(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機薄膜の表面を、前記長尺積層体の搬送方向下流側から搬送方向上流側へ斜め下がりに傾斜させて、前記長尺積層体を搬送する、請求項2に記載の耐水性有機薄膜の製造方法。
前記有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を、前記長尺積層体の搬送方向又はその方向とは反対の方向に流動させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐水性有機薄膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[耐水性有機薄膜の製造方法の概要]
本発明の製造方法は、有機薄膜を有する長尺積層体の少なくとも有機薄膜を、耐水化処理液に接触させる耐水化工程と、前記長尺積層体の少なくとも有機薄膜の表面を洗浄する洗浄工程と、前記耐水化工程と洗浄工程の間に設けられ、前記長尺積層体を耐水化工程から洗浄工程へと搬送する搬送工程と、を有する。本発明の耐水性有機薄膜の製造方法は、耐水化工程、搬送工程及び洗浄工程を有していることを条件として、任意の他の工程を有していてもよい。例えば、前記耐水化工程の前には、有機薄膜を形成する製膜工程を有していてもよい。
本発明は、前記搬送工程において、前記有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を、前記有機薄膜の表面に対して流動させながら前記長尺積層体を搬送することを特徴とする。
なお、本明細書において、「XXX〜YYY」の記載は、「XXX以上YYY以下」を意味する。
【0014】
図1は、本発明の耐水性有機薄膜の製造装置の概略参考図である。
耐水性有機薄膜の製造装置1は、製膜工程を行う製膜部(図示せず)と、耐水化工程を行う耐水化処理部3と、洗浄工程を行う洗浄部4と、を少なくとも有する。
【0015】
前記長尺は、一方向(搬送方向)の長さがそれと直交する方向に比して十分に長い形状を意味する。長尺は、例えば、前記一方向の長さが10m以上、好ましくは300m以上である。
本発明においては、長尺基材を用いることにより、ロールツゥロール方式で耐水性有機薄膜を製造できる。ただし、本発明は、ロールツゥロール方式で耐水性有機薄膜を製造する場合に限定されるわけではない。
以下、適宜な図面を参照しつつ、各工程を具体的に説明する。
【0016】
[製膜工程]
製膜工程は、長尺基材の上に有機薄膜を形成することにより、長尺積層体を得る工程である。
例えば、ロールに巻き取られた長尺基材を引き出し、それを製膜部に搬送する。
長尺基材は、回転ローラなどを用いて、搬送方向上流側から下流側へと搬送される。
【0017】
製膜部に搬送された長尺基材の上に、塗工装置により、コーティング液を塗工する。
コーティング液を塗工することにより、長尺基材の表面上に、塗膜が形成される。
前記塗膜を、必要に応じて、乾燥装置により乾燥する。なお、コーティング液を塗工後、長尺基材を搬送している間に前記塗膜が自然乾燥して固化する場合には、前記乾燥装置による乾燥は省略される。前記乾燥後の塗膜が、有機薄膜である。従って、製膜部から下流側においては、長尺基材とその表面に積層された有機薄膜とを有する長尺積層体が搬送されていく。
【0018】
前記長尺基材は、特に限定されず、従来公知の基材を用いることができる。前記長尺基材としては、ポリマーフィルムなどが挙げられる。
前記ポリマーフィルムとしては、特に限定されないが、透明性に優れているフィルム(例えば、ヘイズ値5%以下)が好ましい。
前記長尺基材の厚みは、強度などを考慮して適宜に設定できる。薄型軽量化の観点から、前記長尺基材の厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましくは5μm〜200μm、特に好ましくは10μm〜100μmである。
前記長尺基材の表面(コーティング液を塗工する面)は配向規制力を有していてもよい。その配向規制力は、長尺基材の表面に配向処理を施すことで形成できる。前記配向処理としては、ラビング処理などの機械的配向処理、光配向処理などの化学的配向処理などが挙げられる。
【0019】
前記コーティング液は、有機薄膜の形成材料と、その材料を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。
前記有機薄膜の形成材料及び溶媒は、特に限定されず、それぞれ従来公知のものを用いることができる。
【0020】
好ましくは、前記形成材料としては、下記に示すようなアニオン性基を有する有機色素を用いることができ、前記溶媒としては、水系溶媒を用いることができる。
前記水系溶媒は、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒の混合溶媒などが挙げられる。親水性溶媒は、水と均一に溶解させることができる溶媒である。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0021】
前記有機色素は、例えば、下記一般式(I)又は一般式(II)で表されるアゾ化合物が好ましい。
【0024】
前記一般式(I)及び(II)において、Q
1は、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Q
2は、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、Aは、アニオン性基を表し、Mは、前記アニオン性基の対イオンを表し、Rは、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基を表し、kは、0〜4の整数を表し、lは、0〜4の整数を表す。ただし、k+l≦5である。なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は置換基で置換されていない」ことを意味する。
【0025】
前記一般式(I)又は(II)で表されるアゾ化合物は、その分子中にアニオン性基を2個以上有し、ナフチル基の2個のアニオン性基(式のA)はメタ位で結合している。
前記Q
1又はQ
2で表されるアリール基又はアリーレン基は、置換基を有していても、或いは、置換基を有していなくてもよい。Q
1又はQ
2で表されるアリール基又はアリーレン基が、置換若しくは無置換のいずれの場合でも、一般式(I)又は(II)のアゾ化合物は、吸収二色性を示す。
【0026】
前記アリール基又はアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、ジヒドロキシプロピル基、フェニルアミノ基、−OM、−COOM、−SO
3M、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基などが挙げられる。好ましくは、前記置換基としては、ニトロ基、又は−SO
3M基などのアニオン性基である。なお、Mは、対イオンを表す。
また、一般式(I)及び(II)のRの炭素数1〜3のアルキル基、ベンゾイル基又はフェニル基が置換基を有する場合、その置換基としては、上記アリール基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
【0027】
前記アリール基としては、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記アリーレン基としては、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が縮合した縮合環基が挙げられる。
前記一般式(I)及び(II)のQ
1は、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、さらに好ましくはパラ位に置換基を有するフェニル基である。
前記一般式(II)のQ
2は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、さらに好ましくは置換若しくは無置換の1,4−ナフチレン基である。
【0028】
また、一般式(I)及び(II)のAは、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩基などである。前記Aは、好ましくは、スルホン酸基又はスルホン酸塩基であり、さらに好ましくは、スルホン酸塩基である。
前記一般式(I)及び(II)のMは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、又は金属イオンである。なお、前記一般式(I)又は(II)で表されるアゾ化合物を含む有機薄膜に耐水化処理を行った後には、前記一般式(I)又は(II)のMの一部又は全部は、耐水化処理液由来のカチオン種となる。
【0029】
前記一般式(I)及び(II)のRは、好ましくは、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
さらに、前記一般式(I)及び(II)のkは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0〜1の整数である。一般式(I)及び(II)のlは、好ましくは0〜2の整数であり、さらに好ましくは0〜1の整数である。
【0030】
前記有機色素は、より好ましくは下記一般式(III)で表されるアゾ化合物である。
【0032】
前記一般式(III)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、又は−SO
3M基を表す。
一般式(III)のR及びMは、前記一般式(I)のR及びMと同様である。
なお、一般式(III)のXの炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基が置換基を有する場合、その置換基としては、前記アリール基の説明欄で例示した置換基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(III)のXは、好ましくは、水素原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、さらに好ましくはニトロ基である。
【0033】
上記一般式(I)〜(III)で表されるアゾ化合物は、例えば、次の方法で得ることができる。アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体とを、常法によりジアゾ化及びカップリング反応させてモノアゾ化合物を得る。このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、これをアミノナフトールジスルホン酸誘導体とカップリング反応させる。
【0034】
上記有機色素及び溶媒以外のほか、例えば、上記特許文献1乃至4に開示された有機色素及び溶媒を用いることもできる。本願で用いることができる前記各文献の有機溶媒などをここに記載したものとみなして、本明細書では、それらの記載を省略する。
【0035】
前記コーティング液は、有機色素が溶媒中で超分子を形成するので、液晶相を示す。液晶相は、特に限定されず、ネマチック液晶相、ミドル相、スメクチック液晶相、コレステリック液晶相、又はヘキサゴナル液晶相などが挙げられる。前記液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
前記アゾ化合物のような有機色素は、溶媒に溶解したとき、超分子を形成している(つまり、前記コーティング液中において、有機色素は超分子を形成している)。この有機色素を含むコーティング液を所定方向に流延すると、前記超分子に剪断応力が加わる。その結果、前記超分子の長軸が流延方向に配向した塗膜を形成することができる。得られた有機薄膜は、有機色素が所定方向に配向しているため、良好な吸収二色性を示す。
特に、前記一般式(III)で表されるアゾ化合物は、2個以上の−SO
3M基が隣接していない。よって、前記アゾ化合物は、−SO
3M基同士の立体障害が小さい。このため、耐水化処理前後において、前記アゾ化合物が直線的に配向することによって、偏光度の高い偏光子を得ることができる。
【0036】
前記コーティング液中における有機色素の濃度は、液晶相を示す濃度に調製することが好ましい。具体的には、前記有機色素の濃度は、好ましくは0.5質量%〜50質量%である。このような濃度範囲の一部で、前記コーティング液は、液晶相を示し得る。
また、コーティング液のpHは、好ましくはpH4〜10程度、さらに好ましくはpH6〜8程度に調製される。
【0037】
さらに、前記コーティング液には、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤、各種ポリマーなどが挙げられる。コーティング液中における添加剤の濃度は、好ましくは0を超え10質量%以下である。また、コーティング液には、界面活性剤が添加されていてもよい。
【0038】
上述のように、前記コーティング液を所定方向に流延すると、前記超分子に剪断応力が加わる。その結果、前記超分子が配向した塗膜を形成することができる。この塗膜を乾燥することにより、長尺基材とその上に積層された有機薄膜とを有する長尺積層体が得られる。
前記有機薄膜の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜10μmである。
【0039】
上記で例示したような可視光領域において吸収能を有する有機色素を用いた場合には、その有機色素を含む有機薄膜は偏光子として利用できる。可視光領域において実質的に吸収能を有しない又は吸収能が小さい有機色素を用いた場合には、その有機色素を含む有機薄膜は位相差フィルムとして利用できる。
本発明の有機薄膜が偏光子である場合、例えば、可視光領域(波長380nm〜780nm)の少なくとも一部の波長において二色性を示す。
前記有機薄膜の透過率は、35%以上であり、好ましくは36%以上であり、さらに好ましくは37%以上である。
【0040】
[耐水化工程]
耐水化工程は、前記製膜工程によって得られた有機薄膜に耐水性を付与する工程である。耐水化工程においては、前記長尺積層体の少なくとも有機薄膜の表面に、耐水化処理液を接触させる。
なお、前記製膜工程によって得られた長尺積層体を、引き続いて耐水化工程を行ってもよいし、或いは、前記製膜工程によって得られた長尺積層体を、一旦ロールに巻き取り、その後、そのロールから長尺積層体を引き出して耐水化工程を行ってもよい。
【0041】
前記有機薄膜を耐水化処理液に接触させる方法は、特に限定されない。前記接触方法としては、(A)有機薄膜の表面に耐水化処理液を塗布する、(B)耐水化処理液が満たされた浴中に長尺積層体を浸漬する、(C)耐水化処理液が満たされた浴中に長尺積層体を通過させる、などの方法が挙げられる。前記(A)の耐水化処理液の塗布は、適宜なコータ、又は、スプレーなどを用いて実施できる。
これらの中では、前記(B)長尺積層体を耐水化処理液中に浸漬する、又は、前記(C)長尺積層体を耐水化処理液中に通過させる、の何れかの方法が好ましい。この方法によれば、有機薄膜全体に耐水化処理液を確実に接触させることができる。また、この方法によれば、有機薄膜内に耐水化処理液が浸透し易くなる。
耐水化処理直後の長尺積層体の有機薄膜の表面が十分に湿潤となるように、前記耐水化処理液を有機薄膜中に十分に浸透させることが好ましい。特に、前記(B)又は(C)の方法によれば、耐水化処理液を有機薄膜中に十分に浸透させることができ、さらに、処理浴から長尺積層体を出した直後には、十分な量の処理液で表面が湿った有機薄膜を得ることができる。
【0042】
ここで、
図1を参照して、
図1においては、前記(C)の方法に従って耐水化処理を行う場合を示している。
前記製膜工程で得られた、有機薄膜を有する長尺積層体6は、耐水化処理液が満たされた処理浴31に搬送される。前記処理浴31の中を長尺積層体6が通ることにより、有機薄膜の表面及び長尺基材の裏面に耐水化処理液が接触する。
前記長尺積層体は、回転ローラ7a,7b,7c,7d,7e,7f,7g,7h,7iによって搬送方向上流側から下流側へと搬送される。
【0043】
前記耐水化処理液は、特に限定されず、従来公知なものを用いることができる。前記耐水化処理液は、例えば、前記有機色素を架橋する機能を有する架橋剤と、その架橋剤を溶解又は分散する溶媒と、を含む。
前記架橋剤及び溶媒としては、例えば、上記特許文献1に開示された架橋剤及び溶媒を用いることができる。特許文献1に開示された架橋剤は、有機窒素化合物であり、溶媒は、水系溶媒である。前記有機窒素化合物としては、特許文献1に記載のように、その分子中に2個以上のカチオン性基(好ましくは、窒素原子を含むカチオン性基)を有する非環式の有機窒素化合物などが挙げられる。前記非環式の有機窒素化合物(非環式の脂肪族窒素化合物)としては、例えば、アルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン又はその塩;アルキレントリアミンなどの脂肪族トリアミン又はその塩;アルキレンテトラアミンなどの脂肪族テトラアミン又はその塩;アルキレンペンタアミンなどの脂肪族ペンタアミン又はその塩;アルキレンエーテルジアミンなどの脂肪族エーテルジアミン又はその塩などが挙げられる。前記水系溶媒としては、上記コーティング液の欄で例示したものを用いることができる。
【0044】
本願においては、特許文献1に開示された架橋剤(有機窒素化合物)及び溶媒以外のほか、例えば、上記特許文献2乃至4に開示された架橋剤などを用いることもできる。本願で用いることができる前記各文献の架橋剤などをここに記載したものとみなして、本明細書では、それらの記載を省略する。
前記耐水化処理液中における架橋剤の濃度は、好ましくは1質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜30質量%である。
前記耐水化処理液に有機薄膜を接触させると、前記有機薄膜中の有機色素間が架橋剤を介して架橋される。前記架橋により、耐水性及び機械的強度に優れた耐水性有機薄膜が得られる。
【0045】
[搬送工程]
搬送工程は、耐水化処理後の長尺積層体を、洗浄工程に搬送する工程である。
前記搬送工程は、耐水化工程と洗浄工程の間に設けられている。
【0046】
前記搬送工程において、長尺積層体を耐水化工程から洗浄工程へと搬送する際、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を、前記有機薄膜の表面に対して流動させる。好ましくは、前記有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を、前記長尺積層体の搬送方向に流動させる又は搬送方向とは反対の方向に流動させる。
なお、前記長尺積層体を耐水化工程から洗浄工程へと搬送する間の全ての区間で、前記耐水化処理液を流動させるようにしてもよいし、或いは、前記搬送する間の一部の区間で、前記耐水化処理液を流動させるようにしてもよい。つまり、前記長尺積層体を耐水化工程から洗浄工程へと搬送する間に、前記耐水化処理液を流動させない区間が含まれていてもよい。
【0047】
前記長尺積層体の搬送速度は、特に限定されず、適宜設定できる。生産効率を考慮すると、長尺積層体の搬送速度は、好ましくは3m/分以上であり、より好ましくは5m/分以上である。また、長尺積層体の搬送速度は、好ましくは30m/分以下であり、より好ましくは25m/分以下である。長尺積層体の搬送速度が余りに早すぎると、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液が良好に流動しないおそれがある。
【0048】
前記耐水化処理液を流動させながら長尺積層体を搬送する方法は、特に限定されず、例えば、自発的に耐水化処理液を流動させながら長尺積層体を搬送してもよいし、或いは、強制的に耐水化処理液を流動させながら長尺積層体を搬送してもよい。
前記自発的に耐水化処理液を流動させて長尺積層体を搬送する方法としては、例えば、長尺積層体(有機薄膜)を傾斜させて搬送することなどが挙げられる。
前記強制的に耐水化処理液を流動させて長尺積層体を搬送する方法としては、例えば、有機薄膜の表面に風を当てながら長尺積層体を搬送することなどが挙げられる。
これらの方法の中の1つの方法を単独で又は2つ以上の方法を併用してもよい。
【0049】
比較的簡単に耐水化処理液を流動させることができることから、長尺積層体を傾斜させてそれを搬送する、又は/及び、有機薄膜の表面に風を当てながら長尺積層体を搬送することが好ましい。
【0050】
ここで、
図1及び
図2を参照して、前記処理浴31から引き出された長尺積層体6は、洗浄浴41へと搬送される。
具体的には、前記有機薄膜を有する長尺積層体6は、処理浴31から上方に引き上げられた後、第1回転ローラ7dにて搬送方向下流側に向けられ、さらに、第2回転ローラ7eにて下方に向けられ、洗浄浴41に導入される。処理浴31から引き出された長尺積層体6の有機薄膜の表面には、耐水化処理液が付着している。
前記長尺積層体6を処理浴31から洗浄浴41に搬送する途中において(図示例では、第1回転ローラ7dから第2回転ローラ7eの間において)、長尺積層体6は、その有機薄膜が水平面Hに対して傾斜するように搬送される。
【0051】
水平面Hに対して傾斜するように前記長尺積層体6を搬送することにより、有機薄膜の表面に残存した耐水化処理液が、その傾斜に従い、有機薄膜の表面に対して流動する。
前記有機薄膜の表面の、水平面Hに対する傾斜角αは、特に限定されず、適宜設定できる。有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を良好に流動させるために、前記有機薄膜の表面の、水平面Hに対する傾斜角αは、例えば、1度〜45度であり、好ましくは1度〜20度であり、より好ましくは1度〜10度である。
【0052】
前記搬送工程において、前記長尺積層体6は、搬送方向下流側から搬送方向上流側へ斜め下がりに傾斜させてもよいし、或いは、搬送方向下流側から搬送方向上流側へ斜め上がりに傾斜させてもよい。
搬送方向下流側から上流側へ斜め下がりに長尺積層体6を傾斜させながら搬送した場合には、前記有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液が、長尺積層体6の搬送方向Aとは反対の方向に流動する。なお、前記搬送方向Aとその反対方向は、180度逆方向である。
搬送方向下流側から上流側へ斜め上がりに長尺積層体6を傾斜させながら搬送した場合には、前記有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液は、長尺積層体6の搬送方向Aに流動する。
【0053】
好ましくは、
図1に示すように、長尺積層体6は、搬送方向下流側から搬送方向上流側へ斜め下がりに傾斜させながら搬送される。下流側へ斜め上がりに搬送することにより、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液が処理浴31側へと流動するので、耐水化処理液が洗浄浴41に混入することを抑制できる。
【0054】
さらに、前記長尺積層体6を処理浴31から洗浄浴41に搬送する途中において、有機薄膜の表面に風を吹き付けてもよい。前記風の吹き付けは、強制的な気体の流れをいう。なお、長尺積層体6の搬送に伴って有機薄膜の表面に作用する気体の流れは、前記風の吹き付けに該当しない。
【0055】
前記風の吹き付けは、例えば、送風装置8を用いて実施される。前記送風装置8としては、特に限定されず、例えば、エアブロワーなどを用いることができる。
前記風の主成分は、大気であってもよいし、或いは、酸素、窒素及びヘリウムなどの特定の気体であってもよい。
【0056】
風の向きは、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、搬送方向上流側を風上とし、その風を搬送方向下流側に向かって有機薄膜の表面に吹き付けてもよいし、或いは、搬送方向下流側を風上とし、その風を搬送方向上流側に向かって有機薄膜の表面に吹き付けてもよい。
好ましくは、
図1に示すように、風は、長尺積層体6の搬送方向下流側から搬送方向上流側に向かって吹き付けられる。下流側に向けて風を吹き付けることにより、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液が処理浴側へと流動するので、耐水化処理液が洗浄浴に混入することを抑制できる。この場合、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液は、長尺積層体6の搬送方向Aとは反対の方向に主として流動する。
【0057】
なお、
図1及び
図2において、白抜き矢印Aは、上述のように、長尺積層体の搬送方向を示し、黒塗り矢印Bは、風の向きを示し、細矢印Cは、有機薄膜の表面上の耐水化処理液の流動方向を示す。
【0058】
風を吹き付ける位置は、特に限定されず、適宜設定できる。好ましくは、風は、
図1に示すように、洗浄浴41寄りの位置から有機薄膜の表面に吹き付けられ、より好ましくは、洗浄浴41に導入される直前の位置から有機薄膜の表面に吹き付けられる。
【0059】
風を吹き付ける場合には、
図2に示すように、長尺積層体6の幅方向全体に亘って風を吹き付けることが好ましく、特に、長尺積層体6の幅方向全体に亘り且つ略均一な風量で吹き付けることがより好ましい。前記有機薄膜の表面に、局所的な風が当たる又は風量の異なる風が当たると、耐水化処理液の流動が不均一になるおそれがある。
なお、
図2において、符号81は、送風装置8の風吹き出し口を示す。
【0060】
前記風量は、特に限定されず、適宜設定できる。前記風量は、好ましくは有機薄膜の表面100cm
2当り2リットル/分〜30リットル/分であり、より好ましくは5リットル/分〜20リットル/分である。
前記風の速さ(風速)は、例えば、5m/秒〜30m/秒であり、好ましくは8m/秒〜20m/秒以下である。このような風速の風を吹き付けることにより、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を良好に流動させることができる。
なお、前記風の速さは、有機薄膜の表面に於ける風の速さを意味する。
【0061】
さらに、前記風を吹き付ける場合、有機薄膜の表面に対して平行な向きに風を吹き付けてもよいが、好ましくは、有機薄膜の表面に対して斜め向きに風を吹き付ける。
例えば、
図1に示すように、長尺積層体の側面から見た場合に、風の向き(気体の流れ方向)と有機薄膜の表面との成す角βが0度を超え90度未満(鋭角)となるように、風を吹き付ける。好ましくは、前記角βが1度〜30度、より好ましくは、前記角βが3度〜25度となるように、風を吹き付ける。このような角度から風を吹き付けることにより、耐水化処理液を良好に流動させることができる。
【0062】
さらに、前記風の温度は、特に限定されず、例えば、10℃〜30℃である。余りに高温の風を吹き付けると、有機薄膜の表面上の耐水化処理液が乾燥し、そこに含まれる架橋剤が結晶化するおそれがある。架橋剤が結晶化して有機薄膜の表面に析出すると、洗浄工程で洗浄しても有機薄膜の表面に付着した架橋剤を綺麗に除去できないおそれがある。
【0063】
なお、
図1及び
図2の製造装置1は、有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を流動させるために、長尺積層体を傾斜させ且つ有機薄膜の表面に風を当てながら長尺積層体を搬送しているが、長尺積層体を傾斜させて搬送する、又は、有機薄膜の表面に風を当てながら長尺積層体を搬送する、の何れか一方だけを具備していてもよい。
【0064】
有機薄膜の表面に残存する耐水化処理液を流動させることにより、有機薄膜の表面において、耐水化処理液が所々に局所的に集まることを防止できる。
前記残存する耐水化処理液が局所的に集まると、有機薄膜の表面に耐水化処理液を殆ど有しない領域が生じる。長尺積層体を搬送中に、前記のような領域が生じると、耐水化処理液に含まれる架橋剤などが固化及び結晶化し易い。前記架橋剤などが結晶化することにより、有機薄膜にクラックなどの欠陥が生じると推定される。
本発明の製造方法によれば、前述のように、有機薄膜の表面において耐水化処理液が局所的に集まることを防止できるので、有機薄膜に欠陥が生じることを抑制できる。
【0065】
[洗浄工程]
洗浄工程は、耐水化処理後の長尺積層体の少なくとも有機薄膜の表面を洗浄液を用いて洗浄する工程である。
洗浄工程を行うことにより、長尺積層体の表裏面(有機薄膜の表面及び長尺基材の裏面)に残存している耐水化処理液を除去することができる。従って、長尺積層体の表裏面において、架橋剤などが析出することを防止できる。
【0066】
前記少なくとも有機薄膜の表面を洗浄する方法は、特に限定されない。
例えば、(i)有機薄膜の表面に洗浄液を吹き付ける、(ii)洗浄液が所定方向に流れている浴中に長尺積層体を浸漬させる、(iii)洗浄液が満たされた洗浄浴中に長尺積層体を通過させる、などの方法が挙げられる。
【0067】
ここで、
図1を参照して、
図1においては、前記(iii)の方法に従って洗浄する場合を示している。
搬送工程によって長尺積層体6は、洗浄液が満たされた洗浄浴41に搬送される。前記洗浄浴41の中を長尺積層体6が通ることにより、有機薄膜の表面及び長尺基材の裏面に付着した耐水化処理液及び架橋剤などが除去される。
洗浄部4の下流側には、乾燥装置9が設けられている。乾燥装置9によって、洗浄後の長尺積層体6の表裏面を乾燥できる。なお、自然乾燥による場合には、前記乾燥装置9は省略される。
このようにして耐水性有機薄膜を有する長尺積層体6が得られる。得られた長尺積層体6は、ロール51に巻き取られる。
【0068】
前記洗浄液としては、特に限定されず、例えば、水、水と親水性有機化合物との混合液、液状の親水性有機化合物などが挙げられる。
前記親水性有機化合物としては、好ましくは分子中に極性基を有する液状の有機化合物を用いることができる。
【0069】
前記洗浄液の温度は、特に限定されないが、通常、20℃〜50℃である。長尺積層体を洗浄液に曝す時間は、特に限定されないが、通常、1〜20分間程度である。
洗浄後、長尺積層体の表裏面を乾燥する場合、その乾燥方法は、自然乾燥、強制的な乾燥の何れでもよい。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、20℃〜60℃である。乾燥時間は、長尺積層体の表裏面が乾くまで行えばよい。
【0070】
[耐水性有機薄膜の用途]
本発明の耐水性有機薄膜を有する長尺積層体は、適宜な寸法に裁断されて使用される。
必要に応じて、前記長尺積層体の表面又は表裏面に保護フィルムを積層してもよい。
本発明の製造方法で得られた耐水性有機薄膜は、前記基材上に積層された状態で使用でき、或いは、基材から引き剥がして使用することもできる。
【0071】
また、本発明の耐水性有機薄膜は、好ましくは、画像表示装置内に組み込まれる。
本発明の耐水性有機薄膜を有する画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイなどを含む。前記画像表示装置の好ましい用途はテレビである。
【実施例】
【0072】
本発明について、実施例及び比較例を示して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下の通りである。
【0073】
[有機薄膜の厚みの測定方法]
有機薄膜の厚みは、ポリマーフィルムから有機薄膜の一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用いて、前記ポリマーフィルムと有機薄膜との段差を測定した。
【0074】
[有機薄膜の欠陥の評価法]
耐水性有機薄膜を有する長尺積層体をバックライト上に載せ、その積層体の裏面から光を当てながら有機薄膜をクロスニコルで観察した。
そして、前記観察した有機薄膜の表面の中から、420mm×1000mmの範囲を1つの領域とし、任意に且つ独立した10の領域を選択し、その各領域に含まれるクラック数を計測した。
計測後、前記クラックの総数を10で除算し、1つの領域当たりに含まれる平均クラック数を求めた。
【0075】
[有機色素の合成]
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135ページ〜152ページに記載の方法)により、ジアゾ化及びカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。得られたモノアゾ化合物を、前記常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させて粗生成物を得た。これを塩化リチウムで塩析することによって、下記構造式(1)のジスアゾ化合物を得た。
【0076】
【化4】
【0077】
[実施例1]
前記構造式(1)のジスアゾ化合物をイオン交換水に溶解することにより、8質量%のコーティング液を調製した。
長尺基材として、ラビング処理及びコロナ処理が施されたノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、製品名「ゼオノア」)を準備した。前記ポリマーフィルムは、厚み40μm、幅440mm、長さ500mの長尺状のものを使用した。
この長尺のポリマーフィルムをその長手方向に搬送しながら、公知のテンションウェブダイを有するコータを用いて、そのフィルムの表面に前記コーティング液を塗工することにより、前記フィルムの表面の幅420mmの範囲に塗膜を形成した。
塗工後、前記塗膜を自然乾燥させた。乾燥により、前記ポリマーフィルム上に有機薄膜が積層された長尺積層体を得た。その有機薄膜の厚みは、0.4μmであった。
【0078】
続いて、前記長尺積層体を搬送し、耐水化処理液が満たされた処理浴に通した。その通過時間は、約2秒とした。また、前記耐水化処理液として、90質量部のイオン交換水に、1,3−プロパンジアミン塩酸塩(東京化成工業(株)製)、1,2−エチレンジアミン塩酸塩(東京化成工業(株)製)及びビスヘキサメチレントリアミン(東京化成工業(株)製)の混合物(質量比61:9:30)が10質量部溶解された水溶液を用いた。
【0079】
前記処理浴から引き出した長尺積層体を搬送し、水が満たされた洗浄浴へ導入した。
前記処理浴から洗浄浴の間に、傾斜角3度(
図1のα)で搬送方向下流側から上流側へ斜め下がりに傾斜させて搬送する区間(区間長さ1500mm)を設けた。また、前記処理浴から洗浄浴までの間の長尺積層体の搬送速度は、8m/分とした。
前記傾斜搬送と同時に、洗浄浴の500mm手前の位置に具備されたエアブロワーを用いて、有機薄膜の表面の幅方向全体に風を吹き付けた。
前記風の風量は、有機薄膜の表面100cm
2当り10リットル/分、その風速は、15m/秒であった。また、搬送方向下流側から搬送方向上流側に向かい、有機薄膜の表面に対して約87度(
図1のβ)となる方向から前記風を吹き付けた。
【0080】
前記処理浴から洗浄浴の間における傾斜搬送中の有機薄膜の表面を、目視で観察したところ、その表面に残存している耐水化処理液が、搬送方向と反対の方向に恒常的に流動していることが確認された。
【0081】
前記洗浄浴を通過させた後、長尺積層体を自然乾燥することにより、耐水性有機薄膜を有する長尺積層体を得た。
得られた長尺積層体について、上記有機薄膜の欠陥の評価法に従って、有機薄膜の単位面積当たりの平均クラック数を求めた。その結果を、表1に示す。
【0082】
[実施例2]
前記傾斜させて搬送する区間の傾斜角を15度としたこと及び有機薄膜の表面に対して約75度となる方向から風を吹き付けたこと以外は、実施例1と同様にして、長尺基材の表面上に耐水性有機薄膜が積層された長尺積層体を作製した。得られた長尺積層体について、その有機薄膜の単位面積当たりの平均クラック数を、表1に示す。
なお、実施例2についても、処理浴から洗浄浴の間における傾斜搬送中の有機薄膜の表面を、目視で観察したところ、その表面に残存している耐水化処理液が、搬送方向と反対の方向に恒常的に流動していることが確認された。
【0083】
[実施例3]
風を吹き付けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、長尺基材の表面上に耐水性有機薄膜が積層された長尺積層体を作製した。得られた長尺積層体について、その有機薄膜の単位面積当たりの平均クラック数を、表1に示す。
なお、実施例3についても、処理浴から洗浄浴の間における傾斜搬送中の有機薄膜の表面を、目視で観察したところ、その表面に残存している耐水化処理液が、搬送方向と反対の方向に恒常的に流動していることが確認された。
【0084】
[比較例]
(傾斜搬送区間を設けずに)有機薄膜の表面を水平面と平行に搬送したこと、及び、風の吹き付けを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、長尺基材の表面上に有機薄膜が積層された長尺積層体を作製した。得られた長尺積層体について、その有機薄膜の単位面積当たりの平均クラック数を、表1に示す。
なお、比較例についても、処理浴から洗浄浴の間における水平搬送中の有機薄膜の表面を、目視で観察したが、その表面に残存している耐水化処理液は、ほとんど流動しておらず、その液が局所的に集まった部分が散見された。
【0085】
【表1】
【0086】
[参考例]
参考例は、長尺基材を用いず、枚葉状の基材を用いて有機薄膜を形成した。
具体的には、基材として、ラビング処理及びコロナ処理が施された、厚み40μm、幅50mm、長さ50mmのノルボルネン系ポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、製品名「ゼオノア」)を用いた。
このフィルムの表面に、実施例1と同じコーティング液を、バーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS4」)を用いて塗工し、23℃の恒温室内で十分に自然乾燥させた。乾燥により、前記ポリマーフィルム上に有機薄膜が積層された積層体を作製した。その有機薄膜の厚みは、0.4μmであった。
【0087】
この積層体を、実施例1と同じ耐水化処理液が満たされた処理浴に漬けた後、それを処理浴から取り出し、16秒間、水平に保持した。その後、その積層体の表裏面を水で十分に洗浄した後、自然乾燥させた。
乾燥後の積層体の有機薄膜の表面を、クロスニコル下で目視にて観察したところ、主として有機薄膜の端部に、多数のクラックが生じていた。
図3は、その有機薄膜の表面の写真図である。