特許第5990583号(P5990583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990583
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】溶融ガラス用の供給通路
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/43 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   C03B5/43
【請求項の数】18
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-520759(P2014-520759)
(86)(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公表番号】特表2014-520753(P2014-520753A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】IB2012053580
(87)【国際公開番号】WO2013011432
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年6月24日
(31)【優先権主張番号】1156578
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン−ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】リンノット,シリル
(72)【発明者】
【氏名】ボボ,ミシェル
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/049872(WO,A1)
【文献】 特開平11−071117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 1/00 − 5/44
C04B 7/00
C04B 28/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラス製造炉のための供給通路の下部構造(4)のブロックを製造するための方法であって、該下部構造は、現場で自己流し込みされ且つ現場で焼結されたブロック(5)を備え、以下の工程:
a)活性化され且つ部分真空下でガス抜きされた、自己流し込み可能な成形されていない製品を準備すること、
b)前記ブロックが使用されることを意図されているところの場所で、前記ブロックの形状に対応している型を準備すること、
c)溶融ガラスと接触するようになることを意図された前記ブロックの表面に対応する、活性化され、ガス抜きされそして前記型へ導入された前記自己流し込み可能な成形されていない製品の表面に位置する気泡の除去を伴う、型への底部供給、
d)プリフォームを形成するために、活性化され、ガス抜きされそして前記型へ導入された前記自己流し込み可能な成形されていない製品を固化すること、
e)任意的に前記プリフォームの型を除去すること、
f)前記プリフォームを乾燥させ且つ焼結させるために加熱すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
工程c)において、溶融ガラスと接触することを意図された該ブロックの該表面は、
もし、長さ(L)が1メートル以上であるとき、
− 10cmx10cmの任意の正方形C上で、
5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい1有し、且つ
3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい1有し、且つ
3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい22有し、且つ
− この表面の長さLに沿って1メートル当たり、
5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい2有し、
3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい40有し、且つ
3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい200有し、または
もし、長さ(L)が1メートル未満であるとき、
5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい2有し、且つ
3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい40有し、且つ
3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい200有する、
ように、十分な気泡が取り除かれる、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
ガラス製造炉のための供給通路を製造するための方法であって、以下の工程:
A.請求項またはに記載の方法を用いて、底部(12)および2つの側壁(14a、14b)を備える下部構造ブロック(5)を製作すること、
B.任意的に、前記側壁の少なくとも1つの上に1以上のバーナーブロック(34)をアセンブリすること、
C.上部構造ブロックの製造に適合された形状を有する型を架設すること、
D.前記上部構造型内に成形されていない製品を流し込むこと、
を含む、上記方法。
【請求項4】
下部構造ブロックおよび上部構造ブロックは、流し込みによって同時に製造される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記下部構造ブロックの内側表面を画定するために使用されたコア(30)が、前記下部構造ブロックの上に置かれる上部構造ブロックの内側表面を画定するために使用される、請求項またはに記載の方法。
【請求項6】
該側壁(14a;14b)前記底部から、流し込み面の外観を有する上部表面(18a;18b)によって画定された自由端まで延在している、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法
【請求項7】
前記ブロックはU字断面形状を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法
【請求項8】
前記ブロックは、該供給通路の長手方向(X)に沿って測られた0.7mを超える長さを有している、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法
【請求項9】
前記長さは1mを超える、請求項に記載の方法
【請求項10】
前記長さは2mを超える、請求項に記載の方法
【請求項11】
前記ブロックがその中に置かれるところのケーシング(28)を供給通路が備え、前記ブロックの長さは前記ケーシングの長さに等しい、請求項10に記載の方法
【請求項12】
前記ブロックは、粒および水硬性結合剤を備えている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法
【請求項13】
アルミナセメント含有量は、酸化物に対する重量%で2%を超え且つ8%未満である、請求項12に記載の方法
【請求項14】
前記ブロックは、Al2O3+ZrO2+SiO2+CaO+MgO+TiO2+Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超えるような組成を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載の供給通路。
【請求項15】
前記ブロックは、Al2O3+SiO2+CaO+Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超えるような組成を有している、請求項14に記載の方法
【請求項16】
前記組成は、酸化物の重量に対し且つ合計100%に対して、
− Al2O3>80%、
− SiO2<10%、
− CaO<5%、
− Y2O3<5%、
− それ以外の酸化物<5%、
である、請求項15に記載の方法
【請求項17】
前記ブロックは、Al2O3+ZrO2+SiO2+CaO+Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超えるような組成を有している、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法
【請求項18】
前記組成は、酸化物の重量に対し且つ合計100%に対して、
− Al2O3>45%、
− 25%>SiO2>5%、
− 35%>ZrO2>8%、
− CaO<5%、
− Y2O3<5%、
− それ以外の酸化物<5%、
である、請求項17に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスのための供給通路、そのような供給通路の下部構造ブロックの製造方法、及びそのような供給通路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されたように、溶融ガラスのための供給通路(2)は、従来から複数の焼結された耐熱ブロック(5)を結合することによって形成された下部構造(4)および複数の焼結された耐熱ブロック(7)を結合することによって形成された上部構造(6)を備えている。図2に示されたように、供給通路下部構造ブロック(5)は、底部(12)を備える「U」字断面形状を有し、その底部から2つの側壁(14a、14b)が、底部(12)に実質的に垂直に延在している。下部構造ブロックの長さすなわち「ピッチ」(L)は、典型的には約610mmであり、その幅(l)は900mmと2100mmとの間にあり、且つその高さ(h)は約300mmである。
【0003】
溶融ガラスと接触するところの供給通路下部構造ブロックは、非常に過酷な要求を満足させなければならない。
【0004】
供給通路は、事実上の末端部分であり、これを、調整済みの(すなわち「使用準備のできた」)溶融ガラスが通過する。供給通路で生じるいかなる欠陥も、炉内の上流で生じた欠陥と違って、ガラス製品をスクラップにする高い確率を持っている。上流で生じた欠陥は、事実、供給通路内で得られる温度よりもはるかに高温に曝される。さらに、上流で生じた欠陥は、供給通路内で生じた欠陥よりも長期間このような高温に曝される。したがって、このような欠陥が除去される確率は、供給通路内で生じる欠陥に対する確率よりも高い。
【0005】
溶融ガラスと接触するブロックの応力はまた、溶融金属と接触するように置かれたブロックの応力とは、特に腐食メカニズムに関して非常に違っている。
【0006】
従来、下部構造ブロックを製造するために、出発材料は、振動を与えまたはなしで、加圧または流し込みによって成形される。特に、流し込み方法が使われるとき、逆U字形状型が、その上に下部構造ブロックが使用中置かれるところの「背」に対応する型の表面を介して、重力によって出発材料で満たされうる。溶融ガラスと接触することが意図された表面(「接触面」(16)と呼ばれる)は、それによって保護される。特に、プリフォームは使用位置に対して反対の位置にあるので、気泡が側壁の上部面(18a、18b)からおよび底部(12)の底面(20)から離れるように上昇する。それ故に、気泡は、底面(20)、および複数の側壁(14a、14b)の内側面(22a、22b)の部分(これは底面(20)から溶融ガラスの変動線(N)まで延在している)によって画定された接触面(16)に影響を与えない。
【0007】
供給通路下部構造を構築するために、ブロックは接着材なしに端部と端部とを接して配列される。
【0008】
ブロックの組立は、細心の注意を要する長期にわたる作業である。
【0009】
供給通路をより速く製造する方法に対する永続的な要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的はこの要求を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従うと、この目的は、現場で自己流し込みされ且つ現場で焼結されたブロック(これ以降、「本発明に従うブロック」と呼ぶ)を備えている構造を備えた溶融ガラス用の供給通路によって達成される。
【0012】
自己流し込みは該方法の1の特徴であるけれども、当業者は、下部構造ブロックが自己流し込みであるか否かを容易に決定しうる。事実、現場での自己流し込みによる下部構造ブロックの構築は、上で記載された従来技術とは対照的に、製造されたブロックがU字開口を上向きにして置かれることを意味する。したがって、本発明に従う現場で自己流し込みされた下部構造ブロックは、ブロックの側壁の上部面に流し込み面を有している。事実、該流し込み面は、当業者によって直ちに同定されうるところの外観を有している。特に、それは、型からの痕跡は有さず、特徴的な流し込み線(条痕)を有する。
【0013】
ブロックの微細構造の分析はまた、ブロックが焼結されたか否かを確認するのに役立つ。
【0014】
現場での自己流し込みによる供給通路の少なくとも部分の構築は、大きなブロックを製造するのに有利に働く。
【0015】
従って有利には、自己流し込みによる製造は、素早く実行されうる。
【0016】
さらに、従来技術に従うと、2つの隣接ブロックは間隔すなわち「接合部」(23)によって分離されている。接合部は、溶融ガラスによる攻撃に対して特に弱い領域である。したがって、接合部でのブロックへの損傷は、供給通路の使用期間を短縮させ、またガラス品の生産収率を低下させる欠陥を生み出し勝ちである。もし接合部が温度の影響下に開けられるとすると、この損傷は特に重要である。
【0017】
自己流し込みによる製造は、接合部の数を限定するように有利に働く。
【0018】
一つの特別の実施態様は、ブロックがその中に置かれる金属ケーシング内でブロックを流し込み成形することで構成されている。ケーシングは、供給通路を保護し支持するように従来からデザインされている。ブロックの長さは、ブロックがその中に置かれるところのケーシングの長さと同じでありうる。好ましくは、1のケーシングの全ブロックが、同時に流し込み成形され、それによって有利に生産時間を短縮することに役立つ。
残りの記載で詳細に示されるように、本発明者は、これら技術の従来からの現場での実施に伴う欠陥にもかかわらず、現場での自己流し込みおよび現場での焼結によって下部構造ブロックを製造することに成功した。
特に、上向きU字開口を有する、製造の間のブロックの位置決めは、作業面への気泡の上昇を引き起こし、したがって、この表面に損傷を与える傾向がある。
さらに、焼結品質は窯内で適切に制御される。反対に現場での焼結は、一般に、窯内よりも低温での加熱の間に実行される。
さらに、現場で焼結されたブロックの配列は、従来、焼結の間にブロック中に不均一な温度を生じさせ、供給通路の内側と接触する面が他の面よりも高温に加熱される。これはブロックの焼結品質のばらつきをもたらす。
以下に記載される本発明に従う製造方法のお陰で、本発明者達はこれらの障害を克服するのに成功した。
【0019】
本発明に従う溶融ガラスの供給通路は、さらに次の任意的な特徴の一つ以上を有してもよい:
− 上記下部構造は、現場で自己流し込み且つ現場で焼結されたブロックで全て構成されている;
− 上記供給通路は、少なくとも部分的に、好ましくは全部、現場で流し込みまたは自己流し込みされ且つ現場で焼結されたブロックから成る上部構造を備えている;
− 上記ブロックは、底部と、上記底部から流し込み面の外観を有する上部面によって境界を画された自由端まで延在している側壁とを備えている;
− 上記ブロックは、好ましくは、2つの側壁を備え、そしてより好ましくはU字断面形状を有する;
− 上記ブロックは、600kgを超える、または800kgを超える、または1200kgを超える、または1600kgを超える、または2400kgを超える、または3200kgを超える、または4000kgを超える重さがある;
− 上記ブロックは、供給通路の長手方向(図4の軸X)に沿って測られた、0.7mを超える、1mを超える、1.5mを超える、2mを超える、3mを超える、4mを超えるまたは5mを超える長さを有している;
− 上記ブロックは、粒(grain)と、水硬性結合剤、好ましくはセメント、好ましくはアルミナセメントをベースにした、即ち、酸化物に対する重量%で65%を超えるアルミナ、好ましくは75%を超えるアルミナを含む、セメントとを含んでいる。
− 水硬性結合剤の含有量、特にアルミナセメントの含有量は、酸化物に対する重量%で、2%を超え、または3%を超え、または4%を超え、または5%を超え、及び/又は8%未満、好ましくは7%未満、好ましくは6%未満である。
− 上記ブロックは、該ブロックの重量に対して80%を超える、好ましくは85%を超える、好ましくは90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%を超える、好ましくは実質的に100%の酸化物を含んでいる。
− 上記ブロックは、Al2O3+ZrO2+SiO2+CaO+MgO+TiO2+Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%を超えるような組成を有している。
【0020】
第1の特別の実施態様において、前記ブロックは、Al2O3+SiO2+CaO+Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%を超えるような組成を有している。前記ブロックは、酸化物の重量に対し、合計で100%で、特に次のような組成を有している:
− Al2O3>80%、好ましくはAl2O3>85%、好ましくはAl2O3>90%
− SiO2<10%、好ましくはSiO2<8%、好ましくはSiO2<7%、且つ、好ましくはSiO2>2%、好ましくはSiO2>3%、好ましくはSiO2>5%、
− CaO<5%、好ましくはCaO<4%、好ましくはCaO<3%、好ましくはCaO<2%、好ましくはCaO<1%、且つ好ましくはCaO>0.3%、好ましくはCaO>0.5%、
− Y2O3<5%、好ましくはY2O3<3%、且つ好ましくはY2O3>1%、好ましくはY2O3>2%、
− それ以外の酸化物<5%、好ましくは該「それ以外の酸化物」<3%。
【0021】
第2の特別の実施態様において、前記ブロックは、Al2O3+ZrO2+SiO2+CaO++Y2O3の合計含有量が、酸化物に対する重量%で90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%を超えるような組成を有している。前記ブロックは、特に、酸化物の重量に対し、合計で100%で、次のような組成を有している:
− Al2O3<85%、またはAl2O3<80%、および、好ましくはAl2O3>45%、またはAl2O3>50%、またはAl2O3>60%、
− SiO2<25%、またはSiO2<20%、および、好ましくはSiO2>5%、またはSiO2>10%、
− ZrO2<35%、またはZrO2<30%、またはZrO2<25%、またはZrO2<21%、またはZrO2<17%、またはZrO2<13%、および好ましくはZrO2>8%、好ましくはZrO2>10%、
− CaO<5%、好ましくはCaO<4%、好ましくはCaO<3%、好ましくはCaO<2%、および、好ましくはCaO>0.3%、好ましくはCaO<0.5%、
− Y2O3<5%、好ましくはY2O3<4%、および、好ましくはY2O3>1%、好ましくはY2O3>2%、
− それ以外の酸化物<5%、好ましくは該「それ以外の酸化物」<3%。
【0022】
本発明はさらに、本発明に従う溶融ガラス供給通路を備えているガラス製造炉に関係している。特に、本発明に従う溶融ソーダ石灰ガラスのための供給通路を備えているガラス製造炉に関係している。
【0023】
本発明は、さらに本発明に従うガラス製造炉のための供給通路の下部構造のブロックを製造するための方法であって、上記方法は以下の工程:
a)活性化され且つ部分真空下でガス抜きされた、自己流し込み可能な成形されていない製品を準備すること、
b)前記ブロックが使用されることを意図されているところの場所で、前記ブロックの形状に対応している型を準備すること、
c)溶融ガラスと接触するようになるように意図された前記ブロックの表面に対応する、活性化され、ガス抜きされそして前記型へ導入された前記自己流し込み可能な成形されていない製品の表面に位置する気泡の除去を伴いながら、型へ底部供給すること、
d)プリフォームを形成するために、活性化され、ガス抜きされそして前記型へ導入された前記自己流し込み可能な成形されていない製品を固化すること、
e)任意的に前記プリフォームの型を除去すること、
f)前記プリフォームを乾燥させ且つ焼結させるために加熱すること、
を含む。
【0024】
そのような方法は、したがって、
− 成形されていない活性化された自己流し込み可能製品の従来のような準備をすること;
− ガス抜きをすること;
− 底部供給すること;および
− 使用中に溶融ガラスと接触するようになるであろう該成形されていない製品の表面に上昇し現われる気泡を少なくとも部分的に吸収するための手段、
を含む。
【0025】
これら4つの条件が満たされるとき、本発明者たちは、現場で自己流し込み且つ現場で焼結されたブロックを製造することが可能であり、該ブロックは、工場で流し込み且つ窯で焼結された従来技術のブロックの接触面と同等の質である、溶融ガラスとの接触面を有していることを見い出した。
【0026】
最後に、上記方法は大きなブロックを製造するのに役立ち、それによって接続部の数を減らせ、したがって供給通路の使用寿命を増加させる。
【0027】
製造されたブロックの長さと、ブロックの側壁の少なくとも一つの自由端での流し込み面の存在とは、本発明に従う製造方法の特徴を構成しうる。
【0028】
本発明はさらに、次の工程を含むガラス製造炉のための供給通路を製造するための方法に関係している:
A.本発明に従う製造方法を用いて、底部および2つの側壁を備え、好ましくはU字形断面を備える下部構造ブロックを製作すること、
B.任意的に、前記側壁の少なくとも1つの上部に1以上のバーナーブロックをアセンブリすること、
C.上部構造ブロックの製造に適合された形状を有する型を架設すること、
D.前記上部構造型内に成形されていない製品を流し込むこと、
を含む。
【0029】
本明細書の残りでより詳細に示されるように、上記方法は、供給通路を素早く製造するのに役立つ。
【0030】
好ましくは、上記下部構造ブロックの内側表面を画定するために用いられたコアは、上記下部構造ブロックの上部に置かれる上部構造ブロックの内側表面を画定するために用いられる。
【0031】
好ましくは、下部構造ブロックおよび上部構造ブロックは、同時に流し込まれる。
【0032】
本発明は最後に、溶融ガラスと、特にソーダ石灰ガラスと接触するようになることを意図された、ガラス製造炉の供給通路のブロックの現場での製造のために自己流し込み可能な成形されていない製品の使用に関係している。
定義
【0033】
− 「粒状混合物」は、粒子の乾燥混合物(互いに結合されていない)を意味する。
「粒子」は、粒状混合物内の固体物を意味する。
粒子の「サイズ」は、その最大寸法dMと最小寸法dmの平均(dM+dm)/2である。粒状混合物の粒子のサイズは、従来、レーザ粒子サイズ分析器で実施された粒子サイズ分布の特性によって評価されている。該レーザ分析器は、例えば、HORIBAによって販売されているPartica LA-950でありうる。
粒状混合物のパーセンタイルまたは「センタイル」10(D10),50(D50)、90(D90)および99.5(D99.5)は、粒状混合物の粒子の累積粒子サイズ分布曲線(粒子サイズは増加する順に分類されている)において、重量で10%、50%、90%および99.9%にそれぞれ対応する粒子のサイズである。例えば、重量で10%の粒子は、D10よりも小さいサイズを有し、そして重量で90%の粒子は、D10よりも大きいサイズを有する。パーセンタイルは、レーザ粒子サイズ分析器を用いて測定された粒子サイズ分布によって決定されうる。
「最大サイズ」は、上記粉末の99.9パーセンタイル(D99.5)である。
「中央値サイズ」は、パーセンタイルD50である、すなわち、該サイズは、粒子を第1と第2の重量の同じ集合に分け、上記第1および第2集合は夫々中央値サイズよりも大きいかまたは小さい粒子のみを含む。
粒子の「球形度」は、該球形度が得られる方法に無関係に、最小直径の最大直径に対する比を意味する。
粒子は、それが、粒の造粒によって、特に従来の造粒または微粒子化によって形成されていないとき、「非粒状化」であるといわれる。
− 「成形されていない製品」または「形作られていないコンクリート」は、成形品を構成するために硬化可能な濡れた粒子の混合物である。成形されていない製品は、硬化過程にあるとき、「活性化」される。活性化は、通常、水またはその他の液体で濡らすことによる。
− 自己流し込み可能な成形されていない製品は、振動タイプの外部からの機械的な動作なしに、且つ材料分離なしに、それ自体の重量の下で流れるという能力を有する成形されていない製品である。材料分離のないことは、制限された水含有量を意味している。流し込み性は、15分の練り混ぜ時間で、70mmおよび100mmの底、80mmの高さを有する中空の切頭円錐を用いる標準ASTM C1446-99の一般的な教示に従って測定される。広げられた後のmmでの値が、該円錐を持ち上げた後5分で測られ、該流し込み性は、広げられた活性化された成形されていない製品の、2つの直交方向における値の平均値である。自己流し込み可能な成形されていない製品の流し込み性は270mmより大きい。
自己流し込み可能な成形されていない製品は20年以上にわたって使用されており、当業者には公知である。それらは種々の組成を持ちうる。それらは、例えば、論文「Les betons refractaires autocoulables」Hommes et Fonderie, April 1993, pages 17 to 20 に記載されている。仏国特許第2937636号も、自己流し込み可能なまたは「自己水平化」の成形されていない製品を記載している。
自己流し込み可能な成形されていない製品の粒子サイズ分布は、特に、数学的予測モデルによって、例えば、アンドレアセン(Andreasen)コンパクションモデル(“High performance refractory castable: particle size design”, Refractories Application and News,Vol.8, No. 5, page 17 to 21 (2003))、または “The effect of particle-size distribution on flow of refractory castables”, The American Ceramic Society 30th Annual Refractories Symposium, March 25, 1994に記載されている)によって決定されうる。
ポンプ扱い可能な成形されていない製品は、ポンプによって搬送される能力を有し、且つそれ故に該ポンプを通過する間に分離されるのを回避する能力を有している成形されていない製品である。
自己流し込み性およびポンプ扱い性は2つの異なる特性である。特に、ポンプ扱い可能な成形されていない製品は、必ずしも自己流し込み可能ではない。例えば、以下に記載される比較例2の製品は、自己流し込み可能ではない。なぜなら、それは流し込みの間に材料分離を受けるからである。しかしそれはポンプを使用して移動させられうるので、ポンプ扱い可能である。
− 「成形製品」または「成形コンクリート」は、粒がその中で結合された集合体で構築された、微細構造を有する固体物質である。
「集合体」は、耐火性粒の集合であり、重量で少なくとも90%の粒は、50μmと15mmとの間のサイズを有している。
成形製品において、粒の「サイズ」はその最大寸法と最小寸法との平均であり、この寸法は該製品の断面で測定される。
プリフォームは、粒状混合物の硬化(一般的に水で濡らすことによる)によって得られた成形製品の1例である。その中の粒は、一時的でありうる結合相によって結合されている。
プリフォームを焼結することによって得られた焼結製品は、成形製品のもう一つの例である。その中の粒は「マトリックス」、すなわち結晶化されうるかまたはされ得ない相、によって結合され、該マトリックスは粒の間の連続的な相を提供し且つ焼結に起因する。「マトリックス」は、焼結前に、例えば水硬性結合剤の活性化によって任意的に存在する結合相と区別されなければならない。
「ブロック」は、成形されていない製品を流し込むことによって得られた成形製品(表面張りとは異なる)を意味している。
− ブロックの現場での流し込みまたはその場所での流し込みは、ブロックが使用されるべき丁度その場所(使用地点)で実行される流し込みである。現場での流し込みは、大きなブロック(これはその後移動させることが出来ない)を製造するのに役立つ。したがって、現場での流し込みは、一般的に焼結も現場で実行されることを意味している。
− 型または流し込みの「底部」供給は、成形されていない製品が型の底部から頂点まで流されるような供給である。言い換えれば、型に入っていく成形されていない製品は、型内に既に存在する成形されていない製品の下方に導入される。
− 加熱は、ガラス製造炉の第1の温度上昇である。
− 「焼結」は、それによってプリフォームの耐火粒子が、該プリフォームの他の粒子を互いに結合するマトリックスを形成するように転化される熱処理である。
− 「耐火材料」は、1000℃を超える融点または解離点を有する材料を意味する。
− 「繊維」は細長い構造であり、典型的には0.1μm〜2mmの直径、および約3cmまでの長さを有する。
【0034】
酸化物含有量は、工業における通常の慣習に従って、最も安定な酸化物の形式で表現された、対応する化学元素の各々についての合計含有量に関係する。
【0035】
別に指示がない限り、本発明に従う製品の酸化物含有量のすべては、該酸化物に対して表現された重量パーセントである。
【0036】
「1の・・を含む」「1の・・を備える」は、別に指示がない限り「少なくとも1の・・を備える」を意味する。
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、以下の記載および添付された図面の説明を読むことによって理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来技術に従う供給通路の斜視図であり、図を明瞭にするために上部構造は点線で示されている。
図2】供給通路の焼結された下部構造ブロックの斜視図である。
図3】本発明に従い製造された下部構造ブロックの斜視図であり、コアはまだその位置にある。
図4図1と同じスケールで描かれた本発明に従う供給通路の斜視図であり、図を明瞭にするために上部構造は点線で示されている。
図5】気泡の一部分を除去するのに適した形状を有しているコアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの図において、同一のまたは類似の部材は同じ参照符合を有している。
<ブロックの製造>
【0040】
本発明に従うブロックは、以下の工程a)〜f)により製造され得る。
【0041】
型および成形されていない製品の準備は、それぞれ独立に実行されうる。
工程a):成形されていない製品の準備
【0042】
成形されていない製品を自己流し込み可能にするために、自己流し込み可能な成形されていない製品を準備するためのあらゆる公知の技術が採用されうる。好ましくは、製造された成形されていない製品は、300mmを越える流し込み性(上述したように測定される)を有している。
【0043】
成形されていない製品を活性化させるために、従来、様々な成分、特に、耐火粒子の粒状混合物、結合剤、水、および好ましくは界面活性剤添加物または凝結促進剤若しくは凝結遅延剤さえもが、ミキサー内において練り混ぜられる。
【0044】
これらの成分は合わせると、成形されていない製品の好ましくは90%を超え、95%を超え、または実質的に100%にさえなる。
【0045】
ガラス製造炉の供給通路の下部構造の製造に使われた耐火粒子の粒状混合物の全ての組成が考慮されうる。
【0046】
当業者によく知られた仕方で、粒状混合物の組成は、製造される予定のブロックについての所望の構成物に適合される。特に、成形されていない製品内に存在する耐火性酸化物は、ほぼそれら全体が、焼結ブロック内に見られる。
【0047】
好ましくは、耐火粒子の粒状混合物は、少なくとも1つの耐火物質(その中で、主成分若しくは主たる複数の成分が、アルミナ(Al)及び/又はジルコニア(ZrO)及び/又はシリカ(SiO)である)の粒子90%〜99%を備えている。
【0048】
例えば以下の物質を起源とする様々な耐火物質が使用されうる:
− Societe Europeenne des Produits Refratairesによって製造され販売されているER−1681またはER−1711のような溶融流し込みされた耐火物質。該2つの製品は、酸化物に関して重量パーセントで、32〜54%のZrO、36〜51%のAl、10〜16%のSiOおよび0.2〜1.5%のNaOを含んでいる。
− 溶融ムライト耐火性物質、例えば、76.5%のAlと22.5%のSiOを含む粉末。
− 高ジルコニア含有物、例えば、Societe Europeenne des Produits Refratairesによって販売されているジルコニアCC10。この製品は99%を越えるZrOを含み、且つジルコニア粒子の中央値サイズ(D50)は3,5μmである。
− 反応性アルミナ、または99%を越えるAlを含んでいる反応性アルミナの混合物。反応性アルミナの粒子の中央値サイズは0.2μmから3μmまでである。
− か焼アルミナ、または99%超のAlを含んでいるか焼アルミナの混合物。か焼アルミナ粒子の中央値サイズは3μmから6μmまでである。
− 粒子が0.04〜10mmの間のサイズである溶融流し込まれたアルミナ。
− 粒子が10mm未満のサイズを有する平板状アルミナ。
− ジルコンZrSiO
− 例えば、Societe Europeenne des Produits Refratairesによって販売されているシリカヒュームのようなシリカ。この石英ガラスは、93%を越えるシリカ(SiO)を含んでおり、且つ粒子が0.1〜5μmの間のサイズおよび0.5μmの中央値を有する粉末の形状である。
【0049】
好ましくは、耐火性粒子の粒状混合物は、1%、3%、5%を超え、及び/又は15%未満の反応性アルミナ若しくは99%を超えるAlを含んでいる反応性アルミナの混合物を含み、反応性アルミナの粒子の中央値のサイズは0.5μm〜3μmである。
【0050】
1の実施態様において、耐火性粒子の粒状混合物は、1%、3%、5%を超え、及び/又は9%未満、8%未満、7%未満のシリカヒュームを備えている。
【0051】
好ましくは、シリカ粒子の中央値サイズは5μm未満であり、好ましくは1μm未満である。好ましくは、耐火性粒子の粒状混合物は、シリカヒュームを含み、好ましくは、耐火性粒子の粒状混合物に関して重量%で、3%と5%との間にある量を含んでいる。
【0052】
1の実施態様において、粒状混合物は、1%を超え、好ましくは5%を超え、より好ましくは7%を超え、且つ10%未満の球状粒子、すなわち0.8を超える、好ましくは0.9を超える球形度を有している粒子を含む。好ましくは、これら球状粒子は、0.1μm以上で2mm以下の、好ましくは1mm以下の、好ましくは100μm以下の、さらに好ましくは1μm以下の中央値サイズを有しており、非粒状化球状粒子のサイズの相対的標準偏差(これは標準偏差と前記分布の平均値の比で測られる)は、好ましくは、仏国特許第2894957号に記載されているように、100%未満、好ましくは60%未満、より好ましくは10%未満である。好ましくは、前記非粒状化球状粒子は、90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは99%を超えるアルミナ、例えば、アドマテックによって供給されるAdmatech0502球状粒子粉末を含んでいる。
【0053】
好ましくは、耐火粒子の粒状混合物は、
− D99.5<12mm、好ましくはD99.5<10mm、好ましくはD99.5<8mm、好ましくはD99.5<6mm、好ましくはD99.5<5mm、及び/又は、
− D50>50μm、好ましくはD50>100μm且つD50<500μm、好ましくはD50<400μm、及び/又は、
− D10>0.5μm、好ましくはD10>0.8μm且つD10<20μm、好ましくはD10<10μm
のような粒子サイズ分布曲線を有している。
【0054】
より好ましくは、
− D99.5<12mm、好ましくはD99.5<10mm、好ましくはD99.5<8mm、好ましくはD99.5<6mm、好ましくはD99.5<5mm、及び
− D50>50μm、好ましくはD50>100μm且つD50<500μm、好ましくはD50<400μm、及び
− D10>0.5μm、好ましくはD10>0.8μm且つD10<20μm、好ましくはD10<10μm
のような粒子サイズ分布曲線を有している。
【0055】
仏国特許第2937636号は、自己流し込み可能な成形されていない製品の製造に適しうる粒子サイズ分布の例を提供している。
【0056】
好ましくは、結合剤は、結合、好ましくは水硬化性結合を与えるのに適している。使用しうる結合剤の例として、これに限定するものとしてではなく、以下のものを挙げうる:
− 一時的な有機結合剤(すなわち、焼結中に全てまたは部分的に除去される)、例えば、樹脂、セルロースまたはリグノンの誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸塩、チロース、ペクチン;
− 化学的硬化剤、例えば、リン酸、一リン酸アルミニウム、ケイ酸エチル、コロイド状シリカ、アルミナ白、特に、Almatisによって販売されているAlphabond 300;
− 水硬性硬化剤、例えばCA25セメント、CA14セメントまたはCA270セメントのようなアルミン酸石灰タイプの、例えば、ポルトランドセメントおよびアルミナセメント。
化学反応または温度を変更することによって、結合剤は、硬化を起すために粘性を増加させるように働く。
【0057】
好ましくは、結合剤は、活性期間中に一般に環境温度で水硬化を起す水硬性結合剤(または「水硬性セメント」)である。
【0058】
好ましくは、水硬性セメントのアルミナ含有量は重量で60%を超える。より好ましくは、水硬性セメントは、主成分としてアルミナおよびアルミン酸カルシウムを含む。
【0059】
水硬性セメントは、特にアルミナセメントまたは種々のセメントの混合物でありうる。石灰(CaO)含有量を制限するために、高アルミナセメント、例えば、AlmatisからのCA25セメントを使用することが好ましい。CA25セメントは、78%を超えるAl且つ19%未満のCaOを含んでいる。CA25セメント粒子は、約8μmの中央値サイズを有する。
【0060】
好ましくは、結合剤の量、特に水硬性セメントのそれは、成形されていない製品の乾燥物質に対する重量パーセントで、2%を超え、または3%を超え、または4%を超え、及び/又は8%未満、好ましくは7%未満である。
【0061】
好ましくは、成形されていない製品はさらに、乾燥した物質に対する重量比で、0.01%〜1%の、好ましくは0.02%を超え、または0.05%を超え、または0.1%を超える量の、及び/又は0.5%未満、好ましくは0.4%未満の界面活性剤を含む。この界面活性剤の役割は、特に、成形されていない製品のポンプによる搬送を容易にするために、成形されていない製品のレオロジー特性を改良することである。好ましくは、変性ポリカルボン酸塩型の、好ましくは変性エーテルポリカルボン酸塩型の、好ましくはポリエチレングリコールに基づく界面活性剤の使用がなされる。
【0062】
好ましくは、成形されていない製品はさらに、該成形されていない製品の乾燥材料に対する重量比で0.01%〜0.15%の凝固促進剤を含む。そのような凝固促進剤は、例えば、Zschimmer and Schwarzによって販売されているSilubit BL05のようにそれ自体、当業者に知られている。
【0063】
成形されていない製品の流し込み性は、導入された水量および粒状混合物の粒子の粒子サイズ分布に依存する。
【0064】
成形されていない製品は、耐火性粒子の粒状混合物と結合剤との重量に対する重量%で、好ましくは4.5%を超え、または5%を超え、または6%を超え、及び/又は9%未満、8%未満、7%未満の水量を備えている。
【0065】
水の添加は結合剤、特に水硬性セメントを活性化し、すなわち硬化の開始を起す。
【0066】
成形されていない製品は、特に、10mmと24mmとの間の平均長さを有する繊維、例えば、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニル・アルコールの繊維を備えうる。好ましい実施態様において、流し込み性を改良するために、成形されていない製品は繊維を含まない。
【0067】
水の添加の後、成形されていない製品は、7mm未満の、好ましくは5mm未満の、好ましくは4mm未満の、好ましくは3mm未満の厚み「e」をもつ、以下に規定する材料分離層を有している。
【0068】
ガス抜きは、気泡の発生および除去を容易にするために、成形されていない製品が負の圧力下に置かれる操作である。この操作はそれ自体知られており、成形されていない製品に溶解または閉じ込められた空気の一部分を取り出すように働き、そしてその結果として、その後の、特に硬化中における気泡の発生を制限する。
【0069】
ガス抜きは、好ましくは、部分的真空下におけるチャンバー内で、好ましくはミキサーとは異なる装置内で実行される。好ましくは、チャンバー内の圧力は0.2Pa未満、好ましくは0.1Pa未満である。
【0070】
完全なガス抜き時間(真空チャンバーに成形されていない製品を搬送する時間と前記チャンバー内に成形されていない製品を保持する時間とを含む)は、導入された成形されていない製品の600kgのユニット毎に1〜20分間、あるいは1〜15分間のこともありうる。言い換えれば、1200kgの成形されていない製品の量の完全なガス抜き時間は、好ましくは2〜40分間、あるいは2〜30分間でありうる。
【0071】
1の実施態様において、成形されていない製品はミキサーからこの装置へポンプによって搬送される。
【0072】
該ガス抜き装置は、好ましくは、成形されていない製品がその中へ導入されるところのチャンバーである。実施例で記載されるように、成形されていない製品が部分的真空下の前記チャンバーに入るとき、空気は大部分取り除かれる。
【0073】
「ガス抜きされた」という用語は、例えこのガス抜きが完全でなくても負の圧力に曝されたところの成形されていない製品に与えられる。
【0074】
該ガス抜き装置は、好ましくは可動式であり、充填されるべき様々な型の近くに要求された時に移動されうる。例えば、これは巻き上げ機またはレールによって移動されうる。
【0075】
好ましくは、該ガス抜き装置は型の注入点に対してできるだけ近くに置かれる。
【0076】
1の実施態様において、ガス抜きは、湿らされてはいるが実質的に活性化されていない(例えば、水の添加後で凝固促進剤の添加前)成形されていない製品について実行される。工程a)において、該ガス抜き装置は、したがって活性化の前に実行されうる。しかし好ましくは、ガス抜きは活性化された成形されていない製品について実行される。
工程b):型の準備
【0077】
本発明に従うブロックを製造するための型、または「下部構造型」は、型枠を用いる従来の仕方で製造されうる。
【0078】
しかし、ブロックは現場で流し込みされ、且つ現場で焼結されることを意図されているので、型の少なくとも部分は、ブロックが流し込み成形された後にその場所に残されることが意図された壁より成ることが好ましい。特に、供給通路ブロックの外表面(前記外表面は図2において参照番号24を有している)は、従来のように断熱化される。したがって、成形のために役立つことができるようにブロックを製造する前に前記断熱を設置することは有利である。
【0079】
同様に、型の一部分を画定するために、従来「ケーシング」と呼ばれ、従来は絶縁層(29)によってブロック(5)から分離されていた、分離層、コンクリートの副層または金属性被い(28)を使うことが可能である(図3参照)。
【0080】
好ましくは、下部構造型は、製造されるべき本発明に従うブロック(5)の内側面へ形状を与えることを意図されたコア(30)を備えている(図3参照)。上記内側面は、図2で底面(20)および側壁の内側面(22a、22b)で構成されている。上記コアは、上記ブロック(5)の上方に置かれ、例えばU字形断面の上部構造ブロック(7)の内側面(32)へ形状を与えるように適合されうる。換言すれば、下部構造ブロックを製造するために働いたコア(30)は、移動される必要なく、上記下部構造ブロックの上方に置かれる上部構造ブロックを製造するために使われうる。供給通路の製造はそれによって有利に促進される。
【0081】
好ましくは、コア、より一般的には溶融ガラスと接触するようになることを意図された、「接触面」と呼ばれるブロックの表面を画定するよう意図された型の部分は、型内に置かれた成形されていない製品から生じそして接触面を画定するように意図された型の表面に達する気泡を、少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に除去され得るように適合されている。
【0082】
好ましくは、型のこの部分は、
− 少なくとも一つの排気層を備えまたはそれで覆われた(すなわち、気泡の除去を可能にする)、及び/又は排気材料で構成されたコア、
− 排気作用を得るために、成形されていない製品との境界面で負圧を達成するのに適したコア、
− 上記気泡の一部分を除去するのに適した形状を有するコア、または
− これらの特徴の組合せを有しているコア、
により構成されている。
【0083】
1の実施態様において、排気層は型枠ライナー、例えば、Zemdrain(商標)のライナーである。
【0084】
コアの排気領域は、少なくとも接触面を画定するような仕方で延在している。
【0085】
特に、多孔質コアは、透過性によって、該コアと接触するようになる成形されていない製品の気泡を減少させまたは除去さえするように働く。1の実施態様において、コアは発泡スチロールで作られる。
【0086】
気泡を除去するのに適した形状を持つために、コアは、好ましくは、底面(20)を画定するよう意図された部分において、好ましくは1°より大きく、2°より大きく、3°より大きく、4°より大きく、及び/又は好ましくは6°より小さく、または5°より小さい角度θで水平面から傾斜させられた面を備えている。このように、図5に示されたコア(30)は、2つの実質的な平面状の面(36、38)を備え、該2つの面は水平面に対して5°の角度θで傾けられてV字形底面を画定するように働いている。
工程c):型供給
【0087】
型は底部供給によって充填される。
【0088】
この目的のために、活性化され且つガス抜きされた自己流し込み可能な成形されていない製品は、充填操作の開始時に、型の底部の近くでその自由端が終端されているところの導管を介して型内に入り、そして型を既に充填している製品内に保持される。好ましくは、ポンプが、該製品を型内へ導入するために使われる。
【0089】
従来の充填と違って、該成形されていない製品は、その導管によって(従来は傾斜台から)型内に注がれ、型への供給の間、底部供給は該製品内への空気の導入を制限する。
【0090】
充填は所望の高さまで継続する。
【0091】
型への導入前の成形されていない製品のガス抜きは、部分的であってよい。気泡は実際上昇し続け、そして特に、溶融ガラスと接触するようになることが意図されたブロックの表面を画定する型の表面に達しうる。上で説明されたように、この型表面は、それに達する気泡の少なくともいくらかは除去されるように適合されている。
工程d):硬化
【0092】
好ましくは、底部供給によって導入された成形されていない製品は、その硬化の前には、操作、特に振動操作を受けない。
【0093】
結合剤の活性化(従来は水の添加に起因していた)は、成形されていない製品の凝固および硬化を引き起こし、これはプリフォームになる。
工程e):型取り外し
【0094】
型取り外しは、1以上の型壁の除去に対応している。特に、ブロックの内側表面を画定しているコアが取り除かれ、即ち除去される。
工程f):加熱
【0095】
好ましくは、加熱は、12時間〜48時間の間、80℃〜150℃の間の一定温度を含む乾燥操作を含んでおり、その後、供給通路の動作温度まで、典型的には1150℃と1450℃との間まで温度が上げられる。
【0096】
このことは、ブロックの乾燥と焼結とをもたらす。
【0097】
加熱は、例えばコアを溶かすことによって、型の取り外しにも貢献することが出来る。
<供給通路の製造>
【0098】
上に記載された発明に従うブロックを製造するための方法は、大きなブロックを製造するのに役立つ。事実、これらブロックは、製造された後で移動される必要がない。したがって、結合部(23)の数は、図4に示されたように有利に減らされる。
【0099】
上部構造ブロックは従来技術のブロックであってもよい。
【0100】
1の実施態様において、上部構造ブロックは、また、任意的に自己流し込みによって、現場で製造される。しかし、製造要件は、下部構造ブロックに対するほどは厳しくない。なかんずく、それは上部構造ブロックが溶融ガラスと接触しない故であり、また、気泡が上昇する傾向にあり、従って上部構造ブロックの内側面から離れてゆく故である。
【0101】
図3に示されたように、1以上の下部構造ブロックを製造した後に、1以上のバーナーブロック(34)がこれらブロックの側壁の上に置かれうる。
【0102】
次に、上部構造ブロックを製造するのに適した形状を有する型が設定される。上に記載された下部構造型と同様に、上部構造型の少なくとも部分は、例えば、外部型枠または外部絶縁のような取り壊されるべきでない要素で構成されうる。好ましくは、上部構造ブロックの内側表面を画定するために、下に置かれている下部構造ブロックの内側表面を画定するために既に役立ったコアが用いられる。それによって供給通路の製造の速度は、有利に加速される。
【0103】
次に、成形されていない製品が、上記上部構造型内に流し込まれる。
【0104】
上部構造ブロックを製造するために用いられた成形されていない製品の組成は、下部構造ブロックを製造するために使われたものと同一であっても異なっていてもよい。
【0105】
上部構造ブロックは、本発明に従う方法によって製造されても、またされなくてもよい。
【0106】
振動工程が実行されうる。
【0107】
硬化に続く工程、すなわち、型取り外し、乾燥および焼結は、下部構造ブロックを製造するための上に記載されたものと同一であってよい。
【0108】
これら該ブロックの製造は歩調を合せて実行されることができ、上部構造ブロックの製造は対応する下部構造ブロックの製造に従って実行される。
【0109】
1の実施態様において、操作は以下の順序に従って実行される:
− 第1下部構造ブロックの製造、
− 第2下部構造ブロックの製造、そして第1下部構造ブロックの上部に第1の上部構造ブロックの製造、
− 第3下部構造ブロックの製造、そして第2下部構造ブロックの上部に第2の上部構造ブロックの製造、
− 第4下部構造ブロックの製造、そして第3下部構造ブロックの上部に第3の上部構造ブロックの製造、
− 等々。
【0110】
他の実施態様において、操作は以下の順序に従って実行される:
− 全ての下部構造ブロックの製造、
− 全ての上部構造ブロックの製造。
【0111】
下部構造及び/又は上部構造ブロックの製造コアは、1以上のブロックの各々の製造の後、または供給通路の加熱の間に同時に、区画毎に取り除かれうる。
【0112】
供給通路の部分(区画ごとの流し込みの場合)または全体は本発明に従う方法に従って製作されうる。
実施例
【0113】
以下の実施例は、これに限定する仕方ではなく、本発明を説明するのに役立つ。
【0114】
比較例1は、SAVOIE から販売された長さLが0.61mのBPAL供給通路下部構造ブロックである。
【0115】
比較例2は、従来からガラス製造炉を準備するために使用された成形されていない製品である。
【0116】
上記成形されていない製品は以下のように使用された:
50kgの乾燥粒状混合物が、ボネット遊星ミキサー(Bonnet planetary mixer)内へ導入される。該粒状混合物に対して重量%で10.1%のコロイド状シリカの水溶液が添加される。それから全体の混合物は15分間混合される。
得られた成形されていない製品は、それから蝶形バルブによってホッパーから隔離されたチャンバーの収集ホッパー内へ導入される。
該チャンバーは、それから真空下(0.08Pa)に置かれる。
収集ホッパーの容積の2/3が成形されていない製品によって充填されたとき、該ホッパーと該チャンバーを接続しているバルブは開かれる。すると成形されていない製品は流れることが出来、それから該チャンバーが充填されるにつれてガス抜きされ、そして真空が膜ポンプによって該チャンバー内で維持される。
必要であれば、コンクリートがチャンバー内へ搬送されるとき、収集ホッパーは供給され続ける。しかし、充填が行われている限り、チャンバーとホッパーとの間の真空は破られないことを保証することが必要である。
容器が、流し込み製造されるべきブロックの体積に対応する成形されていない製品の量で充填されると、真空は壊される。
型は、供給通路のU字形断面下部構造ブロックの形状を有している。接触面を生み出すように働く型のコアは、発泡ポリスチレンで作られている。
チャンバーは型の側壁の1つの上に設置される。
チャンバーの底部は、直径50mmで長さが500mmの排出パイプに接続され、そのパイプの自由端はプラグによって閉じられている。該自由端は、型の底部と直接接触して置かれる。該プラグは、次に除かれそして回収される。活性化されガス抜きされた成形されていない製品は、自己流し込み特性のおかげで、自身の重量下で流れる。型は、約4分間で充填される。硬化後、プリフォームは型から解放される。
流し込みおよび硬化後、プリフォームが得られる。
プリフォームは、型から解放され、次に24時間120℃のオーブン内で乾燥される。
プリフォームは、それから、次のようなサイクルに従って窯内で焼結される:
− 温度は20℃から1300℃まで、30℃/時間の割合で上昇される、
− 1300℃で10時間一定温度を保つ、
− 環境温度まで30℃/時間の割合で温度を下げる。
【0117】
実施例1は、次のように製造された。
粒状混合物に対する重量%で、94%のアルミナ(6%のか焼アルミナ、10.5%の反応性アルミナおよび67%の板状アルミナを含む)およびSociete Europeenne des Produits Refratairesによって販売された6%のシリカヒューム(93%を超えるシリカ(SiO)を含み且つ粉末形状で、粒子は0.1μm〜5μmのサイズを有し中央値は0.5μm)を含む粒状混合物を、Eirichによって販売されたRV11強力ミキサー(intensive mixer)内で作る。上記粒状混合物の重量は550kgである。
CA270セメントは、該粒状混合物に対して3%の量で添加され、そして全体が1分間混合される。
同時に、水(4.9%)、界面活性剤(0.03%、BASFにより製造されたCastament(商標)FS20)および任意的に硬化促進剤(Silubit BL05)の混合物が、ドリルの端部に取り付けられた攪拌器を使って準備される。混合時間は30秒間である。混合物は、耐火粒子の粒状混合物へ注がれる。全体が15分間混合される。
そのように活性化された自己流し込み可能な成形されていない製品は、それからReed二重ピストンポンプ、モデルB20hpの排出パイプを濡らした後、Lansdown Products によって販売されたPrimeapumpを使って該ポンプのホッパー内へ注がれる。
得られた成形されていない製品は、次にホッパー(このホッパーはポンプピストンの一定の供給を可能にする)からポンプ圧送され、蝶バルブによって該ホッパーから分離されたチャンバーの収集ホッパー内に導入される。
この後、比較例2におけように、ガス抜き、U字形断面下部構造型の底部供給、型除去、乾燥および焼結が実施される。
【0118】
接触面
型を除去した後の溶融ガラスと接触すべき表面(供給通路底の接触表面)の外観は、もし、
長さLが1メートル以上であるとき、
− 10cmx10cmの任意の正方形C(図2)上で、この表面は、
5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい1有し、且つ
3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい1有し、且つ
3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい22有し、且つ
− この表面の長さLに沿って1メートル当たり、上記表面は、
5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい2有し、
3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい40有し、且つ
3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい200有し、または
長さLが1メートル未満であるとき、上記表面は、5mmを超える直径を有する気泡をせいぜい2有し、且つ3mm〜5mmの間の直径を有する気泡をせいぜい40有し、且つ3mm未満の直径を有する気泡をせいぜい200有する、ならば、
満足すべきものと考えられる。
ソーダ石灰ガラスの接触特性は次のような試験方法によって評価された。
【0119】
腐食試験
ソーダ石灰ガラスによる腐食は、1300℃の溶融ソーダ石灰ガラスの浴を容器(その壁が試験されるべき標本で構成されている)と51日の期間で接触させることで成り立っている試験によって評価された。各標本は250mmの長さ、50mmの幅、100mmの高さを有している。試験の間、ガラスは更新されない。それは、80mmの深さのガラスを得るために補充されるのみである。試験の最後に、腐食された容積が、次のような計算によって各標本毎に評価される。
【0120】
試験前に標本の体積がカリパス(測径器)を用いて測られる。初期体積(Vi)は、高さx幅x50mmに等しい。
【0121】
最終体積(Vf)を測定するために、関係する標本のスライスが、実質的に標本の真ん中の長さ(スライスの長さは50mmである)でカットされる。
【0122】
最終体積(Vf)は、このスライスの静水圧計量を2回行うことによって測られる。即ち、スライスは、真空中に置かれ、そして水に漬けられ、空気中でおよび水中で計量される。重量の違いは、スライスの体積に対応している(浮力の原理)。
【0123】
腐食された体積(Vc)は、試験中の体積の損失によって評価される。
Vc=Vf−Vi
【0124】
評価されるべき標本の腐食された体積の比率Vcechは、参照例(比較例1)の腐食された体積の比率Vcrefに関係付けられ、次の式に従う腐食耐性特性指数、即ち「腐食指数」Icを与える。
Ic=(Vcech/Vcref)*100
したがって、100を超える指数Icは、参照例の腐食体積よりも小さい腐食体積を示している。
【0125】
石放出の試験
石放出の試験(これは、焼結された耐火製品が、溶融ソーダ石灰ガラス内へ石を放出する能力を評価するに役立つ)は、次のように実行される。その高さの3/4まで焼結された耐火製品のコア(直径が10mmで長さが80mmの円柱)は、溶融ソーダ石灰ガラスで満たされた白金るつぼ内でテンパリングされ、そして1300℃の温度の炉内に置かれる。それからコアは、溶融ガラス内に72時間の滞在時間の後、該溶融物から引き上げられる。ガラス滴が、コアの端部で形成される。ガラス滴内におよび白金るつぼに残っているガラス内に放出された石の量は、公知の参照製品の量と比較され、そして0から5までの指数が付けられ、指数0は石のないガラスに対応し、指数5はガラス内の石が最大の場合に対応する。
【0126】
石放出の試験の良い結果は、試験された焼結耐火製品から製造された供給通路を通過する溶融ガラスから製造されるべきガラス品の低廃品率に対応している。
【0127】
流し込み性
流し込み性は、底が70mmおよび100mmで高さが80mmの中空切頭コーンを用いた標準ASTM C1446-99に従い測定された。該コーンは、机上に水平に、その大きい方の底を載せて置かれる。成形されていない製品は、15分間混ぜ合わされた後にコーン内に注がれる。在りうるチクソトロピー機構を克服するために1分間待った後、コーンは、成形されていない製品が机上に自然に広がるように持ち上げられ、広がった後5分間、振動または如何なる他のエネルギー入力も与えない。このようにして得られた成形されていない製品の層の寸法が測定され、この最初の寸法に直交した該層の寸法の測定が続く。「流し込み性」はこれら2つの測定値(mm)の平均である。
【0128】
材料分離
材料分離への挙動は、次の試験によって評価される。25kgの成形されていない製品が、ミキサー内で準備され(15分の練り混ぜ時間)、次に予め油を塗られたホッパー内に注がれる。該ホッパーは切頭ピラミッドの形状で、頂上を下にして置かれ、320mmの高さ、350mmx350mmの上部正方形入口部分および最初は跳ね上げ戸で閉じられた130mmx130mmの底部正方形出口部分を有している。
【0129】
それから、ホッパーの跳ね戸は素早く開けられ、成形されていない製品は、自重で、出口開口を通って、予め油を塗られた真っ直ぐな半円形PVCの溝の上端部(地面から700mm)に流れ出る。該溝は、170mmの直径と1600mmの長さを有し、溝の底端部は地面から380mmである。
【0130】
成形されていない製品は、溝へ流れ、そして溝の下(溝の底端部の下方)に置かれた型へ落ちる。型は、250mmx150mmx150mmの木製型であり、150mmx150mmの充填断面を有し、油を塗られ地面に水平に置かれる。
【0131】
その後、成形されていない製品がブロックの形状に固まるまで待機する。
【0132】
110℃で24時間の加熱処理をした後、ブロックはその中心で2つに切断され、それによって、250mmx150mmの断面を有する2つの切断面を曝す。材料分離は、最も大きな粒をブロックの上部面から離れるように移動させる。材料分離への挙動は、ブロックの上部面から延在している表面のレイタンス(乳状物)層の厚み(e)(切断面上で測定可能)によって評価される。この層は、「材料分離層」とも呼ばれる。材料分離への挙動は、レイタンス層の厚み(e)が7mmを超えるとき、受容不能であると考えられる。
【0133】
下記の表1は、得られた結果をまとめたものである。
【0134】
表1は、本発明に従う実施例1の成形されていない製品が、
− 比較例2の製品とは反対に、材料分離への挙動を有していないこと、
− 工場で得られるよりも好ましくない流し込み条件にもかかわらず、満足な表面外観を有する焼結製品を産出すること、
− 比較例1とほぼ同じで且つ比較例2よりもはるかに高い腐食耐性を有する焼結製品を産出すること、
を示している。
【0135】
実施例1の成形されていない製品は、様々な流し込み技術に従って焼結製品に変換された。表2は得られた結果をまとめたものである。
【0136】
表2は、自己流し込み可能な製品について、
− 流し込み前に、成形されていない製品のガス抜きをすること、
− 成形されていない製品の底部供給流し込み、
− 排水層及び/又は、その表面に少なくとも1つの多孔質の層を備えたコア、若しくはそれ自体が完全に多孔質であるコア(ここでは発泡ポリスチレンのコアである)を用いること、
の積極的な効果を示している。
【0137】
今や明瞭になった、本発明に従う製造方法は、工場で従来のように製造され且つ窯内で焼結された製品とほぼ同じ、ソーダ石灰ガラスによる腐食への耐性および石の放出性を有している溶融ガラス供給通路の下部構造ブロックを現場での自己流し込みによって製造するのに役立つ。したがって有利に、大きなブロックを製造すること、そのことによって結合の数を制限し、そして供給通路の使用寿命を増すことが可能である。
【0138】
現場での自己流し込みは、供給通路の製造速度の増大にも役立つ。
【0139】
明らかに、本発明は、説明のための且つ限定的でない例として記載され且つ提供された本実施態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0140】
2 供給通路
4 下部構造
5 下部構造ブロック、
6 上部構造
7 上部構造ブロック
12 底部
14a、b 側壁
16 接触面
18a、b 側壁の上部表面
20 底面
22a、b 側壁の内側面
23 結合部
28 金属性被い
29 絶縁層
30 コア
32 上部構造ブロックの内側面
34 バーナーブロック

図1
図2
図3
図4
図5