【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行う前に、被処理物を還元剤を含有する水溶液に接触させた後、水洗を行うことなく、直接、無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行う場合には、各種の金属素材上に、析出性よく、カバーリング性に優れた無電解パラジウムめっき皮膜又は無電解パラジウム合金めっき皮膜を形成する
ことが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は下記の無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの前処理用活性化液、及び該活性化液を用いる無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっき方法を提供するものである。
1. 還元剤を有効成分として含有する水溶液からなる、無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの前処理用活性化液。
2. 還元剤が、次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸塩及びギ酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種である、上記項1に記載の無電解パラジム又はパラジウム合金めっきの前処理用活性化液。
3. 被処理物の処理対象部分が金属材料である、上記項1又は2に記載の無電解パラジム又はパラジウム合金めっきの前処理用活性化液。
4. 上記項1〜3のいずれかに記載の無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの前処理用活性化液を被処理物に接触させた後、水洗を行うことなく、無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行うことを特徴とする無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっき方法。
【0009】
以下、本発明の無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの前処理用活性化液について、具体的に説明する。
【0010】
前処理用活性化液
本発明の無電解パラジウム又はパラジウムめっきの前処理用活性化液は、還元剤を有効成分として含有する水溶液である。
【0011】
還元剤としては、還元作用を有する水溶性化合物であれば、特に限定無く使用できる。特に、自己触媒型の無電解めっき液に配合される還元剤であれば、後工程で用いる無電解パラジウムめっき浴又は無電解パラジウム合金めっき浴に対する悪影響が少ない点から好適であり、後工程で用いる無電解パラジウムめっき浴又は無電解パラジウム合金めっき浴に配合される還元剤と同一の還元剤を用いることが特に好ましい。
【0012】
この様な還元剤の具体例としては、次亜リン酸塩(アンモニウム、カリウム、ナトリウム塩など)、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸塩(アンモニウム、カリウム、アンモニウム塩など)、ギ酸塩(アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩など)等を挙げることができる。これらの還元剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0013】
本発明の活性化液における還元剤の濃度については特に限定はないが、例えば、0.05〜200g/L程度とすることが好ましく、0.1〜150g/L程度とすることがより好ましい。還元剤の濃度が低すぎる場合には、無電解パラジウムめっきの析出性を向上させる効果が十分には発揮されず、一方、還元剤の濃度が高すぎる場合には、特に問題はないが、使用量の増加に見合う効果が得られないので、不経済である。
【0014】
本発明の活性化液のpHについては、特に限定はないが、水洗を行うことなく、引き続き無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行うので、使用するめっき液のpHに近いpH値とすることが好ましい。
【0015】
本発明の活性化液には、該活性化液の特性に悪影響を及ぼさない限り、他の成分が含まれていてもよい。例えば、界面活性剤を添加することによって、被処理物に対する活性化液の濡れ性を向上させて、処理効率を上げることができる。
【0016】
活性化処理方法
(i)被処理物
本発明の活性化液は、金属材料上に無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行う際に、前処理として行う活性化処理に用いるものである。
【0017】
処理対象の金属材料の種類については特に限定はなく、その具体例としては、プリント配線板における銅などの導体回路部分、セラミック基板における銀ペースト、銅ペースト、金ペースト、白金ペースト、タングステンペースト、モリブデンペーストなどによる配線部分、無電解ニッケル/パラジウム/金めっき処理を行う際の無電解ニッケルめっき皮膜などを挙げることができる。
【0018】
(ii)処理工程
本発明の活性化液による活性化処理は、被処理物を本発明の活性化液に接触させるこ
とによって行うことができる。
【0019】
具体的な接触方法については特に限定はなく、例えば、本発明の活性化液を被処理物に噴霧する方法でもよいが、通常は、本発明の活性化液中に被処理物を浸漬する方法によれば、効率のよい処理が可能である。
【0020】
浸漬法によって処理を行う場合には、例えば、20〜80℃程度の活性化液中に、被処理物を30秒〜10分程度浸漬すればよい。
【0021】
尚、被処理物については、本発明の活性化液による処理に先立って、通常の前処理を行うことができる。例えば、必要に応じて、脱脂、エッチングなどの処理を行うことができる。また、無電解パラジウムめっきに対して触媒活性のない金属を被処理物とする場合には、センシタイザー・アクチベーター法、キャタリスト法などの公知の方法によって、Pd等の触媒を付与した後、本発明の活性化液による活性化処理を行えばよい。
【0022】
(iv)無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっき工程
上記した方法で本発明の活性化液による活性化処理を行った後、水洗を行うことなく、直接、無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行う。これにより、良好な析出性でカバーリング性に優れたパラジウム又はパラジウム合金めっき皮膜を形成することができる。また、本発明の活性化液を用いることによって、銅素材上に直接無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行う際にも、良好なパラジウム又はパラジウム合金めっき皮膜を形成することができる。
【0023】
この方法で形成される無電解パラジウムめっき皮膜又はパラジウム合金めっき皮膜は、従来の方法で得られる皮膜と比較して、ピンホールが少ない良好なめっき皮膜であり、はんだ接合強度が高い皮膜となる。銀ペーストや銅ペーストによる導体回路を形成したセラミック基板に処理を行う場合にも、良好な析出性やはんだ接合強度を得ることが出来る。
【0024】
本発明において使用できる無電解パラジウムめっき浴及び無電解パラジウム合金めっき浴の種類については特に限定はなく、還元剤を含有する自己触媒型の無電解パラジウムめっき浴又は無電解パラジウム合金めっき浴であればよい。還元剤の種類についても特に限定はなく、次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸塩、ギ酸塩等を還元剤として含む公知の無電解パラジウムめっき浴又は無電解パラジウム合金めっき浴を用いることができる。パラジウム合金としては、例えば、Pd−P、Pd−B、Pd−Ni等を挙げることができる。
【0025】
無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの条件については、特に限定
はなく、具体的に使用するめっき浴の組成に応じて、公知の条件から適宜決めればよい。
【0026】
無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきを行った後、必要に応じて、公知の方法に従って、例えば、無電解金めっき処理などを行うことができる。