(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る燃焼機器の構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃焼機器10は、例えば、角型多管式貫流ボイラであり、ウィンドボックス20と、ボイラ30と、送風機40と、燃料開閉弁51が設けられた燃料ライン50と、パージ用開閉弁61が設けられたパージライン60と、パイロットエアライン70と、パイロットガスライン80と、制御装置90と、パージボタン100とを含んで構成されている。なお、以下の実施形態において、「上流側」、「下流側」とは、ラインを流れる流体の流れ方向を基準とする。また、燃料機器10は、角型多管式貫流ボイラに限定されるものではなく、丸型多管式貫流ボイラ、水管ボイラ、炉筒煙管ボイラ、セクショナルボイラなどのいずれであってもよい。
【0017】
ウィンドボックス20は、燃料、本実施形態では、燃料ガスをバーナーに供給する図示しない給気通路と、燃焼ガスを発生するバーナーとを含んで構成されている。ウィンドボックス20は、送風機40、燃料ライン50およびパイロットエアライン70と連通されており、燃料ライン50により供給された燃料ガスと送風機40から送風された空気との混合ガス、あるいはパイロットエアライン70から供給されたパイロットガスとパイロットエアとの混合ガスの少なくともいずれか一方が供給され、バーナーにより供給された混合ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させることで燃焼ガスが発生し、ボイラ30内の図示しない液管を加熱する。
【0018】
ボイラ30は、角型であり、図示しない上部管寄せと、下部管寄せと、複数の液管とを含んで構成されており、上下方向に延在した複数の液管が上部管寄せおよび下部管寄せにそれぞれ連結されている。下部管寄せは、図示しない給水ラインと連通されており、給水ラインを介して給水源から水(純水)が供給され、複数の液管に流入する。ボイラ30は、複数の液管に流入した水を燃焼ガスと熱交換(受熱)させることで蒸発させ、図示しない蒸気ラインを介して、発生した蒸気を外部に供給する。なお、熱交換を行った燃焼ガスである排気ガスは、図示しない排気通路に設けられた浄化装置により浄化された後、外部に排気される。
【0019】
送風機40は、本実施形態における流体供給装置である。送風機40は、制御装置90により駆動制御され、ウィンドボックス20およびパージライン60にパージ用流体、本実施形態では、パージ用流体供給源である燃焼機器10の外部から外部流体である空気を供給するものである。送風機40は、空気を送風する吐出側がウィンドボックス20と直接連通しており、かつパイロットエアライン70と連通している。パイロットエアライン70には、パージライン60が連通しており、送風機40から送風された空気がパイロットエアライン70を介してパージライン60に供給されることとなる。
【0020】
燃料ライン50は、燃料ガスを図示しない燃料供給源から供給するものである。ここで、燃料ガスは、本実施形態では、熱量の低いガス、例えばメタンおよび二酸化炭素を主成分とし、硫化水素などの有害物質を微少ながら含む消化ガスなどである。燃料供給源は、例えば下水汚泥処理で発生した消化ガスを貯留するタンクなどである。燃料ライン50は、燃料供給源とウィンドボックス20とを連通するものであり、少なくとも燃料開閉弁51が設けられ、本実施形態では、燃料開閉弁51の下流側にストレーナ52が設けられ、さらにストレーナ52の下流側に遮断弁53、ガス電磁弁54,55などがさらに設けられている。
【0021】
燃料開閉弁51は、本実施形態では、燃料ライン50のうち分岐可能な箇所より上流側に設けられる。ここで、分岐可能な箇所とは、燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側であれば位置は限定されるものではないが、燃料ライン50に設けられた機器のうち、作業員が作業対象とする機器より上流側であることが好ましく、本実施形態では、ストレーナ52より上流側である。燃料開閉弁51は、手動で開閉される例えばボールバルブであり、閉弁されることで燃料ライン50を遮断するものであり、通常は開弁されている。
【0022】
ストレーナ52は、燃料ガスに含まれる固形不純物などを除去するものであり、作業員により定期的に清掃が行われるため、燃料ライン50を外部と連通可能に構成されている。遮断弁53は、制御装置90により、燃焼機器10の運転停止時に燃料ライン50を遮断するものであり、燃焼機器10の運転時は開弁されており、運転停止時に閉弁される。ガス電磁弁54,55は、制御装置90により、燃料である燃料ガスの流量である燃料流量を制御するものであり、並列に設けられている。ここで、ガス電磁弁54,55は、内燃機関10の運転停止時に遮断弁53とともに閉弁されることで、燃料ライン50の2重遮断を達成する。なお、ガス電磁弁54は燃焼機器10の低燃焼運転時に開弁制御される電磁弁であり、ガス電磁弁55は高燃焼運転時にガス電磁弁54とともに開弁制御される電磁弁である。
【0023】
パージライン60は、燃料ガスと異なるパージ用流体をパージ用流体供給源から燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側に供給するものである。パージライン60は、本実施形態では、燃料ライン50のうち分岐可能な箇所である燃料開閉弁51とストレーナ52との間に連通し、送風機40(流体供給装置)から送風される燃焼機器10の外部(パージ用流体供給源)の空気をパージ用流体として、ストレーナ52より上流側から燃料ライン50に供給するものである。パージライン60は、少なくともパージ用開閉弁61が設けられ、本実施形態では、パージ用開閉弁61の上流側に遮断弁62、ガス電磁弁63、オリフィス64、パージ用流体コック67などがさらに設けられている。
【0024】
パージ用開閉弁61は、パージライン60への切り替えを可能とするものである。パージ用開閉弁61は、本実施形態では、燃料ライン50が連通する先を燃料供給源からパージライン60に切り替える。パージ用開閉弁61は、手動で開閉弁される例えばボールバルブであり、閉弁されることでパージライン60を遮断するものであり、通常は閉弁されている。
【0025】
遮断弁62は、制御装置90により、燃焼機器10の運転停止時にパージライン60を遮断するものであり、通常は閉弁されており、後述するパージ制御時に開弁される。ガス電磁弁63は、制御装置90により、燃焼機器10の運転停止時にパージライン60を遮断するものであり、通常は閉弁されており、後述するパージ制御時に開弁制御される。ガス電磁弁63は、遮断弁62とともに閉弁されることで、パージライン60の2重遮断を達成する。オリフィス64は、パージ流量検出手段であり、パージライン60におけるパージ流量を検出し、制御装置90にパージ流量を出力するものであり、2つのニップル65,66の間に設けられている。また、オリフィス64は、パージライン60におけるパージ流量を調整するものであるもある。パージ用流体コック67は、手動で開閉弁され、閉弁されることでパージライン60を遮断する例えばボールバルブであり、パージライン60の最も上流側に設けられ、通常は開弁されている。
【0026】
パイロットエアライン70は、送風機40から送風された空気、すなわちパイロットエアをパイロットガスとともにウィンドボックス20に供給するものであり、図示しない電磁弁やオリフィスなどが設けられている。
【0027】
パイロットガスライン80は、パイロットガスを図示しないパイロットガス供給源からウィンドボックス20に供給するものであり、パイロットエアライン70に連通し、図示しない電磁弁やオリフィスなどが設けられている。ここで、パイロットガスは、燃料ガスよりも熱量の高いガスで、例えばLPGや都市ガスなどである。パイロットガス供給源は、例えば、LPGを貯留するタンクや都市ガスを供給する都市ガスラインなどである。
【0028】
制御装置90は、燃焼機器10の運転制御を行うものであり、燃焼機器10の運転指示(例えば、低燃焼運転指示、高燃焼運転指示、運転停止指示など)および燃焼機器10を構成するオリフィス64、図示しない圧力スイッチ、センサなどが出力した検出結果に基づいて、送風機40、遮断弁53,62、ガス電磁弁54,55,63などを制御する。制御装置90は、燃焼機器10の状態を検出する状態検出手段でもあり、検出結果に基づいて燃焼機器10が運転停止状態であるか否かを判断する。
【0029】
パージボタン100は、後述するパージ制御の実行指示を検出する実行指示検出手段であり、制御装置90に接続されている。パージボタン100のON/OFF状態が制御装置90に出力され、パージボタン100がONされると、制御装置90によりパージ制御の実行指示を検出したと判断される。なお、実行指示検出手段は、パージボタン100に限定されるものではなく、パージ制御の実行指示を検出することができればいずれの構成であってもよく、例えばダイヤル式のスイッチなどでもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る燃焼機器10のガス置換作業、すなわち燃料ライン50に残留する燃料ガス(以下、単に「残留燃料ガス」と称する。)をパージ用流体に置換する方法について説明する。
図2は、実施形態に係る燃焼機器によるガス置換作業のフローチャートを示す図である。ここで、ガス置換作業は、燃焼機器10が運転停止状態であることを前提に行われる作業である。これは、ガス置換作業が、燃焼機器10の運転停止時において残留燃料ガスをパージ用流体に置換することを目的とするためである。なお、燃焼機器10が運転停止状態であると、制御装置90により送風機40が停止され、遮断弁53,62、ガス電磁弁54,55,63などの制御装置90により制御される弁は閉弁される。
【0031】
まず、作業員は、
図2に示すように、燃料開閉弁51を閉弁する(ステップST10)。ここでは、作業員は、燃料開閉弁51を閉弁することで、燃料ライン50のうち、燃料開閉弁51より下流側に燃料ガスが供給されることを防止する。
【0032】
次に、作業員は、パージ用開閉弁61を開弁する(ステップST11)。ここでは、作業員は、燃料開閉弁51を閉弁した状態で、パージ用開閉弁61を開弁することで、パージライン60への切り替えを行う。パージ用開閉弁61を開弁する際には、すでに、燃料開閉弁51が閉弁されているので、パージライン60に燃料供給源から燃料ライン50に供給された燃料ガスが流入することを防止できる。
【0033】
次に、制御装置90は、パージボタン100がONである否かを判定する(ステップST12)。ここでは、制御装置90は、パージボタン100がONであるか否かを判定することで、パージ制御の実行指示が検出されたか否か、すなわち作業員にパージ制御の実行意思があるか否かを判定する。
【0034】
次に、制御装置90は、パージボタン100がONであると判定する(ステップST12肯定)と、燃焼機器10が運転停止状態であるか否かを判定する(ステップST13)。ここでは、制御装置90は、燃焼機器10が運転停止状態であるか否かを判定することで、パージ制御を実行できる状態にあるか否かを判定する。なお、制御装置90は、パージボタン100がOFFであると判定する(ステップST12否定)と、パージボタン100がONとなるまで、ステップST12を繰り返す。
【0035】
次に、制御装置90は、燃焼機器10が運転停止状態であると判定する(ステップST13肯定)と、パージ制御を実行する(ステップST14)。つまり、パージ制御は、パージ制御の実行指示が検出され、検出された燃焼機器10の状態が停止状態である場合に実行することができる。ここで、パージ制御とは、制御装置90により送風機40を駆動し、パージライン60を介して燃料ライン50にパージ用流体である空気(外部流体)を供給する制御である。パージ制御時は、遮断弁53,62、ガス電磁弁54,55,63などの燃料ライン50およびパージライン60に設けられた制御装置90により制御される弁が開弁される。従って、送風機40から送風された空気は、パイロットエアライン70およびパージライン60を介して燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側に供給される。この空気は、燃料ライン50内の残留燃料ガスを希釈しながら燃料ライン50からウィンドボックス20(ウィンドボックス20を介してボイラ30)に流出させるので、燃料ライン50内の残留燃料ガスを空気に置換する。この残留燃料ガスは、ウィンドボックス20内に残留する空気によりさらに希釈される。なお、制御装置90は、燃焼機器10が運転停止状態でないと判定する(ステップST13否定)と、燃焼機器10が運転停止状態となるまで、ステップST12〜ST13を繰り返す。
【0036】
次に、制御装置90は、パージボタン100がOFFであるか否かを判定する(ステップST15)。ここでは、制御装置90は、パージボタン100がONからOFFになったか否かを判定することで、作業員にパージ制御の終了意図があるか否かを判定する。
【0037】
次に、制御装置90は、パージボタン100がOFFであると判定する(ステップST15肯定)と、パージ制御を終了する(ステップST16)。ここでは、制御装置90は、送風機40の駆動を停止し、パイロットエアライン70およびパージライン60を介して燃料ライン50に空気を供給することを停止する。また、パージ制御を終了する場合は、遮断弁53,62、ガス電磁弁54,55,63などの燃料ライン50およびパージライン60に設けられた制御装置90により制御される弁が閉弁される。なお、作業員は、パージ制御の終了後、パージ用開閉弁61を閉弁し、燃料開閉弁51を開弁する。これにより、燃料ライン50を介して燃料供給源からウィンドボックス20に燃料ガスを供給できる状態となり、燃焼機器10を再度運転することができる。
【0038】
また、制御装置90は、パージボタン100がOFFでないと判定する(ステップST15否定)と、パージボタン100がOFFとなるまで、パージ制御を実行し続ける。つまり、作業員がパージボタン100をONし続けることで、パージ制御が継続されることで、燃料ライン50の残留燃料ガスと空気との置換が継続される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る燃焼機器10では、燃料開閉弁51を閉弁するとともに、パージ用開閉弁61を開弁した状態、すなわち燃料ライン50が連通する先がパージライン60に切り替えられた状態で、パージライン60を介して燃料ライン50にパージ用流体、本実施形態では、送風機40から送風された外部流体である空気を供給する。従って、燃料ライン50のうち燃料開閉弁51よりも下流側の残留燃料ガスが燃料ライン50に流入してきた空気により押し出され、残留燃料ガスが燃料ラインから流出するため、残留燃料ガスを空気に置換することができる。
【0040】
また、作業員が燃料ライン50の機器、例えばストレーナ52などの点検、清掃、交換などの作業を行う前に、残留燃料ガスをパージライン60から供給された空気に置換することで燃料ライン50の残留燃料ガスの量を減少することができる。従って、上記作業時に燃料ライン50が外部と連通しても、残留している燃料ガスが外部に漏れる可能性を抑制することができる。また、例えば、燃料ガスが硫化水素などの有害物質を含んでいる場合において、作業員に対する安全性のさらなる向上を図ることができる。
【0041】
また、燃料ライン50に供給するパージ用流体として、送風機40から送風される燃焼機器10の外部の空気を用いるので、パージ用流体供給源として、例えば、パージ用流体を貯留するタンクなどの新たな設備を燃焼機器10に追加することなく、残留燃料ガスをパージ用流体に置換することができる。
【0042】
また、パージ制御は、パージボタン100がONされることで、パージ制御実行指示が検出されても、燃焼機器10の運転停止時のみ実行することができる。従って、燃焼機器10の運転中においてパージ制御を実行することによる不具合、例えばパージライン60に燃料ガスが流入するなどを事前に防止することができる。
【0043】
また、作業員は、燃料開閉弁51を閉弁し、パージ用開閉弁61を開弁しておけば、パージボタン100をONするのみで、残留燃料ガスをパージライン60から供給された空気に置換することでできる。従って、ガス置換作業の時間の短縮を図ることができる。また、ガス置換作業を少ない手順で完了することができるので、ガス置換作業における手順ミスの発生を抑制することができる。
【0044】
なお、上記実施形態においては、作業員は、燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側の残留燃料ガスがすべて空気に置換されるまで、パージ制御を実行することが好ましい。しかしながら、燃焼機器10の種類、燃料ライン50の大きさ、燃料ガスにおける有害物質の含有量に応じてパージ制御の実行時間を変化させることが好ましい。このため、予めパージ制御の実行時間を作業員が認識していることが好ましい。ここで、パージ制御時のパージ流量は、オリフィス64により検出することができ、燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側における燃料ライン50の容積、すなわちガス置換容積は、燃焼機器10の諸元から算出することができる。従って、パージ制御時のパージ流量が一定である場合は、予めパージ流量とガス置換容積に基づいて実行時間を算出しておき、燃焼機器10のマニュアルや、パージボタン100を操作する作業員が視認できる位置に表示しておくことが好ましい。
【0045】
〔変形例1〕
また、上記実施形態では、パージ制御の実行時間を作業員が決定していたが本発明はこれに限定されるものではなく、制御装置90が予め所定実行時間を算出しておき、パージ制御を所定実行時間実行するようにしてもよい。
図3は、実施形態に係る燃焼機器によるガス置換作業の他のフローチャートを示す図である。なお、変形例1に係る燃焼機器は、実施形態に係る燃焼機器10と基本的構成が同様である。また、
図3に示すフローチャートにおいて
図2に示すフローチャートと同一手順は、省略あるいは簡略化して説明する。
【0046】
変形例1に係る燃焼機器10のガス置換作業を説明する。まず、作業員は、
図3に示すように、燃料開閉弁51を閉弁し(ステップST20)、パージ用開閉弁61を開弁する(ステップST21)。次に、制御装置90は、パージボタン100がONであると判定(ステップST22肯定)し、燃焼機器10が運転停止状態であると判定する(ステップST23肯定)と、パージ制御を実行する(ステップST24)。
【0047】
次に、制御装置90は、所定実行時間を算出する(ステップST25)。ここでは、制御装置90は、オリフィス64により検出されたパージ流量と、燃料ライン50の容量、すなわち上記ガス置換容量とに基づいて所定実行時間を算出する。ここで、所定実行時間は、少なくとも燃料ライン50のうち燃料開閉弁51より下流側の残留燃料ガスを空気と十分に置換することができる実行時間であることが好ましい。
【0048】
次に、制御装置90は、所定実行時間を経過したか否かを判定する(ステップST26)。ここでは、制御装置90は、所定実行時間経過したか否かを判定することで、残留燃料ガスが空気と十分に置換されたか否かを判定する。
【0049】
次に、制御装置90は、所定実行時間を経過したと判定する(ステップST26肯定)と、パージ制御を終了する(ステップST27)。なお、制御装置90は、所定実行時間を経過していないと判定する(ステップST26否定)と、パージ制御が所定実行時間実行されるまで、ステップST26を繰り返す。
【0050】
以上のように、変形例1に係る燃焼機器は、制御装置90により所定実行時間パージ制御を実行する。ここで、作業員によってパージ制御の実行時間が決定される場合は、実行時間が短く残留燃料ガスを空気と十分に置換することができない、または実行時間が長く無駄なパージ制御を行う可能性がある。しかしながら、変形例1に係る燃焼機器では、残留燃料ガスを空気と十分に置換することができないことや、パージ制御の無駄な実行によって消費エネルギーが増加することを回避することができる。
【0051】
〔変形例2〕
また、上記実施形態では、燃料開閉弁51およびパージ用開閉弁61を手動で開閉していたが本発明はこれに限定されるものではなく、自動で開閉してもよい。
図4は、実施形態に係る燃焼機器によるガス置換作業の他のフローチャートを示す図である。なお、変形例2に係る燃焼機器は、実施形態に係る燃焼機器10と、燃料開閉弁51およびパージ用開閉弁61が制御装置90により自動で開閉する点で基本的構成が異なる。また、
図4に示すフローチャートにおいて
図3に示すフローチャートと同一手順は、省略あるいは簡略化して説明する。
【0052】
変形例2に係る燃焼機器10のガス置換作業を説明する。まず、
図4に示すように、制御装置90は、パージボタン100がONであると判定(ステップST30肯定)し、燃焼機器10が運転停止状態であると判定する(ステップST31肯定)と、燃料開閉弁51を閉弁する(ステップST32)。ここでは、制御装置90は、パージ制御を実行する前に、まず燃料開閉弁51を自動で閉弁する。
【0053】
次に、制御装置90は、パージ用開閉弁61を開弁する(ステップST33)。ここでは、制御装置90は、燃料開閉弁51を自動で閉弁した後に、パージ用開閉弁61を自動で開弁する。
【0054】
次に、制御装置90は、パージ制御を実行し(ステップST34)、所定実行時間を算出し(ステップST35)、所定実行時間を経過したと判定する(ステップST36肯定)と、パージ制御を終了する(ステップST37)。
【0055】
次に、制御装置90は、パージ用開閉弁61を閉弁する(ステップST38)。ここでは、制御装置90は、燃料開閉弁51を自動で開弁する前に、パージ用開閉弁61を自動で閉弁する。
【0056】
次に、制御装置90は、燃料開閉弁51を開弁する(ステップST39)。
【0057】
以上のように、変形例2に係る燃焼機器は、制御装置90により燃料開閉弁51およびパージ用開閉弁61を自動で開閉する。ここで、作業員により燃料開閉弁51およびパージ用開閉弁61の開閉を行う場合は、開閉の順番間違いや、開閉し忘れの可能性がある。しかしながら、変形例2に係る燃焼機器では、ガス置換作業のうち、作業員による作業量が軽減でき、作業員がパージボタン100をONしても、パージ制御が実行できないことを回避することができる。
【0058】
なお、上記変形例1,2では、パージ制御時に所定実行時間を算出したがこれに限定されるものではなく、パージ制御におけるパージ流量が一定である場合は、予めパージ流量とガス置換容積に基づいて所定実行時間を算出しておき、制御装置90に記憶させておいてもよい。
【0059】
また、上記変形例1,2では、所定実行時間をパージ流量と、ガス置換容量と、燃料ガスにおける有害物質の含有量とに基づいて算出してもよい。この場合、燃料ガスにおける有害物質の含有量が多い場合は、所定実行時間を有害物質の含有量が少ない場合と比較して長くする。これにより、燃料ライン50に残留する有害物質を確実に燃料ライン50から流出させることができる。
【0060】
また、実施形態および変形例1,2では、燃料が燃料ガスであるが、燃料はこれに限定されるものではなく、重油をはじめとする液体燃料又は微粉炭であってもよい。また、実施形態および変形例1,2では、パージ用流体(外部流体)が送風機40から送風される燃焼機器10の外部の空気であるがこれに限定されるものではなく、燃料ガスと異なるものであればよく、例えば、有害性および着火性の低い、例えば窒素などの不活性ガスであってもよい。この場合は、パージライン60を、不活性ガスを貯留するパージ用流体供給源であるタンクに連通し、パージ制御時に、タンクからパージライン60を介して燃料ライン50に供給することとなる。さらに、パージ用流体(外部流体)は、水などの液体であってもよい。この場合は、例えば、図示しないパージライン60を、図示しない給水ラインに連通し、パージ制御時に、給水ラインからパージライン60を介して燃料ライン50にパージ用流体供給源である給水源からの水を供給することとなるので、送風機40の代わりに流体供給装置として液体を吐出可能なポンプなどを用いる。
【0061】
また、実施形態および変形例1,2では、パージライン60がパイロットエアライン70を介して送風機40の吐出側に連通されているが送風機40の吐出側に直接連通してもよく、ウィンドボックス20に連通してもよい。また、燃料ガスが熱量の高いガスであれば、パイロットエアライン70およびパイロットガスライン80は不要であるので、パージライン60を送風機40の吐出側に直接連通してもよく、ウィンドボックス20に連通してもよい。
【0062】
また、実施形態および変形例1,2において、パージ用開閉弁61およびパージボタン100は、燃焼機器10の図示しない筐体内部に配置され、燃焼機器10の運転停止時において解放される図示しない扉を介してのみ操作可能としてもよい。これにより、パージ制御は、燃焼機器10の運転停止後でなければ実行することができなくなるので、安全性のさらなる向上を図ることができる。