特許第5990787号(P5990787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5990787静電容量式タッチパネル用スタイラスペン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990787
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】静電容量式タッチパネル用スタイラスペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   G06F3/03 400F
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-514007(P2013-514007)
(86)(22)【出願日】2012年5月7日
(86)【国際出願番号】JP2012061682
(87)【国際公開番号】WO2012153710
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2011-104170(P2011-104170)
(32)【優先日】2011年5月9日
(33)【優先権主張国】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】506249347
【氏名又は名称】株式会社発明屋
(72)【発明者】
【氏名】佐川 大介
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−171579(JP,A)
【文献】 実開昭64−42182(JP,U)
【文献】 特開平10−187329(JP,A)
【文献】 特開2005−297540(JP,A)
【文献】 意匠登録第1361661(JP,S)
【文献】 実開昭62−191479(JP,U)
【文献】 意匠登録第1456279(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
B43K 1/00
1/02−1/12
5/00−5/02
5/04−5/16
5/18−7/00
7/02−7/03
7/04−8/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を有する誘電性のペン本体と、
当該ペン本体の少なくとも一方の端に固定された導電性のペン先部材と、を有する静電
容量式タッチパネル用スタイラスペンであって、
前記ペン先部材は、
タッチパネルと接触する接触面を有し、
前記接触面は、
複数の接触領域からなり、
タッチパネルに対するペン先部材の角度を変えると、その角度によって異なる接触領域
がタッチパネルと接触するようになっており、
前記接触面の相隣接する接触領域は、稜線で区画され、
各接触領域は、前記ペン先部材の前後方向に曲率を有して湾曲しており、
タッチパネルに対するペン先部材の角度に応じて、それぞれの接触領域の更に一部の領域がタッチパネルに接触するようになっている、静電容量式タッチパネル用スタイラスペン。
【請求項2】
前記ペン本体は、木材、竹材、石材又はプラスチックでできている、請求項1の静電容
量式タッチパネル用スタイラスペン。
【請求項3】
前記ペン先部材は、金属又はプラスチックでできている、請求項1の静電容量式タッチ
パネル用スタイラスペン。
【請求項4】
その使用時にその使用者の人差し指の指先が触れる位置まで前記ペン先部材の基端部が
延在している、請求項1の静電容量式タッチパネル用スタイラスペン。
【請求項5】
前記ペン本体には、前記ペン先部材の基端部を露出させるべくスリットが形成されてい
る、請求項4の静電容量式タッチパネル用スタイラスペン。
【請求項6】
前記ペン先部材の基端部は、前記ペン本体の端部に埋設され、
前記ペン本体の端部には、前記ペン先部材の抜けを防止するべく固定軸が設けられ、
当該固定軸は、前記ペン本体の端部の左右の側面に露出している、請求項1乃至5の何
れかの静電容量式タッチパネル用スタイラスペン。
【請求項7】
前記ペン本体は、上方に凸に湾曲している、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電容量式タッチパネル用スタイラスペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータをタッチインタフェースにより操作するための入力装置に関し、より具体的には、静電容量式タッチパネル用スタイラスペン(以下、単に「スタイラスペン」と記す。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタイラスペンは、そのペン先にゴムやスポンジを使用していた。
【0003】
ゴム製のペン先を使用した従来のスタイラスペンは、静電容量方式タッチパネル(以下、単に「タッチパネル」と記す。)とそのペン先との間に強い摩擦力が働くため、ペン先が滑りにくく、一般的な万年筆やボールペンと比較して書き心地が可成り劣っていた。
【0004】
スポンジ製のペン先を使用した従来のスタイラスペンは、タッチパネルに対するペン先の滑りは良いが、ペン先の耐久性が低いため、短期間の使用でペン先が劣化するという欠点がある。また、書き心地も一般的な万年筆やボールペンと比較して劣る。
【0005】
また、従来のスタイラスペンとして、円筒をその軸を横切るように切断した形状のゴム製のペン先を有するものもあるが、この種のスタイラスペンは、ペン先の端面(切断面)全体をタッチパネルに接触させて使用する必要があるため、非常に書き辛い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−53681号公報
【特許文献2】特開2012−48437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決すべき課題は、書き心地の良いスタイラスペンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスタイラスペンは、両端を有する誘電性のペン本体と、当該ペン本体の少なくとも一方の端に固定された導電性のペン先部材と、を有する。
前記ペン先部材は、タッチパネルと接触する接触面を有する。
前記接触面は、複数の接触領域からなる。
そして、タッチパネルに対するペン先部材の角度を変えると、その角度によって異なる接触領域がタッチパネルと接触するようになっている。
【0009】
前記接触面の相隣接する接触領域は、稜線で区画されていることが望ましい。各接触領域は平坦な面であるよりも、少し丸みを帯びていることが望ましい。
【0010】
前記ペン本体は、木材、竹材、石材又はプラスチックでできている。
【0011】
前記ペン先部材は、金属又はプラスチックでできている。
【0012】
前記ペン先部材の基端部は、スタイラスペンの使用時にその使用者の人差し指の指先が触れる位置まで延在していることが望ましい。この場合、前記ペン本体には、前記ペン先部材の基端部を露出させるべくスリットが形成される。
【0013】
前記ペン先部材の基端部は、前記ペン本体の端部に埋設され、前記ペン本体の端部には、前記ペン先部材の抜けを防止するべく固定軸が設けられ、当該固定軸は、前記ペン本体の端部の左右の側面に露出していることが望ましい。そして、前記ペン本体の端部、前記ペン先部材及び前記固定軸からなる部分の形態が、カモノハシの頭、くちばし及び目を想起させることが望ましい。前記ペン本体は、カモノハシの頭から胴にかけての部分を想起させることが望ましい。
【0014】
また、本発明のスタイラスペンは、前記ペン本体の両端に前記ペン先部材が固定されていることが望ましい。そして、前記ペン本体の一方の端部、当該一方の端部に固定された前記ペン先部材及び前記固定軸からなる部分の形態が、カモノハシの頭、くちばし及び目を想起させることが望ましい。
【0015】
また、本発明のスタイラスペンにおいて、前記ペン本体は、上方に凸に湾曲していることが望ましい。ここで「上方」とは、スタイラスペンの使用時に上に向く側のことである。
【0016】
なお、カモノハシ(Ornithorhynchus anatinus)は、哺乳綱単孔目カモノハシ科カモノハシ属に分類される哺乳類である。現生種では本種のみでカモノハシ科カモノハシ属を形成する。英語の一般名である“platypus”はギリシア語で「平たい」を意味する“πλατ??”と、「足」を意味する“που?”からなるラテン語で、「扁平な足」を意味する
。名前の通りカモのように幅が広く、ゴムのような弾性のあるくちばしを持ち、外見上の大きな特徴の一つとなっている。このくちばしには鋭敏な神経が通っていて、獲物の生体電流を感知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タッチパネルに対するペン先の滑りを向上させて書き心地の良いスタイラスペンを実現することができる。また、ペン先部材に金、銅、真鍮などを使用し、ペン本体に木材、竹材などを使用することにより、高級感があり、使用する程に使用者の手に馴染むスタイラスペンを実現することができる。また、スタイラスペンの外観をカモノハシを想起させる外観とすることで、スタイラスペンに対する使用者の愛着を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す全体斜視図
図2図1に示すスタイラスペンの要部斜視図
図3図1に示すスタイラスペンの要部側面図及びその部分拡大図
図4図1に示すスタイラスペンの要部側面図及びその部分拡大図
図5図1に示すスタイラスペンの要部側面図及びその部分拡大図
図6】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す側面図
図7】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す平面図
図8】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す下面図
図9】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す正面図
図10】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す背面図
図11】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す斜視図
図12】本発明のスタイラスペンの実施形態の一例を示す斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1に示すように、スタイラスペン1は、両端を有する誘電性のペン本体2と、ペン本体2の一方の端に固定された導電性のペン先部材3と、を有する。ペン本体2は、木材でできている。ペン先部材3は、金属でできている。図2に示すように、ペン先部材3は、タッチパネルの表面Pと接触するペン先面を有する。ペン先面は、相隣接する2つの接触領域3A、3Bからなる。接触領域3A、3Bは、稜線(境界線)3Cで区画されている。タッチパネルの表面Pに対するペン先部材3の角度を変えることにより、2つの接触領域3A、3Bの一方をタッチパネルPに接触させることができる。
【0021】
ペン先部材3には、金、銅、真鍮などが使用される。ペン先部材3の基端部は、ペン本体2の端部に埋設されている。ペン本体2の端部には、ペン先部材3の抜けを防止するべく、固定軸6が設けられている。固定軸6は、ペン先部材3と同じ金属でできている。固定軸6は、ペン本体2の端部の左右の側面に露出している。ペン本体2の端部、ペン先部材3及び固定軸6からなる部分の形態が、カモノハシの頭、くちばし及び目を想起させる。ペン本体2は、カモノハシの頭から胴にかけての部分を想起させる。
【0022】
ペン先部材3の基端部は、スタイラスペン1の使用時にその使用者の人差し指の指先が触れる位置まで延在している。ペン本体2には、ペン先部材3の基端部の一部(人体導通部)4を露出させるべくスリットが形成される。ペン先部材3がタッチパネルPに接触している状態で人体導通部4に使用者の指が触れると、使用者の体とタッチパネルPとが電気的に導通するため、ペン先部材3が接触している部分から電荷が放電する。タッチパネルは、その電荷を検出することで、ペン先部材3が触れた位置(タッチ位置)の検出を行う。
【0023】
図2乃至図5に示すように、両接触領域3A、3Bは、いずれも平坦ではなく、ペン先部材3の前後方向に曲率を有して若干湾曲しているため、タッチパネルPに対するペン先部材3の角度(傾き、姿勢)に応じて、それぞれの接触領域3A、3Bの更に一部の領域がタッチパネルPに接触することになる。
【0024】
図3乃至図5中に示すそれぞれの領域について以下に説明する。
【0025】
G:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
H:タッチパネルPに接触していないが、放電が起こる領域
I:タッチパネルPに接触している領域
J:タッチパネルPに接触していないが、放電が起こる領域
K:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
L:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
M:タッチパネルPに接触していないが、放電が起こる領域
N:タッチパネルPに接触している領域
O:タッチパネルPに接触していないが、放電が起こる領域
P:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
Q:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
R:タッチパネルPに接触している領域
S:タッチパネルPに接触していないが、放電が起こる領域
T:タッチパネルPに接触せず、放電が起こらない領域
【0026】
このスタイラスペン1は、ペン本体2の他端にも導電性のペン先部材5が固定されている。この第2のペン先部材5は、第1のペン先部材3とは異なる角度でペン先面がカットされているので2つのペン先部材3、5を使い分けることで、書き心地や入力範囲(線の
太さ)を変えることができる。
【0027】
なお、このスタイラスペン1は、タッチパネル保護用シートとともに提供することが望ましい。ペン先部材3との摩擦係数が各々異なる複数種類のタッチパネル保護用シートを用意しておけば、タッチパネル保護用シートの種類によって、ペン先部材3の滑り具合(書き心地)を選択することが可能となる。
【0028】
また、ペン先部材3のタッチパネルPと接触する部分を塩化ビニール等の薄い保護膜で被覆することで、タッチパネルPを傷つけないようにしてもよい。
【0029】
また、ペン先部材3は、無垢からの削り出しのものや、軽量化やコスト削減の為に空洞になっているもの、また木やプラスチック、革などに金属箔を施したものでもよい。ペン先部材3に金属箔を施したものは、箔が剥がれないように塩化ビニール等の薄い保護膜で被覆しておくことが望ましい。ペン先部材3を塩化ビニールなどの保護膜で覆う場合、その弾性膜自体に電気を通しやすい金属を含有させることで、保護膜を厚くしてもタッチパネルPの感度を鈍らせることなく、且つクッション性を高めることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 スタイラスペン
2 ペン本体
3 第1のペン先部材
3A 接触領域
3B 接触領域
3C 稜線
4 人体導通部
5 第2のペン先部材
P タッチパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12