(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1記録媒体を第1の向きで収容する第1トレイと、第2記録媒体を第2の向きで収容する第2トレイと、前記第1トレイに収容される第1記録媒体、又は、前記第2トレイに収容される前記第2記録媒体を、それぞれ、前記第1の向き又は前記第2の向きで搬送し、画像データに基づく画像を印刷する印刷部と、制御部とを備えた画像記録装置であって、
前記制御部は、
ページ単位の画像データに基づく1ページ分の画像が、1枚の前記第1の向きの前記第1記録媒体に納まるかを判断する第1判断手段と、
前記第1の向きと前記第2の向きとを判断する第2判断手段と、
前記第1判断手段により、前記1ページ分の画像が、1枚の前記第1の向きの第1記録媒体に納まらないと判断される場合、当該1ページ分の画像を複数に分割した分割画像を、少なくとも前記第1の向きの第1記録媒体を含む複数枚の記録媒体に印刷させる印刷制御手段と、
前記第1記録媒体を印刷対象の記録媒体とする前記分割画像の印刷動作中、前記第1トレイ内の第1記録媒体の残数が、前記1ページ分の画像の印刷が完了する前にゼロになった場合に、前記印刷対象の記録媒体を、前記第2トレイに収容される第2記録媒体に切り替える切替手段とを備え、
前記印刷制御手段は、
前記切替手段により、前記印刷対象の記録媒体が前記第2記録媒体に切り替えられた場合に、前記第2の向きが、前記1ページ分の画像の向きに対して90°×m(mは、正の奇数)だけ回転させた向きである場合には、前記第2の向きの第2記録媒体に対し、90°×n(nは、正の奇数)だけ回転させた分割画像を印刷させ、
前記第1の向きの第1記録媒体又は前記第2の向きの第2記録媒体のうち、印刷対象の記録媒体の向きが、前記1ページ分の画像の向きに対して90°×mだけ回転させた向きである場合に、当該印刷対象の記録媒体に対し、90°×nだけ回転させた分割画像を印刷させ、
前記印刷制御手段はまた、
前記第1判断手段により、前記1ページ分の画像を、1枚の前記第1の向きの第1記録媒体に記録できないと判断され、かつ、前記第2判断手段により、前記第1の向き又は前記第2の向きの少なくとも一方が、前記1ページ分の画像の向きに対して90°×mだけ回転させた向きである場合には、前記ページ単位の画像データをトリミングにより分割しながら、前記第1の向きの第1記録媒体又は前記第2の向きの第2記録媒体の1枚に対し、1の分割画像を印刷させ、一方で、
前記第1判断手段により、前記1ページ分の画像を、1枚の前記第1の向きの第1記録媒体に記録できないと判断され、かつ、前記第2判断手段により、前記第1の向き及び前記第2の向きの両方が、前記1ページ分の画像の向きと同じ向きである場合には、前記ページ単位の画像データをトリミングすることなく、前記第1の向きの第1記録媒体又は前記第2の向きの第2記録媒体の1枚に対し、1の分割画像を印刷させることを特徴とする、画像記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の画像記録装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP」と称す)1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、ファックス機能、コピー機能、印刷機能、スキャン機能など、複数の機能を有する複合機である。本実施形態のMFP1は、長尺画像を種々の用紙向きの記録用紙に分割して印刷することができる。なお、本明細書中において「用紙向き」は、記録用紙の搬送方向(副走査方向)により規定される記録用紙の向きを示す。特に、この「用紙向き」が記録用紙(第1,第2記録用紙)の長手方向に相当する場合には、「縦向き」と称す。一方、「用紙向き」が記録用紙の短手方向に相当する場合には、「横向き」と称す。
【0019】
MFP1には、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、プリンタ19、NCU20、モデム21が主に設けられている。CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12は、バスライン22を介して互いに接続されている。また、各部15〜22は、入出力ポート23を介して互いに接続されている。
【0020】
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、或いは、NCU20を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御及び、入出力ポート23と接続された各部の制御を行う。フラッシュメモリ11は、不揮発性のメモリであって、MFP1の動作を制御する制御プログラム11aなどが格納される。後述する
図5〜
図8のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム11aに従ってCPU10により実行される。RAM12は、CPU10の処理に必要な情報を一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。RAM12には、画像メモリ12aと、印刷バッファ12bと、トリミング位置メモリ12cと、前回位置メモリ12dとが設けられている。
【0021】
画像メモリ12aは、ファクシミリ受信した画像データ、又は、スキャナ18が読み取った画像データを格納する領域である。印刷バッファ12bは、印刷用のデータを格納する領域である。トリミング位置メモリ12cは、長尺画像の画像データをトリミングしながら分割して印刷する場合に、トリミングの開始位置(以下「トリミング位置」と称す)を記憶する領域である。前回位置メモリ12dは、前回のトリミング位置を記憶する領域である。詳細は後述するが、長尺画像の画像データのトリミングが実行される毎に、トリミング位置メモリ12cに記憶されているトリミング位置を前回位置メモリ12dに記憶した後、トリミング位置メモリ12cの内容を次回のトリミング位置に更新する。また、印刷対象の記録用紙が、第1給紙トレイ31に収容される記録用紙から、第2給紙トレイ32に収容される記録用紙に変更されたことに伴い、印刷バッファ12bに印刷用のデータとして格納されたトリミングデータが削除された場合には、トリミング位置メモリ12cに記憶されているトリミング位置が、前回位置メモリ12dに記憶されているトリミング位置に変更される(戻される)。
【0022】
操作キー15はメカニカルキーであり、各種の設定値や指示などをユーザから受け付ける。LCD16は液晶表示装置である。タッチパネル17は、LCD16に重ねて設けられ、各種の設定値や指示などをユーザから受け付ける。スキャナ18は、原稿を読み取り(スキャンし)、その読み取った原稿の画像データを、CPU10に出力する装置である。NCU20は、電話回線の制御を行う装置である。モデム21は、ファクシミリ送信時には送信信号を変調し、ファクシミリ受信時には受信した変調信号を復調する。
【0023】
プリンタ19は、記録用紙に画像を印刷する装置であり、例えば、インクジェットプリンタや、レーザプリンタなどである。プリンタ19は、図示されない搬送機構を有しており、この搬送機構により、第1給紙トレイ31に収容される記録用紙(以下「第1記録用紙」と称す)又は第2給紙トレイ32に収容される記録用紙(以下「第2記録用紙」と称す)を印刷位置まで搬送する。プリンタ19は、搬送機構により印刷位置に搬送された第1記録用紙又は第2記録用紙に、印刷バッファ12bに格納される印刷用のデータに基づく画像を印刷する。
【0024】
次に、
図2〜
図4を参照して、本実施形態のMFP1が実行する、長尺画像の分割印刷について説明する。まず、
図2は、MFP1が実行可能な分割印刷のパターンを説明する図である。以下の説明では、画像について、当該画像を構成する各ラインに平行な方向(画像の幅方向)を「主走査方向」と称し、各ラインに直交する方向(画像の長さ方向)を「副走査方向」と称す。ただし、図面上では、主走査方向及び副走査方向を、それぞれ、単に「主走査」および「副走査」と表記している。つまり、1の画像の画像データを構成する1ラインの画素数が、当該1の画像の幅に対応し、1の画像の画像データを構成するライン数が、当該1の画像の長さに対応する。
【0025】
図2(a)は、分割印刷を行う対象となる長尺画像51の第1例を示す図である。長尺画像51としては、ファクシミリ受信した画像データに基づく画像や、スキャナ18で原稿をスキャンして得られた画像データに基づく画像などを例示できる。以下では、長尺画像51として、ファクシミリ受信した画像データ(以下「受信画像データ」と称す)に基づく長尺画像を代表的に例示して説明を行う。
図2(a)に示す例では、長尺画像51は、その長さ(副走査方向の長さ)が、所定サイズの記録用紙における長手方向の長さAの2倍とする。
【0026】
本実施形態のMFP1は、長尺画像の分割印刷の実行中に、第1給紙トレイ31内の第1記録用紙が用紙切れになったとしても、第2給紙トレイ32に収容される第2記録用紙を用いて分割印刷を継続可能に構成される。特に、第1記録用紙の用紙向きと、第2記録用紙の用紙向きとが異なる場合であっても、分割印刷の継続が可能に構成される。また、第1記録用紙又は第2記録用紙の少なくとも一方の用紙向きが、画像の向きに対して90°又は270°回転させた向きである場合であっても、分割印刷を実行できるように構成される。なお、本明細書中において「画像の向き」は、画像を構成する各ラインの並ぶ向き(副走査方向)を示す。特に、この「画像の向き」が画像の長手方向に相当する場合には、「縦向き」と称す。一方、「画像の向き」が画像の短手方向に相当する場合には、「横向き」と称す。本実施形態では、長尺画像の向きは、全て「縦向き」とする。
【0027】
記録用紙の用紙向きは、給紙トレイに収容された記録用紙の用紙向きに等しい。つまり、記録用紙の用紙向きが「縦向き」であるか「横向き」であるかは、給紙トレイに収容された記録用紙の用紙向きに応じて決まる。本実施形態のMFP1は、第1給紙トレイ31が、第1記録用紙を、縦向きにも横向きにも収容できるように構成される。第2給紙トレイ32もまた、第2記録用紙を、縦向きにも横向きにも収容できるように構成される。本実施形態では、MFP1は、給紙トレイ31,32内に設けられた可動式のガイド(図示せず)を、収容する記録用紙の幅及び長さに応じた位置に調整し、その位置を検出することにより、給紙トレイ31,32に収容された記録用紙のサイズおよび用紙向きを把握する。なお、ユーザが、給紙トレイ31,32に収容する記録用紙のサイズを、MFP1に入力して設定する構成としてもよい。
【0028】
画像の向き及び用紙向きが、両方とも縦向き、又は、両方とも横向きである場合には、画像の向きと用紙向きとが同じであるとする。これに対し、画像の向き又は用紙向きの一方が縦向きであり、他方が横向きである場合には、用紙向き(又は、画像の向き)が、画像の向き(又は、用紙向き)に対して90°又は270°回転させた向きであるとする。
【0029】
図2(b)は、
図2(a)の長尺画像51が、2枚の縦向きの記録用紙52,53に対して分割印刷された場合の印刷結果を示す。つまり、
図2(b)は、長尺画像51の向きと、記録用紙52,53の用紙向きとが同じである場合の印刷結果を示す。なお、記録用紙52,53は、その長辺方向の長さがAである記録用紙とする。
図2(b)に示すように、1枚目の記録用紙52には、長尺画像51における上端ラインから長さAの領域の画像が回転されることなく印刷され、2枚目の記録用紙53には、残りの領域(上端ラインから長さAだけ副走査方向に移動した位置から、終端ラインまでの領域)の画像が回転されることなく印刷される。なお、この例において、1枚目の記録用紙52及び2枚目の記録用紙53は、共に同じ給紙トレイから給紙されるものであっても、互いに異なる給紙トレイから給紙されるものであってもよい。長尺画像51の向きと、記録用紙52,53の用紙向きとが同じである場合には、従来と同様、長尺画像に対応する画像データを副走査方向に1ラインずつ順次印刷することにより実現できる。
【0030】
図2(c)は、
図2(a)の長尺画像51が、2枚の横向きの記録用紙52.53に対して分割印刷された場合の印刷結果を示す。つまり、
図2(c)は、記録用紙52,53の用紙向きが、長尺画像51の向きに対して90°又は270°回転させた向きである場合の印刷結果を示す。
図2(c)に示すように、1枚目の記録用紙52には、長尺画像51における上端ラインから長さAの領域の画像を時計回りに90°回転させた画像が印刷され、2枚目の記録用紙53には、残りの領域の画像を時計回りに90°回転させた画像が印刷される。なお、この例において、1枚目の記録用紙52及び2枚目の記録用紙53は、共に同じ給紙トレイから給紙される記録用紙であっても、互いに異なる給紙トレイから給紙される記録用紙であってもよい。
【0031】
画像が90°回転されたことにより、長尺画像から分割された画像と、記録用紙に印刷される画像とでは、主走査方向と副走査方向とが反転する。つまり、
図2(c)に示す例では、長尺画像51から分割された画像の主走査方向及び副走査方向は、それぞれ、記録用紙52,53に印刷される画像の副走査方向及び主走査方向に相当する。詳細は後述するが、本実施形態のMFP1は、トリミング位置を更新しながら、長尺画像の画像データをトリミングによって分割するので、記録用紙52,53の用紙向きが、長尺画像51の向きに対して90°又は270°回転させた向きであり、記録用紙52,53に印刷される画像の主走査方向および副走査方向が、長尺画像51から分割された各画像のものから反転する場合であっても、長尺画像の分割印刷を実現できる。
【0032】
図2(d)は、
図2(a)の長尺画像51が、1枚の横向きの記録用紙52と、1枚の縦向きの記録用紙53とに対して分割印刷された場合の印刷結果を示す。つまり、横向きの記録用紙52に分割印刷を行った時点で、記録用紙52が用紙切れとなり、給紙トレイを切り替えて縦向きの記録用紙53を用いることによって分割印刷が継続された場合の印刷結果を示す。
図2(d)に示すように、1枚目の記録用紙52には、長尺画像51における上端ラインから長さAの領域の画像を時計回りに90°回転させた画像が印刷され、2枚目の記録用紙53には、残りの領域の画像が回転されることなく印刷される。
【0033】
図2(e)は、
図2(a)の長尺画像51が、1枚の縦向きの記録用紙52と、1枚の横向きの記録用紙53とに対して分割印刷された場合の印刷結果を示す。つまり、縦向きの記録用紙52に分割印刷を行った時点で、記録用紙52が用紙切れとなり、給紙トレイを切り替えて横向きの記録用紙53を用いることによって分割印刷が継続された場合の印刷結果を示す。
図2(e)に示すように、1枚目の記録用紙52には、長尺画像51における上端ラインから長さAの領域の画像が回転させることなく印刷され、2枚目の記録用紙53には、残りの領域の画像を時計回りに90°回転させた画像が印刷される。
【0034】
詳細は後述するが、本実施形態のMFP1は、記録用紙52,53の用紙向きが、長尺画像51の向きに対して90°又は270°回転させた向きである場合と同様、トリミング位置を更新しながら、長尺画像の画像データをトリミングによって分割するので、
図2(d),(e)に示す場合、即ち、記録用紙52の用紙向きと、記録用紙53の用紙向きとが異なる場合であっても、長尺画像の分割印刷を実現できる。
【0035】
図3及び
図4は、MFP1が長尺画像の分割印刷を行う際の印刷制御を模式的に説明する図である。
図3及び
図4では、縦向きの長尺画像51から、3枚の横向きの記録用紙52〜54に分割印刷が行われる場合を例示する。
【0036】
図3(a)は、分割印刷を行う対象となる長尺画像51の第2例を示す図である。
図3(a)に示す例では、長尺画像51は、その長さ(副走査方向の長さ)が、所定サイズの記録用紙における長手方向の長さAの2倍の長さと、残余長さB(ただし、B<A)との和、即ち、(2A+B)の長さであるとする。
【0037】
図3(b)は、
図3(a)の長尺画像51から、1枚目の横向きの記録用紙52に対して行われる分割印刷の印刷制御を模式的に示す図である。まず、長尺画像52に対応する画像データ61のトリミングを行う。具体的に、画像データ61から、トリミング位置αを始点とする、記録用紙52の長手方向の長さAに相当する副走査サイズtのデータを、トリミングする。なお、1枚目の記録用紙52への分割印刷に用いるトリミング位置αは、ゼロである。次に、トリミングにより分割して得られたトリミングデータ61aを、時計回りに90°回転させる。そして、回転後のトリミングデータ61aに基づく画像を、横向きの記録用紙52に印刷する。
【0038】
図3(c)は、
図3(a)の長尺画像51から、2枚目の横向きの記録用紙53に対して行われる分割印刷の印刷制御を模式的に示す図である。なお、
図3(a)において、斜線のハッチングを付した領域は、印刷済みの領域であることを示す。2枚目の記録用紙53への分割印刷を行うに先立ってトリミング位置αの更新を行う。具体的に、現在のトリミング位置(1枚目の記録用紙52への分割印刷に用いたトリミング位置)αに、副走査サイズtを加算した値を、新たなトリミング位置αとする。現在のトリミング位置αはゼロであるので、更新後のトリミング位置αはtである。次に、画像データ61から、トリミング位置αを始点とする、記録用紙53の長手方向の長さAに相当する副走査サイズtのデータを、トリミングする。次に、トリミングデータ61aを、時計回りに90°回転させる。そして、回転後のトリミングデータ61aに基づく画像を、横向きの記録用紙53に印刷する。
【0039】
図4(a)は、
図3(a)の長尺画像51から、3枚目の横向きの記録用紙54に対して行われる分割印刷の印刷制御を模式的に示す図である。なお、
図4(a)において、斜線のハッチングを付した領域は、印刷済みの領域であることを示す。この場合も、3枚目の記録用紙54への分割印刷を行うに先立って、現在のトリミング位置αに副走査サイズtを加算し、トリミング位置αの更新を行う。2枚目の記録用紙53への分割印刷に用いたトリミング位置(現在のトリミング位置)αはtであるので、更新後のトリミング位置αは2tである。次に、画像データ61から、トリミング位置αを始点とする、残余長さB(トリミング位置αから終端ラインまでの長さ)に相当する副走査サイズt’のデータをトリミングする。次に、トリミングデータ61aを、時計回りに90°回転させる。
【0040】
記録用紙54の長手方向の長さAより短い長さに相当する副走査サイズt’のトリミングを行った場合には、回転後のトリミングデータ61aにおける、画像データ61の終端ラインに相当する側に、余白データ62を付加する。このとき、回転後のトリミングデータ61a及び余白データ62の主走査サイズが、記録用紙52,53に対する印刷用にトリミングしたトリミングデータ61aの副走査サイズt(回転後のトリミングデータ61aの主走査サイズ)となるような余白データ62を付与する。この例では、副走査サイズtは、記録用紙52の長手方向の長さAであるので、主走査サイズが、長さ(A−B)に相当するサイズの余白データ62を、回転後のトリミングデータ61aに付加する。そして、かかる付加により得られたデータを、横向きの記録用紙53に印刷する。
【0041】
ところで、副走査サイズt’が、印刷対象とする記録用紙の長手方向の長さAより短い長さに相当するサイズである場合、回転後のトリミングデータ61aを、余白データ62を付加することなく、横向きの記録用紙55(記録用紙54と同サイズ)に印刷すると、トリミングデータ61aに対応する画像が、記録用紙55の主走査方向にセンタリングされた状態で印刷される。
【0042】
これに対し、副走査サイズt’が、印刷対象とする記録用紙の長手方向の長さAより短い長さに相当するサイズである場合に、回転後のトリミングデータ61aに、余白データ62を付加することにより、トリミングデータ61aに対応する画像を、記録用紙54の主走査方向の一端側へ寄せて印刷することができる。より具体的には、記録用紙54に印刷される画像の先頭ライン側を横向きの記録用紙54の上側とし、終端ライン側を下側とした場合における、向かって右端側に、トリミングデータ61aに対応する画像を寄せて印刷することができる。よって、ユーザが、トリミングデータ61aに対応する画像の上下方向を正しく見た場合に、記録用紙54の上端側に当該画像が位置しており、1枚目の記録用紙52及び2枚目の記録用紙53の印刷結果と比べ違和感がなく、見栄えがよい。
【0043】
図4(b)は、
図4(a)と同じ状況において、トリミングデータ61aを時計回りに270°回転(反時計周りに90°回転)させた場合における余白データ62の付加を説明する図である。
図4(b)に示すように、トリミングデータ61aを時計回りに270°回転させた場合もまた、時計回りに90°回転させた場合と同様に、回転後のトリミングデータ61aにおける、画像データ61の終端ラインに相当する側に、主走査サイズが長さ(A−B)に相当するサイズの余白データ62を付加する。これにより、かかる場合も、記録用紙54の主走査方向の一端側へ寄せて印刷することができる。より具体的には、記録用紙54に印刷される画像の先頭ライン側を横向きの記録用紙54の上側とし、終端ライン側を下側とした場合における、向かって左端側に、トリミングデータ61aに対応する画像を寄せて印刷することができる。よって、トリミングデータ61aを時計回りに270°回転させた場合も、時計回りに90°回転させた場合と同様、見栄えの良い好適な分割印刷を行うことができる。
【0044】
図5は、MFP1(より詳細にはCPU10)が実行する印刷制御処理を示すフローチャートである。この印刷制御処理は、MFP1が画像データをファクシミリ受信した場合、又は、コピー機能における原稿のスキャン指示が、操作キー15又はタッチパネル17の操作に基づいてMFP1に入力された場合に開始される。本実施形態では、印刷制御処理が、MFP1が1ページ分の画像データをファクシミリ受信したことに基づき開始されたものとして説明する。また、本実施形態では、受信画像データは、縦向き(各ラインが長手方向に並ぶ向き)に受信されるものとする。
【0045】
まず、ステップS501(以下、ステップを省略)において、CPU10は、給紙トレイ設定に基づいて、給紙トレイを選択する処理を実行する(S501)。給紙トレイ設定は、ユーザが適宜変更可能な印刷設定の1つとして、フラッシュメモリ12の図示されない領域に記憶される。給紙トレイ設定は、優先的に使用する給紙トレイの設定と、用紙切れ時に給紙トレイを切り替えるか否かの設定と、切り替え先の給紙トレイの設定とを含む。本実施形態では、優先的に使用する給紙トレイとして、第1給紙トレイ31が設定され、切り替え先の給紙トレイとして、第2給紙トレイ32が設定されているものとする。
【0046】
次に、CPU10は、受信画像データの副走査サイズが、S501において選択した給紙トレイ(第1給紙トレイ31)に収容される記録用紙(第1記録用紙)の長さより大きいか否かを判定する(S502)。なお、S502において比較に用いる「記録用紙の長さ」は、給紙トレイに収容される記録用紙の用紙向きが縦向きである場合には、記録用紙の長手方向の長さである。一方、給紙トレイに収容される記録用紙の用紙向きが横向きである場合には、記録用紙の短手方向の長さが「記録用紙の長さ」である。
【0047】
S502において、受信画像データの副走査サイズが、第1記録用紙の長さ以下であるとCPU10が判定した場合(S502:No)、CPU10は、通常の印刷処理により、受信画像データに基づく画像を記録用紙に印刷し(S513)、本処理を終了する。一方、S502において、受信画像データの副走査サイズが、第1記録用紙の長さより大きいとCPU10が判断した場合(S502:Yes)、CPU10は、給紙トレイ設定が、用紙切れ時に給紙トレイを切り替える設定あるか否かを判定する(S503)。用紙切れ時に給紙トレイを切り替える設定でなく、かつ、第1給紙トレイ31の用紙向きが縦向きであるとCPU10が判定した場合(S503:No,S504:Yes(縦))、CPU10は、縦,縦→縦印刷処理を実行し(S505)、本処理を終了する。縦,縦→縦印刷処理(S505)は、画像メモリ12aに格納されている受信画像データを、印刷用のデータとして印刷バッファ12bに格納し、印刷バッファ12bに格納される印刷用のデータを、1ラインずつ順次、印刷対象の記録用紙に印刷する処理である。
【0048】
一方、用紙切れ時に給紙トレイを切り替える設定でなく、かつ、第1給紙トレイ31の用紙向きが横向きであるとCPU10が判定した場合(S503:No,S504:No(横))、CPU10は、横,横→横印刷処理を実行し(S506)、本処理を終了する。なお、横,横→横印刷処理(S506)の詳細な処理は、
図6を参照して後述する。
【0049】
S503において、用紙切れ時に給紙トレイを切り替える設定であるとCPU10が判定した場合(S503:Yes)、CPU10は、用紙切れ時の用紙向き、即ち、切り替え先の給紙トレイとして設定される第2給紙トレイ32の用紙向きをチェックする(S507)。次に、先に給紙される用紙向き(第1給紙トレイ31の用紙向き)が縦であり、かつ、用紙切れ時の用紙向き(第2給紙トレイ32の用紙向き)が縦であるとCPU10が判定した場合(S508:Yes(縦),S509:Yes(縦))、CPU10は、縦,縦→縦印刷処理を実行し(S505)、本処理を終了する。
【0050】
一方、先に給紙される用紙向きが縦であり、かつ、用紙切れ時の用紙向きが横であるとCPU10が判定した場合(S508:Yes(縦),S509:No(横))、CPU10は、縦→横印刷処理を実行し(S510)、本処理を終了する。なお、縦→横印刷処理(S510)の詳細な処理は、
図7を参照して後述する。
【0051】
また、先に給紙される用紙向きが横であり、かつ、用紙切れ時の用紙向きが縦であるとCPU10が判定した場合(S508:No(横),S511:Yes(縦))、CPU10は、横→縦印刷処理を実行し(S512)、本処理を終了する。なお、横→縦印刷処理(S512)の詳細な処理は、
図8を参照して後述する。一方で、先に給紙される用紙向きが横であり、かつ、用紙切れ時の用紙向きが横であるとCPU10が判定した場合(S508:No(横),S511:No(横))、CPU10は、横,横→横印刷処理を実行し(S506)、本処理を終了する。
【0052】
図6は、上述した横,横→横印刷処理(S506)を示すフローチャートである。本処理において、まず、CPU10は、トリミング位置メモリ12cに記憶されるトリミング位置の値(即ち、αの値)、および、変数Kで表わされる縮小率の値を初期化する(S601)。具体的に、S601において、CPU10は、αの値をゼロに、Kの値を100に設定する。
【0053】
次に、CPU10は、第1記録用紙に印刷可能な画像の主走査方向幅(以下「印刷可能幅」と称す)を取得する(S602)。なお、S602において、CPU10は、給紙トレイ31内に設けられる可動式のガイド(図示せず)の位置に基づいて取得される第1記録用紙のサイズに基づいて、印刷可能幅を取得する。次に、CPU10は、ユーザ設定に基づいて、縮小率Kを決定する(S603)。S603において、ユーザによって縮小率が予め設定されている場合、CPU10は、その値を縮小率Kとして決定する。また、自動的な拡大・縮小処理の実行がユーザによって予め設定されている場合には、S602で取得した印刷可能幅と、受信画像データに対応する画像の主走査方向幅とに基づいて、縮小率Kを決定する。具体的には、下記(1)式に基づいて、縮小率Kを決定する。
縮小率K=(印刷可能幅/画像の主走査方向幅)×100 ・・・(1)
【0054】
次に、CPU10は、決定した縮小率Kに基づき、受信画像データのサイズを変更する(S604)。次に、CPU10は、サイズが変更された受信画像データを、トリミング位置メモリ12cに記憶されるトリミング位置αに基づき、記録用紙に収まるサイズにトリミングする(S605)。つまり、CPU10は、トリミング位置αを始点とする、横向きの記録用紙の主走査方向幅(長手方向の長さ)に収まり得る副走査サイズのデータを、受信画像データからトリミングする。
【0055】
次に、CPU10は、トリミング位置メモリ12cに記憶されているトリミング位置αに、S605においてトリミングした副走査サイズを加算して更新する(S606)。なお、S606において、CPU10は、トリミング情報αの更新を行う前に、その時点においてトリミング位置メモリ12cに記憶されているトリミング位置αを、前回位置メモリ12dに記憶する。次に、CPU10は、得られたトリミングデータを時計回りに90°又は270°回転させる(S607)。なお、S607において、トリミングデータの回転角を90°とするか270°とするかは、予め固定的に設定されていてもよいし、ユーザ設定であってもよい。
【0056】
次に、処理中のトリミングデータが、受信画像データの最終ラインを含む場合(S609:Yes)、CPU10は、回転後のトリミングデータにおける、受信画像データの終端ラインに相当する側に余白データを付加する余白付加処理を実行し(S609)、処理をS610へ移行する。なお、処理中のトリミングデータが、受信画像データの最終ラインを含むが、回転前のトリミングデータの副走査サイズが、印刷対象とする横向きの記録用紙の長手方向の長さ(主走査方向の長さ)に等しい場合には、CPU10は、S609を実行することなく、処理をS610へ移行する。一方、処理中のトリミングデータが、受信画像データの最終ラインを含まない場合(S609:No)、CPU10は、処理をS610へ移行する。
【0057】
S610において、CPU10は、処理中のトリミングデータを、印刷用のデータとして印刷バッファ12bに格納する(S610)。次に、CPU10は、第1給紙トレイ31又は第2給紙トレイ32のうち、現在の給紙トレイから記録用紙の給紙を実行する(S611)。このとき、用紙切れでなければ(S612:No)、CPU10は、印刷バッファ12bに格納される印刷用のデータを、1ラインずつ順次、印刷対象の記録用紙に印刷する(S613)。なお、用紙切れであるか否かは、各給紙トレイ31,32に設けられた、記録用紙の有無を検出するセンサに基づき判断される。あるいは、給紙動作を行っても、搬送経路上に設けられている用紙検出センサが記録用紙を検出できない場合に、用紙切れであると判断してもよい。
【0058】
S613の印刷により、1ページ分の受信画像データの処理が終了した場合(S614:Yes)、CPU10は、本処理を終了する。一方、1ページ分の受信画像データの処理が未だ終了していなければ(S614:No)、CPU10は、処理をS605に戻し、次の記録用紙への印刷を実行する。
【0059】
S612において、用紙切れが生じた場合(S612:Yes)、給紙トレイが切り替え済みであれば(S615:Yes)、CPU10は、本処理を終了する。また、給紙トレイを切り替えていないが、給紙トレイを切り替える設定でない場合もまた(S615:No,S616:No)、CPU10は、本処理を終了する。一方、給紙トレイを切り替える設定である場合(S616:Yes)、CPU10は、給紙トレイを第2給紙トレイ31に切り替える(S617)。次に、第2記録用紙のサイズが第1記録用紙のサイズと異なっていなければ(S618:No)、CPU10は、処理をS611へ移行し、第2給紙トレイ32から第2記録用紙を給紙する。これにより、印刷バッファ12bに格納されている印刷用のデータは、第2記録用紙に印刷される。
【0060】
一方、第2記録用紙のサイズが第1記録用紙のサイズと異なっている場合(S618:Yes)、CPU10は、印刷バッファ12bをクリアし(S619)、トリミング位置メモリ12cに記憶されるトリミング位置αを、前回位置メモリ12dに記憶されているトリミング位置に戻し(S620)、処理をS605へ移行する。これにより、第2記録用紙のサイズに収まるサイズのトリミングデータが改めて取得される。
【0061】
このように、横,横→横印刷処理(S506)よれば、縦向きの受信画像データに基づく画像を横向きの記録用紙に分割印刷する場合には、受信画像データをトリミングしながら分割印刷を行うので、横向きの記録用紙への分割印刷が可能となる。
【0062】
図7は、上述した横→縦印刷処理(S512)を示すフローチャートである。なお、本処理において、上述した横,横→横印刷処理(S506)の中で実行される処理と同じ処理については、同じステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0063】
横→縦印刷処理において、CPU10は、横→横印刷処理(S506)と同様にS601〜S610の処理を実行する。次に、CPU10は、第1給紙トレイ31又は第2給紙トレイ32のうち、現在の給紙トレイから記録用紙の給紙を実行する(S611)。このとき、用紙切れでなければ(S612:No)、CPU10は、横→横印刷処理(S506)と同様にS613,S614の処理を実行する。
【0064】
一方、用紙切れが生じた場合(S612:Yes)、給紙トレイが切り替え済みであれば(S615:Yes)、CPU10は、本処理を終了する。また、給紙トレイを切り替えていなければ(S615:No)、CPU10は、給紙トレイを第2給紙トレイ31に切り替え(S617)、印刷バッファ12bをクリアし(S619)、トリミング位置αを更新前に戻す(S620)。CPU10は、S620において更新前に戻されたトリミング位置αに基づき、受信画像データのトリミングを行う(S701)。S701において、トリミングのサイズは、現在のトリミング位置α(即ち、S620において更新前に戻されたトリミング位置)から、受信画像データの最終ラインまでとする。つまり、受信画像データのうち、印刷に供されていない残りの画像データの全てがトリミングデータとされる。次に、CPU10は、処理をS610に戻し、S701において得られたトリミングデータを印刷用の画像データとして印刷バッファ12bに格納する。本処理では、第2記録用紙の用紙向きは、受信画像データに基づく画像の向きと同じ縦向きであるので、印刷バッファ12bに格納される印刷用のデータを、1ラインずつ順次、縦向きの第2記録用紙に印刷することにより、例え、1枚の第2記録用紙に収まらなくても、その続きを次の第2記録用紙に印刷させることができる。
【0065】
このように、横→縦印刷処理(S512)によれば、受信画像データに基づく分割印刷中に、横向きの記録用紙が用紙切れとなり、縦向きの記録用紙に切り替えられた場合には、印刷に供されていない残りの画像データの全てがトリミングデータとされ、それ以上にトリミングされることなく分割印刷が実行される。JPEGのような圧縮画像をトリミングする場合には、トリミング毎に画像データの解凍が必要になるが、トリミングを行うことなく分割印刷が行われるので、トリミングの実行に伴う制御負荷を抑制できる。
【0066】
図8は、上述した縦→横印刷処理(S510)を示すフローチャートである。なお、本処理において、上述した横,横→横印刷処理(S506)の中で実行される処理と同じ処理については、同じステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0067】
縦→横印刷処理において、CPU10は、横→横印刷処理(S506)と同様にS601〜S606の処理を実行する。次に、現在の給紙トレイの用紙向きが横、即ち、現在の給紙トレイが第2給紙トレイ32であれば(S801:Yes)、CPU10は、横→横印刷処理(S506)と同様にS607〜S611の処理を実行する。一方、現在の給紙トレイが第1給紙トレイ31であれば(S801:No)、CPU10は、処理をS610へ移行する。用紙切れでなければ(S612:No)、CPU10は、横→横印刷処理(S506)と同様にS613,S614の処理を実行する。一方、用紙切れが生じた場合(S612:Yes)、給紙トレイが切り替え済みであれば(S615:Yes)、CPU10は、本処理を終了する。また、給紙トレイを切り替えていなければ(S615:No)、CPU10は、給紙トレイを第2給紙トレイ31に切り替え(S617)、印刷バッファ12bをクリアし(S619)、トリミング位置αを更新前に戻す(S620)。CPU10は、S620の処理後、処理をS605へ移行する。
【0068】
縦向きの受信画像データに基づく画像を横向きの記録用紙に分割印刷する場合には、画像データのトリミングが必要となる。縦→横印刷処理(S510)よれば、先に印刷対象となる第1記録用紙が縦向きであっても、用紙切れ後に使用される第2記録用紙が横向きである場合には、第1記録用紙についても、トリミングしながら分割印刷が行われるので、用紙切り替え後に横向きの第2記録用紙への分割印刷が可能となる。
【0069】
本実施形態のMFP1は、ページ単位の画像データに基づく1ページ分の画像が長尺画像である場合には、当該1ページ分の画像を、複数の画像(分割画像)に分割して、複数枚の記録用紙に印刷する分割印刷を実行する。ここで、第1記録用紙の用紙向き又は第2記録用紙の用紙向きが、ページ単位の画像データに対し、90°×m(mは、正の奇数)だけ回転させた向きである場合、MFP1は、画像データを記録用紙に収まるサイズにトリミングし、得られたトリミングデータを90°又は270°回転させて分割印刷するので、長尺画像を種々の用紙向きの記録媒体に分割して印刷できる。
【0070】
特に、MFP1は、かかる分割印刷の実行中に、第1記録用紙が用紙切れとなった場合、MFP1は、給紙トレイを切り替え、第2記録用紙を用いて分割印刷を継続するように構成される。このとき、第1記録用紙の用紙向き又は第2記録用紙の用紙向きの少なくとも一方が、ページ単位の画像データに対し、90°×mだけ回転させた向きである場合、MFP1は、当該ページ単位の画像データをトリミングにより分割しながら、第1記録用紙又は第2記録用紙の1枚に対し、1つの分割画像を印刷する。よって、第1給紙トレイ31又は第2給紙トレイ32に収容する記録用紙の向きに依ることなく、一方のトレイが用紙切れとなった場合に、他方のトレイに切り替えることにより、長尺画像を複数枚の記録用紙に分割して印刷できる。用紙切れ時に給紙トレイを切り替える設定である場合、MFP1は、分割印刷に先立って、各給紙トレイ31,32の用紙向きをチェックするので、先に印刷対象となる第1記録用紙が縦向きであっても、用紙切れ後に使用される第2記録用紙が横向きである場合にも、分割印刷を好適に行うことができる。
【0071】
また、給紙トレイが用紙切れに伴って第2給紙トレイ32に切り替えられた場合に、第2給紙トレイ32に収容される第2記録用紙の用紙向きが第1記録用紙の用紙向きと異なる向きである場合や、第2記録用紙のサイズが第1記録用紙のサイズと異なる場合には、MFP1は、印刷バッファ13bに格納されたトリミングデータを印刷前にクリアするので、不適切な分割画像が第2記録用紙に印刷されることを防ぐことができる。
【0072】
また、MFP1は、受信画像データを、記録用紙に収まるサイズにトリミングするので、長尺画像を分割した各分割画像の副走査方向における一端から他端までを、長尺画像の向きと異なる用紙向きの記録用紙(第1,第2記録用紙)に印刷できる。また、記録用紙に印刷可能な幅に応じた縮小率で画像データを縮小するので、記録用紙に印刷可能な幅に応じて縮小された分割画像を印刷できる。
【0073】
上記実施形態において、MFP1が、画像記録装置の一例である。第1給紙トレイ31及び第2給紙トレイ32の一方が、第1トレイの一例であり、他方が、第2トレイの一例である。プリンタ19が、印刷部の一例である。CPU10が、制御部の一例である。RAM12が、記憶部の一例である。NCU20,モデム21が、通信部の一例である。S502の処理を実行するCPU10が、第1判断手段の一例である。S503〜S512の処理を実行するCPU10が、印刷制御手段の一例である。S617の処理を実行するCPU10が、切替手段の一例である。S508,S509,S511の処理を実行するCPU10が、第2判断手段の一例である。S605の処理を実行するCPU10が、記憶制御手段の一例である。S605の処理を実行するCPU10が、更新手段の一例である。
図7の横→縦印刷処理又は
図8の縦→横印刷処理の中で実行されるS619の処理を実行するCPU10が、第1無効手段の一例である。S620の処理を実行するCPU10が、変更手段の一例である。S618の処理を実行するCPU10が、第3判断手段の一例である。
図6の横,横→縦印刷処理の中で実行されるS619の処理を実行するCPU10が、第2無効手段の一例である。S602の処理を実行するCPU10が、幅情報取得手段の一例である。S603の処理を実行するCPU10が、縮小率決定手段の一例である。
【0074】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を適宜採用することは当然可能である。例えば、S607において、CPU10は、トリミングデータを時計回りに90°又は270°回転させたが、90°×n(nは、正の奇数)を満たす値であれば、適宜の値を採用できる。
【0075】
例えば、上記実施形態では、画像記録装置の一例として、ファクシミリ機能及びコピー機能の両方を有するMFP1を説明したが、いずれか一方の機能を有するMFPも、画像記録装置の一例となり得る。
【0076】
上記実施形態では、2つの給紙トレイを有するMFP1を例示したが、3つ以上の給紙トレイを有するMFPに対しても本発明を適用可能である。3つ以上の給紙トレイがあり、用紙切れ時に各給紙トレイが順次切り替えられる設定である場合には、印刷実行前に全ての給紙トレイの用紙向きをチェックし、少なくとも1つの給紙トレイ(例えば、第1トレイ)の用紙向きが、他の給紙トレイ(例えば、第2トレイ)の用紙向きと異なる場合に、トリミングをしながら分割印刷を行えばよい。
【0077】
上記実施形態では、回転後のトリミングデータに、余白データを付加することにより、トリミングデータに対応する画像の印刷位置を調整する構成としたが、画像の右寄せ又は左寄せによって、トリミングデータに対応する画像の印刷位置を調整してもよい。つまり、トリミングデータを時計回りに90°回転させた場合には、回転後のトリミングデータを、右寄せによって処理し、トリミングデータを時計回りに270°回転させた場合には、回転後のトリミングデータを、左寄せによって処理してもよい。なお、記録用紙に印刷される画像の先頭ライン側を横向きの記録用紙の上側とし、終端ライン側を下側とする。
【0078】
上記実施形態では、用紙切れによってトレイが切り替えられ、切り替え前と異なるサイズの記録用紙に分割印刷される場合も、切り替え前と同じ縮小率を用いて印刷したが、切り替え後の用紙サイズが異なる場合には、切り替え後の用紙サイズに応じた縮小率で、画像データのサイズを再度変更させ、かかる変更後の画像データに基づき分割印刷を行う構成としてもよい。かかる場合には、画像データのサイズの再変更に伴って、トリミング位置αも当該サイズ変更に応じた位置に変更する。
【0079】
なお、上記実施形態において、
図5の印制御処理が、MFP1が画像データをファクシミリ受信したことに基づき開始されたものとして説明したが、コピー機能における原稿のスキャン指示が、操作キー15又はタッチパネル17の操作に基づいてMFP1に入力された場合に開始させてもよい。つまり、長尺画像がスキャンされた画像データも、受信画像データと同様、本発明の分割印刷に供することができる。
【0080】
また、説明の都合上、
図5の印刷制御処理の開始契機を、1ページ分の画像データのファクシミリ受信としたが、1回のファクシミリ通信(即ち、回線が確立してデータを受信し回線が切断されるまでの通信)において複数ページの画像データを受信した場合にも、本発明を適用可能である。かかる場合、CPU10は、1ページ分の受信画像データ毎に、S502〜513の処理を繰り返せばよい。つまり、CPU10は、1ページ分の受信画像データ毎に、受信画像データの副走査サイズと、印刷対象の記録用紙の長さとを比較し、受信画像データに基づく画像が、印刷対象の記録用紙に収まらなければ、S502〜513の処理を実行すればよい。なお、この場合、「記録用紙の長さ」は、受信画像データに基づく画像の向きと、記録用紙の用紙向きとが同じ向きである場合には、記録用紙の副走査方向の長さ(搬送方向に沿った長さ)を示す。一方、受信画像データに基づく画像の向きに対し、記録用紙の用紙向きが90°又は270°回転する向きである場合には、「記録用紙の長さ」は、記録用紙の主走査方向の長さ(搬送方向に直交する方向に沿った長さ)を示す。ただし、2ページ目以降の受信画像データを処理する場合には、S507の処理(用紙切れ時の用紙向きをチェックする処理)を省略してもよい。また、説明の都合上、
図5の印刷制御処理は、縦向きに受信された受信画像データを処理するものとして説明したが、
図5の印刷制御処理における「縦」及び「横」を、それぞれ、「横」及び「縦」と読み替えることにより、横向き(各ラインが短手方向に並ぶ向き)に受信された受信画像データを処理できる。