配置され、ヘッド部540の少なくとも一部を関節ネック部530に移動可能に結合するように構成される。
【0060】
[1088] ヘッド部540は、図15および図16に示されるように近位端541および遠位端542を備え、近位端541と遠位端542との間にヘッド部通路544を規定する。ヘッド部540の近位端541は、ヘッド部540を関節ネック部530に移動可能に連結する1組の関節突起551を備える。さらに詳細には、突起551は、側壁533によって規定されるノッチ538およびアパーチャ537に挿入されるように構成される。各突起551の第1部分552は、対応するアパーチャ537内に配置されるピンを形成する。したがって、突起551は、軸Aを規定し、軸A周りにヘッド部540は関節ネック部530および/またはハウジング510に対して旋回することができる。加えて、突起551の第1部分552(すなわちピン)はアパーチャ537を規定する側壁533の表面に対する摩擦嵌合を規定する。この配列によって、ヘッド部540がアパーチャ537内で自由に旋回することが妨げられる。同様に、突起551の第1部分552およびアパーチャ537によって規定される嵌合は、アパーチャ537内における突起551の第1部分552の動きに対して部分的に抵抗する量の摩擦を生成する。各突起551の第2部分553は、関節ネック部530および/またはハウジング510に対するヘッド部540の旋回運動の範囲を制限するために、側壁533によって規定されるノッチ538に選択的に係合するように構成される。例えば、ノッチ538(図14)は、突起551がアパーチャ537およびノッチ538内に配置されると、輪郭の壁部が突起551の第2部分553の壁部に係合することによってヘッド部540の動きの範囲が制限されるよう、輪郭を形成してよい。いくつかの実施形態において、旋回運動は+/−10度の範囲に制限される。他の実施形態において、運動範囲は、+/−15度、+/−20度、+/−30度、またはそれより大きい範囲であってよい。
【0061】
[1089] ヘッド部540の遠位端542は接触部分547を備える。接触部分547は、側壁548を備え、体積550を規定する。接触部分547および側壁548は任意の好適な寸法、形状および構成であってよい。例えばいくつかの実施形態において、接触部分547の側壁548は1対のノッチ549を備える。このようにして、ノッチ549は、標的組織に関連する接触表面の一部を受容するように構成され得る。例えば、ノッチ549は、ヘッド部540の接触部分547が子宮頸部に対して所望の位置および/または配向に配置され得るように、子宮頚部の一部を受容するように構成されてよい。他の実施形態において、側壁548は、任意個数のノッチ549を備えてよく、および/または、標的組織の接触表面の一部を受容するように構成された特定の輪郭を規定してよい。
【0062】
[1090] ヘッド部540は、ヘッド部通路544を規定し且つテーパ部分554を備える内側壁部543を備える。挿入組立体560の少なくとも一部は、ヘッド部通路544内において挿入物送達装置500の実質的に外側である体積に移動するように構成される。特に、使用の間、第1挿入部材561および第2挿入部材566はともに、ハウジング通路513からヘッド部通路544を通って移動する。いくつかの実施形態において、テーパ部分554および/または内側壁部543のその他の部分は、挿入組立体560がヘッド部通路544を通って移動させられるときに挿入組立体560の湾曲を支援するために挿入組立体560の一部と係合するように構成される。同様に、側壁543の少なくとも一部は、挿入組立体560がヘッド部通路544を通って移動するにつれて挿入組立体560の引っかかりを低減するように構成される。いくつかの実施形態において、使用時に挿入組立体560の移動および/または湾曲を支援するために、側壁543は、湾曲部分(例えば曲率半径を有する)、低い表面粗さおよび/または硬化部分を備えてよい。この配列によって、挿入部材560の湾曲を身体腔内におけるよりもむしろヘッド部540内において支援することによって、使用時における患者の快適性が増す。同様に、この配列によって、使用の間、挿入組立体560の一部が身体腔を形成する身体組織に対して係合するかまたは別様に圧迫する可能性が低減される。
【0063】
[1091] ヘッド部540は、真空チャネル546を規定する真空取付具545も備える。真空取付具545は、ヘッド部540の表面から延長し、任意の好適な形状を有してよい。いくつかの実施形態において、真空取付具545は、真空組立体580に動作可能に連結され得る真空ライン(図10図19において図示せず)を受容するように構成される。真空チャネル546は、図16に示されるように、ネック部通路544に流体連通し、したがって接触部分547によって規定される体積550に流体連通する。
【0064】
[1092] 真空組立体580は、真空アクチュエータ585を収容する真空チューブ581を備える(例えば図10および図17参照)。真空チューブ580は、図17に示されるように近位端582および遠位端583を備える。近位端582は、真空アクチュエータ585の少なくとも一部を受容するように構成される。遠位端583は、真空ライン(図10図19において図示せず)を受容しおよび/またはヘッド部540の真空取付具545に連結されるように構成された真空ポート595を備える。
【0065】
[1093] 真空アクチュエータ585は近位端586および遠位端587を備える。近位端586は、医師および/またはユーザによって係合されるように構成されたフランジ588を備えてよい。遠位端587はプランジャ589に固定的に連結される。プランジャ589は、本明細書において説明される任意のプランジャと実質的に同等であってよい。このようにして、プランジャ589は、真空チューブ581の内側壁部に対して実質的に流体密封であるシールを規定する。真空チューブ581内に配置されると、プランジャ589および真空チューブ581は、真空ポート595に流体連通するチャンバ584(図18)を規定する。使用時、真空アクチュエータ585がユーザによって近位方向に移動させられると、チャンバ584の体積が増加し、その結果、チャンバ584内において負圧が生成される。負圧(すなわち真空)が真空ライン(図示せず)を通ってヘッド部の体積550に伝達される。このようにして、吸引力が上述のように身体表面に加えられ得る。
【0066】
[1094] 加えて、真空チューブ581の近位端582はロックタブ591を備える。ロックタブ591は、作動した構成で真空アクチュエータ585を保持するために、真空アクチュエータ585に選択的に係合するように構成される。さらに詳細には、真空アクチュエータ585は、ロックタブ591の係合表面592に選択的に接触する隆起590(図19)を備える。係合表面592は、真空アクチュエータ585がロック構成となるように隆起590に接触する。このようにして、真空がチャンバ584において生成された後、真空アクチュエータ585の位置が真空チューブ581内において保持され、それによって、挿入物送達装置500の使用中において不注意により真空が失われることが防止される。
【0067】
[1095] 使用時、挿入物送達装置500は患者の身体内腔に挿入され得る。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置500は、患者の膣に挿入され、膣壁によって規定された内腔を通って子宮頚部に挿入される。ヘッド部540は、挿入物送達装置500が内腔を通過する前、通過中および/または通過後に、ハウジング510に対して旋回、移動および/または回転可能である。ヘッド部540の接触部分547は、子宮頸の一部に係合するように構成される。ヘッド部540は、ヘッド部540の接触部分547が子宮頸部の接触表面を実質的に取り囲むことができるように旋回、移動および/または回転可能である。ヘッド部540が身体表面(例えば子宮頸の外側表面)に近接して配置されると、接触部分547の側壁548は子宮頸の接触表面に係合し、次いで側壁548および接触表面の少なくとも一部がヘッド部540の体積550を実質的に閉塞する。このようにして、真空組立体580が作動されると、真空チャンバ584内の負圧は、真空ライン(図10図19において図示せず)を通り体積550に、次いで子宮頸部の接触表面に、吸引力を加えることができる。
【0068】
[1096] 吸引力が子宮頸部の接触表面上に作用すると、真空アクチュエータ585はロック位置に配置され得る(図18および図19を参照して上記で説明された)。挿入物送達装置500は、図7図9を参照して上記で説明されたように、挿入物送達装置500を近位方向に移動させることによって、子宮を所望の位置、配向および/または構成へと再配置させるため、移動させられ得る。
【0069】
[1097] 子宮および/または子宮頸部が所望の位置にあるとき、挿入組立体560は、挿入物を送達するために作動され得る。特に、加圧流体源は、作動されおよび/またはハウジング510の近位端511に流体連通され得る。いくつかの実施形態において、加圧流体源は手動で作動される空気バルブ、空気チューブ、および制御バルブを備えてよい。こうした実施形態において、空気チューブは、アダプタキャップ520に含まれるリブ付き取付具523に連結される。このようにして、空気バルブは加圧流体をチャンバ514に搬送するために作動されてよく、それによって、挿入組立体560を遠位方向に移動させるための力が作用することとなる。他の実施形態において、加圧流体源は、圧縮ガス容器、推進剤カートリッジ、化学エネルギ蓄積部材またはそれらの均等物等のエネルギ蓄積部材を備えてよい。なお、このエネルギ蓄積部材は、ユーザによって作動されると、自動的に加圧流体を生成する。さらに他の実施形態において、挿入を生成するための力は、例えばバネ等の任意の他の好適なエネルギ蓄積部材によって生成され得る。
【0070】
[1098] 図10および図12に示されるように、プランジャ565は、プランジャ569が規定する表面積よりも大きい表面積を規定する。各プランジャ上に作用する力はプランジャの面積に正比例するため、加圧流体がチャンバ514に搬送されると、プランジャ565上に作用する力はプランジャ569上に作用する力よりも大きいものとなる。したがって、加圧流体によって作用する力によってプランジャ565はハウジング510内で遠位方向に移動させられる。アクチュエータチューブ575および第1挿入部材561がプランジャ565に固定的に連結されているため、挿入組立体560はプランジャ565とともに遠位方向に移動する。このようにして、第1挿入部材561および第2挿入部材566の少なくとも一部は、ハウジング通路513内においてネック部通路535およびヘッド部通路544を通って移動することができる。この操作は「第1挿入操作」と称され得る。
【0071】
[1099] プランジャ569およびアクチュエータチューブ575は共同で、第1挿入操作の間に加圧流体によってプランジャ569上に作用する力(上述のように、プランジャ565上に作用する力より低い)がプランジャ569を、したがって第2挿入部材566をアクチュエータチューブ575内において移動させるには不十分となるよう構成される。したがって、第1挿入操作の間、第2挿入部材566の遠位端部分568は、したがって、挿入物(図示せず)は、第1挿入部材561内に保持される。
【0072】
[1100] 係合部分534は、第1挿入操作の間、ハウジング510に対する第1挿入部材561の移動を制限するために、プランジャ585に接触し得る。したがって、第1挿入部材561は、第1挿入操作の間、所定の距離(例えば子宮に関連する解剖学上の最小深さ)だけ移動させられるように構成される。いくつかの実施形態において、挿入組立体560および係合部分534は、第1挿入部材561が約5cmだけヘッド部540の接触部分547を越えて延長し得るように構成されてよい。他の実施形態において、第1挿入部材561は、5cmより大きいまたは小さい任意の好適な距離だけ延長し得る。
【0073】
[1101] プランジャ565が係合部分534に接触すると、チャンバ514における加圧流体の圧力は増加し続け得る。いくつかの実施形態において、ユーザは、チャンバ514内において圧力を増加させるために、空気バルブを手動で作動させ得る。他の実施形態において、エネルギ蓄積部材は、チャンバ514内において圧力を増加させるために、2度作動され得る。圧力は、第2挿入部材566のプランジャ569上に作用する力が第2挿入部材566を第1挿入部材561に対して遠位方向に移動させるのに十分となるまで、増加され得る。この操作は「第2挿入操作」と称され得る。第2挿入操作の間、挿入物(図示せず)は、第1挿入部材561から分離されおよび/または第1挿入部材561から子宮内における所望位置に押し出される。
【0074】
[1102] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置500は、第2挿入部材566によって挿入物上に作用する力が制限されるように第1挿入操作および/または第2挿入操作の間、チャンバ514内の圧力を規制するように構成されたバルブまたは他の制御機構を備えてよい。このようにして、第2挿入部材566は、子宮口を通って子宮腔に入ってよく、挿入物(例えばIUD)を子宮内の標的組織に送達してよい。
【0075】
[1103] 挿入物送達装置500は、第2挿入操作とは異なる第1挿入操作を生成するように構成された2つのプランジャを備えるものとして上記においては図示および説明されるが、他の実施形態において、装置は2段階の送達を生成するように構成された単一のプランジャを備えてよい。図20図24は、一実施形態に係る挿入物送達装置600の概略図を示す。挿入物送達装置600は、ハウジング610、加圧流体源603およびヘッド部640を備える。ハウジング610は、近位端611および遠位端612を備え、ハウジング通路613および真空チャネル684を規定する。ハウジング610は、本明細書において説明されるように、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング610は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形であってよい。ハウジング610の遠位端612はヘッド部640に回転可能に連結される。
【0076】
[1104] ヘッド部640は、任意の好適な方法でハウジング610の遠位端612に連結されてよい。例えば、ハウジング610の遠位端612は、ヘッド部640をハウジング610に回転可能に結合するように構成された取付具、キャップ、接合部および/またはその等価物を備えてよい。いくつかの実施形態において、ハウジング610およびヘッド部640は、スリーブおよび/またはその等価物(図20図24において図示せず)を介して連結される。ヘッド部640は、ヘッド部通路を規定し、体積650を規定する接触部分647を備える。ヘッド部640は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、図20に示されるように、ヘッド部640はほぼカップ形状を形成してよい。ハウジング通路613およびヘッド部通路は共同で、挿入通路605の少なくとも一部が屈曲および/または湾曲するよう、実質的に非線形であり得る挿入通路605を規定してよい。
【0077】
[1105] 挿入物送達装置600は、例えば膣の内側壁部によって規定される内腔等の患者の身体によって規定される身体内腔に挿入され得る。挿入物送達装置600が内腔に挿入された状態で、接触部分647は、例えば子宮頚部等の標的組織に関連する表面に接触する。接触部分647は、標的組織に関連する表面を実質的に取り囲むように構成され得る。例えば、接触部分647が子宮頸部の接触表面に接触するとき、接触部分647の壁部は子宮頸開口部を実質的に包囲する。このようにして、接触表面の少なくとも一部および接触部分647は体積650を実質的に閉塞する。
【0078】
[1106] ハウジング610によって規定される真空チャネル684は近位端682および遠位端683を備える。遠位端683は真空ポート695を備え、挿入通路605に流体連通する。このようにして、真空チャネル684は体積650の少なくとも一部に流体連通するように構成される。真空アクチュエータ685は、少なくとも部分的に真空チャネル684内に配置され、真空チャネル684内に真空を形成するために手動で作動されてよい。アクチュエータ685は、真空チャネル684の内側表面に対して気密シールを形成するように構成されたプランジャ689を備える。したがって、使用時、アクチュエータ685は、真空力を生成するために、収縮(例えば、近位方向に移動)され得る。真空チャネル684が上述のように体積650の少なくとも一部に、および体積650を実質的に閉塞する接触表面に流体連通する状態で、吸引力は標的組織に関連する接触表面上に作用し得る。
【0079】
[1107] 挿入物送達装置610は第1挿入部材661および第2挿入部材666をさらに備える。第1挿入部材661は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、第1挿入部材661は、ゴム、エラストマ、重合体および/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。第1挿入部材661は近位端662および遠位端663を備える。いくつかの実施形態において、第1挿入部材661は、第2挿入部材666の少なくとも一部を受容するように構成された挿入チャネルを近位端661と遠位端662との間に規定する。
【0080】
[1108] 第2挿入部材666は近位端667および遠位端668を備える。第1挿入部材661と同様に、第2挿入部材666は、任意の好適な寸法、形状または構成であってよく、任意の好適な材料から形成されてよい。近位端667は少なくとも部分的にハウジング通路613内に配置される。遠位端668は、挿入物601に着脱可能に連結されるように構成される。いくつかの実施形態において、挿入物601は患者の子宮の標的部分に埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)である。第1挿入部材661および第2挿入部材666の少なくとも一部は、挿入物601を送達するために、ハウジング通路613内でハウジング610に対して移動するように構成される。同様に、第2挿入部材666の少なくとも一部は挿入チャネル664内で第1挿入部材661に対して移動するように構成される。
【0081】
[1109] 図21は、加圧流体源603によって加えられる力に応答して第2構成(すなわち第1挿入操作の終了時の構成)にある挿入物送達装置600を示す。加圧流体源603は、空気バルブ608、空気チューブ607および制御バルブ602を備えてよい。空気チューブ607は、任意の好適な取付具、継手、アダプタおよび/またはそれらの均等物を用いて、ハウジング610の近位端612に連結される。このようにして、空気バルブ608が作動される(すなわち強く握られる)と、第1挿入部材661および第2挿入部材666を遠位方向に移動させるために加圧流体がハウジング通路613に搬送され得る。さらに詳細には、加圧流体によって作用される力によって、第2挿入部材666のプランジャ669は遠位方向に移動させられる。第2挿入部材666および第1挿入部材661は共同で、第1挿入操作の間に加圧流体によってプランジャ569上に作用される力が第2挿入部材566を第1挿入部材661内において移動させるのには不十分となるように構成される。したがって、第1挿入操作の間、第2挿入部材566および第1挿入部材661は、装置600を第1構成(図20)から第2構成(図21)に移動させるために、ハウジング610に対して集合的に移動する。したがって、第1挿入操作の間、第2挿入部材666の遠位端部分は、したがって挿入物601は、第1挿入部材661内に保持される。
【0082】
[1110] ハウジング610は、第1挿入部材661に選択的に係合するように構成された係合部分634を備える。このようにして、第1挿入部材661は、図21に示される第2構成にあるとき(すなわち第1挿入操作の完了時)、ヘッド部640の接触部分647を越えて所定距離だけ延長することができる。
【0083】
[1111] 第1挿入部材661が係合部分634に係合した状態で、ハウジング通路613内の加圧流体は第2挿入部材666のプランジャ669上に力を作用させ続け、その結果、第2挿入部材666は第1挿入部材661に対して遠位方向に移動させられる(図22図24)。エネルギ蓄積部材603に含まれるバルブ602は、第2挿入部材666によって挿入物上に作用される力が制限されるように、ハウジング通路613内の圧力を規制するために用いられ得る。このようにして、第2挿入部材666は、図24に示されるように子宮腔に入ることができ、挿入物601(例えばIUD)を標的組織に送達することができる。
【0084】
[1112] 図25図32は、一実施形態に係る挿入物送達装置700を示す。挿入物送達装置700は、ハウジング710、加圧流体源703およびヘッド部740を備える(図26)。ハウジング710は、近位端711および遠位端712を備え、ハウジング通路713および真空チャネル784を規定する。ハウジング710は、本明細書において説明されるように、任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ハウジング710は、身体開口部への挿入に好適な直径を有するほぼ円筒形であってよい。ハウジング710の遠位端712はヘッド部740に回転可能に連結される。
【0085】
[1113] ヘッド部740は任意の好適な方法でハウジング710の遠位端712に連結され得る。例えば、ハウジング710の遠位端712はネック部730を介してヘッド部740に連結し得る(図26)。ネック部730は、ヘッド部740の回転運動を可能にする1組のリブを規定する側壁736を備える。いくつかの実施形態において、ネック部730は、例えばゴムまたは重合体等の可撓性物質で形成される。ネック部730は、近位端731と遠位端732との間にネック部通路735を規定する。同様に、ヘッド部740は、ヘッド部通路744を規定し、接触部分747を備える。接触部分747は、体積750を規定する側壁648を備える。ヘッド部740は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、図26に示されるように、ヘッド部740はほぼカップ形状を形成してよい。ハウジング通路713、ネック部通路735およびヘッド部通路744は共同で、挿入操作の間に挿入通路の少なくとも一部が屈曲および/または湾曲するよう、実質的に非線形であり得る挿入通路を規定する。
【0086】
[1114] 挿入物送達装置700は、例えば膣の内側壁部によって規定された内腔等の患者の身体によって規定された身体内腔に挿入され得る。挿入物送達装置700が内腔に挿入された状態で、接触部分747は例えば子宮頚部等の標的組織に関連する表面に接触する。接触部分747は、標的組織に関連する表面を実質的に取り囲むように構成され得る。例えば接触部分747が子宮頸部の接触表面に接触するとき、接触部分747は子宮頸開口部を実質的に包囲する。このようにして、接触表面の少なくとも一部および接触部分747は体積750を実質的に閉塞する。
【0087】
[1115] ハウジング710によって規定される真空チャネル784は近位端782および遠位端783を備える(図25)。遠位端783は、ネック部730に流体連通して連結される真空ポート795を備える(図26)。このようにして、真空チャネル784は、体積750の少なくとも一部に流体連通するように構成される。真空アクチュエータ785は、真空チャネル784内に移動可能に配置され、真空を形成するために手動で作動され得る。真空アクチュエータ785(図27)は近位端786および遠位端787を備える。近位端786は、真空チャンバ784を作動させるためにユーザによって把持され得るフランジ788を備える。いくつかの実施形態において、ハウジング710は、真空アクチュエータ785を作動位置に保持するためにフランジ788に係合するように構成されたロック機構(図25図32において図示せず)を備えてよい。真空アクチュエータ785の遠位端788は、真空チャネル784の内側表面に対して気密シールを形成するように構成されたプランジャ789を備える。したがって、使用時、アクチュエータ785を収縮(例えば近位方向に移動)させると、真空力が生成され得る。真空チャネル784が上述のように体積750の少なくとも一部に、および体積750を実質的に閉塞する接触表面に流体連通する状態で、真空チャネル784は標的組織に関連する接触表面上に吸引力を伝達する。
【0088】
[1116] 挿入物送達装置710は、図28に示されるように挿入部材761をさらに備える。挿入部材761は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えばいくつかの実施形態において、挿入部材761は、ゴム、エラストマ、重合体および/またはプラスチック等の可撓性材料から形成されてよい。挿入部材761の少なくとも一部は、ハウジング通路713内でハウジング710に対して移動するように構成される。挿入部材761は近位端762および遠位端763を備える。挿入部材761の近位端762はプランジャ765を備える。遠位端763は、挿入物701に着脱可能に連結されるように構成されたアーティキュレータ771を備える。いくつかの実施形態において、挿入物701は、患者の子宮の標的部分に埋め込まれるように構成された子宮内避妊器具(IUD)である。図29の拡大図に示されるように、アーティキュレータ771は、挿入物体積774を規定する1組の側壁772を備える。挿入物体積774は、挿入物701を受容するように構成される(図30)。側壁772は、IUDにしばしば取り付けられるストリングの少なくとも一部を受容するように構成されたスリット773をさらに規定する。加えて、ハウジング710は、挿入物701に選択的に係合するように構成された保持チューブ706(図31参照)を備える。例えば図31に示されるように、保持チューブ706は折畳構成のIUDを保持する。
【0089】
[1117] 加圧流体源703は、空気バルブ708、空気チューブ707および制御バルブ702を備えてよい(図25)。空気チューブ707は、任意の好適な取付具、継手、アダプタおよび/またはそれらの均等物を用いて、ハウジング710の近位端712に連結される。このようにして、空気バルブ708が作動されて加圧流体がハウジング通路713内に力を作用させると、挿入部材761が遠位方向に移動させられ得る。さらに詳細には、加圧流体によって作用される力によって、挿入部材のプランジャ765が遠位方向に移動させられる。エネルギ蓄積部材703に含まれるバルブ702は、挿入部材761が移動するときに挿入部材761によって挿入物701上に作用される力が所定の力より小さくなるよう、ハウジング通路713内における圧力を規制するために用いられ得る。このようにして、挿入部材761の一部は保持チューブ706を越えて延びてよく(図32)、挿入物701(例えばIUD)を標的組織に送達するために子宮腔に入ることができる。
【0090】
[1118] 特定のヘッド部および/または接触部分が本明細書において検討されるが、ヘッド部および/または接触部分の構成品および構成は異なってもよい。例えば、図33は、ハウジング810およびヘッド部840を備える、第1構成における挿入物送達装置800の概略図である。ヘッド部840は、例えば本明細書において説明される方法等の任意の好適な方法でハウジング810の遠位端に回転可能に連結される。ヘッド部840は任意の好適な形状、寸法または構成であってよい。例えば、ヘッド部840は、第1構成にあるときに第1直径Dを規定するリーフレット機構を規定してよい。ヘッド部840は、第2構成にあるときにヘッド部840のリーフレットを拡張および/または分離させる力および/または外部入力に応答するように構成されてよい。このようにして、ヘッド部840は、図34に示される第2構成にあるときに第1直径よりも実質的に大きい第2直径Dを規定し得る。同様に、ヘッド部840は、ヘッド部840が第1寸法(例えばD)を有する折畳構成と、ヘッド部840が第1寸法よりも大きい第2寸法(例えばD)を有する拡張構成と、の間で移動させられ得る。
【0091】
[1119] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、ヘッド部および/または挿入部材の周縁の周りにおいて1つまたは複数の機械的バイオセンサと、挿入物送達装置の他方の端部において発光ダイオード(LED:light emitting diode)または他の電子的出力装置と、を備える。例えば任意の好適な視覚出力装置(LCDスクリーン、その他)、音響出力装置(例えば警笛)、または機械的出力装置(例えば触覚出力装置)等の他の表示器がLEDの代わりに用いられ得る。
【0092】
[1120] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、子宮頸部に対して回転、湾曲および/または移動してよく、他の器具を必要とすることなく、且つ特段の技能および/または訓練を必要とすることなく、女性の子宮にIUDを挿入され得る。本明細書において説明される実施形態の設計は、短期の研修の後に任意の医療提供者が無菌技術を用いて安全にIUDを適切に挿入し得るよう、容易な使用を支援する。図35は、本明細書において説明されるように子宮内避妊器具を埋め込むための方法900を示すフローチャートである。方法900は、本明細書において図示および説明される装置の何れかを用いて実行され得る。方法900は、901において、挿入物送達装置に含まれる接触部分が子宮頚部の外側表面に接触するまで挿入物送達装置を身体に挿入することを含む。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、接触部分は、図10図19を参照して説明された挿入物送達装置500のハウジング510に弾力的に連結されるヘッド部540に含まれる接触部分547と同様であってよい。方法900は、902において、接触部分によって規定される体積内において真空を生成し、吸引力を子宮頸部の表面に加えることをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、この装置は、図10図19を参照して説明されたように真空チャンバ584内で真空を生成しそれによって子宮頸の表面上に吸引力を作用させる得る真空アクチュエータ585と同様の真空アクチュエータを備えてよい。903において、吸引力が子宮頸部の表面に加えられた状態で、挿入物送達装置は、子宮頸部の子宮頸管と子宮の子宮腔との間の角度が約90度より大きくなるまで、近位方向に移動させられる。いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、子宮腔と子宮頸管との間の角度が、約115度より、135度より、150度より、または165度より大きくなるまで近位方向に移動させられる。方法900は、904において、挿入部材の遠位端部分が子宮腔内に配置されるまで、挿入物送達装置によって規定された通路内で挿入部材を移動させることをさらに含む。
【0093】
[1121] 図36は、本明細書において説明されるように子宮内避妊器具を埋め込むための方法1000を示すフローチャートである。方法1000は、1001において、挿入物送達装置の接触部分が子宮頚部の外側表面に接触するまで挿入物送達装置を身体に挿入することを含む。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、接触部分は、図10図19を参照して説明された挿入物送達装置500のハウジング510に弾力的に連結されるヘッド部540に含まれる接触部分547と同様であってよい。1002において、第1挿入部材は、第1挿入部材の遠位端が子宮頸部の子宮頸管内に配置されるようにハウジングに対して移動させられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1挿入部材は、図4を参照して説明されたように、エネルギ蓄積部材からの力に応答して遠位方向に移動する第1挿入部材261と同様であってよい。いくつかの実施形態において、方法1000は、1003において、第1挿入部材が接触部分を越えて移動し得る距離を所定の長さに制限することを含み得る。
【0094】
[1122] 方法1000は、1004において、挿入物を第1挿入部材から分離するために、第1挿入部材に対して第2挿入部材を移動させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法1000は、第2挿入部材の力を所定の閾値よりも低く保持することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、図4を参照して説明されたように、力Fの一部Fが第2挿入部材266に伝達されるよう、挿入力Fを低減するために構成された制御部材202を備える挿入物送達装置200と同様であってよい。
【0095】
[1123] 本発明の様々な実施形態が上記で説明されてきたが、これらの実施形態は例示としてのみ提示されたものであり、限定として提示されたものではないことを理解すべきである。上述の方法は特定事象が特定順序で生じることを示すが、特定事象の順序は変更され得る。加えて、特定事象は可能な場合は並列処理において並列して実行されてもよく、または上述のように逐次的に実行されてもよい。
【0096】
[1124] 例えば、いくつかの実施形態において、装置は、上記で図示および説明されたヘッド部のいずれかに同様のヘッド部を備えてよく、ヘッド部は、標的位置によって規定された内腔に対してヘッド部を配置するように構成された突起を含んでよい。同様に、いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は、標的位置に対して挿入物送達装置を整列および/または配置することを支援するように構成された位置決め突起を備えてよい。いくつかの実施形態において、突起は、挿入物を送達するために挿入部材が搬送され得るチャネルを規定してよい。
【0097】
[1125] 挿入物送達装置は既存の身体内腔(例えば開口部および/または子宮頸によって規定される頸管)を通して挿入物を送達するものとして図示および説明されてきたが、他の実施形態においては、装置は、身体内腔を規定するようおよび/または既存の身体内腔を拡張するように構成された拡張器を備えてよい。いくつかの実施形態において、例えばヘッド部の接触部分は、標的位置によって規定される内腔を拡張するように構成された拡張器を備える。拡張器は、挿入物を送達するために挿入部材が搬送され得るチャネルおよび/または通路を規定してよい。
【0098】
[1126] いくつかの実施形態において、挿入物送達装置は挿入操作の間にヘッド部の周りに配置されるように構成されたスリーブを備えてよい。スリーブは、装置の挿入を支援することおよび/または滅菌状態を保持すること、を行うよう機能する薄い可撓性スリーブであってよい。いくつかの実施形態において、スリーブの外側表面は潤滑剤を含んでよい。
【0099】
[1127] 様々な実施形態が特定の特徴および/または構成品の組み合わせを有するものとして説明されてきたが、本明細書の実施形態のいずれかに記載の、任意の特徴および/または構成品を有する他の実施形態が可能である。例えば、本明細書において図示および説明された装置のいずれもが、本明細書において説明された関節ネック部を備えてよい。例えば、図20図24において示される挿入物送達装置600は関節ネック部を含まないものとして示されるが、他の実施形態においては、装置600と同様の挿入物送達装置は上記で図示および説明された関節ネック部730と同様の関節ネック部を備えてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36