特許第5990799号(P5990799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5990799原子力発電所を再利用した太陽光発電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990799
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】原子力発電所を再利用した太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 6/00 20060101AFI20160901BHJP
   F24J 2/08 20060101ALI20160901BHJP
   G21C 19/02 20060101ALI20160901BHJP
   F24J 2/38 20140101ALI20160901BHJP
【FI】
   F03G6/00 501
   F24J2/08
   G21C19/02 J
   F24J2/38
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-270766(P2012-270766)
(22)【出願日】2012年11月24日
(65)【公開番号】特開2014-105700(P2014-105700A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】391060524
【氏名又は名称】有限会社手島通商
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】手島 浩光
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−64196(JP,U)
【文献】 特開昭62−242899(JP,A)
【文献】 特開昭64−52961(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第2479862(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 6/00
F24J 2/08
G21C 19/02
E04G 23/00−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の原子力発電所の原子炉に設置されている炉の上部を加工して開口させた前記炉の中央に前記炉内下部水域から前記炉上に達する耐熱加熱棒を配置し、前記炉の最上端部で前記耐熱加熱棒と前記炉の間を耐熱材で密封し、前記炉の最上端部より上方に突出した前記耐熱加熱棒の周囲を下方が大径の貫通孔を形成した筒状の耐熱内壁ミラーボックスで囲むとともに前記耐熱加熱棒の円錐形の上部先端を露出させ、集光手段により集光した太陽光熱を前記耐熱加熱棒の上部先端に焦射して前記耐熱加熱棒を加熱することで前記炉内下部水域の水を加熱して水蒸気に変え、前記水蒸気によって蒸気タービンを回し、前記蒸気タービンに接続された発電機により発電を行うことを特徴とする原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【請求項2】
前記集光手段が集光レンズと、ガイドレールとを有し、前記原子力発電所に架設された前記集光レンズの焦点距離を半径とする半円形状の前記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられた前記集光レンズにより、太陽の移動に合わせ、常に前記集光レンズにより集光した太陽光熱の焦点を前記耐熱加熱棒の上部先端に位置させるものであることを特徴とする請求項1記載の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【請求項3】
前記集光手段の前記ガイドレールが二本のガイドレールであるとともに、前記集光レンズが前記ガイドレール間に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【請求項4】
前記集光手段が前記ガイドレールに沿って前記集光レンズとともに移動可能に前記ガイドレール間に架設された二本のサイドレールを有し、前記サイドレールの長さ方向に前記集光レンズを移動可能としたことを特徴とする請求項3記載の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【請求項5】
前記集光手段が前記集光レンズの上下および角度のうち少なくとも一方を調整可能な微調整部材を有することを特徴とする請求項3または4記載の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【請求項6】
保温設備により日照のない時間帯でも炉内部および炉周辺の温度を保温できることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の原子力発電所を再利用した太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の事故、老朽化、地域環境諸条件により世界中でその可否賛否両論の渦中、特に国土の狭い平野の少ない、その上自然災害の多い我が国では、問題が山積となっていることが実情であり、エネルギー問題と原子力は火急の最大課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エネルギー問題は人類にとって究極のテーマと言える必須課題である。現在の核燃料棒の核分裂反応による熱エネルギーを利用して発電するシステムは放射能という人類が未だ解決できていない、最も有害な物質と隣り合わせであるために、事故、災害のたびに、その脅威にさらされ、不可欠のエネルギーと、あってはならない災害のはざ間で、大変な問題になりつつあるのが実情である。
【0004】
核燃料を使用するかぎり、その脅威は膨張するばかりで決して減少することはなく、核燃料のリサイクルも研究されているが未解決で、使用後にも放射能の脅威が残存するという最大の課題も上積みされるという過酷な重大な問題を解決する必要がある。
【0005】
そこで、原子炉内で核燃料棒の核分裂反応の熱エネルギーで水蒸気を発生させ蒸気タービンを回転させ、その回転力を発電機に伝達し発電するこのメカニズムを、核燃料棒の代わりに太陽光熱を集光して耐熱加熱棒に焦射して、炉内の水を熱して水蒸気を発生させる方法で原子力発電所の施設を原子炉ごとそのまま活用利用して発電できる仕組みが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためになされた本発明である原子力発電所を再利用した太陽光発電装置は、既存の原子力発電所の原子炉に設置されている炉の上部を加工して開口させた前記炉の中央に前記炉内下部水域から前記炉上に達する耐熱加熱棒を配置し、前記炉の最上端部で前記耐熱加熱棒と前記炉の間を耐熱材で密封し、前記炉の最上端部より上方に突出した前記耐熱加熱棒の周囲を下方が大径の貫通孔を形成した筒状の耐熱内壁ミラーボックスで囲むとともに前記耐熱加熱棒の円錐形の上部先端を露出させ、集光手段により集光した太陽光熱を前記耐熱加熱棒の上部先端に焦射して前記耐熱加熱棒を加熱することで前記炉内下部水域の水を加熱して水蒸気に変え、前記水蒸気によって蒸気タービンを回し、前記蒸気タービンに接続された発電機により発電を行うことを特徴とする。
【0007】
また、前記集光手段が集光レンズと、ガイドレールとを有し、前記原子力発電所に架設された前記集光レンズの焦点距離を半径とする半円形状の前記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられた前記集光レンズにより、太陽の移動に合わせ、常に前記集光レンズにより集光した太陽光熱の焦点を前記耐熱加熱棒の上部先端に位置させるものであることで、どの位置からも太陽光熱集光レンズの焦点が炉の中央に配備した耐熱加熱棒の上部先端を焦射し、炉内の水を熱し蒸気を発生させる構造である。
【0008】
更に、前記ガイドレールが二本のガイドレールであるとともに、前記集光レンズが前記ガイドレール間に取り付けられており、前記ガイドレールに沿って前記集光レンズとともに移動可能に前記ガイドレール間に架設された二本のサイドレールを有し、前記サイドレールの長さ方向に前記集光レンズを移動可能としたものであると、四季ごとの太陽の高さに合わせて実施可能であり、特に望ましい。
【0009】
更にまた、前記集光手段が前記集光レンズの上下および角度のうち少なくとも一方を調整可能な微調整部材を有する場合、本発明にかかる設備の設置時及び設置後に前記集光レンズの焦点位置の微調整が可能であり、特に望ましい。
【0010】
なお、日照時間外でも炉内部および炉周辺の温度を保温できる保温設備を有することで、次の日照時間へ備えることができる。
【0011】
すなわち、原子力発電所は、原子炉内で核燃料棒の核分裂反応で発生する高熱エネルギーで水を水蒸気に変え、蒸気タービンを回転させその回転力で発電機を回し発電し、蒸気タービンを通った水蒸気を冷やし水にして原子炉に戻すものであるので、この循環系統の設備をそのまま利用活用する事を本発明の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明の発電装置は既設の原子力発電所の施設をそのまま活用利用して、再生可能なエネルギーである太陽光発電装置に転換する画期的な方法である。
【0013】
原子炉内の核燃料棒、核分裂反応制御棒及び放射能性成分の完全撤去浄化の上、その全施設を有効に利用して四季を通じて日照のあるかぎり、朝から夕へ太陽光熱だけを活用して発電するという、防災・エネルギー確保・環境保全・安心安全安価のこの上ないリサイクルの模範でもある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態を示す図。
図2】本発明の実施の形態における集光レンズの作用を示す斜視説明図。
図3】本発明の実施の形態における集光レンズが朝夕の時間帯、夏・秋春・冬の季節の変動に対応してガイドレールを移動する仕組みを示す斜視説明図。
図4】本発明の実施の形態における集光レンズが朝夕の時間帯、夏・秋春・冬の季節の変動に対応してガイドレールを移動する仕組みを示す側面説明図。
図5】本発明の実施の形態における集光レンズが朝夕の時間帯、夏・秋春・冬の季節の変動に対応してガイドレールを移動する仕組みを示す平面説明図。
図6】本発明の実施の形態における集光レンズの東西方向の移動を示す北側から見た側面概略図。
図7】本発明の実施の形態を示す北側から見た上部側面概略図。
図8】本発明の実施の形態における集光レンズの南北方向の移動を示す西側から見た側面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1図8に基づいて説明する。
【0016】
既存の原子力発電所の建屋H内に配置された既設の原子炉内の核燃料棒、核分裂反応制御棒を撤去し施設の放射能性成分を完全浄化し、炉1の上部11を加工して開口させた前記炉1の中央に炉内下部水域12から前記炉1上に達する耐熱加熱棒2を配置し、前記炉1の最上端部で前記耐熱加熱棒2と前記炉1の間を強固な耐熱材13で密封する。
【0017】
耐熱加熱棒2は、高温加熱耐熱材で形成され、円錐形の上部先端21を集光レンズ3で集光した焦点で熱しその熱を炉1内の水に伝導するためのもので、炉内下部水域12に浸かる部分は表面積を増加した熱効率を向上した形状で、炉1から上の部分に位置する上部先端21は、下方が大径の貫通孔を形成し前記貫通孔の内側が強固な耐熱ミラー壁になっており光熱が外部に逃げない構造の筒状の耐熱内壁ミラーボックス4で囲われている。
【0018】
なお、炉1周辺及び炉1内温度を日照時間外には保温できるように保温設備を設けることで、次の日照時間へ備えることができる。
【0019】
図1で示すように、どの位置からも集光レンズ3の焦点が炉1の中心に配備した耐熱加熱棒2の上部先端21に焦射し、耐熱加熱棒2を加熱することで炉1内の水を熱し水蒸気を発生させる構造である。
【0020】
炉1の通水蒸気管、蒸気タービン、冷却水循環、給排水管及び周辺部材施設は放射能性成分一掃した上で、充分な加工修正して能力に応じた設備にする。
【0021】
通水蒸気管51を介して前記水蒸気を既設の蒸気タービン52へ導入して前記蒸気タービン52を回転させその回転力で既設の発電機53を回し発電し、蒸気タービン52を通った水蒸気は冷やして水にして前記炉内下部水域12へ戻す。
【0022】
集光レンズ3を含む集光手段Dが、朝昼夕季節を通じて常に炉1の中央にある耐熱加熱棒2の上部先端21に、太陽光熱(符号C)を集光した焦点を焦射しながら南北東西四方に、太陽方向に向けて、炉1中央の耐熱加熱棒2から等距離を追跡移動できるように、集光レンズ3とその焦点までの距離を半径とするそれぞれ二本の同心半円状で平行なガイドレール6,7を配備する。
【0023】
炉1の南側の半円状のガイドレール6は、炉の南側東西方向、真冬の太陽方向(符号B)に集光レンズ3が充分移動できる位置で、炉1の中央に設置した耐熱加熱棒2の上部先端21から集光レンズ3の焦点距離を半径とする軌道上に合致するように設置する。炉1の北側の半円状のガイドレール7は、炉1の北側東西方向、真夏の太陽方向(符号A)に集光レンズ3が充分移動できる位置で、炉1の中央に設置した耐熱加熱棒2の上部先端21から集光レンズ3の焦点距離を半径とする軌道上に合致するように設置する。
【0024】
集光レンズ3の両サイドに設けた二本の平行なサイドレール8,9を含む集光レンズ3が可動できるように取り付けた集光手段Dは、集光レンズ3からその焦点までの距離を半径とした二本の平行な同心弧状形で炉1の中央の耐熱加熱棒2の上部先端21に常時何処の位置からでも集光レンズ3の焦点が当たるように取り付け設置する。集光レンズ3が可動できるように取り付け部材31,31および微調整部材32,32を介して取り付けた二本の弧状のサイドレール8,9の両端(符号L,M)を東西に跨る二本の半円状のガイドレール6,7に可動できるように取り付け、図7図8で示すように、四季を通じて日照時間帯、集光レンズ3がその焦点を炉1の中央の耐熱加熱棒2の上部先端21に当て、焦射し熱することができる。
【0025】
本発明において集光手段Dは集光レンズ3と、二本の半円状のガイドレール6,7と、二本の弧状のサイドレール8,9と、前記集光レンズ3を両側から保持し、サイドレール8,9に取り付けるための取り付け部材31,31と、前記集光レンズ3を両側から軸支し、上下(焦点からの距離)および角度を微調整するための微調整部材32,32とからなる。
【0026】
図5図7図8で示すように、炉1を中心に東西に跨る半円状のガイドレール6,7および二本の平行な南北方向のサイドレール8,9を通じて夏秋春冬と季節ごとに南北移動(符号F)して、毎日、朝東から昼中央そして夕方西に朝日から夕日まで太陽を追跡して東西移動(符号G)して、集光レンズ3の焦点を炉1の中央に配置された耐熱加熱棒2の上部先端21に焦射して加熱する構造になっている。
【0027】
なお、炉1を中心に東西に跨る半円状のガイドレール6,7は複数の補強支柱61および補強支柱71によって支持されている。
【0028】
集光レンズ3、耐熱加熱棒2は既存原子力発電所の原子炉、日照条件に合致した規模で炉内水域12、形状に応じて耐熱加熱棒2の形状規模を設定し、熱効率水蒸気発生率の高いものを選定する。
【0029】
日照太陽光熱が唯一のエネルギー源であるので、既存原子力発電所の設備位置・環境・場所において、環境整備の必要が生じるので、従前の原子力との比ではないが、適材適所調整する。
【符号の説明】
【0030】
1 炉
11 上部
12 炉内水域
13 耐熱材
2 耐熱加熱棒
21 上部先端
3 集光レンズ
31 取り付け部材
32 微調整部材
4 耐熱内壁ミラーボックス
51 通水蒸気管
52 蒸気タービン
53 発電機
6 ガイドレール
61 補強支柱
7 ガイドレール
71 補強支柱
8 サイドレール
9 サイドレール
A 夏時期の太陽光
B 冬時期の太陽光
C 太陽光熱(日照)
D 集光手段
F 集光レンズが南北に移動する軌道
G 集光レンズが東西に移動する軌道
H 既存原子力発電所の建屋設備
L,M サイドレールの両端
N 北方角
S 南方角
E 東方角
W 西方角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8